4.新技術説明会について(実施後フォローアップ、来年度の実施) 【産連展開部(産学連携支援G)】 金属表面の 硬度,疲労強度,耐食性 を改善するCyclic Press技術 技術 を改善する 北海道大学 大学院工学研究院 機械宇宙工学部門 教授 中村 孝 1 本技術の概要 • 大気、窒素などの種々の雰囲気中で金属部 品に低荷重の振動圧縮負荷を与える手法 (Cyclic Press)を開発。 • 金属の表層をナノ微細粒組織に改質。 • 表面硬度、疲労強度、耐食性の向上に寄与。 2 加工原理 ロードセル 質量分析計 インデンター 微細化領域 真空 チャンバ 被加工 金属 ターボポンプ アクチュエータ ドライポンプ • 振動圧縮荷重により蓄積されるわずかな塑性 変形と周囲環境の相互作用を利用。 3 従来技術の例(表面硬化、微細化) ECAP 高速ショットピーニング SPD(Severe plastic deformation) :400%を超えるひずみを利用 問題点 • 被加工物外形の大きな変化。 • 表面粗さの増加 • 被加工物寸法の制限 4 従来技術に対するメリット • 外形の変化をほとんど生じさせずに、表面を 改質することができる。 • 表面粗さを増大させることなく、表面を改質す ることができる。 • 加工パラメータ(荷重、繰返し数、周囲環境 等)を適切に選択することにより、表面改質層 (結晶粒径、結晶構造、微細化深さなど)を精 密に制御することができる。 5 新技術の特徴 • 表面硬度を上昇させ、表面粗さを改善できる ため、部品の耐磨耗性や疲労強度を向上す ることができる。 • ガス原子を表層に導入し、表面に堅固な化合 物層を付与することができる。雰囲気を選択 することにより、部品の耐食性を改善できる。 • 特徴ある表面性状を与えられるため、デザイ ン面での高付加価値が必要とされる部品にも 適用できる。 6 新技術に関する研究紹介 7 研究紹介(供試材・試験条件) 8 材料 • 低炭素鋼(JIS S25C) 化学成分 mass % C Si Mn P S Cu Ni Cr 0.24 0.19 0.42 0.010 0.019 0.01 0.02 0.04 熱処理 • Annealing (1123K, 3.6ks) 硬さ • 139Hv 表面仕上 • #120-2000 エメリー紙研磨+バフ 8 研究紹介(観察・解析方法) 9 研究紹介(低炭素鋼、大気) 10 表面改質前 接触部の直径: 約 850µm 接触部の深さ: 10µm 表面粗さRa: 0.842µm → 1.485µm 表面改質後 10 研究紹介(低炭素鋼、大気) 11 振動繰返し数の影響 カーボン保護膜 遷移層 5×107 回 ナノ微細化領域 1×106 回 11 12 研究紹介(低炭素鋼、大気) 18 18 16 16 14 14 Number of grains Number of grains 振動繰返し数の影響:粒径分布 12 10 8 6 12 10 8 6 4 4 2 2 0 0 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 Grain size (µm) 5×107 回 2 2.2 2.4 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2 2.2 2.4 Grain size (µm) 1×106 回 12 研究紹介(低炭素鋼、大気) 13 振動繰返し数の影響:微細化層の深さ 2.5 2 Average grain size (µm) Average grain size (µm) 2.5 1.5 1 0.5 0 0 1 2 3 4 5 Depth from surface (µm) 5×107 回 6 2 1.5 1 0.5 0 0 1 2 3 4 5 6 Depth from surface (µm) 1×106 回 13 研究紹介(低炭素鋼、大気) 14 EPMAによる分析 Fe マッピング O マッピング 14 研究紹介(高強度鋼、大気) 15 ・SNCM439低温焼もどし材 ・引張強さ:2106MPa、硬さ:640Hv 15 着想の経緯:超高サイクル疲労 破面直下に形成されるナノメートルオーダーでの微細化現象 ○組織のナノ微細化は一般に真ひずみ4程度以上の強加工で達成される. ECAP,高圧下のねじり,メカニカルミリング,繰返し重ね圧縮 高速ショットピーニング,…軸受け鋼の転動疲労 例えば,梅本実,鉄と鋼,94-12,2008,pp.575-643 ○強加工ではなくても,長期間 ○強加工ではなくても,長期間( ,長期間(107回程度以上)材料表面がたたき合うことに より,接触面直下の組織にナノ微細化が生じる可能性がある. 例えSlip irreversibility = 0.0000001でも 1×107以上の繰返しが蓄積されれば・・・? 16 研究の現状と実用化に向けた課題 • Cyclic Pressを用いた表面改質技術が、低炭 素鋼、高強度鋼、アルミ合金等に適用できる ことを実証済み。また、加工パラメータや環境 を変化させることで、組織の制御が可能であ ることを明らかにしている。 • 今後、さらに多くの金属について実験データを 取得し、目的とする表面改質層を得るための 加工パラメータを明らかにしていく。 17 想定される用途 される用途 • 高速回転するシャフトなど、軽量と高疲労強度 を兼ねる必要のある部品の表面改質。 • 腐食環境中で使用される部品の耐食性向上 を目的とする表面改質。 • 各種摺動部を有する機械部品の耐摩耗性向 上を目的とする表面改質。 18 企業への 企業への期待 • 本表面改質法を部品表面全域に適用するた めの新たな技術は、振動するインデンターを 任意の位置に移動させるScanning Cyclic Pressを構築することにより実現可能である。 • 機械部品の高機能化を目的とする、表面改質 技術分野への展開を考えている企業には、本 技術の導入が有効と思われる。 19 本技術に関する知的財産権 本技術に関する知的財産権 • • • • 発明の名称 :金属加工法 出願番号 :特願2015-065978 出願人 :北海道大学、ハイブリッジ 発明者 :中村孝、中谷建太朗, 和島達希 20 産学連携の経 産学連携の経歴 の経歴 • 2011年-2014年 天田財団一般研究助成に採択(北大) • 2014年-2016年 科研費挑戦的萌芽研究に採択(北大) • 2014年-2015年 平成25年度中小企業ものづくり革 新事業に採択(㈱ハイブリッジ)、 同社と共同研究を実施 • 2015年-2016年 北海道中小企業応援ファンドに採択 (㈱ハイブリッジ)、 同社と共同研究を実施 21 お問い合わせ先 問い合わせ先 北海道大学 産学・地域協働推進機構 産学協働マネージャー 須田 孝徳 TEL 011 -706 -9559 FAX 011 -706 -9550 e-mail [email protected] 22
© Copyright 2024 ExpyDoc