NPO 法人短期派遣研修に参加して 地域振興部市町村課 主事 鶴見太郎 ◇研修先◇特定非営利活動法人 出雲学研究所 ◇研修時期◇平成22年3月 <荒神谷博物館外観> ◇研修内容◇ ①荒神谷遺跡や博物館の展示室を案内していただ きながら、青銅器発掘の歴史的・文化的意義に対 する知識を深めるとともに、様々な出土品から想 像される、古代出雲の人々の暮らしや交流のよう すについて学びました。 <荒神谷博物館展示室> ②未だ多く残る古代出雲の謎について、これまでに発掘された出土品を分析・ 整理し、地道に調査研究を重ねている「埋蔵文化財調査研究室」の様子を見せ ていただきました。 <埋蔵文化財調査研究室> 所狭しと積み上げられたコンテ ナには、これまでに発掘された 数々の出土品が収められていま す。 <埋蔵文化財調査研究室> 出土品の一片から、 いつの時代の ものか分析し、当時の生活様式な どを研究しています。出土した片 をつなぎ合わせる作業もここで 行います。 <埋蔵文化財調査研究室> 出土品の写真や記録、また各地の 遺跡に関する文献などが多数収 蔵されています。 ③荒神谷博物館の運営業務(博物館入り口の「出雲の原郷店」にて販売するグ ッズの準備等)のお手伝いをさせていただきました。 <出雲の原郷店(グッズ販売)> 古代ハスの種の袋詰め作業です。「出 雲の原郷店」で販売しています。 ④NPO法人出雲学研究所は、荒神谷遺跡を中心とした数多くの遺跡や、神話 の舞台としての出雲、また独特の方言や生活様式など、出雲地方のオリジナリ ティ高い歴史や文化を総合的に研究し、魅力ある地域商品として育て、地域の 人々や観光客に向けて発信しています。その具体的な活動内容について意見交 換をさせていただきながら、行政との共通目的である地域の活性化について理 解を深めました。 ◇研修を終えて感じたこと◇ 今回、島根県の文化、とりわけ出雲地方の歴史や文化について、私自身が勉 強したいという思いがあり、研修に参加させていただきました。 出雲学研究所は、荒神谷博物館の運営をはじめとして、「出雲学フォーラム」 「島根県立大学シニア短期留学」など定期・不定期の講座の開催、広報誌や書 籍の制作・出版、グッズ販売など様々な事業を行いながら出雲の魅力を発信し 続けています。 特に印象的だったのは、県外の観光客のみならず出雲に住む方々にも地域の 魅力を再発見してほしいという思いがあるということでした。今回担当してく ださったNPO法人の方も、学生時代に別の土地で暮らした際に初めて出雲の 魅力に気付いたといい、そのことが今の活動をするきっかけになったと話して くれました。 これが非常に大事なことなのではないでしょうか。地域のありのままを、地 域に住む人々にも観光で訪れた人々にも同じように伝えることができ、楽しん でもらえる、これはその地域の魅力が「本物」であるということなのだと思い ます。ある意味で出雲の実力を感じた瞬間でした。 もちろん、この出雲の実力を魅力ある地域商品として内外に売り出すことが できるのは、出雲学研究所の地道な活動による部分も大きいといえると思いま す。 「出雲の原郷」なる歴史景観を維持したり、博物館の入り口においてパネル 展示を行ったり、また博物館の前面に広がる古代ハスの種子を販売したりと、 地域の人々にも博物館や遺跡に足を運んでもらい、出雲の素晴らしさを改めて 認識してもらえるような工夫を行っているとのことでした。 行政との協働、連携という観点から考えると、地域の良さを伝え、地域を盛 り上げようと活動している出雲学研究所のような団体に、県職員一人ひとりが もっと主体的に参加する必要があるのではないかと感じました。島根県で暮ら す方々に、あるいは島根県に興味を持っている方々に、さらには島根県のこと をあまり知らない方々に対して、私たちはどれだけ魅力を伝えることができる でしょうか。 実は、その地域に住みながら、その地域の魅力を伝えるというのは難しいこ となのかもしれません。今回の研修で、出雲学研究所のような、地域の魅力を 地道に発信し続ける活動の一端に触れられたことは、非常に貴重な経験となり ました。今後も、少しでも多くの活動に触れながら、島根県の魅力について考 えるとともに、その魅力を発信する方策についても考えていきたいです。 <出雲学研究所 HP> http://www.kojindani.jp/npo/index.html <荒神谷博物館から見た風景> ※写真はいずれも荒神谷博物館の許可を得て撮影したものです。
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