忍野村 地方創生 総合戦略

忍野村
地方創生
総合戦略
平成 28 年 2 月
忍野村
目
Ⅰ
次
「地方創生 総合戦略」の策定にあたって ......................................................................................... 1
1.国における地方創生の取り組み ........................................................................................................ 1
2.本村の取り組み ................................................................................................................................. 1
3.
『忍野村人口ビジョン』との関係 ...................................................................................................... 1
4.
「忍野村 地方創生協議会」による策定 ........................................................................................... 2
5.成果指標の設定と検証 ...................................................................................................................... 2
6.本村総合計画との関係 ...................................................................................................................... 2
Ⅱ
「地方創生 総合戦略」における基本的な考え方と将来目標 ............................................................ 3
1.総合戦略策定の考え方 ...................................................................................................................... 3
2.将来目標(目標像) .......................................................................................................................... 4
3.中長期展望(2040 年).................................................................................................................... 5
参考)忍野村における「適正人口規模」の考え方 .................................................................................. 6
Ⅲ
施策の体系 ............................................................................................................................................ 8
1.まち:暮らしの基盤への投資【住民の暮らしやすさづくり】 ........................................................ 8
2.ひと:人材育成・未来への投資【子育て環境づくり】 ................................................................... 8
3.しごと:生涯現役の舞台への投資【産業の柱づくり】 ................................................................... 8
4.総合戦略を支えるインフラ整備 ........................................................................................................ 9
Ⅲ
施策の体系に基づく具体的な取り組み(事業) ................................................................................ 10
施策1 まち:暮らしの基盤への投資【住民の暮らしやすさづくり】 ............................................... 10
施策2 ひと:人材育成・未来への投資【子育て環境づくり】 .......................................................... 11
施策3 ひと・しごと:生涯現役の舞台への投資【産業の柱づくり】 ............................................... 13
資料編 ......................................................................................................................................................... 15
参考)忍野村の将来の夢 ........................................................................................................................ 16
0
Ⅰ
「地方創生
総合戦略」の策定にあたって
1.国における地方創生の取り組み
近年我が国においては少子・高齢化がますます進展し、国全体の人口が減少傾向に転じ、さらに首都
圏への人口の過度な集中が進むなど、地方における地域社会の維持が将来的に危ぶまれる状況となっ
ています。
こうした状況に対して、国はそれぞれの地域で住みよい環境を確保して将来にわたって活力ある社
会を維持していくために「まち・ひと・しごと創生※」に関する施策を推進することとなり、国として
地方創生に関する基本方針と総合戦略を定めています。
※まち・ひと・しごと創生とは、以下の取り組みを一体的に推進することを指します。
・ま
ち・・・国民一人一人が夢や希望を持ち、潤いのある豊かな生活を安心して営める地域社会の
形成
・ひ と・・・地域社会を担う個性豊かで多様な人材の確保
・しごと・・・地域における魅力ある多様な就業の機会の創出
この中で、国は市町村に対して、まち・ひと・しごと創生に向けた「人口ビジョン」を定め、的確な
人口見通しを立てるとともに、
「総合戦略」を策定して適切な施策を戦略的に実施することを努力義務
として求め、策定した市町村が行う戦略的事業に対して交付金等により支援することとしています。
2.本村の取り組み
本村においては、人口は増加傾向にありますが、この要因は主に村内に立地する大手企業の従業員や
関連事業者の増加に依存するところが大きく、企業の経営動向次第では中長期的に人口減少に転じる
可能性もあります。また、人口増加は税収増等村に対するメリットが大きい一方、学校等公共施設のひ
っ迫や道路の混雑などの課題を生んでいます。
このため本村としては、人口増加の恩恵を十分に生かしながらその課題に適切に対応し、将来にわた
って暮らしやすく活力のある村を実現するために、国の施策を受けて『忍野村人口ビジョン』
(以下「人
口ビジョン」という)並びに『忍野村 地方創生総合戦略』
(以下「総合戦略」という)を策定するこ
ととなりました。
本村が中長期的に人口を維持増加させ、人口増に伴う課題に対応していくためには、基盤整備等息の
長い取り組みが必要です。その一方で、中長期的な課題解決に向けて今から準備を始め、数年間で成果
を上げるべき施策もあります。このため本村では、
「総合戦略」において平成 28 年度から5か年で戦
略的に実施すべき取り組みを定め、この進捗状況と成果を定量的に(数値で)把握するため、成果指標
(KPI)を設定します。
3.
『忍野村人口ビジョン』との関係
本村では、
「総合戦略」の策定と並行して、「人口ビジョン」を策定しています。
「人口ビジョン」においては、2040 年までの人口推計を行い、中長期的な人口増減の要因を明らか
にするとともに、企業の採用動向を勘案し、転出抑止策等が着実に実施された場合の目標人口(将来展
望)を記載しています。
1
すなわち、
「人口ビジョン」において検討した人口推計結果を「総合戦略」に反映し、
「総合戦略」に
示した取り組みを踏まえて、
「人口ビジョン」の目標人口を定めています。このように、
「人口ビジョン」
と「総合戦略」は密接不可分な関係にあります。
4.
「忍野村 地方創生協議会」による策定
本村における『忍野村 地方創生総合戦略』の策定は、
「忍野村 人口ビジョン・総合戦略策定協議
会」を中心に行っています。
「忍野村 人口ビジョン・総合戦略策定協議会」においては、忍野村の人口動向に関する現状と将来
推計等の分析、村民アンケートや関連団体・企業等へのヒアリングの情報等を共有した上で、将来人口
の目標設定や、今後戦略的に行うべき取組等に関する議論を行い、住民参加による「人口ビジョン」及
び「総合戦略」の策定を実現しています。
5.成果指標の設定と検証
本村では「総合戦略」の目標値として、目標人口及び各施策の成果指標(KPI)を設定しております。
この目標値は単に目標として掲げるものではなく、施策の実施に伴い定期的に達成状況の確認を行い、
必要に応じて取り組みの内容を修正するなどの改善に役立てるものです。
この達成状況の確認と改善に向けた提言を得るため、本村においては今後 5 年間にわたる検証を行
うこととしています。
6.本村総合計画との関係
現在の「第5次忍野村総合計画」は、2008 年度(平成 20 年度)に「基本構想」
「基本計画」が策定
され、2017 年度(平成 29 年度)までの 10 年間の期間となっておりますが、近年の社会・経済動向を
的確に反映させるため、2017 年度(平成 29 年度)から新たな「第6次忍野村総合計画」に移行する予
定となっています。
このため、
「人口ビジョン」及び「総合戦略」の内容は、新たにスタートする「第6次忍野村総合計
画」に反映することとし、2016 年度(平成 28 年度)の1年間は「第5次忍野村総合計画」の趣旨を踏
まえ、これに追加する形で緊急性の高い施策を実施することとします。
2
Ⅱ
「地方創生
総合戦略」における基本的な考え方と将来目標
1.総合戦略策定の考え方
(1)人口増加と「豊かさの代償」
前章でも触れましたが、忍野村は近年人口増加が続き、平成 27 年6月現在の人口は、約 9,400 人と
なっています。全国的に人口が減少傾向にある中で、忍野村は極めて恵まれた状況にあり、税収増によ
る財政基盤の強化など大きなメリットを享受しています。
しかしながら、人口増加が続くことはメリットばかりとはいえず、本村においてはいわば「豊かさの
代償」ともいえる課題が生じています。その具体例が、学校等公共施設の逼迫と、交通混雑の激しさで
す。
現在本村には小中学校が各1校あり、学校教員・職員の熱意と施設の充実等によって県内において高
い評価を得ています。しかし、人口増加に伴う生徒数の増加により学級が増えつつあり、このままの傾
向が続けば、特別教室を確保できなくなるなど、教室に全く余裕がなくなることが懸念されています。
教室に余裕がなくなれば、現在少人数で行っている授業を続けることが難しくなり、現在の教育の質を
維持できなくなる懸念があります。
また、役場付近など公共施設が集中する地区を中心に、朝夕は通勤や用務の他、小中学校への送迎の
車などで道路混雑が激しさを増しています。これは通勤等にかかる時間が計算しにくいなど利便性の
低下につながるとともに、歩道を歩く小中学生の安全性にも影響を与えており、村としても大きな問題
と受け止めています。
さらに、経済面で見ても全く問題がないわけではありません。村内に立地する企業は近年業績が好調
で、建設業等関連する産業にも波及効果があるため、就業機会も増加しています。それでも、村民アン
ケートによると、
「村には就業の機会がない」という意見も一定数聞かれます。企業の業績は好調な時
があっても永続する保証はなく、少数の企業の業績に左右される地域経済は基本的に安定さを欠いて
いるといわざるを得ません。経済的に好調な今だからこそ、村内の大手企業のみに依存しない多様な就
業先確保に取り組まなければなりません。
(2)本村の今後の方向性
こうした状況を踏まえると、本村の今後の方向性が見えてきます。
すなわち、他の町村にない恵まれた条件を生かしながら「豊かさの代償」の顕在化を抑止し、長期的
な視野に立って誰もが将来展望をもてる村を創っていく、ということです。
そのためには、居住環境が維持向上できる範囲内で、宅地の開発誘導を進め、質の高い暮らしの場を
実現するとともに、
「学び」と「参加」により、住民のクオリティ・オブ・ライフの向上を図り、新た
な産業の種をまくという取り組みが欠かせないと考えます。
「参加」の機会とは、村の将来を考える機会の提供や住民の参画意識を高め、安全で快適な村づくり
への協力を得るためのものであり、公共施設や交通基盤が逼迫する中で住民が快適な生活を続けてい
くためには欠かせないものと言えます。
3
また、
「学び」の機会とは、立地企業従業員以外の住民にも、将来展望が開ける取り組みを強化する
ためのもので、教育研修、人づくりの場を充実し、農地保全や販売支援策をあわせて村の「第2の柱」
となる産業を長期的視点で育成することです。
こうした取り組みを重視して、総合戦略の具体的な施策を明らかにしていきます。
2.将来目標(目標像)
中長期展望(2040 年)を見据え、本村の将来目標(目標像)を次のとおりに定めます。
富士に融けこむ学び舎サロン
おしの村
~「融和」
「学び」「参加」で未来を拓く村づくり~
※「富士に融けこむ」とは
富士山のふもとの恵まれた環境で、年齢・性別・出身地を問わず、融和の精神を持って、村づくりに取
り組むことを指します。
※「学び」
「学び舎」とは、
老若男女を問わず、自らを高め、ともにより良い暮らしを実現するため、切磋琢磨することであり、そ
の場や機会を指します。
※「参加」とは
本村に愛着を持ち、より暮らしやすい村にするための活動に、主体的かつ協調性を持って取り組むこと
を意味します。
※そして、サロンとは
不特定多数の人ではなく、村の住民や居住経験者が、落ち着いた雰囲気の中でともに語らい、交流でき
る場を指します。
すなわち、人口増加や経済面の恵まれた条件に甘えることなく、
「融和」の精神をもって顔の見える関
係を築きながら、いわば村をサロンのように見立てて、
「学び」と「参加」によって将来展望を持つこと
ができる村を創っていこうというものです。
4
3.中長期展望(2040 年)
2040 年の将来人口を以下のとおりとします。
2030 年(平成 42 年)の将来人口
2040 年(平成 52 年)の将来人口
見通し:10,418 人
目標:10,000 人
これまで述べたとおり、本村は企業業績の好調さを主な要因として、人口は増加傾向にありますが、
中長期的にこの傾向が保証されるものではありません。
本村の独自集計では、企業業績が好調な間は採用が好調で人口も増加傾向にありますが、この状況が
変化して採用が大きく減少するなどの事態に至った場合、2030 年(平成 42 年)までは人口の増加傾
向が維持されますが、その後は人口が減少するという結果になっています。この中長期的な人口減少を
いかに食い止めるかが本村の大きな課題であり、前述の通り本村の「第2の柱」となる産業を長期的視
点で育成することが必要不可欠となります。
2030 年(平成 42 年)までの人口増加は、村内大手企業の業績によってある程度達成可能性が高い
といえますが、2040 年(平成 52 年)になってもその人口を維持し続けるためには、この総合戦略で
掲げる施策を着実に実施するとともに、その後も息の長い取り組みを継続していくことが必要です。
こうした問題意識をもって、総合戦略に掲げる 2030 年(平成 42 年)の人口の見通しを 10,418 人と
するとともに、2040 年(平成 52 年)の人口目標を 10,000 人とします。
5
参考)忍野村における「適正人口規模」の考え方
前述のとおり、忍野村は順調に人口が増加しています。しかし、人口増加はメリットばかりではありま
せん。これも前述しましたが、公共施設の逼迫や道路混雑などの問題を引き起こす要素もあります。そこ
で本村では、この総合戦略の策定に当たり、本村の適正人口規模はどれぐらいかを試算してみました。そ
の際、最も分かりやすいのは「現在の学校施設で受け入れ可能な児童生徒数は何人か、その児童生徒数に
達した時の人口は何人か」を明らかにするということです。
現在、忍野小学校には 20 学級で 550 人の生徒がおり、1 年生と 2 年生だけが4学級、3年生以上は 3
学級となっています。また 1 学級(クラス)当たり人数が最も多いのは4年生で、約 32 人となっていま
す。忍野小学校は全学年 4 学級になると、特別教室等の確保が困難になり、施設面から受け入れの限界
に達すると言われています。つまり 1 学年 4 学級、1 学級あたり 32 人で計算した結果、768 人が忍野小
学校で受け入れ可能な児童生徒数の上限ということになります。
一方、本村が独自に行った人口推計から計算すると、2030 年には生徒数が 762 人となり、上記の児童
生徒数の上限にほぼ一致します。つまり 2030 年の将来人口約 10,400 人が、小学校施設から見た忍野村
の人口適正規模(上限値)ということになります。
表
学校施設からみた、村の人口適正規模(上限値)
2015 年の生徒数
将来推計人口の小学校生徒数
・2015 年の生徒数(推計)550 人
・2030 年の生徒数(推計)762 人:小学校受入可能数とほぼ一致
⇒小学校受入可能数:768 人(6学年×4学級×32 人)
⇒2030 年の人口(推計)約 10,400 人が村の適正人口(上限)
一方、道路交通事情から本村の状況を見ると、すでに朝夕の通勤・通学 / 帰宅時には、役場前交差点
など公共施設が集中する地区を中心に、交通渋滞が激しくなっています。本村の人口は約 9,400 人まで
増加し、かつ小中学校の送迎などで混雑に拍車がかかっているとの指摘も聞かれます。この点から見る
と、村の道路網が現状のままとすると、本村の人口はすでに適正規模を超えてしまっていると考えるこ
ともできます。この混雑解消は、バイパスなどの道路整備によって行うことが望ましいのですが、それは
容易に実現するものではありません。当面は、住民や企業の理解を得ながら、時差通勤や流入規制等のソ
フト的な対策によって少しでも混雑を軽減する取り組みを行う以外、選択肢がないと考えられます。
以上の分析から、本村の「適正人口規模」は現状の 9,400 人から 10,400 人の間にあり、道路混雑をソ
フト的な対策によってどの程度抑えられるかによって、住民が納得できる適正規模が決まるということ
になります。
なお、村の人口が 10,400 人を超える場合には、現状の公共施設や交通基盤では対応しきれないという
ことになり、学校等の建て替え・増設やバイパス等の道路整備を行う等、村の姿を大きく変えるレベルの
6
整備事業が必要になると考えられます。
表 村の人口適正規模の考え方
7
Ⅲ
施策の体系
将来目標(目標像)の実現に向けて、施策の体系を以下の通り定めます。
1.まち:暮らしの基盤への投資【住民の暮らしやすさづくり】
前述の通り、本村は人口増加に伴い、交通の混雑などの問題が顕在化しており、住民の暮らし安さに
とってはマイナスの要因となっています。この抜本的な解消策は、バイパス等の新たな道路整備となり
ますが、この実現には長期間を要し、国や県の理解を得る必要があるなど、容易に進展しない可能性が
あります。このため、今後とも増加が見込まれる住民の快適な暮らしの場を提供するためには、インフ
ラ整備とは別に、住民の理解を得ながら混雑解消策などに取り組む必要があります。
このため、人口増加に伴う交通混雑や交通安全の対策を行い、これと並行して増加する住民に適切な
宅地を供給するなど、住民の暮らしやすさづくりに取り組みます。
具体的には、通学時等の安全確保に向けて歩道の整備、道路交通の円滑化を図るため、調査及び計画
策定を行うとともに、村内企業等の理解を得ながら、通勤渋滞対策を実施します。また、土地利用の見
直し等を通じて宅地供給を促進し、村内居住希望者に対して質の高い住宅提供を促進します。
2.ひと:人材育成・未来への投資【子育て環境づくり】
本村が中長期にわたって活気のある村として繁栄するためには、現状でも評価の高い学校教育をま
すます充実させるとともに、たくさんの子どもや若年層がいきいきと暮らして行ける村である必要が
あります。特に忍野村は、先祖伝来の土地に暮らす人のみならず、企業勤務を契機に村に住むこととな
った人が多く、退職とともに村との縁が切れてしまう人が少なくありません。また、利便性を重視する
あまり車による通学が一般的となり、子どもの体力低下につながっているとの指摘もあります。
こうした状況を踏まえて、若年層を中心とする人材育成に注力し、村の宝となる人材を育成する「未
来への投資」に取り組みます。
具体的には、居住経験者等若年層との交流を促進し、ふるさと意識を持つ若者の増加を目指すほか、
婚姻のきっかけとなる機会の提供を通じた婚姻と出産の増加を目指します。また、高校生の村外通学の
アクセスを改善し、通学にかかる高校生と家庭の負担軽減を図ります。さらに、県内の図書館ネットワ
ークの活用を通じた図書館の利用促進を図るほか、学校教育の更なる充実を図るために、教育施設・機
能の充実を図ります。これに加えて、子どもの体力を伸ばす活動やフィットネスセンターの有効活用を
通じて、健全な児童の育成と大人の体力増進を支援します。
さらに、住民や首都圏等からの滞在者が利用できる医療・福祉施設の誘致を促進します。
3.しごと:生涯現役の舞台への投資【産業の柱づくり】
前述の通り、本村には業績が好調な大手企業が立地し、関連産業も合わせて雇用の場が確保されてい
ます。しかし、企業の業績が永久に好調であるとは考えられず、経済的に恵まれた状況にある今のうち
から、村の「第2の柱」となる産業を長期的視点で育成する必要があります。
このため、村の重要な資源である農地を活用し、農地保全や販売支援策に取り組むなど、忍野村なら
ではの産業の育成を図り、これによる雇用の確保を目指します。
8
具体的には、就業時の待遇向上に向けて、健康福祉・介護分野等における職業訓練の機会を提供し、
住民の「稼ぐ力」の向上を目指します。また、土地利用の規制緩和や農業生産施設の整備支援、農地等
生産基盤の整備により、多くの雇用を確保します。あわせて、農産物のブランド化と販売強化、営業力
の向上など、村の環境・資源を生かした産業振興を図ります。
また中長期的視点から、富士北麓の立地条件を生かして国内外から人が集い、国際社会に発信する、
国際会議場等コンベンション機能の立地を検討します。
なお、将来目標を実現するうえで、中長期的な視野に立ったインフラ整備が欠かせません。これらは
総合戦略の施策ではありませんが、本村の将来を語るうえで欠かせないものとして、この総合戦略に記
載していきます。
4.総合戦略を支えるインフラ整備
本村が、富士山麓の自然に恵まれ、かつ首都圏から至近の地として十分な役割を果たせるように、ま
た、周辺市町村との交通の利便性向上を目指して、1市2村道路等村外・首都圏とのアクセスを向上さ
せる道路(トンネル)の整備を推進します。
また、忍野村の豊かな水資源を水力発電等により活用します。一方、治水対策として雨水及び湧水対
策など防災基盤の整備を図り、これまで以上に村民が安心して生活を送ることができるインフラ基盤
の整備を推進します。
9
Ⅲ
施策の体系に基づく具体的な取り組み(事業)
3つの施策を達成するための具体的な取り組み(事業)を定めるとともに、それらが着実に実行に
移され、成果が上がっているかを確認するための重要業績評価指標(KPI)を設定します。
施策1 まち:暮らしの基盤への投資【住民の暮らしやすさづくり】
数値目標
農地転用面積(農地法 5 条申請・住宅地)
5,543 ㎡(平成 26 年度までの年平均)⇒8,200 ㎡(平成 31 年度までの年平均:約 50%増)
役場前交差点における交通量(自動車通過台数:平日朝 8 時台の 1 日当たり)
●●台/1 時間(平成 28 年度)⇒平成 27 年度比 20%減(平成 31 年度)
※道路交通量は平成 28 年度に交通量調査を行い、
その台数に基づいて目標値を再検討します。
【施策の基本的方向性と想定される主な事業】
① 通学時等の安全確保
児童生徒が安全に通学できるように、歩道や自転車道の整備、道路交通の円滑化に向けた調査及び整
備計画策定に取り組み、優先順位に基づいた段階的整備に取り組みます。
■ 想定される主な取り組み
 児童生徒の通学路の危険区域の調査及び把握
 通学路整備(歩道、自転車道、街路灯)や道路交通の円滑化に向けた整備計画策定
 通学路の優先順位づけと段階的整備
② 通勤渋滞対策の実施
朝夕の道路混雑が激しい地点を中心に時差通勤等の渋滞緩和策を検討し、住民と企業の理解と協力を
前提に実施に移します。
■ 想定される主な取り組み
 通勤渋滞の緩和対策の検討実施
③ 宅地供給の促進による村内居住者の確保
村内における優良農地の保全を前提として土地利用計画の見直しを行い、農地転用を推進することで
宅地の供給を誘導し、人口流出の抑止を図ります。あわせて経済的負担軽減の支援などによる新築住宅
への助成を行います。
■ 想定される主な取り組み
 土地利用の見直し、農地転用の推進による宅地供給誘導
 経済的負担軽減の支援などによる新築住宅への助成
④ 通信事業者等と連携した地域情報発信の強化

広域連携による取り組みとして、コミュニティ FM 局の開局やコミュニティデータ放送の充実を図る
ことにより、地域コミュニティの活性化と災害時の情報伝達手段として活用します。
10
施策2 ひと:人材育成・未来への投資【子育て環境づくり】
数値目標
成人式を含む村外転居者との交流の機会への参加者数(村外からの参加者)
17 名(平成 27 年度:20 歳の集い)⇒約 50 名(平成 31 年度)
独身男女の交流の機会への参加者数
男女計 60 名(平成 26 年度)⇒男女計 120 名(平成 31 年度)
図書館貸出数
約 72,000 冊(平成 26 年度)⇒平成 26 年度比 20%増(平成 31 年度)
フィットネスセンター会員数及び月平均利用者数
会員数:1,987 人(平成 27 年 10 月時点)⇒4,000 人(平成 31 年度)
月平均利用者数:約 1,600 人(平成 27 年度)⇒3,200 人(平成 31 年度)
【施策の基本的方向性と想定される主な事業】
① 居住経験者等若年層との交流促進
子どもの頃本村で過ごした若年層が、実家の有無にかかわらず村に「帰省」して故郷を感じることが
できるように、成人式や催事、夏季休暇と連動した村外転居者との交流の機会を確保するとともに、村
出身者等が村に滞在できる、宿泊場所を確保します。
■ 想定される主な取り組み
 若年層を中心とする村外転居者との交流の機会充実
 村出身者等が村に滞在できる、宿泊場所の確保
② 婚姻のきっかけとなる機会の提供
村内における婚姻や出産の増加を目指して、企業等が主催する独身男女の交流の機会に関する情報提
供や参加促進を図るほか、スポーツ・文化等の分野において多様な出会いと交流の機会の提供に努めま
す。
 独身男女の交流の機会に関する情報提供と参加促進

③ 村外への通学アクセス改善
現在、村内に居住しながら近隣市町村の高校へ通学することは負担が重いことから、バス通学にかか
る経済的負担や送迎等の時間的負担を軽減する支援策を検討の上、可能なものから実施に移します。
■ 想定される主な取り組み
 高校等村外への通学支援

④ 教育施設・機能の充実
児童生徒をはじめとする住民が自ら学ぶ力を伸ばすため、県内の図書館ネットワークの活用を通じた
図書館の利用促進を図ります。また、中長期視点で学校教育の充実を図るため、施設改善や校舎の建て
替えを検討します。あわせて、総合学習の機会を活用して「ふるさと意識」を高める取り組みを進めて
11
いきます。
■ 想定される主な取り組み
 図書館ネットワークの活用を通じた図書館の利用促進
 学校施設における空調設備の改善
 5 年後を見据えた小中学校校舎の建て替え検討
 建て替え時のグランド等の確保
 総合学習の機会を活用した、
「ふれあい大学」など「ふるさと意識」を持つ機会の提供

⑤ 健全な児童育成と大人の体力増進の支援
児童生徒の通学時に車による送迎が一般化するなど、子どもたちの体力低下が懸念されていることか
ら、学校の内外で子どもの体力を伸ばす取り組みの充実を図ります。
また、日頃歩く機会が少なく体力の減退やメタボリック症候群が懸念される大人を対象に、フィット
ネスセンターの有効活用をすすめ、体力増進の機会提供に努めます。
■ 想定される主な取り組み
 学校内外における、子どもの体力を伸ばす取り組みの充実
 フィットネスセンターの有効活用による、体力増進の機会提供

⑥ 医療・福祉施設の誘致促進
村内における医療・福祉の施設機能の充実を図り、村内外の人々が安心して暮らせる条件を整えるた
め、個人病院(クリニック)による集合型診療所の誘致に努めるほか、滞在型介護施設の誘致などを検
討します。
■ 想定される主な取り組み
 滞在型介護施設の誘致と首都圏自治体との協定検討
 集合型診療所(個人病院)の積極的誘致

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施策3 ひと・しごと:生涯現役の舞台への投資【産業の柱づくり】
数値目標
健康福祉分野等における資格取得や実地訓練の参加者数
約 50 名(平成 31 年度)
農業生産施設の新規整備や更新、改築に取り組んだ農家・農業生産法人・企業数
〇(平成 31 年度)
農業生産額(農業センサス)
●円(平成 26 年度)⇒平成 26 年度比 20%増(平成 32 年度)
※平成 26 年農業センサスの結果は平成 28 年公表予定のため、公表後掲載し、必要に応じて
目標値の見直しを行います。
【施策の基本的方向性と想定される主な事業】
 職業訓練の機会提供
住民の就業機会を増やすため、健康福祉・介護分野等における資格取得や実地訓練を支援し、資格や
経験をもって就労し、自宅や近所づきあいの中でも健康づくりや介護の知見をもって活動できる住民の
増加を目指します。
■ 想定される主な取り組み
 健康福祉分野等における資格取得や実地訓練の支援
 規制緩和による雇用確保
村内の事業所立地や拡張を容易にするため、土地利用計画の見直しとあわせて規制緩和を検討しま
す。あわせて、ハウスなど農業生産施設の整備に係る支援を行い、規制緩和による事業の拡大を通じた
雇用の確保に努めます。
■ 想定される主な取り組み
 規制緩和による事業所立地、拡張の支援
 農業生産施設の整備支援

 村の環境・資源を生かした産業振興
村の貴重な資源である優良農地を生かして、村の「第2の柱」となる産業を育成するため、高原野菜
など高付加価値で収益性の高い農産物の生産振興に努めるとともに、農産品の販売力強化に向けた支援
を行い、
「稼げる農業」の確立を目指します。
また、杉並区との交流連携などを通じて、村の農産品などの情報発信を行います。
広域連携の取り組みとしては、富士北麓地域の 6 市町村が協力連携して運営する「富士山モール」を
活用し、村内事業者や個人が取り組んでいる地域資源活用・観光・特産品・イベント等の情報を総合的
に発信します。忍野村の魅力の発信力を強化し、観光産業の振興と観光関連雇用の拡大を目指します。
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■ 想定される主な取り組み
 高原野菜など高付加価値・高収益農産物の生産振興
優良農地の確保と保全、多様な生産主体の確保
 農産品販売やネットワークづくりの研修や実地訓練の支援
 杉並区との連携交流事業による発信

 コンベンション機能の立地検討
中長期的視点から村の将来を考える中で、富士北麓の立地条件を活かして国内外から人が集い、国際
社会に発信する、国際会議場等コンベンション機能の立地を検討します。
■ 想定される主な取り組み
 国際社会に発信する、国際会議場等コンベンション機能の立地検討
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資料編
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参考)忍野村の将来の夢
~本村と首都圏・近隣市町村を結ぶ交通ネットワーク~
都留市方面
都留・忍野トンネル
1 市 2 村道路
甲
府
市
方
面
村内外周バイパス道路
山
中
湖
村
東富士五湖道路
第
二
東
名
イ
ン
タ
ー
首
都
圏
方
面
須走道路・御殿場バイパス
県道小山山中湖線
延長 8.1km(平成 32 年完成予定)
(完成未定)
新東名高速道路及び
東名高速道路へ接続
御殿場・静岡県方面
忍野村では、中長期的な交通ネットワークの姿として、村役場周辺への交通流入を抑制する外周バイ
パス道路の整備を目指すとともに、1市2村道の整備と第二東名インターとの接続による、首都圏との
アクセスの大幅改善を図り、あわせて都留市との間のトンネル道整備により、都留市・大月市方面への
アクセス改善を目指しています。これらのネットワークが完成すると、本村は富士五湖地域における拠
点的な役割を担い得る存在となり、村のあり方が大きく変わることが想定されます。
将来、このような交通ネットワークが完成し、コンベンション機能の充実によって本村で多くの人が
交流するようになった際には、村の人口は現在想定する以上に増加することが見込まれます。
本計画では、2040 年の将来人口目標を 10,000 人と設定しておりますが、上記の交通ネットワークが
完成した際には、更なる人口増が期待されます。
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忍野村人口ビジョン及び総合戦略協議会委員名簿
役職
選出団体等
団体役職
氏名
会長
忍野村教育委員会
教育長
天野 富夫
委員
忍野村役場
副村長
天野 寛
忍野村村議会
議長
後藤 和雄
忍野村村議会
副議長
渡辺 隆三
忍野中学校
校長
渡辺 知男
忍野小学校
校長
池田 一彦
内野地区
区長(新)
渡辺 利雄
内野地区
区長(旧)
後藤 義長
忍草地区
区長
大森 美生
平山自治会
会長(新)
白須 誉博
平山自治会
会長(旧)
外川 成知
婦人会
会長
渡辺 緑
婦人会
副会長
湯山 二美子
いちいの木
理事長
渡辺 富子
山梨中央銀行忍野支店
支店長
内藤 祐一郎
都留信用組合忍野支店
支店長
小川 等
JA忍野支店
支店長
小笠原 優
ハローワーク富士吉田
所長
長田 勉
南都留中部商工会
会長
長田 徹
製造業代表者
-
天野 哲夫
不動産業代表者
-
桜井 秀志
建設業協会代表者
-
丸山 辰美
忍野村役場総務課
課長
渡辺 雄司
(敬称略:委員については順不同)
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