照明のデータシート 愛知県 愛知医科大学病院(新中央棟)の照明 No.1326 図1 建物外観 西面演出照明(春・夏・秋・冬) Fig.1 Lighting for building west side. 図2 ホスピタルストリート(2階ロビー) Fig.2 Hospital street(2F Lobby). J. Illum. Engng. Inst. Jpn. Vol. 100 No. 2 2016 図3 ホスピタルプロムナード Fig.3 Hospital promenade. 61 概 要 愛知医科大学病院(新中央棟)は,入院ベッド数800床 を有する特定機能病院である.基本コンセプトは,災害時 の医療業務継続,信頼性・安全性の向上,ならびに先進的 な高機能病院としている.建築計画では,オアシスホスピ タルをデザインコンセプトとして患者・スタッフが癒しを 感じ取れるように工夫されている.入院生活にも気持ちの メリハリやゆとりを与えられるように,建物西面のカーテ ンウォール部は季節ごとに変化する日本の伝統色を表現し ており,春は「若草色」 ,夏は「空色」 ,秋は「茜色」,冬 は「白色」の光でライトアップしている(図1) . 照明設備 建物西壁面の RGB 演出照明には,RGB のユニットで構 成 す る ワ イ ド な 配 光 の LED 器 具(消 費 電 力 23W,620 lm)を47台使用して,季節ごとの演出を行っている(図1). 2階ロビーはエントランスホールとともに調光・調色を行 い,適切な照度と1日のリズムに合わせた色温度を設定し ている.それによって心地良い雰囲気づくりと省エネル ギーを 図って い る. 照 明 器 具 に は2階 ロ ビーに 色 温 度 5000K と 3000K の LED ダ ウ ン ラ イ ト(消 費 電 力 11.1W)を2灯ずつ(図2) ,エントランスホールに色温 度5000K と3000K の LED 高天井用ダウンライト(消費 電力63W)を1灯ずつ使用して,スケジュール制御で調 光(50~500 lx) ・調色(3500~5000K)を行っている (図4,図5) . エントランスへの来院者動線となるホスピタルプロム ナードは,空間の明るさ感に配慮した照明で静寂さと落ち 着きを演出している.壁面を明るくしながら,過剰でない 200 lx 程度を確保している(図3) .小児科病棟廊下も壁 面を均一に照射する LED ウォールウォッシャーダウンラ イトで明るさ感に配慮した落ち着いた計画を行い,デザイ ンを引き立てている(図6) . 睡眠科病室では,単調な入院生活で弱りがちな生体リズ ム(サーカディアンリズム)を光による昼夜変化を体感す ることで維持させ,入院患者の朝の目覚め・日中の覚醒・ 就寝前の落ち着きという生活サイクルの安定化をサポート するシステムとなっている.照明は特注器具で,天井照明 に直管 LED ランプ(消費電力33W,3,400 lm,5000K) 10本,壁面ブラケット照明に直管 LED ランプ(消費電力 33W,3,400 lm,5000K) ,直管 LED ランプ(消費電力 22W,2,500 lm,3000K)を各1本使用して,スケジュー ル制御で調光(10~1,500 lx) ・調色(3000~5000K) を行っている(図7) . また省エネルギーにも配慮し,適正な照度による運用で 設備導入時より照明電力40%削減を実現している. 所 在 地 愛知県長久手市 竣工年月 2014年4月 施 主 ㈻愛知医科大学 設 計 ㈱山下設計 資料提供 正会員 齋藤 良徳 (パナソニック㈱) 図1~図7:Ⓒパナソニック㈱ 2014 62 図4 オアシスホール(エントランスホール)演出(左上:朝,右上:昼, 左下:夕,右下:夜のイメージ) Fig.4 Lighting for Oasis Hall(Entrance hall). 図5 調光調色スケジュール Fig.5 Dimming toning schedule. 図6 小児科病棟廊下 Fig.6 Pediatrics ward corridor. 図7 睡眠科病室(左:朝~昼,右:夜のイメージ) Fig.7 Sleep department of a hospital room. 照明学会誌 第100巻 第2号 平成28年
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