KPMGフォーラム2015-IoT時代の経営イノベーション 講演報告

KPMG
Insight
KPMG Newsletter
16
Vol.
January 2016
特集
KPMGフォーラム2015
IoT時代の経営イノベーション 講演報告
特集 2
【特別セッション】
「未来予測2016 ~2030」-コンピューティング革命としての「クラウド」
kpmg.com / jp
特集②
KPMGフォーラム2015
− IoT時代の経営イノベーション 講演報告
【特別セッション】
「未来予測 2016 ~ 2030」-コンピューティング革命としての「クラウド」
株式会社アクアビット
代表取締役 チーフ・ビジネスプランナー
有限責任 あずさ監査法人 総合研究所
未来研究室 顧問 田中 栄
KPMGジャパンは、
去る2015年11月26日、
27日 東京ミッドタウン、
12月4日 ミッ
ドランドホール(名古屋)
、12月7日 ホテルニューオータニ大阪において、
「KPMG
フォーラム2015− IoT 時代の経営イノベーション」を開催しました。
本フォーラムは、企業の皆様が日々向き合われている課題とともに、将来の新しい
時代を切り開く付加価値の高い情報提供をすべく昨年大幅なリニューアルと名称変
更を経て14年目を迎えています。
本年は、グローバル経営における事業戦略や人材・組織マネジメント、M&A・投
資戦略、ガバナンス構築、IT 戦略やセキュリティ対応、IFRSやBEPS 等の会計・税
務上の最新動向、各業種のメガトレンド等、様々なテーマの最新動向や事例を踏ま
えたテーマについて講演しました。
特に、IoT 時代の経営イノベーションについては、外部の有識者の方々も交えて講
演し、田中栄氏による特別セッション「『未来予測2016-2030』−コンピューティン
グ革命としての『クラウド』」は、東京会場1日目(11月26日)
、名古屋会場(12月
4日)
、大阪会場(12月7日)において、それぞれの地域特性に応じて行いました。
本稿では、IoT 時代の経営イノベーションについて、田中栄氏による特別セッショ
ンの講演内容を広くお伝えするため、概要をKPMGジャパンがご紹介します。
© 2016 KPMG AZSA LLC, a limited liability audit corporation incorporated under the Japanese Certified Public Accountants Law and a member firm of the
KPMG network of independent member firms affiliated with KPMG International Cooperative ( “KPMG International” ), a Swiss entity. All rights reserved.
KPMG Insight Vol. 16 Jan. 2016
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特集②
Ⅰ. 未来を創る3 つのメガトレンド
1.中長期戦略で必要な共通認識
( 2 )クラウド・コンピューティング
いま、
コンピューティングそのものに革命が起こっていると
強調され、
パソコンというモノがブロードバンドに繋がることで
一気にスパコンへと飛躍的に進歩したこと、これがコンピュー
田中氏は、まず今回のテーマが「未来」であり、その未来は10
ティングの革命であり、音声や映像がインターフェースとし
年先、15 年先の、これから直面するであろう現実の未来である
て本格的に使えるようになったことで、
プロダクトの概念が変
ということを説明されました。
わったことを説明されました。
中長期の戦略を立てるということは、半分以上は先を読むこ
コンピューティングはモノからサービスへと変化し、それに
と、つまり未来を視ることであり、戦略を創るためには、その
よって働き方が変わるということ、求められる能力が変わると
前提となる共通認識を固めることが必要であると述べられまし
いうことも述べられました。
た。今どうなっているか、そしてこれからどうなるかといった
現在や将来に対する見方を一致させなければ、
「 その先をどう
するか」
という議論ができるようにはならない。それを支援する
ためのものが、田中氏が執筆する
『未来予測レポート』であると
説明されました。
Ⅱ. ビジネス産業の変化
田中氏は、
ビジネスが変わるということは業界や産業の形も
『 未来予測レポート』で伝えたいことは「 過去の延長線上に
『未来』はない」であると、強調して説明されました。
2.未来を創る 3 つのメガトレンド
変わる、ということを強調され、大きなポイントとして以下の2
つを説明されました。
1.クラウドロニクス・サービス産業群
次に、田中氏が様々な業界の戦略立案に携わってわかった
1 つ目のポイントは、
クラウドとエレクトロニクスが融合した
ことは、
「 モノが足りない 」ことを前提とする「 サステイナビリ
「クラウドロニクス」という新しい概念が登場するということ。
ティ」、
「ゲノム」技術による「ライフ・イノベーション」、
「コン
これを土台としてエレクトロニクス・通信・コンピューティン
ピューティング革命」
による
「クラウド・コンピューティング」の
グがひとつの大きな産業となり、様々な産業の一部がデジタル
3 つがメガトレンドであり、それによって求められるビジネスも
サービス化し領域が重なることで「クラウドロニクス・サービス
変化していると述べられました。
産業群 」と呼ぶべき新しい産業が形成されていくと述べられま
なかでもメインとなるメガトレンドは「クラウド・コンピュー
ティング 」であり、その理由は、
「サステイナビリティ」や「ライ
フ・イノベーション」と異なり、あらゆる分野のビジネスに直接
的な影響を与えるものであるためとの見解を述べられました。
した。
2.トリプル・ベロシティ
これについて、東京、大阪ではエレクトロニクス産業におけ
2つ目のポイントは、商流・物流・金流という3つのビジネスの
るクラウド・コンピューティングを、名古屋では自動車産業に
基本的な流れが、3倍のスピード、3倍のバリエーションに一気
おけるサステイナビリティとクラウド・コンピューティングを中
に変化することであり、
クラウドによって、小売・流通のあり方、
心に、例を挙げて説明されました。
マーケティングの手法、決算手段などが一気に変わること、そ
れらが同時多発的に変わることは、
ビジネスの大前提やルール
( 1 )サステイナビリティ
が大きく変わることを指摘されました。
サステイナビリティとは、一言で言えば「 モノが足りなくな
コンピューティングは単なる情報端末だったものが、今や
る」ということであり、これからのビジネスの新しい前提になる
様々な分野に広がっており、
エレクトロニクス、自動車、
エネル
と説明されました。
ギー、医療/ヘルスケア、農業など、どの分野においても、根底
2 0 3 0 年には中国に代わってインドが人口1 位になり、いわば
にあるのはクラウドであると説明されました。
「もう1つの中国」
が誕生するとしたうえで、これからは安く大量
に作れば売れるという時代ではなくなり、社会全体、世界全体
の枠組みを大きく変える必要が出てくると述べられました。
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KPMG Insight Vol. 16 Jan. 2016
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特集②
Ⅲ. おわりに
田中氏は、
「過去の延長線上に『未来』はない」ということ、そ
の中心にあるのは
「クラウドロニクス」
であること、そして
「社会
が変われば、求められるビジネスもまた変わる」ということ、こ
れらを理解することが非常に重要であり、10年、15年先を踏ま
えてそれまでにやっておかなければならないことをバックキャ
ストで考えることが大切だと示されました。
講演は、過去の延長線上に未来は描けず、現在のビジネスが
安定的ではないことを考えさせられる大変示唆に富んだ講演で
した。
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