工事監査結果 平成28年1月25日付(PDF形式・245KB)

監 発 第
58
号
平成28年1月25日
酒田市長
丸 山
至
様
酒田市監査委員
加 藤
酒田市監査委員
堀
裕
豊 明
工事監査結果に関する報告の提出について
地方自治法第199条第4項の規定により、次のとおり工事監査を執行したので、その
結果に関する報告を同条第9項の規定により提出します。
記
1 監査の対象
平成26年度において市が実施した次の工事を対象とした。
Ⅰ 松山歴史公園整備工事(その2)
(工事担当課 建設部都市計画課)
(施設所管課 教育委員会社会教育課)
Ⅱ 松山伝習機能施設(仮称)整備工事(建築工事)
(工事担当課 建設部建築課)
(施設所管課 教育委員会社会教育課)
2 監査の実施期間
平成27年8月25日から平成28年1月25日まで
(技術調査実施日 平成27年10月30日)
(監査委員聴取日 平成27年12月21日)
3 監査の方法
対象工事に係る計画、設計、積算、入札・契約、施工監理などが適正に執行されているか
について、設計図書等関係書類の調査を行うとともに、関係職員等から説明を聴取した。
なお、工事技術に係わる調査は、協同組合総合技術士連合に委託し、技術士が専門的見地
から書類審査及び現場調査を行い、その意見を参考にした。
‐1‐
4 監査の結果
各工事における契約関連書類及び設計図書等の書類及び施工管理、安全管理等については、
おおむね良好であり、特に指摘すべき事項はなかった。
なお、次のとおり改善を要する事項について意見を述べるので、今後の工事施工に反映さ
せるとともに、安全対策に十分留意のうえ、経済的で効率的な工事の実施と適正な施工管理
に努められたい。
(意見)
(1)松山歴史公園整備工事(その2)
丸馬出し整備の冠木門工において、当初は既存冠木門の移設を予定していたが、既存支
柱及び門扉の腐食や破損によって移設が困難であると工期の終盤に判断して、冠木門の新
設を行うこととし、工期の延長と増額の設計変更が行われていた。
当初設計を行う際に現場確認を適切に行っていれば避けることができたと考えられ、当
初設計のあり方や設計変更への意識に疑問を抱かざるを得ない。
今後、設計書の作成に当たっては、事前に現地を十分精査して、安易に設計変更が生じ
ないように努められたい。
(2)松山伝習機能施設(仮称)整備工事(建築工事)
基礎構造については、さまざまな基礎工法を十分に比較検証することなく、敷地内で行
われたボーリング試験による地盤調査報告書及び構造計算概要書を基に構造形式や工法を
決定していた。
技術士が所見を述べているように、本建物のように平屋で基礎に作用する荷重が比較的
小さい場合は、地盤改良とべた基礎の組み合わせや部分的地盤改良工法等も選定の比較対
象になると思われる。
基礎工事は建設コストに占めるウエイトが大きいため、選定に当たっては、支持する建
物の構造形式の選定や解体時の負担等も含めて比較表を作成して、事前に十分な検討を加
えたうえで基礎工事に取り組むように努められたい。
(3)下請業者、調達工事材料等の選定について
それぞれの工事の特記仕様書や補足事項として、下請けについては市内に本社または営
業所等を有する者の中から選定するよう努めなければならない。また、調達する工事材料
は地域・地場で生産及び販売されるものを選定するよう努めなければならないと定めてい
る。
下請報告書によれば、松山歴史公園整備工事(その2)は、請負金額に占める下請金額
の割合は 51.7%、下請金額に占める市内業者の割合は 24.3%で、松山伝習機能施設(仮称)
整備工事(建築工事)は、請負金額に占める下請金額の割合は 60.1%、下請金額に占める
市内業者の割合は 57.5%となっていた。
地元企業の育成及び地域経済の活性化のために、来年度から実施する総合評価落札方式
に市内業者の下請け、工事材料の市内調達等を評価する仕組みを検討されたい。
‐2‐
(技術調査結果報告書における技術士の所見(抜粋))
Ⅰ 松山歴史公園整備工事(その2)
歩道舗装や園内通路舗装の選定に当たっては、適用可能と思われる工法について比較表を
作成して選定していたが、比較表作成に当たっては、本工事に使用する数量に見合ったコス
トを表示して、コスト縮減にどの程度寄与するか等を明らかにして選定根拠とすることが望
ましい。
このような種々の工法選定データを整備・蓄積して、次の工事担当者に伝達する仕組み等
を検討して、業務の効率性と対応レベルの向上を図っていくことを望む。
Ⅱ 松山伝習機能施設(仮称)整備工事(建築工事)
建築の基礎工事は建設コストに占める比率も大きく、基礎工法の選定は重要課題である。
本建物の杭工法は地盤調査報告書にも提示されている摩擦杭工法を使用しており、特に問題
ないと判断するが、本建物のように平屋で基礎に作用する荷重が比較的小さい場合は、地盤
改良とべた基礎の組み合わせや部分的地盤改良工法等も選定の比較対象になると思われる。
選定に当たっては、支持する建物の構造形式の選定も含めて比較表等を作成して、摩擦杭が
妥当であることの証拠を示しておくことが望ましい。基礎工法も日進月歩であり、関連情報
を収集して工法選定を行って、基礎工事に取り組むことを望む。
‐3‐
(資料)
入札の手続きに関する書類調査結果
書類調査を実施した結果は、次のとおりであった。
Ⅰ 松山歴史公園整備工事(その2)
ア 入札執行及び入札後の経過について
設計書の認定から入札執行及びその後の経過は表1のとおり。当初の入札については、
市内に本社を有する 3 者が入札に参加した結果、富樫建設株式会社が 93,200,000 円(消
費税含まず)で落札している。
なお、消費税を含んだ契約額は 100,656,000 円(消費税額 7,456,000 円)。
表1
項目
設 計書 の
認
定
工 事施 行
の 決 定
入 札方 法
入 札公 告
工
期
予 定価 格
当初
第1回変更
平成26年9月1日(月)
平成27年2月10日(火)
平成27年3月13日(金)
・変更理由
・変更理由
① 冠木門移設→冠木門
① 芝張工(A=270 ㎡)
平成26年9月2日(火)
一般競争入札(条件付
き)※郵送入札
平成26年9月2日(火)
酒田市告示第533号
契約の日から
平成27年3月10日まで
新設
第2回変更
を増工
② 中高木の植栽工
(N=27 本)増工
③ 工期を 3/10→3/30 に
変更
98,139,000円
(消費税含まず)
・変更額
入 札参 加
平成26年9月3日(水)
増額
3,695,760 円
増額
652,320 円
資 格確 認
~9月5日(金)
工事費
3,422,000 円
工事費
604,000 円
消費税
273,760 円
消費税
48,320 円
申請書提出
資 格確 認
結 果通 知
入 札執 行
(3者が提出)
平成26年9月19日(金) ・変更後の契約額(税込) ・変更後の契約額(税込)
平成26年9月30日(火)
「成立」3者が入札した
入 札結 果
・変更額
結果、富樫建設株式会
社が93,200,000円(税
104,351,760 円
105,004,080 円
・変更契約日
・変更契約日
平成 27 年 2 月 10 日(火) 平成 27 年 3 月 13 日(金)
※起案文の決裁日は平成
別)で落札
契 約 日
27 年 3 月 25 日(水)。
平成26年10月3日(金)
完成通知
完 成 検 査
平成27年3月30日(月)
目的物引渡
※駐車場の一部を供用するため、
平成 27 年 1 月 16 日付けで市長から業者へ
「部分使用協議書」
を提出。同日付けで業者から「部分使用承諾書」受領。
‐4‐
イ 入札参加資格について
入札参加資格については、入札公告によると表2のとおりである。
表2
参加資格(抜粋)
判定結果(契約検査課)
(1)本告示日の前日までに酒田市契約規則(平成
17 年 11 月 1 日規則第 58 号)第 27 条第 3 項に
○
規定する指名競争入札参加者登録簿に登載され
ていること。
(2)酒田市内に本社を有すること。
○
(3)酒田市工事の請負に係る指名競争入札参加
者の等級別各付に関する規定に基づく平成 26
○
年度各付で、土木一式でAであること。
(4)前年度または当該年度に施工した市発注の
○
工事で、完成検査成績で 70 点未満がないこと。
(5)総合評定値通知書(経審)の完成工事高で、 完成工事高(2 年平均)が予定価格(税抜
土木一式の 2 年または 3 年平均の数値があり、 98,139 千円)以上か
その数値が本工事の予定価格以上であること。
○
(6)建設業法の規定による主任技術者又は監理
技術者を配置できるとともに、建設工事請負契
約約款により現場代理人を配置できること。な
○
お、現場代理人、主任技術者又は監理技術者は、
兼務できる。
総合判定
全者○
Ⅱ 松山伝習機能施設(仮称)整備工事(建築工事)
ア 入札執行の経過について
設計書の認定から入札執行及びその後の経過は表3のとおり。本工事の入札については、
市内に本社を有する 7 者が入札に参加した結果、大場建設株式会社が 167,800,000 円(消
費税含まず)で落札している。
なお、消費税を含んだ契約額は 176,190,000 円(消費税額 8,390,000 円)。
また、工事途中の変更契約はない。
表3
項
目
経過
設計書の認定
平成 25 年 7 月 22 日(月)
工事施行の決定
平成 25 年 7 月 22 日(月)
入
札
方
法
一般競争入札(条件付き)※郵送入札
入
札
公
告
工
予
定
価
平成 25 年 7 月 22 日(月)
酒田市告示第 520 号
期
契約の日から平成26年8月29日まで
格
169,542,000円(消費税含まず)
‐5‐
入 札 参 加 資 格 確 認
平成25年7月23日(火)~7月26日(金)
申 請 書 提 出
(9 者が提出)
資格確認結果通知
平成 25 年 8 月 1 日(木)
入
札
執
行
入
札
結
果
平成 25 年 8 月 8 日(木)
「成立」7 者が入札した結果(2 者辞退)、大場建設株式会社が
167,800,000 円(税別)で落札
市議会上程日
平成 25 年 8 月 30 日(金)
市議会可決日
平成 25 年 9 月 13 日(金)
契
日
平成 25 年 9 月 20 日(金)
平成 26 年 8 月 29 日(金)
約
完
成
通
知
完
成
検
査
目 的 物 引 渡
平成 26 年 9 月 10 日(水)
イ 入札参加資格について
入札参加資格については、入札公告によると表4のとおりである。
表4
参加資格(抜粋)
判定結果(契約検査課)
(1)本告示日の前日までに酒田市契約規則(平
成 17 年 11 月 1 日規則第 58 号)第 27 条第 3
○
項に規定する指名競争入札参加者登録簿に
登載されていること。
(2)酒田市内に本社を有すること。
○
(3)酒田市工事の請負に係る指名競争入札参
加者の等級別各付に関する規定に基づく平
○
成 25 年度各付で、建築一式でAであること。
(4)前年度または当該年度に施工した市発注
の工事で、完成検査成績で 70 点未満がない
○
こと。
(5)総合評定値通知書(経審)の完成工事高で、
建築一式の 2 年または 3 年平均の数値があ
り、その数値が本工事の予定価格以上である
完成工事高(2 年平均)が予定価格(税抜
169,542 千円)以上か
こと。
○
(6)建設業法の規定による主任技術者又は監
理技術者を配置できるとともに、建設工事請
負契約約款により現場代理人を配置できる
○
こと。なお、現場代理人、主任技術者又は監
理技術者は、兼務できる。
総合判定
全者○
‐6‐