2016(平成 28)年 1 月 15 日 全 社 協 社会福祉法人 全国社会福祉協議会 日 Japan National Council of Social Welfare (全社協 ぜんしゃきょう) 政策企画部 広報室 [email protected] Action Report TEL03-3581-4657 FAX03-3580-5721 〒100-8980 東京都千代田区霞が関 3-3-2 新霞が関ビル 第 65 号 Topics 平成 28 年度社会福祉関係予算案 平成 27 年度補正予算案は 1 月 14 日衆議院可決 子ども・子育て支援新制度下の平成 28 年度における充実分として、0.59 兆 円(5,938 億円)が確保-前年度比 15.8%増 社会的養護の推進に 1,278 億円 生活困窮者自立支援法関連は前年度同額の 400 億円 障害福祉サービス提供体制の基盤整備の増 「介護離職ゼロ」「生涯現役社会」の実現に向けた取り組みの強化 介護、保育等の人材確保施策の拡充 社会福祉士国家試験に向けてラストスパート~第 28 回社会福祉士国家試験 直前合宿 インフォメーション 社会保障・福祉政策情報 1 ■ 平成 28 年度社会福祉関係予算案 平成 27 年度補正予算案は 1 月 14 日衆議院可決 政府は12月24日(木)の臨時閣議において、平成28年度予算案を決定しました。予 算案における一般会計の総額は、約96兆7,200億円となり、平成27年度予算を約 3,800億円上回り、過去最大となりました。また、税収は景気回復を見込み、57.6兆円 (前年度比3兆円増)とし、新規国債発行額34.4兆円としています。そして、社会保障 の伸びを5,000億円に抑える方針は、目標範囲に抑えました。 厚生労働省の一般会計は、30兆3,110億円で、平成26年度(29兆9,146億円)比で 1.3%増となっています。社会保障の充実・安定化については、消費税引上げによる 平成28年度の増収分〔8.2兆円〕は全て社会保障の安定化・充実に向けるとし、 ①基礎年金国庫負担割合2分の1〔3.1兆円〕 ②社会保障の充実〔1.35兆円、うち子ども・子育て支援新制度の実施=5,593億円、 社会的養護の充実=345億円〕 ③消費税引上げに伴う社会保障4経費の増〔0.37兆円〕 ④後代への負担つけ回しの軽減〔3.4兆円〕 に向けられます。 また、一億総活躍社会の実現に向けて、「出生率1.8」、「介護離職ゼロ」に関する対 策に平成27年度補正予算案として3,951億円を計上し、保育サービスの拡充、介護サ ービスの基盤の確保とともに、保育人材、介護人材の育成・確保対策予算が追加され ています。 平成27年度補正予算は、1月14日衆議院本会議で可決されています。 ※平成28年度社会福祉関係予算資料は、以下の政策委員会ホームページに掲載しています。 http://zseisaku.net/download/ 子ども・子育て支援新制度下の平成28年度における充実分と して、0.59 兆円(5,938 億円)が確保-前年度比 15.8%増 子ども・子育て支援新制度の実施(社会保障の充実分含む)には、総額で2兆2,593 億円が確保され、前年度に比して5.6%の増となりました。 このうち、社会保障・税一体改革による、平成28年度における「社会保障の充実(い 2 わゆる『量の拡充』と『質の改善』)」部分には、0.59兆円(5,938億円)が計上され、この 部分のみに着目すると、前年度比で15.8%の増となっています。 平成28年度予算(案) 子ども・子育て支援新制度の実施 社会的養護の充実 計 〔参考〕平成27年度 予算分 5,593億円 4,844億円 345億円 283億円 5,938億円 5,127億円 保育分野では、27 年度補正予算案と同様に、(1)量の拡充、(2)人材確保、 (3)処遇改善、(4)利用者負担の軽減等を柱として、予算が構成される。 新規もしくは改善として予算案に位置付けられた具体の主な柱は次の4つです。 ○ ○ ○ ○ 待機児童解消のための施設等整備支援 人材確保や離職防止対策 人事院勧告を反映した処遇改善(給与改定)に資するための公定価格への反映 収入が低い多子世帯への利用者負担の軽減(無償化) 具体的内容は、次のとおりです。 (1) 待 機 児 童 解 消 等 の推 進 に向 けた取 り組 み 【その1】 ① ② ③ ④ (保 育 所 等 の整 備 支 援 〔 534.2億 円 。27年 度 補 正 時 554.3億 円 〕) 27年度補正予算に引き続き、待機児童解消加速化プランの保育量拡大 (40万人→50万人)にともなう施設整備費を確保(7.2万人分。27年度補正 での2.8万人分と合わせて10万人分を確保)。 また、27年度補正に引き続いて補助率をかさ上げ(国負担2分の1→3分の 2)し、地方負担を軽減して、整備を促進。 27年度補正予算案から創設された、小規模保育事業所の整備補助ならび に保育所等の防音壁設置費用補助を継続。 昨今の資材費及び労務費の値上がりをふまえ、補助基準額を2.2%増額。 (2) 待 機 児 童 解 消 等 の推 進 に向 けた取 り組 み 【その2】 (小 規 模 保 育 等 改 修 費 支 援 等 〔174.4億 円 (27年 度 補 正 時 は199.5億 円 )〕 ① 「保育所等設置促進事業」が創設された。 内容は、土地の確保が困難な都市部での保育所整備を促進するため、 『土地借料の一部を社会福祉法人以外にも支援』するもの。 3 (3) 保 育 の量 拡 大 を支 える保 育 士 の確 保 ① 「保育補助者雇上強化事業」が、新規事業として創設された(予算額:118 億円)。 その内容は、保育所等における保育士の負担を軽減し、保育士の離職 防止を図ることを目的として、保育士資格を持たない短時間勤務の保育補 助者の配置に必要な費用を支援。 27年度補正予算案に計上された、保育補助者雇上費貸付支援と合わせ た活用が可能。 要件等は、次のとおり。 ・保育補助者の業務: 保育所等に勤務する保育士の補助 (具体例)保育日誌の記入、翌日の準備、定期的な行 事の準備及び当日対応、保育士との共同に よる保育の実施など ・実施主体: 市町村 ・補助率: 国3/4、都道府県1/8、市町村1/8 ・基準額: 2,215千円(1人当たりの年額。短時間〔6時間〕勤務者) ・条件: (ア) 1施設につき、保育補助者1名を追加配置した場合に支 給する (イ)保育補助者には、保育士修学資金貸付等を活用し、保 育士資格の取得に努めること (ウ)一定の研修(子育て支援員等)を受講している者か、そ れと同等以上であると市町村長が認める者であること (エ)短時間正社員制度の導入など、職員の雇用管理や職場 環境の改善を積極的に行っている保育事業者であること (オ)保育事業者は、保育補助者の配置による具体的な改善 計画を実施主体に提出し、かつ、当該計画に基づき改 善を行うこと (4) 28年 度 予 算 における教 育 ・保 育 給 付 の充 実 ① 賃借料加算の充実 現行の公定価格における賃借料加算を、実勢に対応した水準に見直す。 ② 保育士等の待遇改善 平成27年人事院勧告に伴う国家公務員の給与改定の内容に準じた保育 士等の待遇改善(保育士平均+1.9%)を、平成28年度の公定価格にも反映 する。 ③ チーム保育推進加算の創設 4 保育所の公定価格にチーム保育推進加算を創設し、チーム保育体制の整 備による保育士の負担軽減や、キャリアに応じた賃金改善による定着促進を 通じた全体としての保育の質の向上を図る。 ※加算の概要 ・以下の場合に1名分の保育士人件費相当分を加算。 (ア) 必要保育士数(公定価格の基本分単価及び他の加算等の認定に当 たって求められる数) を超えて保育士を配置 (イ) チームリーダーの位置付け等チーム保育体制を整備し、キャリアを 積んだ保育士が若手保育士とともにチームで保育する体制を構築 (ウ) 職員の平均勤続年数が15年以上 (エ) 加算分による増収は、キャリアを積んだ保育士の賃金増や人員配置 の増、当該保育所全体の保育士の賃金改善に充てること 注: 職員の平均勤続年数15年以上の施設が対象 → 私立保育所全体の10.6%が対象と推計 ④ 多子世帯・ひとり親世帯等への保育料軽減の強化(幼児教育の段階的無 償化等) 年収360万円未満の世帯について、多子計算に係る年齢制限を撤廃し、 第2子の保育料を半額、第3子以降の保育料を無償化する。 さらに、年収360万円未満のひとり親世帯等については、第1子の保育料 を半額、第2子の保育料を無償化する。 社会的養護の推進に 1,278 億円 「社会的養護の推進」として 1,278 億円(うち、児童入所施設措置費等が 1,140 億円) とされ、平成 27 年度予算額 1,188 億円に対し 90 億円増の予算案となっています。 具体的には次のとおりです。 1.施設における家庭的養護の推進 (1)児童養護施設の小規模化等の推進【拡充】 虐待を受けた子どもなど社会的養護が必要な子どもを、より家庭的な環境で育てる ことができるよう、里親・ファミリーホームへの委託を進めるとともに、既存の建物の賃借 料加算の引き上げや施設整備費に対する助成を行い、グループホーム、小規模グル ープケア等の実施を推進する。 5 <社会保障の充実> 【量的拡充】 受入児童数増への対応 【質の向上】 ① 児童養護施設及び乳児院に里親支援担当職員1名を配置 ② 小規模グループケア、地域小規模児童養護施設の増加(41年度までに全施 設を小規模化し、本体施設、グループホーム、里親等を1/3ずつにする) など (2)児童養護施設等の生活向上のための環境改善事業の実施【拡充】 児童養護施設等の家庭的養護の更なる推進等を図るため、児童養護施設の小規 模化等、生活環境改善を図るための補助を行う。 また、児童相談所及び一時保護所における児童の心理的負担の軽減を図るための 必要な環境改善を図る。 2.里親委託の推進等 (1)里親支援機関事業の拡充【一部新規】 里親制度の広報啓発等による新たな養育里親等の開拓、里親等による相互交流、 未委託里親に対する委託に向けたトレーニングなどを行う。 さらに、里親委託の前提となる委託候補者の選定や委託後の自立支援計画の作成 について、児童相談所が里親支援機関に委託した場合の費用について補助を行う。 また、共働き家庭における里親委託の促進を図るため、里親支援機関における平 日夜間や土日の相談体制を整備する。里親委託と就業の両立が可能となるような仕 組みづくりについて、課題の分析・検証を行い、その成果を全国的に普及拡大するた めの取組を新たに実施する。 (2)里親委託児童が通院する際の交通費加算の創設【新規】 里親委託児童のうち、障害や重篤な虐待による心理的ケアが必要な児童が増加し ていることから、里親委託児童が医療機関に通院する際の交通費加算を創設する。 (3)施設機能強化推進費の充実【一部新規】 ① 施設入所児童が週末や夏季休暇等の期間を利用して、未委託里親あるいはボ ランティア家庭等で家庭生活を体験する施設入所児童家庭生活体験事業の充 実を図る。 ② 施設退所者が生活・就労面の不安により一時的に施設に戻ることができるよう、 施設における居場所を確保する。 6 ③ 地域における社会体験、就労体験等の実施により、自立支援機能の強化を図る。 3.被虐待児童などへの支援の充実 (1)児童家庭支援センター運営等事業の推進【拡充】 ・ 地域における保護者等からの虐待等に関する相談・支援体制を強化するため、児 童家庭支援センターのか所数の増を図る。相談件数や心理療法の実施状況等の 事業量に応じた運営費補助を充実する。 ・ 退所児童等アフターケア事業及び児童養護施設の退所者等の就業支援事業のか 所数の増を図る。 (2)指導委託促進事業の創設【新規】 要保護児童又は保護者に対する指導などの業務について、児童家庭支援センタ ー等に委託した場合の補助を行い、地域における相談・支援体制の強化を図る。 (3)家庭支援専門相談員の複数配置【拡充】 施設に配置される家庭支援専門相談員について、施設の規模に応じ2名配置を可 能とすることにより、親子関係再構築支援の充実を図る。 (4)情緒障害児短期治療施設の設置促進【新規】 情緒障害児短期治療施設に配置すべき医師の確保のため、人件費の充実を図る。 (5)児童養護施設等の職員の人材確保対策 社会的養護を担う人材の確保のため、児童養護施設等の職員の研修事業を実施 するほか、①実習を受け入れる施設で、実習を指導する職員の代替職員を雇い上げ る経費、②実習を受けた学生等を非常勤職員として雇い上げる経費について補助等 を行う。 さらに、児童扶養手当の第 2 子加算額を 5 千円から 1 万円へ、第 3 子以降加算額 を 3 千円から 6 千円へ、それぞれ倍増としています。 生活困窮者自立支援法関連は前年度同額の 400 億円 平成28年度の地域福祉関係予算の内、地域の福祉サービスに係る新たなシステム の構築予算として23億円、生活困窮者の自立・就労支援等の推進及び生活保護制度 の適正実施として2兆9,515億円が計上されました。そのうち生活困窮自立支援法関連 予算は前年度と同額の400億円が確保されています。 7 生活困窮者自立支援策 生活困窮者自立支援法に係る負担金(必須事業)は、自立相談支援事業、住居確 保給付金、被保護者就労支援事業(改正生活保護法)の3事業ですが、併せて218億 円が計上されました。補助金(任意事業等)については、一部新規事業の子どもの学 習支援事業の充実・強化 33億円、新規事業の生活困窮者等の就農訓練・中間的就 労の推進 5.6億円を含む183億円が計上されています。また、生活困窮者自立支援 制度を担う人材養成にかかる予算として85百万円が示されました。 平成27年度予算より、生活困窮者自立支援法のその他任意事業のなかに、地域に おける生活困窮者支援等のための共助の基盤づくり事業、日常生活自立支援事業、 ひきこもり対策推進事業といった地域福祉関連事業が位置づけられましたが、平成28 年度予算においては、さらにこれまで生活保護適正化事業に位置づいていた生涯現 役活躍支援事業並びに民生委員事業委員研修事業が、その他任意事業の予算とし て位置付けられています。 なお、平成27年度補正予算においては、生活困窮世帯の子どもに対する教育支援 資金(生活福祉資金)の拡充のため25億円が示されています。 さまざまな福祉ニーズに対応する新しい地域包括支援体制の構築 平成28年度予算においては、さまざまな福祉ニーズに対応する新しい地域包括支 援体制の構築、生産性の向上によるサービスの効率的・効果的な提供、地域の福祉 サービスに係る新たなシステムを担う人材の育成・確保といった3つの柱の予算が確保 されました。 このうち、さまざまな福祉ニーズに対応する新しい地域包括支援体制の構築の具体 化として、「多機関の協働による包括的支援体制構築事業」 5億円が計上されまし た。 この事業は、地域の中核となる相談支援機関を選定し、当該機関が中心となって、 複合的な悩みを総合的かつ円滑に相談できる体制を整備するとともに、相談者本人 だけでなく、世帯全体の課題を把握し、多機関・他職種の連携・協働による包括的な 支援を実施するものであり、平成28年度は包括的支援を受けられるようにするための システムづくりをモデル的に実施する予定です。 被災地等における生活支援相談員 被災地等に配置される生活支援相談員の予算については、これまで実施されてき た支援をより効率的に一元的に支援して体制を強化するため、平成28年度は被災者 見守り・相談支援事業として、復興庁所管「被災者支援総合交付金」 220億円の内数 として一括計上されました。 8 障害福祉サービス提供体制の基盤整備の増 障害保健福祉部関係予算案は、予算額1兆6,375億円(対前年度比880億円増、 5.7%増)、その内の障害福祉サービス関係費(自立支援給付費+障害児措置費・給 付費+地域生活支援事業費)については1兆1,560億円(同710億円増、6.5%増)とな りました。 障害福祉サービス関係予算に関しては、本会政策委員会ならびに障害関係種別 協議会が更なる拡充を要望してきたところであり、結果として「良質な障害福祉サービ ス等の確保9,701億円(対前年度比371億円増)」が実現しました。 また、本会政策委員会ならびに全国身体障害者施設協議会等が要望していた、必 要なサービスの総合的な確保・推進などを図るための設備整備の拡充について、「障 害児・障害者への福祉サービス提供体制の基盤整備70億円(対前年度比44億円増)」 として、就労移行支援、就労継続支援事業等を行う日中活動系事業所やグループホ ーム等の整備促進を図るとともに、障害児支援の充実を図るため、地域の障害児支援 の拠点となる児童発達支援センター等の整備やきめ細やかな支援を行うための小規 模な形態による体制の整備の推進が拡充されることとされました。 なお、本会政策委員会が要望していた障害者の権利擁護体制の整備について、 「障害児・障害者虐待防止・権利擁護に関する人材養成の推進14百万円(対前年度 比10.2百万円増)」として、国において、障害児・障害者の虐待防止や権利擁護に関 して各都道府県で指導的役割を担う者を養成するための研修実施の予算が拡充され ました。 また、その他の関係予算として、本会政策委員会ならびに全国社会就労センター 協議会が要望した、障害者就労支援施設への官公民需拡大に向けての共同受注窓 口の体制整備の着実な推進にかかる予算確保要望が一部反映され、その継続のた めの予算確保が実現しました。同様に要望していた障害者の工賃・賃金の向上のた めの民需等の拡大についても、「農福連携による障害者の就農促進1.1億円」として、 農業分野での障害者の就労を支援し、障害者の職域拡大や収入拡大を図る関係事 業予算が新たに盛り込まれました。 「介護離職ゼロ」「生涯現役社会」の実現に向けた取り組みの 強化 「介護離職ゼロ」をめざし在宅・施設サービスを整備 一億総活躍社会の実現に向けた新三本の矢のうち、第三の矢「安心につながる社 会保障」では、「介護離職ゼロ」と「生涯現役社会」の実現に向けて、各種施策が予算 9 化されました。 介護離職ゼロに向けては、「必要な介護サービスの確保」として、地域医療介護総 合確保基金(介護分)を483億円積み増し、2020年代初頭までに約10万人分の在宅・ 施設サービスの前倒し・上乗せ整備等を行うほか、介護サービスを提供するための人 材育成・確保、生産性の向上をめざすこととしています。「働く環境改善・家族支援」と しては、介護する家族の不安や悩みに応える相談機能の強化・支援体制の充実をめ ざし、認知症初期集中支援チームによる認知症の早期診断・早期対応、地域支援推 進員による相談対応、認知症カフェの設置等、認知症施策の推進に57億円が計上さ れています。 生涯現役社会に向けた健康寿命延伸をめざす取り組みのうち、地域における介護 予防の取り組みを推進するための支援として、介護予防等の拠点となる「介護予防・ 生活支援拠点」の整備支援や、効果的な介護予防等の取り組みへの支援等のため、 平成27年度補正予算で18億円、平成28年度予算では1億円が計上されています。 医療・介護サービス提供体制の構築に向けて基金を積み増し 平成28年度厚生労働省予算案の主要施策の一つ『「健康長寿社会」の実現』として、 「予防・健康管理の推進等」「医療・介護等の充実」「健康で安全な生活の確保」「自立 した生活の実現と安心の確保」「安心できる年金制度の確立」の5つを柱としています。 「医療・介護等の充実」では、かかりつけ医・かかりつけ薬局等の機能評価や在宅医 療の推進といった地域包括ケアの構築と医療機能の分化・強化、連携等の観点から 診療報酬が改定されました。また、地域医療介護総合確保基金(医療分)に602億円 が積み増しされ、病床の機能分化や在宅医療の推進、医療従事者等の確保・養成に 向けた事業が推進されます。 介護関連では、地域医療介護総合確保基金による介護施設の整備や人材確保等 の事業の他、認知症施策の推進や生活支援の充実・強化、在宅医療・介護連携の推 進等の地域支援事業の実施に向けた市町村支援として195億円、「認知症施策推進 総合戦略」(新オレンジプラン)の推進については82億円が計上されました。 介護、保育等の人材確保施策の拡充 福祉人材確保関係施策については、介護人材、保育士等を中心に重点的に施策 が講じられています。 介護分野については、平成26年度、厚生労働省は、福祉人材確保対策検討会、社 会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会等における検討を通じて、平成37 年を目標とし都道府県ごとに長期の介護人材の需給予測と計画的な人材確保施策を 講じることとしました。この都道府県ごとの介護人材の需給ギャップは合計すると37.7 10 万人であり、平成27年度、この需給ギャップを解消するために都道府県ごとに対策を 講じるための予算上の措置として地域医療介護総合確保基金による介護人材確保対 策事業が事業費ベースで90億円(国費60億円)確保されています。平成28年度予算 案においても同額計上されています。 なお、平成28年度予算概算要求では、介護福祉士等修学資金貸付事業の貸付原 資等の積み増し等の事業が計上されていましたが、政府が11月に発表した「一億総活 躍社会の実現」に向けた施策として打ち出した平成27年度補正予算案(※)に以下の 事業とともに前倒しして盛り込まれています。 【※平成 27 年度補正予算案】 ○再就職準備金貸付制度の創設及び修学資金貸付制度の拡充 261 億円 離職した介護人材のうち一定の経験を有する者に対する、介護職員として 2 年 間従事した場合に返還免除となる再就職準備金(20 万円)の貸付メニューを新た に創設するとともに、介護福祉士を目指す学生に対する、修学資金等の貸付事業 の拡充を行う。 ○離職した介護人材の届出システムの構築 3.9 億円 離職した介護人材の氏名・住所等を把握し、離職者のニーズに沿った求人等の 情報提供を行うためのシステムを新たに構築する。 ○地域医療介護総合確保基金(介護分)を活用した介護人材対策の加速化 (地域医療介護総合確保基金(介護分)の積み増し) 119 億円 地域医療介護総合確保基金を活用した取り組みをより一層加速化するとともに、 新規参入促進や離職防止・定着促進の観点から、以下の取り組みを追加して実 施するため、地域医療介護総合確保基金の積み増しを行う。 ・将来の就労を視野に入れている中高年齢者に対する入門的な研修、職場体 験等の実施 ・資格取得のための研修受講の際の代替要員確保や、医療的ケア研修の受け 皿の整備 ・介護施設・事業所内保育所の設置の加速化や子育て支援のための代替職員 のマッチングにつなげるための仕組みづくり ・雇用管理改善に取り組む事業者のコンテスト・表彰の実施 11 また、保育士等の確保対策については、平成 28 年度予算案において、保育対策総 合支援事業費補助金、子ども・子育て支援体制整備総合推進事業費補助金と合わせ て 205 億 7,800 万円が計上されています。 ①保育士確保対策 ・保育士・保育所支援センター設置運営事業【一部新規】 保育士・保育所支援センターにおいて実施している、潜在保育士への就職 支援、保育所に勤務する保育士等への相談支援、保育所の潜在保育士活用 支援等の実施に加え、更なる保育士確保対策の推進を図るため、都道府県が 保有する保育士登録簿を活用して把握した潜在保育士に対し、定期的な求人 情報や就職説明会等の案内を行うための費用の一部を補助することにより、保 育所等への就職に向けたアプローチを積極的に行う。 ・保育士宿舎借り上げ支援事業 ・保育体制強化事業 保育士の負担軽減を図り、保育士の就業継続・離職防止や質の高い保育の 提供につなげるため、保育にかかる周辺業務を担う保育支援者(地域住民や 子育て経験者など)の配置。 ・保育士養成施設に対する就職促進支援事業 指定保育士養成施設の保育所等への就職内定率が前年度の保育所等就 職率(全国平均)を上回った割合に応じて、当該取組に要した費用の一部を助 成。 ②保育士資格取得と継続雇用の支援 ・認可外保育施設保育士資格取得支援事業 ・保育士資格取得支援事業 1)幼稚園教諭免許状を有する者の保育士資格取得支援事業 2)保育所等保育士資格取得支援事業 ・保育教諭確保のための保育士資格取得支援事業 ・保育士修学資金貸付事業 ※平成 27 年度補正予算案に計上 ・保育士試験追加実施支援事業 ・保育士試験による資格取得支援事業 保育士試験の合格を目指す者に対し、保育士試験受験のための学習に要し た費用の一部を補助 ・保育補助者雇上強化事業【新規】 保育所等における保育士の負担を軽減し、保育士の離職防止を図ることを 目的として、保育士の雇用管理改善や労働環境改善に積極的に取り組んでい 12 る保育事業者に対し、保育士資格を持たない短時間勤務の保育補助者の配置 に必要な費用を支援。 補助基準額 2,215 千円(1 人あたり) ・若手保育士や保育事業者への巡回支援事業【新規】 公立保育所の OB・OG やソーシャルワークの専門職等を活用し、保育士等に 勤務する経験年数の短い保育士に対し、保育現場におけるスキルアップや保 護者対応等、当該保育士への助言指導を行うため、保育所等への巡回支援を 行う。 また、保育士等における ICT 化の推進、保育士の業務負担軽減及び保育所 等の事業運営の高度化を図るための保育事業者に対する助言指導、保育事故 防止や保育の質確保に関する助言指導を行うため、保育所等への巡回相談を 行う。 補助基準額 研修代替費用 6,120 円(職員 1 人 1 日当たり) 人材交流調整費用 実習受入費用 10,000 円(1 人当たり) ③保育士の質の向上と保育人材確保のための研修 保育所の職員等を対象とした専門性向上や就業継続を支援する研修、 保育士試験合格者に対する実技講習等 5 つのメニュー。 【※平成 27 年度補正予算案】以下 4 事業 566 億円 ○保育士修学資金貸付事業の積み増し 保育士養成施設の学生に対し、修学資金(月額 5 万円以内)や入学準 備金(20 万円以内)、就職準備金(20 万円以内)を貸し付ける。5 年間 の実務従事により返還免除。補助率を国 3/4 から 9/10 に引き上げ。 ○保育補助者雇上支援事業 保育補助者を雇いあげる場合に、事業者に貸付。 (年額 2,953 千円を 3 年以内)保育補助者が 3 年間に保育士資格取得またはこれに準じた場合、 返還免除。 ○未就学児をもつ保育士の保育所復帰支援事業 未就学児を有する潜在保育士に対し、保育料の一部を貸付。 (上限 5.4 万円の半額 1年間)再就職後 2 年間の実務従事により返還免除。 ○潜在保育士の再就職支援事業 潜在保育士が保育士として保育所に勤務することが決定した場合、就 職準備金 20 万円を貸付。2 年以上勤務した場合、返還免除。 13 また、平成 27 年度補正予算案において、介護、保育両分野に既存、新規含めて 6 つの人材確保を目的とした貸付事業が盛り込まれています。補正予算は、1 月 14 日 衆議院本会議で可決されています。 これらの貸付事業は、都道府県(事業によっては指定都市)若しくは、都道府県が 適当と認める社会福祉法人等が実施主体となることが想定されています。 都道府県社会福祉協議会においては、介護福祉士等修学資金貸付事業や生活 福祉資金貸付事業を実施していることから、都道府県から都道府県社協に依頼がある ことが想定されるため、現在、本会では、各貸付事業における財源やその構造、事業 内容の詳細、実施体制等の基本事項について、厚生労働省担当部局の考え方につ いて確認を行っており、1 月 29 日(金)に開催する都道府県・指定都市社会福祉協議 会常務理事・事務局長会議において説明する予定としています。 ■ 社会福祉士国家試験に向けてラストスパート~第 28 回社会 福祉士国家試験直前合宿 中央福祉学院は、12月23日(水)~24日 (木)、第28回社会福祉士国家試験に向けた 「直前合宿」をロフォス湘南にて開催し、本学 院在籍生及び卒業生の111名が参加しまし た。 今回の合宿では、本学院社会福祉士通信 課程卒業生であり、国家試験の最新傾向を 徹底分析した飯塚慶子氏を講師に迎え、国 家試験の重要ポイントを泊り込みの合宿形式 で集中的に学んでいきました。 講義の前後、朝 8 時から夜 9 時まで開放し た「自習室」「グループ学習室」では、8 月の 飯塚慶子氏による講義の様子。国家試験 の重要ポイントを繰り返し解説。 試験対策講座と同様に、多くの受講生が時 間を惜しんで試験勉強に取り組みました。 受講生からは、「模擬試験の点数が伸び悩んでいたが、合宿を通じて、重要ポイン トを理解することができた」、「講師や事務局の熱意が伝わり、何としても合格したいと いう気持ちになった」、「合宿を通じて、通信課程のスクーリングで同じクラスだった方と 再会でき、良い刺激となった」などといった声が寄せられました。 14 また、受講生の合格を祈願したレストランの特製 メニューや、体調管理に細心の注意を払った研修 環境を提供するなど、ロフォス湘南の職員が一丸 となって、受講生の国家試験合格を応援しまし た。 「小串カツ=国試勝つ!!」、「卵の黄身がカツ= 君が勝つ!!」の合格祈願メニューなどロフォス湘 南の職員が一丸となって受講生を応援。 15 インフォメーション 第 11 回 権利擁護・虐待防止セミナー 参加申込み受付中 テ ー マ 「社会福祉法人・福祉施設、社協等関係組織が共に取り組む 地域の権利擁護・虐待防止」 日 時 平成 28 年 2 月 18 日(木) 10:30~16:30 会 場 全社協・灘尾ホール 東京都千代田区霞が関 3-3-2 新霞が関ビルLB階 参加対象 地域包括支援センター、在宅介護支援センター、障害者虐待防止センタ ー、障害者権利擁護センター、児童家庭支援センター、地域生活定着支 援センター、福祉施設(児童・高齢者・障害者福祉施設)、民生委員・児 童委員、社会福祉協議会(日常生活自立支援事業、成年後見センター、 生活困窮者支援事業関係部所)、市区町村、都道府県、児童相談所、福 祉事務所、権利擁護・虐待防止活動を行う非営利組織・専門職組織、教 育機関、医療機関、対人援助専門職(社会福祉士、介護福祉士、精神保 健福祉士)等(定員 200 名) 受付締切 平成 28 年 2 月 4 日(木)必着(ただし、定員になりしだい締切) 参 加 費 一般 9,000 円/『月刊福祉』『ふれあいケア』『保育の友』購読者 7,000 円 ≪『月刊福祉』2 月号(1 月 6 日刊行)、『ふれあいケア』2 月号(1 月 20 日刊行)、『保育の友』 2 月号(1 月 8 日刊行)に掲載した本セミナー要綱の所定の応募券を貼付の場合に限る≫ 参加費が割引になる応募券は、 『月刊福祉』2 月号 P.103 『保育の友』2 月号 P.78 にあります。 『ふれあいケア』2 月号は 1 月 20 日刊行です。 詳細は、下記URLより開催要綱をダウンロードのうえ、ご覧ください。 http://www.shakyo.or.jp/news/seminar_No11_20151215.pdf 16 詳細につきましては、出版部ホームページをご覧く 図書・雑誌 ださい。 https://www.fukushinohon.gr.jp/ 全社協の新刊・月刊誌 出版部で発売した図書と月刊誌の特集をご案内いたします。いずれの書籍も読者 の関心が高いテーマや重要な課題をとりあげていますので、関係者への周知にご協 力くださるようお願いいたします。 <月刊誌> ●特集「”福祉“ではたらく2-児童福祉職」 『月刊福祉』2 月号 平成 27 年 9 月号では「”福祉“ではたらく」として、福祉の 職場で働くことの意味や福祉・介護職を主要軸に、福祉人 材のゆくえ全体を概観しましたが、本号特集はその第 2 弾。 児童福祉職に焦点を当て、人材確保・育成・定着の課題に ついて考察しています。 (1 月 6 日発売 定価 本体 971 円税別) ●特集「絵本の魅力」 (↑画像をクリックすると図書購入ページにジャンプ します) 『保育の友』2 月号 絵本は、乳幼児の育ちに大きな影響をもたらします。五 感を刺激し、発想を豊かにする体験・機会を与えてくれま す。民話やファンタジー、科学などテーマも広く、さまざま な発見が子どもの興味を引き出します。また、絵本を介して、 子ども同士はもちろん、子どもと保育者の相互関係も深ま っていきます。子どもたちがどのような絵本に出合えるか、 絵本選びは重要です。そこで、あらためて絵本の魅力を探 り、併せて読み聞かせの実践やおすすめの絵本などもご 紹介します。(1 月 8 日発売 定価 本体 581 円税別) 【問合せ先:出版部 TEL 03-3581-9511】 (↑画像をクリックすると図書購入ページにジャンプ します) 17 詳細につきましては、全社協・政策委員 会サイト内「社会保障・福祉政策の動向 社会保障・福祉政策情報 と対応」をご覧ください。 http://zseisaku.net/trend/ ※ 政策の動きや審議会等の会議情報、厚生労働省新着情報等をお知らせします。 政策動向 ■ 第 1 回これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会【1 月 7 日】 医療保護入院の手続きのあり方や新たな地域精神保健医療体制のあり方等につい て、分科会における議論の整理を経て、平成 28 年夏頃を目途に意見のとりまとめを行 う。 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000108889.html ■ 社会保障審議会 保育専門委員会【1 月 7 日】 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=314168 ■ 第 1 回介護のシゴト魅力向上懇談会【1 月 12 日】 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000109204.html 厚生労働省新着情報より ■ ファミリー・サポート・センターのパンフレットを作成 http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/24.html <レポート送付先> 本レポートは、報道関係者、都道府県・指定都市社協、種別協議会等正副会 長、政策委員会委員、本会理事・評議員の方々にお送りしています。 18
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