SURE: Shizuoka University REpository http://ir.lib.shizuoka.ac.jp/ Title Author(s) Development of Fine Atomized Spray Pyrolysis Deposition Technique for Dye Sensitized Solar Cell Applications Devinda Subash, Kulasin Liyanage Citation Issue Date URL Version 2013 http://doi.org/10.14945/00007930 ETD Rights This document is downloaded at: 2016-02-02T10:09:31Z (課程博士・様式9) 審 査 要 旨 (1,000 字程度) 本論文は、機能性薄膜作製法の一手法である、スプレー熱分解堆積(SPD)法を 改良して開発した微小霧状スプレー熱分解堆積(FA-SPD)技術について記述する とともに、新技術を色素増感太陽電池(DSSC)の作製に応用して、その優位性な らびに課題を明らかにすることを目的として行なわれた研究成果をまとめている。 第 1 章では、自然エネルギーとしての太陽電池の重要性とその研究開発における DSSC の位置付けを紹介するとともに、DSSC の作製に利用される各種薄膜形成法 を概観して、SPD 法の優位性を明確にした後、本論文の目的を記述している。 第 2 章では、従来の SPD 法の詳細と課題を挙げ、開発した FA-SPD 技術の構成 と特徴を記述し、噴霧用ノズルと試料との間に小室(special chamber)を設ける ことにより、噴無溶液の無駄と凝集を解消できることを明らかにしている。また、 新技術を DSSC 用 TiO2 膜形成に実際に応用して、凝集の少ない均一な噴無溶液を ガラス基板上に塗布することで、透明で高効率な TiO2 膜の作製に成功している。 第 3 章では、FA-SPD 法を利用した TiO2 ならびに ZnO 薄膜の作製について記述 し、新技術が従来の SPD 法と同様に、汎用性のある機能薄膜形成法であることを 明らかにしている。特に、TiO2 膜形成時に凝集防止剤として利用される酢酸を、 酸性度ならびに揮発性の低いサリチル酸に代えた場合、従来の SPD 法では形成が 困難である、ひび割れがなく均一で多孔性の膜を形成することに成功し、その形成 過程について議論している。 第 4 章では、SPD 法よる半導体電極層への色素の吸着の可能性について検討し、 FA-SPD 法と電界を組み合わせることにより、従来の浸漬吸着法で必要とした 24 時間の吸着時間を 15 分に短縮できる可能性を指摘している。併せて、新手法の課 題についても議論している。 第 5 章では、FA-SPD 法を利用した、DSSC 用の新規な前面電極の形成について 記述している。従来、ガラス基板上に形成したフッ素ドープの SnO2(FTO)膜が 前面電極として利用され、その上に TiO2 膜が形成されているが、TiO2 膜中に第二 の FTO 層を形成することにより、生成電荷の収集効率が改善されることを明らか にするとともに、改善機構について議論している。 第 6 章では、FA-SPD 法を利用した、FTO ナノロッド層の形成について記述し ている。新手法と横方向噴霧とを組み合わせることにより、FTO ナノロッドが形 成できることを明らかにし、その形成機構を議論している。 第 7 章では、本研究の結果をまとめ、今後の課題ならびに展望を記述している。 以上のように、本論文では、FA-SPD 法を開発し、従来法に対する優位性を明ら かにするとともに、高効率な DSSC が作製できることを指摘しており、この分野 において有用な知見を与えている。よって、本論文は博士(工学)の学位を授与す るに十分な内容であると認める。
© Copyright 2025 ExpyDoc