センターだより2月号(No.203)

札幌市
NO.203
平成 28 年 2 月 1 日発行
発行元:(公財)札幌市公園緑化協会
豊平公園緑のセンター
サクラソウ科シクラメン属
Cyclamen cv.
Garden Cyclamen
ガーデンシクラメンというのは最近の表現で、通常のシクラ
メンに比べて耐寒性があり、寒冷地でも庭で越冬して開花し、
花が多くあるという特徴があることから、あえて庭育ちのシク
ラメンとしての通称としたのでしょう。
冬の鉢花の代表としてシクラメンはその座を譲りませんが、
このガーデンシクラメンは、お店で普通に売られ、広く愛育さ
れている耐寒性のないシクラメン・ペルシクム(C.perusicum)
と原種シクラメンの中でも耐寒性の強い種類を掛け合わせて、
小型で寒さに強く、庭植えできる種類を開発したものです。
1996 年埼玉県の本庄市(当時、児玉郡児玉町)でミニシクラ
C. hederiforium
メンの開発中に、屋外栽培可能な耐寒性のあるミニシクラメン
の系統を選抜して「ガーデンシクラメン」として売り出したの
がこの種類の発祥とされています。
1970 年代、布施明が「シクラメンのかほり」というヒット曲
を出したのをきっかけに、北海道内の栽培農家でも「香りのシ
クラメン」開発を試みる人がでてきました。園芸種のシクラ
メン・ペルシクムではほとんど香りが無いのですが、小型の原
種シクラメンの中に時折強い香りを出す株を確認しました。そ
れは、ミニシクラメンとして流通していた原種のシクラメン・コーム(C.coum)と、シクラメン・ヘ
デリフォリウム(C.hederifolium)でした。当時、札幌市内在住のとある栽培農家さんは、香るシク
ラメン開発について熱く語っておられましたが、期せずしてそれは寒さに強いガーデンシクラメンの
開発にも繋がっていました。
当時の一品種は 20 数年を経過した今も我が庭で開花していて、雪解け
の頃、地際の雪の祠の中で小さく白く咲く姿は、まだ他の何者もが伝え
ていない北国の春の訪れを知らせてくれるのです。原種シクラメンの特
性として、コーム系は冬咲き、ヘデリフォリウムは秋咲きですから、我
が家で咲いてくれた種類は、コーム系でしょうか。文献では耐寒性が強
い種はヘデリフォリウムの血が入っているものとされます。機会があれ
C. coum
ばヘデリフォリウム系のガーデンシクラメンを手に入れたいものです。
耐寒性があるとされる原種シクラメンの中には上記の 2 種の他 C.
cilicium、C.purpurascens などが紹介されています。
(T.K)
<参考文献>「園芸植物大事典」小学館、「NHK テレビテキスト 趣味の園芸」NHK 出版社
' 1 6 . 2 月号
2 月 の 園芸作業
このコーナーの園芸作業は札幌地方での目安です。
ここに掲載した以外の作業もたくさんありますので、
ご不明な点は緑の相談までお気軽にお問い合わせください。
緑 の相 談受 付 10:00~12:00、13:00~16:00
☆豊 平 公 園
811-9370
月曜以外毎日
(月 祝 日 の場 合 は受 付 し、翌 平 日 休 み)
※ 平 岡 樹 芸 センター・百 合 が原 公 園 は
冬 期 間 相 談 受 付 しておりません。
◆ヤマゴボウの栽培と食べ方
食用のヤマゴボウとは俗称で、キク科アザミ属の「モリアザミ」
、
「ハマ
アザミ」の根のことです。お土産で良く売られているヤマゴボウの漬物は「モ
リアザミ」の根と普通のゴボウの細いものを漬けたものです。山野草で知ら
れる「ヨウシュヤマゴボウ」などのヤマゴボウ科ヤマゴボウ属に分類され、
和名に“ヤマゴボウ”とつくものは、根・葉・果実に有毒な成分が含まれて
いて食べることができないので、間違えないよう注意しましょう。
1.栽培特性
・モリアザミの根は 30 ㎝ほどにもなるため、深くまでよく耕すことが大
切です。根が伸びる範囲に石や土の塊、未熟な堆肥があったり、耕し方
が浅くても岐根になることがあるので注意しましょう。
・排水・保水性の高い土壌が適しています。
・モリアザミは冷涼な気候を好み、発芽及び生育の適温は 15~25℃です。
2.種まき
・モリアザミの種まき適期は、寒冷地では 4 月中旬~5 月上旬です。
モリアザミ
・種まき 2 週間前までに、1 ㎡あたり完熟堆肥 1kg、苦土石灰 100g(土壌
酸度に合わせて加減する)を散布し、深さ 40 ㎝程度までよく耕しておきます。
・1 週間前になったら、1 ㎡あたり化成肥料 70~100g、熔リン 30g を散布し、よく耕して、高さ 10
㎝、幅 60 ㎝の畝を作ります。
・土が乾いている場合は、あらかじめ水やりをして湿らせておきます。
・厚さ 1~2 ㎝の板などで播き溝を作り、3 粒ずつ点播きし、覆土します。
・モリアザミは好光性種子のため、覆土は薄くします。覆土したら、クワなどで軽く押さえます。
3.間引き
・発芽したら間引き始めます。残す株の根と葉をできるだけ傷めないように、間引きをする際は抜
き取らず、ハサミなどを使い、地際で切り取ります。
・本葉 2 枚の頃までに、株間 11~15 ㎝にします。間引き葉は味噌汁に散
らすなどして、食べることができます。
4.追肥
・追肥は、通常必要ありませんが、生育が思わしくない時は、間引き後
に 1 ㎡当たり化成肥料 20~30g を施します。
5.水やり
ヤマゴボウ
・乾燥を嫌うため、長期間雨が降らない日が続くような場合は、水やり
食べられません
をします。反面、過湿を嫌うため、水やりのし過ぎに注意します。
6.収穫
・寒冷地では 10 月中旬~11 月中旬が収穫期です。根の直径が 1~2 ㎝に
なったら収穫できます。
・根が短く、太くなる短太根は、酸性土によるものです。
・表皮が暗褐色になるのは、湿害によるものです。
7.病害虫の防除
ヨウシュヤマゴボウ
・黒斑病:高温期に発生・・・発生初期に薬剤散布をします。
食べられません
' 1 6 . 2 月号
・黒あざ病:根が中心部まで暗褐色・・・連作を避け、5~7 年は他の野菜を栽培しましょう。
・ヨトウムシ:こまめに観察・・・早期に捕殺します。
8.食べ方
ヤマゴボウは、歯ざわりのよいカリカリした食感を活かして味噌漬けや醤油漬けなどの漬物に加工
されることが多いですが、アクが強く、表皮が黒変しやすいので注意が必要です。アク抜きは、たっ
ぷりの水に 1 週間ほど漬けるとよいでしょう。塩水にすると 2~3 日で済みますが、その後漬物にする
と塩辛くなりすぎるので、水に漬けて脱塩します。
◆ Q&A ◆
カキ、ビワ、イチジクなどが札幌でも冬越しできる話を聞きましたが本当ですか。
(南区 M さん)
相談コーナーでも「カキ、ビワ、イチジクなどが庭で冬越ししたが、どのように管理したら
良いか?」との相談を受けることがあります。冬越しできるご家庭が増えてきているようです。
これらは、もともと北海道では育たないと言われてきた果樹ですが、市内中心部は温暖化などに
より、-13℃以下に下がることは少なくなり、冬越しできる条件がそろう場所が増えていると思わ
れます。それでも川やマンションからの冬の冷たい乾いた風(乾寒風)の通り道になるところでは
越冬できません。特に札幌の郊外で冬の温度が-15℃以下になるところは、やはり無理でしょう。
カキ:冬越しして、「100 個以上も干し柿にし美味しく食べてます。」と、相談をいただいた方か
らうかがっています。一般に札幌で越冬できるカキは渋柿と言われていますが、富有柿などの甘
いカキも越冬しているようです。カキの花はほとんどが雌花ばかりですが、受粉しなくても実が
大きくなります(単為結果といいます)。しかし、雄花の花粉が付いて実が大きくなったものは
品質・甘みが良くなりますので、雄花が咲く品種「禅師丸」を一緒に植えるのも一つの方法です。
この品種の耐寒性はわかりませんが、基本的に柿の耐寒温度は-15℃になっていますので所により
冬越しができるのではないでしょうか。
ビワ:寒さに強い品種「オオフサ」は-10℃の低温にも耐えることができます。
イチジク:寒さに強い品種として、スイスで作られた「コンテッシナ」、ノルウェーで作られた
「ノルドランド」は-10~-15℃の寒さに耐えることができます。他に古くからある寒さに強い品
種に「蓬莱柿(ほうらいし)」となぜか「柿」の字が入ったものがあります。
どの果樹も品種により寒さに強い品種と、弱い品種がありますので、品種を選ぶときに十分注意
しましょう。植え付けする時は、冬の最低温度を確認し、「乾寒風」の通り道を避ける場所を選ん
で、栽培に挑戦してみてはいかがでしょうか。
“温故知新”~豊平公園むかし話~2
前回、豊平公園のある土地は、過去リンゴ栽培が盛んでしたとお話ししましたが、それはなぜでしょ
う?今回は緑のセンターらしくそのことについてお話ししたいと思います。
豊平区は豊平川に由来する扇状地(土砂などが河川の働きにより扇状に堆積された土地)で円山、
藻岩山から月寒台地におよぶ札幌扇状地に含まれます。
形成された土地は土砂が多く、度重なる豊平川の氾濫により冠水することもありました。ただ、水
はけが良く地下水が豊富なこの土地は、冷涼な気候と台風が少ない地域環境と併せ、リンゴ栽培に向
いていました。札幌市中心部に近いこともあり、豊平橋を渡って運ばれるリンゴは「平岸リンゴ」と
して全国有数のブランドとなりました。
しかし、宅地の拡がりと共にリンゴ園は急激に減少し、今ではごくわずかに残るのみとなりました。
豊平公園でも種は違いますがエゾノコリンゴの木が各所に植樹されており、当時を懐かしむように、
毎年小ぶりな果実を実らせています。
' 1 6 . 2 月号
2 月~3 月の催しのお知らせ
豊平公園 緑のセンター 豊平区豊平 5 条 13 丁目 TEL 011-811-6568 http://www.sapporo-park.or.jp/toyohira/
内容
展示会
緑のセンターフォト展~冬~
アザレア展
クリスマスローズ展
園芸教室・自然教室
シンビジウムの育て方
新鮮モヤシを育てよう!
花の種まき実践教室
日
時間
申込受付開始日
費用・備考
1 月 13 日(水)~2 月 21 日(日)
2 月 16 日(火)~2 月 28 日(日)
3 月 1 日(火)~3 月 6 日(日)
各種洋ランの植え替え方法と春の管理
果樹類の剪定と病害虫予防
果樹類の剪定と病害虫予防
スライド上映会
山野草スライド上映会
入場無料
〃
〃
2 月 14 日(日)
2 月 18 日(木)
2 月 20 日(土)
3 月 6 日(日)
3 月 10 日(木)
3 月 13 日(日)
13:30~
〃
〃
〃
〃
〃
1/11(月祝)~
2/11(木祝)~
〃
〃
〃
〃
無料
400 円
1,200 円
無料
〃
〃
2 月 21 日(日)
13:30~
2/11(木祝)~
無料
ご自宅のコチョウランの植え替えを個別指導
事前に予約が必要です。
コチョウラン植え替えサービスディ
クラフト教室
現代押し花アート体験
ミニ額作り 「花のメロディー」
2 月 27 日(土)
9:00~
2/11(木祝)~
材料費実費
3 月 8 日(火)
10:00~
2/11(木祝)~
2,700 円
百合が原緑のセンター 北区百合が原公園 210 TEL 011-772-3511 http://yuri-park.jp/
内容
日
時間
講習会・クラフト講習・実践講座!
ツバキの育て方
2 月 27 日(土)
10:30~
洋ランの育て方
3 月 12 日(土)
13:00~
展示会
雪割草展
2 月 2 日(火)~2 月 14 日(日)
アザレア展
2 月 16 日(火)~3 月 6 日(日)
ツバキ展
2 月 23 日(火)~3 月 21 日(月祝)
レカンフラワー展
3 月 1 日(火)~3 月 13 日(日)
春の洋ラン展
3 月 8 日(火)~3 月 13 日(日)
コンサート
ミモザコンサート
3 月 5 日(土)
13:00~
申込受付開始日
費用・備考
2/11(木祝)~
〃
130 円
〃
陶工房 空
北海道フルールアール
北海道蘭友会
130 円
〃
〃
〃
〃
直接会場へ
130 円
その他の公園
イベント 内容
AKARI reflection ひかりの連鎖
樹木管理体験会~サクラの手入れ
公園スタッフと歩く冬芽観察会
旭山冬のフェスティバル 2016
スノーシューで森を散歩
季節展示「サケ稚魚の群泳」
春植えの花の種を植えよう
西岡公園自然調査報告展
日時
1 月 9 日(土)~3 月 6 日(日)
3 月 5 日(土)10:00~
3 月 12 日(土) 10:00~
備考
直接会場へ:無料
要申込:100 円
要申込:100 円
2 月 11 日(木祝) 受付 9:30~開始 10:00~
直接会場へ:有料
2 月 17 日(日)10:00~
1 月上旬~5/5(木祝)
2 月 13 日(土)・14 日(日) 10:00~
直接会場へ:無料
直接会場へ
要申込:800 円
2 月14 日(日)~2 月28 日(日)
会場:円山動物園
直接会場へ:入園料
子りす工房こどもの日「おひな様をを作ろう!」
2 月 21 日(日)10:00~,13:30~ 要申込:300 円
3 月 12 日(土)作成 14:00~点灯 17:00~
直接会場へ:クラフ
スノーキャンドル
クラフトコーナー10:00~
トは内容により有料
森フェス~2016winter~
2 月21 日(日)10:00~
駐車料金有
第 7 回「冬の外遊び」絵画展
大通公園ウィンタースポーツ
フェスティバル
自然観察会
松ぼっくりアート講座
創成川公園まちの灯りⅡ
2 月27 日(土)~3 月31 日(火):無料
2 月20 日(土)~21 日(日)10:00~
直接会場へ
(大通公園西 6,7,8):無料
2 月21 日(日) 10:00~
2 月 27 日(土)10:00~
直接会場へ:100 円
3 月 5 日(土)製作 15:00~,点灯 17:00~
直接会場へ
要申込:300 円
問い合わせ・申込み先
モエレ沼公園
790-1231
旭山記念公園
200-0311
881-7924
582-7555
615-3680
平岡公園
さけ科学館
農試公園
円山動物園
西岡公園
621-1426
582-0050
西岡公園
582-0050
滝野すずらん
丘陵公園
592-2222
札幌市コールセンター 222-4894
前田森林公園 681-3940
川下公園
879-5311
創成川公園
221-4100