まぼろしの美術館 1936-1938

表紙写真◎まぼろしの美術館中央ホール
CG画像復元:秋田県立大学建築環境システム学科 込山ゼミ
編集●秋田市立千秋美術館、
秋田県教育庁生涯学習課、
(公財)平野政吉美術財団
発行●平成27年10月
年3回発行予定(7月、11月、3月)
FaceBookやってます
至山王
○
キャッスル
ホテル
中 央 通 り
P
エリア
なかいち
県立美術館
●
○ 木内
デパート
いいね
秋田県立美術館
秋田市立千秋美術館
2015 11
千秋美術館
明徳館高校
(アトリオン内)
○
●
仲 小 路
至秋田駅
広 小 路
県民会館 ○
TEL.018-853-8686 FAX.018-836-0877
http://www.akita-museum-of-art.jp/
〒010-0001 秋田市中通一丁目4-2(エリアなかいち内)
開館時間●午前10時∼午後6時(入館は午後5時30分まで)
観 覧 料● 一般310円 大学生210円
シニア280円(70歳以上) 高校生以下無料
※このほか団体料金あり。※特別展は別料金。
休 館 日● 2016年1月18日㈪∼20日㈬、
3月22日㈫∼31日㈭
秋田県立美術館
開館時間● 午前10時∼午後6時(入館は午後5時30分まで)
観 覧 料● 常設展 一般300円 大学生200円
高校生以下無料
休 館 日● 11月16日㈪、12月7日㈪∼17日㈭、12月29日㈫
∼2016年1月3日㈰、2月29日㈪∼3月6日㈰
〒010-0001 秋田市中通二丁目3-8(アトリオン内)
TEL.018-836-7860 FAX.018-836-7862
http://www.city.akita.akita.jp/city/ed/ss/senshu-art/
岡田謙三記念館
CGで蘇る、
もう一つの美術館、アナザーストーリー
まぼろしの美術館
秋田市立千秋美術館
お待ちしております!
はいかがでしょうか。みなさまのお越しを
かけてゆっくりと
「芸術の秋」を楽しまれて
ンを片手にショッピングなどしながら、1日
文化エリアとなっています。このアートライ
衣装や動きをまねて撮影。それをパネルにコラージュして、自分た
&ミュージカルです!
ちのからだで再現した《秋田の行事》が出来上がりました。絵を
両美術館がある中心市街地は、芸術
視覚だけでなくからだを使って楽しんだ貴重な時間となりました。
文化施設を一度に回ることができる芸術
躍動感があってダンスのようにかっこいい」
というYOSHITAKAさん
術館」展が開催され、さらには、にぎわい
(UKジャズダンサー)を講師に、参加者約40人がまずは壁画を
交流館でミュージカル「政吉とフジタ」が
鑑賞しました。次に竿燈まつりや三吉ぼんでん、秋田音頭などの
上演されています。どれも注目の展覧会
身体表現のワークショップ「からだで遊ぶ《秋田の行事》
」が8月
この秋、千秋美術館では「日本のわざ
22日、
秋田県立美術館で行われました。
「壁画に描かれた動きは、
と美」展、県立美術館では「まぼろしの美
藤田嗣治の壁画《秋田の行事》
をさ
術館は、万全の準備をもってみなさまを
まざまな角度から鑑賞してもらおうと、
お迎えします。
立美術館・秋田市立千秋美術館の両美
絵は目で見るだけじゃない!
みなさま、
「芸術の秋」ですね!秋田県
News from the Museums of Art
[特別展]
[企画展]
藤田嗣治と平野政吉
まぼろしの美術館 1936-1938
10月3日
平成27年
[会期]
[会場]秋田県立美術館
1 17日
−平成28年 月
3Fギャラリー
会期中無休
藤田嗣治の小宇宙
∼ 私のアトリエにようこそ∼
平成28年1月21日
[会期]
[会場]秋田県立美術館
3 21日
−平成28年 月
2F大壁画ギャラリー、3Fギャラリー
観覧料:一般800(650)円/大学生600(450)円/シニア(70歳以上)650円/高校生以下無料 ※( )内は20名以上の団体料金
主 催:藤田嗣治の小宇宙展実行委員会
観覧料:一般310(250)円/大学生210(170)円/シニア(70歳以上)280円/高校生以下無料
※( )内は20名以上の団体料金
藤田嗣治が日本で営んだアトリエは4室を数えま
す。渡仏前、妻・鴇田とみと暮らした大久保(現東京
都新宿区)
、1933年の帰国後に建てた戸塚(現東京
都新宿区)
、戦争画を描くために洋風に改築した下
六番町(現東京都千代田区)
、戦後、疎開先から戻っ
た江古田(現東京都練馬区小竹町)
。加えて、壁画
藤田嗣治
《吾が画室》
1936年
《秋田の行事》の制作現場である秋田市の平野家
の米蔵も、藤田にとって重要なアトリエといえます。
戸塚以降、1930年代から40年代に構えたアトリエ
まぼろしの美術館 正面図
ろしの美術館を巡ってみませんか。
しくなっていました。
構想から80年近くの時が過ぎた今、蘇ったまぼ
終わります。時代は戦時下、建設資材の調達も難
介します。
工されたものの、まもなく建設が中止、まぼろしに
野がどのような美術館をイメージしていたかを紹
に設計図が完成。同年、日吉八幡神社境内に着
とに復元製作されたCG映像を映写し、藤田と平
に建設構想が打ち出され、その2年後の1938年
この展覧会では、まぼろしの美術館の図面をも
藤田嗣治と平野政吉が夢見た美術館。1936年
関連イベント
は、自らの画業の方向性を見据えた藤田が、制作の
モチベーションを高めるインテリアを整えていました。
藤田にとってアトリエは、画家の小宇宙でありながら、
常に「時代」を意識した空間だったのです。
本展では、アトリエの室内を描いた作品と、そこで
藤田嗣治
《私の画室》
1938年
制作した作品を、イメージ再現した空間に展示、あ
わせて写真や資料も紹介します。藤田のアトリエを訪
ねるように、ご観覧いただければ幸いです。
©Fondation Foujita/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2015 E1816
◎講演会 まぼろしの美術館を再現する
講 師:秋田県立大学准教授 込山敦司氏
日 時:平成27年12月13日(日)14:00∼15:30
会 場:秋田県立美術館 1Fレクチャールーム
参加料:無料
◎講演会
関連イベント
講 師:千葉工業大学教授 河田明久氏
日 時:平成28年2月21日(日)13:00∼14:30
会 場:秋田県立美術館 1Fレクチャールーム
参加料:無料
◎ギャラリートーク+ワークショップ
まぼろしの美術館での壁画鑑賞を体験!
∼藤田嗣治の展示意図をさぐる∼
◎アコースティックコンサート
「NAOTOの小宇宙」
講 師:秋田県立大学准教授 込山敦司氏
日 時:平成27年11月28日(土)14:00∼15:30
会 場:秋田県立美術館 2F大壁画ギャラリー、
3Fギャラリー
参加料:観覧券または年間パスポートが必要です。
日吉八幡神社境内のまぼろしの美術館
©2015「FOUJITA」製作委員会
出 演:NAOTO
日 時:平成28年2月12日(金)
会 場:アトリオン音楽ホール
入場料:SS席、S席、A席の3種類の料金となります。
※詳しくは秋田県立美術館にお問い合わせください。
映画「FOUJITA」が平成28年1月23日から秋田市
のルミエール秋田で上映されます。
秋田県立美術館では、映画と連携したイベントの開
催を予定しています。詳しくは同館ホームページへ
表紙写真◎まぼろしの美術館中央ホール
CG画像復元:秋田県立大学建築環境システム学科 込山ゼミ
P
編集●秋田市立千秋美術館、
秋田県教育庁生涯学習課、
(公財)平野政吉美術財団
発行●平成27年10月
年3回発行予定(7月、11月、3月)
FaceBookやってます
2015 11
中 央 通 り
エリア
なかいち
至山王
○
キャッスル
ホテル
県立美術館
●
千秋美術館
明徳館高校
(アトリオン内)
○
●
仲 小 路
至秋田駅
○ 木内
デパート
いいね
秋田県立美術館
秋田市立千秋美術館
広 小 路
県民会館 ○
〒010-0001 秋田市中通一丁目4-2(エリアなかいち内)
TEL.018-853-8686 FAX.018-836-0877
http://www.akita-museum-of-art.jp/
開館時間●午前10時∼午後6時(入館は午後5時30分まで)
観 覧 料● 一般310円 大学生210円
シニア280円(70歳以上) 高校生以下無料
※このほか団体料金あり。※特別展は別料金。
休 館 日● 2016年1月18日㈪∼20日㈬、
3月22日㈫∼31日㈭
秋田県立美術館
開館時間● 午前10時∼午後6時(入館は午後5時30分まで)
観 覧 料● 常設展 一般300円 大学生200円
高校生以下無料
休 館 日● 11月16日㈪、12月7日㈪∼17日㈭、12月29日㈫
∼2016年1月3日㈰、2月29日㈪∼3月6日㈰
〒010-0001 秋田市中通二丁目3-8(アトリオン内)
TEL.018-836-7860 FAX.018-836-7862
http://www.city.akita.akita.jp/city/ed/ss/senshu-art/
CGで蘇る、
もう一つの美術館、アナザーストーリー
まぼろしの美術館
岡田謙三記念館
秋田市立千秋美術館
お待ちしております!
はいかがでしょうか。みなさまのお越しを
かけてゆっくりと
「芸術の秋」を楽しまれて
ンを片手にショッピングなどしながら、1日
文化エリアとなっています。このアートライ
視覚だけでなくからだを使って楽しんだ貴重な時間となりました。
文化施設を一度に回ることができる芸術
ちのからだで再現した《秋田の行事》が出来上がりました。絵を
両美術館がある中心市街地は、芸術
衣装や動きをまねて撮影。それをパネルにコラージュして、自分た
&ミュージカルです!
鑑賞しました。次に竿燈まつりや三吉ぼんでん、秋田音頭などの
上演されています。どれも注目の展覧会
(UKジャズダンサー)を講師に、参加者約40人がまずは壁画を
交流館でミュージカル「政吉とフジタ」が
術館」展が開催され、さらには、にぎわい
躍動感があってダンスのようにかっこいい」
というYOSHITAKAさん
と美」展、県立美術館では「まぼろしの美
22日、
秋田県立美術館で行われました。
「壁画に描かれた動きは、
身体表現のワークショップ「からだで遊ぶ《秋田の行事》
」が8月
この秋、千秋美術館では「日本のわざ
お迎えします。
まざまな角度から鑑賞してもらおうと、
術館は、万全の準備をもってみなさまを
藤田嗣治の壁画《秋田の行事》
をさ
絵は目で見るだけじゃない!
立美術館・秋田市立千秋美術館の両美
みなさま、
「芸術の秋」ですね!秋田県
News from the Museums of Art
[特別展]
[企画展]
藤田嗣治と平野政吉
まぼろしの美術館 1936-1938
10月3日
平成27年
[会期]
[会場]秋田県立美術館
1 17日
−平成28年 月
3Fギャラリー
会期中無休
観覧料:一般310(250)円/大学生210(170)円/シニア(70歳以上)280円/高校生以下無料
※( )内は20名以上の団体料金
藤田嗣治の小宇宙
∼ 私のアトリエにようこそ∼
1 21日
平成28年 月
[会期]
[会場]秋田県立美術館
3 21日
−平成28年 月
2F大壁画ギャラリー、3Fギャラリー
観覧料:一般800(650)円/大学生600(450)円/シニア(70歳以上)650円/高校生以下無料 ※( )内は20名以上の団体料金
主 催:藤田嗣治の小宇宙展実行委員会
藤田嗣治が日本で営んだアトリエは4室を数えま
す。渡仏前、妻・鴇田とみと暮らした大久保(現東京
都新宿区)
、1933年の帰国後に建てた戸塚(現東京
都新宿区)
、戦争画を描くために洋風に改築した下
六番町(現東京都千代田区)
、戦後、疎開先から戻っ
藤田嗣治
《吾が画室》
1936年
藤田嗣治と平野政吉が夢見た美術館。1936年
この展覧会では、まぼろしの美術館の図面をも
とに復元製作されたCG映像を映写し、藤田と平
に設計図が完成。同年、日吉八幡神社境内に着
野がどのような美術館をイメージしていたかを紹
工されたものの、まもなく建設が中止、まぼろしに
介します。
終わります。時代は戦時下、建設資材の調達も難
構想から80年近くの時が過ぎた今、蘇ったまぼ
しくなっていました。
ろしの美術館を巡ってみませんか。
関連イベント
講 師:秋田県立大学准教授 込山敦司氏
日 時:平成27年12月13日(日)14:00∼15:30
会 場:秋田県立美術館 1Fレクチャールーム
参加料:無料
モチベーションを高めるインテリアを整えていました。
藤田にとってアトリエは、画家の小宇宙でありながら、
常に「時代」を意識した空間だったのです。
本展では、アトリエの室内を描いた作品と、そこで
藤田嗣治
《私の画室》
1938年
◎講演会
制作した作品を、イメージ再現した空間に展示、あ
わせて写真や資料も紹介します。藤田のアトリエを訪
ねるように、ご観覧いただければ幸いです。
関連イベント
講 師:千葉工業大学教授 河田明久氏
日 時:平成28年2月21日(日)13:00∼14:30
会 場:秋田県立美術館 1Fレクチャールーム
参加料:無料
◎ギャラリートーク+ワークショップ
まぼろしの美術館での壁画鑑賞を体験!
∼藤田嗣治の展示意図をさぐる∼
講 師:秋田県立大学准教授 込山敦司氏
日 時:平成27年11月28日(土)14:00∼15:30
会 場:秋田県立美術館 2F大壁画ギャラリー、
3Fギャラリー
参加料:観覧券または年間パスポートが必要です。
は、自らの画業の方向性を見据えた藤田が、制作の
©Fondation Foujita/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2015 E1816
◎講演会 まぼろしの美術館を再現する
の米蔵も、藤田にとって重要なアトリエといえます。
戸塚以降、1930年代から40年代に構えたアトリエ
まぼろしの美術館 正面図
に建設構想が打ち出され、その2年後の1938年
た江古田(現東京都練馬区小竹町)
。加えて、壁画
《秋田の行事》の制作現場である秋田市の平野家
◎アコースティックコンサート
「NAOTOの小宇宙」
日吉八幡神社境内のまぼろしの美術館
出 演:NAOTO
日 時:平成28年2月12日(金)
会 場:アトリオン音楽ホール
入場料:SS席、S席、A席の3種類の料金となります。
※詳しくは秋田県立美術館にお問い合わせください。
©2015「FOUJITA」製作委員会
映画「FOUJITA」が平成28年1月23日から秋田市
のルミエール秋田で上映されます。
秋田県立美術館では、映画と連携したイベントの開
催を予定しています。詳しくは同館ホームページへ
秋田市立千秋美術館
[会期]
10月24日 −11月15日
後期:平成27年11月17日 −12月6日
前期:平成27年
※11月16日
(月)
は作品の展示替のため休館いたします。
観覧料:一般800(640)円/大学生600(480)円/高校生以下無料
※( )内は20名以上の団体料金
主 催:文化庁、秋田県教育委員会、秋田市立千秋美術館、秋田魁新報社
共 催:NHK秋田放送局
関連事業
【製作実演】柿右衛門(濁手)
日 時:平成27年11月14日(土)、15日(日)
両日とも10:00∼12:00、13:00∼16:00
実 演:柿右衛門製陶技術保存会
会 場:千秋美術館1階ロビー(無料 事前申込不要)
上絵線描き
人間国宝、
大集合。
【工芸技術記録映画】
「工芸技術記録映画」は、作品そのものだけではとらえ
にくい工芸技術の工程を映像でわかりやすく記録したもの
で、文化庁が昭和46年から企画・製作しています。
日本の工芸分野では「人間国宝」と呼ばれる重要無形文化財保持者
や保持団体がこれまで高度な工芸技術を守り伝えてきました。
本展では、認定されてきたのべ約170名の人間国宝による陶芸、金工、
染織、漆芸をはじめとした各分野の作品194件を一堂にご紹介します。さ
これまで製作されてきた記録映画のなかから、本展出
吉田美統
釉裏金彩椿文飾皿
品作を制作する「人間国宝」たちの姿を収めた8本を選
2011年 文化庁蔵 【後期】
び、下記のスケジュールで上映いたします。
らに、工芸技術の表現に欠くことができない用具や材料の生産など、文
◉上映スケジュール
10月24日(土)∼30日(金)
蒔絵―寺井直次の卵殻のわざ―
10月31日(土)∼11月6日(金)竹工芸―勝城蒼鳳のわざ―
11月7日(土)
友禅―森口華弘のわざ―
11月8日(日)∼13日(金)
螺鈿―北村昭斎のわざ―
11月14日(土)∼15日(日)
柿右衛門―にごしで―
11月17日(火)∼23日(月)
羅―北村武資のわざ―
11月24日(火)∼30日(月)
彫漆―音丸耕堂のわざ―
12月1日(火)∼6日(日)
釉裏金彩―吉田美統のわざ―
化財を支える選定保存技術についても関連資料とともに展示いたします。
未来へと守り継がれていくべき、日本の比類無き「わざ」と多彩な「美」
の世界をお楽しみください。
音丸耕堂
彫漆布袋葵文手箱
(※各作品とも上映時間は30分程度で終日連続再生 事前申込不要、要展覧会チケット)
1978年 文化庁蔵 【後期】
【記念講演会】森口友禅の世界―伝統と創造の美―
日 時:平成27年11月7日(土)14:00∼15:30
会 場:千秋美術館3階講堂
幾何学文様を用いたモダンで大胆な構成の作品によっ
て友禅の世界に新生面を切り拓いてきた、重要無形文化
財「友禅」保持者・森口
彦氏。
11月7日(土)の講演会では、これまで極めてこられた
室瀬和美
蒔絵螺鈿八稜箱「彩光」
友禅の技術と作品への思いを直接聞くことができる貴重
2000年 文化庁蔵 【前期】
な機会です。是非ご参加ください!
※10月19日(月)より電話受付開始。先着70名。
TEL 018ー836ー7860
森口華弘
友禅訪問着「精華」
森口 彦
友禅訪問着「方花文」
1989年 文化庁蔵 【前期】
2001年 文化庁蔵 【前期】
[岡田謙三記念館 第Ⅲ期]
岡田謙三 ─色彩・形・マチエール─
12月18日
平成27年
[会期]
2 28日
千秋美術館・小松館長が読み解く
ニッポンこの一品
【第10回 唐物茶壺 銘 松花】
−平成28年 月
お茶をなさる方なら、
「口切りの茶事」
をご存知
だと思います。夏も近づく八十八夜のころ、茶の
新芽を摘み取り、それを蒸して乾燥させたものを
大きな壺に入れて夏を越させます。そして、11月の
初めころ、壺の封を切り、取り出した茶葉を挽いて
※休館日:12月29日(火)∼1月3日(日)
お抹茶にしてお客に振る舞います。これを口切り
観覧料:一般300(240)円/大学生200(160)円/高校生以下無料
※( )内は20名以上の団体料金
の茶事といい、茶家にとってはもっとも重要な行
事の一つとされています。ですから、そこで主役を
務める茶壺もたいへんに格の高いお道具というこ
洋画家・岡田謙三(1902−82)は、折り重なる淡い色
とがいえるでしょう。
彩とさまざまな形、そして、ペインティングナイフやローラー
今回ご紹介するのは、その茶壺の中でも極めつ
によって生み出される独特のマチエール(画面の質感)
きの名品「松花」
です。伝来をたどれば、なんと村
を持つ抽象画を描き、1950年代後半からアメリカで活躍
田珠光に始まって、織田信長、豊臣秀吉、徳川家
しました。
康と、歴史上の著名人が並びます。この手の壺は、
戦前より二科会に所属し、甘美な女性像や都会的な風
一般にルソン壺とよばれますが、実際には中国南
景画などで人気を博しましたが、新天地を求め、1950年、
部、広東あたりで大量生産されていたらしい。そ
48歳の時に渡米。苦心の末に、自ら「幽玄主義(ユーゲ
れが、多くの数奇者の審美眼を経て徐々に淘汰さ
ニズム)
」と名付けた抽象画にたどり着きます。その絵画
重要文化財 唐物茶壺 銘 松花(大名物)
南宋∼元時代 13∼14世紀 愛知・徳川美術館所蔵
世界は、当時、アメリカ画壇を席巻していた抽象表現主
©徳川美術館イメージアーカイブ/DNPartcom
れ、権威を纏っていく。茶の世界の面白さ、恐ろし
さを実感させる好例といえるでしょう。
義の影響を受けながらも、日本の伝統的な美意識や色彩
感覚、自然感に基づいた、静謐で叙情的なものでした。
本展では、岡田の初期から晩年までの絵画作品約70
学芸員リレーコラム
生活の中にアートを探そう
点に加えて、スケッチや画材などの貴重な資料も紹介。
創作活動の歴史を追いながら、岡田の色彩感覚や形の
とらえ方、マチエールへのこだわりをご覧ください。
「想いを伝える」
その11
アトリエにて Photo by : Gwyn Mets
衝
撃の瞬間。
記憶の中のワンシーンをきりとり、表現するこ
雲一つない晴天、気温もそこそこ上がって
ともアートのきっかけになるのだろうか。とすれ
きたある日の散策中、ふと気になった館に足を
ばアートのチャンスは日常生活のいたる所に転
踏み入れた。くらがりの廊下を進んで通された
がっている。
部屋で、一瞬目がくらみ、ふらりと膝をついてし
その手法は様々あるが、自分の想いを誰かに
まった。
伝えようとする時、人は誰もがアーティストにな
よみがえる視界に浮かびあがったのは、青々
れるのかもしれない。(長谷川)
と生い茂る草木たち。私以外誰も居ない。格子
の影がまっすぐにこちらを指して伸びている。時
空を超えてしまったかのような感覚に襲われ恐く
なり、そそくさと出口へ向かった。
しかし、しばらくその感覚が頭から離れない。
何度もフラッシュバックするその衝撃を誰かに
伝えたいと思い写真を撮った。
《詩人》1948年
《赤と白》1968年