LANdeVOICE が通話中に使用する帯域に関して

LANdeVOICE が通話中に使用する帯域に関して
平成 15 年 9 月
株式会社エイツー
LANdeVOICE が通話中に使用する帯域に関して
LANdeVOICE のパラメータにおいて、通信するのに必要となる BLOCK・DELAYMIN・
CODER の関係について説明します。項目1∼4で、パケット・ヘッダーの構成について、5では
帯域の計算式について触れています。
各種設定変更の際には、利用するネットワークの環境や音質などをふまえた上、お客様のネッ
トワーク管理者とよくご検討ください。
1.パケットの構成
TCP/IP で送受信されるネットワーク上を流れるデータ(パケット)は下図のような構成に
なっています。
データリンク層で
ネットワーク層で付
トランスポート層で付加
付加されるヘッダ
加されるヘッダー
されるヘッダー
ー
(IP ヘッダー)
(TCP/UDP ヘッダー)
ユーザーデータ
(4バイト)
2.トランスポート層で付加されるヘッダーの構成
トランスポート層ではパケットに下図のような構成のヘッダーを付加します。
【UDP ヘッダー】
32 ビット
送信ポート番号
宛先ポート番号
長さ
チェックサム
【TCP ヘッダー(参考)
】
32 ビット
送信元ポート番号
宛先ポート番号
送信シーケンス番号
ACK(応答確認)番号
ヘッダー長
リザーブ(予約)ビット
コードビット
チェックサム
ウィンドウサイズ
緊急ポインタ
オプション
パティング
1/4
チェックビット
LANdeVOICE が通話中に使用する帯域に関して
3.ネットワーク層で付加されるヘッダーの構成
ネットワーク層ではパケットに下図のような構成のヘッダーを付加します。
【IP ヘッダー】
32 ビット
バージョン
ヘッダー長
サービスタイプ
パケット長
識別子
生存時間
フラグ
プロトコル
フラグメントオフセット
チェックサム
送信元 IP アドレス
宛先 IP アドレス
オプション
パディング
4.データリンク層で付加されるヘッダーの構成
データリンク層ではパケットに下図のような構成のヘッダーを付加します。
48 ビット
送信元 MAC アドレス
宛先 MAC アドレス
その他情報
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LANdeVOICE が通話中に使用する帯域に関して
5.音声遅延と音声で使用するデータ転送帯域について
LANdeVOICE が 1 対 1 通話の際に使用する回線の帯域は、ネットワーク設定ファイルで
指定するコーデックと BLOCK 値(パケット送出間隔)によって理論上決定されます。
また、DELAYMIN コマンドの値は、ネットワークから受信した音声情報をバッファする期間
を規定するもので、これらの値はご利用になるネットワークの環境に併せて設定を変更が可能
です。
LANdeVOICE にて指定できるコーデックと、コーデック毎に指定できる BLOCK 値は
以下の通りです。
G.726
G.726
G.723.1
G.729
G.711
6kbps
24kbps
6.3kbps
8kbps
64kbps
パラメータ値
2
3
16
17
1
フレーム長 (bytes)
10
15
24
10
40
フレーム間隔 (mSec)
5
5
30
10
5
コーデック
○BROCK 値の求め方
1BLOCK に連結するフレーム数をn個に指定する場合、
BLOCK 値=フレーム間隔×n (mSec)
を指定します。
BLOCK コマンドの値
ネットワークへの負荷
音声伝送の遅延
増加させる
減少する(好ましい)
遅れる(話し辛い)
減少させる
増加する(良くない)
スムーズ(話しやすい)
○音声帯域の求め方
この場合に使用する帯域は以下の式で算出することができます。
音声帯域={(フレーム長+1)×n+パケットヘッダ長} ×8/BLOCK値(kbps)
参考メモ
パケットヘッダ長=46bytes
18bytes(Ethernet ヘッダ 14bytes+チェックビット 4bytes)+20bytes (IP ヘッダ)+8bytes(UDP ヘッダ)
<計算例>
①工場出荷時の設定(コーデック=G.723.1、BLOCK 値=30)の場合
音声帯域 ≒ ((24+1)×1+46)×8/30≒18.9(kbps)
②コーデック(G.723.1、BLOCK 値=60)の場合
音声帯域 ≒ ((24+1)×2+46)×8/60≒12.8(kbps)
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LANdeVOICE が通話中に使用する帯域に関して
■ DELAYMIN コマンドの値
ネットワークのゆらぎによって 音声が途切れる事は好ましくないですが、逆に音声伝送の遅
延が増加すると 相手の応答が遅くなり、話し辛くなってしまいます。
通常は DELAYMIN コマンドの値は BLOCK コマンドの値より大きい値を設定します。
DELAYMIN コマンドの値と会話への影響、ネットワークからの影響を下記に示します。
DELAYMIN コマンドの値
ネットワークのゆらぎ
音声伝送の遅延
増加させる
影響を受けにくい
(好ましい)
遅れる
(話し辛い)
減少させる
影響を受けやすい
(良くない)
スムーズ
(話しやすい)
ゆらぎ の大きさは、ネットワークの負荷やホップ数によって左右されます。
ネットワークのゆらぎに影響を受けると 会話中の音声がブツ切れになる可能性があります。
<参考 コーデック別帯域使用量>
Codec
G726
(16k)
G726
(24k)
G723.1
(6.3k)
G729
(8k)
G.711
(64k)
フレーム長
10
15
24
10
40
フレーム間隔
フレーム数
(/mSec)
(n)
5
Block
6
30
12
60
18
90
6
30
12
60
1
30
2
60
3
90
3
30
6
60
9
90
6
30
12
60
5
30
10
5
Delaymin
30
60
90
60
90
120
90
120
30
60
90
60
90
120
30
60
90
60
90
120
90
120
30
60
90
60
90
120
90
120
30
60
30
60
※)上記数値は、理論値ですので実際の環境では異なる場合がございます。
4/4
帯域(kbps)
29.9
23.7
21.7
37.9
31.7
18.9
12.8
10.8
21.1
14.9
12.9
77.9
71.7
―以上―