創大教育研究第18号:藤平園P41∼44 新学習指導要領と体育科教育藤平田本稿では,教科の目標,授英彦業時数,教科内の領域構成,領域の内容について,新しく改訂された所を取り上げることにする。新旧(改年8月月訂と現行)の文部科学省文部省対照については,小学校学習指導要領解説東洋館出版社と小学校学習指導要領解説体育編体育編平成20 平成U年5 東山書房を用いた。本稿の構成は,「創大教育研究」第9号2000の拙稿の内容を基にしたものである。 1。「体育科の蟹標」について平成1!年のll]標と同じであるが下線の部分の字句が加えられた。「心と体を一一体としてとらえ,適切な運動の経験と健康・安全についての理解を通して,生涯にわたって運動に親しむ資質や能力の基礎を育てるとともに健康の保持増進と体力の向上を図り,楽しく明るい生活を営む態度を育てる。」前回の改訂では「心の教育」の重視から「心と体を … 体としてとらえ」の字句が加えられ,今回の改訂ではH常生活の健康の保持,体力の向上の積み重ねが生涯にわたるという観点から字句が加えられた。また,基礎的・基本的な知識・技能の重視から基礎が加えられた。獲.授業時数と領域構成について 1。授業時数について表1・表2は,現行及び改訂された授業時数と領域を示したものである。授業時数は第1学年から第6学年まで90時間であったものが,第!学間,第2学年から第4学年で!02時年まで!05時間となりそれぞれ時間数が増加した。第1学年から第4学年まで週3回の授業時間となり週5日制以前の時間数に戻ったことになる。これは,領域構成とも関係するが,児童の体力低下に起因する。 2.領域構成について現行の「基本の運動」の内容は(!)走・跳の運動遊び(2)力試しの運動遊び(3)器械・器一4!一特集:薪学轡指導要領と体育科教育具を使っての運動遊び(4)用具を操作する運動遊び(5)水遊び(6)表現リズム遊びである。この「基本の運動」が整理され,走使っての運動遊びは器械運動,水・跳の運動遊びは陸上運動,器械・器具を遊びは水泳,表現リズム遊びは表現運動と連動している。力試しの運動遊び,用具を操作する運動が「体つくり運動」となったといえる。このように低学年,中学年の「基本の運動」がより細分化された。また,現行の高学年に置かれていた「体つくり運動」が第1学年から第6学年まで通しで置かれるようになった。毎年,「新体力テスト」が行われ,その結果が「体力・運動能力調査報告書」として文科省から公表されている。その調査結果から,児童の体力が「運動をする子」「運動をしない子」によって体力・運動能力が二極化されているところから低学年から体力向上のために,「体つくり運動」が導入された。表1現行の授業時数と領域構成 34135 授業週授業時間学 90 レ213・4 年 5・6 体つくり運動匪領基本の運動域ゲ械運動睡上運動睡一ル運動隊ー泳ム表現運動保表2改授業週 34 授業時間 102 学年域訂された授業時数と領域構成 35 105 90 1・2i3・4 体領健 5・6 つく器械・器具を使っての運動遊び器走・跳の運動遊び走り動運動械運・跳の運動陸上運動水遊び浮く・泳ぐ運動水ゲームゲボール運動表現リズム遊び表保一42一ーム現運泳動健創大教育研究第18号:藤平田磁.領域の内容について表3は各領域の内容の概要を示したものである。表は学習指導要領解説の中に示されている例示をもとに作成したものである。各領域の内容の改訂については,主な改訂項隠のみ取り上げることとし,① として改訂内容を記述することとする。 1.イ三本つくり運壷力 ① 低申学年の体つくり運動は体ほぐしの運動と多様な動きをつくる運動となった。特に,多様な動きをつくる運動は現行の用具を操作する運動,力えて体のバランスをとる運動 2.表体を移動する運動が加えられた。現リズム遊び ① 低学年のリズム遊びの中にジェンカ(フッ),タ 3.ゲ試しの運動に加タロチカ(ロシア)なィンランド),キンダーポルカ(ドイどのフォークダンスが加えられた。ーム ① 申学年の現行のゲームはバスケットボール型ゲーム,サボール型ゲームであるのに対し,ゴール型ゲーム,ネッカー型ゲーム,ベット型ゲーム,ベースースボール型ゲームに改訂された。現行はそれぞれのゲームの内容は特に示してなかったが,ゴハンドボール,ポートボール,ラインサッカー,ミール型ゲームではニサッカー,タグラグビー, フラッグフットボールというように明確になった。このうち,タグラグビー,フラッグフットボールは全く新しいボールゲームである。ネット型ゲームはソフトバレーボール,プレルボールである。プレルボールは全く新しいボールゲームである。上記のゲームを行う際に,識一トを狭くしたり,ルールを簡約化したり,人数を調整したりして工夫して行うことが易しいゲームとなる。 4.ボール運動 ① 高学年のボール運動は申学年のボールゲームの発展である。特に,タビー,フラッグフットボール,プグラグレルゲームは全く新しいボール運動である。ベースボール型のティボールは,中学年のベースボール型ゲームの止まったボールを打つことである。以上の改訂の,まとめとして1。現行の各学年90時間が,低 102,105時間となり,時間数が増えたこと。2.体つくり運動が,現行高学年だけであったが低中学年もおかれるようになったこと。3.低一43一申学年がそれぞれ学年のリズム遊びの中に特集:新学習指導要領と体育科教育フォークダンスが導入されたこと。4。中学年のゲーム高学年のボール運動に新しい種臼が導入されたこと。である。表3改第1学年 (著者作成) 訂された領域の内容の概要第2学年 1体つくり運鰯第3学年第4学年 1体つくり運動第5学年第6学年【体つくり運動 1.体ほぐしの運動 !.体ほぐしの運動葉.体ほぐしの運動 2.多様な動きをつくる運 2.多様な動きをつくる運 2.体動遊び 1器械・器具を使っての運動遊び1 1.マ董.固定施設を使った運動遊び 2.マ動 1器械運測ットを使った運動遊び力を高める運動 1器械運動ット運動 2.鉄棒運動 3.跳び箱運動 1.マット運動 2.鉄棒運動 3.跳び箱運動 1陸上運朔 1.短 1走・跳の運動 1.かけっこ・リレー 2。距離走・リレーハードル走 3.鉄棒を使った運動遊び 2.小型ハードル走 3.走 4.跳び箱を使った運動遊 3.幅跳び 4。走り高跳び 4.高跳びび 1走・跳の運動遊び1 !.浮 2.泳 1水遊び1 に慣れる遊び 2.浮く・もぐる遊びールゲーム遊び 1.表現遊び 2.リズム遊びロール 2.平泳ぎ 1ボール運動ボールートなどを基にしたニサッカーなどを基にした易しいゲーム・タグラグビー ,フ 1.ゴール型・バスケットボール・サッカー・ハンドボール易しいゲーム・ラインサッカー ,ミ俵現リズム遊び1 揉.ク (水申からのスタート) 1。ゴール型ゲーム・ハンドボール ,ポ 1ゲーム1 1.ボく運動ぐ運動 1ゲーム1 1.水 2.鬼 1水泳1 1浮く・泳ぐ運動薫.走の運動遊び 2.跳の運動遊びり幅跳びラッグ・タグラグビー ,フ 2.ネット型・ソフトバレーボール簡単なフォークダンスをフットボールを基にした・プレルボール含めてジェンカ,キ易しいゲーム 3.ベースボール型・ソフトボールダーポルカ,タンタロチカ 2.ネット型ゲーム・ソフトバレーボールを基にした易しいゲーム・プレルボールを基にした 3.ベ・テイボール 1表現運釧 1.表現 2.フ易しいゲームースボール型ゲームラッグフツトボールオークダンス(日本の民謡を含む) ・攻撃側がボールを蹴って・地域で親しまれている踊行うゲーム・手やラケットなどでボー・外国のフォークダンスりや日本の代表的な民謡ルを打ったり,止まったマイム・マイム,コボールを打つチカ,グ俵現運釧 i。 2.リコール 1保倒表現ズムダンス「心の健康」(5年) 腺健1 晦日の生活と健康」 (3年) 「育ちゆく体とわたし」 (4年) 一44一ロブスタフス・ス「けがの防止」(5年) 「病気の予防」(6年)