(記者説明会配付資料) 医師主導治験による希少疾患用コンタクトレンズ 平成 28 年 2 月 16 日 【概要】 ・指定難病であるスティーヴンス・ジョンソン症候群及びその重症型である中毒性 表皮壊死症(別名:重症多形滲出性紅斑)は、老若男女問わず年間に人口 100 万 人に3人程度が発症する希少疾患であり、急性に重篤な全身疾患を伴う原因不明 の難病でもある。慢性期の後遺症として高度の視力障害とドライ アイをきたすが、 視覚障害に有効な治療法は国際的にも確立してい ない。 ・スティーヴンス・ジョンソン症候群 及び中毒性表皮壊死症の眼後遺症は共通であ り、凸凹で不正な角膜表面による著しい視力障害と高度のドライアイを伴う。既 存の眼鏡やコンタクトレンズを用いても不正乱視を矯正することはできず、 一般 的なコンタクトレンズは装用困難である。また、ドライアイに対しては、人工涙 液などの点眼薬が処方されるが、視力や自覚症状を改善することは極めて困難で あり、根治療法は確立していない。 ・京都府立医科大学と(株)サンコンタクトレ ンズは、直径 13~14 ミリのハードコンタク トレンズ(輪部支持型 HCL)を独自に開発 し、京都府立医科大学において 臨床研究を 実施した。本疾患患者 42 例 53 眼のうち、 79%が最良矯正視力 0.1 未満の高度視覚障 害を有した(42 例中の 37 例が視覚障害者) がレンズ装着により、見え方の改善、眼痛 軽減等の効果が得られた。 ・医療機器としての実用化に 向け、平成 24 年度に医薬 品医療機器総合機構(PM DA)の薬事戦略相談をし た結果、対象疾患患者数が 少なく、企業による治験実 施が困難であることから、 平成 25 年9月より厚生労 働省の研究補助金のもと に、医師主導治験として臨 床治験を実施した。 ・登録した 10 例について、治験の中止症例や重篤な有害事象を生じた症例はなく、 平成 26 年 12 月をもって各実施施設での観察を終え、また同年 12 月に希少疾病 用医療機器の指定を受けた。 翌年、平成 27 年 3 月に解析を終了、同年6月に薬 事申請を行い今回の承認に至 った。 (記者説明会配付資料) 【治験概要】 対象 目的 デザイン 実施機関 目標症例数 治験期間 主要評価項目 副次評価項目 重症多形滲出性紅斑 重症多形滲出性紅斑の眼後遺症を対象として輪部支持型ハードコ ンタクトレンズ CS-100 の有効性及び安全性を確認する。 非対照、オープンラベル試験 京都府立医科大学附属病院、京都大学医学部附属病院 10 例 同意所得から装用開始後 13 週間 視力改善 QOL改善 【医療機器詳細】 輪部支持型角膜形状異常眼用コンタクトレンズ「サンコン kyoto-CS」 平成 28 年 2 月 15 日(月)薬事承認 申請者 株式会社サンコンタクトレンズ [レンズの特徴] ・海外では強膜支持型の特殊な大型ハードコンタクトレンズの装用によって視力を 向上させる方法があるが、レンズの直径が大きく(約 16〜23 ㎜)、アジア人や高 度の癒着を伴う重症症例には適さない。 ・本レンズを独自にデザインすることにより、レンズの装着によりレンズと角膜の あいだに涙液が入り、角膜表面の凹凸不正 が緩和されて視力補正が可能になる。 さらにはレンズが涙液の蒸発を抑制し、ドライアイに伴う症状を緩和する。 【研究資金】 ① 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構( NEDO) 福祉用具実用化開発費助成金(平成 22~24 年度) ② 厚生労働省科学研究費補助金 難治性疾患等克服研究事業(H25-難治等(難)-一般-027) 【研究関係者】 ・研究グループ 京都府立医科大学大学院医学研究科 視覚機能再生外科学 教授 外園 千恵(治験事務局) 特任講座 感覚器未来医療学 教授 木下 茂 准教授 上田 真由美 生物統計学 教授 手良向 聡 医療フロンティア展開学 講師 今井 浩二郎 京都大学医学部附属病院 臨床研究総合センター 助教 角 栄里子 眼科学教室 助教 荻野 顕 連携教授 小泉 範子 ・機器提供 株式会社サンコンタクトレンズ(京都市中京区) ・指導・助言 先端医療振興財団臨床研究情報センター ・開発業務受託機関 株式会社ベル・メディカルソリューションズ社
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