3 割の若者が入社 3 年以内に 会社を辞める理由とは 多くの企業で年度の区切りとなる3月。最終学年の学生たち は卒業を迎える時期だ。今春卒業する大学生の就職内定率は 80.4%(2015年12月1日現在)で、 5年連続の増加となった※1。 内定者は、社会人に向けての期待と不安を胸に、最後の学生生 活を送っていることだろう。 いまや「就活」でエントリーする社数は、1人あたり40 社と も90 社ともいわれ、学生たちは過酷な就活を経てようやく内定 を手にしているはずだ。ところが、入社 3 年以内に3 割の若者 が会社を辞めてしまうと、10年以上前からいわれてきた。 厚生労働省が行った調査では、2012年3月の大学卒業者の3 32.3 % 大学卒業者の 3 年以内の離職状況 ※2 (平成 24 年 3 月卒業者の状況) 年以内の離職率は32.3%※2。離職率の高い産業は宿泊業・飲食 サービス業で、大学、高校卒ともに半数以上を占めている。25 年前の1987年(昭和62)は28.4%だから、そう大きな変化と はいえず、 「3年3割」離職が定着しているともいえる。ちなみに、 四半世紀のなかで一番離職率が高かったのは 2004 年(平成 16)の36.6%である。 では、若者はせっかく入社した会社をなぜ辞めるのだろうか。 ヴォーカーズの調査では、 「キャリア成長が望めない」 (25.5%) 、 「残業・拘束時間の長さ」 (24.4%)を2大退職理由としている※3。 主要 9 業界のうち5 業界で「残業・拘束時間の長さ」がトップ となっている。折しも全国のハローワークは3月から、新卒求人 について残業代の不払いなどで行政から是正勧告を受けたりし た企業の分を受け付けないと決めた。ハローワークでは、勤務 条件や仕事内容が求人情報と異なるという苦情が年々増えてい るといい、その対応策といえる。 かつてがむしゃらに働いてきた世代には、 「好きな仕事だった らそれくらい働くのは当然」 「石の上にも3年だ」 「最近の若者は 甘い」など、さまざまな思いがあるかもしれない。 しかし、若者たちの声にも耳を傾け、企業側と働く側のミス マッチを少しでも減らしていくことが必要だ。 「経営者の思い」 や「働く側の思い」 、そして互いの状況を理解し合って働くこと ができれば理想であろう。 個人も組織もいきいきし、社会からも必要とされる会社にな ることが、雇用に関しても課題解決へと近づく道かもしれない。 出所:※1 文部科学省・厚生労働省『平成 27 年度大学等卒業予定者 の就職内定調査(12月1日現在) 』 (2016 年 1月) ※2 厚生労働省『新規学卒者の離職状況(平成 24 年 3月卒業 者の状況) 』 (2015 年 10月) ※3 株式会社ヴォーカーズ 働きがい研究所『「平成生まれの退 職理由ランキング」に関する調査レポート』 (2014 年 4月) JMA マネジメント 2016.3 1
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