西暦 2016 年 02 月 17 日 ダレナン博士の研究所 研究報告書 No.183 題名:油から石鹸となるための化学な科学 報告者:エコノ 手に付いた汚れや体をきれいにするには石鹸が欠かせない。近年では入浴の際にはボディーソープという液 体の石鹸もあるが、固形の石鹸には人類の英知を感じる塊的な存在感がある。それと言うのも、石鹸は汚れを 落とすのに、なぜか主材料が油であり、これがもともと油で、どうして汚れが?…という疑問がその塊に込め られているからである。 料理などで油を使うと、手がべたべたして、水ではなかなか落ちない。それなのに、この油で作られた石鹸 で、油の付いた手を洗うと、すっきりときれいになる。もちろん、べたつかない。とても不思議な現象である。 人類は、どのようにして、この石鹸を生み出したのであろうか。 そこで、本報告書では、まず石鹸が生まれたきっかけについて、迫ってみたい。 石鹸の起源は、約 7000 年前まで遡ることができる 1)。ただし、その当時は油が主成分ではなく、炭酸水 を利用した石鹸であった 1)。それが古代ローマ時代になり、羊を焼いて神に供える習慣のあったサポーの丘(今 のイラクの辺りに位置する丘 2) )での儀式の際に、したたり落ちた羊の脂と灰が雨に流され、それが川に堆積 した土の中で自然に石鹸らしきものができたとされる 3)。すなわち、主成分が油である石鹸の起源が、この時 代からであったようである。当時、この油のしみ込んだ土は汚れをよく落としたため、洗濯ものが白く仕上が る “不思議な土” として珍重されていた 3)。ある意味、これが元祖石鹸とも言えよう。その一方で、特に理屈 なく、宗教的儀式の副産物として、偶然に石鹸が生まれたことも分かる。ちなみに、このサポーの丘のサポー の綴りは、Sapo となり、これが変化して Soap(ソープ)に変化したと言われている 4)。 次に、なぜ油脂が石鹸となったのかについて、考えてみたい。 前述で、サポーの丘の儀式の際、羊の脂と灰が雨に流されたとし、それがしみ込んだ土が石鹸となった。実 は、石鹸は、油のみではなく、この灰に石鹸となるきっかけがあった。その灰はアルカリ性であり、このアル カリが油脂に作用し、加水分解することで「鹸化(けんか) 」という化学反応が起きる 5) 。すなわち、石鹸は 油そのものではなく、 「鹸化」による別の物質へと生まれ変わった結果である。その反応の化学式を図示する。 これによれば、油脂とアルカリの水酸化ナトリ ウムが結合することで、石鹸が生まれることが 分かる。さらに、石鹸は油脂そのものではなく、 その本質は、脂肪酸ナトリウムであることが分 かった。先の宗教的儀式で何気なく生まれた元 祖石鹸の背後には、実は、この化学があったの である。 図 石鹸が生まれるための化学式 6) 1) http://sangleafpharm.com/jp/?page_id=4497 (閲覧 2016.2.17) 2) http://www.wish-aa.net/rin/fig02.html (閲覧 2016.2.17) 3) http://jsda.org/w/03_shiki/2kurashi_21.htm (閲覧 2016.2.17) 4) http://www.live-science.com/honkan/soap/soaphistory01.html (閲覧 2016.2.17) 5) http://www.live-science.com/honkan/soap/soapmanufact02.html (閲覧 2016.2.17) 6) http://universe.littlestar.jp/espuma/blog/石鹸の基本/ (閲覧 2016.2.17)
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