介護保険法に定められた行為に該当する場合、行政処分が科される ことがあります。 ここでは、処分事由となる主な類型と、実際に各自治体で処分された事例の一部を紹介 します。 以下に挙げるもの以外にも処分事由に該当するものはあるので、法令・ 基準をよ <確 認 し、適正な事業運営を心がけて <だ さい。 【 行政処分の主な類型】 (1)人 員基準避反 姫路市条例や厚生労働省令 に定め られた人員基準 を満 た して いな い1犬 態が反復・ 継続 し、必要なサ ー ビスの品質が確保されな いと判断された場合 に該当 します。 実際の事例】 【 ● 常勤の管理者を配置 していなかつた。 ● 訪間介護員等の員数が常勤換算方法で 2。 5以 上配置されて いなか つた。 ● サ ービス提供時Fo3に 応 じた生活相談員を配置 していなか つた。 ● サ ービス提供日毎 に配置すべき者護職員が配置されていなか つた。 ● 資格要件を満 た していない者を計画作成担当者 として配置 した。 (2)運 営基準避反 1省 姫 路市 条例や厚 生 労働 令 に定 め られ た設備・ 運 営基準 を満 た して いな い状態 が反 復・ 継続 し、適正な事業運営 がで きないと判断された場合 に該当 します。 実際の事例】 【 ● サ ー ビス提供記録が未作成又 は事実 と異なる内容で作成されて いた。 ● 定員超過が常態イ ヒしていた。 ● 居宅サ ービス計画 (ケ アプラン)を 作成せずに給付管理をして いた。 ● アセスメン ト、サ ービス担当者会議、居宅サ ービス計画原案の作成、利用者への居宅 サ ービス計画の説明・ 交付、モニタリング等の手続きを行わないままサ ービス提供を 行 つた。 -9- (3)A格 尊重・ 忠実義務避 反 介護保険サ ー ビス事業者 は、要介護者や要支援者 《要介護者等》 の人格 を尊重 し、要 介護者等の為に忠実 に職務 を遂行す る ことが求め られ ますが、それ に反 して虐待や要介 護者等 の意 に反 する身体拘束な どの行為が行われた場合 に該当 します。 実際の事例】 【 ● 管理者、介護支援専門員及び訪間介護員が、不」 用者宅の玄関をひもで括 り、利用者宅 から出られないようにしていた。 ● 介護職員が利用者に対 して、 しつけと称 して、頭をロ ロ<、 怒鳴る、脅迫す るなど、身 体的・ 心理的虐待を行 つた。 (4)不 正請求 実際 にサ ー ビスを提供 して いな いの に介護報酬 を請求 した り、加算 の要件 を満た して い ないの に加算 を算定 した り、人員欠ロロ等 で減算 しな ければな らないの に減算せず に請 求 した場合 な ど、本来受け取 る ことがで きな い介護報酬 を請求 して受領 した場合 に該当 します。 実際の事例】 【 ● 無資格者 による訪間介護サ ービスを行い、介護報酬を請求 した。 ● サ ービス提供を行 つていない訪間介護員の名前でサ ービス提供記録を作成 し、サ ービ ス提供を行 つたかのように装 い、介護報酬を請求 した。 ● 1人 の訪間介護員が同日同時刻 に別の場所 にいる複数の不」用者に訪間介護 を提供 し たとして、介護報酬を請求 していた。 ● 看護職員の員数が基準を下回 つているにもかかわらず、人員欠女□による減算をするこ とな <介 護報酬を請求 した。 ● 通所介護の定員超過が常態化 していたにもかかわらず、定員超過 による減算をするこ とな <介 護報酬を請求 した。 ● 通所介護の提供時間中に医療機関の受診があつたにもかかわらず、所要時間の区翁変 更を行わず介護報酬を請求 した。 ● 清拭のみ にもかかわらず入浴介助加算を算定 した。 ● 介護支援専門員 1人 あたりの取扱件数が 40件 を超えていたにもかかわらず、超えた 部分について減額せず に請求 していた。 ● 人員欠女 □による減算 に該当 している場合は算定できない加算 (栄 養マネジメン ト加算、 療養食加算、サ ービス提供体制強化加算)に ついて、減算 に該当 しているにもかかわ らず加算を算定 していた。 ● 計画作成担当者を配置 していなか つたにもかかわらず、人員欠如 による減算をするこ とな <介 護報酬を請求 した。 -10- (5)虚 偽報告等 基準違 反や不正請求が疑われ る ときに事業者 に対 して報告や書類の提出 を求め る こと があ りますが、その報告や書類提出 を拒否 した り事実 と異なる説明 を した り して処分を 逃れよ うと した場合 に該当 します。 実際の事例】 【 ● サ ービス提供記録の提出を拒否 した。 ● 既に退職 して勤務実態のない訪間介護員の名前で作成されたサ ー ビス提供記録を提 出 した。 ● 勤務実態のな い職員を勤務 していると答えたり、勤務 しているように偽装 した勤務表 などを作成 して提出 した。 ● 定員を超過 しているのに、定員を守 つているような記録を日常的 に作成 していた。 (6)様 童忌避等 基準違反や不正請求が疑われるときに事業者 に対 して監査を行 つたり出頭を求める こ とがありますが、その監査や出頭を拒否 したり妨害 した りして処分を逃れようと した場 含 に該当 します。 実際の事仮」 】 【 ● 監査 に出席を求めた管理者やサ ー ビス提供責任者 が出席 しなか つた。 (7)虚 偽申請 新規に事業所の指定を受ける際 に、実 際は基準 を満たす ことができないにもかかわら ず、基準を満たすかのような嘘の書類を作成 して申請 した場合に該当 します。 実際の事例】 【 ● 新規指定申請時 に、雇用関係がな <勤 務する予定のない者を勤務形態一覧表 に記載 し て指定を受けた。 ● 常勤の配置が要件 とされている管理者について、常勤で勤務する予定のない者を管理 者として申請 し、指定を受けた。 0 法令避反 上記の他に、介護保険法やその他の法律に違反することを行つていた場合に該当します。 実際の事例】 【 ● 指定更新時 に、既に退職 している職員を雇用 していると偽 つて申請 した。 ● 事業所の所在地変更の際に、実際に事業活動を行わない場所 に変更する旨の虚偽の変 更届を提出 した。 -11- 【 行政処分の内容】 行政処分の内容は、以下のように分類されます。どの処分事由に該当するかは、個別の 事例ごとに、①公益侵害性、②故意性、③反復継続性、④組織l陛・悪質性などを考慮しな がら判断されます。 類1型 内容 介護サ ービス事業所としての指定を取 り消され、処分 日以降、当該事業所 指定取消 し が請求できな <な ります。指定の取 り消 しを受けた場 の全ての介護報酉 り ‖ 合、同 じ法人が運営する他の介護サ ービス事業所 についても、指定の更新 ができな <な る場合があります。 全部効 力停止 一 部効 力停止 改善命令 指定された期間 について、全ての利用者の介護報酬を請求できな <な りま す。 指定された期間 について、新規の利用者 の受け入れができな <な つた り、 介護報酬 を請求できる上限が減額された り します。 改善勧告 に従わなか つた 場合 に、命令書で勧告 内容 に対応 するよ う命令 し、その内容 を/AN示 します。 改善勧告 現在基準 を満た していない事柄 について、期限を決 めて文書で基準違反 の ※処分ではない 内容 を勧告 し、違反内容に対する改善策 の報告を求め ます。 -12-
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