詳細ページへ - ビジョンテック

放射および樹冠構造測定装置
Tracing Radiation and Canopy Architecture (TRAC)
植物群落のLAI(葉面積指数)の新しい測定法です。
ギャップサイズ分布の測定方法
TRACはウォーキングおよび高頻度サンプリング技術を使用
し、透過された直達光をトランセクトに沿って記録します。
図1はそのような測定結果の一例で、時間軸に沿った大小の各
スパイクが、太陽方向に沿った樹冠中のギャップを示してい
ます。これら各スパイクがギャップサイズ値に変換され、図2
に示すギャップサイズ分布が得られます。
カーブは最大から最小までのギャップのギャップ比率の累
積値です。たて座標上の総計累積ギャップ比率(ギャップサ
イズがゼロのとき)は、通常は放射透過率から測定されるギ
ャップ比率です。このようなギャップサイズ分布カーブはギ
ャップ比率の内容を明らかにし、従来のギャップ比率測定よ
りはるかに多くの情報を含んでいます。
TRAC 外観及び測定風景
TRAC の特徴
・
・
・
・
・
・
TRACは、光学式測定・記録装置です。
400∼700nm波長帯域の光学センサーを使用。
512kByteのデータ記録用メモリを内蔵。
シリアルインターフェースによるPCへの接続。
堅牢な構造。
単一ボタンによる簡単操作。
Windows用ソフトによる簡単データ処理。
図1.ジャックパイン(バンクスマツ)の成木林におけるTRACの測定例。20メ
What s new
TRACは、群落Gap fractionに加えて群落Gap sizeの分布も
測定します。
¨ギャップ比率(Gap fraction)
指定された天頂角における群落内のギャップの比率。
通常群落光透過率から算出します。
¨ギャップサイズ(Gap size)
ギャップの物理的寸法。同じギャップ比率でも異なるギ
ャップサイズ分布になることがあります。
なぜギャップサイズを測定するのか?
植物群落、特に森林は、樹冠、枝、芽など独特の構造形態を
有します。これらの形態が葉の空間的分布を決定し、葉の空間
分布の推定を難しくしています。従来のギャップ比率に基づい
た測定機器は、枝葉の密集(Foliage clumping)があると多く
の場合LAIをかなり過少に測定します。群落ギャップサイズの分
布は、群落構造の情報を含んでおり、LAIの間接測定に対する枝
葉の密集の影響を数値化するために使用できます。
ートルのトランセクト(元の200メートル測定記録の一部分)に沿った光合成
光量子束密度(PPFD)測定値には、樹冠どうしの間の大きな群落ギャップに対
応する大きなフラットトップのスパイクや樹冠の中の小さなギャップに対応
する小さなスパイクが見られます。ベースライン(基線)は、日除けをかけた
センサーを使用して測定した、樹冠の下側における散乱日射です。
ギャップサイズ分布からクランピングの影響を定量化
ギャップサイズ分布は、樹冠と枝との間にあるギャップな
どのような、群落の均一性に起因する多くのギャップを含ん
でいます。図2のFrのようにランダムな群落の分布はわかって
いるので(Miller and Norman、1991年)、群落の均一性に起
因するギャップは識別可能であり、ギャップ比率の総累積値
からギャップ除去理論(Chen and Cihlar、1995年)によって
除外できます。したがって、ギャップ比率の測定値とギャッ
プ除去後のギャップ比率の差分がクランピングの影響を定量
化するのに使用可能です。
参考文献
Chen, J. M., P. M. Rich, T. S. Gower, J. M. Norman, S. Plummer,
1997. Leaf area index of boreal forests: theory, techniques and
measurements. Journal of Geophysical Research, 102(D24): 29,
429-29,444.
Chen, J. M., 1996a. Optically based methods for measuring
seasonal variation in leaf area index of boreal conifer forests.
Agricultural and Forest Meteorology, 80:135-163.
図2.図1の測定値は、この群落ギャップ累積カーブ(Fm)に変換されます。ここで
は、ギャップ比率は最大ギャップ(この例では約1.8メートル)から最小ギャップ
へと累積されています。群落ギャップサイズ「ゼロ」における累積ギャップ比率
は、総放射透過率から測定された総群落ギャップ比率です。ギャップ除去処理の
Chen, J. M., 1996b. Canopy architecture and remote sensing of
the fraction of photosynthetically active radiation in boreal
conifer stands. IEEE Transactions on Geoscience and Remote
Sensing, 34:1353-1368.
後、ギャップサイズ分布測定値(Fm)は、ランダム理論(Miller and Norman、1971
年)によって予測された(Fr)分布と一番近似したFmrになります。この例では、
FmrとFrは非常に近似しています。縦軸上におけるFmとFmrの差分がクランピング
の指標を決定し、FmrがLAIを決定します。
TRAC測定法の検証
TRAC測定法はいくつかの研究(Chen and Cihlar,1995年、
Chen,1996年、Chen 他,1997年、Kucharik 他,1997年)で立証
されています。これらの研究で、ギャップ比率に基づいた、
LI-COR LAI-2000のような測定装置はランダムな葉の空間分布
という仮定のもとで、effective LAIを測定できることが示さ
れています。Effective LAIは、枝葉の密集のため通常は実際
の森林のLAIの30%から70%にすぎません。TRACから得られるク
ランピング指数はeffective LAIをLAIに変換するのに使用可
能です。TRACが晴天日の半日間使用された場合、ひとつの木
立に対する正確なLAI値もまたTRACのみの使用で取得可能で
す。LAI-2000が枝葉の角度分布パターンの調査に使用される
一方で、枝葉空間分布パターンの調査にはTRACの使用が推奨
されています。TRACおよびLAI-2000を組合わせた利用が、木
立のLAIの迅速かつ正確な調査を可能にします。
TRACの応用例
(1) トランセクトに沿った光合成光量子束密度(PPFD)の測
定は、群落を通して透過する光の平均値を測定するため
に最適な方法であり、群落によって吸収される光合成有
効放射量(FPAR)を定量化するために使用することがで
きます。(Chen、1996年)
(2) ギャップサイズ分布は、枝葉クランプのサイズや面積お
よび枝葉サイズをはじめ、群落の各種構造パラメータを
推定するために使用することができます。(Chen and
Cihlar、1995年)
(3) ギャップサイズ分布は植物群落のホットスポットや双
方向性反射分布関数(BRDF)をモデル化するために使用
されています。(Chen and Leblanc、1997年)
Chen, J. M. and J. Cihlar, 1995a. Quantifying the effect of
canopy architecture on optical
measurements of leaf area index using two gap size analysis
methods. IEEE Transactions on Geoscience and Remote
Sensing, 33:777-787.
Chen, J. M. and J. Cihlar, 1995b. Plant canopy gap size analysis
theory for improving optical measurements of leaf area index.
Applied Optics, 34:6211-6222.
Chen, J. M. and S. Leblanc, 1997. A 4-scale bidirectional
reflection model based on canopy architecture. IEEE
Transactions on Geoscience and Remote Sensing, 35:1316-1337.
Kucharik, C. J., J. M. Norman, L. M. Murdock and S. T. Gower,
1997. Characterizing canopy nonrandomness with a Multiband
Vegetation Imager (MVI). Journal of Geophysical Research,
102(D24): 29455-29473.
Miller, E. E. and J. M. Norman, 1971. A sunfleck theory for plant
canopies. I length of sunlit segments along a transect. Agronomy
Journal, 63:735-738.
販売価格 ¥546,000(消費税込み)
お問い合わせ先
株式会社ビジョンテック(国内販売代理店)
〒305-0045 茨城県つくば市梅園 2-1-16
電話:029-860-6100 FAX:029-859-1199
e-mail:[email protected] URL:http://www.vti.co.jp
製造元:3rd Wave Engineering(カナダ)