原稿種別:原著論文(2005 年 4 月) タイトル:The legal principles of

原稿種別:原著論文(2005 年 4 月)
タイトル:The legal principles of informed consent in Japan
(日本におけるインフォームド・コンセントの法理)
著
者:Shoichi Maeda1) and Megumi Baba2)
1) Center for Biomedical Ethics and Law, Graduate School of Medicine, the University of Tokyo
2) Royal Victoria Infirmary, Newcastle upon Tyne Hospitals NHS Trust UK
【概
要】
近年、日本においては、医療事故訴訟が著しく増加している。こうした裁判
の中では、医療技術上の過失とともに、しばしばインフォームド・コンセント
の適否も争われている。そこで、この研究では、日本におけるインフォームド・
コンセントに関する裁判例を分析した。
この結果、裁判所は、一般に、説明すべき事項として、以下の項目をあげて
いた。
・
・
・
・
患者の病名・病態
これから行おうとしている医療の内容、性格、目的、必要性、有効性
その医療に伴う危険性とその発生率
代替可能な医療とそれに伴う危険性およびその発生率
・ 何も医療を施さなかった場合に考えられる結果
(しかし、どのような危険を説明すべきとするかについては、裁判所は、明確
な基準を示してはいなかった。また、何をもって代替可能な医療とするかにつ
いても明確な言及はされていなかった。)
今日、疾病構造は著しく変化し、患者の価値観も多様化している。医療の内
容も高度化・複雑化するに至っている。こうした状況を鑑みれば、インフォー
ムド・コンセントの実施は、これまで以上に重要になっていることがわかる。
医療従事者や医学研究者に対して、インフォームド・コンセントについての教
育が、より積極的に行わなければならないだろうし、各医療機関や医学研究機
関は、インフォームド・コンセントを真に実施することができるように、その
ための体制を整えなければならないであろう。