創薬研究戦略作業部会の調査検討事項について

資料 1
創薬研究戦略作業部会の調査検討事項について
1.
創薬に関する研究について
<前回の主な意見>
○基礎生命科学と標的分子探索は日本のアカデミアの創薬研究の強みであり、
次元の異なる創薬アイデアが創出されることから、引き続き重要である。
○アカデミア創薬において、基礎研究より後の標的分子の評価、化合物探索・
最適化、前臨床はボトルネック。一方、企業導出のためにはアカデミアが成
し遂げなければならない範囲が拡大している。そのノウハウやインフラは日
本医療研究開発機構の支援で整備される方向にある。
○創薬を実現するには、オープンイノベーションによるアカデミアと製薬企業
の協同的な研究体制の構築が必要。企業が導入及び共同研究するには、①コ
ンセプトの差別化、②データの再現性、③ヒューマンバイオロジーに基づい
た検証、などが重要となる。
<議論のポイント>

戦略的に進める研究領域や技術開発は何か。
2.
創薬に関する研究を支える研究支援基盤について
<前回の主な意見>
○創薬等支援技術基盤プラットフォーム事業は、日本の構造生物学を国際的に
トップレベルに引き上げたことや、アカデミアの創薬に対する意識を高めた
などの実績を挙げた。今後、より出口を見据えた支援基盤とすることが課題。
○大型設備などの支援基盤のポテンシャルを最大限活用するには戦略的運用
が必要。そのために全体を俯瞰し統括するヘッドクオータ機能が有効では。
○研究支援基盤に製薬企業や臨床研究者も参画することが重要。
○日本医療研究開発機構での様々な事業と連携させることが重要。
<議論のポイント>
・ 今後の研究支援基盤事業の目的は何か。(支援は生命科学全般か創薬研究
に特化するか、研究技術基盤の提供か個々の創薬課題支援か、など)
・ 様々な創薬関連事業における今後の研究支援基盤事業の位置づけ。
・ 研究支援基盤に整備するべき機能・設備は何か。
・ 産学官連携の仕組み、体制は。
-1-
これまでの作業部会での御意見
○
創薬に関する研究の現状と課題について
(アカデミア創薬とは)
・
アカデミア創薬は、大学等で実施される創薬に関する取り組みを総称しているも
ので、具体的に創薬プロセスと合わせた表現すると、基礎生命科学研究から標的分
子群の探索、標的分子の評価、化合物探索、前臨床試験まで取り組みである。創薬
プロセスを見据えた戦略的な研究開発や創薬プロセスを一連のシステムとして支援
する国の施策はなく、個別の研究開発と部分的な支援が行われている
(日本のアカデミアの創薬研究の強みと弱み)
・
基礎生命科学と標的分子群探索は強み
・
2000 年以降、様々な府省の支援により臨床研究/試験の支援体制が構築されてき
ている
・
標的分子の評価、化合物探索・最適化、前臨床がボトルネック
・
様々な創薬候補分子が発見されているが、創薬の可能性を高める解析の取組はあ
まり見られなかった。国がトップダウンでターゲットバリデーション研究を進める
方向付けが必要ではないか
(創薬に関する研究状況【標的分子】)
・ 創薬標的は、細胞上にあると想定した受容体が具体的に捉えられるようになった。
その次にシグナル伝達のカスケード、あるいは細胞間シグナル伝達の創薬研究が始
まった。その後、核酸で転写調整等、いろいろと創薬標的は広がってきた
・
創薬標的が、細胞内、核酸内、核内になると、臨床評価の観点からは、そこの部
位にどれぐらい薬剤が到達しているか、デリバリー等を含めた評価も必要
・
生体内で特定の形をとっていないもの、結晶化できないものが、今後、創薬標的
として重要になってくるだろう
・
標的受容体を含む膜タンパク質を用いて標的に対する親和性で評価できる時代に
なり、さらに HTS で評価用化合物を新たに作らなくても母核を探索し、そこから次
の展開をする。さらには、構造生物学、インシリコ・スクリーニング等での評価法
も進んできた
(創薬に関する研究状況【構造生物学】)
-2-
・
構造生物学では、著しい進捗があった。特に、薬と標的との結合様式、活性ポケ
ットへの作用を説明されるようになり、それを基に更により良い薬が創れるかとい
う検討もできている
・
化合物の共結晶の構造解析は、試料調整の時間が掛かる等で、創薬スクリーニン
グとしてやる上では、いかがなものか
(創薬に関する研究状況【in silico】)
・
インシリコ・スクリーニングは、各企業とも定着している手法の一つ。ただし、
確定的な結論を得るには不十分で、優先順位付けをするようなレベル
(産学連携【企業からの要望】)
・
単に製品になるかより、商品としてどういう魅力があるか、競争力が明確に見え
ないと手を出さない企業が多くなっている。臨床評価での POC が、単に効くことだ
けでなく、従来の治療法よりもこの点で優れているというデータが得られるかとな
り、それが得られると飛びつくという企業が最近は増えている
・
一つは再現性。アカデミアや他企業から導入する時に、キーとなるデータは MTA
のもとで再現性を検証する
・ やはり差別化。POC を取れていたら良いが前臨床の場合でも何らかの差別化が 1 分
で説明できないと他企業に導出もできない。アカデミアにユニークなボトルネック
ではないか
(アカデミアからみた産学連携の状況)
・
欧米では産学官の分業や、中間を担うベンチャーが機能しているので、大学は非
常に限られたテリトリーでやっている。日本の場合、ベンチャーが少ない、導出が
うまくいかないため、かなり出口に近いところでやっている
・
日本医療研究開発機構のプロジェクトでも、非臨床試験に加えて第Ⅱ相を終了し
て、Tox、PK、POC までそろった段階で初めて企業に導出できるものが多い。アカデ
ミアが成し遂げなければいけない範囲が非常に広がっている。日本医療研究開発機
構の支援のおかげでできるようになってきた
・
アカデミアもノウハウやインフラがそろってきている。製薬企業もボトルネック
が幾つかあるので、そこを話し合えば、新しい産学連携の枠組みができる
・
日本医療研究開発機構の革新的バイオ医薬品創出基盤技術開発事業のように企業
も一緒に分担研究者に入ってやれる事業が幾つかある。以前と違って、製薬企業も
一緒にオープンイノベーションが出来るようになってきている
(企業からみた産学連携の状況)
-3-
・
低分子の最適化はアカデミアがやっても、企業としてはまだ特許の抜けがあると
いう目で見てしまう。バイオに関してはアカデミアの方がしっかりと押さえている
ところもある。領域でアカデミアと企業がすみ分けるやり方もある
・
どんどんオープンイノベーションの相手を探している。ただ、シーズあるいは標
的に関しては、結構厳しい見方をしている。製薬企業が特定の先生と拠点を創り一
緒になって最初から取り組むことも各社積極的に取組んでいる
・
積極的にオープンイノベーションの機会を探る企業が大分増えてきた
・
過去資料で導出や出口という言葉が出てくるが、それらは不安定な材料に思われ
る。海外のアカデミアとのコラボレーションの例では、導出して終わりというのは
ない。ターゲットバリデーション、それより手前のところから一緒に、5~10 年越し
で 3 つも 4 つもリードが出てくるというオープンイノベーションをやっている
・
(臨床フェーズで)アカデミアから魅力あるシーズがどんどん出ている時代。あ
る程度(POC まで)アカデミアで進めて、出てきたものを企業として取り入れようと
いう形。その研究費は出す。ただしリソースや人員は会社が支援するのは無理。特
に難病は、患者数が少なく大規模よりレジストリを持つ施設と組んで試験を進める
方が効率が良い
(インセンティブ)
・
希少疾患に関して、米国にオーファン・ディジーズ・バウチャーというインセン
ティブがある。承認申請を 1 年掛るところを 6 カ月に短縮してくれるというとても
大きなインセンティブになる。日本でも同じようなインセンティブがあるとよい
(創薬市場)
・
創薬の効率は別に低くはなっていない。インフレもあって、創薬自体にお金は掛
ってきているが、他の市場と比べて異質かはわからない。一番困っているのは、売
上げピークが下がり、投資をしてもリターンが少なくなってきた。ここを何らかの
形で補えれば魅力的
○
文部科学省で行う創薬に関する研究領域と技術開発について
(取り組むべき研究ステージ【基礎生命科学】)
・
創薬プロセスで基礎生命科学研究は大事。基礎研究から全く次元の違うことが出
てくることがあり得る
-4-
・基礎研究が重要であることは絶対的。科研費の基礎研究成果の応用編としてこれら
プロジェクトで成果を出す
(取り組むべき研究ステージ【応用研究】)
・
生命科学・疾患科学、創薬学(Wet)、in silico(Dry)がかみ合って回すために
は、研究課題例 A)各種構造解析技術の維持、深化、B)革新的立体構造解析法の創
出、C)シミュレーション技術の高度化、wet 研究との融合、そして新たに注目すべ
き研究フェーズのターゲットバリデーション研究などを進めることで、全体として
創薬が大きく加速される上に、生命・疾患理解の深化、あるいは生命工学も大きく
展開し得るのでは
(研究例【ターゲットバリデーション】)
・
ターゲットバリデーションを一体どういうものと考えるのかと、その前にターゲ
ットファインディングをどう考えるのかが、一番大きな問題
・
薬の効果をモニターする、バイオマーカー探索
・
ターゲットバリデーションの中に、バイオマーカー探索、層別化、などの要素が
非常に大事。それらをきちっとやるシステム、基盤形成を作らないと、本当の臨床
薬まで行かない
(研究例【ヒューマンバイオロジー】)
・
基礎研究は、創薬を考えた場合、ヒトの疾患の理解につながらないといけない。
一番大事なこと
・
ヒトの病気のときに何が起こっているかを正当に情報抽出できるか
・
ヒトの病理標本を用いたバリデーションが非常に大事
・ E 社はヒューマンバイオロジーに基づいた創薬以外はしないと決めている。「臨床
で見出した課題を基礎研究に戻すリバース TR」がやりやすい国になると良い
(研究例【メタボローム】)
・
病態の理解、原因解明というところもオミックスが役に立つのではないか
・
ヒトは、動物と違って実験ができないので、患者サンプルから、いろんなオミッ
クスを使って、情報を得るしかない
・
例えば統合オミックスからいってセルベースドアッセイに落とせるかは、一番大
事な点
・
セルベースドアッセイに落したら、化合物をかけることもできる。そういう技術
開発ができれば、非常に良い
-5-
・ CREST で疾患メタボロミクス研究がサポートされている。それを進展させて、日本
としての標準手順書を作り、共通の方法で患者のオミックスデータをとり、いろい
ろな臨床情報と統合する。それを何らかのアッセイ系構築に持っていければ、非常
に役に立つ
・
シーケンサーベースのオミックス解析は近年コストが下がったのに対し、プロテ
オミクス、メタボロミクスはまだコストが掛かる状況。潜在的ニーズは確実にある
(研究例【薬剤評価】)
・
創薬標的が、細胞内、核酸内、核内になると、臨床評価の観点からは、そこの部
位にどれぐらい薬剤が到達しているか、デリバリー等を含めた評価も必要
(研究例【創薬プロセスに沿った研究領域と技術開発】)
・
標的分子の評価に関しては、in vivo 標的分子解析(モデル細胞・動物開発)、in
vitro 標的分子解析(モデル細胞・動物開発)
、アッセイ系構築(生化学的技術開発)
、
立体構造測定・解析(放射光・電子顕微鏡)
、細胞内蛋白質間相互作用・動態解析
・
化合物探索、最適化に関しては、in vivo 薬効評価、HTS、リード最適化(創薬化
学)最適リード予測
・
前臨床試験に関して、大型動物試験、薬物動態解析、薬物動態シミュレーション
・
上記に活用可能な研究領域として分子間動態相互シミュレーション
(研究例【臨床研究】)
・
臨床評価を行っている者からみて、アカデミア創薬は、物を創ることと共に、ど
ういうものが医薬品となる可能性が高いか優先順位をつける技術としても活用でき
れば、日本の医薬品開発力の向上につながる
・
創薬とともに出てきたものの評価、優先順位付け等に使いたい。一方で、評価と
は非常に難しいところもあり、臨床的に意味があるかを見るためには、臨床試験を
やらないといけない
(求められる機能・設備【機能・設備】)
・
資料 3-1(5 枚目)で示される縦軸(生体、分子、in silico)と横軸の研究フェ
ーズ(ターゲットバリデーションから、化合物の選定・最適化、前臨床試験)の範
囲の研究
・
結晶構造解析研究は、今後も一定の重要性がある
・
クライオ電子顕微鏡は、構造解析の新しい展開が期待される
・
クライオ電顕は今後期待したい一つ。一方で、外部リソースと創薬等支援技術基
-6-
盤プラットフォーム事業と、どう仕分けをするのかもポイント
・
in silico 創薬と、立体構造や機能、in vivo 試験などを組合せる方向性を今後大
きくしていくべき
・ 細胞内の unstructured タンパク質、固定された構造をとるタンパク質との相互作
用に着目した創薬
・
生体内で特定の形をとっていないもの、結晶化できないものが、今後、創薬標的
として重要になってくるだろう
・
シミュレーションとウエット研究を融合させ、従来の課題を克服する方法論が見
出せたら世界に先駆けた成果
・
国がトップダウンでターゲットバリデーション研究を進めていく方向付けが必要
ではないか。具体的テーマ例として、標的候補群の構造/機能解析、標的候補群の周
辺因子を統合オミクス手法で解析し、システム生物学的アプローチと in vivo 解析
(日本医療研究開発機構での事業関連携【事業間連携】)
・
その他の競争的資金制度との連携
・
日本医療研究開発機構で実施される事業でオーバーラップするものがあるのでは
ないか、各々の事業の位置づけなど整理できるとよい
・
日本医療研究開発機構でいろいろなプロジェクトが並行している。よく連携すれ
ば効果的である
(産学連携の現状【企業視点】)
・
(臨床フェーズで)アカデミアから魅力あるシーズがどんどん出ている時代。あ
る程度(POC まで)アカデミアで進めて、出てきたものを企業として取り入れようとい
う形。その研究費は出します。ただしリソースや人員は会社が支援するのは無理。
特に難病は、患者数が少なく、大規模よりレジストリを持つ施設と組んで試験を進
める方が効率良い
(産学連携【企業側ニーズ】)
・
患者の時間軸の観点が欲しい。例えば、病気で組織変性が起こった後で、悪さし
ていた酵素の阻害剤を創りましょうといっても、変性した組織は戻らないから治療
薬にならない。もっと早い段階で見つけて阻害できるような技術であれば、企業は
興味を持つ
(産学連携【企業からみた枠組み】)
・
低分子の最適化はアカデミアがやっても、企業としてはまだ特許の抜けがあると
-7-
いう目で見てしまう。バイオに関してはアカデミアの方がしっかり押さえていると
ころもある。領域でアカデミアと企業がすみ分けるやり方もある
・
例えば標的タンパク質とバイオ医薬品の阻害様式が重要とわかり結合する低分子
を探すという場合、創薬 PF や企業で HTS を用いて創薬を進め、次に医療現場でより
使いやすいものを見つけるという作業分担が、日本のインフラの中で考えられる
・
そのためにはバイオ医薬品が疾病で効いた、次は注射でなく経口剤でとか、そん
な展開にできる領域が必要で、それが見つかるとアカデミアと企業の連携がいい形
で進む
(産学連携【アカデミアからみた枠組み】)
・
創薬のところで企業がアカデミアに何を期待していて、何を考えるべきかをお聞
きしたい。新しい10年後の創薬を考えるときに、企業とアカデミアで何を持ち合
い、協力しなければいけないのか、その枠組みはどうあるべきか
・
重要なのは創薬プロセスのピース間をつなげバリューチェーンを作り上げること
・
アカデミアでは、サイエンスベースでやらなきゃいけない。企業と全く同じこと
をやったのではもったいない。企業の小型版というのではちょっと残念
・
アカデミアは非常に面白いものであればやる。ひょっとしてバイオマーカーが見
つかってくるかも、であればやる。非常に安上がりで、迅速、ばらつきも小さい、
であればアッセイ系の技術開発をする。企業はなかなかそういうことはやらない
○
創薬に関する研究を支える研究支援基盤の課題について
(創薬等支援技術基盤プラットフォーム事業の課題【課題の抽出】)
・
今回の創薬等支援技術基盤プラットフォーム事業の共用インフラをどんな人たち
が使っていかの実績、企業やベンチャーがどんなことを望んでいたか、企業では抱
えられないがこういうのが日本のインフラとしてあったら良い、という生の声が大
事
・
創薬等支援技術基盤プラットフォーム事業を、E 社や A 社がどれぐらい使ったか。
使われないとしたら、どういう点で使われなかったか。例えば、これはインハウス
でできるからやりませんとか
・ この事業を企画する上で大切なのは、企業の側から見たときに何が不足しており、
アカデミア創薬に何を期待しているか
(創薬等支援技術基盤プラットフォーム事業の課題【現事業の課題】)
・
標的分子の評価、化合物探索・最適化、前臨床がボトルネック
-8-
・
創薬等支援技術基盤プラットフォーム事業は、実績を上げたことは疑いのないこ
と。特にこの事業で日本の構造生物学は国際的にトップレベルまで達した。制御拠
点も研究者の意識を、実際に酵素に対する阻害薬とかを見てみようというところま
で、変えたことは疑いない。しかし、実際の臨床薬までつながるかが今後は問題に
なる
・
創薬等支援技術基盤プラットフォーム事業の先生方は、アカデミア創薬の意識は
アカデミアの中でも高い。化合物ライブラリーを使用した何百人の方の創薬に対す
る意識を、このプロジェクトはかなり高めてきた。一方、それでもまだ低い状況に
ある。例えば、知財の取り方。いわゆるアカデミアが陥りやすいようなことがある
・
動物では治るがヒトでは治ってない、そのような意識を高めつつある現状で、な
かなか企業に振り向いてもらえなかったのでは
(次期事業の目的【基盤形成】)
・
我々が議論しているのは基盤形成事業であって個々の薬を創るのではない。企業
が、個々の薬を創るオープンイノベーションでなく、創薬をするためにどういう基
盤形成であればお金やヒューマンリソースを出してもいいという気になるか
・
欧州の IMI とかは現物共用が主で、欧州製薬業会は約半分の費用を出している。
日本でも例えばこの事業であればお金を出しても良いというところがあるはず
・
ある程度意識が高まった上で、例えばバイオマーカーや質量分析、ヒト疾患レベ
ル、セルベースアッセイなど、より技術開発レベルまで今度は入ってくる気がする
・
アカデミアは非常に面白いものであればやる。ひょっとしてバイオマーカーが見
つかってくるかも、であればやる。非常に安上がりで、迅速、ばらつきも小さい、
であればアッセイ系の技術開発をする。企業はなかなかそういうことはやらない
・
病気の早期の段階から使えるものは何だ、どういう人に投与すればいいかも含め
て見られる技術がプラットフォームでできることを期待。患者の組織や、その iPS
を使って疾患モデル細胞ができれば、それを予防できるとか
(次期事業の目的【研究支援】)
・
創薬プロセスで基礎生命科学研究は大事。基礎研究から全く次元の違うことが出
てくることがあり得る
・
創薬のアーリーステージのところのエンジンを作っていかないと。本当の創薬を
アカデミアの先生に経験していただく、もう一段高い創薬システムを作れたら良い
・
生命科学・疾患科学、創薬学(Wet)、in silico (Dry)をかみ合って回すためには、
研究課題例 A)各種構造解析技術の維持、深化、B)革新的立体構造解析法の創出、
C)シミュレーション技術の高度化、Wet 研究との融合、ターゲットバリデーション
-9-
研究などを進めることで、創薬全体が大きく加速される上に、生命・疾患理解の深
化、あるいは生命工学も大きく展開し得るのでは
・
生体内で特定の形をとっていないもの、結晶化できないものが、今後、創薬標的
として重要になってくるだろう
・
ターゲットとなる疾患は何か、の意味でのターゲットバリデーションは重要。そ
れに対して必要なデータを確実に積み上げていくことをお分かりになってきたの
が、この 4 年間。製薬メーカーはすっと引き受けて、その先をやっていけばいい
・
ターゲットバリデーションを一体どういうものと考えるのかと、その前にターゲ
ットファインディングをどう考えるのかが、一番大きな問題
・
ヒトの病気のときに何が起こっているかを正当に情報抽出できるか。ヒトの病理
標本を用いたバリデーションが非常に大事
・
ターゲットバリデーションの中に、バイオマーカー探索、層別化、などの要素が
非常に大事。それらをきちっとやるシステム、基盤形成を作らないと、本当の臨床
薬まで行かない
・
国がトップダウンでターゲットバリデーション研究を進めていく方向付けが必要
ではないか。具体的テーマ例として、標的候補群の構造/機能解析、標的候補群の周
辺因子を統合オミクス手法で解析し、システム生物学的アプローチと in vivo 解析
・
創薬標的が、細胞内、核酸内、核内になると、臨床評価の観点からは、そこの部
位にどれぐらい薬剤が到達しているか、デリバリー等を含めた評価も必要
・
クライオ電顕で適切な医薬品を評価できると、物を創るばかりでなく、臨床開発
を進める上で、何を研究すればよいか、どの化合物を優先すればよいか、という評
価でも重要になる
・ 創薬とともに出てきたものの評価、優先順位付けにも創薬 PF 事業の成果を活用し
たい。ただ、評価のための活用というのは、臨床的に意味があるものかは、臨床試
験をやって結果を得ないといけない
(仕組み【産学連携】)
・
患者の時間軸の観点が欲しい。例えば、病気で組織変性が起こった後で、悪さし
ていた酵素の阻害剤を創りましょうといっても、変性した組織は戻らないから治療
薬にならない。もっと早い段階で見つけて阻害できるような技術であれば、企業は
興味を持つ
・ 一つは再現性。アカデミアや他企業から導入するときに、キーとなるデータは MTA
のもとで再現性を検証する
- 10 -
・ やはり差別化。POC を取れていたら良いが前臨床の場合でも何らかの差別化が 1 分
で説明できないと他企業に導出もできない。アカデミアにユニークなボトルネック
ではないか
・
例えば標的タンパク質とバイオ医薬品の阻害様式が重要とわかり結合する低分子
を探すという場合、創薬 PF や企業で HTS を用いて創薬を進め、次に医療現場でより
使いやすいものを見つけるという作業分担が、日本のインフラの中で考えられる
・
今回の事業の成功の鍵は、日本の産学連携がうまく機能するかどうか
・
日本医療研究開発機構レベルで本当の意味でのオープンイノベーションが実現で
きれば素晴らしいし、創薬も加速できる。企業も大手製薬だけでなく、ベンチャー
まで巻き込んで
・
重要なのは創薬プロセスのピース間をつなげバリューチェーンを作り上げること
・
全体をマネジメントし、創薬プロセスの各々のピースをつなげていかなくてはい
けない。全体を俯瞰して統括できるヘッドクオータ機能が不可欠。そこには、知財、
導出、創薬ピースの専門家も集めて効率良く事業全体を動かす。そうすれば各ピー
スでは基礎研究に集中してもらうことができる
・
過去資料で導出や出口という言葉が出てくるが、それらは不安定な材料に思われ
る。海外のアカデミアとのコラボレーションの例では、さあどうぞと導出して、あ
とはきれいさっぱり、はない。ターゲットバリデーション、またはそれより手前の
ところから一緒に、5~10 年越しで3つも4つもリードが出てくるというオープンイ
ノベーションをやっている
(仕組み【日本医療研究開発機構の事業整理】)
・
その他の競争的資金制度との連携
・
日本医療研究開発機構でいろいろなプロジェクトが並行している。よく連携すれ
ば効果的である
(仕組み【ヘッドオフィス】)
・
大型設備のポテンシャルを最大限活用するためには戦略的運用が必要。ヘッドオ
フィスが責任持って全体の面倒を見る
・
ヘッドオフィス機能としては、支援基盤に対するアカデミア/企業ニーズを随時
に把握し、支援を実施していくこと、ユーザーの方々のネットワーク構築支援、な
ど
・
ニーズを待っているだけではなく、有望なシーズを有する研究者を自ら探索し、
支援基盤の活用を提案していく、目利き的な攻めの活動も重要。
- 11 -
・
大型機器設備は維持。ヘッドオフィスで全体のマネジメントをやる機能を強化し
ていくことが重要
・
余裕が国としてもなくなった。足りない部分の技術と、やっぱりマネジメントが
必要
・
臨床家の参加を充実させる必要性がある
・
常時参加かどうかは別として、ちゃんと疾患を見ている先生方、製薬メーカーも
参加する場を中に置いて、機動的に集まって議論しながら方向性を決めていく。
・
次期プロジェクトは、おのおのの領域を統合化し、意味のあるデータをとり、商
品化へつなぐ、今まで抜けていた部分を補強する形で進めていくことが重要
(仕組み【人材】)
・
スタッフの充実やキャリア形成支援
(仕組み【知財】)
・
知財の助言や取得支援が必要
(仕組み【機能・設備】)
・ 支援基盤として、放射光施設、電子顕微鏡、NMR、化合物ライブラリー、スパコン
は必須
・
サービスの観点から、熟練した技術スタッフの充実・維持、キャリア形成支援。
また、サービス提供と技術高度化を両立。大型施設は適切なタイミングでアップデ
ート、は引き続き重要
・
資料 3-1(5 枚目)に示される縦軸(生体、分子、in silico)と横軸の研究フェ
ーズ(ターゲットバリデーションから、化合物の選定・最適化、前臨床試験)の範
囲の研究
・
in silico 創薬と、立体構造や機能、in vivo 試験などを組合せる方向性を今後大
きくしていくべき
・ 細胞内の unstructured タンパク質、固定された構造をとるタンパク質との相互作
用に着目した創薬
・
生体内で特定の形をとっていないもの、結晶化できないものが、今後、創薬標的
として重要になってくるだろう
・
シミュレーションとウエット研究を融合させ、従来の課題を克服する方法論が見
出せたら世界に先駆けた成果
- 12 -
・
結晶構造解析研究は、今後も一定の重要性がある
・
クライオ電子顕微鏡は、構造解析の新しい展開が期待される
・
クライオ電顕は今後期待したい一つ。一方で、外部リソースと創薬等支援技術基
盤プラットフォーム事業と、どう仕分けをするのかもポイント
・
構造生物学では、著しい進捗があった。特に、薬と標的との結合様式、活性ポケ
ットへの作用を説明されるようになり、それを基に更により良い薬が創れるかとい
う検討もできている
・
化合物の共結晶の構造解析は、試料調製の時間が掛かる等で、創薬スクリーニン
グとしてやる上では、いかがなものか
・
インシリコ ・スクリーニングは、各企業とも定着している手法の一つ。ただし、
確定的な結論を得るには不十分で、優先順位付けをするようなレベル
・
化合物ライブラリーはアカデミアで独自のシーズ探索を行う上で非常に重要。た
だし標的に応じてどのように使い分けをするかライブラリーの質の継続的な向上な
どは今後も図る必要がある
・
病態の理解、原因解明というところもオミックスが役に立つのではないか
・
ヒトは、動物と違って実験ができないので、患者サンプルから、いろんなオミッ
クスを使って、情報を得るしかない
・
例えば統合オミックスからいってセルベースドアッセイに落とせるかは、一番大
事な点
・
セルベースドアッセイに落したら、化合物をかけることもできる。そういう技術
開発ができれば、非常に良い
・ CREST で疾患メタボロミクス研究がサポートされている。それを進展させて、日本
としての標準手順書を作り、共通の方法で患者のオミックスデータをとり、いろい
ろな臨床情報と統合する。それを何らかのアッセイ系構築に持っていければ、非常
に役に立つ
・
シーケンサーベースのオミックス解析は近年コストが下がったのに対し、プロテ
オミクス、メタボロミクスはまだコストが掛かる状況。潜在的ニーズは確実にある
・ E 社はヒューマンバイオロジーに基づいた創薬以外はしないと決めている。「臨床
で見出した課題を基礎研究に戻すリバース TR」がやりやすい国になると良い
・
ターゲットバリデーションで、モデル細胞、動物、合成技術が書いてあるが、こ
こにヒトの試料というのは入ってない
・
ヒトの病気のときに何が起こっているかを正当に情報抽出できるか
- 13 -
・
ヒトの病理標本を用いたバリデーションが非常に大事
・
薬の効果をモニターする、バイオマーカー探索
・
ターゲットバリデーションの中に、バイオマーカー探索、層別化、などの要素が
非常に大事。それらをきちっとやるシステム、基盤形成を作らないと、本当の臨床
薬まで行かない
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