時空間解析における基礎概念と解析事例の体系的整理手法

GIS −理論と応用
Theor y and Applications of GIS, 2008, Vol. 16, No.2, pp.1-10
【原著論文】
時空間解析における基礎概念と解析事例の体系的整理手法
相 尚寿・岡部篤行・貞広幸雄・太田守重
Basic concepts for spatio-temporal analysis and systematic review of the studies
Hisatoshi AI, Atsuyuki OKABE, Yukio SADAHIRO, Morishige OTA
Abstract: Due to the increase in a necessity, operability, and data availability, spatio-temporal
analysis has been gathering popularity. However, there are few studies focusing on systematic
reviews of it. This paper first shows basic concepts for spatio-temporal analysis such as
geometrical representation of entities and changeability of attribute values over time. Then the
paper constructs a matrix showing the characteristics of earlier studies. The matrix consists
of two stages, where the first stage concerns the temporal representation and types of the
entities, and the second stage concerns spatial representation, changeability of location, shapes
and attribute values. The matrix helps us to understand the characteristics of the studies and
uniqueness or similarity when compared to others.
Keywords: 時空間解析(spatio-temporal analysis)
,時空間の分類カテゴリ(spatio-temporal classification
categories)
,地物の表現(representation of entities)
,地物の時間変化(changeability of entities
over time),体系的整理(systematic review)
1.はじめに
ための概念を整理し,各事例間の類似性や相違点を
近年,リモートセンシングや GPS,レーザースキャ
明らかにしながら,体系的に整理する試みはあまり
ナなど,空間データ作成のための技術が急速に進歩
見られない.しかし,新たな分析対象物に対して適
し,空間データの時系列的な蓄積が進みつつある.
用すべき時空間解析手法を選定し,また,研究目的
カーナビゲーションのデータは逐次更新され,GPS
に適合する既存解析手法の有無の確認する際には,
や携帯電話を用いて歩行者の移動行動を常に追跡す
体系的な整理が極めて重要であり,近年その必要性
ることも可能となってきた.
が主張されている(Christakos et al., 2001).
これを受けて,時系列に蓄積された空間データを
そこで,本稿では,時空間解析の研究事例を体系
解析するための手法開発が様々な分野で試みられて
的に整理し,各事例の関連性や類似性を明らかにす
いるが,このような時空間解析事例の多くでは,個
る手法の提案を目的とする.続く第 2 章では,時空
別の事例が想定する分析対象物の性質や取得された
間解析を行う上で基本となる概念を基に分類カテゴ
データに対して特化して解析手法が開発されたもの
リの提案を行い,第 3 章では,分類結果を体系的に
となっている.一方,時間と空間を記述,表現する
整理し表示するための手法として研究マトリックス
の構築を提案する.第 4 章では,実際に研究事例へ
相 : 〒 113-8656 東京都文京区本郷 7-3 -1 工 14 号館
東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻
TEL:03-5841-6259(研究室)
E-mail:[email protected]
の適用例を示した上で,第 5 章で結論を述べる.
- µ
()-
2.時空間解析の分類
いない.また,太田(1999)や Ota(2001)では,幾何構
まず,多様な時空間解析事例を整理するための分
造と位相構造を別に扱っているが,本研究では,地
類カテゴリを提案する.以下に提案する分類カテゴ
物を抽象化し視覚的に表現する過程に注目している
リは,いずれも時空間解析のモデルの組み立てや分
ため,位置や形状,さらに位相構造を含む概念とし
析手法の選択を行う上で考慮すべき項目である.
て幾何学的表現としている.なお,幾何学的表現は,
はじめに,モデルや解析の中で地物の特性をどの
分析の目的,対象地域のスケールなどに基づき適切
ように表現,記述するかに着目した分類を行う.本
な表現を分析者が選択するため,同一地物であって
研究では,地物の記述,表現について,空間的な位
も,事例によって幾何学的表現は異なることもある.
置や形状,位相構造に対応する「幾何学的要素によ
(1)点
る表現」,地物が存在する期間(瞬間)に対応する
分析の目的や分析対象地域のスケールにより,点
「時間軸上における表現」,上記以外の付加的な情報
による表現を選択した地物である.都市全体や地区
である「その他の属性」の 3 要素から構成されてい
スケールにおいて,小売店の立地や犯罪発生地点を
ると仮定する.なお,空間的および時間的情報を含
分析するとき,これらを点で表現することが多い.
まない「その他の属性」を,本稿では「属性」とし
(2)線
て議論する.これら 3 つについての分類として,
分析の目的や分析対象地域のスケールにより,線
1)地物の幾何学的表現
による表現を選択した地物である.都市全体スケー
2)地物の時間軸上における表現
ルでは,河川や道路網を線で表現することが多い.
3)地物の属性の記述
(3)面
を用い,さらに,地物の移動や変形を議論する際は,
分析の目的や分析対象地域のスケールにより,面
4)地物の位置と形状の時間変化
による表現を選択した地物である.都市全体スケー
に留意しなければならない.さらに,解析対象とす
ルでは,市区町村や公園を面で表現することが多い.
る地物が単一の種類か複数の種類かに着目して,
また,先ほど点で表現した小売店であっても,敷地
5)解析の中で対象とする地物の種類数
スケールでは面で表現することが多い.
によって時空間解析事例を大きく分類する.
以下では,これらの 5 つのカテゴリを説明する.
2.2.地物の時間軸上における表現
地物の時間軸上における表現による分類では,地物
2.1.地物の幾何学的表現
を時間軸上で離散的に表現するか,連続的に表現する
地物の幾何学的表現は,分析対象物を出力地図や
かによって分類する.この分類と後述する地物の位
GIS 画面上などに表示する際,分析者がどのような
置と形状の時間変化を組み合わせて用いることによ
幾何学的表現を選択するかによる分類で,点,線,
り,分析者が分析対象物の空間的性質,時系列変化,
面の 3 分類について述べる.分析対象物の空間的性
属性のいずれに関心を持っているかを分類できる.
質を解析する際に,点では位置や複数の点の重なり
畑山(2005)では,空間的幾何要素と時間的幾何
が主たる議論となるが,線では長さや交差の有無,
要素の組み合わせにより時空間情報の幾何要素を定
面では面積や包含関係も議論の対象となるように,
義するとしているが,本研究では,空間的な表現(幾
分析対象物の次元により位相構造の考え方,分析の
何学的表現)と時間軸上での表現とを互いに独立し
アプローチが異なるため,この分類を用いる.
たものとして扱うことで,研究事例を整理した際に,
空間的な次元による分類を用いる点が共通する既
空間的な表現と時間軸上での表現の一方でも共通す
存研究として,例えば畑山(2005)があるが,3 次元
る事例の発見を容易にしている.
である体については,現状における GIS の機能や時
空間解析事例の数を鑑み,本研究では分類に含めて
(1)離散的表現
離散的表現とは,分析対象物を,時間経過の中で
- 0µ
()-
瞬間的に存在する,または発生するものとして表現
(2)離散関数による記述
する場合で,分析対象物は,時間軸上の点に相当す
離散関数による記述とは,属性関数で引数の時間
る.交通事故や犯罪行為などは離散的に表現する.
座標値を定数とみなすとき,属性関数が空間座標値
(2)連続的表現
の離散関数(Step function)になる場合である.主
連続的表現とは,分析対象物を,時間経過の中で
として名義尺度,順位尺度による属性に対して用い
連続的に存在する,または発生するものとして表現
る記述法であり,道路の区間ごとの路線価,土地利
する場合であり,分析対象物は,時間軸上の区間ま
用状況,植生図などが例として挙げられる.
たは線分に相当する.気象観測を行うとき,その観
(3)連続関数による記述
測データは観測機器や観測方法の制約により通常は
連続関数による記述とは,属性関数で引数の時間
離散的に収集されるが,本来的には連続的に存在し,
座標値を定数とみなすとき,属性関数が空間座標値
変化している値であり,一般には得られたデータを
の連続関数となる場合である.主として間隔尺度や
補間して連続的なものとして表現する.
比例尺度による属性の記述に用い,例えば,道路ネッ
トワーク上における騒音の大きさ,関東地方での気
2.3.地物の属性の記述
温値の分布などがある.
地物の属性の記述による分類では,属性値として
以上の属性の空間変化をまとめ,地物の幾何学的
データを地物に対応させる際に用いる記述方法に
表現と対応させて整理したものが表 1 である.なお,
よって分類を行う.属性は,地物内の空間座標値お
表中で色の濃淡は属性値の差異(大小)を表す.
よび時間座標値を引数とする関数(以下,属性関数
表 1 地物の幾何学的表現と属性の空間変化
とよぶ)として記述する.分類にあたっては,空間
座標値,時間座標値を各々定数とみなすとき,属性
点
線
面
コンビニの
高速道路の
市区町村の
売上
路線番号
面積
路線価
町丁目別人口
道路沿い騒音
気温値の分布
関数の関数形の種類によって分類する.この分類も
地物の時間軸上の表現や位置や形状の時間変化と組
定数項のみ
み合わせることで,分析者が分析対象物のどのよう
な性質に関心を持っているかを分類できる.なお,
分析対象物の属性を考慮せず,幾何学的表現と時間
離散関数
軸上における表現のみを解析の対象とした事例の場
合は,「属性を考慮しない」と分類する.
連続関数
2.3.1.属性の空間変化
属性の空間変化による分類では,分析対象物の属
2.3.2.属性の時間変化
性関数の引数のうち時間座標値を定数とみなすと
属性の時間変化による分類では,分析対象物の属
き,その関数形の種類に基づく分類を行う.
性関数において空間座標値を定数とみなすときの関
(1)定数項のみによる記述
数形に基づく分類を行う.この分類は,実際の解析
定数項のみによる記述とは,分析対象物の属性関
において,適用すべき解析手法の選択を行う際の基
数で引数の時間座標値を定数とみなすとき,属性関
準となるものである.
数が定数項のみで記述される場合である.このと
(1)定数項のみによる記述
き,対象物内の全ての地点において属性関数の返り
定数項のみによる記述とは,分析対象物の属性関
値(属性値)は同一である.各市区町村が面で表現
数で引数の空間座標値を定数とみなすとき,属性関
され,その面積を属性として持っているとき,属性
数が定数項のみで記述される場合である.属性関数
関数は定数項のみで記述できる.
の返り値(属性値)は時間経過に対して不変である.
- µ
()-
例えば,鉄道網が属性として路線名を持つ場合,路
町村ごとの土地利用比率を分析する場合,市区町村
線名を改称しないと仮定すると,鉄道網データの属
の形状は(合併を考慮しない限り)変化しないので
性は時間変化しない.
考慮する必要はないが,気象学で雲の動きを分析す
(2)離散関数による記述
るとき,雲は絶えず移動し,その形状も変化してい
離散関数による記述とは,属性関数で引数の空間
ることを考慮しなければならない.また,ダム湖の
座標値を定数とみなすとき,属性関数が時間座標値
水面(水没範囲)を解析するときは,位置の変化は
の離散関数になる場合である.物流トラックの運用
ないが形状の変化を考慮しなければならない.
効率性を解析するとき,属性としてトラックの積載
表 2 位置と形状の変化
荷物数が与えられているとすると,この属性は荷物
変形不可
の積み下ろしを行う時点でのみ変化するので,時間
変形可能
移動
的に離散的な変化をする.
不可
(3)連続関数による記述
連続関数による記述とは,属性関数で引数の空間
移動
座標値を定数とみなすとき,属性関数が時間座標値
可能
の連続関数となる場合である.例えば,市区町村が
属性として総人口を持つ場合である.実際の総人口
2.5.解析の中で対象とする地物の種類数
は刻々と変化するが,人口調査が一定間隔でしか行
分析の対象に含まれる地物の種類が全て単一の種
われないため,人口データは時間的に離散的にしか
類か,複数の種類かによって分類を行う.犯罪発生
得られない.一般的にはこの離散的なデータに対し
地点の解析を例に挙げると,この分類を用いること
て時間内挿を行い,連続的なデータとして解析する.
で,犯罪発生地点が示す空間的あるいは時間的パ
ターンを発見する解析事例と,それらのパターンを
2.4.地物の位置と形状の時間変化
駅との位置関係や歩行者交通量など他の要素から説
次に,分析対象物の位置および形状の時間変化に
明する事例との分類に用いる.
着目して分類する.位置や形状の変化は,時空間解
(1)単一種類の地物
析の主要な関心の一つであり,変化の可否は,解析
単一種類の地物とは,分析の対象に含まれる全て
を行う際に適用すべき手法を選択する基準となる.
の地物が単一種類の地物である場合であるが,この
この分類も前述の地物の時間軸上における表現,位
とき,分析対象物すべての幾何学的表現,時間的表
置と形状の時間変化と組み合わせることで,詳細な
現,属性の記述がともに同じ分類カテゴリに属する.
分類を可能とする.
例えば,コンビニエンスストアの売上高の地域性を
表 2 は,位置と形状の時間変化の可否について,
解析するとき,コンビニエンスストアを全て点で表
組み合わせを示しており,以下で詳しく説明する.
現し,属性としてチェーン名,店舗名,売上高を持
(1)位置の変化:移動
ち,時間軸上で連続的に存在すると表現していると
分析において,時間経過に伴う地物の位置の変化
き,分析の対象に含まれる地物は単一種類の地物か
(移動)を扱うか否かの分類である.例えば気象観
ら構成されると分類する.なお,属性の記述方法が
測網による観測データを分析するとき,各観測地点
一致するならば,実際に個々の店舗に与えられてい
の位置は変化しないが,昆虫の行動軌跡を分析する
る売上高などのデータ(属性値)は異なっていても
ときは位置の変化を考慮して分析する必要がある.
良い.
(2)形状の変化:変形
(2)複数種類の地物
分析において,時間経過に伴う地物の形状の変化
複数種類の地物とは,分析の対象とする地物の中に
(変形)を扱うか否かの分類である.例えば,市区
異なる種類の地物が存在している場合であり,例とし
- µ
()-
ては,道路網とコンビニエンスストアの情報を用いた
表現(時間)を横軸とした分類を行う.続いて,上
商品配送トラックの巡回順序や配車時間の最適化が
段の各々のセルに対して第 2 段階が対応し,これを
挙げられる.線と点という異なった幾何学的表現を用
下段に配置する.第 2 段階では,地物の位置と形状
いた地物が存在している.また,病院と図書館へのア
の時間変化(位置と形状),属性の時間変化(属性)
クセスの解析事例では,病院と図書館をともに点で表
を縦軸に,地物の幾何学的表現と属性の空間変化(幾
現している点は共通するが,属性においては,病院が
何)を横軸にとり,詳細な分類を行う.本来は,第
受付時間や診察科目,図書館が開館時間,蔵書の種類
1 段階のセル全てに第 2 段階の表が対応づけされる
を考慮している.病院と図書館は異なる属性を持つた
が,紙面の都合これを省略し,表では単一種類かつ
め異なる地物であり,これらの解析事例では複数種類
離散的時間の地物の場合を例示している.また,属
の地物を対象にしていると分類できる.
性の空間変化は幾何学的表現と組み合わせて分類に
用いるが,本稿で紹介する事例の大部分が「定数項
3.時空間解析事例の整理
のみ」に該当するため省略し,幾何学的表現のみで
ここでは,前章で提案した分類カテゴリをもとに,
分類した.
時空間解析事例をその特徴により整理,表現する方
法として,研究マトリックスを提案する.
3.1.研究マトリックスの概要
研究マトリックスは,これまでに述べてきた時空
表 3 研究マトリックスの構造
時間
第
地物
一
段
階 単一種類
分類カテゴリによって表形式で配されるため,異分
野間で特徴が類似した研究事例の発見に寄与するこ
とが期待される.
研究マトリックスでは,前節で述べた分類カテゴ
リに基づいて分類を行うが,全てのカテゴリを同時
に用いると,構造が複雑になり表現として適切では
ないため,2 段階でマトリックスを構成する.
まず,第 1 段階では,各研究事例における地物の
時間的表現と種類数に基づき,これらの分類カテゴ
リのみを考慮した表を作成する.その各セルについ
て,第 2 段階の表を対応づける.
第 2 段階では,地物の幾何学的表現,属性の空間
連続的
複数種類
間解析の分類カテゴリを用いて,様々な研究事例を
体系的に整理するものであり,各研究事例の特徴が
離散的
幾何
第 位置と
二 形状
属性(注)
段
階 移動不可 考慮せず
不変
変形不可
可変
考慮せず
移動不可
不変
変形可能
可変
考慮せず
移動可能
不変
変形不可
可変
考慮せず
移動可能
不変
変形可能
可変
点
線
面
(注)不変は関数形が定数項、可変は離散・連続関数の場合に該当
変化,位置と形状および属性の時間変化に基づいて
分類する.各研究事例は第 2 段階の表において,各
4.研究マトリックスの適用
セルに対応づける.
前章で述べた研究マトリックスの基本的構成を実
際の既存研究に適用し,研究マトリックスを構築す
3.2.研究マトリックスの構成
る(表 4)
.なお,本稿で紹介する既存研究は,研究
表 3 は研究マトリックスの基本的構成を示してい
マトリックス構築法を解説するために,必要最低限
る.表中の上段では第 1 段階として,地物の種類
の数のみ紹介したものであり,時空間解析に関して
数(表中で地物と略記,以下同様)を縦軸,時間的
網羅的なレビューを行ったものではないことに留意
- µ
()-
されたい.また,マトリックス中では研究事例を番
●単一種類かつ離散的時間で表現する地物
号で示した.この番号は,本章の文中で各論文に付
[9]
Brunsdon et al.(2007)
は,警察への通報データ
記する番号と対応している.
を用いて犯罪発生の空間的状況を可視化する手法を
本章ではまず,研究マトリックスを適用して整理
紹介した.可視化手法としては,犯罪発生を点とし
する個々の既存文献の内容に基づき,その位置づけ
て示した地図を時間帯ごとに作成しアニメーション
方について述べ,研究マトリックスを構築した後,
化する方法,任意に抽出した時間帯ごとに複数の地
研究事例間の類似性,事例間の応用可能性などにつ
図を比較する方法,犯罪発生の空間座標と時間座標
いての考察を行い,研究マトリックスの有効性を検
から生成したカーネルの等値線を 3 次元空間に投影
証する.なお,マトリックスの有効性検証に関する
[20]
する方法について述べている.Levine(2006)
は,
議論は,第 1 段階マトリックスから得られる知見,
犯罪発生状況の可視化とその発生傾向の分析を行う
および,第 2 段階マトリックスについては,単一種
ソフトウェア CrimeStat を開発した.犯罪の発生地
類かつ連続的時間の場合に限定する.
点を点で表現し,これをもとに地域的,時間的に集
中傾向があるかといった仮説を統計的に検定する.
表 4 研究マトリックスの例
時間
地物
第 単一種類
一
段
階
複数種類
CrimeStat は,犯罪発生のみでなく,点で表現し,時
間的に離散的に発生する事象の解析に広く用いられ
離散的
連続的
[7] [8] [9] [13] [20] [25]
[4][12][14][15][18][19]
[27] [29]
[24][26][28][30]
[20]
[2] [3] [6] [11] [16] [17]
[7]
ている.安井・貞広(2003)
は,延長性,直交性,
交差性の 3 つの指標を提案し,
線で表現した道路ネッ
トワークの時間変化を評価する手法を提案した.
[27]
Sadahiro and Umemura(2001)
は,移動せず時間
[21] [22]
的に不連続に変化するポリゴンに限定し,その変化
位置と
形状
第 移動不可
二
段 変形不可
階
移動不可
変形可能
移動可能
変形不可
移動可能
変形可能
幾何
属性(注)
考慮せず
不変
可変
考慮せず
不変
可変
考慮せず
不変
可変
考慮せず
不変
可変
点
線
を,生成と消滅,拡大と縮小,融合と分割の 6 つの
面
イベントに分類し,ポリゴンの変化をこれらの組み
[28]
合わせにより表現する方法を提案した.この手法は,
[30]
[4] [24] [26]
[25]
Robertson et al.(2007)
により,ArcGIS のポリゴン
[13]
変化計量ツールとして実装された.Hagen(2003)
は,土地利用などを表したコロプレスマップが複数
時点について用意されているとき,それらの類似度
[14] [18] [19]
を比較する手法を提案した.Visser and de Nijs(2006)
[12] [15]
[29]
は,2 枚の地図を比較して領域分割が異なる範囲
[8]
を検出するツールを開発した.Choi et al.(2005)
は,
韓国,大邱都市圏における都市化による土地利用変
(注)不変は関数形が定数項、可変は離散・連続関数の場合に該当
化パターンを分析した.住宅地,農耕地,山林の土
地利用分類に基づき,2 時点間での土地利用をクロ
4.1.第 1 段階マトリックス
ス集計した後,都市圏を複数の地域に分割し,地域
(1)第 1 段階マトリックスの構築
ごとに 2 時点間の土地利用クロス集計を行うことで,
前述の通り,研究マトリックスは 2 段階構成と
土地利用変化パターンの地域差を比較した.
なっている.本節では,地物の種類数と時間的表現
●単一種類かつ連続的時間で表現する地物
に着目した第 1 段階のマトリックス(表 4 上段)の
Hägerstrand(1970)[14] は,空間の中における人間
構築方法を述べる.以下では,セルごとに既存研究
の行動について,空間を表す平面に時間軸を追加し
の概要とその位置づけについて紹介する.
た 3 次元時空間の中での軌跡,すなわち時空間パス
- µ
()-
として表す手法を提案し,今日の時間地理学の原点
飲食店から,店舗が立地する地域をもとに選択肢を
とされる.そこでは,人間は点で表現され,連続的
限定し,物理的な到達可能性と心理的な嗜好の双方
な時間経過に伴う人間の軌跡はパスとして描かれ
を考慮する方法を提案した.地物は,飲食店(点)
た.さらに,Hägerstrand(1970)は,人の行動を
と立地地域(面)の 2 種類で,いずれも移動,変形
制約する条件に注目し,その条件を満たす領域,す
[11]
せず,
属性も変化しない.Cushman et al.(2005)
は,
なわち与えられた自由時間で到達可能な空間的範囲
ボツワナ北部に生息する 3 つのゾウの群を対象に,
を時空間プリズムとして表現し,その空間断面を基
ほぼ 1 年間の行動履歴を蓄積し,行動パターンにつ
にアクセシビリティ評価が可能であることを示し
いての解析を行った.一つは行動パターンの周期性
た.この他にも本分類の該当事例があるが,それら
であり,各時点での行動と,様々な時間帯の行動パ
は次の 4.2 節で紹介する.
ターンとの類似度を評価した.また,ゾウの群の行
●複数種類かつ離散的時間で表現する地物
動に大きな影響を与えるとされている降雨と行動パ
Levine(2006) では,犯罪発生地点の空間的自
ターンとの関係についても解析した.ゾウと降雨地
己相関に留まらず,別荘地の居住状況と強盗発生の
域という 2 つの地物を扱っている.Lilian and Alice
関係などといった犯罪機会と犯罪行為の関係も論じ
[21]
(2004)
は,ショッピングセンターの通路と店の入
ているため,本分類に該当する解析も行っている.
口を GIS 上でネットワークとして扱い,買い物客の
●複数種類かつ連続的時間で表現する地物
回遊行動を追跡し,その傾向を明らかにした.買い
Kwan(2000) は,時空間パスの概念の拡張とし
物客を移動可能・変形不可の点として表現する点は,
て,インターネット利用などサイバー空間における
Hägerstrand(1970)などと共通するが,店によって
活動を,物理空間における活動と区別して扱い,時
素通り,入店といった状態が属性として与えられて
空間パスの分岐によってこれらを表現する手法を提
おり,ショッピングセンターの通路と店舗の配置が
案した.物理空間内の人とサイバー空間内の人とで
ネットワークとして与えられている点が異なる.
[20]
[16]
は,移動の可能性に相違点があり,異なる地物と考
(2)第 1 段階マトリックスからの知見
えている.大森ら(1997) ,大森(2002) は,高
第 1 段階マトリックスでは,解析を行う地物の種
齢者など移動困難者あるいは外出に大きな制約のあ
類数と地物の時間的表現の 2 軸を用いて,研究事例
る人のアクセシビリティに注目し,店や病院の位置
を大きく分類する.
を点で表現して,詳細な生活パターン調査に基づい
[9]
[20]
例えば,
Brunsdon et al.(2007)
と Levine(2006)
て,通院や買い物の可能性について評価した.宮本・
は,いずれも犯罪発生の空間的状況を可視化する手
湯沢(2004) は,中心商店街における小売店,飲
法を提案しており,Hagen(2003)[13] と Visser and
食店,駐車場,住宅といった土地利用の変化を解析
de Nijs(2006)[29] は,いずれも 2 枚の地図や画像の
し,来街者が商店街滞在中に立ち寄る店の軒数から
類似度を算出する手法を提案している.このように,
回遊行動の変化を解析した.
Ohgai et al.(2004) は,
第 1 段階マトリックスでは,分析対象物や分析の目
セルオートマトンを用いた延焼モデルを開発した.
的が類似した事例が同一のセルに分類されるため,
従来のような建物単位ではなく,セル単位とするこ
各分析事例間の関係を概観し,理解する助けとなる.
とによりモデル精度を向上させた.モデルには,セ
[14]
[11]
また,Hägerstrand
(1970)
とCushman et al.
(2005)
ルごとに耐火構造の有無,延焼状態が記録され,こ
では連続的時間による表現が共通するが,地物の
れをもとに延焼現象が再現される.さらに消火活動
種類数が異なる.これは,Cushman et al.(2005)が
もモデルに組み込み,木造密集地域を対象としたモ
分析対象であるゾウの移動軌跡に留まらず,降雨
デル適用例では,迅速な消火活動が延焼防止に果た
による行動への影響を考慮しているためである.
す役割が確認された.Kwan and Hong(1998) は,
Hägerstrand(1970)によって提案された時空間パス
時空間プリズム(Hägerstrand, 1970)内に含まれる
の概念の拡張として人の行動に影響を与える要因を
[2]
[3]
[6]
[22]
[17]
- µ
()-
考慮することは有用な拡張である.例えば商店街で
毎日の活動のうち 6 割が自宅で行われ,人の日常的
の人の回遊行動を研究対象とする際に,歩行者天国
な活動は家を中心に行われていると指摘した.自宅
導入の有無や降雨の影響を考慮した解析を行うこと
以外での活動では,年々平均移動距離が長くなる一
は有用であるといえる.研究マトリックスは,この
方,平均移動時間が短縮していることから,自家用
ような解析を行う際に Cushman et al.(2005)で提案
車の普及などによる空間の圧縮,距離抵抗の減少の
されている手法に応用可能性があることを示唆する.
可能性を示唆した.移動の目的を属性として扱い,
その変化を分析対象とした点が Hägerstrand(1970)
4.2.第 2 段階マトリックス
と異なる.
(1)第 2 段階マトリックスの構築
●線・移動不可・変形不可・属性可変
続いて,第 2 段階のマトリックスを構築する(表
Wu and Miller(2001)[30] は,一様な平面と一定の
4 下段).本稿では,第 1 段階マトリックスのセル
移動速度を仮定していた従来の時空間プリズムに対
のうち,単一種類かつ連続的時間のセルに着目し
して,混雑率などによる旅行速度の低下を考慮し,
て,第 2 段階マトリックスを対応づける.他のセル
道路ネットワーク上の各リンクについて到達可能性
についても同様の議論が可能であるが,紙面の都合
を評価する手法を提案した.
ここでは割愛する.なお,複数種類の地物を扱う研
●面・移動不可・変形不可・属性可変
究事例では,各々の地物の分類に応じて第 2 段階マ
[24]
Rey and Janilkas(2005)
は,複数の地域に分割
トリックスに対応させる.
して与えられている時系列データを動的に解析する
●点・移動不可・変形不可・属性考慮せず
[4]
ツール・パッケージ STARS を開発した.辻(1975)
Thériault et al.(1999)[28] は,点で表現する地物に
は,大阪市域の人口密度変化を,1920 年から現在ま
限定して,その時間的な変化を表現する方法を提案
でメッシュ単位で可視化し,戦後の人口密度と地域
し,点が分布する範囲の変化,個数の変化,密度の
[26]
ごとの戦災の関係を示している.Sadahiro(2001)
変化などについて整理した.
は,サーフェス形式,すなわち幾何学的表現が面で,
●点・移動可能・変形不可・属性考慮せず
属性関数が空間座標値の連続関数で与えられるよう
Kwan and Lee(2004) は GIS を 用 い て 3 次 元
な地物の時間変化の解析について,サーフェスの高
上に人の行動軌跡を表示する手法を提案した.人
さが極大あるいは極小になる critical point の個数変
の属性変化を考慮せず移動のみを対象とする点
化に注目した方法を提案した.さらに,周囲との高
は,Hägerstrand(1970) の時空間パスと共通する.
低差が相対的に少ない critical point を減らし,集約
Laube et al.(2005) は,
時空間中の複数の点オブジェ
する方法についても紹介している.
[18]
[14]
[19]
クト軌跡からパターンを発見する手法を提案した.
(2)第 2 段階マトリックスからの知見
●点・移動可能・変形不可・属性可変
ここでは,表 4 下段に示した第 2 段階の研究マト
Kim and Kwan(2003) は,駐車場への入庫時間
リックスを用いて,研究事例間の類似性,応用可能
や信号待ちなど移動に伴う損失時間を統計的に計算
性などを検討し,マトリックスの有効性を検証する.
してモデルに組み込み,さらに店舗ごとの営業時間
[14]
[18]
まず,Hägerstrand(1970)
,Kwan and Lee(2004)
,
を考慮することで,より詳細な時空間プリズムの評
[19]
Laube et al.(2005)
はいずれも,第 2 段階マトリック
価を可能とし,従来手法による過大評価の可能性を
スで同一セルに分類されている.Hägerstrand(1970)
指摘した.ネットワーク上を移動する点として自動
は空間の中での人間(点)の移動を時空間パスによっ
車を表現し,駐車場,信号待ち時間(属性)が変化
て 可 視 化 す る 方 法 を 提 案 し,Kwan and Lee(2004)
する.Ellegård and Volhelmson(2004) は,人を点
は,そ れ を GIS 上 に 表 示 し た.さ ら に,Laube et
で表現し,アクティビティダイアリを用いて,その
al.(2005)はそのような複数の点の軌跡からパターン
日常的な活動を自宅の重要性に着目して解析した.
を発見する手法を提案した.また,Hägerstrand(1970)
[15]
[12]
- µ
()-
[12]
と Ellegård and Volhelmson(2004)
は,異なるセルに
体の構造を俯瞰するだけでなく,適切な解析手法が
対応づけられるが,その差異は属性の時間変化であ
求められている分析対象物に対して異なる研究分野
る.Hägerstrand(1970)が活動の内容(属性)を考慮
から適用可能な手法,あるいは類似する性質を持っ
せず,人の移動軌跡のみを用いて単純化した事例で
た地物を扱った手法の中から応用可能な手法を発見
あり,Ellegård and Volhelmson(2004)はその拡張とし
するためのツールとしての利用が期待される.また,
て,活動の種類や目的を属性として考慮している点が
既存の複数の手法を組み合わせ,各々の特徴を活か
異なる.このようにして,類似した対象物を扱った基
した新たな手法開発の手がかりを導くものである.
礎的な論文や応用的な論文,拡張的な論文の関係,あ
この結果により本稿は,様々な分野の研究者に対
るいは,一連の研究の流れを概観することができる.
して各々の分析対象物にどのような手法の適用が考
次に Thériault et al.(1999) とLaube et al.(2005)
えうるかを情報提供し,また,従来は時空間解析が
では,両者の差異は,位置の時間変化のみである.
適用されてこなかった新しい種類の地物へ時空間解
前者は点が分布する範囲や個数,密度の変化から点
析の応用分野を広める試みや,時空間解析において
の分布の時間変化を表現するものであり,後者は点
扱われる様々な分析対象物の特徴を一般化して汎用
の軌跡からパターンを発見するものである.分析の
的な手法の開発につなげる試みにおいての基礎的資
着眼点は異なるが,複数の点が分布しているとき,
料となることで,時空間解析における研究の発展に
その時間変化の分析を目的とする点が共通する.こ
貢献するものと期待する.
[28]
[19]
のように,研究マトリックスは,分析の目的が共通
し,着眼点が異なる研究事例を参照し,分析対象物
謝辞
に応じて適切な手法を選択する判断材料となる.
本稿の完成にあたっては,匿名の査読者の方々,
東京大学の浅見泰司教授をはじめ,住宅・都市解析
5.おわりに
研究室の方々,そして 2006 年地理情報システム学
本稿では,従来は各研究分野独自に,かつ,研究
会研究発表大会にご参加の方々から多くの貴重なご
対象ごとに個別に開発されることが多かった時空間
意見やご指摘を頂戴しました.紙面を借りてお礼申
解析の手法に関して,それら全体の体系的な整理を
し上げます.
目的とし,研究分野に関わらず共通して適応しうる
時空間解析の基本的な分類カテゴリを提案した.
参考文献
また,その分類カテゴリを用いて既存研究を整理,
太田守重(1999)GIS のための時空間スキーマ.「GIS −
表現する手法として研究マトリックスを提案した.
研究マトリックスでは,第 1 段階のマトリックスで研
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動パターンを考慮した高齢者のアクセシビリティに
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析事例を大きく分類し,各事例が時空間解析の研究の
木計画学研究・講演集」,20
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中で占める凡その位置を示した.また,第 2 段階のマ
大森宣暁(2002)高齢者・障害者の生活活動・交通行動
トリックスにおいては,地物の幾何学的表現,属性
分析のための手法とデータ需要.「土木計画学研究・
の空間変化,地物の位置と形状および属性の時間変化
による分類カテゴリを用いることで,より詳細な比
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辻正矩(1975)大都市における人口密度分布の経年変化
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較を可能とした.これは,実際の時空間解析手法の開
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畑山満則(2005)災害調査データ共有のための時空間ア
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(2008 年 3 月 31 日原稿受理,2008 年 9 月 3 日採用決定,
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