観光・地域振興局 地方創生推進室地域振興課 News Release 担当:定住・交流促進係 林原、田倉 電話:(直通)076-444-4496 (内線)2586 平成 28 年 1 月 18 日 さえぐさしげあき 三枝成彰氏(作曲家)の知事表敬について 三枝成彰氏(作曲家、エンジン01文化戦略会議幹事)が作曲され、一昨年8月 のイタリア・プッチーニ音楽祭で好評を博した、オペラ「Jr.バタフライ」の日 本凱旋公演が、北陸新幹線開業記念特別公演として、平成28年1月23日(土) に富山県民会館で開催されます。 このたび、三枝氏が知事を表敬され、出演者の紹介や意気込みについて発言され ますので、お知らせします。 1 日 時 平成28年1月19日(火)15:00~15:15 2 場 所 知事応接室 3 訪問者 さえぐさ しげあき (13名) 4 内 容 三 枝 成 彰氏 み つ は し (作曲家、エンジン 01 文化戦略会議幹事) けいこ 三ツ橋 敬子氏 (指揮者) <出演者> 8名 ジャンルーカ・パゾリーニ氏 (Jr.バタフライ役) ロッサーナ・カルディーア氏 (ナオミ役) 桜井 万祐子氏 (スズキ役)※イタリア在住 エウゲネ・ヴィラヌエーヴァ氏(野田少佐(ナオミの兄)役) ヴェイオ・トルチリアーニ氏 (詩人役) ヴァレンティーナ・ボイ氏 (尼僧役) ヴィンチェンツォ・セッラ氏 (マッカラム、レイバンの2役) ペドロ・カリッロ氏 (バートン、記者の2役) 他、随行者3名 (1)三枝成彰氏から、出演者の紹介や意気込みについて発言 (2)歓談 (3)写真撮影 【北陸新幹線開業記念特別公演・オペラ「Jr.バタフライ」富山公演の概要】 一昨年8月のイタリア・プッチーニ音楽祭で好評を博したオペラ「Jr.バタフライ」 の日本凱旋公演。イタリア語歌詞(字幕付き)、イタリア人キャストによる日本初上演。 ○演 目:オペラ「Jr.バタフライ」 ※イタリアを代表する作曲家プッチーニのオペラ「蝶々夫人」の続編 ○日 時:平成28年1月23日(土)14時開演 ○会 場:富山県民会館ホール ○主 催:㈱メイ・コーポレーション(代表 三枝成彰氏)※富山県協賛 ・作 曲:三枝成彰 ・演 出:布施 実 ・合 唱:富山県オペラ協会合唱団 ・キャスト:プッチーニ音楽祭に出演したイタリア人オペラ歌手 (ナオミ役 ロッサーナ・カルディーア 他) プッチーニ音楽祭とJr.バタフライについて 1 プッチーニ音楽祭について ○ イタリア中部のヴィアレッジョ市郊外の地中海に面するトッレ・デル・ラーゴ(プ ッチーニが暮らした場所)のプッチーニ野外大劇場(3,200席)で、1966年 から毎年夏に開催される由緒ある音楽祭。 ○ プラシド・ドミンゴや、ホセ・カレーラス、ルチアーノ・パバロッティなど世界的 に活躍する歌手が出演し、話題性も高い。 2 Jr.バタフライについて <2006年の公演> ○ 三枝氏が作曲したオペラで、2004年に東京文化会館にて初演。 2006年8月の第52回プッチーニ音楽祭で上演され、約6,000人の観客が集 まり、大きな話題となった。(プッチーニ以外の作曲家のオペラが上演されたのは、 初めてとのこと。) ○ 当時、イタリア日刊紙イル・テンポが「蝶々婦人の続編、これは大したオペラであ る。ソリストから合唱までクオリティの高いオペラに仕上がっていた」と高く評価し ている。 <2014年の公演> ○ 一昨年8月、プッチーニの家に隣接する地で、プッチーニ音楽祭が開催され、プッ チーニの残した作品の続編でもある「Jr.バタフライ」が再度上演され、注目を集 め、好評を博したとのことである。 日本語の歌詞をイタリア語に直し上演することにより、現地の聴衆には容易に鑑 賞してもらえた。また、キャストは、全てイタリア人キャストで、日本とイタリア の共同制作となった。 三枝成彰:オペラ「Jr. バタフライ」 富山県・北陸新幹線開業記念特別公演 公演概要 イタリア語歌詞、イタリア人キャストによる日本初上演 公演名: 三枝成彰:オペラ「Jr. バタフライ」 イタリア語歌詞、イタリア人キャストによる日本初上演 公演日時・会場: 2016年1月23日(土)14:00開演 富山県民会館 大ホール 主催: 協賛: 北日本新聞社、株式会社メイ・コーポレーション 富山県、トヨタ自動車株式会社、セイコーホールディングス株式会社、 三菱商事株式会社、 木下グループ、西日本旅客鉄道株式会社、 ANAホールディングス株式会社、オリックス株式会社、TDK株式会社、 株式会社北陸銀行、三谷産業株式会社、株式会社ユニゾーン、 株式会社 桝田酒造店 北陸電力株式会社、ヤマハエレクトーンシティ渋谷、 株式会社開進堂楽器 協力: チケット(発売中): S席 8,000円/ A席 6,000円/ C席 4,000円/学生 2,000円 プレイガイド:アーツナビ(富山県民会館、富山県教育文化会館、 富山県高岡文化ホール、新川文化ホール)、北日本新聞本社1Fプレイガイド、 チケットぴあ、イープラス、他 台本:島田雅彦 作曲:三枝成彰 演出:布施 実 イタリア語歌詞翻訳:エルマンノ・アリエンティ イタリア語歌詞譜面監修:森島英子 指揮:三ツ橋敬子 <キャスト> Jr.バタフライ(テノール): ジャンルーカ・パゾリーニ ナオミ(ソプラノ): ロッサーナ・カルディア スズキ(メゾ・ソプラノ): 桜井万祐子*イタリア在住 野田少佐(ナオミの兄、バリトン):エウゲネ・ヴィラヌエーヴァ 詩人(バリトン): ヴェイオ・トルチリアーニ 尼僧(ソプラノ): ヴァレンティーナ・ボイ マッカラム、レバイン(二役、バリトン): ヴィンチェンツォ・セッラ バートン、記者(二役、バリトン):ペドロ・カッリーロ 合唱:富山県オペラ協会合唱団 管弦楽:シアターオーケストラトーキョー エレクトーン:清水のりこ コレペティトゥーア:森島英子 東京公演:2016年1月27日(水)19:00開演 Bunkamuraオーチャードホール ■三枝成彰:オペラ「Jr. バタフライ」過去の上演歴 2004年 東京文化会館にて初演 2005年 阪神・淡路大震災10周年記念事業 神戸国際会館で再演 2006年 イタリア 第52回プッチーニ音楽祭にて再演 2014年 イタリア 第60回プッチーニ音楽祭にてイタリア語歌詞初上演 さえぐさ しげあき 三枝 成彰氏(73歳) 【略歴等】 ・1942 年生まれ。 ・エンジン01文化戦略会議 幹事 ・作曲家、東京音楽大学教授、静岡文化芸術大学文化・芸術研究センター長、 日本音楽著作権協会理事、日本交響楽振興財団理事、日本現代音楽協会理事、 全日本ピアノ指導者協会理事、日本作編曲家協会理事、日本モーツァルト協会理事長 ・オペラ作品の作曲をライフワークとされており、生涯で16作品の作曲を計画。 現在、9作目「KAMIKAZE-神風-」まで、作曲、上演 ・一昨年8月には、イタリアの第60回プッチーニ音楽祭の野外大劇場で、ご自身の 6作目のオペラ作品「ジュニア・バタフライ」をイタリア語歌詞で初上演 【代表作】 ・純音楽 オラトリオ「ヤマトタケル」、オペラ「千の記憶の物語」、 ヴァイオリン協奏曲「雪に蔽われた伝説」、カンタータ「天涯」等 ・映画音楽 「優駿ORACION」「お引越し」「MISTY」等、 ・テレビ番組 NHK大河ドラマ「太平記」「花の乱」等 【受賞】 ・1988 年 日本アカデミー賞 優秀音楽賞「二十四の瞳」「光る女」 ・1989 年 日本アカデミー賞 最優秀音楽賞「椿姫」「優駿 ORACION」 ・1989 年 ゴールデンディスク大賞「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」 ・2007 年 橘秋子賞 ・2007 年 紫綬褒章 ・2008 年 プッチーニ国際賞 【指揮者プロフィール】 指揮:三ツ橋敬子 東京都生まれ。東京藝術大学及び同大学院を修了。ウ ィーン国立音楽大学とキジアーナ音楽院に留学。小澤 征爾、小林研一郎、G.ジェルメッティ、E.アッツェル、H= M.シュナイト、湯浅勇治、松尾葉子、高階正光の各氏に 師事。第10回アントニオ・ペドロッティ国際指揮者コンク ールにて日本人として初めて優勝。2009年、小澤征爾 音楽塾及びサイトウ・キネン・フェスティバル松本にて小 澤征爾氏のアシスタントを務めた。第9回アルトゥーロ・ト スカニーニ国際指揮者コンクールにて女性初の受賞者 として準優勝。併せて聴衆賞も獲得。第12回齋藤秀雄 メモリアル基金賞を受賞。これまでに国内の主要オーケ ストラへ客演するほか、ジュゼッペ・ヴェルディ響、スロヴ ァキア・フィル、ボルツァーノ・トレント・ハイドンオーケスト ラなどヨーロッパでの定期演奏会にも客演を重ねている 。09年にはNewsweek Japan誌にて「世界が尊敬する 日本人100人」に選出。2015年1月、大阪交響楽団に て「カヴァッリーニ:ティンパニ協奏曲(世界初演)」を手 掛け、好評を博した。現在ヴェネツィア在住。 【出演者のプロフィール】 ジュニア・バタフライ役:ジャンルーカ・パゾリーニ Gian Luca Pasolini, Tenor ペーザロ国立音楽院、ブッセートのヴェルディ・アカデミー、フィ レンツェ五月祭歌劇場オペラ研修所にて研鑽を積み、フィレン ツェ国立音楽院大学院オペラコース、室内歌曲コース修了。 2006年フィレンツェ五月祭歌劇場にてZ.メータ70歳記念「カル ミナ・ブラーナ」のソロにメータ氏直々に抜擢され大好評を博す 。翌年にはR.アッバード指揮、E.オルミ演出のF.ヴァッキ作曲「 テネケ」のタイトルロールを歌いミラノ・スカラ座デビュー、連続4 シーズンにわたりスカラ座出演。以来、世界各国の主要歌劇 場に招かれ、巨匠D.バレンボイム、S.ビシュコフ、チョン・ミョンフ ン、D.レンゼッティ、大野和士、A.ゼッダと共演、いずれもが好 評を得ている。 ナオミ役:ロッサーナ・カルディーア Rossana Cardia, soprano カリアーリ音楽院で学ぶ。2001年レナータ・テバルディ国 際コンクールでテバルディ自身からテバルディ賞を、2014 年ベッリーニ国際声楽コンクールで優勝等、数多くのコンク ールに入賞。これまで「ジャンニ・スキッキ」ラウレッタ、「カ ルメン」ミカエラ、「椿姫」ヴィオレッタ、「トスカ」フローリア、「 仮面舞踏会」アメリア等を演じ、フォーレ「レクイエム」のソリ ストを務める。ドイツ、オーストリア、デンマーク、ノルウェー、 フランス、スイス、イギリス、韓国の劇場にも出演している。 2012年「アイーダ」のタイトルロールをグート・イムリング音 楽祭で、2013年にはベッリーニ劇場で「蝶々夫人」のタイト ルロールを歌った。 スズキ役:桜井万祐子 Mayuko Sakurai, mezzo-soprano 2007年、最高得点で名古屋芸術大学声楽科を卒業、 東 京 文化 会館 で 行わ れ た読 売新 人演奏 会 に出 演。 2008年に渡伊、ミラノ・G.ヴェルディ音楽院室内歌曲科 卒業。現在はアルベルト・クピード、黒田安紀子両氏のもと で研鑽を積む。これまでに、ロッシーニ「絹のはしご」ルチ ッラ、モーツァルト「フィガロの結婚」ケルビーノ、ビゼー「カ ルメン」カルメン、ヴェルディ「レクイエム」のソリストを国内 外で務める。一般社団法人シンクパール「+700万人 検 診 に 行 こ う ! 」 に メ ッ セ ー ジ を 寄 せ る 。 「 daniela de marchi」よりジュエリー提供を、「美・JAPON」より衣装提供 を受ける。 野田少佐役:エウゲネ・ヴィラヌエーヴァ Eugene Villanueva, baritone サンフランシスコ生まれ。サンフランシスコ歌劇場、ボロー ニャ歌劇場、バーゼル歌劇場、セントルイス歌劇場、上 海国立歌劇場等に「ドン・ジョンヴァンニ」(タイトルロール) 、「セビリアの理髪師」(フィガロ)、「マノン・レスコー」(マノ ン)、「フィガロの結婚」(アルマヴィーヴァ伯爵)、「ラ・ボエ ーム」(マルチェッロ、ショナール)に出演。2008年、 2011年にカーネギーホールでリサイタルを開催。トスティ 歌曲国際コンクールでアメリカ人としてはじめてトスティ歌 曲賞を受賞。サンフランシスコ響、ロサンゼルス・フィル、 サンタ・チェチーリア国立管、北ドイツ放送響、スイス・ロマ ンド等と、オルフ「カルミナ・ブラーナ」、フォーレやブラー ムス「レクイエム」等で共演している。 詩人:ヴェイオ・トルチリアーニ Veio Torcigliani, baritone G.ロッシの指導の下、ミラノで声楽の研鑽を積む。ジャコモ・プ ッチーニ・ロイヤル・オペラ音楽院を首席で卒業。その後、ロー マのアカデミア・オペラ・スタジオでS.ダミコに師事。プッチーニ 音楽祭等でM.フレーニ、R.パネライ等と共演。その後、プッチ ーニ「外套」のミケーレ役でチェゼーナ・ボンチ劇にデビュー。 マスカーニやプッチーニ、ヴェルディ、モーツァルトからブリテン 、ワイルまで幅広いレパートリーを持つ。D.オーレン、C.シモー ネ等の指揮者のもと、D.デッシー、F.アルミリアート、M.グレギー ナ、A.ボチェッリ等と共演。最近ではプッチーニ「ジャンニ・スキ ッキ」、ドニゼッティ「愛の妙薬」等に主役で出演。 尼僧役:ヴァレンティーナ・ボイ Valentina Boi, soprano G.ロッシの指導の下、ミラノで声楽の研鑽を積む。ジャコモ・プ ッチーニ・ロイヤル・オペラ音楽院を首席で卒業。その後、ロー マのアカデミア・オペラ・スタジオでS.ダミコに師事。プッチーニ 音楽祭等でM.フレーニ、R.パネライ等と共演。 その後、プッチーニ「外套」のミケーレ役でチェゼーナ・ボンチ 劇にデビュー。マスカーニやプッチーニ、ヴェルディ、モーツァ ルトからブリテン、ワイルまで幅広いレパートリーを持つ。D.オー レン、C.シモーネ等の指揮者のもと、D.デッシー、F.アルミリアー ト、M.グレギーナ、A.ボチェッリ等と共演。最近ではプッチーニ「 ジャンニ・スキッキ」、ドニゼッティ「愛の妙薬」等に主役で出演 。 マッカラム、レバイン/二役: アントニオ・ヴィンチェンツォ・セッラ Antonio Vincenzo Serra, bass サルディーニャ島サッサリ生まれ、ルイージ・カナパ音楽 院の声楽科で学ぶ。バロック作品から現代曲に至るまで の広いレパートリーを持ち、サルディーニャ音楽協会の様 々な音楽会に出演。2004年にフィレンツェ五月音楽祭に 出演する。2005年にはトレビで開催されたトーティ・ダル・ モンテ国際声楽コンクールのファイナリストとなる。2008 年3月にはスポレートで開催のアドリアーノ・ベッリ「若きオ ペラ歌手のためのヨーロッパ声楽コンクール」で優勝。そ の後のパバロッティ・コンクール出場権を得た。 バートン、記者/二役: ペドロ・カリッロ Pedro Carrillo, baritone ベネズエラのエル・システマでクラリネットを学ぶ。ファン・ホセ 国立音楽大学等でオペラ歌手の学位取得後、ミラノに留学。 M.フレーニ、K.リッチャレッリ等に師事。ハンブルグ歌劇場、ス カラ座、ライプツィヒ歌劇場に出演。G.ドゥダメル、S.ラトル等が 指揮するプロダクションにも出演。2008年イタリアに移り「愛の 妙薬」(ベルコーレ)、「セヴィリアの理髪師」(フィガロ)、「椿姫」 (ジェルモン)、「リゴレット」(タイトルロール)や、オーケストラの 公演にソリストとして出演。2013年にはスペインの主要劇場に 出演した他、「イル・トロヴァローレ」(ルーナ伯爵)に出演。プッ チーニ音楽祭で「Jr.バタフライ」と「三部作」に出演。 オペラ『Jr.バタフライ』 あらすじ 第一幕 1941年2~3月 蝶々夫人が生んだ男の子はピンカートン家に引き取られて、父親と同じ名前を与えられ、生みの母の記 憶を一切持たないまま成人した。彼と母を結びつける絆は「ジュニア・バタフライ(蝶々の息子)」というニック ネームだけ。今は、アメリカ戦争情報局の職務で日本の神戸に赴任している。その生まれから、本国でも差 別を受けてきた彼は、アメリカのために働きながらも母の母国、日本への思慕を強くしていた。 折りしも日本は中国大陸への侵攻を進めており、それに抗う米英との対立は激化。ジュニア・バタフライ( J.B)の心は日本とアメリカの狭間で大きく揺れていた。 日本を非難し、「この国はアメリカと戦争をするつもりか? 」と問いかける上司マッカラムにJ.Bは「日本を追 い込んでいるのはアメリカだ」と反論する。そして「この顔を見ろ。ジャップでもなくヤンキーでもない。あいだ に生まれたこうもりだ。私はこうもりの自由を生きる」と。 第二幕 1941年9月~12月 J.Bは恋人ナオミを強く愛していたが、未だ恋と職務の板ばさみになり、結婚を申し込めずにいた。ナオミ の兄、野田少佐は二人の恋の行方を案じずにはいられない。 野田少佐に「妹との結婚は考え直してほしい。互いに祖国を裏切るわけにはいくまいから」と懇願された J.Bは、心のうちを訴える。「私は中立を守る。母が生まれ、亡くなったこの国で。これがあいだに生まれたこう もりの務めだ。どんな運命に弄ばれようと、私は最後の恋に生きる」 その言葉を聞いた野田少佐は、「自分は二人の結婚を認めないが、J.Bの立場は理解する。いつか、二 人を祝福する日が来るかもしれないが、そのときは自分はこの世にいないだろう」と告げ、J.Bと盃を酌み交し て出征する。 J.Bとナオミの結婚は誰からも祝福されることはなかったが、二人は束の間の幸せを感じていた。 一方、日本とアメリカ、互いの祖国の対立は激しさを増していた。「離れ離れになっても心は一つ」と誓う 二人のもとに、戦争勃発の報がもたらされる。やってきたのはアメリカ領事館のバートン。「戦争だ。パール ハーバーが攻撃された。領事館は閉鎖だ」 第三幕 1945年7~8月 収容所に入れられたJ.Bのもとに、ナオミは息子を伴って訪ねてくる。戦争が終わりを告げた後の未来 を語り合う二人。 「ここを出たら、何処へ行こう、何をしようか ?」と問うJ.Bにナオミは優しく夢を語る。 「あなたの恨みや憎しみさえも愛したいから、あなたが辿った旅の軌跡をなぞりたい。あなたが生まれた長 崎へ行き、一緒に遠い過去の記憶を集めたい」 長崎で再開することを約束して、ナオミはJ.Bのもとを去るのだった。 原爆投下から二ヶ月が経過した廃墟の長崎。戦争は終わり、J.Bは釈放され、ナオミと息子を探して長崎に やってきた。すっかりやつれ、足をひきずりながら丘の上に立ったJ.Bは「俺はここで生まれたのだ」とつぶや く。父と母が愛し合った街は見る影もない。しかし、母とともに毎日眺めていたはずの海は、何事もなかった ように揺れていた。J.Bは涙を拭いながら、「母よ、息子はあなたの恋の残酷な結末を見ている」と歌う。 教会にたどり着いたJ.Bは扉を開け、尼僧に尋ねる。「私の妻ナオミは何処にいるかご存知ありませんか ? ベンジャミン・ピンカートン・ジュニア、ナオミの夫です」と名乗るJ.Bに尼僧は礼拝堂からドラゴンの蒔絵のあ る短刀を持ってきて渡す。「あなたのお母様の形見です」そして尼僧は、ナオミが生きていることをJ.Bに告げ る。 長崎で被爆し「もうこの世の者ではない」というナオミに、J.Bは「戦争は終わった。ぼくたちの未来は始まる 」との呼びかける。J.Bの「離れ離れにはっても二人の心は一つだ」という問いかけに、ナオミは悲しそうに「今 でも私を愛している ? 私が蘇ったら、もう一度結婚してくれる ?」と囁きかける。J.Bはナオミに永遠の愛を誓う 。 「死者は夢の中の人と同じ。いつでも会いに来てください。あなたはただのあなた。そして、私はただの私 。私たちの恋は浜辺に寄せる波や、森を吹き抜ける風になって、この世の響きと怒りをそっと撫でるのです」 その遺言とともにナオミは息絶える。J.Bが駆け寄り、彼女を抱き上げる。 合唱による「永遠に続く災厄などない。死者は悲しみの向こうで待っている。生き残った者が再び希望と 勇気を、微笑と力を取り戻すのを」で幕を閉じる。 2014年 イタリア 第60回プッチーニ音楽祭 「Jr. バタフライ」上演写真
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