事業承継・ファミリービジネスの風景

事業承継・ファミリービジネスの風景
~成長可能な顧客企業の育成に向けて~
これまで2回にわたり老舗建築会社A社の事例
をご説明致しましたが、事業承継のポイントは、
まず兄弟姉妹間の争いにしないこと、その上で、
世代間の争いにしないことです。A社の場合、長
男が第三子であったことから、第一子である長女
の夫が一級建築士という理由で代表取締役に就任
したことが発端のひとつでした。配偶者は親族か
らすれば他人です。現実に相続が問題になったそ
の時、まさに私利私欲が発生するのです。それま
でA社の4人は、地元でも兄弟仲が良いと評判で
したが、それぞれの配偶者の利害がぶつかり、や
がて経営に口出しし、最終的に修正出来ないまま
破綻への道を進んで行きました。そうならないた
めに、創業者は少なくとも遺言を残すことをまず
考慮するべきでしょう。
第3回
そして同族会社・ファミリービジネスでもっと
も大切なことは、事が起こる前にできるだけ頻繁
に親族(経営)会議を開催することです。その場
合、家長にあたる人が強権的に物事を進めるので
はなく、兄弟の配偶者や子にまで発言をさせ、意
見を吸い上げることが重要です。そうでないと協
力しないばかりか足を引っぱることになりかねま
せん。
顧客である企業にこのような助言が出来るのは、
創業者・経営者にもっとも近いところにいる税理
士先生の皆様ではないでしょうか。しかし税理士
の先生方も得手不得手があるかと存じますので、
顧問先企業に何らかの兆候があった場合、専門の
弁護士にご相談いただくことも、より良い解決の
手段の一つかと思います。早期発見であれば病状
も軽く、また様々な対処方法があることと同様、
早めの行動によって解決出来る手段に多様性を持
つことが出来ます。
最近は、税務会計だけではなく、会社の結合・
分割等によるM&A、そのM&Aを実現するため
に不可欠なデューデリジェンスを含めた多種多様
な手法、会社関係法、労働関係法の複雑化等、企
業を取り巻く状況は1人ではまかないきれないほ
ど複雑・多様化しております。当事務所は、この
ような案件を専門に取り扱ってきており、多数の
案件を解決してまいりました。一社でも多くの中
堅中小企業の発展に税理士の先生方と共に寄与で
きれば幸いでございます。
(つづく)
*月1回掲載
松村国際法律事務所代表弁護士・第二東京弁護士会所属
大村 扶美枝(おおむら・ふみえ)
米国法律事務所、国内大手渉外系法律事務所を経て現職。中堅中小
企業の事業承継、M&A、企業法務案件を多く手掛ける。中小企業
の経営者と共に歩み、問題を解決することをモットーとしている。
【お問い合わせ先】
〒102-0076 東京都千代田区五番町2-13 林五ビル2F
電話:03-3238-9370(代表)
http://www.matsumurakokusai-law.com/