仕 様 書 1.件 名 重粒子線がん治療装置 補償フィルター・患者コリメータ

仕 様 書
1.件
名
重粒子線がん治療装置 補償フィルター・患者コリメータ製作及び治療用
工作機器維持管理業務請負
2.数
量
一式
3.目
的
患者治療照射に用いる補償フィルター・患者コリメータを、迅速に且つ精
度良く製作し、重粒子線がん治療の一層の向上に資するため。
4.業務期間並びに業務時間及び人員
(1)業務期間
平成28年4月1日~平成29年3月31日
原則として土、日、祝日、年末年始(12/29-1/3)を除く
(2)業務時間
原則として8時30分から17時の間とする。
(3)定常外勤務
必要に応じて、
(1)及び(2)に定める日・時間以外であっても、業務を実施する
場合があるので、請負者は本所監督職員と協議の上対応すること。
(4)人員
業務遂行に必要な人数を確保すること。
5.履行場所
放射線医学総合研究所
主として、ボーラスコリメータ工作室
6.業務概要と特徴
重粒子線がん治療装置は高エネルギー重イオンの特徴を利用して、がんの治療を
行うものである。この治療照射の際に腫瘍の3次元形状に重イオンビームの照射野
形状を適合することにより、従来の放射線治療に比較して、飛躍的な治療効果の向
上が得られる。ブロードビーム重粒子線治療では、腫瘍の照射線量を一定とするた
めに補償フィルターが、腫瘍の投影形状に照射野を制限するために患者コリメータ
が必要である。これら補償フィルター・患者コリメータは個々の患者の腫瘍形状に
適合するものを個別に作成する必要があり、且つ過大な工作誤差や過誤は許されな
い。従って材質の確認や作成後の3次元的な寸法検査も必要である。また、病床や
マシンタイムを有効に活用するために、患者来院後速やかに治療照射の準備が必要
となるので、補償フィルター・患者コリメータの製作(即ち、作成及び検査)に割
ける時間は極めて短いものとならざるを得ず、迅速に作業・処理されねばならない。
本件は、重粒子線がん治療装置によるがん治療のうち、上記の補償フィルター(切
削型及び積層型の両方を含む。以下同じ)・患者コリメータの製作、工作機器・検査
装置等の運転操作、調整、点検、保守等の業務、並びにこれら装置類の性能向上に
関連する研究開発の補助業務を行うものである。但し、故意または重大な過失によ
る場合を除き、治療結果に対する責任は一切無いものとする。
7.業務内容
平成 28 年度の補償フィルター・患者コリメータ製作数は、平成 27 年度の実績とほぼ
同数とする予定である。但し、増減の発生は避けられない。参考資料 1 に、平成 26 年
度の製作実績と同 27 年度上期の製作実績とを用いた推定値等を示す。
(1)補償フィルター・患者コリメータ作成前段となる業務
イ) 治療計画装置から出力される補償フィルター・患者コリメータのNCコード変換
ロ)補償フィルター・患者コリメータの外部発注先への製作データの通信
(2)補償フィルター・患者コリメータ作成の業務
イ)
(切削型又は積層型の)補償フィルターの作成に関わる機器類の運転操作
ロ)患者コリメータの作成に関わる機器類の運転操作
(3)外部発注並びに所内で作成された補償フィルター・患者コリメータの検査業務
(治療照射用に作成された全ての補償フィルターは3次元測定器により検査する。)
(4)補償フィルター・患者コリメータ製作に用いる工作機器・検査装置類の維持管理業務
イ)本業務で使用する工作機器及び検査装置(3次元測定器等)類の日常点検・調整
ロ)本業務で使用する工作機器及び検査装置(同上)類のオーバーホール、定期点検等
(5)使用済み補償フィルター・患者コリメータの指定場所への移動及び管理
(6)補償フィルター・患者コリメータ製作に関する改良研究等の補助業務
イ)補償フィルター・患者コリメータ作成法の改良研究の補助、及び新技術による作
成法の運用化の補助業務
ロ)作成した補償フィルター・患者コリメータの3次元形状検査の測定法の改良研究
の補助、及び新技術による検査の運用化の補助業務
(7)その他治療室等で利用する器具・材料の軽微な製作や加工
8.業務に必要な能力
補償フィルター・患者コリメータ製作業務を円滑に行うために、請負者は以下の要
件を満たしているものとする。
(1) 機械工作に関する知識と技術を有し、補償フィルター・患者コリメータ製作、工
作機器装置類の維持管理業務を遂行できること。
(2) 補償フィルター・患者コリメータ製作を担当するものは、NC マシン・ワイヤー放
電加工機・3次元測定器を操作できること。
(3)精細な放射線治療に用いられるものであるので、補償フィルター・患者コリメー
タの製作や取り扱いについて、放射線治療に要求される位置決め精度や、治療ビ
ームの物質内飛程とその精度、材料密度と飛程の関係、材料の特質の与える治療
への影響等、必要な関連知識を十分に有すること。
9.請負者の服務等
(1)請負者は技術者に安全教育を徹底させるほか、業務態度等について監督を行うも
のとする。
(2)請負者は本所の管理上の諸規程(安全衛生管理、放射線障害予防等)に従うもの
とする。
(3)請負者は業務上知り得た情報を本所の許可無しに第三者に開示し、または利用し
てはならない。特に、患者データ(画像データを含む)等の個人情報については、
守秘義務を負うとともに、所定区域外へ持ち出さない、正規のアクセス方法以外
用いない等の系統的な保護と流出防止を行わねばならない。
(4)業務上作成したソフトウエア、業務によって得たノウハウ等の知財は、本所に帰
属するものとし、請負者は、本所の許可なしに本契約の業務外で用いてはならな
い。
(特許等の申請、学会発表を含む。)
10.提出図書
(1)業務内容報告書
(2)出勤状況報告書(出勤状態の分かるもの)
11.検査
業務完了後、当該業務内容が本仕様書の要件を満たしていることを、
本所職員が確認したことをもって検査合格とする。
12.その他
(1)異常事態が発生した場合、直ちに所定の連絡先に通報し、本所監督職員の指示に
従って行動するものとする。
(2)当該業務に必要な光熱水料及び電話料は、本所の負担とする。但し、極力無駄な使
用は避けること。
(3)技術者の休息等に要する施設は本所で提供する。
(4)当該業務に必要な事務用品、机、ロッカー及び道具類は本所で提供する。
(5)業務遂行上、請負側が被った災害は、本所の原因による生じた災害を除き、本所
は一切の責任を負わないものとする。
(6)本所への通勤は公共交通機関を利用することとし、原則として車通勤は認めない。
(7)その他、本仕様書に規定されていない事項については、協議の上処理するものと
する。
部課(室)名
物理工学部
使 用 者 氏 名
米内 俊祐
参考資料 1
(1) 平成 26 年度の補償フィルター・患者コリメータの製作実績数
(a) 補償フィルター
総数 2295 個
内訳; 放医研工作室での内作
688 個(上半期:268 個)
外部業者への発注製作
1607 個(同:678 個)
(b) 患者コリメータ
総数 1712 個
内訳; 放医研工作室での内作
外部業者への発注製作
189 個(同:64 個)
1523 個(同:620 個)
(2) 平成 27 年度上半期の補償フィルター・患者コリメータの製作実績数
(a) 補償フィルター
総数 782 個
内訳; 放医研工作室での内作
277 個
外部業者への発注製作
505 個
(b) 患者コリメータ
総数 585 個
内訳; 放医研工作室での内作
46 個
外部業者への発注製作
539 個
(3) 平成 28 年度の補償フィルター・患者コリメータの製作数の推定値
平成 26 年度と平成 27 年度の上半期の製作実績数の比及び平成 26 年度の製作実績総
数から、平成 28 年度製作数の推定を行う。
(a) 補償フィルター
総数 1908 個
内訳; 放医研工作室での内作
711 個
外部業者への発注製作
1197 個
(b) 患者コリメータ
総数 1460 個
内訳; 放医研工作室での内作
136 個
外部業者への発注製作
1324 個
(4) スキャニングビーム照射による治療では、補償フィルター・患者コリメータを用いない
ので、スキャニング照射の増は、一般的には、製作数の減につながる。
以上