共創・共育・共感 尾鷲市教育長だより 2016.1.22.(金) 第160号 受験に向かう心構え 受験シーズンです。先週は大学入試センター試験でした。次は高等学校の 入学試験です。以前紹介した内容と重なるところもありますが、今回は試験 やものごとに向かって取り組む際の心構えについて書きます。 みなさんは、中学時代や高校時代、家でテスト勉強をしていて、学校へ行 って、いよいよテストになると、覚えたことがなかなか出てこないといった 経験はありませんか。それは、記憶力が悪いのではなく、勉強の工夫に問題 があります。学習が「オーバー・ラーニング」になっていないのです。 これは、ふつう「おまけの学習」といわれる勉強法です。家で勉強してい て「よし、覚えたぞ!」と思っても、そこで勉強をやめないで、もう一・二 度、くり返して学習することをいいます。時には、三度くらいくり返して勉 強します。覚えたことをさらに覚えるので「オーバー」なわけで、そこから 「オーバー・ラーニング」というようになりました。オーバー・ランニング ではありません。 人間の記憶は忘れるようにできていますから、覚えたぞと思っても、翌日 のテストまでの間に少し消えてしまいます。ですから、消えても困らないよ うに、余分に覚えておけばいいわけです。 た だ し 、 こ の 勉 強 の 欠 点 は 、「 く ど い 」 こ と で す 。「 覚 え た 」 こ と を 、 さ ら に く り 返 し て 覚 え る の は 無 駄 な こ と の よ う に 思 え る し 、「 も う い い か げ ん に し て よ 」 と 思 う し 、「 く ど い な あ 」 と 感 じ て 、 い や に な る か ら で す 。 そ こ で 、 つ い 、「 お ま け 学 習 」 を し な い で す ま せ て し ま う よ う に な り 、 そ の 結 果 、 翌 日 の テストで失敗してしまいます。 「覚えたぞ」と思ったら、今度は別の勉強をして頭を切り替え、それから、 もう一度戻って、確かめると、その知識は記憶に強く刻みこまれます。Aを 覚えたらBの勉強に切り替え、一段落したら、またAの勉強に戻って覚える という方法です。ABAですが、さらにくり返して、ABACAというよう に、Aにとくに力を入れたりしてもいいでしょう。 そ れ ぞ れ 人 に は 、得 意 ・ 不 得 意 が あ り ま す 。英 語 で は 、 「 お ま け 学 習 」3 回 、 数学なら、1回で充分というように、自分流の「おまけ学習」ができるよう になれば、学習の成果が確実に出るようになります。 達成可能な目標はやる気を生み出す! 「好きこそものの上手なれ」ということわざがあります。自分が好きなこ とには「やる気」が起きて積極的に努力するから、驚くほど上達が速いとい う意味に使われます。 誰でも自分の好きなことや興味のあることには、やる気が起きます。そう なると、大脳の新しい皮質が活性化され、記憶力や学習能力が高まります。 これが脳の性質です。 好きなこと、興味のあることに没頭している人は、気分がよく、やる気と 集中力にあふれています。脳も活性化され、快感に満ちあふれています。目 が輝き、元気一杯なのです。好きなことに取り組むとき、快楽ホルモンであ るドーパミンが大量に放出され、脳内に快感が走って楽しい気分になります。 や る 気 が 生 ま れ ま す 。 よ う す る に 、「 や る 気 」 を 起 こ す に は 、 あ れ こ れ 迷 わ ず に“努力すれば達成可能な身近な目標”を一つ立てて、実行に移すことです。 第一歩に気合いや決意を込めよ! ところで、目標を立てて実行に移すといっても、私もそうですが、多くの 人はものごとに取りかかるとき、とっかかりに時間がかかります。最初のす べり出しがうまくいくと、どんどん仕事もはかどるのですが、それまでは、 先ずコーヒーを一杯飲んでからなどと、ああでもない、こうでもないと、頭 の中をさまざまな思いや考えが揺れ動き、なかなかエンジンがかかりません。 そんなとき、自分の背中を後ろからポンッ!と押してくれるもの、例えば、 とっかかりになるヒントや自分を励ましてくれる言葉などに出会うと、だん だんと志気を高めていくことができ、第一歩に気合いや決意を込めることが できます。第一歩の踏み出し方や燃え方で、その後の展開も、闇から光へと まったく違ってきます。 人生の節目や岐路においても、自分を励ましてくれるような言葉に出会う と、何か気持ちが楽になり、勇気が湧いてきます。そして、一歩に気合いや 決意を込めて、前へと踏み出すことができます。自分を励ます言葉をいくつ かもっておきたいものです。 自分自身の受験の際には、悩み揺れる自分を励まそうと、半紙に「克己」 と書いて机の前に貼っていたことを思い出します。
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