周波数領域サンプルを用いた DSP による PSK 復調の研究

SURE: Shizuoka University REpository
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周波数領域サンプルを用いたDSPによるPSK復調の研究
杉山, 克己
p. 1-116
2003-09-29
http://doi.org/10.14945/00003057
ETD
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電子科学研究科
1購灘賠難灘縫
懸灘鑛
0003528288R 灘難灘館
静岡大学 博士論文
周波数領域サンプルを用いた
DSPによるPSK復調の研究
静
契
書
書
2003年9月
静岡大学大学院
電子科学研究科電子応用工学専攻
杉山克己
概 要
近年、ソフトウェア無線(Sofiware RadioあるいはSoftware Defined Radio)が注目され
ている。様々な無線通信システムを構築するためには、通信用携帯端末や放送受信端末な
どの機能変更を柔軟に行う必要がある。ソフトウェア無線とは、このような機能変更をソ
フトウェアのプログラミングやダウンロードによって可能にする新しい技術である。
また、衛星通信においてはArM(Asynchronous Transfer Mode)やIP(lnternet・Protocol)
によるビーム間のオンボードルーティングを行う多ビーム大容量のマルチメディア衛星が
実現されようとしている。このような衛星では多数かっ多種類のアップリンク信号をオン
ボード復調することが必須であり、これを実現するためには復調処理をソフトウェアによ
ってフレキシブルに行うことができるシステムが要求される。
一方、これまでのディジタル変復調のソフトウェア化においては、アナログ信号を単純
にサンプリングすることによって得た時間領域ディジタル信号を処理することが多い。し
かし、フィルタ処理を時間領域ではなく、周波数領域で必要な周波数成分のみを抽出する
という処理に置きi換えると、不要な周波数成分を含まない理想的な結果を容易に得ること
が可能になる。このように周波数領域での信号処理は、時間領域での信号処理に比べて有
効な場合が多い。時間領域と周波数領域との間の信号変換を実現する方法には、高速フー
リエ変換(FFr:First Fourier Transform)や高速フーリエ逆変換(IFFr:lnverse First Fourier
Transform)がある。
ソフトウェア無線やFFTaFFT処理を実現するためのキv−・一・・デバイスとして、 DSP
(Digital Signal Processor)がある。 DSPにおいては高速化が進んでおり、広帯域のFFT処
理が可能になりつつある。更に、DSPのプログラミングを行う環境も従来のようにデバ
イス固有のアセンブラ言語主体からC言語に代表される移植性に優れた高級言語主体と
なっており、アルゴリズムさえ確立していれば、将来、より高速な信号処理能力を持つ
DSPが開発された際には、パラメータ変更程度のプログラム改修によって高周波帯域へ
の機能拡張が可能である。
本論文ではソフトウェア無線通信システムや多ビーム衛星オンボード処理へのDSPの
応用を目的として、FFTAFFTを用いた周波数領域での搬送波再生とBPSK復調の方法に
ついて述べる。
1
搬送波周波数が未知であるBPSK受信波サンプルの2乗値をFFTによって周波数領域
信号化すると、搬送波の2倍の周波数付近に周波数成分のピークが現れる。本復調方式で
はこの性質に着目して、受信波から搬送波を再生し同期検波による復調を周波数領域で行
っている。具体的には、BPSK波を周波数兎及びその2倍の答でサンプリングする。周
波数兎によるサンプル値は復調する信号として、また、周波数答によるサンプル値は搬
送波を再生するための信号としてそれぞれ用いる。搬送波は、この周波数答によるサン
プル値の2乗値をFFTし、その結果からピークを含む2周波数成分を抽出した後、初期
位相eUP(ノφ)の補正を行って直接再生する。 e
本復調方式の搬送波捕捉範囲は・原理的にはサンプリング周波数兎に対して0∼溜2と
なり、同調回路を用いた従来の復調システムに比べ広い周波数範囲に存在するBPSK変
調波の復調を可能とする。本復調方式では、無線周波数帯の信号に対して直接DSPを適
用することを理想としている。しかしながら、現状のDSPの処理能力を考慮すれば、復
調に先立ってLow・IF(Low・Interrnediate Frequency)方式等による受信信号の周波数ダウン
コンバージョンを行う必要がある。ただし、本方式の場合ダウンコンバージョン後のIF
周波数を固定する必要はなく、受信波のサンプリング周波数19とするとゐ/2以下であれば
よい。また、特定の搬送波周波数に同調する処理を行っておらず、受信したBPSK波か
ら直接計算により搬送波周波数や初期位相を求めて搬送波を再生している。このため、伝
送路や周波数変換器で発生する搬送波周波数変動や位相変動の影響を受けない。
再生された搬送波の負の周波数成分とBPSK波の正の周波数成分との周波数領域での
コンボリューションは、イメージ成分を発生させない復調を可能にし、結果をIFFTすれ
ば、時間領域の復調出力が得られる。シミュレーションでのBER特性の劣化は、劣化量
が最大となる搬送波周波数がFFTの離散周波数から最もずれた場合においても、理論値
に対して1(B未満に収まった。
最後に、DSPボード(TMS320C6711DSK)を実際にプログラミングすることによって
作成した送受信装置を用いて変復調実験を行い、本復調方式のリアルタイムでの実現性を
確認した。
本方式はDSPの高速化によって、様々な受信周波数、帯域、ビットレート等への柔軟
な対応が可能であり、多ビームインターネット衛星上でビーム間接続を行うオンボード処
理などに適している。
II
目 次
1
第1章 序論
1
1.1
まえがき
1.2
研究の背景
2
1.2.1
ディジタル通信技術
2
1.2.2
ソフトウェア無線
3
1.2.3
周波数領域信号処理
5
1.2.4
DSP(Digital Signal Processor)
7
1.3
研究の目的
10
1.4
本論文の構成
14
第2章周波数領域サンプルを用いた信号処理
17
2.1
周波数領域信号処理
17
2.1.1
時間領域信号と周波数領域信号の関係
18
2.1.2
正の周波数及び負の周波数と実信号の複素信号化
19
2.2
コンボリューション(畳込み)
20
2.2.1
サーキュラコンボリューション
20
2.2.2
周波数領域におけるサーキュラコンボリューションと時間領域における積の関係
20
2.2.3
FFTIIFFTを用いた高速コンボリューション
21
2.3
端効果(End・effect)
22
2.3.1
無限長波形と有限長波形の離散値コンボリューション(サーキュラコンボリューション)
22
2.3.2
Overlap and S ave
24
第3章周波数領域におけるBPSK変調
27
3.1 BPSK変調波
27
3.2 ロールオフフィルタによるディジタル信号の帯域制限
28
3.3 帯域制限された変調信号によるBPSK変調
30
3.4 周波数領域におけるBPSK変調
31
\
第4章周波数領域におけるBPSK復調
33
4.1
BPSK変調波のパワースペクトラム
33
4.2
BPSK変調波の2乗値のパワースペクトラム
34
4.3
信号の切り取り幅が離散フーリエ変換に及ぼす影響
35
4.3.1
帯域制限周期波形:切り取り幅が周期に等しい場合
35
4.3.2
帯域制限周期波形:切り取り幅が周期に等しくない場合
39
4.4
FFTの離散周波数と搬送波周波数の関係
42
4.4.1
FFTの離散周波数に一致した搬送波のFFT
42
4.4.2
FFTの離散周波数に一致しない搬送波のFFT
44
4.4.3
搬送波の周波数を離散周波数サンプル間隔内で変化させたときの周波数成分
46
4.5
周波数領域での搬送波再生
49
fsでサンプリングした正弦波と2fsでサンプリングし2乗した正弦波の同一点FFTの関係
49
4.5.2
正弦波の2乗値をFFTした結果の最大2隣接サンプルから初期位相(pを求める方法
53
4.6
周波数2f、でサンプリングしたBPSK波の2乗値のFFTを用いた搬送波の再生
56
4.6.1
搬送波再生のために抽出する周波数成分の数
56
4.6.2
搬送波成分抽出のための狭帯域フィルタリングによる端効果とOverlap and Saveの適用
58
4.6.3
50%幅Overlap and Saveによる連続波のFFT/IFFT処理
60
4.7
BPSK復調器
62
4.7.1
BPSK復調のアルゴリズム
62
4.7.2
BPSK復調器の構成
64
4.5.1
第5章周波数領域サンプルを用いたBPSK復調のシミュレーション
67
5.1
シミュレーションのパラメータ
67
5.2
BPSK変調
69
5.2.1
送信シンボル
69
5,2.2
マツピング
70
5.2.3
ロールオフフィルタ処理
71
5.2.4
BPSK変調
72
5.2.5
BPSK変調波の周波数スペクトラム
73
5.3
BPSK復調
74
5.3.1
BPSK受信波からの正の周波数成分の抽出(複素関数信号化)
74
5.3.2
2乗したBPSK受信波の周波数成分
75
ii
5.3.3
2乗したBPSK受信波の負の周波数成分
76
5.3.4
受信波の正の周波数成分と再生搬送波の負の周波数成分とのコンボリューション
77
5.3.5
IFFTによる周波数領域復調出力の時間領域信号化
78
5.3.6
再生された伝送シンボル
79
5.3.7
アイパターン
80
5.3.8
BER(Bit Error Rate)特性
83
5.4
実利用モデルのシミュレーション(BER特性の評価)
88
5.4.1
雑音を考慮したシミュレーションパラメータ
88
5.4.2
アイパターンの評価
89
5.4.3
抽出する周波数成分数とBERの関係
90
5.4.4
FFTの離散周波数からのずれとBERの関係
91
5.4.5
搬送波の初期位相(pとBERの関係
92
5.4.6
Overlap and SaveのOverlap長とBERの関係
93
第6章 TMS320C671 IDSKによる本復調方式の実現
95
6.1
実験装置の概要
95
6.2
実験のパラメータ
96
6.3
BPSK送信機
97
6.4
BPSK受信機
99
6.4.1
入力部での受信波の切り出し方法
99
6.4.2
サンプル長Nの250/o幅Overlap and S ave
100
6.4.3
復調回路の構成と復調処理
101
6.4.4
アイパターン
104
第7章結言
105
参考文献
109
本研究に関する発表論文
114
謝辞
116
iii
♂
第1章 序 論
1.1 まえがき
近年、プログラミングによって、その機能を自由に変更することができるソフトウェア
無線が注目されている(1)・(2)。また、そのキーデバイスであるDSP(Digita1 Signa1 Processor)に
ついては高速化が進んでおり、広帯域の高速フーリエ変換(FFT:First Fourier・・Transform)処
理が可能になりつつある。更にDSPのプログラミング環境も従来のようにデバイス固有の
アセンブラ言語主体から、C言語に代表される移植性に優れた高級言語主体となり③、ア
ルゴリズムさえ確立していれば、将来、より高速な信号処理能力を持つDSPが開発された
際には、パラメー一…タ変更程度のプログラム改修によって高周波帯域への速やかな機能拡張
が期待できる。
一方、衛星通信においてはArMやIPによるビーム間のオンボードルーティングを行う
多ビーム大容量のマルチメディア衛星が実用化されようとしている。このような衛星では
多数かつ多種類のアップリンク信号のオンボ・一・一・・)ド復調が必須であり、実現のためにはソフ
トウェアによって復調処理をフレキシブルに行うことができるシステムが要求される(4)・(5)。
本論文では、ソフトウェア無線通信システムや多ビーム衛星オンボード処理へのDSP
応用を目的として、FFTAIFFTを用いた周波数領域での搬送波再生とPSK復調方式を提案
する。
1.2 研究の背景
く r
本研究は以下のような技術の進歩を背景として行った。
●
ディジタル通信技術
●
ソフトウェア無線
●
周波数領域信号処理
●
DSPσ)igital Sigrial Processor)
以下に本研究の背景となったこれらの技術について述べる。
1
1.2.1ディジタル通信技術
ブロードバンド(Broadband)時代を迎え、ディジタル高速データ伝送サービスやディジタ
ル映像配信サービスの開発、普及、発展がめざましい。本来、プロ。一ドバンドという言葉
は広帯域という意味で使用されていたが、現在では、高速・大容量のネットワーク・イン
フラの総称として用いられている。一方、近距離通信目的の家庭内やオフィス内のケV・・一一・・ブ
ルレス化・装置設備の簡略化を実現する規格であるBluetooth無線LAN、インターネット
加入無線サービスFWA(FiXed Wireless Access)など、ディジタル通信技術が注目されてい
る(郷㌧
さまざまな情報サービスを享受できる高度情報化社会の実現には、通信と放送、更には
コンピュV…−Lタの融合が不可欠である。このようなマルチメディア情報通信を支える技術と
して欠かせないものにディジタル通信技術がある。tt特に、その中核を成すディジタル変復
調技術には、いかに情報を効率良く伝送・記録できるか、また、誤りなく確実に伝達でき
るかという課題が常に存在する。通信方式をディジタル化することよって、通信端末内の
信号処理を1チップのICによって実現することが可能であり、端末自身の小型化が期待で
きる。
アナログ通信とディジタル通信の大きな違いは、アナログ通信が信号波形の忠実な再生
を目的とするのに対し、ディジタル通信では伝送しようとする信号の持つ情報の伝送・記
録を目的としていることである。すなわち、ディジタル通信において伝送する情報は、必
ずしも、ディジタル情報を表す矩形パルスそのものである必要はない。また、ディジタル
通信はアナログ通信に比べて雑音に強く、符号の誤り言正処理を用いることにより、受信
信号に混入した雑音量が一定の範囲内であれば、受信信号から送信された符号を誤りなく
完全に復号することができる。更に、送筒則で伝達すべき情報を圧縮して伝送し、受信側
で伸張することにより、伝送効率を向上させることも可能である。
このように、アナログに比べて多くの優れた特長を持っディジタル通信技術は、周波数
利用効率や信頼性・経済性の向上を図りつつ、年々めざましい進歩を遂げ、現在に至って
いる。
2
1.2.2 ソフトウェア無線 a
自動車電話や携帯電話に代表的される無線通信技術は飛躍的な発展を遂げてきた。
現在、プログラミングによって、その機能を自由に変更することができるソフトウェア
無線(Software Radio若しくはSoftware Defined Radio)が注目されている(1)・(2)。ソフトウェ
ア無線では帯域幅やフィルタリング、変復調、符号化などといった無線の基本的機能は固
定されたものではなく、ソフトウェアのダウンロードによりフィールドで自由に変更する
ことが可能である。
ソフトウェア無線の概念に基づく無線機をソフトウェア無線機と呼ぶ。ソフトウェア無
線機では、ディスクリート部品を用いて作成してきた従来の回路をプロセッサICとそれを
動作させるソフトウェアによって構築している。ソフトウェア無線の特長を以下に示す。
(a)プログラム処理することにより、同一端末装置を多種のアクセスモードに対応さ
せることが可能である。
(b)最適なサービス、通信品質となる無線システムへの自動選択が可能である。
(c)最適な信号処理を行うことにより、無線通信の高品質化を可能にする。
(d)大量生産、保守・更新への適合性、セキュリティ機能への対応が可能である。
(e)DSPべ一スでの共通プラットホ・一・一一・ムとソフトウェアにより実現するので、開発期
間の短縮とそれに掛かる費用の削減を大幅に見込むことが可能である。
ソフトウェア無線を実現するための要素となる技術には、ディジタル信号処理、電子デ
バイス、アレイアンテナ、ソフトウェア技術などがある。図1.1にソフトウェア無線のた
めの要素技術と学術的統合領域を示すω。無線情報通信としてのソフトウェア無線は、同
図に示す「通信技術」や「ソフトウェア技術」、「信号処理技術」、「デバイス技術」及び「無
線技術」といった要素技術が総合的に最適化されたときに完成する。
s
3
通信技術
ネットワーク
ルーテイング
多鷺化
多元接続
エア
インター
フ :一・一ス
ロトコル〈変換)
楚馬三イ ソフトウエア
トウエアtmx線
無線技衛
符号イヒ復号 インター
き巳述欝き藷 くll)し, S蓑)し) フエー
技術
(アルゴリズム論
プログラム言語)
Rea l−t i me OS
プリケーション
ログラム
サンプ攣ング
デバイス技術
(繍奪,BAC>
(半導体・超伝導
エレクトロニクス)
プロセッサ
(FPGA, DSP, AS l C)
葭写処理技衛
(ディジタルフィルタ,
FFT)
メモリ
図1.1 ソフトウェア無線のための要素技術と学術的統合領域(1)
4
1.2.3 周波数領域信号処理
従来、時間の経過とともに変化する信号は時間領域信号として取り扱われてきた。これ
に対し、信号処理において時間領域より周波数領域で処理した方が処理し易いケースが増
えてきている⑨。
例えば信号のフィルタリングを考えた場合、図1.2に示すようにフィルタリング対象の
信号を一旦、周波数成分で表される周波数領域信号に変換する。この周波数領域信号から
必要な周波数成分のみを取り出すためには、単に不必要な周波数成分を「Ojとすればよい。
同図では(a)に示す10Hzと30 HZの正弦波を合成した時間領域信号を、(b)に示すように周
波数成分で表される周波数領域信号に変換する。(c)では(b)から取り除きたい30Hzの周波
数成分を除去するため、これに相当する成分を「0」とする。(d)は(c)を時間領域信号に戻
したものである。(d)では30Hzの正弦波は除去され、10Hzの正弦波のみが存在している。
以上の処理は、30Hzの周波数成分のみをカットする狭帯域フィルタリングに相当してい
る。
このような時間領域信号を周波数解析する理論は、19世紀後半にフーリエによって初め
て明らかにされた。しかし、この理論をリアルタイムの信号処理に応用できるまでに至っ
たのは、100年以上も後の最近になってからのことである。この遅れた理由の1つに、リ
アルタイムの信号処理を可能とする演算回路を構築することが困難であったことが挙げら
れる。しかし、近年になって、時間領域一周波数領域間のリアルタイムでの信号変換が可
能なDSPが開発された。 DSPの出現によって、連続した信号を一定の時間ごとに切り出し
て周波数解析を行う短時間FFTアルゴリズムを高速に実行することが可能になり、連続し
た信号のリアルタイムでの周波数領域処理が現実的なものとなった。
5
FFT of [cos(2πIOt) + cos(2π30t)]
cos〔2π10t) + cos(2z30t)
1.5
¢ o 5
§・・
き
’曇,。
§
聖
呈 −o.5
−1
−1.5
−2
0
50
Frequency [Hz]
Time [n/256 sec]
(a)10Hzと30 H乞の正弦波を合成した
(b)周波数領域信号化した②の時間領
時間領域信号
域信号
IFFT of Filter output [ニcos〔2xlOt)]
Fiほering of cos(2π30t)]
:::
9::1
§・・
三
量,。
馳
芝
:::1
三
0
50 100 150
Time [n/256 sec]
Frequency [Hz]
(d)周波数領域で30Hzの正弦波を除去
(c)(c)を時間領域に戻したもの
((b)の30Hz成分を0にする)
(②から30Hzの正弦波を除去した
結果)
図1.2周波数領域でのフィルタリング
6
1.2.4 DSP(Digital Signal Processor)
(a)DSPの現状
1982年にテキサス・インスツルメンツ社(TI社)から登場したDSP「TMS32010」は、
ハーバード型アーキテクチュアを採用し、乗算器を内蔵することで乗算命令を含むほとん
どの命令を200nsで実行可能(5MIPS:1秒間に500万命令実行)とした。20年を経過し
た現在では、その320倍にあたる1,600MIPSの処理能力を持つ「TMS320C6201」や
「TMS320C6711」といったVLrW(Very Long lnstruction Word)アーキテクチュアによるDSP
が開発されている(3)’(10)。DSPはプログラミングにより複雑な信号処理演算をリアルタイム
で実現することが可能なマイクロプロセッサであり、その処理能力は汎用マイクロプロセ
ッサよりはるかに高速である。
図1.3にDSPの開発状況を示す。
§
E
§
江
Time
図1.3DSPの開発状況(3)
(b)固定少数点と浮動小数点DSP
初期のDSPは回路規模の制約のためにすべて固定少数点DSPであったが、現在ではプ
ログラムの組みやすい浮動少数点DSPも流通している。しかし、固定少数点DSPすべて
が浮動小数点DSPによって置き換えられてしまっているわけではない。すべてのアプリケ
ーションが浮動小数点演算を必要とするわけではなく、携帯電話に代表される低消費電力
であることが必須条件として要求される用途では、固定少数点DSPが継続〔吏用されている。
7
(c)DSPの高速化とアーキテクチャの複雑化
他の汎用プロセッサと同様、DSPもクロック周波数の向上に頼った処理性能の改善は困
難になりつつある。そのため、以下に挙げるような複雑化したプロセッサ・アーキテクチ
ャを採用することによって処理の高速化を図っている。
● 複数の演算ユニットの搭載
● パイプライン処理
● オンチップ・キャッシュの設置
しかし、プロセッサ・アーキテクチャを複雑化すれば、これに対応したプログラムの開
発が難iしくなってしまう。複数の演算ユニットを搭載した複雑なアーキテクチャを持つ
DSPを動かすためのプログラムを、従来のようにハードウェア固有のアセンブラ言語で記
述していたのでは、多大な時間と手間を費やすことになり効率的ではない。このため、DSP
のプログラム開発には、プロセッサ・アーキテクチャに対応したオプティマイズ機能を持
つコンパイラの使用が前提になる。
現在、コンパイラを用いたプログラム作成環境においては、C言語に代表される移植性
に優れプログラミングの容易な高級言語によってソースコV−一・・ドが記述されることが一般的
になってきている。これは上に述べたDSP自身の高速化とコンパイラのオプティマイズ機
能の向上により、従来のアセンブラ言語で記述されたプログラムに比べ処理が遅くなりが
ちであった高級言語で記述されたプログラムが、アセンブラ言語で記述されたプログラム
に近い処理時間で実行可能になってきているからである。
したがって、アルゴリズムさえ確立していれば、将来、より高速な信号処理能力を持つ
DSPが開発された際には、パラメータ変更程度のプログラム改修によって高周波帯域への
速やかな機能拡張が期待できる(3)・(10)。
(d)今後のDSPの普及と汎用部品化への進展
特定用途向けの特殊なアーキテクチャを持つ専用プロセッサとして生まれたDSPは、か
つては専ら伝送システムの音声圧縮伸張処理に使われた。また、DSPを広く普及させるよ
うな応用例も存在していなかった。しかし、最近になって、家電メーカ・民生機器メーカ
8
がコンシュ・一マ向け製品にDSPを使うようになった。現在、 DSPの処理能力の向上と信号
処理技術の発展、普及によりその応用分野は日々広がってきている。すなわち、DSPは特
定ユーザだけが使用する特殊なプロセッサから、誰でも容易に使うことのできる汎用性の
高いデバイスへと変わりつつある。
DSPを取り巻く環境には、大別して以下に示す4グループがあると考えられる。
① DSPを製造するグノレープ(メーカ)
② 信号処理のアルゴリズムを研究開発するグループ
③サード・パーティと呼ばれる基板単位でのハードウェア及びソフトウェア
を開発するグループ
④電気電子機器と呼ばれる機器に基盤を組み込んで製品化するグループ
したがって、DSPの選択には単に演算性能だけでの評価ではなくシステム開発が容易な
環境に対する評価、別の言い方をすれば、DSP単体ではなくそれを用いるためのソリュー
ションの提洪が充実しているDSPメーカであることが優先されると考えられる。
(e)DSPの応用分野の拡大
DSPの性能向上により、これまでディジタル信号処理が不可能であった分野にもDSP
が用いられるようになってきている。例えば、従来は困難であった高周波帯域での変調復
調も、現在ではDSPでソフトウェア処理されることが珍しくない。アマチュア無線用のト
ランシーバにはDSPを搭載しているものが増えてきている。このように高性能が要求され
るハイエンドの用途ではDSPの処理能力は他のプロセッサを圧倒している。今後、 DSP
の更なる性能向上とともに、様々な分野ヘディジタル信号処理技術が普及するであろう。
ディジタル信号の演算処理には数学的な裏付けや基礎はかかせない。しかし、アナログ
信号をディジタル化し所望の演算処理を行った後、結果をディジタル信号のまま、あるい
は、アナログ信号へ再変i換して用いる場合、DSP自身だけでなく、直i接DSPと信号の授受
を行う周辺機器との関わりが重要になってくる。ディジタル信号処理やDSPアーキテクチ
ャが複雑化するとともに、従来のようにすべての課題を独自に解決することは不可能にな
ってきている。それ故、(d)で述べた①∼④で示した4っのグノレープの存在及び連携が
重要になっている。
9
1.3 研究の目的
本論文では、新しいPSK復調方法として、受信したPSK変調波を高速フv・一一・Lリエ変i換(FFT:
First Fourier Tiansform)処理することにより得られる周波数領域信号から信号成分と搬送波
成分を抽出し、周波数領域でコンボリューションする方法を提案する。
本研究の目的とメリットを以下に述べる。
(1)広い周波数範囲にわたる搬送波捕捉とPSK復調
従来のPSK復調システムではコスタスループ(Costas Loop)を用いた同期検波方式が多く
用いられており、時間領域で再生した搬送波を受信波に乗ずることにより復調出力を得て
いる⑨。コスタスループによる同期検波方式の場合PLL(Phase Locked Loop)の周波数引き込
み制限から搬送波の捕捉範囲は狭くなる。これに対し本論文で提案する復調方式では、周
波数領域で再生した搬送波と受信波を周波数領域上でコンボリューションして復調する。
本方式ではPLLを用いていないため、広い周波数範囲にわたっての搬送波捕捉が可能とな
る。すなわち、原理的にはサンプリング周波数をズとしたとき、本復調方式での搬送波の
捕捉範囲は忍2以下である0∼兎/2となり、同調回路を用いた従来の復調システムに比べ
広い周波数範囲に存在するBPSK変調波の復調を可能とする。
(2)PSK受信波のリアルタイム復調処理
バーストデータに対するディジタル復調方式としては、固定参照搬送波による準同期検
波を行う蓄積一括復調方式がこれまで提案されている(1孤の。このような蓄積一括復調に対
し、本論文では受信波から直接搬送波を再生し連続1言号の復調を実時間処理している。ま
た、FFTを用いた復調方法として受信波をFFTしてスペクトラムを求め、その中央に位置
する周波数を準同期検波の固定参照搬送波の周波数とする方法が報告されているが(18)、こ
の方法でのFFTは搬送波周波数の近似値を求めるために用いられているのみである。これ
に対し本論文では、FFT結果から2つの周波数成分を抽出し、これら2成分に対して位相
補正を行うことにより周波数領域で搬送波を直接再生する方法を考案している。
10
(3)周波数領域におけるPSK復調の提案と問題点の解決、及びシミュレーションによる本
復調方式の検証
通常、搬送波周波数はFFTの離散周波数に一致しないため、 BPSK受信波の各サンプル
値の2乗値をFFrして周波数領域信号に変i換すると、搬送波周波数fcの2倍に相当する離
散周波1$t2fc付近にピークを持つ複数の周波数成分が分散して現れる。更に、そのピークは
搬送波周波数の2倍に最も近い離散周波数に存在する。
本論文では搬送波の再生方法として、BPSK受信波のサンプリングに用いる周波数の2
倍の周波数答で受信波をサンプルして得たサンプル値の2乗値をFFTによって周波数領
域信号に変i換し、結果に現れるピーク周辺の成分の抽出と位相補正を行って搬送波を周波
数領域で直接再生する方法を提案している。実際には、このようにして得られた2乗値を
FFTして周波数領域信号とした結果に現れるピークの離散周波数成分とその付近に存在す
る多くの周波数成分の中から複数成分を抽出し、搬送波を再生している。
一方、周波数領域における復調のために再生搬送波とコンボリューションするBPSK波
自身の周波数領域信号は、上記の周波数2κでサンプリングして得た受信波のサンプル値を
1/2デシメーションすることによって周波数兎でサンプリングして得た時間領域サンプル
値に変換し、これを2乗値に用いたFFTと同じポイント数でFFTして得ている。
更に、この搬送波再生のために抽出する成分数についてシミュレーションによる詳細な
解析を行い、2成分を抽出して搬送波を再生した場合に復調結果のBER(Bit Error Rate)
特性が最も良くなることを示している。
また、周波数領域で復調するためには信号を複素化する必要があるが、周波数領域にお
いては正または負の周波数成分のうちいずれか一方を抽出することにより簡単に信号を複
素化するこ巴ができる。本論文では、受信波の正の周波数成分と再生搬送波の負の周波数
成分をコンボリュ・一一・・一ションして復調している。
なお、搬送波を再生するために本復調方式では、連続して到来する受信信号を周波数答
でサンプリングすることによって得たサンプル値を一定の長さで切り出し、2乗した後、
FFTして得られた周波数領域信号から2成分を抽出するという狭帯域フィルタリングを行
う。本復調方式の問題点として、この狭帯域バンドパスフィルタのインパルス応答によっ
てIFFT後の時間領域信号の前端と後端に端効果(End Effect)による誤差が発生する。本論文
ではこのフィルタリングのインパルス応答を調べ、Overlap and Save(12×15)を前端と後端に適
用して端効果を軽減し、この問題を解決している。
11
(4)DSK(DSP Starter Kit)ボードによる本復調処理のリアルタイムでの実現
本復調方式のリアルタイムでの実現は、シミュレV・・一ションでは確認できない。
本研究では市販のDSKボードを利用して、実際にハードウェア上で本復調のリアルタ
イム処理を実験した。本ボードに搭載されたDSP(皿社:TMS320C6711)は汎用性の高
いC言語によりプログラミングが可能であり、一度プログラムを作成すれば他機種のDSP
や、より高速なDSPへ容易に応用可能となる。
(5)ソフトウェア無線通信システムや多ビーム衛星オンボード処理へのDSP応用
本論文の手法は、ソフトウェア無線通信システムや多ビーム衛星オンボード処理への
DSP応用を目的としている。
現在、周波数領域での信号処理を実現するためのFFT処理として、文献1りでは125 MHz
帯域の一括FFT処理が報告されている。また、ESAにおいては500 M−Sample/secで250 MHz
帯域を一括してFFT処理する試作装置も報告されている(5)。本論文では数100 Kbps∼数
Mbpsの信号の復調を想定する。
現状のDSPの処理能力を考慮した上で、本復調方式を無線周波数帯の受信波に適用する
には、復調に先立って受信信号をLow・IF方式等によって周波数ダウンコンバージョンす
る必要がある(1)・(2)・(19)。図1.4にLow・IF方式における周波数ダウンコンバージョンを示す。
本方式の場合、同図が示すように受信波の搬送波周波19tf,,cをダウンコンバージョン後の
IF周波数であるfncにダウンコンバージョンする。ただし、このIF周波数fFCは固定値で
ある必要はなく、受信波のサンプリングに用いるサンプリング周波数兎/2以下の任意の周
波数であればよい。ダウンコンバージョン以後は、このfncを搬送波fcに見立てて復調す
る。また、特定の搬送波周波数に同調する処理を行っておらず、受信したBPSK波から直
接計算により搬送波周波数や初期位相を求めて搬送波を再生している。このため、伝送路
や周波数変換器で発生する搬送波の周波数変動や位相変動の影響を受けない。
本方式はDSPの高速化に伴い、受信周波数、帯域、ビットレ・一一一・Lト等への柔軟な対応が可
能であり、ソフトウェア無線通信システムの構築や多ビームインターネット衛星でビーム
間接続を行うためのオンボード処理などに適している。
12
言
一1;
8
房
● ● ● ● ●
S
fretl
0
琳市2 fM c3
Frequency
erS、o“
§
b
8
8
0 ノ]Frol fs/2
0
fcl
eてS、O“
言
七
8
L
身
0
fl Ft2 fs/2
号
fc2
§
b
8
房
0プ1F☆
fs/2
Frequency
母
図1.4Low−IF方式における周波数ダウンコンバージョン
13
1.4 本論文の構成
第1章 序論では本研究を始めるに至った背景を説明し、本研究の目的並びに本復調方
式が従来の時間領域での復調方式に比べ優れている点について述べた。
第2章周波数領域サンプルを用いた信号処理では、本研究の基礎である周波数領域サ
ンプルを用いた信号処理の理論について述べる。ここでは、時間領域信号と周波数領域信
号の関係及び正または負の周波数成分を利用した実信号の複素信号化について示し、本復
調方式で行っている周波数領域におけるコンボリューションが時間領域での乗算、すなわ
ち、復調処理に相当する理由を説明している。更に、本復調方式の問題点となる端効果及
びその解決方法であるOverlap and Saveについて述べる。
第3章 周波数領域におけるBPSK変調では変調信号の帯域制限について説明し、従来
の時間領域信号による変調処理と研究した周波数領域信号とを比較する。
第4章 周波数領域におけるBPSK復調では通常の受信状態で発生しうる信号の切り出
し幅の変動が離散フv−一一・一リエ変換に及ぼす影響、並びにFFrの離散周波数と搬送波周波数の
関係について述べる。また、2乗値のFFr結果から元の正弦波を再生することができる理
由を明らかするために、周波数79でサンプリングした正弦波と周波数2兎でサンプリング
した正弦波の同一点FFTの関係と、正弦波の2乗値をFFTした結果の最大2隣接サンプル
から正弦波の初期位相φを求める方法を示し、これが搬送波再生に応用できることについ
て述べる。更に、搬送波を再生するために抽出する周波数成分の数及び初期位相の計算方
法を明らかにした上で、研究した周波数領域におけるBPSK復調の方法を従来の時間領域
における方法と比較する。
第5章周波数領域サンプルを用いたBPSK復調のシミュレーションではこれまでの原
理に基づいて変復調のコンピュー一タ・シミュレーションを行い、本復調方式の理論を確か
めている。また、本復調方式が目的とする周波数帯の搬送波周波数でのシミュレーション
では、伝送路等で混入する雑音を考慮した受信波を復調することにより復調結果のBER
特性を求め、搬送波の再生方法の妥当性を検証する。
第6章TMS320C6711DSKによる本復調方式の実現ではシミュレーションでは確認で
きない本変復調方式のリアルタイム処理の可能性を確認するため、DSPを搭載したDSK
ボードを実際にプログラミングすることによって製作した送受信機を用いて行った変復調
実験について、その処理手順及び結果を示す。
第7章 結言では本研究の結果の考察及び今後の課題、応用についてまとめる。
14
図1.5に本論文の構成をフローチャートで示す。
第1章 序 論
@ 本研究の背景
@ 研究の目的及び本復調方式の特長
第2章 周波数領域サンプルを用いた信号処理
@ 周波数領域でのコンボリューションによる復調
@ 端効果とOverlap and Saveによる解決
第3章 周波数領域におけるBPSK変調
@ 変調信号の帯域制限と
@ 周波数領域処理でのBPSK変調
一 謔S章 周波数領域におけるBPSK復調
@ 搬送波の再生方法(抽出成分数、初期位相の計算方法)
@ BPSK復調器の構成
第5章周波数領域を用いたBPSK復調のシミュレーション
@ 本復調方式のシミュレーション
@ 雑音を付加したBER特性
(
第6章 TMS320C6711DSKによる本復調方式の実現
@ DSPボードで製作した送受信機を用いたリアルタイムでの変復調処理
@ の実験と本復調方式の実現性の確認
謔V章結 言
@ 研究結果のまとめと本復調方式の有効性を提示
図1.5 本論文の構成を示すフローチャート
15
/
16
」
第2章周波数領域サンプルを用いた信号処理
本研究で用いる周波数領域信号処理とその応用について述べる。
2.1周波数領域信号処理
時間領域信号と周波数領域信号との変換にはフーリエ解析が用いられる。
フーリエ(Fourier)解析は、あらゆる波形を様々な周波数を持っ正弦波と余弦波に分解
する解析方法である。フーリエ解析に用いられるフV−一・・リエ変換やフーリエ級数展開におい
ては、解析しようとする関数の変数は連続的な値であるものとして定義される。
一方、ディジタル信号処理では、連続的な数値ではなく離散的な数値を扱う離散フーリ
エ変換(DFT:Discrete・Fourier・Transform)が用いられる。本研究においても、連続した受
信信号をサンプリングした離散値サンプルが扱う対象であるため、離散フーリエ変換を用
いる。
時間tに関して連続した信号(Con血uous signal)をg(t)としたとき、この信号を一定の
間隔で標本化(sampling)することによって離散値サンプルg回が得られる。ここでnは
整数である。g固の離散フーリエ変換をG[k]と表せば、 G[k]は式(2−1)で定義される。
Nト1
G[k]一Σ 9[n] eup(一∫2πηえ/N) k−O,・1,…,N−1 (2−1)
n=O
上式でNはg圃の全サンプル数を表しており、g[n]とG[k]は複素数である。式(2−1)の複素
指数関数の部分を次式(2−2)で与えられる回転因子(twiddle・factor)硲で置き換えれば、
MN−exp(∫2π/N)
(2−2)
より、G[k]は次式(2−3)のように表すことができる。
N−1
G[k]一Σ9同酩批
k=O,1,…,2V−1
n=O
17
(2−3)
また、逆離散フーリエ変換(IDFT:lnverse discrete Fourier T]ransform)は次式(24)のよう
に定義される。
N−1
9[n]一吉ΣG田畔 n−o・・1・…・N−1 (24)
n =O
更に、高速フv−一・・リエ変換(FFr:First Fourier Transform)及び高速フーリエ逆変i換(IFFT:
lnverse First Fourier Tfansform)は、 DFT及びIDFrの計算量を大幅に削減するためのアルゴ
リズムである(1)。
図2.1は、ポイント数1vのDFrの計算量qN2)(o:オー…一・・ダー)とFFTの計算量o(Mog2N)
を示している。同図より、扱うサンプル数の増加に伴いDFTの計算量は著しく増加するが、
FFTの計算量の増加は非常に小さいことがわかる。
.1。・C。mparls…f。・d・・b・tWee・N2・and・N’t。9,(N)
il
9
喜6
65
4
3
2
00
200 400 600 800 1000
Samples
図2.1DFTの計算量とFFrの計算量の比較
2.1.1時間領域信号と周波数領域信号の関係
時間領域信号と周波数領域信号はフーリエ変換対である。すなわち、時間領域信号を離
散フーリエ変換すれば周波数領域信号を得ることができ、周波数領域信号を離散フーリエ
逆変換すれば時間領域信号になる。
18
2.1.2 正の周波数及び負の周波数と実信号の複素信号化
一般に、時間領域信号をフーリエ変換して得た周波数領域信号は、図2、2に示すように
横軸が正及び負の周波数で表される。信号のサンプリング周波数がfsであるとき、横軸の
中央はfs/2であり、これより左側が正の周波数、右側が負の周波数を意味する。
登
三
§
=
Frequency
0
fs/2
Positive Frequency
Negat i ve Frequency
図2.2 正の周波数と負の周波数の関係
実関数の信号である実信号及び複素関数の信号である複素信号を考える場合、両信号は、
これら正と負の周波数の関係を利用することにより線形的に関連付けられる。特に、実信
号は、周波数領域では共役複素数で表される信号の線形結合として表すことができる。す
なわち、式(2−5)及び式(2−6)が示すように、周波数をメ時刻をtとしたとき、実信号である
cos(2πft)とsin(2 zft)は、複素指数関数exρQ’2 zft)とその複素共役関数exp(プ2π∫りの和
及び差による線形結合として表される。
c・s(2zft)一;勧2ψ)+exp(一ノ2nft)}
(2−5)
随ψ)一;⑭π∫τ)一 exp (一 ・’2πft)}
(2−6)
また、これら2式についての別の解釈として、実信号であるcos(2 zft)やsin(2 zft)は正
の周波数切と負の周波数(−Dという2つの周波数成分を持っているとも言える。本論文で
は、この関係を利用することにより、実信号から正あるいは負の周波数成分を抽出するこ
とによって信号の複素化を行っている。
19
2. 2 コンボリューション(畳込み)
2.2.1サーキュラコンボリューション
周期∼Vの2つの時間領域信号x(n)とh(n)のサーキュラコンボリューション(CircUlar
convolution:巡回畳込み)ア(n)は、式(2−7)のように定義される。
N−1
ア(n)一Σx(k)h(n−k) (2−7)
k=0
2.2.2 周波数領域におけるサーキュラコンボリューションと時間領域における積の関係
周波数領域におけるサーキュラコンボリューションは、時間領域における積で表される。
周期がNである2つの時間領域信号のサンプル値x(n)とh(n)をポイント数Nで離散フー
リエ変換して得られた周波数領域信号をX(n)とH(n)としたとき、X(n)とH(n)の周波数領域
におけるサーキュラコンボリューションは、定義より式(2−8)のように表される。
麿・輌)一ξ[Σ輌・2一匡/N)][N−1Σ廊)exp{「ゾ2πえ(η一∫k=0)/N}]、
一鷲梛』π一)[繊2−」/N)鋤2−〕
(2−8)
ここで、最後の[]内については次式(2−9)の直交関係が成立しており、m・nのときNに
等しく、m≠nのときでは0となる。
ξ臼田←ノ2zmi/N)exp(ノ2πバ/㍑3 (2−9)
したがって、式(2−8)は次のように表される。
N−1 Nト1
ΣX(i)H(n−−i)−NΣx(k)h(k)eup(一ゴ2πη〃N) (2−10)
i=O k=0
20
このように2つの周波数領域信号のサーキュラコンボリュv・一一・・ションは、それら2つのフ
ーリエ対である時間領域信号同士の積を離散フーリエ変換したものに等しくなる。
以上の関係を用いて本論文では、受信波と再生搬送波を乗算する時間領域での復調処理
を、周波数領域信号化した受信波と再生した搬送波をサ・一・・…キュラコンボリューションする
ことによって実現する。これが、周波数領域での復調処理である。
2.2.3FFTAI?FTを用いた高速コンボリューション
前節で述べた関係を利用することにより、周期Nの2つのサンプル列x(n)とh(n)のサー
キュラコンボリューションγ(n)を求める演算を高速に行うことができる。これは高速コン
ボリュー一・・ション(Fast convolution)と呼ばれている。図2.3は高速コンボリューションの
計算手順を示している。同図が示すように、この方法ではx(n)とh(n)をそれぞれ一度FFT
し、両者を乗算後、IFFTして再び元の時間あるいは周波数の領域に戻すことによりコンボ
リューション演算を達成している。高速コンボリュV・一一・ションではコンボリュV・一・…ションする
サンプル列は共に周期性を持つことが前提となっており、本論文で扱うような周期性を持
たない信号から生成した時間サンプル列のサーキュラコンボリューション結果には、次節
で述べるような端効果が発生する。
Periodic
Sequence
Per i od i c Sequence
X(k)
x(n)
Per iod ic
Sequence
Periodic
Sequence
h(n)
y(n)
H(k)
Per i od i c Sequence
=
畢
End Effect
図2.3 高速コンボリューション
21
2.3 端効果(End・effect)
連続した信号をFFTによって周波数領域へ変i換する場合、連続した信号を切り出して有
限長の信号とする。時間領域における2つの有限長の信号の積は、周波数領域では、周波
数領域信号に変換された2つのフーリエ変換対のコンボリュ・・一一一・ションとなる。FFTの基本
である離散フーリエ変換では、切り出した信号が周期的に繰り返すことを前提としている。
このため、本論文で用いる受信波や搬送波のように周期性を持たない離散値サンプル列の
場合、コンボリューションした結果は端効果(2)・(3)により切り出した両端で誤差を生じる。
2.3.1 無限長波形と有限長波形の離散値コンボリューション(サーキュラコンボリュー
ション)
畳み込むべき信号のいずれか一方だけが有限長の信号である場合を考える。
図2.4に無限長波形と有限長波形について、連酬直コンボリュー一ションと離散値コンボ
リュ・一一・一・・ション(サーキュラコンボリュ・・一・・ション)の関係を示す。離散値コンボリューショ
ンを行うためには、同図(a)及び(c)に示すように周期1Vを選び、同図(a)に示す連続した無限
長波形x(t)及び有限長波形h(t)を標本化して、同図(c)に示すような共に周期的な離散信号
x(k7)及びh(k7)にしなければならない。同図Φ)は(a)に示した連続値サンプルx(t)とh(t)の連
続1直コンボリューションの結果であり、同図(d)は(c)に示した離散値サンプルx(k7)とh(k7)
の離散値コンボリューションの結果である。同図(b)が示す連続値コンボリューションの結
果と同図(d)が示す離散値コンボリューション結果を比較すると、この2つの結果は離散
値コンボリューション結果の最初のQ−1個分の部分を除いて一致している。一方、Q−1個
までの部分では離散値コンボリューションの結果には誤差が生じており、連続コンボリュ
ーションの結果とは異なったものとなっている。これは端効果(End Effect)と呼ばれる現
象であり、周期性のない無限長信号x(k7)から切り出した部分に周期性を課すことにより生
じるものである。
図2.4の場合、端効果は推移がk≒Q−1になるまで、すなわち、コンボリュー一ション結果
の初めの部分にのみ生じている。離散コンボリューションは端効果を除いては、連続コン
ボリューションの良い近似となる。本論文では端効果を除去するための手法として次項に
述べるOverlap and Saveを用いる。
22
x(t)1無限長信号
h(t):有限長信号
t
t
(a)
連続値コンボリューションの結果
y(t)
t
(b)
x(kT):周期信号
h(kT):周期信号
kT
F,一一_一一“
Q−11
(c)
離散値コンボリューションの結果
y(灯)
ノ\
\ゴ
ee・“・ew“e−
e−t
@㌦\bU
kT
(d)
図2. 4連続離散値コンボリューションと離散値コンボリューションの比較
(無限長信号と有限長信号の場合)
23
kT
2.3.2 0verlal)and Save
コンボリューション結果に生じている端効果を除去する手法として、2.3.1に示した
Overlap and Save (2×5)について述べる。図2.5は、共に離散値サンプルであるh(n)とx(n)の
Overlap and Saveによるコンボリューション演算を示している。
同図(a)に示すh(n)はサンプル長Nhの比較的短いサンプル列であり、後ろにN−Nh個の0
を付加することによってNサンプル化してからFFTする。
一方、同図(b)に示すように入力サンプル列x(n)を長さLで切り出す。次に(c)に示すよう
に、この切り出した長さLのサンプル列の前に、1つ前に切り出した長さLのサンプル列
の最後にあるNh−1個のサンプルを追加することによって、長さN←L+Nh−1)のサンプ
ル列x(1)(n)を得る。FFTは各x(1)(n)ごとに行う。ただし、第1番目の区間については、追加
するサンプル列が存在しないのでNh−1個の0付加する。
(d)は、(a)に示したh(n)と(c)に示したx(1)(n)を高速コンボリューションを用いてサーキュ
ラコンボリュy−一・一・ションした結果y(1)(n)を示している。,Jy(1)(n)には、」c(1)(n)を周期信号として
扱ったことにより、前Nh−1個分のサンプル値に端効果が現れている。
このため、Overlap and Saveでは、端効果が現れている前Nh−1個分のサンプル値を捨て
ながら、γ(1)(n)をつなぐことにより、(e)に示す連続したコンボリューション結果γ(n)を得て
いる。Overlapする幅は大きいほど端効果除去には有効であるが、(d)に示したγ(1)(n)から捨
てるサンプル数も増えるため、連続したコンボリューション結果を得るための信号処理効
率が低下するθ。
24
addition of
Nh’(N−Nh)
pieces of O
(a)h(n)
L
L
L
L
(b)x(n)
N=L+Nh−1
(c)xω(n)
1・M・・…M・M−一
ovar l ap
一
’
〇var l ap
一
lii・M・一一・一・−M・
● ● ● ● ■ ■ 口 ■ ● ● ■ ● ● ■ ●
(d) y(1)(n)
after (a)×(c)
addition of
(Nh−1)
after (a)×(c)
pieces of O
at first
discard
after (a)×(c)
save
discard
save
discard
after (a)×(c)
● ・ ■ ■ ● ● ● ● ● ■ ● ● ■ ● ●
save
length of {x(n)} + Nh−−1
(e)y(n)
)図21 5
overlap and save
25
26
第3章周波数領域におけるBPSK変調
3.1BPSK変調波
BPSK変調は、1と0の送信データにより搬送波を180度位相シフトする変調方式であ
る。すなわち、送信データのスペース「0」とマーク「1」に対応させ、搬送波cos2 zf、 t ffc:
搬送波周波1$(. t:時刻)の位相を「O」と「π」に変化している。BPSK変調波を式(3−1)
に示す。
s。。、Kθ=γc・ぷ{2πf,t+θ(t)}
(3−1)
ここで、
SBPSK(t)
:BPSK変調波
:振幅
fc
t
θ(t)
:搬送波周波数
:時刻
:変調位相成分 (0
:送信データ 「0」の場合
π
:送信データ 「1」の場合)
簡単のためV・1としθ(t)に0あるいはπを代入すれば、式(3−1)は式(3−2)のように変形で
きる。
・・・・・・…
s一θ一
@ θ(t)=0
………
ニ(t)=π
(3−2)
このようにBPSK変調では、搬送波の位相変化は振幅の変化となって変調波に現れる。
受信したBPSK変調波から変調成分を除去し、復調に必要な再生搬送波を得るためには、
変調波の2乗値を求め、次式(3−3)の関係を利用する。
c・s{2・(2zf,t)}=2{±c・s(2πf,t)}2−1
27
(3−3)
3.2 ロールオフフィルタによるディジタル信号の帯域制限
図3.1(a)は周波数1Hzの矩形パルスを周波数32 Hzでサンプリングして得た、時間領域
サンプル値を示している。同図0)は(a)のサンプル値をポイント数128でFFTして得た周波
数領域信号である。同図(b)が示すようにPSK変調の変調信号となる矩形パルス信号は、
多数のスペクトラム、理論的には直流から無限周波数にまでに及ぶ広帯域な周波数スペク
トラムを含んでいる。このため、複数のユーザが同じ伝送路を使用して通信を行う場合に
チャネル間で干渉を起こす。したがって、有線・無線を問わず、矩形パルス信号伝送によ
る通信システムを構成する際には周波数を有効利用するために変調データをできるだけ狭
帯域化することが必要となる。この狭帯域化は変調信号をローパスフィルタに通し、高周
波成分を除去することによって実現できる。
Spectrum of Rectangular Pulse{ABS}
Rectangular Pulse
08
茎・・
§・6
言
ξ
く04
02
Frequency [fs f N】
Tlme [1∫ fs】
② 矩形パルス波形 (1))矩形パルスの周波数成分
図3.1矩形パルス波形とその周波数成分
また、シンボル間干渉を生じることなくフィルタリングするためには、フィルタのイン
パルス応答がシンボル間隔T(s㏄)ごとにゼロクロスするものでなければならない。この基
準を満たすフィルタには、カットオフ周波数fon=1/2Tとなる理想LPFがある。しかし、
この理想LPFのインパルス応答は負の時間を含めた無限長になることから、これを実現す
ることは不可能である。このため、実際には図3.2に示すような有限長のインパルス応答
及び図3.3に示すような周波数特性を持っコサインロールオフフィルタを用いる。この2
つの図はロールオフ率α≒0、O.5、1である場合のコサインロールオフフィルタのインパル
ス応答及び周波数特性を示している。コサインロールオフフィルタではロールオフ率αが
28
ゼロに近づくと急峻な振幅特性となり周波辮lj用効率は上がるが、欠点としてフィルタ出
力波形のアイが狭くなり、シンボルの判定タイミングずれによりビットエラーが生じやす
くなる。この原因は、図3.2に示したようにインパルス応答のサイドローブが大きくなる
ことである。
以上より、送信側ではバイナリ(2値)系列の送信データから得たインパルス信号をコ
サインロールオフフィルタに通して帯域制限し、変調信号とする。変調器ではこの帯域制
限された変調信号で搬送波を変調することにより、BPSK変調波を得る。
h(t)
i
s
1
竃
‖
’
4
1
」
α=1
α=0.5
』
α=0
声’へ已
賭転 .,
cノ
du
一4T −3T −2T −T
t
Ψ
も 、
0
T
Time
2T 3T 4T
図3.2 コサインロールオフフィルタのインパルス応答
lH(f)1
1
胃
三〇.5
:Ro|l off Factor
量
:Period of symbol
0
f
0.5/2T
1/2T
1、5/2T
1/TFrequency
図3.3 コサインロールオフフィルタの周波数特性
1
29
3.3帯域制限された変調信号によるBPSK変調
以上のようにBPSK変調では変調信号を予め帯域制限しておく必要がある。変調信号を
帯域制限するためには、まず、変調信号であるシンボル周期がTで正負の極性を持つNRZ
矩形パルスをアップサンプルする。アップサンプルによって得られたサンプル値の内で各
NRZビットの先頭にあたるサンプル値のみを残し、以後のサンプルを「0」にすることに
よりシンボル周期がTのNRZインパルス列δnが得られる。このNRZインパルス列δnを
コサインロールオフフィルタに通せば、変調信号は帯域制限される。
帯域制限された変調信号m(t)は、次式(3−4)のように表すことができる。
mθ一Σδ.γ(t−nT)
(34)
n=−oo
ここで、r(t)はロ・一ルオフフィルタのインパルス応答であり、αはロールオフ率である。
γθ一漂τ)・篭鵠
(3−5)
δn∈(1, −1)
この帯域制限された変調信号m(t)によって周波鞄の搬送波をBPSK変調すれば、式(3−6)
で表される帯域制限されたBPSK変調波SBPSK(t)が得られる。
s。。,K(t)一功θc・ぷ2砿
ここで、
(3−6)
1
晦欧(t):帯域制限されたBPSK変調波
m(t) :帯域制限された変調信号
fc :搬送波周波数
t :時刻
30
騨
3.4周波数領域におけるBPSK変調
図3.4に時間領域と周波数領域におけるBPSK変調を示す。図中で『⇔』はフーリエ変
換対(Fourier Transform Pairs)、『×』は積(MUItiplication)、『⑧』はコンボリューション
(Convolution)、『↓』はその上に示した積、あるいはコンボリューション演算の結果を表
している。
まず、伝送する符号「0」及び「1」を、「1」及び「−1」へとマッピングした同図(a)に示
す周期TのNRZ(Non Retum to Zero)信号である矩形パルスを生成し、これをBPSK変調
信号とする。
次に、コサインロールオフフィルタリングの前処理として、このNRZ信号である矩形
パルスを(a)を周期Tsのインパルスでアップサンプルし、得られた各NRZビット先頭にあ
る1サンプルのみを残した上で、以後のサンプルを「0」とすることによりインパルス化した
NRZ信号Φ)を得る。同図(B)は、このNRZインパルス信号(b)の周波数成分を示している。
こうして得たNRZインパルス信号(b)を帯域制限するために、コサインロールオフフィ
ルタ(c)に通す。コサインロールオフフィルタによるフィルタリング処理は、時間領域では
入力信号であるNRZインパルス信号Φ)とロ・一ルオフフィルタのインパルス応答(c)とのコ
ンボリューションであり、周波数領域ではNRZインパルス信号(b)の周波数成分(B)とコサ
インn・一ルオフフィルタの周波数特性(C)との積である。帯域制限された変調信号の時間領
域信号である波形を(d)に、また、その周波数領域信号である周波数成分を(D)に示す。
最後に、この帯域制限された変調信号で搬送波をPSK変調すれば、 BPSK変調波が得ら
れる。変調処理は時間領域では変調信号(d)と搬送波(e)との積であり、周波数領域では変調
信号◎と搬送波㊤とのコンボリューションである。
(0はBPSK変調波を時間領域信号である波形で表しており、(F)は同じBPSK変調波を周
波数領域信号である周波数成分で表している。
31
Time regior1
Frequency reg i on
NRZ Data
t
(a)
Ts
NRZ Data lmpu l se
NRZ
1
t ⇔
(b)
0
T
(B)
4T 5T
3T
2T−;
一一一一
ゾ
Z
蔦ヨ
T 2T 2T T
一1
⑳
×
Cos i ne
Cos i ne Ro日一〇ff Filter
9(t)
(c)
一2
一T O
T
2T
t ⇔ (C)
一一一一
!
Z
罵=fs
2T 2T
↓
↓
Cosine Roll−Off Filter
Output m(t)
t ⇔ (D)
(d)
Z
蔦=兎
一一一一
2T 2丁
f
×
Carrier
t ⇔ (E)
(e)
礼
0 ノる ノ§」咋ノ§
f
∪
ulated Output
(f)
t ⇔
(F)
0 ノら ノ§一充兎
× Multiplication
⑳C・nv・1uti・n
図3.4 時間領域と周波数領域におけるBPSK変調
32
!
第4章周波数領域におけるBPSK復調
本章では周波数領域での搬送波再生について述べる。BPSK受信波を周波数2兎でサンプ
リングして得たサンプル値の2乗値をFFTすると、その結果には搬送波周波数fcの2倍の
周波数付近にピークが現れる。本復調方式では、このピークを含む2成分を抽出すること
によって周波数領域で搬送波を再生する。
4.1BPSK変調波のパワースペクトラム
図4.1にビットレv・一一・・ト=64 SymbOYsec、ロールオフ率=・O.5のロ・一・・…ルオフフィルタによっ
て帯域制限した変調信号で、搬送波周波litf、・・256 Hzの搬送波をBPSK変調した変調波を
周波数産=1,024Hzでサンプリングし、ポイント数N=1,024でFFTして得たパワースペク
トラムを示す。横軸は周波数、縦軸はパワースペクトラムの大きさを示している。同図に
示すように正の周波数に相当する256←fc)Hzと、負の周波数に相当する768←fc−f、=
1,024−256)Hzを中心としたスペクトラムが確認できるが、 BPSK変調波では搬送波は抑圧
されており搬送波周波数を特定することは困難である。
Power $pectrum of BPSK Modulated Signal
30
SymbOI Rate=64 SymbOVsec
Roll−OffFaCt{)r=0.5
Carder F㎎u㎝cy /3ニ256 Hz
§
Samp血ng Fiequencyノ§=1,024 H2
言
FFT Poiヒnts 2V・=1,024
く
一40
0
200 400 600 800
1000
Frequency [Hz]
図4.1BPSK変調波のパワースペクトラム
33
4. 2BPSK変調波の2乗値のパワースペクトラム
図4.2に、4. 1で示したBPSK変調波を周波数2九=2,048 Hzでサンプリングし、各サン
プル値の2乗値を求め、これをポイント数1V=2,048でFFTして得られるパワv−一・一‘Lスペクトラ
ムを示す。横軸は周波数、縦軸はパワースペクトラムの大きさを示している。同図より明
らかなように、2乗値のパワースペクトラムには搬送波の2倍の周波数に等しい正の周波
数に相当する512←2fc=256×2)Hzと負の周波数に相当する1,536 Hz←2ifc−fs)=
2,048−256×2)也に大きなピークが現れる。本復調方式では、この2乗値のパワースペク
トラムに現れるピーク近傍のサンプルを抽出し、初期位相φを補正して搬送波を再生する。
Power−Spectrum of $quared BPSK Modulated Signal
30
Symbol Ra施=64 SymbOYsec
20
Roll−OffFac⑩r=065
10
Carrier Frequency ノε==25.6 Hz、
呂
亘
Samplmg Fiequency/9=2,048 HZ
言一1,
FFr Pomお」V=1,024
<
−20
一30
一40
0
2000
500 1000 1500
Frecluency 【Hz 1
/
図4.2BPSK変調波の2乗値のパワースペクトラム
34
4. 3信号の切り出し幅が離散フーリエ変換に及ぼす影響
離散フーリエ変換では、連続フーリエ変換の対象である連続信号を一定の周期で標本化
し、任意の長さで切り出すことにより得られる有限長の離散サンプル列が扱う対象となる。
更に、この有限長の離散サンプル列には周期性、すなわち切り出したサンプル列が繰り返
されるという条件が付加される。
連続した周期信号を標本化して得られた離散サンプルが元の連続した周期信号の周期の
整数倍で切り出されるのなら、切り出された離散サンプル列に周期性を課しても、離散サ
ンプル列の繰り返しは連続した周期信号を標本化して得られた離散サンプルに等しくなる。
このため、離散値であることを除けば、離散フーリエ変換の結果は連続フーリエ変換の結
果と同じものになる。
しかし、切り出し幅が元の連続した周期信号の周期の整数倍でない場合には、離散フー
リエ変換の結果と連続フーリエ変換の結果には誤差が生ずる。
ここでは、信号の切り出し幅が離散フーリエ変換に及ぼす影響について述べる。
4.3.1 帯域制限周期波形:切り出し幅が周期に等しい場合
図4.3に、正弦波信号h(t)をその1周期に相当する切り出し幅で切り出したときのフv−一一一“
リエ変換を示す。図中で『⇔』はフー一リエ変換対(Fo血er T輪飴㎜Pa治)、『×』は積
(Mt卿Uca加n)、『⑧』はコンボリューション(Convolution)、『U』はその上に示した積、
あるいはコンボリューション演算の結果を表している。
はじめに、同図(a)に示す正弦波信号h(t)を、(b)に示す周期τの標本化インパルス列Ao(t)
を用いて標本化する。時間領域での標本化処理は、(a)に示す正弦波信号h(t)と(b)の標本化
インパルス列Ao(t)との積h(t)∠0(t)であり、標本化された信号は(C)のようになる。また、
この時間領域での標本化処理は、周波数領域では(A)に示す正弦波信号h(t)のフーリエ変換
Hのと(B)に示す標本化インパルス列Ao(t)のフーリエ変換40のとのコンボリューション
H切⑧40のであり、結果は(C)のようになる。
次に、標本化された信号からN個の標本値を切り出して、標本化された信号を有限長化
する。時間領域での信号の切り出しは標本化された信号(c)と長さToの方形窓(d)との積で
あり、切り出された信号(e)はh(t) Ao(t) x(t)で表される。一方、この時間領域での信号の切
り出しは、周波数領域では(C)に示す標本化された正弦波の離散値信号h(t) Ao(t)のフーリ
35
工変換対H(f)(9>Ao(7f)と、(P)に示す方形窓のフーリエ変換対であるxの=乃5傾π瑚/(π
TOf)とのコンボリューションH切⑧∠o切⑧晦)となる。図4. 3では、切り出し後に残った
N個の標本値からなる有限長の標本値列(e)が元の波形(c)の1周期分に対応するように方形
窓の長さを選んでいる。
この有限長の標本化列(e)のフーリエ変換くE)は、周波数領域ではインパルス関数列(C)と
Xの=1b励(π TOf)/(π塀)で表される(D)とのコンボリューションに等しい。図4.4(B)に、
図4、3(E)に示したコンボリューション結果H(f)(DAo(f)XX(Z)を拡大したものを示す。図
4. 4(B)の細線は同図(A)に示したH(Z)の各インパルスを中心として置かれたsin(πTOf)/(π
TOf)関数を示しており、太線はこれらの波形を加え合わせたものである。コンボリューシ
ョンされた後の信号である図4.4㊤)は、同図(A)が示す元の連続信号h(t)のフーリエ変換
Hのに比べて著しく歪んでいる。これが信号の切り出しによって現れる離散フーリエ変換
と連続フーリエ変換との違いである。
しかし、この図4.4(B)及び図4.3(耳)が同図(F)に示す周波数標本化インパルス列で標本
化されると、歪みは除去される。この周波数領域での標本化は、周波数領域信号㊤と41の
で表される周波数標本化インパルス列(F)との積である。歪みが無くなるのは、as)の周波
数標本化インパルス間隔が1/Toであり、しかも、これらの周波数インパルスの現れる周波
数において図4.4(B)の太線が±1/Toでは0となるからである。
この周波数領域での標本化は、時間領域では(e)に示すh(t) Ao(t) x(t)と①に示す信号A
1(t)とのコンボリューション[h(t) Ao(t) x(t)](9) Ai切となる。図4. 3では、標本化され切り
出された信号(e)の波形は元の波形のちょうど1周期分であり、時間領域のインパルス列(0
のインパルス間の間隔はToであるから、このコンボリューション結果は(g)に示すような周
期信号となる。したがって、(9)の波形は(c)の波形に等しくなる。周波数±1/Toは、図4.3(A)
に示す元の周波数信号ff(θに含まれるインパルスに対応する。時間領域における切り出し
のために、これらのインパルスは元の面積N2ではなくATo/2Tとなっている。また、図
4.3(g)の振幅の最大値は元の波形(a)の振幅の最大値がAであったのに対し、周波数領域に
おける標本化のためにAToとなっている。
以上から、離散フーリエ変換と連続フーリエ変換の結果が一致する条件は、(1)時間信
号h(t)が周期的であり、(2)h(t)が折り返しを生じることの無いように帯域制限されていて、
(3)標本化周波数がh(t)の最高周波数の少なくとも2倍以上であり、(4)切り出し信号x(t)
がh(t)のちょうど1周期内(または整数周期内)でのみ非零であることである。
36
Time region Frequency region
h(t)
(a) (A)
H(f)
A/2
t⇔ f
−1/To 1/To
To
x ⑧
1
△ o(t)
△o(f)
(b) (B)
● ●
1/T
● ● ●
t 〈⇒ f
−1/T 1/T
T
1
u u
h(t)△o(t)
A
(c) (C)
A/(2T)
H(f)⑧△o(f)
t ⇔ f
⊂
−1/To 1/To
× ⑧
lX(f)1=
x(t)
T・IT。sin(πT。fi/(πT。rf)1
1
(d) (D)
To
t⇔ f
−T/2 To−T/2
−1/To 1/To
W(t)△。(t)x(t) UIH(f)⑧△。(f)Pa、X(f)1
(e) (E)
t⇔ f
To
⑧ ×
△1(t)
△1(f)
To
(f) (F)
t ⇔
−To To
To
U . (AT。)/(2T)↓1田(fi⑧△。(D(9、X(D]△,(D 1
[h(t)△o(t)x(t)
ATo
@ N
(9) (G)
t ⇔
To
× Multiplication
⑧C・nv・luti・n
図4. 3 帯域制限波形の離散フーリエ変換:切り出し幅が周期に等しい場合
37
H(f)
A
2T
f
L1
1
To To
(A)・・図4.3(A)の拡大図
1.2
1 8 ‘
H(f) ‘已 一 一 一 ’ 工 ●
sin(π
⑧△。(f)⑧T。 ; 一一,,一」r,一・一一,,」●一一一一=●」
E ‘ ‘
戟@ l ‘
1
P ‘ 1
│1−一一■一●一=」一一一一一一一一L−■一一一
1 ‘ l
2T
h、
戟@ ■ I
戟@ l l
e 1 ‘
0.8『
⊥__i__L.1−
堰@i il
∼ ‘
e ‘
P 1
P 1
1
1 ‘
1
一 一
1 ‘
1 |
1 ‘
‘ ‘
黶v1−− 1 ∼
cw+一………一一 l l
C 1
e 1
一 ● −
P 1
P 1
P ↓
P|
e ‘
l l lll
1 1 , 1
│1+一一一+…一一一 1・ 1
{…一.一+一……トート…−
喧 一 一 一
戟@ l ll
㌔ |エー●一● 」− 1
1− ● ’ 一 一
戟@ ‘ ,
c一31 ‘/
1 ●
e 1
戟@ l
h ‘
@ 1−一一一一゜ 1−一一゜一一■−r一鍾
1
‘ I I
I I ’
CゴーA ・ ,〆 ・
1 ‘
@ 1
@ ●
e ‘ I
e 1 ,−1−°一 一一1’ロー’°一一一「 一゜一゜一一
0
e ‘
e 1
@} l l ‘
‘ ‘ ‘
く 〔).2
h I
㌔ ‘l l_」 __一」_一●_一一一_L___⇔一一一J
‘ ‘
e ‘
Pヤ’一’
@1
−o.6
言
‘ ‘
` 1
@ ’一一一一
笥’
‘ ‘ ‘ 1
亘a4
院 ‘
` ‘1 ‘
∼∼1
÷一{一叫一巨一l l ll
8
G πTo
1」血
P ‘ l
‘
ll㌔1
‘
Yピー「s㌧ ‘ゾ s ‘♪ 、、
、㌧
@ °一、
1 ‘
1 1
PF−Nlゴq…∼㌔’・1宕 へ
c’、’ 1
、\
「⊃
c …+夕1 …\/: 1㌧ ノl l㌧∬一・一一一一一一一一・一一’㌔メー㊤一一一一一一一中一一L二∼’一一
1 ピ’ 、、 已
、 一
゚二絃一 一
−O.2
1 ‘ 1
‘
‘ 1
‘ ‘
l l l
I l l
‘
1 1
1 ‘
1
‘ 1
l l ‘
1
‘ 1
, ‘ 1
1
I I
1 ■
1 ‘
1 ‘
−O.4
−4−3−2−1012{34
Frequency.[1 f Te】
(B)、図4.3(E)の拡大図
図4.4 図4.・ 3(E)に示したコンボリューションの拡大図
ノ
38
4. 3.2 帯域制限周期波形:切り出し幅が周期に等しくない場合
次に帯域制限された周期信号が標本化された後、4.3.1とは異なり1周期の整数倍でな
い長さで切り出された場合について述べる。この場合の離散フーリエ変換と連続フーリエ
変換はかなり違ったものとなる。
図4.5に、前例4. 3. 1とは周波数が異なる正弦波信号h(t)をその1周期の整数倍でない
長さの切り出し幅で切り出したときのフーリエ変換を示す。図中の『⇔』はフーリエ変換
対、『×』は積、『⑧』はコンボリューション、『U』はその上に示した積、あるいはコンボ
リューション演算の結果を表している。
同図に示す時間領域信号(e)と(bを時間領域でコンボリュv−一・・一ションすると、その結果(g)
は周期信号となるが、結果は元の信号の写しにはならない。したがって、(a)と(g)のフーリ
エ変換(A)と(G)も一致しない。
標本化され切り出された波形(e)のフーリエ変換:(E)は、周波数領域のインパルス列(C)と
(D)に示す方形窓のフーリエ変換対である功)=1b励(π聯)/(π TOf)とのコンボリューショ
ンH(/)⑧∠o(ノ)(泌のとなる。図4.6(B)に図4.5(耳)の拡大図を示す。図4. 5(耳)に示したコ
ンボリューション結果を同図(F)に示す周波数間隔1/Toの周波数標本化インパルス列で標
本化すれば、図4.5(G)及び図4. 6(B)に示すように複数のインパルス列が得られる。これは
図4.5(g)の周期時間信号のフーリエ変i換となっている。ここで、直流、すなわち周波数0
のところにインパルスがあるが、これは切り出された波形の平均値を示している。図4.5
の場合、切り出された波形の長さToは1周期の整数倍ではないから、平均値は一般に0と
ならない。周波数領域においてこれ以外のインパルスが現れるのは、Xの=1b砲(7t TOf)/(π
TOf)信号の0となる点が、前の例のように各標本点とは一致しないからである。1周期の
整数倍以外の長さで切り出すと、その結果を1周期とする周期信号には(g)に示すような鋭
い不連続が現れる。時間領域におけるこのような急激な変化は、(G)に示すように周波数領
域において余分な周波数成分を付け加える。
したがって、周波数領域信号は、もはやインパルスではなく複数の周波数成分の連続信
号である。この信号においては元のインパルスの位置に極大値(ピーク)が現れ、そのまわ
りにサイドローブ(side−lobe)と呼ばれる一連のピークが生じる。このようなサイドロー
ブがあるために周波数領域における標本化の際、余分な周波数成分が付け加わる。この現
象は漏れ(leakage)と呼ばれ、時間領域において信号の切り出しが必要な離散フーリエ変
換に避けられないものである。
39
Time reg i on Frequency reg i on
H(f)
h(t)
(a) (A)
A/2
t⇔ f
To ’ To
−5/(4To) 5/(4To)
× ⑧
1
△o(f)
△o(t)
(b) (B)
1/T
● ● ●
● ●
t⇔ f.
1/T
−1/T
T
u U
h(t)△o(t)
A
(c) (C)
A/(2T)
H(f)⑧△o(f)
t⇔ f
−5/(4To) 5/(4To)
1/T
x ⑧ 「エ
IX(f)1=
x(t)
To ITo s i n(πTof)/(πTof)1
1
(d) (D)
To
t⇔ f
−T/2 To−T/2
−1/To 1/To
W(t)△。(t)x(t) ViH(f)。△。(f)⑧X(f)1
(e) (E
t⇔ f
−1/To 1/To
To
⑧ ×
△1(t)
△1(f)
To
(f) (F)
t⇔
−To TO To
U, (AT。)/(2T)妙1田㈹⑧△。6⑧X(D]△,(fiI
[h(t)△o(t)x(t)
ATo
@ N
(9) (G)
t⇔
To
× Multiplication
⑧C・nv・luti・n
図4.5 帯域制限波形の離散フーリエ変換:切り出し幅が周期に等しくない場合
40
H(f)
A
2T
一
F
f
5
一5
−
4To 4To
(A)図4.5(A)の拡大図
sin(πT
H(f) : ‘ ⑧△・!f)⑭T?πT。f ‘ ‘ ‘
1.2
・ l I
h ‘ 1
e ‘ ‘
‘ ‘ ‘
1
e ‘ 1
iAL
‘一一2T.
…一一一†一’…†一一’パ・ 1 ‘ ‘]
1
│ 一 一 一 ’ 一 一
1 ‘ ‘
@ 1 ‘ ‘
鼈鼈黶v一一一一一一一一L−一一●,一一」
一・情
C〆 ㌧1‘ ㌔ 、
@ ‘ ‘ I
@ l I l
@ ‘ 1 ‘
‘ 1 ‘ 〆
‘ ’ ‘
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1 ‘ ‘
0.8
1 ’ ‘
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l I ‘
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一 一 ・ 一 一 一
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‘ 1 ‘
1 1 1
1 ‘ ‘
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I I I− 一 一 一 一 ● 一 一 一 一 一 ● 一 ● 一 一 ロ ー −
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1 . 8 1
1 1 1
−O.4
・ Frequency [1∫To】
(B)図4.5(耳)の拡大図 t’
図4.6図4.5(E)に示したコンボリューションの拡大図
41
4. 4 FFTの離散周波数と搬送波周波数の関係
4. 4. 1FFTの離散周波数に一致した搬送波のFFT
離散フーリエ変換においては、時間領域信号の切り出した区間内の標本値が繰り返され
ること、言い換えれば、切り出した区間で周期性を持つことが前提となっている。したが
って、切り出した信号の標本値の繰り返し波形が本来の連続信号波形と一致すれば、離散
フーリエ変換は離散値で表現されることを除いて、連続フーリエ変換に等しくなる。
信号が周期的な単一周波数である搬送波をFFTの対象とする場合、搬送波をその周期の
整数倍で切り出したときにのみFFTの離散周波数に一致した標本値が得られ、基本周波数
の整数倍に正規化されて周波数成分が並ぶことになる。
図4.7(a)に周期信号である余弦波で表された周波19(f, ・・1/8Hzの搬送波h(n7)が、その周
期の整数倍の時間で切り出された場合の標本値を示す。これが、搬送波周波数がFFTすな
わち離散フーリエ変換の離散周波数に一致した場合の標本値である。横軸は時間、縦軸は
標本値の大きさを表している。同図は搬送波を標本化間隔7』1.O secで標本化することによ
って得られた、N=32個の標本値である。このN=32個の標本値は、周期波形である搬送
波の4周期分の標本値であり、この場合、標本値の繰り返しは連続信号に一致する。
次に、次式(4−1)を用いて図4.7(a)の標本値をポイント数1V=32でFFTした結果を同図(b)
に示す。横軸は周波数、縦軸は周波数成分の大きさを表している。図中の標本値は、FFr
結果の絶対値を示している。
H⊂晶〕一曙乃(kT)〆卿
(4−1)
同図(i))が示すように搬送波がその周期の整数倍で切り出される場合、そのFFT結果は唯
一の周波数成分となる。したがって、この場合の離散フーリエ変換と連続フ・・一一一・・リエ変換は
等しくなる。
42
Waveform of Carrier cos(2πfc t) fc=W8
1
一一一一一一一一
G一一一一一一一
一一一一一一一一
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0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000
Time 【msec1
(a)
連続した余弦波をその4周期分の長さで切り出した場合の標本値
Spectrum of Carrier cos(2 sc f t) f=1/8
O.5
0.4
き
誉゜3
<02
0.1
Frequency l I 32【Hzl
(b) (a)のFFT結果
図4.7 1周期の整数倍の長さで切り出した余弦波の離散フーリエ変換
43
4.4.2FFTの離散周波数に一致しない搬送波のFFT
一方、図4.8(a)に周期信号である余弦波で表された周波数f、=1/9.143Hzの搬送波h(n7)
がその周期の整数倍とならない時間で切り出された場合の標本値を示す。これが、搬送波
周波数がFFTの離散周波数に一致しない場合の標本値である。横軸は時間、縦軸は標本値
の大きさを表している。同図は、搬送波を標本化間隔T−1.O “secで標本化することによって
得られた1>≒32個の標本値を示している。周期信号を1周期の整数倍でない幅で切、り出す
と、時間領域において鋭い不連続を生じる。同図が示すようにN=32個の標本値で表され
る波形は1周期の整数倍になっていない。したがって、このN=32個の標本値を繰り返す
と急激な不連続が発生する。
図4. 6(b)に、同図(a)の標本値をポイント数1v=32でFFTすなわち離散フーリエ変i換した
結果を絶対値で示す。横軸は周波数、縦軸は周波数成分の大きさを表している。このよう
な不連続部分を含んだ標本値をFFTすると、サイドローブと呼ばれる複数の周波数成分が
生じる。サイドローブは、時間領域の標本化による切り出しがFFTの離散周波数に一致し
ない場合に、標本化信号sinf/fが周波数領域においてサイドローブを持つために発生する
ものである。そのため、サイドn一ブを持つ標本化信号sinf/fと切り出した信号との畳み
込みであるFFT結果にも余分な周波数成分が生じる。これに対し、図4. 5の場合のように
切り出し幅を1周期の整数倍に選ぶならば、周波数領域での標本化インパルス列のインパ
ルスの位置はsinf/f信号が0となる点と一致するためにサイドローブは発生しない。
したがって、時間信号の切り出し幅が1周期の整数倍でない場合には、離散フv−・一…リエ変
換の結果に複数の周波数成分が現れ、離散フーリエ変換と連続フーリエ変換の結果は異な
ったものとなる。
44
Waveform of Carrier cos(2πfc t)fc=1/9.143
0.8
06
0.4
di o.2
墓
晋
く−02
−Q4
−O,6
−O,8
司
0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000
Time 【msec1
(a) 連続した余弦波をその周期の整数倍に等しくない長さで切り出した場合の標本値
Spectrum of Carrier c◎s(2πfc t) fc=1/9.143
§”
言゜3
妄.
FreCluency 1132【Hz】
(b) (a)のFFT結果
図4.8 1周期の整数倍に等しくない長さで切り出した余弦波の離散フーリエ変換
45
4. 4. 3 搬送波の周波数を離散周波数サンプル間隔内で変化させたときの周波数成分
搬送波の周波数を離散周波数サンプル間隔内で変化させたときに周波数成分がどのよう
になるのかについて検討する。図4.9では例として、切り出し幅とFFrのポイント数を一
定にしたままで、余弦波の周波数を8Hzから9Hzまで変化させたときのFFT結果であ
る周波数成分を示す。サンプリング周波数は32Hzであり、FFTのポイント数は32である
ので、FFTの離散周波数間隔はlHzになる。同図(a)からO.1・Hz刻みで周波数を増加させ
ていくと、切り出し幅が余弦波のi整数倍になっている8H乞と9Hzの場合では正及び負の
周波数にそれぞれ唯1つのスペクトラムが現れるが、それ以外の場合では複数の周波数ス
Y 7.
ペクトラムが発生している。
ここで、正の周波数領域に注意すれば、周波数の8Hzから9Hzへの増加に伴って8Hz
の成分は減少し、代わりに9Hzの成分が増加している。周波数が8H乞から8.4・Hzへの
増大部分では最大周波数成分を示す8 Hzの成分は減少し、9Hzの成分が増加している。
周波数が8Hzと9H之の中央値である8.5 Hzでは、8Hz、9Hzの両成分は等しい。更
に周波数が8.6・Hzから9Hzへと増大する部分では、周波数成分の最大値が8Hzから9Hz
に移行し、次第に9Hzの周波数成分は増加している。負の周波数では、その性質からfs/2
に対して対称的な変化を示している。
以上の結果、搬送波周波数がFFrの離散周波数に一致しない場合においても、搬送波周
波数はFFT結果に現れる最大周波数成分(Maxエeak)を示す離散周波数と2番目に大き
い周波数成分(2nd Peak)を示す離散周波数の間に存在することがわかる。
46
Power・Spectrum of Cartier【fc = 8Hz]
power−Spectrum of Carrier[fc=8.1Hzl
0、5
0.5
「0.4
0.4
§
8
言o・3
亘o.3
9
左
<
0.2
0,2
0,1
0.1
10 15 20
Frequency[fs r N Hz]
25
0
5
10 15 20 25
30
Frequency [fs∫N Hz]
(a)f・−8Hz
(b) ノ』8.1H乙
P。wer−Spect・um・f Carrler Efc ・8.3H・】
P°we”Spect「um°f Ca「「ie「∬c=8・2Hヨ
0.5
O.5
0.4
0.4
8
8
亘03
e_ o.3
9
9
<
<
O.2
0.2
0.1
0.1
0
5
10 15 20 25
30
0
5
Frequency[fs∫N Hz]
10 15 20 25
30
Frequency[「s i N Hz]
(c) ノ』8.2H2
(d) ノ㍗=8.3H乙
P。w・r・・S’
Power・Spectrum of Carrier『fc =8.4Hz]
0.5
O.5
0.4
0.4
8
3
亘03
o・・t・刷。fC・r・i・T・[f…8.5H、1
亘o,3
9
2
<
r:
O.2
0.2
0.1
0,1
0
5
10 15 20 25
30
0
Frequen(y[fsfN Hz]
5
10 15 20 25
Frequency[fs l N Hz]
(e) ノ『=8.4H乞
({) f=8.511z
47
30
power.Spectrum of Carrler∬tc= 8.7Hz]
Power・Spectrum of Catrier【fc=8・6H之】
0.5
O.5
0,4
0.4
9
8
亘03
塁03
9
9
<
<
0.2
0.2
0.1
0.1
10 15 20
10 15 20 25
Frequency[fs l N トセ]
Frequency[fs t N Hz]
(h)f=8.7Hz
(g) f=8.6Hz
ス
Pewer−Spectrum of Carrler【fc=8・9Hz]
Pewer−Spectrum of Carrler【rc=8.8Hz]
0.5
0.5
0,4
0.4
8
Φ
℃
亘03
ヨ
=03
2
0
∈
<
<
0.2
02
0.1
0.1
∼
10 15 20
Frequency[fs t N H≠1
10 15
Frequency[fs∫N Hz]
①ノ』8.9Hz
(i) f=8.8 】翫
Power・Spectrum of Carrler【fc = 9Hzl
0.5
0.4
§・
芸α3
妄
0,2
0.1
10 15 20
Frequency[fs l N Hz]’
(k)f=9Hz
t
図4.9
余弦波の周波数を8Hz から9Hzまで変化させたときの周波数成分
48
ン
4.5 周波数領域での搬送波再生
BPSK波の2乗値のFFT結果に現れ、るピーク付近のサンプルから搬送波を再生する方法
について述べる。本復調方式では兎でサンプルした正弦波を答でサンプルし、そのFFT
結果と同じ正弦波の2乗値のFFTとの関係を利用する。
4.5.1fsでサンプリングした正弦波と2fsでサンプリングし2乗した正弦波の同一点FFT
の関係
同一正弦波を周波数ズでサンプリングして得た最初の2VサンプルをN点FFTした結果
と、周波数2κでサンプリングして得た最初のNサンプルの2乗値をN点FFTした結果と
の関係を明らかにする。
図4.10(a)に示す正弦波7(t)= cos(2πf、t+φ)を想定する。ここで、 fcは周波数、φは初期
位相(t=0における位相)、「⇔」はフーリエ変換対を示している。この正弦波Kt)を周波数
兎でサンプリングして得たサンプル値をKn)と表せば、同図(b)に示すf(n)=・cos(2πnf、/fs+φ)
となる。このKn)の最初のNサンプルに対するN点DFTをF(k)(k O,1,…,1W1)と表せば、
ムア 1
F(k)一㌃Σf(n)θ一迦”N
ニ
ー÷蔦c・s(2願+φ)e一ノ…
N 一歳レ2嚇晒㌔ノ{2刎蹴”州
(4−2)
一詰φ曇∂卿一め+吉〆曇〆m(f・/f・−k/N)
ニ17+(k)+F−(ん)
となる。ただし、
ハし F+(k)一吉θ・φΣθ・2m(fc/f・ ”k/N)
(4−3)
二
F−
ik)−Slv edノφ蔦ビノ͡/N)
49
(4−4)
である。ここで貫(k)とF(k)は、同図(c)に示す頁k)の正及び負の周波数成分である・
一方、同じ正弦波Kt)を周波数答でサンプリングして得たサンプル値をfio(n)と表せば・
同図(d)に示すfi2(n)=cos(πnf、/fs+φ)となる。このfo(n)の各サンプル値の2乗値{励(n)}2
から直流成分を除去した9(n)=2{fio(n)}2−1を求める。同図(e)は9(n)を示している。9(n)の最
初のNサンプルに対するNポイントDFTをG(k)と表せば、
ハト Gθ一吉蔦9ω百ノ 一織猛・2(n)}2−1】e’・2znk/N
=寿20[2{c・s(znf・ /f・ +φ)}2 一一 1]e”」…
ノ 一寿亙{c・s(2zf.nT,+2φ)}〆鋤庇/N
(4−5)
一鴫レ{拠郷2φ}+ed・伽( 判
一吉θ・薯一一品ピ・2燥 )
=G+(k)+G−(k)
となる。ただし、
N−1
G+(k)一嘉「θノ2φΣθ伽ω五一え殉
(4−6)
”2,
G’(k)一詰ノ2φXeつ2励(fc / fs +k”N)
(4−7)
である。ここでG+(k)とG『(k)は同図①に示すG(k)の正及び負の周波数成分である。
式(4−3)と式(4−6)及び式(4・4)と式(4−7)を比較すると、戸(k)とF(k)及びG+(k)、G−(k)の間
には、式(4−8)及び端4−9)で表される関係が成立していることがわかる。
50
F+(k)=eつφG+(え)
(4−8)
F− ik)=θノφG−(k)
(4−9)
式(4−8)、式(4−9)は初期位相成分であるexp(グφ)が求まれば、正弦波の2乗値の周波数成
分ぴ(k)、G−(k)から元の正弦波の周波数成分戸(k)、 R(k)を求めることができることを示
している。
本論文では、以上の関係を用いてBPSK波を周波数2κでサンプリングして得た最初のN
サンプルの2乗値をF町し、その結果に現れる2fcまたは2(rl−fc)付近のピークを中心に複
数の周波数成分を抽出することによって、jt9でサンプルされた搬送波の周波数成分を求め
る。初期位相φを求める方法については次項で述べる。
51
Time Region
Frequency Reg i on
(a) f(t)=cos(2πノちt+φ)
t
(c) F(k)=F+(k)+ F−(k)
(b)f(n)=c・s(2πn雄ゆ)
F+(k) F−(k)
1/九
n⇔
〔
mSamples
k
(8)f6(難)fs一彊
(プ)
LN Samples−」
(d)f1/2(n)=cos(πn/5佑+φ)
1/2fs
n
N Samples
(f) G(k)=G+(k)+ G−(k)
(e) 9(n)=2{fi/2(n)}2−1
5
G+(k) G−(k)
1/2fs
n⇔(1)2鵬2喘一(〉
LN Samples」
図4.10fsでサンプルした正弦波及び2fsでサンプルし2乗した正弦波のN点FFT
52 ノ
4・5・2正弦波の2乗値をFFTした結果の最大2隣接サンプルから初期位相φ
を求める方法
周波数fcの正弦波を周波数答でサンプリングし、サンプル値の2乗値をN点FFrする
と、搬送波の2倍の周波数である2fc付近にピークを持つ分散した周波数成分が現れる。
図4・11は2乗値サンプルのFFT結果G(k)を示している。横軸は2兎でサンプリングした
搬送波を兎でサンプリングした搬送波とするために、周波数スケールを2ズ→兎と置ぎ換
えた後の値を示している。細線はIVTsの長さで切り出した周波数兎の正弦波のスペクトラ
ム1石動c{πN(/−fc)/fs}1を表している。同図は正弦波の周波数fcが、㎞で表される周波
数←硫〃〉)よりわずかに高い場合の正の周波数領域成分を示しており、正弦波の周波
数fcは、編議/Nより高く、(輪+1/2)兎〃Vより低い位置にある。このとき、 Max Peak(最
大ピーク)は編叙に存在し、2n(LPeak(次に大きいピーク)は輪+1に存在する。 fcが輪
☆1Vより低く、(kinax 一一 1/2猛/1Vより高い場合の2n(しPeakは輪叙一1に現れる。
IT、sinc{πN(f−fc)/fs}1
三‡ (ノ』kfs/N)
fc+f$/N
【 Extract i on range 】
図4.112fsでサンプルした正弦波の2乗値をN点FFTして得たスペクトラム
53
同図に示した正弦波周波数fcは、㎞とδ(−1/2<δ<1/2)を用いて式(4−10)のように表す
ことができる。
f、一(km、x+δ)fs/N (4−10)
この時、受信波の2乗値のFFTであるG(kin、、)及び(Kkin、x+1)は次式(4−11)及び(4−12)のよ
うになる。
G(km、x)一ノ蒜(1一吟 (4−11)
e/2φ(1・一 e・’2n6) 件12)
G(kmax+1)=ノ
2π(δ一1)
両式よりδを求めると、δが正すなわち搬送周波数fcがインデックスkinaxの示す離散周
波数より高い場合は、
G(km、x+1)
(4−13)
δ=
G(km、x+1)一一G(kmax)
同様にしてδが負すなわち搬送周波数兎が輪の示す離散周波数より低い場合は、
G(km、x−1)
(4−14)
δニ
G(km。。)一一G(km、x−1)
3
Max_Peakの値、 G+(kin.)は式(4−6)より、
G+(km・x)一吉∂φ曇幽ぽ刷 一(4−15)
となる。ここで、
宮一1芸 (4−16)
n=O
の関係を用いるとG+(輪)は、
54 ノ
ぴ(k max):Sl7e/2φ
1_θノ2〃(f。N/fs−kmax)
(4−17)
トθノ2π(fc/五㌔/N)
となる。式(4−10)を式(4−17)に代入すれば、
ぴ(kmax)一吉θ・2φ
1_θノ2πδ
1_e/2〃δ/N
(4−18)
であり、これを変形してexp(∫φ)は次式で求められる。
ef° =,12NG’(k..)1
ネ;;;:
(4−19)
このexρO’φ)を共役複素数であるeXP(プφ)を受信波の2乗値のFFTに乗ずることによっ
て式(4−8)に示した搬送波成分を再生することができる。
55
4. 6周波数2兎でサンプリングしたBPSK波の2乗値のFFTを用いた搬送波の再生
前節で求めた関係を適用することにより、BPSK波の2乗値のFFT結果から搬送波を求
めることができる。
4.6.1搬送波再生のために抽出する周波数成分の数
周波数だの正弦波に含まれる離散周波数成分のエンベロv−一・・‘プはsinc関数であり・周波数
fcから離れるに沿って急激に減衰する。正弦波を搬送波とするBPSK変調波では搬送波周
波数から大きく離れた離散周波数には搬送波成分より変調成分が多く含まれた周波数成分
が存在する。このため、周波数抽出帯域を広げ過ぎて搬送波を再生すると搬送波成分以外
の成分を含んだ搬送波を再生してしまい、結果的にC/Nを低下させBER(Bit・Error・Rate)
を劣化させることになる。したがって、搬送波を再生するには抽出する周波数成分を極力
少なくしなければならない。
本論文では、受信した搬送波の持つ電力に対して、再生搬送波を得るために抽出した周
波数成分の電力が占める割合を求め、抽出する成分数を決めた。図4.12は図4.11に細線
で示した7劫c{πN(f−fc)/fs}をTsで正規化したsinc{πN(f−fc)/fs}の電力スペクトラムで
あるsinc2{πN(f−fc)/fs}を示している。同図から搬送波の持っ大部分の電力がfc−f、〃N≦f
≦f、+fs/Nの間に集中していることがわかる。図4. 13はAf=lf−f、1としてfcを中心に±
Afの範囲で選択した周波数成分の合計電力が受信搬送波の全電力に対して占める割合を
示している。同図からf−fc≦医〃V lの範囲で抽出した周波数成分によって再生された搬送
波は、搬送波全電力の92%を含んでおり、この範囲外の成分を抽出しても、電力増加は殆
ど見込めないことがわかる。
以上の点を考慮し、本論文では周波数抽出範囲を図4.12で示したfc−fs/N≦f≦f、+fs/N
とした。この周波数範囲での抽出周波数成分は図4.11に示LたMax_Peakの値G+(輪)で
ある1成分と、2nd_Peakの値G+(尾㎜+1)あるいはG+佐㎜一1)のいずれか1成分の計2成分で
ある。
56
Pow er Spectrum
一〇.8
CNへca
2
ここ O.6
二
ゆ
90.4
芒
Σ0.2
0
fc−−3fs/N fc−fs/N fc fc+fs/N fc+3fs/N
Frequency[f]
図4. 12搬送波の電力スペクトラム
110
100
Power Ratio
90
80
言70
』−
U0
£50
星40
30
20
10
lfs/NI I2fs/Nl l3fs/Nl l4fs/Nl
△f= lf−fcl
図4.13選択した周波数成分電力の全電力に対する比
57
4. 6.2搬送波成分抽出のための狭帯域フィルタリングによる端効果とOverlap and Saveの
適用
FFT結果として得られる周波数サンプルから隣接する幾つかのサンプルを抽出すること
は、狭帯域のフィルタリングに相当する。周波数領域においてフィルタリングを行うとそ
のフィルタ特性のインパルス応答に相当する端効果(End Effect)がFFT後の時間領域信
号に発生する。単に周波数サンプルを選択抽出するフィルタリングの場合、端効果は・図
4.14に示すようにtOに対称に+及び一の時間に存在する。同図は、2サンプル抽出に相当
する搬送波抽出フィルタリングの端効果の例を示している。図4.15に端効果が搬送波再生
に及ぼす影響を示す。同図は2周波数成分を抽出して再生した搬送波の波形の代表的な例
を示している。同図(a)は搬送波周波数がFFTの離散周波数に一致している場合であり・フ
ィルタによって抽出される周波数成分は1成分のみとなるので、再生搬送波は一定振幅の
搬送波として完全に再生できる。しかし、搬送波周波数がFFrの離散周波数に一致しない
場合には振幅が変動した搬送波が再生される。同図Φ)に搬送波周波数が離散周波数から
1/4間隔ずれた場合、同図(c)に搬送波周波数が離散周波数から1/2間隔ずれた場合を示す。
この再生搬送波には端効果として振幅変動が発生している。
lmpulse Response of Bandpass−Filter
0.5
8
皇
§
Σ
一〇.5
一1
一200
一100 0 100 200
Time 【T(=1/f)l
S S
図4. 14搬送波成分抽出用狭帯域フィルタのインパルス応答
58
1.555550 10
1
薯
コ05
芒
留o
Σ一ρ5
−1
−1.5
20 30 40 50 60
Time 【n1
(a) 一致
1.5
1
暑
コo.5
芸
ぽo
Σ..O.S
−1
−1.5
Time [nl
(b) 1/4間隔ずれ
1.5
1
§。5
萱
go
Σi−O.5
−1
−1.5
Time 回
(c) 1/2間隔ずれ
図4. 15離散周波数からのずれと再生搬送波
59
4. 6.350%Overlap and Saveによる連続波のFF’lr/lFFT処理
端効果は、FFTのために切り出した時間サンプル列の前端及び後端でOverlap and Save
を行うことにより軽減できる。Overlap区間は長いほど端効果軽減には有効であるが、実際
に処理を行うプロセッサにとっては負担が大きくなる。Overlap区間については対象とする
全サンプル長の25%あるいは50%に相当する長さでOverlapした場合、 FFr計算を効率的
に行うことができる(1)。また、パイプラインFFTを用いた場合、50%Overlapによって効率
的なFFT処理が可能である②。これらの理由により、本論文では1回の切り出しによって
得られるサンプル列の前後端で、サンプル列の長さの25%に相当する個数のサンプルを
Overlapする50%Overlap and Saveを適用した。
図4.16に採用した50%Overlap and Saveによる連続波のFFT/IFFT処理を示し、以下に
その処理手順を示す。
まず、同図①に示すように、受信波をサンプル長の50%が重なり合うように切り出す。
次に②では、受信波サンプルをFFTにより周波数領域に変換し、搬送波との周波数コンボ
リューションによる復調を行ってから、結果をIFFTにより時間領域信号に戻す。更に③
では、時間領域信号の前端と後端の25%部分を削除した上で各区間をつなぎ、連続信号
化する。2回目以降では、前に処理した信号の後端より50%前の信号からFFT処理する。
60
Rece i ved BPSK S i gna l
1 [
p 1 ;
Overlap
t
Overlap
Truncated BPSK S i gna l (N)
1
Overlap
Over lap
Truncated BPSK S i gna l
(N)
@②
1
lBPSK Signal(N)
Truncated
1
FFT/(わnv/lFFT
FFT/(bnv/lFFr
FFr/(bnv/lFFT
Demodu l ated S i gna l
N・一一・一一一一一・一一一一一
Discard
(N)
x−一一
Discard
③
Demodu l ated S i gna l
(N)
↓
一一
Rea l Part of Demodu l ated S i gna l
ζ
図4.160verlap and Saveによる連続波のFFMFFT処理
61
t
4.7BPSK復調器
以上、述べてきた理論を基にBPSK復調器を考案した。以下にDSPプログラミングに通
じる復調処理のアルゴリズム及びその回路構成を示す。
4. 7.1BPSK復調のアルゴリズム
DSPに用いるプログラム作成のためのアルゴリズムを図4. 17に示す。
初めに同図①に示す受信波を②に示すように周波数ぴでサンプリングし、適当なサン
プル数が得られた時点でそれらのサンプル列についての復調処理を始める。このサンプル
列長が受信波の切り出し幅となる。たたし、③に示すように、復調結果に発生する端効果
を軽減するために予め、実際の復調対象のサンプル列をOverlap and SaveのOverlap処理す
る。
④ではOverlapしたサンプル列について1/2デシメーションを行い、周波数fsでサンプリ
ングした受信サンプル列を作成する。⑤は、この受信サンプル列のFFT処理であり、⑥で
はこのFFT結果から正の周波数成分を抽出して信号の複素化を行う。
一方、⑦は③のOverlap and Save処理したサンプル列を2乗し、⑧では⑤と同じポイン
ト数でFFTする。⑨では、このFFT結果を用いて負の周波数成分からピーク成分を含む2
周波数成分を抽出する。更に⑩では搬送波の初期位相に関係するerpQ’ O)を計算後、⑪で
は抽出した周波数成分にeupu ¢)を乗じて搬送波を再生する。
⑫では⑥の受信サンプルと⑪の再生搬送波との周波数領域でのコンボリューションを行
い、周波数領域で復調結果を得る。この結果を⑬ではIFFTし、⑭でOverlap and Save処理
を戻せば、⑮の時間領域で表された復調信号が得られる。
なお、受信サンプルの取り込み部分である①から④及び⑦と、出力部分である⑭⑮は実
数演算となるが、周波数領域信号処理の区間すなわち、⑤及び⑧のFFT以後、⑬のIFFT
以前は複素数演算となる。
62
①
鰯eiving挑縛ave
②
Sa劇鴻at筏
③
◎》er{ap & Save ({}ver l a【})
2〈Samp l es>2一 毒
⑨
⑩
蘭ak鴻ぴe C◎m昨x§igRa}
F+切
⑪
⑬
⑭
⑮
図4.17BPSK復調のアルゴリズム
63
4.7.2BPSK復調器の構成
図4.18に本論文で提案するBPSK復調器の構成を示す。
BPSK受信波を周波数ぴでサンプリングし、4. 6. 3で述べたOverlap and Saveを適用し
てサンプル数2Nごとに切り出す。切り出したサンプルを1/2デシメートすれば、周波数
兎でサンプリングしサンプル数1Vごとに切り出された受信波のサンプル値となり・これを
N点FFrして周波数領域信号(A)を得る。次に、 O−fs/2の方形窓(B)を用いて(A)から正の周
波数成分のみを取り出せば、複素信号(C)が得られる。
一方、搬送波を再生するためには、BPSK受信波を周波数ぴでサンプリングして得たサ
ンプル値を2乗する。この2乗値サンプルの最初からNサンプルをN点FFTすれば、2乗
波の周波数領域信号(D)となる。(D)には正の周波数である2fc付近と負の周波数である2κ
一2fc付近にピークが存在する。4. 5.1で述べたように、このピ…一・・クとその周辺の離散周波数
成分は、初期位相の補正項eup(」°φ)を除いて受信波の搬送波成分と一致する。すなわち、ρ)
の正の周波数成分にeMプφ)を、負の周波数成分にeUP(ノφ)をそれぞれ乗じ、周波数スケー
ルをぴ→.llと置き換えれば、搬送波周波数付近において受信搬送波成分と再生搬送波成
分は等しくなる。この理由から、本復調方式では、2乗波の周波数成分(D)からぴ一2fc付近
に存在するピーク近傍を狭帯域方形窓(耳)を用いて抽出して成分(F)を得た後、これにe」qo(ノ
φ)を乗じ、周波数スケールを雛→兎と置き換えて負の搬送波成分(G)を再生する。受信
波の正の周波数成分(C)と、搬送波の負の周波数成分(G)をコンボリューションするとゐを
中心とした復調信号が現れる。これを周波数についてづだけシフトすれば、周波数領域で
の復調出力(H)となる。これをIFFTしOverlapを除去すれば、時間領域復調信号が得られ
る。
64
(B)
(C)
f
f
O fs/2 fs
fs/2
(H)
f
0
fs/2 fs プ
fc
fc fs−fc
2fs
0/S’
Over l ap and Save
BPSK
Rece i ved
A/D
O/S
SignaI
(B)
Comp l ex
(G)
(0/S)−1
2(Samp l es)2
Carrier
−DC
jφ
Extract ion
Demodu l ated
ejφ
(D)
0
balculation
Signal
(E)
fs 2fs f
O fs 2fs f
2(fs−fc)
2」7c 2(fs−fe)
2f,2(f,−fc)
図4.18復調器の構成
65
f
f
fs−−fc
66
第5章周波数領域サンプルを用いたBPSK復調の
シミュレーション
前章までに述べた手法による周波数領域サンプルを用いたBPSK復調の計算機シミュレ
ーションを行った。以下に結果を述べる。
5.1 シミュレーションのパラメータ
表1にシミュレーションのパラメータを示す。
表1シミュレーションのパラメータ
パラメータ
設定値
一
`送信号のシンボルレート
1Ksymboysec
ロールオフ率
05
搬送波の周波数允
1,248Hz
搬送波再生用サンプルを得るための
信波のサンプリング周波数雛
8,192Hz
1シンボル当たりのサンプル数
8sample/symbol
1回の復調で切り出すサンプル数N
64
FFTのポイント数1V
512
FFTの離散周波数間隔β/1V
8Hz
Overlap and s ave幅
50%
送信側では送信するメッセージデータとして、スペースro」とマーク「1」のバイナリ
符号を連続してランダムに発生させ、これをスペース「0」が位相「0」を表す「1」、マー
ク「1」が位相「π」を表す「−1」となるようにマッピングする。次に、各マッピング値の
後ろにrO」を7つ挿入することにより8倍のアップサンプルを行って、マッピングデータ
をシンボルレート=1KsymbOVsecのインパルス列に変換した後、これをロー一ルオフ率=O.5
67
のコサインロールオフフィルタに通して帯域制限した。こうして得た変調信号を用いて周
波IS(f,・=1,248 Hzの搬送波を変調し、 BPSK変調波とした。
一方、受信側では連続して到来するBPSK変調波を周波数答=8,192 Hzでサンプリング
した。一回の復調処理のために切り出される時間領域信号サンプルは、受信側のサンプリ
ング周波数2κとサンプルの蓄積に用いる受信バッファの大きさで決まる。本論文では・得
られたサンプル値64個分、すなわち、約7.8 msecに相当する周期で受信波を切り出して
復調した。
受信波サンプルを得るためのサンプリング周波数は☆4,096・Hzであり、FFTポイント数
N=512としたので、FFTの離i散周波数間隔は.19/N=8Hzになる。なお、搬送波の初期位相
をφ=3/16πnd、 Overlap and Save幅は切り出した全サンプル長の50%長(前端及び後端
にてそれぞれ全サンプル長の25%長)と設定した。
68
5.2 BPSK変調
5.2.1送信シンボル
図5.1にシンボルレート1K Sy【nboys㏄の、ランダムに発生させた「0」あるいは「1」
のバイナリデータ列の中から任意の時刻に切り出した64シンボルを示す。同図で横軸は時
間、縦軸はシンボルの値を示している。本シミュレーションでは、連続して到来するBPSK
受信波から、この64シンボルが乗った部分を切り出して復調する。
Message $ymbol[⑪1】
1.5
1
礼
’一
A畠
㊨
ノ
㌔
f
白
’一
8
星
2
<
0.5
0
A
’句
.、
0 10 20 {ヨ0 40 50 60
Time [8∫f§ sec]
図5.1送信シンボル
69
5.2.2 マッピング
図5.2に図5.1に示した送信シンボルのマッピング結果を示す。横軸は時間、縦軸はマ
ッピングした値を示している。マッピングにより送信シンボルは、スペース「0」斜立相「0」
を表す「1」に、マーク「1」が位相「π」を表す「−1」に、それぞれマッピングされたNRZ
(Non Retum to Zero)パルス信号になる。
BPSK Mapped Signal(NRZ)【1−1]
1.5
1
㌦
0.5
8
曇・
左
一〇.5
一1
‘ 1.
?
オ‥」
一1.5
0
10
20 30 40
Time [8∫f5 5ec]
図5.2送信シンボルのマッピング
70
50
60
5.2.3 ロールオフフィルタ処理
図5.3に図5.2で示したマッピング信号と、これをロールオフ率=O.5のコサインロール
オフフィルタに通すことによって帯域制限した変調信号を示七同図において横軸は時間、
縦軸は振巾副直を示している。図中の細線はマッピング信号を示しており、各マッピング値
の間に「0」を7つ挿入することにより8倍アップサンプリングを行い、マッピング信号を
インパルス化している。太線はコサインロールオフフィルタ出力であり、これが変調信号
となる。
Cosine Roll−off Filter Output ancl Mapped Signal
1.5
Gosine Fbll−01Ff Filter Output
高la叩ed Si即al
1
日} 15憩r“1−・5】ζi㌃・
@ 一 軸:1 ζ1.1 {苗 一、{三ぷ一苗:l r誼・ 白F一㌔・’⇔ ⇔ 「一’
、 ・百・ ・.
ぽ一Y
O.5
9
亘 0
9
・
.
吟
一 ・ 一 一 一 一 ・
一
一一1−》」
{
一〇.5
一1(
A.−1こ ζヨ ㌦.:⑪1ゴ・ 、’.叉1 黶D.1−} ,:戊皿一:・ c9 屯一IP ,:_1二}〈−H−)
i1
sヨ
一1.5
0
10
20 30 40
Ti me [8∫fs 5ec]
図5.3帯域制限された変調信号
71
50
60
・1−》
5. 2.4 BPSK変調
図5.4は、コサインロールオフフィルタによって帯域制限された変調信号で、周波数
fc=1,248・Hzの搬送波を変調したBPSK変調波である。横軸は時間、縦軸は振幅値を表して
いる。太線で示す変調信号波形の零クロス点で搬送波の位相は反転している。本復調方式
では連続して到来する受信波を、一旦、バッファに蓄積する。このバッファ長が受信波の
切り出し長であり、本シミュレーションではこの区間が切り出されたものとして復調する。
ただし、切り出した全サンプル長の50%(前後端にてそれぞれ全サンプル長の25%)Overlap
and save処理をするため、切り出した64サンプルの前端に1区間前の64サンプルの後半
32サンプルを、後端に1区間後の64サンプルの前半32サンプルを、それぞれつないだ計
128サンプルを処理する。
BPSK Modulatecl Signal ancl Cosine Roll・off Filter Output
1
o.8
o.6
e.4
0 02
9
言 o
E
<−e.2
一e.4
一〔).6
一〇、8
一1
0 50 100 150 200 250 300 350 400 450
Time [1∫f5 §ec]
図5.4BPSK変調波
72
5.2.5BPSK変調波の周波数スペクトラム
Overlapにより128サンプル化した受信サンプルから1つおきにサンプル値を取り出す
1/2デシメーションションを行えば、周波数兎でサンプリングした64サンプルを得ること
ができる。図5.5は、この64サンプルをN←512)ポイントFFTして得られた周波数ス
ペクトラムの実数成分である。横軸は周波数、縦軸はスペクトラムの大きさを示している。
受信した64サンプルが実信号であるため、中央の兎/2を挟んで正と負の周波数成分が対
称に現れる。また、搬送波周波数fcは同図の横軸スケールの156←156×rS /N=1248 Hzr禿)
及び356(=356×rS /N・2,848 Hz=ズーf、)になる。変調信号がロールオフフィルタによって
帯域制限されているため、変調波の周波数成分は一定の帯域内に存在する。
Power Spectrulll of BPSK Modulated Signal
20
10
0
8
ヨ
=:−
a
P0
∈
<
−20
一3e
一40
0
100
200 30e 400
Frequency [fs∫N Hz]
図5.5BPSK受信波のスペクトラム(実数成分)
73
500
5.3BPSK復調
5.3、1BPSK受信波からの正の周波数成分の抽出(複素関数信号化)
正及び負の周波数成分からいずれか一方を選択することにより、時間領域信号を複素化
することができる。図5.6は、図5.5の周波数スペクトラムから0∼溜2の矩形フィル
タを用いて正の周波数成分のみを選択した後の周波数スペクトラムの実数成分である。横
軸は周波数、縦軸は振幅値を示している。この選択した片側の周波数成分をIFFrして時
間領域に戻せば、複素信号化した時間領域信号が得られる。
Positive Frecluecy Components of BPSK Modulated Signal
20
10
o
晋
亘.珀
2
{
一20
一30
40〔〕 450 500
Frequency [niNtF司
図5.6 BPSK受信波の正の周波数成分(実数成分)
74
5.3.22乗したBPSK受信波の周波数成分
受信波を周波数2兎でサンプリングし、50%Overlapして得た128サンプルから、最初の
64サンプルを取り出す。この各サンプルを2乗し、結果をN←512)ポイントFFTして周
波数領域信号に変換する。図5.7は、こうして得られた2乗値サンプルのパワースペクト
ラムである。横軸は周波数、縦軸は振幅値を示している。同図のスペクトラムには、搬送
波周波数の2倍に相当する離散周波数付近すなわち、2fc及び2(rl−fc)の周波数付近にピーク
が現れる。実際に横軸スケールの156付近と356付近にピークが現れており、156←156
×答〃V』2,496Hz)が2fc、356←356×2劔V=5,696 Hz)が2(ll−fc)をそれぞれ表している。
Power Spectrulll of Squared BPSK Modulated Signal
10
0
一10
9
ヨ
ニ:=−20
aE
<
−30
一40
一50
0
100 200 〔ヨ00 40e
500
Frequency [2fs l N 5ec]
図5.7BPSK信号の2乗値サンプルから得たパワースペクトラム
75
5. 3.32乗したBPSK受信波の負の周波数成分
本シミュレ・…一一・ションでは、図5.7に示した2乗値サンプルの周波数成分から、負の周波
数成分を抽出して搬送波を再生する。図5.8に受信波の2乗値サンプルから得た負の周波
数成分を示す。横軸は周波数、縦軸は振巾副直を示している。この中からスペクトラムのピ
ークを示す20S−fc)付近に存在する2つの離散周波数成分を抽出する。実際に抽出する2つ
の離散周波数成分は、横軸スケール356付近に存在する最大ピークと2番目に大きいピー
クである。
Negative Freqしlecy Colllponents of Squarecl BPSK Meclulatecl Signal
20
− Power Spectrum of Squared日PSK Medulated$ignal
▽ Max Peak value⑰f Pewer Spectrum
15
10
巷
亘5
言
{
o
一5
一iOo
50 100
15〔] 2〔10 250 30〔1 35⑪ 4〔〕0 45〔1 500
Frequency [n∫N’Fs]
図5.8BPSK信号の2乗値サンプルから得た負の周波数成分
76
5.3.4 受信波の正の周波数成分と再生搬送波の負の周波数成分とのコンボリューション
図5.9に、図5.6で示したBPSK受信波の正の周波数成分と図5.8で示した再生搬送波
の負の周波数成分とのコンボリューション結果を示す。横軸は周波数、縦軸は振幅値を示
している。コンボリュv・一一・・ションによってBPSK受信波は&. f,だけ(図のスケール上では156
だけ)低い方向に周波数シフトされる。
Demodulated Siganal in Frecluency Region
20
10
0
晋
ヨ
=−10
巳
E
<
−20
一一
R0
一40
0
100
200 300 400
500
Frequency [fs/N sec]
図5.9 コンボリューションによって一fcだけ周波数シフトされた信号
77
5.3.5 1FFTによる周波数領域復調出力の時間領域信号化
図5.10に、図5.9で示した周波数領域復調出力をIFFrして得られた時間領域の復調信
号を太線で、図5.3に示した送信した変調信号を細線で示す。横軸は時間、縦軸は振巾副直
を示している。
Democlulated Sigllal in Time Region and Roll−o】〒Filtered Outlコut
1
0.8
0.6
0.4
o O.2
9
2
≡ 0
<−O.2
一〇.4
一〇.6
一〇.8
一1
50 100 150 200 250 〔300 350 400 450 500
Time [1ff§ 5ec]
図5.10BPSK受信波のレイズドコサインパルスの復調
78
5. 3. 6再生された伝送シンボル
図5.10に示した時間領域復調信号を謝1器に入力し、振幅値が0以上を「1」、0未満を
「−1」に波形整形した後、「1」を「0」、「−1」を「1」にそれぞれデマッピングすれば、シ
ンボルが復調される。図5. “は、こうして得られた復調シンボルである。横軸は時間、縦
軸は振巾副直を示している。図5.1に示した送信シンボルと比較して、エラーなくシンボル
が再生されていることがわかる。
BPSK Demodulated Out
1.5
1
■
、
、
オ
’一
白 ’
8
皇
言
く
o.5
0
’■
0 10 20 30 40 50 60
Time [8∫fs sec]
図5.11再生された伝送シンボル
79
5.3.7 アイパターン
アイパターンを観測することにより、受信信号の雑音に対する余裕度がわかる。アイパ
ターンは、謝lJ器直前のパルス波形をパルス繰り返し周波数(クロック周波数)に同期し
てオシロスコープに描かせたものであり、雑音や波形ひずみ等に影響を受けた際の起こり
得るすべての波形が重畳されている。図5.12に、アイパターンによって測定することがで
きる項目を示す。同図が示すように識別時刻ごとに表されるアイパターンにおけるアイの
縦の開き(アイアパーチャ)は、識別のおける雑音に対する余裕を表している。一方、ア
イの横の開きはクロック信号の統計的なゆらぎ(ジッタ)等による識別タイミング劣化に
対する余裕を表している。いずれのアイの開きも広いほど、雑ぎに対して強く、符号を正
確に復号できるようになる。
アイの縦の開き
(アイアパーチヤ)
ピーク電圧
識別時刻
図5. 12アイパターン
図5.13に復調されたべ一スバンド信号から得られたアイパターンを示す。パターンは、
復調処理を20回行った時点での1280シンボル(64サンプル×20回)を重ね書きしたも
のである。搬送周波数fcがFFrの離散周波数に一致した場合である1,248 Hz、 FFTの離散
周波数から最もずれた場合である1,252H乙、まったく任意に選んだ1,250.88・Hzの3つの場
合において、いずれの場合もほぼ同程度のアイの開きが確認できる。
80
Eyepattern of BPSK Demodulated Signal
ノ − A. シ
、 / 、 / ’一 /
15
鱗灘,
=妄酎三〆 へ ・y
1
=瀕’蔓
≡薮迄竺
tl、
ゆが:OfSi ,灘1.、
暢
綴 ・辮
㍉L・、
。5、『璽・・
緊撫
8
亘。
言
く−05
一1
o.o o.2 e.3 oひ4 oフ o.8 べ
Time Isecondl
② 搬送波周波数がFFTの離散周波数に一致する場合
fc=1,2481{乞
Eyepattem of BPSK Demodulated Signal
、,蕪姦霧難鍵議蕊箋難翼嚢霧
懸i難襲纒織
欝欝饗藻憾
α0 0、1 02 03 α4 05 ρ6 α7 08 09 1.O
Time [second]
(b)搬送波周波数がFFTの離散周波数から最もずれた場合
fc==1,252 H乞
81
Eyepattern。f BPSKDem・d些ted Signal
1.5
0.5
§
芸
ξ
一一〇.5
−1
−1.5
°’°°” 9’2°3T品,㌫、。Rd6】°” ・°8°’91’°
(c)搬波周波数をまったく臆に選んだ場合
fc=1,250.8811Z
図5. 13 ’
DBPSK復調信号のアイパタ_ン
82
5.3.8 BER(Bit Error Rate)特性
② 符号誤り率とガウス雑音
ディジタル通信における伝送品質は、符号誤り率(BER:Bit跡or R劔e)によって評価
される。符号誤りは、復調の際の符号識別再生回路において発生する。符号誤りを発生さ
せる原因には、装置を含む伝送路上で様々な形で混入する雑音や波形の歪み、ジッタと呼
ばれるタイミングのゆらぎなどがある。一般的に、符号誤り率を評価するのに用いられる
雑音は、熱雑音に代表されるガウス雑ぎである。ガウス雑ぎは時間的にランダムに発生す
るもので、その瞬特電圧の確率分布は、標準偏差をσで表せば、確率密度関数P(x)により
図5.14に示すようなガウス分布となる。本シミュレーションでもガウス雑音を変調波に重
畳することにより受信波の㎝を変化させ、復調後の符号識別再生回路出力におけるBER
特1生を評価する。
X
一3 −2 −1
0
1
図5.14ガウス分布
83
2
3
σ
まず、ガウス雑音による符号誤り率の理論値について述べる。符号識別再生回路では、
予め識lJレベル(しきし値)を設定し、信号伝送のタイミングごとに符号識別を行う。雑
音が重畳された信号の振幅が、meiJの瞬間に正しい符号レベルの領域のしきし殖を越えた
場合に符号誤りとなる。したがって、符号が他の符号に誤って識別される確率は、信号に
重畳された雑音の振幅値がしきし埴を越える値になってしまう確率により求められる。
いま、パルス電圧A及び0の2値パルスにランダム雑音が付加したときの誤り率P,を考
える。図5.15のようにパルス信号電圧がマーク「1」を表す[A」のとき、これが雑音電
圧によってスペース「0」を表す「0」と誤って判定される確率Pemと、パルス信号電圧が
スペース「0」を表す「0」のときに雑音によってマーク「1」を表すrA」と判定される確
率Pesの確率和によって総合の誤り率P,が決まる。すなわち、 P,mは信号に雑音が重畳した
電圧がA/2以下となる確率に等しく、誤差補関数e於(X)を用いて次式(5−1)のように表され
る。
X
X
信
号
パ
ル
雑
立
曇圧
雑
立
日電圧
P1(x):信号パルス電圧”1”に発生す
@ ガウス雑音の発生確率
ス
電
圧
”1”を正しく判定する領域
”1”マークレベル
A
Pes(x):’⑩”を”1”と誤って判定する領域
A
T
0
識別レベル
一一一
}一 一一一一一一
_ _ _ 一 一 一 一 一 一 一
Pem(x):’中’を”0”と誤って判定する領
”0”スペースレベル
”0”を正しく判定する領域
@ 1信号パルス電圧”0“に発生するガウス雑音の発生確率 1
PO(x):
図5.15信号・雑音電圧と誤り領域
84
P。m−fJ3p(x)dx
A
−1−∫㌔(x)dx
一i−
G[1咋剖
(5−1)
xgT.)}]
[{
1
=1一 奄P+1’一 erf(
1 A
=Se「fc(2Eσ)
ここで、
P(x<v) 一 fl. p(x) du−;[1+酬劃
(5−2)
であり、誤差関数は、
erf(z)一
`xp(−t2)dt
(5−3)
誤差補関数は、
erfc(z)=1−erf(z)
(5−4)
である。ガウス分布は対称であるのでP.はP.mに等しい。また、信号「A」と「0」が、そ
れぞれ1/2の等しい確率で生ずるとすれば、総合の誤り率PeはPemとP.の平均で与えられ、
次式(5−5)のようになる。
1 1
1 A
冗=話mθ+sp・・ ’= Serfc(2」σ)
(5−5)
更に、パルス電圧「A」及び「0」の発生確率がそれぞれ1/2で等しいとすれば、信号電
力CがC=(A/2)2/2、雑音電力NがN=σ2で与えられるので、i式K5−5)を式(5−6)のように変
形することができる。
85
Pe−
Xerfe(E)
(5−6)
(b) C/1VとEb/N。
次にBPSK波のC/NとEb/N。の関係について図5.16を用いて説明する。
同図はビットレートR bitisecの送信データをBPSK変調し、雑音を付加した受信波を、
受信フィルタに通してから復調器に入力している。
N(f)
N(f)
1皿,
No/2
f
fc
B
雑音
送信デー一一一一タ
R(bit/s)
BPSK
変調器
受信フィルタ
十
(帯域幅B)
搬
搬送波電力=C
Eb
ノ
f
t
Tb=1/R
fc
___ _ − 一)
Tb
Eb=2CT
図5. 16BPSKにおけるC/N比とEb/N。
86
BPSK
復調器
いま、べ一スバンド信号の振幅値を万信号電力をS、1ビットのエネルギーをEb、1ビ
ットの長さをTbと表せば、搬送波電力Cは式(5−7)で与えられる。
c−;匹;s−;曇 (5−b
雑音電力密度をN。、両側周波数帯域幅をBとすれば、片側雑音電力Nは式(5−8)のよう
になる。
1
1V=−1VB
(5−8)
2 °
BTb=1の場合
1
B=−
Tb
であるので、C/Nは、
1Eb lEb
!−2T・−2T・=盈
N IN.B IN⊥ N。
(5−9)
2 °
2°Tb
となる。したがって、BPSK変調ではBTb=1の場合C〃NとEb/N。は等しい。
(c)BPSK変調のBER特性
式(5−6)及び式(5−9)の関係から、BPSK変調波の同期検波の場合、1U凡に対するビット誤
り率の理論値Pbは、式(5−10)のように求められる。
Pb−Pe−
(5−10)
87
5.4 実利用モデルのシミュレーション(BER特性の評価)
本論文では、伝送ビットレートが数100K∼数Mbpsの変調信号によるBSPK波の復調を
目的としている(1>④。このため、基本パラメータを以下のように設定し、復調出力のBER
特性を調べた。
5.4. 1雑音を考慮したシミュレーションパラメータ
表2に雑音を考慮したシミュレーションパラメータを示す。まず、搬送波周波数とFFT
の離散周波数との関係を明確化するために、受信波のサンプリングに用いる周波数を.i9=
4.194304 Msample/s㏄(8 sample/symbOl)とし、復調は一回で扱うサンプル数1V←1,024)
ごとに受信波を切り出してポイント数1V←1,024)でFFT処理するものとした。この結果、
FFrの離散周波数間隔はrS/N ==4.096 kH乞となる。送信側ではシンボルレ・一・一・・ト=O.524
MsymbOYsecのNRZ符号をロールオフ率= 0.5で帯域制限して得た変調信号で搬送波を
BPSK変調した。受信信号にはガウス雑音を重畳した。
表2雑音を考慮したシミュレーションパラメータ
パラメータ
設定値
伝送信号のシンボルレート
0.524MsymboVsec
ロールオフ率
0.5
1シンボル当たりのサンプル数
8sample/symbol
搬送波再生用サンプルを得るための
信波のサンプリング周波数拳
4.194304MHz
ζ
1回の復調で切り出すサンプル数N
1,024
FFTのポイント数N
1,024
FFTの離散周波数間隔〆1V
4.096kHz
重畳する雑音
ガウス雑音
Overlap and save幅
50%
88
5.4. 2 アイパターンの評価
BER特性が最も劣化するのは搬送波周波数がFFTの離散周波数から最も離れた、すなわ
ち、1/2離散周波数間隔だけずれた場合である。図5.17に、1/2離散周波数間隔ずれの搬
送波周波数f、 ・= 1.050624 MHzでのEb/N。=12dBにおけるアイパターンを示す。搬送波の初
期位相はφ=3/16πradであり、搬送波再生は2周波数成分の抽出によって行った。 Overlap
and SaveのOverlap長は、復調処理一回分のために切り出された全サンプル列長の50%(前
後端にてそれぞれ25%)とした。4. 7.2で示したように、この場合の再生搬送波には端効
果による振幅変動が最も大きく現れ、復調出力のアイパターンは最悪となるが、Overlap and
Saveによって、これを軽減できることが確認できた。パターンは、復調処理を20回行っ
た時点での1280シンボル(64サンプル×20回)を重ね書きしたものである。
2.0
1.5
1.0
Φ0.5
9
芸
ξ ..。.s
−1.0
一1.5
一2・00
025
0.5
0.75
1.0
Time
図5.17BPSK復調信号のアイパターン
搬送波周波数がFFrの離散周波数から最もずれた
f, = 1.050624 MHzの場合
89
5. 4. 3 抽出する周波数成分数とBERの関係
図5.18に搬送波を再生するために抽出する周波数成分数(component数)を変化したと
きのBER特性を示す。横軸はEb/N。、縦軸はBERを示している。ここでもBER特性が最
も劣化する条件となる搬送波周波数がFFrの離散周波数から最も離れた、1/2離散周波数
間隔ずれの搬送波周波数f, ・= 1.050624 MIiZを選び、初期位相はφ=3/16πrad、搬送波再生
は2周波数成分抽出とした。()verlap and SaveのOverlap長は復調処理一回分のために切り
出された全サンプル列長の50%(前後端にてそれぞれ25%)とした。抽出する周波数成分
数は、2乗値のFFTに現れる周波数成分の大きなものから順番に選んでおり、実線は理論
値を示している。「×」は1成分、「○」は2成分、「▽」は3成分、「□」は4成分、「△」
は5成分、「☆」は6成分、「+」は11成分を抽出した場合である。同図が示すように、2
成分抽出のBER特性の劣化が理論値から1(B未満となり最小であった。また、抽出範囲
を3成分以上に拡大してもBER特性の改善は見られなかった。特に雑i音が少ないEb/N。
の高い範囲でBERが劣化するのは、4.6.1で示したように抽出範囲を拡げ過ぎると抽出成
分中に変調成分が多く含まれてしまうことが原因と考えられる。
100
10三≡三華一:奪
9
一2
山10
rn
讐峯.一=
一Theory
Component= 1
10−3
0 Component=2
▽ Component=3
口 Componentニ4
△ Component=5
☆ Component=6
三ii∴i運拳i
十 Component=11
10
−2 0
2Eご1 N。6[dB】8
10 12
図5.18抽出した周波数成分数とBERの関係
90
/
5.4. 4FFTの離散周波数からのずれとBERの関係
図5.19に搬送波周波数をFFTの離散周波数からずらしたときのBER特1生を示す。横軸
はEb/N。、縦軸はBERを示している。搬送波の初期位相はφ=3/16πradとし、搬送波再生
は2周波数成分抽出とした。Overlap and SaveのOverlap長は復調処理一回分のために切り
出された全サンプル列長の50%(前後端にてそれぞれ25%)とした。実線は理論値、「○」
は搬送波周波数がFFTの離散周波数に一致した場合を表しており、「▽」は搬送波周波数
がFFTの離散周波数間隔(=,i9/N)の1/2間隔だけ低くずれた場合、「×」は1/4間隔だけ低
くずれた場合、「□」は1/4間隔だけ高くずれた場合、「☆」は1/2間隔だけ高くずれた場
合である。この結果、搬送波周波数がFFTの離散周波数からずれた場合においても、理論
値からのBER特性の劣化は1dB未満となり、本復調方式が、 FFTの離散周波数に一致し
ない搬送波周波数に対しても適用できることが確認できた。なお、本復調方式ではFFTの
離散周波数からのずれに影響されることなく、あらゆる搬送波周波数に対して平均して良
好なBER特性を得ることを目的としていること、また、搬送波周波数とFFTの離i散周波
数の関係を調べる処理自体が演算処理1二負担になることから常に2成分を抽出して搬送波
再生を行っている。FFTの離散周波数に一致し、搬送波周波数成分が線スペクトラムとな
る場合も2成分抽出を行っており、BERはわずかながら悪化している。
1 oo
__ @____」_ _ ___ _」___ ___1______L_ ____ _1______よ_ _ _ _ _
一『}一一 u一一一一一一「一一一一一「一一一一一一「一一『一一一「一一一一一T−一一『−
l l l l l |
l l } l l l
l l l l l l
L ト − ト −− ぺ − 10−1
N F”N | 1 ・ l i
_ _ ===二=亡======1==二===工===:==1======工==二==
_ _ _ _ _ _ _ L _ _ _ _ _ 」_ _ _ _ _ _ L _ _ _ _ _ _1__ _ _ _ _ 一 ⊥ 一 一 一 一 一
一 一 m ff − 「 一 一 一 一 一 一 『 一 「m − 一 一 一 m 1− 『 一 一 一 一 一1− 一 一 一 一 一 † 一 一 一 一 一
l l l l l
l l l l l
l l l l I l
_ __ __」____ __L___ ぶ ______ __ ____1___ ___⊥_____
0ζ 一2
山10
l l l l l
l l ’ } l l
=====d=====ニヒ=ニ====i_一 ;=七======1==ニ=ニ=士==ニ==
一 一 一 一 「 − m − 一 一 『 「 一 一 一 一 一 「一 一 一 r − 一 一 『 m −1− 『 一 一 一 一 丁 一 一 一 一 一
ca
一一一一一 @d−一 一 一一 一「〔一 一一一}−1−一 一一十一nv−一一一1− 一一 一一 一†一一一一 一
l l l l }
l l I l {
__L_____ lv_ _」______⊥_____
1 ond3
一Theory
▽ 1.()46528[MHz]
X 1.(〕47552[MHz]
0 1.(〕48576[MHz]
口 1 .049600[MHz]
☆ 1.(〕50624[MHz]
10−4
一2
0
l l l l
l l Ss l l
−− 堰│一一一一一←一 一一 一1−一 一一一 一十一一一 一一
『 「一 一 一 一 m − 1− 一 一 、 −1m − 一 一 一 一 † 一 一 m − 一叫一一 一一一一← 一一一 一 一 一一 一一一十一一 一 一 一
一 「m一HHff−−T−一一 } 一一 一 m−T−一一一一
一一 P−一一一一一 n一一一一一 、一一一一一T−一一一一
一一 P−m−一}−r− 一一『− v−一一一丁一一一一一
l l l\寧 1
2E『/N。6[dB] 8
10 12
〆図5.19FFTの離散周波数からの搬送波周波数のずれとBERの関係
91
5.4. 5搬送波の初期位相φとBERの関係
図5.20は初期位相φを0∼πの範囲で変化させたときのBER特牲を示している。横軸
はEb/N。、縦軸はBERを示している。搬送波周波数はFFrの離散周波数間隔の1/2間隔ず
れたjC=1050624 MHzであり、搬送波再生は2周波数成分抽出とした。 Overlap and Save
のOverlap長は復調処理一回分のために切り出された全サンプル列長の50%(前後端にて
それぞれ25%)とした。実線は理論値、「○」は搬送波の初期位相φ=0の場合を表してお
り、「×」は搬送波の初期位相φ;π/4、「▽」は搬送波の初期位相φ=π/2、「□」は搬送波
の初期位相φ=3π/4、「☆」は搬送波の初期位相φ=π1/2の場合である。この結果、初期位
相φに影響されてBERの劣化が変化することは認められず、本復調方法による初期位相成
分の算出方法が、あらゆる受信搬送波の初期位相に対して適用できることが確認できた。
100
1 O−i
【と 一2
山10
co
一Theory
−3 0 φ=0
10
φ=π/4
▽ φ=π/2
ロ φ=3π/4
☆ φ=π
10
−2°2E『/N。6【dBl 8
10 12
図5.20搬送波の初期位相φとBERの関係
92
5. 4. 60verlap and SaveのOverlap長とBERの関係
図5.21はOverlap{and SaveでのOverlap長を変化させたときのBER特性である。横軸は
Eb/N。、縦軸はBERを示している。搬送波周波数はFFTの離散周波数間隔の1/2間隔ずれ
たf、=1.050624MH乞であり、搬送波の初期位相はφ=3/16πied、搬送波再生は2周波数成
分抽出とした。復調処理一回分のために切り出された全サンプル列長の0%、25%、50%、
75%をOverlap長とした。実線は理論1直、「▽」はOverlap長が0%(前後端でそれぞれ0%
ずっ)、「×」は25%(前後端でそれぞれ12.5%ずつ)、「○」は50%(前後端でそれぞれ25%
ずっ)、「□」は75%(前後端でそれぞれ37.5%ずつ)を表している。この結果、Overlap
長25%以上で良好な結果が得られた。
FFrの高速化はパイプライン処理によって可能であり、本論文でも同処理をFFTの前提
としている。FFTのパイプライン処理に50%Overlapに適用すると、バタフライ演算の稼
働率が100%となって効率的な処理が可能になる。本論文では復調処理一回分のために切
り出された全サンプル列長の50%(前後端にてそれぞれ25%)をOverlap長として採用し
ている。
100
10−1
匡 一2
山10
田
1 O−3
一Theory
▽ overlap and save O[%]
overlap and save 25[%]
O overlap and save 50[%]
[] overlap and save 75[%]
10
−2
!tl
°2E:1 N。6[dB]8
図5.210verlap長とBERの関係
93
10 12
ぐ
/
v
94
第6章 TMS320C6711DSKによる本復調方式の実現
本復調方式は、連続して到来するBPSK波のリアルタイムでの復調処理を目的としてい
る。DSPによるリアルタイム処理の実現性は、シミ。ユレーションでは確認できない。そこ
で、本論文で述べてきた復調処理をリアルタイムで実行可能とするアルゴリズムをリニア
アセンブラを含むCプログラムによって開発し、これを用いてDSPを実際に動作させる
ことによりDSPハードウェアに要求される性能について調べた。
6.1実験装置の概要
図6.1に、提案した本復調方式を実現するために作成した実験装置の概要を示す。同図
が示すように、本実験装置では送信用と受信用にそれぞれ皿社のTMS320C6711DSK(i)を
1式ずつ使用している。このDSKでは、 DAC及びADCのサンプリング周波数が8kH乞
固定となっている。そのため、本実験ではこの8kH2をサンプリング周波数2κとした。
同図で送信側のDSP①は、「0」と「1」の伝送符号発生からロv−・一一・ルオフフィルタリング、
搬送波発生、BPSK変調までの処理を行う。 DAC②は、 BPSK変調出力をアナログ信号に
変換し、BPSK波として送信する。受信側では、まず、 ADC③にて受信波を8kHz(≒27g)
の周波数でサンプリングする。DSP④は搬送波再生と復調処理を行う。実験データは、 DSP
②④に接続したPC内にインスト・・一一一・LルしたDSK付属のプログラミングツール(CCS:Code
Composer Studio)を用いて解析し、 DAC⑤の出力はオシロスコープで確認した。
送信側と受信側は長さ10mのケーブルにて接続した。送受DSKのクロックは非同期で
あるので、受信波の初期位相角φは不定値となる。DSPの演算処理はすべて浮動小数点演
算であり、周波数サンプルの演算部分では複素数演算を行っている。
DSK1
DSK2
① ②
③ ④ ⑤
DSP DAC
頗¢ DSP DAC
PC
RX(PCCCS)
iCCS)
TX
ラ
図6. 1実験装置の概要
95
6.2 実験のパラメータ
表3に実験のパラメ・・一一・一一タを示す。
表3実験のパラメータ
設定値
パラメータ
一一一一
鼈黷
伝送信号のシンボルレート
PKsymboレsec
05
ロールオフ率
‘1,450Hz
搬送波の周波数∫c
受信波のサンプリング周波数∫s
8kHz
1シンボル当たりのサンプル数
8sample/symbol
1回の復調で切り出すサンプル数1V
64
FFTのポイント数1∨
64
FFTの離散周波数間隔∫s/N
22.66Hz(=1450/64)
Overlap and save幅
50%
送信側ではメッセージデータとして、スペース「0」とマーク[1」のバイナリ符号を連
続してランダムに発生させ、これをスペース「0」が位相「0」を表す「1」、マーク「1」が
位相「π」を表す「−1」となるようにマッピングすることによって、NRZ符号化する。次
に、このNRZ符号をインパルス化するために、各マッピング値の後ろに「0」を7つ挿入
することにより8倍のアップサンプルを行って、シンボルレート=1KsymbOYsec(8
salnple/symbOl)のNRZ符号をインパルス列に変換した後、これを48次のFIR型フィルタ
で作成したロールオフ率= O.5のコサインロールオフフィルタに通し、帯域制限した。更に
この帯域制限した変調信号を用いて任意の周波数兎=1,450Hzの搬送波をBPSK変調した。
受信側では、受信波をサンプリング周波数8kHz(聯)で16ビット量子化して得たサン
プル列をOverlap and Saveを行いながら復調した。
一回の復調処理ではサンプル数1V=64ごとに受信波を切り出し、ポイント数N=64の
FFTを行った。搬送波再生は2周波数成分の抽出によって行い、 Overlap and SaveのOverlap
長は復調処理一回分のために切り出された全サンプル長の50%(前後端にてそれぞれ全サ、
ンプル長の25%)とした。
96
6.3BPSK送信機
図6.2に本DSKを用いて作成したBPSK送信機の構成を示し、同図上の各ポイント(a)
∼(d)における信号波形を図6.3に示す。以下に具体的な送信手順を述べる。
NRZパルス発生器①では、符号「0」または「1」をランダムに発生し、「0」→ 「1」、
「1」→「−1」のマッピングを行う。「0」挿入②では各マッピング値の後ろに「0」を7つ
挿入することにより、NRZパルスを8倍にアップサンプリングした、シンボルレート=0.5k
symbOYsec(8 sample/symbol)のNRZインパルス信号に変換する。ロールオフ率=O.5、48
次のFIR型フィルタ③では、 NRZインパルス信号から帯域制限した変調信号を作成する。
図6.3(a)に変調信号の波形を、同図(b)にそのスペクトラムを示す。この変調信号(a)で2次
の皿フィルタを用いて発生させた周波数1,250Hzの搬送波④をBPSK変調する。図6.3(c)
にBPSK変調波の波形を、同図(d)にそのスペクトラムを示す。
送信機はポーリング方式{2)・(3)で動作しており、NRZパルス1つ分の変調処理を行う度に
受信データをダミー受信することでADCのサンプリング周波数8kHz(三26)に同期した
動作となるよう設定している。このため、1回のNRZパルス発生からBPSK波を送信す
るために必要な処理時間は、1/8000secとなる。 DSPのクロック周波数は150 MHzである
ので、DSPの1サイクルあたりの処理時間は1/150μs㏄となる。したがって、1回分の
NRZパルス発生①からBPSK波送信⑤までに必要なサイクル数は18,750サイクル以内で
なくてはならない。実際に要したサイクル数の実測値は平均6,120サイクルであった。実
験では復調後の時間領域波形と比較し易くするために、同図(a)の変調信号を繰り返し送信
している。
Modu l at i on
Rand㎝
NRZ Pu l se
Generator
Signal
⑤ BPSK
’σ
lnterpolation
RoIloff (a)(b)
× Modu I ated
Filter Signal(c)(d)
④∼Carrier
図6.2TMS320C6711DSKによるBPSK送信機の構成
97
Φ 1 .{〕o
言
三
島
遥一1、MO
O 10.7 2」萎.3 32.0 427 53.3 63.O
x1/fs[sec]
(a) 変調信号波形
Φ 157
言
三 7.84
島
遥
0 333 667 1000 1333 1667 1938
’ [Hz]
(b) 変調信号のスペクトラム
Φ 1 .oo
O le.7 2t .3 32.0 42.7 53 .3 63D
x 1/fs [sec]
(c) BPSK変調波
9.09
碧
亘4.55
蕊
遥
0 333 667 1000 1333 1667 1938 s
[Hz]
(d) BPSK変調波のスペクトラム
図6.3図6.2上のポイント(a)∼(d)における信号波形
98
6.4BPSK受信機
受信側では、BPSK波をサンプリング周波数8kHz←答)で16ビット量子化して得た
サンプル列を1>(=64)サンプルごとに切り出し、この全サンプル長1>(=64)の50%幅(前後
端のそれぞれ25%幅)をOverlap and SaveしたrWサンプルを復調した。 FFTのポイント数
は1>(=64)であり、搬送波は2周波数成分を抽出して再生した。
6.4.1入力部での受信波の切り出し方法
図6.4に、入力部での受信波の切り出し方法を示す。受信波①を周波数8kHZ(≒2κ)でサ
ンプリングして得たサンプルを、それぞれがN(=64)サンプルずつ格納することができる
二つの受信バッファRX−BufferlとRX−Buffer2に、②に示すようなjl圓芋で交互に格納する。
いずれかの受信バッファが1>(=64)個の入力サンプルで一杯になった時点で、受信バッファ
の切り替えとDSPへの割り込みを発生し、復調処理を開始する。
N samp l es N Sarnp 1 eS N samp l eS N Samp l es
①
Rece i ved 麟 … 一・ Samp l e[M+1] Samp l e[M] Samp I e[∼ト1] Samp l e[M−2] ・・・… 猶鋤
Signal
↓
↓
②
Q
Buffered 幽・ 一・… RX−Buffer2 RXr{luffer茎 RX−Buffer2 RXrBuffer肇 ・・・… 蟻
Signal
図6.4 受信信号の切り出し方法
99
6.4.2サンプル長Nの50%幅(前後端でそれぞれ25e/o幅)Overlap and Save
図6.5に、サンプル長Nの50%幅(前後端でそれぞれ25%幅)Overlap and Save処理を
示す。同図(A)はRX−Buffer1あるいはRX−BUffer2から送られたM番目のNサンプルを1
つ前に送られていたM−1番目のNサンプルの後ろに付けた卿サンプルを示している。1
回の復調処理をこのrwサンプル単位で行う。この烈サンプルの復調結果には端効果が発
生している(4)・(5)。このため、同図(B)に示すようにrwサンプルの復調結果の前後端から2N
サンプルの25%長に相当するN/2サンプルの復調結果を除いた、M−1番目の後半N12サン
プルとM番目の前半N/2サンプルを合わせたNサンプルの復調結果を復調出力とする。
次の復調ではM番目の後半N12サンプルとM+1番目の前半N12サンプルを合わせたNサ
ンプルの復調結果が復調出力となる。これを繰り返すことにより、同図(C)に示すように端
効果を軽減しながら連続した復調出力を得ることができる。
[M−11
[M・一・F23
2N samp les(100%)
N/2(25%)
(A)
N (50%) N/2(25%)
[M一詞
[M]
↓Discard
↓Discard
(B)
[鯖+1
[饒]
]
↓
(C)
[M−・23
[M]
[M−−1]
図6.5サンプル長Nの2596幅Overlap and Save
100
脳+重]
6.4.3 復調回路の構成と復調処理
図6. 6にBPSK受信機の構成を示し、連続した復調処理を実行させた際のある時刻での
ポイント(e)∼(i)における処理過程の結果を、図6.7に同じ(e)∼(i)として示す。以下に受信
手順を述べる。
受信波をAZD変換して周波数答でサンプリングし、6.4.1で示したように二つのバッフ
ァRX−Buffer1及びRX−Buffer2①に取り込む。ここではサンプルの2乗値を求める際に発生
するオーバーフローを防止するために、切り出したN(−64)サンプル中の最大振幅値で各サ
ンプル値を正規化している。
次に50%幅(前後端にてそれぞれ25%幅)Overlap and Saveのため、6.4. 2で示した方法
にしたがって、一つ前のNサンプルの後ろに最新のNサンプルを付け、卿個のサンプル
②にする。このrw個の受信サンプルを1/2デシメーションすることによって、周波数fs
でサンプリングされたサンプルに変換し、このN個サンプルをポイント数1VでFFTした
結果から正の周波数成分の抽出をする③。この抽出は負の周波数成分をすべて「0」にする
ことによって実現できる。図6.7(e)に、抽出した正の周波数成分の実数部を示す。同図で
は、横軸が周波数、縦軸が各周波数成分の実数部の大きさを示している。
一方、av個のサンプル②から最初のN個のサンプルから直流成分を除いた2乗値を求
め、これをポイント数NでFFrしてから負の周波数成分を抽出する。この抽出は正の周波
数成分をすべて「0」にすることによって実現できる。図6.7(bに、得られた負の周波数成
分の実数部を示す。同図では、横軸が周波数、縦軸が各周波数成分の実数部の大きさを示
している。抽出した負の周波数成分の中からMAX_Peak(横軸44番目)と2nd_Peak(横軸
43番目)の成分を抽出し④、この2成分について初期位相exp(ノφ)を補正して⑤、周波数領
域で搬送波を再生する。図6.7(g)に、再生した搬送波の時間領域波形を示す。同図では、
横軸が時間、縦軸が各周波数成分の実数部の大きさを示している。
こうして得られた受信波の正の周波数成分(e)と再生搬送波の負の周波数成分(9)との周
波数領域でのコンボリューション⑥を行うと、図6.7(h)に示す周波数領域での復調結果が
得られる。同図では、横軸が時間、縦軸が各周波数成分の実数部の大きさを示しており、
搬送波を中心に分布していた周波数成分が、周波数0を中心に分布するように周波数シフ
トしている様子が確認できる。
最後にこれをIFFTし、 Overlap and Save手順に従って不要な前後25%幅の重複部分を除
去すれば⑦、求める時間領域の復調出力が得られる。図6.7(i)に時間領域の復調出力を示
101
す。同図では、横軸が周波数、縦軸が各周波数成分の実数部の大きさを示しており、6.3(a)
の波形が29サンプル遅れで復調できていることが確認できる。
①
RX−Buffer1
Rece i ved
BPSK
)
A/D
∼
RX−Buffer2
Signal
(2ズ。)
0/S’
(fs)
②
Over l ap㎝d{泌ve
FFT
Samp l es
霊es)2
2(N
(0/S)
(2ズs)
NPoint
FFT
一DC
⑥
③
Extract i ng
(e)
Positive
Frequency
Convo Iution
1FFT
⑦
Frequency
Reg i
(0/S)
on
一1
(9)
@ Peaks
(f)
(h)
in
Extracting
MAX& 2nd
④
N
New
Data
Previous
Data
NPoint
Dec imated
↓2
⑤
(i)
Discard
TX−Buffer1
(
)
D/A
TX−Buffer2
図6.6TMS320C6711DSKによる受信機の構成
102
Di
scard
、Demodu 1ated
SignaI
菖9°9
三
菖部、
533 63.o
× fs/N [Hz]
(e) 受信波の正の周波数成分(実数部を表示)
Φ 13・8
§
’嵩
遣一13.8
42.7 53.3 63o
× 2fs/N [Hz]
① 2乗した受信波の負の周波数成分(実数部を表示)
Φ 3ア9
§
冨
遥一37.9
533 63.o
× 1/ノ§ [sec]
(g) 再生した搬送波(時間領域信号に変換して表示)
Φ10e+4
菖511。
垂
1爵
th)
受信波(e)と再生搬送波(g)のコンボリューション結果(周波数領域での復調結果)
Φ“ 21 .7
§
’嘉
遥一21、.77
0 10?
213
32.0
427
533
63.0
x1/fs[sec]
(i) Φ)をIFFTして得られた時間領域復調信号
図6.7図6.6上のポイント(e)∼(i)における信号波形
103
受信機は以上の一連の処理をRX−Buffer1とRX−Buffer2がN(・64)個の受信サンプルで一
杯になったとき、復調処理開始のための割り込みを発生し、復調処理を開始する。すなわ
ち、割り込み間隔は1/8000×64secであるので、受信バッファ切り替え①から復調出力⑦
を得るまでに必要とするサイクル数は1,200,000サイクル以内にしなくてはならない。実際
に要したサイクル数の実測値は、平均993,715サイクルであった。
6.4.4 アイパターン
図6.7(i)に示した1回分の切り出しで得られる時間領域復調出力のアイパターンを図
6. 8に示す。同図は’0挿入によって8倍にアップサンプルしたサンプル64個、すなわち、
NRZ送信パルス8(=64/8)個分を示している。パタs・一一・・一ン表示がなめらかでないのは、サン
プル間の補間を行っていないためである。
一1 −0L 75 −0」5 一α25 0 0L 25 0、5 0、75 1
× 1/ノき [sec]
図6.8図6.7(i)に示した復調信号のアイパターン
以上、本実験では、DSK仕様の制限から信号の伝送速度を高速化することはできなかっ
たが、本論文で提案した復調方法のDSPによるリアルタイムによる実現性を確認すること
ができた。また、実際の処理に要したDSPのサイクル数の測定結果から、本復調処理の実
現のために要求されるDSPの性能がわかった。
104
第7章結 言
本研究では、周波数サンプルを用いた新しいPSK復調方法を示した。
本復調方法では、周波数領域で再生した搬送波サンプルと受信サンプルとを周波数領域
でコンボリューションすることによって、PSK復調を行っている。サンプリング周波数を
.79で表したとき、本方法の搬送波捕捉可能な周波数範囲は0∼.ll/2である。したがって、
本方法では、従来のPLL式同調回路を用いて同期検波する時間領域での復調方法に比べ、
広い周波数帯域に存在する搬送波を再生することが可能である。
本復調方法では、受信サンプルを得るために用いた周波数の2倍の周波数で受信波をサ
ンプリングし、得られたサンプル値の2乗値のFFT結果に初期位相expO’ th)を乗ずること
によって搬送波を再生する。また、搬送波周波数がFFrの離散周波数に一致しない一般的
な受信波においても、2乗値サンプルのFFT結果から搬送波周波数付近に現れる2ピーク
成分を抽出して搬送波を再生すれば、復調することが可能である。
本論文の各章の内容を、以下にまとめる。
第1章では本研究の背景として、ディジタル通信技術及びソフトウェア無線技術の特長
や、それらを支えるデバイスであるDSPの開発状況について述べ、研究の目的を示した。
第2章では本研究で用いている周波数領域での信号処理にっいて述べた。はじめに周波
数領域信号処理の基礎である7一リエ変換について説明し、フーリエ変換によって現れる
正及び負の周波数について述べた。次に、時間領域で行う受信波の時間サンプルと再生搬
送波の時間サンプルとの乗算による復調処理が、周波数領域では受信波の周波数サンプル
と再生搬送波の周波数サンプルとのコンボリューションに等しいことを示した。更に、搬
送波を再生する目的で、周波数成分を抽出するフィルタリングによって発生する端効果は、
両端Overlap and Saveを適用したFFr及びIFFT処理によって回避できることを示した。
第3章では変調信号の帯域制限について説明し、BPSK変調について時間領域での変調
処理と周波数嶺域での変調処理を比較した。
第4章ではBPSK変調波の2乗値を用いることにより搬送波を再生できる理由を示し、
搬送波再生の際に問題となる信号の切り出し長が離散フーリエ変換に及ぼす影響と、搬送
波周波数がFFrの離散周波数に一致しない場合の離散フーリエ変換について説明した。更
に、BPSK受信波を周波数2κでサンプリングして得たサンプル値の2乗値のFFr結果から
105
搬送波を再生する方法、搬送波再生のための周波数成分抽出フィルタリングにより発生す
る端効果とそれを回避するためのOverlap and Save、 BPSK復調器の構成について具体的に
示した。
第5章では本復調方式の性能をシミュレーションにより確かめ、搬送波再生のための周
波数成分の最適抽出数が2であることを明らかにした。また、初期位相の変化に対しても
追従することを確認した。更に、Overlap and Saveにより搬送波再生のために周波数成分を
抽出することにより現れる端効果の影響は回避できることを確認し、Overlap幅について実
用回路で用いるメモリの使用効率から全サンプル長の50%幅が有効であることを示した。
第6章ではDSPを用いて製作したBPSK送信機及び受信機による復調実験を行い、本復
調方式のリアルタイムでの実現性を確認した。
最後に、第1章で挙げた研究目的に対する本研究の成果を述べる。
(1)広い周波数範囲にわたる搬送波捕捉とPSK復調
サンプリング周波数を.71としたとき、本復調方式での搬送波の捕捉範囲は0∼兎/2
であり、同調回路を用いた従来の復調システムに比べ、広い周波数範囲に存在する
BPSK変調波の復調が可能である。
(2)PSK受信波のリアルタイム復調処理
連続して到来する搬送波周波数が未知のPSK波を受信し、一定の長さで切り出した
時間サンプルの2乗値をFFTして得た周波数サンプルから搬送波を直接再生する方法
を示した。これにより従来の蓄積一括復調とは異なり、リアルタイムでの連続復調が
可能になった。
(3)周波数領域におけるPSK復調の提案と問題点の解決、及びシミュレーションによる
本復調方式の検証
搬送波再生のために抽出する成分数についてシミュレV・一・・ションによる詳細な解析を
行い、2成分を抽出して搬送波を再生した場合に復調結果のBER(Bit.・Error Rate)特
性が最も良くなることを明らかにした。また、受信波の搬送波周波数及び搬送波初期
位相が変動しても、復調結果のBERの劣化は小さいことを確認した。更に、本復調方
法において搬送波成分抽出のための狭帯域フィルタリングによって発生する時間領域
信号の前端と後端に端効果は、全サンプル長の50%幅(前後端にてそれぞれ25%)
Overlap and Saveによって軽減できた。
106
(4)DSKボードによる本復調処理のリアルタイムでの実現
DSPを用いた実験により、本復調方法のリアルタイム処理を確認することができた。
また、搬送波再生及び復調処理のアルゴリズム並びに実行プログラムを汎用性、移植
性の高いC言語によって開発することができた。したがって、本プログラムは他機種
のDSPや、より高速なDSPへ容易に応用可能である。
(5)多ビーム衛星オンボード処理やソフトウェア無線通信システムへのDSP応用
多ビv・t−・・ム衛星オンボー一・・Lド処理やソフトウェア無線通信システムが想定している周波
数帯で扱うパラメV−一・・タを用いたシミュレーションにより、本復調方法がこのような高
周波帯においてもBERの劣化は少なく、有効であることが確認できた。搬送波周波数
が高周波帯であるBPSK受信波に対して本復調を行う場合、現状のDSP能力を考慮す
れば、復調に先立ちLow≠IF方式等による受信信号の周波数ダウンコンバージョンを
行う必要がある。
本論文ではBPSKを対象としたが, QPSKの場合は4倍のサンプリング周波数ぴによる
サンプル値の4乗値のFFTを利用すれば;同様の方法により復調可能である(1).本方法は
搬送波周波数や帯域及びビットレートに対して柔軟に対応可能であるため,ソフトウェア
無線機や多数かつ多種の信号を受信する必要のある多ビーム・マルチメディア・インター
ネット衛星上のオンボードルーティングに適用することが可能である.
DSPを移植性の高いC言語を用いたプログラムによって動作させることにより実現した
本復調方法は、今後、更にDSPが高速化され、より高い周波数帯域に存在する変調信号の
広帯域FFTが可能になれば、実用性の高い復調方法になると考えられる。
107
108
参考文献
第1章
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Spa㏄,”20th AIAA lnternational Communication Satellite System Conference・
AIAA2002−1950, May. 2002.
(3)GChiassarini, GGallinaro,“Frequency Dom田n SWitchng:Algo舳mS, Performances,
lmplementation AspectS,”Signal Processing in TelecommmiCations, Proceedings of the 7th
lnternational Thyrrhenian Workshop on Digital Communications, pp.283−293, Sept 1995.
(4)S.Egami, K. Sugiyama,“Demodula60n and Despreading f『om Frequency Samples”,21st
AIAA lntemational Communication Satellite Systems Conference and EXhibiち
AIAA2003−2293, Y()koharnεL Japan, Apr.2003.
(5)藤野 忠,ディジタル移動通信,昭晃堂,pp53−54 pp 176−178,2000.
(6)Samuel・D. Stearns, Ruth・A. David, SIGNAL PROCESSING ALGRITHMS IN MATLAB,
Prenti㏄Hall,1996.
(7)芦野隆一,Remi Wlanoo⇒はやわかりMA皿.AB,共立出版, Jul.1997・
(8)金城繁徳尾知博,例題で学ぶディジタル信号処理,コロナit Jul.1997.
(9)James H. McClellalちRonald W Scha底Mark A. YOder, DSP FIRST, Prentice Ha皿,1998.
(10)小林一行,MA皿.ABハンドブック,秀和システム,Apr. 1999.
(11)樋口龍雄,川又政延,MATLAB対応ディジタル信号処理,昭晃堂, Mar 2000.
(12)高井信勝,MATLAB入門,工学*L Sept.2000.
(13)尾知博,lnterface増刊シミュレ・一・・一・ションで学ぶディジタル信号処理cQ出版, JUI.2001.
(14)尾知博,lnterface期待が高まるディジタル通信技術の基礎, CQ出版, Oct.・2001.
(15)Jo㎞GProakis, Masoud Salehi, CON rEMPORARY COMMUNICAYION SYSTEMS using
MATLAB, Brooks/Cole,2000.
112
第6章
(1)htΦ:〃WW,tij.cojp/welcomej.html
(2)三上直樹,C言語によるディジタル信号処理入門, CQ出版, May.2001.
(3)三上直樹,lnterface C言語によるDSPプログラミング, sep. 2000−Apr. 2001.
(4)宮川 洋,今井秀樹,高速フーリエ変換,科学技術出版tt pp l O2−122, pp 148−165, D㏄.
1979.
(5)E・Oran Bfigham, The Fast Fourier Transfomi and lts ApPlications, Plentice Hall,1988.
(6)小池慎一,cによる科学技術計算, cQ出版, Sept. 1994.
(7)Paul M. Embree, C AIgorithms for Real−Time DSP, Prentice Ha皿,1995.
(8)三上直樹,”アルゴリズム教科書,”,cQ出版社PP・140−155, May. 1996.
(9)柴田望洋,明解C言語入門編ソフトバンクバブリッシング,Apr. 1998.
(10)RU lph Chassaing, Digital Signal Processing, Jhqn Wiley&Sons,1999.
(11)Naim Dalmoun, Digital Signal Prooessing, Prentice Hall,2000.
(12)瀬谷啓介,DSP Cプログラミング入門,技術評論it Oct. 2000.
(13)塚Pt−一一雄はじめてのC言語完全入門,技術評論社Jun.2001. 、
(14)三谷政昭,有井貴志,DSPによるディジタル信号処理プログラミング入門,森北出版,
D㏄.2000.
(15)B.ClebOWicz, S.Rubin,‘‘Development of Very L㎎e Scale Signal Processihg PayloadS f()r
Spa㏄,”2()th AIAA lntemational Communication Satellite System Conference,
AIAA2002−1950, May.2002.
第7章
(1)S.Egami, K. Sugiyama,‘‘Demodulation and Despread㎞g’fk)m Frequency Samples”,21st
AIAA lnteMational Communication Satellite Systems Co』nce and Exhibiち
AIAA2003−2293,旬Yokoham& Japan, Apr. 2003.
113
本研究に関する発表論文
(A)論文および国際会議
(1) T.Watanabe, K・Sugiyama, and S. Egami;“Demodulation of AM and FM
Signals Using FFT and IFFT”, The 2nd international workshop on Signal
Probessings Applications and Technology, pp.109−113,(Oct.2000)
(2) K.Sugiyama, T. Watanabe, and S. Egami;“PSK Demodulation in Frequency
Region,”The 2nd international workshop on Signal Processings Applications
and Technology, pp.109−113,(Oct.2000)
(3)杉山克己,渡邉恒哉,江上俊一郎;“周波数領域信号を用いたPSK復調”,
静岡大学大学院電子科学研究科研究報告,第22号,pp.39・・44,(May.2001)
(4)杉山克己,渡邉恒哉,江上俊一郎;“周波数領域を用いたAM、 FMおよ
びPSK信号の復調,”高速信号処理応用技術学会誌第4巻3号,pp.7−13,
(Sep.2001) ・
(5) S.Egami, K. Sugiyama, and T. Watanabe;“Application of DSP Technologies
in Satellite Communications,” 6th Joint International Conference on
Advanced Science and Technology (JICAST), pp.232−235,(Dec.2001)
(6) 渡邉恒哉,杉山克己,江上俊一郎;“周波数領域を用いたアナログ信号
の復調”,静岡大学大学院電子科学研究科研究報告,第23号,pp.75−80,
(May.2002)
(7) S.Egami and K. Sugiyama;‘‘Demodulation and Despreading from Frequency
Samples,” 21st AIAA International Communications Sa{ellite Systems
Conference, AIAA−2003−293,(Apr.2003)
(8)杉山克己,江上俊一郎;“C6711DSKを用いた周波数サンプルによる
BPSK復調,”高速信号処理応用技術学会誌第4巻3号,(掲載決定),(Sep.
一 2003)
(9)杉山克己,江上俊一郎;“衛星オンボード処理を目的としたDSPによる
.周波数領域搬送波再生とPSK復調,”電子情報通信学会論文誌(B),
Vbl.J86−B,(掲載決定),(2003予定)
114
(B)その他の論文
(1) 渡邉恒哉,杉山克己,江上俊一郎;“周波数領域を用いたアナログ信号
の復調”,電子情報通信学会技術報告,SAT 2001−77,(Dec.2001)
(C)ロ頭発表など
(1)渡邉恒哉,杉山克己,江上俊一郎;“DSKを用いたAM受信の実験”,
平成11年度電気関係学会東海支部連合大会,(Sep.2000)
(2)杉山克己,渡邉恒哉,江上俊一郎;“周波数領域におけるPSK復調”,
平成12年度 電気関係学会東海支部連合大会,No.418,(Sep.2000)
(3)渡邉恒哉,杉山克己,江上俊一郎;“FFT/IFFTによるAM/FM復調”,平
成12年度 電気関係学会東海支部連合大会,No.419,(Sep.2000)
(4)渡邉恒哉,杉山克己,江上俊一郎;“短時間FFT/IFFTによるAM/FM復
調”,2001年電子情報通信学会総合大会,B−8−19,(May. 2001)
(5)杉山克己,渡邉恒哉,江上俊一郎;“周波数コンボリュ・…一・・ションによる
PSK蓄積一括復調”,2001年電子情報通信学会総合大会, B−8−20,(May.
2001)
(6) 北川喜博,渡邉恒哉,杉山克己,江上俊一郎;“FFTを用いたAM放送
帯域受信,”平成14年度電気関係学会東海支部連合大会,No.348,(Sep.
2002)
115
謝 辞
本論文は、ディジタル信号処理の要であるDSPを無線通信分野へ応用するために、研究
した内容を述べたものです。研究の世界から縁遠い職場に勤務する社会人であった私は、
ここ静岡大学で本研究を行う機会に恵まれ、多くの方々から多大なるご指導ご鞭燵を賜り
ました。ここに、謝意を表します。特に、静岡大学工学部の江上俊一郎教授には私の不定
期な通学スケジュールに対して格別なご理解をいただき、卓越したご指導を賜りました。
そして、何より指導教官を快諾していただきました。心より御礼申し上げます。
また、静岡大学工学部相田一夫教授、福田明教授、桑原義彦助教授にはご多忙にも拘わ
らず本論文を査読いただき、有益なご意見やご指導並びにご審査の労を賜りました。深謝
致します。
更に、静岡大学工学部篠原茂信教授、吉田博文技官には常に暖かい激励の言葉をいただ
きました。静岡大学工学部池田弘明元教授には研究者への第一歩を歩ませていただいた
上に、ご心配をお掛けしました。入学時の静岡大学大学院電子科学研究科長、畑中義式元
教授には大学院の社会人学生となることをお勧めいただきました。静岡大学の大先輩であ
り職場での元上司である佐藤仁一様には身近において精神面を支えていただきました。お
世話になりました皆様方に改めて御礼申し上げます。江上(俊)研究室在籍の私より二十
歳以上も若い学友諸兄には、年齢差を越えたお付き合いをいただき貴重な助言を賜りまし
た。御礼申し上げます。
さて、本年2003年12月から地上ディジタル放送が始まり、今後全国に拡大していきま
す。私の職場にも近々、この新しい波が押し寄せてきます。大きな技術革新が始まる記念
すべき年に本論文を完成できたことに、私自身、何かを感じ始めています。
最後に、研究を続けるにあたり、経済面で援助してくれた父母、義父母、そして、健康
面に気遣い私を応援してくれた妻良江、遊びたい盛りに留守がちであった父親に不満も言
わず明るく育ってくれた長男裕和、そして、長女尚美に。ありがとうございました。
2003年8月
116