ロシア情勢(2016 年1 月 モスクワ事務所)

更新日:2016/2/22
JOGMEC モスクワ事務所
木原 栄治/井戸 智子
公開可
ロシア情勢(2016 年 1 月 モスクワ事務所)
1.政治・経済情勢
(1)国内
・
ロシア政府は、Urals 原油 USD 50 /バレルで組まれた 2016 年度予算を 10%削減するための準備を
始めた。各省庁は 1月15日までにどの支出を削減するか検討し、財務省に報告しなければならない。
専門家によれば、2013 年以降予算の支出額は減ってきており、まだ危機的な状況ではないが、2017
年まで油価が低水準で推移すれば、政府は大幅な予算削減を迫られ、税制改革や年金改革の実施、
国家債務の拡大の必要性が出てくるとのこと。石油価格が USD 30 の場合には財政赤字対GDP比率
は 4.4%となり、経済は 2015 年度の国内総生産(GDP)成長率マイナス 3.7%から更に 1.5%減になる
との予測 1。
・
1 月 13 日、ガイダルフォーラム(経済会議)の初日に挨拶を行ったメドべージェフ首相は、昨年を振り
返り、近年のロシア経済にとって最も困難な年だったと評した。「経済危機は、国民の収入の低下を
もたらし、中間層が苦しんだ。政府は近年、社会福祉を重視してきた。その結果、貧困規模は 2 分の
1に縮小していた」と述べた。クドリン元財務相は「社会保障費対 GDP 比は 2008 年の 9.1%から
14.3%に拡大したが、現在、貧困対策に取り組む為には 5%以上の経済成長が必要である」と述べ、
社会保障費が財政を圧迫していることを指摘した。ウリュカエフ経済発展相は、原油価格の低迷が長
引くとの見方を示し、構造改革の必要性を訴え、シルアノフ財務相は予算を早急に見直さなければ
1998 年の経済危機と同様の事態になる可能性があると指摘した。
一方、シュワロフ副首相は、ロシア経済は 1 年前より遥かに安定しており、政府は昨年、大きなミスを
1
Vedomosti,2016/01/11
–1–
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
一度も犯していないと発言した 2。
・
1 月 18 日、シルアノフ財務相は、テレビ番組で「民営化の第一候補として、財務省は Rosneft の株式
19.5%の売却を検討している」と述べた。Sberbank や VTB の政府保有株の売却も視野に入れている
とのこと。13 日、ウリュカエフ経済発展相も同2行の株式売却を検討すべきとの考えを示していた 3。
・
1 月 26 日、連邦国家統計局は、2015 年の GDP(速報値)が前年比で 3.7%減となったと発表した。
歳入の半分を依存する原油価格の下落や欧米の経済成長の影響により、2014 年の実質経済成長率
+0.6%からマイナスに転落した。ロシア経済はマイナス成長に陥ったのは、2009 年以来、6 年振り
のこととなる。特に個人消費が落ち込み、その動向を示す小売業が 10%減。鉱工業と設備投資はそ
れぞれ前年比で 8.4%、5.4%減となった。
(2)対外関係
①ウクライナ
・
1 月 11 日、ヤツェニュク首相は、「1 月 1 日にロシアが提案したガス価は USD 212/1,000m³であり、欧
州経由で購入する価格より高い為、購入しない」と発表した。欧州からの購入価格の平均は USD200
程度とのこと。また、現在、140 億 m³のガスが地下貯蔵されていることを明らかにした 4。
・
1 月 13 日付 Sputnik 紙は、ポロシェンコ大統領の支持率が選挙直後の 47%より、急激に低下し、17%
となっていると伝えた。前任者のヤルコヴィッチ氏のユーロマイダン(大規模反政府デモ)時の支持
率 20%よりも 3%と低いとウクライナのテレビ放送が報じたとのこと。
・
1 月 19 日付 Vedomosti 紙によれば、ガスプロムはナフトガス・ウクライナに第 3 四半期未購入分の支
払として USD 25.49 億の請求書を送付したとのこと。Take or Pay 条項に基づき、ナフトガス・ウクライ
ナは第 3 四半期に最低引取量 104.85 億 m³の義務があり、ガスプロムは 10 日間以内にペナルティ
ーの支払いを求めている。ガスプロムによれば、Take or Pay 条項は昨年の第 1、2 及び 4 四半期に
は適用されていないとのこと。ナフトガス・ウクライナは、2009 年締結の契約書にある Take or Pay 条
項は市場に即さず、不法で無効なものとみなしており、その適用についてはストックホルム仲裁裁判
所で争うと説明している。
2
Vedomosti,2016/01/13
3
Prime,2016/01/18
4
RBK,2016/01/11
–2–
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
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投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
・
1 月 19 日、デムチシンエネルギー・石炭産業相は、「ウクライナは現在、欧州から USD 190/1,000m³
でガスを購入している」と発言。欧州のサプライヤーは 1000m³当たり USD 188~211 で取引を行って
いるとのこと 5。
・
1 月 22 日、ウクライナの独占禁止委員会は、ガスプロムに対し、パイプラインの独占的地位乱用で課
徴金USD 34.7 億を課す決定を行った。これに対し、ガスプロムは、ウクライナ領内で企業活動を行っ
ておらず、ガスプロムに対する圧力としか考えられないとし、本件はストックホルム仲裁裁判所で審議
されると述べた。
②米国
・
1 月 25 日、米財務省のジュビン次官補は、英BBC放送の番組で、「プーチン大統領は腐敗しており、
米国政府は長年に亘り、このことを認識していた」と述べた。「プーチン氏が自分の友人や親しい名
優を豊かにする一方で、友人ではない人たちを除外し、政府の要職にもつけていない。ロシアのエ
ネルギー資産であれ、政府契約であれ、自分に奉仕するとみなす人に与え、奉仕しないと思われる
人々は除外している。これは汚職である」とジュビン氏は語った 6。
③トルコ
・
現地報道によれば、ロシア軍機がトルコの領空を侵犯したとして、1 月 29 日に駐アンカラのロシア大
使に抗議したと発表したとのこと。一方、ロシア国防省は30日、トルコ側の発表に対して「ロシアの航
空機はいかなる領空侵犯もしていない」と否定している。
④日本
・
1 月 22 日、安倍首相はプーチン大統領と電話会談し、プーチン大統領訪日前のしかるべき時期に
非公式にロシアを訪問し首脳会談を実施する方向で調整を進めることに合意した。また、シリアを含
む中東情勢やウクライナ情勢についても意見交換を行ったとのこと 7。
・
1 月 26 日、ラブロフ外相は記者会見で、平和条約の締結と領土問題の解決は同義ではなく、切り離
5
RBC daily,2016/01/20
6
RBC daily,2016/01/26
7
外務省 website,2016/01/22
–3–
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して考えるべきと発言 8。
2.石油ガス産業情勢
(1)原油・石油製品輸出税
・ 2016 年 1 月、原油輸出税は USD 10.0/BBL に引き下げ、東シベリア及びカスピ海北部の油ガス田等
に対しては、引き続きゼロ課税となった。
・ 1 月の石油製品輸出税は USD 29.3/t、ガソリンについては USD 52.0/t に設定された。
<参考:原油及び石油製品輸出税の推移>
輸出税
原油(USD/t)
原油(USD/BBL)
減税特典原油(USD/t)
減税特典原油(USD/BBL)
石油製品(USD/t)
内、ガソリン(USD/t)
2012 年
平均
404.3
55.4
199.2
27.3
266.8
363.8
2013 年
平均
392.2
53.7
190.1
26.0
258.8
353.0
2014 年
平均
366.1
50.2
2015 年
平均
120.3
16.5
2016 年
1月
73.3
10.0
174.9
24.0
242.0
330.0
0
0
57.7
92.7
0
0
29.3
52.0
(出所:ロシア経済発展省)
(2)原油生産・輸出統計 9
・ 1 月、原油、ガス・コンデンセート生産量は 4,600.6 万 t(約 3.36 億 BBL)で、前年同月比 2.1%増。
・ 1 月、原油輸出量は 2,071.1 万 t(約 1.51 億 BBL)で前年同月比、1.14%増。
(3)天然ガス生産統計 10
・ 1月、天然ガス生産量は619.4億㎥(約2.2TCF)で、前年同月比1.7%増。
(4)天然ガス輸出統計 11
・ 1月、CIS以外への天然ガス輸出量は151億㎥(約0.5TCF)で、前年同月比36%増。
(5)生産量関連
・
2015 年の原油・コンデンセート生産量は過去最高となる前年比 1.4%増の 5 億 3,408 万トンを記録し
8
Utro.ru.2016/01/27
9
エネルギー省 website
10
Interfax,2016/02/02
11
Interfax,2016/02/02
–4–
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たが、大手格付け会社フィッチは、2016 年には生産量が安定し、それ以後は下降すると予測してい
る。新規プロジェクトは急激な油価下落の影響でブレーキがかかり、西シベリア地域の既存鉱床にお
ける生産量は 3~4%減になるとのこと。エネルギー省も税制改革が実施されず、原油輸出税が引下
げとならない場合*、2017 年にも生産量が減少し始めるリスクがあると認めている。Rosneft のセチン
社長は、昨年12月に減産の予定はないと述べ、2016~17年に前年比(6,500億ルーブル)30%増の
投資を行う、とした。Lukoil は反対に投資額を USD 90 億まで削減する。2016 年の生産量は 8,600 万
~8,700 万トンレベル、2017 年には生産量を 1,500 万~2,000 万トン拡大する計画。Surgutneftegas
は 2015 年レベル(6,120 万トン)を維持するとのこと 12。
*2015 年初頭より施行された税制改革では、2016 年より輸出関税算定の係数が前年の 0.42 から 0.36 に引き
下げられることになっていたが、0.42 に据置きとなった。
・
1 月 27日、エネルギー省プレスリリースによれば、エネルギー省のノバク大臣は国内の石油会社の
代表と会談を行い、各社の生産計画、税制、石油精製、国内市場への燃料供給の問題について協
議を行った模様。さらに、油価水準回復のために OPEC と協調行動を取る可能性についても話し合
われたとのこと。
写真中央 ノバク・エネルギー大臣
≪上写真出典:エネルギー省 HP http://minenergo.gov.ru/node/3971≫
12
RBC daily,2016/01/13
–5–
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・
1 月28 日、ノバク・エネルギー大臣は、「市場での需給バランスの是正のために、サウジアラビアおよ
び OPEC との間で約5%の減産についての協議を行う用意がある」と発言した。これはロシアの石油
会社の代表との会談の翌日に行った発言であるが、同じく会合に出席した Transneft のトカレフ社長
は「ロシアは、現在開催の検討が行われている 2 月の OPEC 会合にておいてサウジアラビアとの減
産についての協議を行う意向がある」と述べていた。一方で、OPEC 内の情報筋は、「サウジアラビア
は減産に応じる準備はあるが、5%という具体的な数字を提示した事実はない」と話した。ノバク大臣
も、どの数字をベースにするか、減産の実施状況をどのように監督するか等多くの問題があることを
認めており、まずは、産油国の総意が必要になると説明している。また、エネルギー省の会談におい
て、減産に前向きな発言をした石油会社の代表は一人もおらず、最大手のロスネフチの参加もなか
ったことより、現実的な合意達成の可能性は疑問視されている。情報筋によれば、「ロシアの条件下
では、井戸の休止若しくは掘削の停止は石油分野に中期的な影響をもたらし、生産を回復させるに
は5~7年かかるであろう」とのこと 13。
・
1 月 29 日付 Kommersant 紙によると、28 日のノバク・エネルギー大臣の発言に関し、ドボルコヴィッ
チ副首相が、「国は減産に影響を及ぼすことはできない。なぜなら、石油市場は民間セクターであり、
コマーシャルベースでの活動を原則とするという考えを基盤としている。低油価水準が過度に長期
間続いた場合、投資計画の修正が不可避となり、結果として、生産量の減少につながることはあるが、
国が減産を目標にすることはない」と説明したとのこと。
1 月25 日の週初めと比較するとブレンド原油の価格は 15%上昇し、USD 35.3/バレルに達したが、こ
の油価上昇には、OPEC との協調減産の可能性に関するロシア側の発表だけではなく、米国の FRB
の利上げの見送り決定も影響を及ぼしている。
(5)その他
・ 2015 年 12 月、エネルギー省は、大手石油企業に対し、USD 30/バレルの条件下でのストレステス
トを実施するよう要請した。関係者は結果を公表していないが、大手石油企業の声明とアナリストの評
価によれば、石油企業は USD 30/バレルの水準を致命的とは考えておらず、より低い価格でもしのぐ
用意があるとのこと 14。
13
Kommersant,2016/01/29
14
RBC daily,2016/01/13
–6–
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下表:情報筋および専門家の発言から取りまとめたストレステスト結果及び損益分岐点等
USD 30/バレルの条件下
損益分岐点
生産コスト
2016 年投資
Rosneft
・大陸棚プロジェクトを継続実施可能
・効率的な会社はバレル 25 ドル以上であれ
ば、投資・操業計画の変更の必要なし
$25
$4
RUB 8,450 億
前年比(RUB
6,500 )30%増
Lukoil
投資を 20%削減
$24
$3.68
$90 億
$18~20
$12~15
$50 億
Gazpromneft
-
*Gazpromneft の生産コストに輸送費及び税が含まれているか不明
3.ロシア石油ガス会社の主な動き
(1)ロスネフチ
・
1 月 14 日付 Kommersant 紙は、2016 年に Rosneft は 350 万トンの石油を中国向けに輸出する手段を
獲得する必要があると報じた。同社は中国と 2010 年に締結した石油供給契約に基づき、年間 1,500
万トン、さらに 2013 年の追加契約に基づき、500 万トンの合計 2,000 万トンの石油を輸出しなければ
ならないが、ESPO の中国支線である Skovorodino~Mohe 間の P/L は、中国側が同 P/L の拡張期
限を守らなかった為、1,650 万トンしか輸送出来ない。Transneft はカザフスタン経由若しくはイルクー
ツク州の Meget ターミナルを経由して、その先は鉄道輸送という2つのオプションを提案しているが、
Rosneft は 2015 年と同様に、最も安価なルートであるコジミノ港経由での輸送を希望している。
・
1 月 21 日付 Kommersant 紙は、Rosneft が、現在締結済の契約で規定された量のガスを供給出来な
い事態に直面していると報じた。市場関係者によれば、同社は InterRAO 傘下の発電所に供給する
ガス調達のため、Gazprom および NOVATEK と交渉を行っていたが決裂した模様。
Rosneft はセチン氏が社長に就任した際に、2020 年までにガスの生産量を倍増させ、年産 1,000 億
m³を達成するとの計画を発表した。当該計画に基づき、Rosneft は複数のロシアのガス需要家と契約
を締結。総供給量は年間 800 億 m³に達しており、急激に生産量を増加させているものの、自社で契
約全量を賄うことは不可能となっている。Gazprom 関係者の話では、Rosneft から昨年末に、2016 年
に 140 億 m³のガスを購入したいとの申し出があったとのこと。Rosneft 側は Gazprom や NOVATEK
などからガスを購入することもあることを認めたが、「Gazprom から 140 億 m³のガスの購入を検討して
いる」という報道については否定した。Gazprom は連邦反独占局が定める統制価格でしかガスを売
却出来ないが、Rosneft は自由価格で売却することが可能な為、契約価格が統制価格より 5~6%安
–7–
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い可能性があり、両社の交渉において価格面での折り合いがつかなかった模様。
・
1 月 21 日、Rosneft は、「2016 年は年間約 650 億 m³のガスを生産予定である。ガス供給契約の義務
履行に十分な資源があり、これまで通り、今後も全ての契約義務を履行する」との声明を出した。同
社はガス市場が供給過多であることを認め、「主要なガス生産会社にとって重要な課題は誰に売る
かである」 とし、需要時期のバランスやガスのポートフォリオの最適化を図る為、第三国や市場で売
買する等あらゆる手段を用いていると説明した 15。
(2)ガスプロム
・
1 月 13 日、Gazprom のミレル社長は、CIS 以外の地域へのガス輸出量は前年比 8%増の 1,594m³億
であったと発表した 16。
主要輸出国別購入量
(単位:Bcm/y)
・
2013
2014
2015
ドイツ
トルコ
イタリア
フランス
オーストリア
イギリス
40.15
26.69
25.32
8.17
5.23
12.53
38.7
27.33
21.68
7.1
3.95
10.09
45.3
27
24.4
9.7
4.4
11.1
CIS 域外 Total
161.5
146.6
159.4
1 月 15 日、Gazprom は 2015 年 1 月~9 月の決算(IFRS 基準)についてプレスリリースを行った。概
要は以下の通り。
 純利益:前年同期比 21%増の 6,739 億ルーブル
 売上高:前年同期比 5%増の 4 兆 2,062 億ルーブル
 ガス輸出量:輸出価格の相対的な低下を背景に欧州が購入を増やしたことにより、前年同期
比 2.3%増の 1,253 億 m³となった。一方で CIS 諸国へのガス供給量はウクライナがガス購入
を控えたことが主要因となり、前年同期比 25.9%減の 272 億 m³。ロシア国内でのガス販売量
15
Tass,2016/01/22
16
Interfax,2016/01/13
–8–
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は需要低下を背景に 4.6%減の 1,506 億 m³である。
・
Gazprom は、2003 年にトルクメニスタンとの間で締結したトルクメニスタン産ガスの 25 年間の長期購
入契約を一方的に破棄し、2016 年 1 月 1 日よりガス購入を停止したことを発表した。本契約は、2009
年に見直しを行い、年間買付量をほぼ 4 分の 1 の 100 億m³まで縮小した他、価格算定公式の修正も
なされている。2009 年に合意したガス価格は 1,000m³当たり USD 240 であるが、現在、Gazprom によ
るドイツの国境渡しの輸出価格は 1,000 m³当たり USD 190 となっている。トルクメニスタン産ガスの欧
州までの輸送コストが、1,000 m³当たり約 USD 100 であることを考慮すると、トルクメニスタン産ガスの
価格は USD 90 以下でなければ赤字となる。2015 年 6 月、Gazprom はガス価格を巡り、ストックホル
ムの仲裁裁判所に Trukmengaz を相手取って提訴したが、一度も審理は行われていない。Gazprom
の関係者によれば、トルクメニスタンがガス価格の引き下げに合意した場合、買付を継続する用意が
あるとのこと 17。
・
1 月 26 日付 Prime 紙は、2016 年の Gazprom の投資額が 8,420 億ルーブルであり、その内、7,670
億ルーブルが建設や設備の改修に向けられると報じた。2016 年のシベリアの力 P/L 向け投資額は
920 億ルーブル、Ukhta-Torzhok-2 P/L(Nord Stream2)は 460 億ルーブル。ロシア南部の P/L 支線
への投資額は含まれていない。
(3)トランスネフチ
・
1 月 13 日、アンドロソフ副社長は、「2016 年の Transneft の原油輸送量は前年比 1%減の 4 億 7,600
万トン、輸出に関しては、前年比 6.4%減の 2 億 1,580 万トンになる」と述べた。同社はロシア産原油
の輸出の約 90%を担っている。2015 年の原油輸送および原油輸出はそれぞれ前年比 0.7%、7%
増であった 18。
(4)NOVATEK
・
1 月 18 日、ミヘルソン社長はプーチン大統領に 2015 年の事業結果および Yamal LNG プロジェクト
の進捗について報告を行った。概要は以下の通り 19。
17
Kommersant,2016/01/18
18
Vedomosti,2016/01/14
19
Kremlin.ru,2016/01/18
–9–
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 ガス生産量は前年比 9%増の 680 億 m³。炭化水素液分(主に原油とガスコンデンセート)は
51%増の 900 万トン。ロシア産ガスの 11%を生産し、33 の国内地域に供給。
 売上高は前年比 33%増(2014 年度は 3,576 億 4,300 万ルーブル)
 Yamal LNG:2017 年の第 1 フェーズ完工を目指し、現在 56%の作業を完了。既投資額は全
体で約 USD 150 億。その内、約 USD 126 億が株主によるもので、中国パートナーが USD 50
億、Total が USD 37 億を拠出、国民福祉基金から約 USD 23 億。
・
1 月 25 日、ミヘルソン社長は、「2016 年は炭化水素液分の生産を前年比 30%増に拡大させるが、ガ
ス生産は現状を維持する」と発言した。また、2016 年の投資額は 400 億ルーブルを予定しているが、
政府が構想通りに石油産業部門への増税を行った場合、投資の削減を始めとし、雇用の喪失、コン
トラクターへの発注縮小等の悪影響を与えることになるであろうと指摘した 20。
(5)ルクオイル
・
1 月 20 日、アレクペロフ社長は、「油価低迷を受けて、2016 年度の投資計画を約 USD15 億削減し、
USD75 億とする方針である」と述べた。同社は 2015 年、投資計画を当初の USD125 億から USD90
億に縮小している 21。
・
1月25日、フェドゥン副社長はタス通信のインタビューに、「政治的な決定がなされたら、ロシアはOP
ECと協力して供給を削減する必要がある」と述べた。
(6)ザルベジネフチ
・
1 月 21 日、仏 Total は、Zarubezhneft にハリヤガ PSA プロジェクトの権益 20%を売却することで合意
したと発表した。Total の権益比率はこれにより 40%から 20%に減少し、Zarubezhneft の権益比率は
これまでの倍の 40%となり、プロジェクトのオペレーターを務める。取引額は明らかにされていない
が、関係者によると USD1 億未満とのこと 22。
売却後の株主構成:Zarubezhneft-40%、Statoil-30%、Total-20%、Nenets Oil Company-10%
20
RIA Novosti,TASS,2016/01/25
21
Prime.2016/01/20
22
Vedomosti,2016/01/21
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れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
4.東シベリア・極東・サハリン情勢
(1)サハリン
・
現地報道によると、1 月 28 日、サハリン2の事業オペレーターである Sakhalin Erergy が LNG プラント
の発電機器の故障により Force Majeure を宣言し、通常の半分の生産能力で操業しているとのこと。
5.新規 LNG・P/L 事業
(1)ESPO
・
Transneft Port Kozmino は 1 月 14 日付のプレスリリースで、ESPOP/L の終点である Kozmino 港から
の 2015 年の原油出荷量は前年比 550 万トン増の 3,040 万トンであったことを発表した。
2014 年の Kozmino 港経由の中国への輸出量は 590 万トンであるが、2015 年は 1,470 万トンへ大幅
に拡大、日本向けは 2014 年の 890 万トンより、2015 年は 870 万トンと微減している。
数量(MM ㌧)
%
中国
14.7
48.3
日本
8.7
28.7
韓国
3.2
10.5
米国
0.7
2.3
シンガポール
0.7
2.3
ニュージーランド
0.7
2.3
フィリピン
0.6
1.9
タイ
0.5
1.6
台湾
0.3
1.0
マレーシア
0.2
0.8
ベトナム
0.1
0.3
合計
30.4
100
上写真出典:Transneft Port Kozmino
http://www.smnpk.transneft.ru/press/news/?id=30832
(2)「シベリアの力」ガス P/L
・
1 月 16 日、ウリュカエフ経済発展相は、中国のエネルギー需要の減退により「シベリアの力‐2」ガス
P/L(西ルート)経由による対中ガス供給の開始期限が先延ばしされる可能性があると語った。「シベ
リアの力」ガス P/L(東ルート)は契約通り作業が進んでいるため期限が延期される可能性は低いと述
べた。
・
Gazprom は、2016 年の「シベリアの力」ガス P/L 事業への投資額は当初計画から半減となる 920 億
6,700 万ルーブルとの方針を示した。昨年 6 月に、クルグロフ副社長は、「2016 年の投資額は 2,000
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投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
億ルーブルを見込んでいる」と述べていた。
(3) Turkish Stream
・
1 月14 日付Vedomosti 紙は、ノバク・エネルギー大臣がロシア24のインタビューに「もし仮にトルコ及
び欧州諸国がトルコストリームへの関心を最終的に固めたのであれば、ロシアには同計画を実現さ
せる用意がある」と語ったと報じた。同氏によれば、欧州委員会及び欧州諸国のエネルギー担当大
臣らが本件に取り組んでいるとのこと。
(4) South Stream
・
1 月19 日、Gazpromは取締役会でSouth Streamの海底区間でのパイプ敷設を請け負う South Stream
Transport B.V.との契約の終了を決定した。これは同プロジェクト復活の噂を断ち切るものとみられて
いる 23。
(5) Nord Stream 2
・
Gazprom は、Nord Stream 2 ガス P/L にガス供給するための P/L である Ukhta-Torzhok 2 ガス P/L
に関する5件の入札(事業費合計 168 億ルーブル)をキャンセルした。同社は 1 月 12 日に、
Ukhta-Torzhok 2 ガス P/L の陸上区間の建設業者を決める為の入札を中止、この他にも
Ukhta-Torzhok 2 ガス P/L 他の区間に係わる入札を 1 月 13 日に 3 件、12 月 30 日に 1 件中止して
いる。ガスプロムは入札キャンセルの理由は説明していないため、Nord Stream 2 ガス P/L が EU の
規制当局との間で問題に直面していることに関連しているのではないかとの憶測を呼んでいる 24。
(6) Yamal LNG
・
1 月 25 日付 Vedomosti 紙によれば、フランスのマクロン経済大臣との会談を終えたウリュカエフ経済
発展相が、「ロシア経済発展省とフランス経済省は、フランスの銀行が Yamal LNG プロジェクトに融資
を行う可能性について協議した」と述べたとのこと。APF 通信は、フランス政府は、同国の銀行が
Yamal LNG プロジェクトへの融資のために制裁対象になることがないよう、米国政府の保証を得るこ
23
IOD,2016/01/21
24
IOD,2016/1/13
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とを望んでいると報じた。交渉の当事者関係者によると、フランスの融資については、タンカー建造
に関する資金供与など、様々なスキームが検討されたとのことだ。
以上
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