三枝成彰氏オペラ「Jr.バタフライ」富山公演について

観光・地域振興局
地方創生推進室地域振興課
News Release
担当:定住・交流促進係 林原、田倉
電話:(直通)076-444-4496
(内線)2586
平成 28 年 1 月 22 日
さえぐさしげあき
三 枝 成 彰 氏オペラ「Jr.バタフライ」富山公演について
(北陸新幹線開業記念特別公演)
三枝成彰氏(作曲家、エンジン01文化戦略会議幹事)が作曲され、一昨年8月
のイタリア・プッチーニ音楽祭で好評を博した、オペラ「Jr.バタフライ」の日
本凱旋公演が、北陸新幹線開業記念特別公演として、平成28年1月23日(土)
に富山県民会館で開催されますので、お知らせします。
【北陸新幹線開業記念特別公演・オペラ「Jr.バタフライ」富山公演の概要】
一昨年8月のイタリア・プッチーニ音楽祭で好評を博したオペラ「Jr.バタフ
ライ」の日本凱旋公演。イタリア語歌詞(字幕付き)、イタリア人キャストによる
日本初上演。
○演 目:オペラ「Jr.バタフライ」
※イタリアを代表する作曲家プッチーニのオペラ「蝶々夫人」の続編
○日 時:平成28年1月23日(土)14時~17時頃
14時
~ 第1幕
15時05分頃~ 第2幕
16時15分頃~ 第3幕
○会 場:富山県民会館ホール
○主 催:㈱メイ・コーポレーション(代表 三枝成彰氏)※富山県協賛
・作
曲:三枝成彰
・演
出:布施 実
・合
唱:富山県オペラ協会合唱団
・キャスト:プッチーニ音楽祭に出演したイタリア人オペラ歌手等
ジャンルーカ・パゾリーニ氏 (Jr.バタフライ役)
ロッサーナ・カルディーア氏 (ナオミ役)
桜井 万祐子氏
(スズキ役)※イタリア在住
エウゲネ・ヴィラヌエーヴァ氏(野田少佐(ナオミの兄)役)
ヴェイオ・トルチリアーニ氏 (詩人役)
ヴァレンティーナ・ボイ氏
(尼僧役)
ヴィンチェンツォ・セッラ氏 (マッカラム、レバインの2役)
ペドロ・カリッロ氏
(バートン、記者の2役)
プッチーニ音楽祭とJr.バタフライについて
1
プッチーニ音楽祭について
○ イタリア中部のヴィアレッジョ市郊外の地中海に面するトッレ・デル・ラーゴ(プ
ッチーニが暮らした場所)のプッチーニ野外大劇場(3,200席)で、1966年
から毎年夏に開催される由緒ある音楽祭。
○ プラシド・ドミンゴや、ホセ・カレーラス、ルチアーノ・パバロッティなど世界的
に活躍する歌手が出演し、話題性も高い。
2
Jr.バタフライについて
<2006年の公演>
○ 三枝氏が作曲したオペラで、2004年に東京文化会館にて初演。
2006年8月の第52回プッチーニ音楽祭で上演され、約6,000人の観客が集
まり、大きな話題となった。(プッチーニ以外の作曲家のオペラが上演されたのは、
初めてとのこと。)
○ 当時、イタリア日刊紙イル・テンポが「蝶々婦人の続編、これは大したオペラであ
る。ソリストから合唱までクオリティの高いオペラに仕上がっていた」と高く評価し
ている。
<2014年の公演>
○ 一昨年8月、プッチーニの家に隣接する地で、プッチーニ音楽祭が開催され、プッ
チーニの残した作品の続編でもある「Jr.バタフライ」が再度上演され、注目を集
め、好評を博したとのことである。
日本語の歌詞をイタリア語に直し上演することにより、現地の聴衆には容易に鑑
賞してもらえた。また、キャストは、全てイタリア人キャストで、日本とイタリア
の共同制作となった。
三枝成彰:オペラ「Jr. バタフライ」
富山県・北陸新幹線開業記念特別公演
イタリア語歌詞、イタリア人キャストによる日本初上演
公演概要
公演名:
三枝成彰:オペラ「Jr. バタフライ」
イタリア語歌詞、イタリア人キャストによる日本初上演
公演日時・会場:
2016年1月23日(土)14:00開演 富山県民会館 大ホール
主催:
協賛:
北日本新聞社、株式会社メイ・コーポレーション
富山県、トヨタ自動車株式会社、セイコーホールディングス株式会社、
三菱商事株式会社、 木下グループ、西日本旅客鉄道株式会社、
ANAホールディングス株式会社、オリックス株式会社、TDK株式会社、
株式会社北陸銀行、三谷産業株式会社、株式会社ユニゾーン、
株式会社 桝田酒造店
北陸電力株式会社、ヤマハエレクトーンシティ渋谷、
株式会社開進堂楽器
協力:
チケット:
S席 8,000円/ A席 6,000円/ B席 完売/学生 完売
※当日券あり
台本:島田雅彦
作曲:三枝成彰
演出:布施 実
イタリア語歌詞翻訳:エルマンノ・アリエンティ
イタリア語歌詞譜面監修:森島英子
指揮:三ツ橋敬子
<キャスト>
Jr.バタフライ(テノール): ジャンルーカ・パゾリーニ
ナオミ(ソプラノ): ロッサーナ・カルディア
スズキ(メゾ・ソプラノ): 桜井万祐子*イタリア在住
野田少佐(ナオミの兄、バリトン):エウゲネ・ヴィラヌエーヴァ
詩人(バリトン): ヴェイオ・トルチリアーニ
尼僧(ソプラノ): ヴァレンティーナ・ボイ
マッカラム、レバイン(二役、バリトン): ヴィンチェンツォ・セッラ
バートン、記者(二役、バリトン):ペドロ・カッリーロ
合唱:富山県オペラ協会合唱団
管弦楽:シアターオーケストラトーキョー
エレクトーン:清水のりこ
コレペティトゥーア:森島英子
東京公演:2016年1月27日(水)19:00開演 Bunkamuraオーチャードホール
■三枝成彰:オペラ「Jr. バタフライ」過去の上演歴
2004年 東京文化会館にて初演
2005年 阪神・淡路大震災10周年記念事業 神戸国際会館で再演
2006年 イタリア 第52回プッチーニ音楽祭にて再演
2014年 イタリア 第60回プッチーニ音楽祭にてイタリア語歌詞初上演
さえぐさ
しげあき
三枝 成彰氏(73歳)
【略歴等】
・1942 年生まれ。
・エンジン01文化戦略会議
幹事
・作曲家、東京音楽大学教授、静岡文化芸術大学文化・芸術研究センター長、
日本音楽著作権協会理事、日本交響楽振興財団理事、日本現代音楽協会理事、
全日本ピアノ指導者協会理事、日本作編曲家協会理事、日本モーツァルト協会理事長
・オペラ作品の作曲をライフワークとされており、生涯で16作品の作曲を計画。
現在、9作目「KAMIKAZE-神風-」まで、作曲、上演
・一昨年8月には、イタリアの第60回プッチーニ音楽祭の野外大劇場で、ご自身の
6作目のオペラ作品「ジュニア・バタフライ」をイタリア語歌詞で初上演
【代表作】
・純音楽
オラトリオ「ヤマトタケル」、オペラ「千の記憶の物語」、
ヴァイオリン協奏曲「雪に蔽われた伝説」、カンタータ「天涯」等
・映画音楽
「優駿ORACION」「お引越し」「MISTY」等、
・テレビ番組
NHK大河ドラマ「太平記」「花の乱」等
【受賞】
・1988 年
日本アカデミー賞
優秀音楽賞「二十四の瞳」「光る女」
・1989 年
日本アカデミー賞
最優秀音楽賞「椿姫」「優駿 ORACION」
・1989 年
ゴールデンディスク大賞「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」
・2007 年
橘秋子賞
・2007 年
紫綬褒章
・2008 年
プッチーニ国際賞
【演出家等プロフィール】
演出:布施 実
1948年富山県生まれ。早稲田大学法学部を卒業後
NHKへ入社、富山・岐阜放送局を経て、東京へ異動。
長年に渡り、ドラマ番組の制作と演出に携わる。主な演
出・制作番組、大河ドラマ「武田信玄」「いのち」、朝の
連続テレビ小説「澪つくし」「ええにょぼ」、その他、新大
型時代劇「宮本武蔵」、土曜ドラマ「蛇蝎のごとく」、ドラ
マスペシャル「ポーツマスの旗」「ホンコンドリーム」「聖徳
太子」など。
単発ドラマ「我等の放課後」では文化庁芸術祭優秀賞
受賞。大阪局芸能部長を経て、2001年、富山放送局
長。NHK退社後は、NHKエンタープライズアメリカ社長
(ニューヨーク)などを歴任。リタイアー後は富山市に転
居。現在、「富山県イメージアップ戦略アドバイザー」に
就任。
指揮:三ツ橋敬子
東京都生まれ。東京藝術大学及び同大学院を修了。ウ
ィーン国立音楽大学とキジアーナ音楽院に留学。小澤
征爾、小林研一郎、G.ジェルメッティ、E.アッツェル、H=
M.シュナイト、湯浅勇治、松尾葉子、高階正光の各氏に
師事。第10回アントニオ・ペドロッティ国際指揮者コンク
ールにて日本人として初めて優勝。2009年、小澤征爾
音楽塾及びサイトウ・キネン・フェスティバル松本にて小
澤征爾氏のアシスタントを務めた。第9回アルトゥーロ・ト
スカニーニ国際指揮者コンクールにて女性初の受賞者
として準優勝。併せて聴衆賞も獲得。第12回齋藤秀雄メモリアル基金賞を受賞
。これまでに国内の主要オーケストラへ客演するほか、ジュゼッペ・ヴェルディ響
、スロヴァキア・フィル、ボルツァーノ・トレント・ハイドンオーケストラなどヨーロッパ
での定期演奏会にも客演を重ねている。09年にはNewsweek Japan誌にて「世
界が尊敬する日本人100人」に選出。2015年1月、大阪交響楽団にて「カヴァ
ッリーニ:ティンパニ協奏曲(世界初演)」を手掛け、好評を博した。現在ヴェネツ
ィア在住。
イタリア語歌詞譜面監修、コレペティトゥーア(オペラ歌手指導者):森島 英子
東京藝術大学卒業。中山靖子教授にピアノ独奏、中山
悌一教授にピ アノ伴奏を師事。文化庁派遣芸術家在外
研修員として、シュトゥッ トガルト音楽大学に留学、コン
ラート・リヒター教授のもとでリー ト科を修了。在学中よ
り伴奏ピアニストとして演奏活動を開始。佐 藤しのぶ、
市原多朗をはじめ多くの声楽家諸氏と共演している。オ
ペラの分野でも、日本有数のコレペティートル、チェンバ
リストと して活躍。2007年「ボエーム」で指揮者としても
デビューした。 2008年兵庫県立芸術文化センター公演
「メリー・ウィドウ」、日生 劇場公演「マクロプロス家の事」、2014年ジャパン・アーツ
公演 「夕鶴」等に、ミュージック・アドヴァイザーとしても参画し、オ ペラの日本語歌
詞、字幕制作も手がける。また室内楽奏者として、 ウィーン・フィルのコンサートマ
スター、R.キュッヒル、W.ヒン ク、R.ホーネックの各氏や、ベルリン・フィル、NHK
交響楽団の首 席奏者等とデュオ、トリオなどを共演。94年度新日鉄音楽賞特別
賞 受賞。東京藝術大学、沖縄県立芸術大学、東京音楽大学講師、聖徳 大学客
員教授。日本声楽アカデミー会員。
プロダクションマネージャー:小栗 哲家
1972年より舞台監督助手として活動。二期会オペラ「フ
ィガロの結婚」をはじめ、日生劇場、愛知芸術文化セン
ター、びわ湖ホール等数多くの公演で舞台監督を務め
る。引越公演ではウィーン国立歌劇場・メトロポリタン歌
劇場・ボローニャ歌劇場や、富田勲氏のサウンドクラウ
ドプロジェクトでも活躍している。
現在はプロダクション・スーパーバイザーとしても活動し
ている。兵庫県芸術文化センター企画制作アドバイザ
ー。東京藝術大学非常勤講師。
通訳、コレペティトゥーア(オペラ歌手指導者):高崎 三千(たかさき みち)
大阪教育大学特設音楽課程ピアノ専攻卒業。
2000年9月より文化庁在外派遣研修員として一年間渡伊
。ローマとミラノに於いて、コレペティトールの研鑽を積む。又
、研修の一貫としてイタリア歌曲のリサイタルの伴奏等も経験
する。帰国後、イタリアでの経験を生かすべくコレペティトール
として国内外の数々のオペラ公演に参加。
2001年~2003年と2008年には、ミラノAs.Li.Coのオペラ公
演に、又2006年から現在まで、毎夏、トスカーナ州で開催さ
れるプッチーニ・フェスティバルの公演に携わっている。2011
年よりイタリア在住。
【出演者のプロフィール】
ジュニア・バタフライ役:ジャンルーカ・パゾリーニ Gian Luca Pasolini, Tenor
ペーザロ国立音楽院、ブッセートのヴェルディ・アカデミー、フィ
レンツェ五月祭歌劇場オペラ研修所にて研鑽を積み、フィレン
ツェ国立音楽院大学院オペラコース、室内歌曲コース修了。
2006年フィレンツェ五月祭歌劇場にてZ.メータ70歳記念「カル
ミナ・ブラーナ」のソロにメータ氏直々に抜擢され大好評を博す
。翌年にはR.アッバード指揮、E.オルミ演出のF.ヴァッキ作曲「
テネケ」のタイトルロールを歌いミラノ・スカラ座デビュー、連続4
シーズンにわたりスカラ座出演。以来、世界各国の主要歌劇
場に招かれ、巨匠D.バレンボイム、S.ビシュコフ、チョン・ミョンフ
ン、D.レンゼッティ、大野和士、A.ゼッダと共演、いずれもが好
評を得ている。
ナオミ役:ロッサーナ・カルディーア
Rossana Cardia, soprano
カリアーリ音楽院で学ぶ。2001年レナータ・テバルディ国
際コンクールでテバルディ自身からテバルディ賞を、2014
年ベッリーニ国際声楽コンクールで優勝等、数多くのコンク
ールに入賞。これまで「ジャンニ・スキッキ」ラウレッタ、「カ
ルメン」ミカエラ、「椿姫」ヴィオレッタ、「トスカ」フローリア、「
仮面舞踏会」アメリア等を演じ、フォーレ「レクイエム」のソリ
ストを務める。ドイツ、オーストリア、デンマーク、ノルウェー、
フランス、スイス、イギリス、韓国の劇場にも出演している。
2012年「アイーダ」のタイトルロールをグート・イムリング音
楽祭で、2013年にはベッリーニ劇場で「蝶々夫人」のタイト
ルロールを歌った。
スズキ役:桜井万祐子 Mayuko Sakurai, mezzo-soprano
2007年、最高得点で名古屋芸術大学声楽科を卒業、
東 京 文化 会館 で 行わ れ た読 売新 人演奏 会 に出 演。
2008年に渡伊、ミラノ・G.ヴェルディ音楽院室内歌曲科
卒業。現在はアルベルト・クピード、黒田安紀子両氏のもと
で研鑽を積む。これまでに、ロッシーニ「絹のはしご」ルチ
ッラ、モーツァルト「フィガロの結婚」ケルビーノ、ビゼー「カ
ルメン」カルメン、ヴェルディ「レクイエム」のソリストを国内
外で務める。一般社団法人シンクパール「+700万人
検 診 に 行 こ う ! 」 に メ ッ セ ー ジ を 寄 せ る 。 「 daniela de
marchi」よりジュエリー提供を、「美・JAPON」より衣装提供
を受ける。
野田少佐役:エウゲネ・ヴィラヌエーヴァ Eugene Villanueva, baritone
サンフランシスコ生まれ。サンフランシスコ歌劇場、ボロー
ニャ歌劇場、バーゼル歌劇場、セントルイス歌劇場、上
海国立歌劇場等に「ドン・ジョンヴァンニ」(タイトルロール)
、「セビリアの理髪師」(フィガロ)、「マノン・レスコー」(マノ
ン)、「フィガロの結婚」(アルマヴィーヴァ伯爵)、「ラ・ボエ
ーム」(マルチェッロ、ショナール)に出演。2008年、
2011年にカーネギーホールでリサイタルを開催。トスティ
歌曲国際コンクールでアメリカ人としてはじめてトスティ歌
曲賞を受賞。サンフランシスコ響、ロサンゼルス・フィル、
サンタ・チェチーリア国立管、北ドイツ放送響、スイス・ロマ
ンド等と、オルフ「カルミナ・ブラーナ」、フォーレやブラー
ムス「レクイエム」等で共演している。
詩人:ヴェイオ・トルチリアーニ
Veio Torcigliani, baritone
G.ロッシの指導の下、ミラノで声楽の研鑽を積む。ジャコモ・プ
ッチーニ・ロイヤル・オペラ音楽院を首席で卒業。その後、ロー
マのアカデミア・オペラ・スタジオでS.ダミコに師事。プッチーニ
音楽祭等でM.フレーニ、R.パネライ等と共演。その後、プッチ
ーニ「外套」のミケーレ役でチェゼーナ・ボンチ劇にデビュー。
マスカーニやプッチーニ、ヴェルディ、モーツァルトからブリテン
、ワイルまで幅広いレパートリーを持つ。D.オーレン、C.シモー
ネ等の指揮者のもと、D.デッシー、F.アルミリアート、M.グレギー
ナ、A.ボチェッリ等と共演。最近ではプッチーニ「ジャンニ・スキ
ッキ」、ドニゼッティ「愛の妙薬」等に主役で出演。
尼僧役:ヴァレンティーナ・ボイ
Valentina Boi, soprano
G.ロッシの指導の下、ミラノで声楽の研鑽を積む。ジャコモ・プ
ッチーニ・ロイヤル・オペラ音楽院を首席で卒業。その後、ロー
マのアカデミア・オペラ・スタジオでS.ダミコに師事。プッチーニ
音楽祭等でM.フレーニ、R.パネライ等と共演。
その後、プッチーニ「外套」のミケーレ役でチェゼーナ・ボンチ
劇にデビュー。マスカーニやプッチーニ、ヴェルディ、モーツァ
ルトからブリテン、ワイルまで幅広いレパートリーを持つ。D.オー
レン、C.シモーネ等の指揮者のもと、D.デッシー、F.アルミリアー
ト、M.グレギーナ、A.ボチェッリ等と共演。最近ではプッチーニ「
ジャンニ・スキッキ」、ドニゼッティ「愛の妙薬」等に主役で出演
。
マッカラム、レバイン/二役:
アントニオ・ヴィンチェンツォ・セッラ
Antonio Vincenzo Serra, bass
サルディーニャ島サッサリ生まれ、ルイージ・カナパ音楽
院の声楽科で学ぶ。バロック作品から現代曲に至るまで
の広いレパートリーを持ち、サルディーニャ音楽協会の様
々な音楽会に出演。2004年にフィレンツェ五月音楽祭に
出演する。2005年にはトレビで開催されたトーティ・ダル・
モンテ国際声楽コンクールのファイナリストとなる。2008
年3月にはスポレートで開催のアドリアーノ・ベッリ「若きオ
ペラ歌手のためのヨーロッパ声楽コンクール」で優勝。そ
の後のパバロッティ・コンクール出場権を得た。
バートン、記者/二役: ペドロ・カリッロ
Pedro Carrillo, baritone
ベネズエラのエル・システマでクラリネットを学ぶ。ファン・ホセ
国立音楽大学等でオペラ歌手の学位取得後、ミラノに留学。
M.フレーニ、K.リッチャレッリ等に師事。ハンブルグ歌劇場、ス
カラ座、ライプツィヒ歌劇場に出演。G.ドゥダメル、S.ラトル等が
指揮するプロダクションにも出演。2008年イタリアに移り「愛の
妙薬」(ベルコーレ)、「セヴィリアの理髪師」(フィガロ)、「椿姫」
(ジェルモン)、「リゴレット」(タイトルロール)や、オーケストラの
公演にソリストとして出演。2013年にはスペインの主要劇場に
出演した他、「イル・トロヴァローレ」(ルーナ伯爵)に出演。プッ
チーニ音楽祭で「Jr.バタフライ」と「三部作」に出演。
オペラ『Jr.バタフライ』
あらすじ
第一幕 1941年2~3月
蝶々夫人が生んだ男の子はピンカートン家に引き取られて、父親と同じ名前を与えられ、生みの母の記
憶を一切持たないまま成人した。彼と母を結びつける絆は「ジュニア・バタフライ(蝶々の息子)」というニック
ネームだけ。今は、アメリカ戦争情報局の職務で日本の神戸に赴任している。その生まれから、本国でも差
別を受けてきた彼は、アメリカのために働きながらも母の母国、日本への思慕を強くしていた。
折りしも日本は中国大陸への侵攻を進めており、それに抗う米英との対立は激化。ジュニア・バタフライ(
J.B)の心は日本とアメリカの狭間で大きく揺れていた。
日本を非難し、「この国はアメリカと戦争をするつもりか? 」と問いかける上司マッカラムにJ.Bは「日本を追
い込んでいるのはアメリカだ」と反論する。そして「この顔を見ろ。ジャップでもなくヤンキーでもない。あいだ
に生まれたこうもりだ。私はこうもりの自由を生きる」と。
第二幕 1941年9月~12月
J.Bは恋人ナオミを強く愛していたが、未だ恋と職務の板ばさみになり、結婚を申し込めずにいた。ナオミ
の兄、野田少佐は二人の恋の行方を案じずにはいられない。
野田少佐に「妹との結婚は考え直してほしい。互いに祖国を裏切るわけにはいくまいから」と懇願された
J.Bは、心のうちを訴える。「私は中立を守る。母が生まれ、亡くなったこの国で。これがあいだに生まれたこう
もりの務めだ。どんな運命に弄ばれようと、私は最後の恋に生きる」
その言葉を聞いた野田少佐は、「自分は二人の結婚を認めないが、J.Bの立場は理解する。いつか、二
人を祝福する日が来るかもしれないが、そのときは自分はこの世にいないだろう」と告げ、J.Bと盃を酌み交し
て出征する。
J.Bとナオミの結婚は誰からも祝福されることはなかったが、二人は束の間の幸せを感じていた。
一方、日本とアメリカ、互いの祖国の対立は激しさを増していた。「離れ離れになっても心は一つ」と誓う
二人のもとに、戦争勃発の報がもたらされる。やってきたのはアメリカ領事館のバートン。「戦争だ。パール
ハーバーが攻撃された。領事館は閉鎖だ」
第三幕 1945年7~8月
収容所に入れられたJ.Bのもとに、ナオミは息子を伴って訪ねてくる。戦争が終わりを告げた後の未来
を語り合う二人。
「ここを出たら、何処へ行こう、何をしようか ?」と問うJ.Bにナオミは優しく夢を語る。
「あなたの恨みや憎しみさえも愛したいから、あなたが辿った旅の軌跡をなぞりたい。あなたが生まれた長
崎へ行き、一緒に遠い過去の記憶を集めたい」
長崎で再開することを約束して、ナオミはJ.Bのもとを去るのだった。
原爆投下から二ヶ月が経過した廃墟の長崎。戦争は終わり、J.Bは釈放され、ナオミと息子を探して長崎に
やってきた。すっかりやつれ、足をひきずりながら丘の上に立ったJ.Bは「俺はここで生まれたのだ」とつぶや
く。父と母が愛し合った街は見る影もない。しかし、母とともに毎日眺めていたはずの海は、何事もなかった
ように揺れていた。J.Bは涙を拭いながら、「母よ、息子はあなたの恋の残酷な結末を見ている」と歌う。
教会にたどり着いたJ.Bは扉を開け、尼僧に尋ねる。「私の妻ナオミは何処にいるかご存知ありませんか ?
ベンジャミン・ピンカートン・ジュニア、ナオミの夫です」と名乗るJ.Bに尼僧は礼拝堂からドラゴンの蒔絵のあ
る短刀を持ってきて渡す。「あなたのお母様の形見です」そして尼僧は、ナオミが生きていることをJ.Bに告げ
る。
長崎で被爆し「もうこの世の者ではない」というナオミに、J.Bは「戦争は終わった。ぼくたちの未来は始まる
」との呼びかける。J.Bの「離れ離れにはっても二人の心は一つだ」という問いかけに、ナオミは悲しそうに「今
でも私を愛している ? 私が蘇ったら、もう一度結婚してくれる ?」と囁きかける。J.Bはナオミに永遠の愛を誓う
。
「死者は夢の中の人と同じ。いつでも会いに来てください。あなたはただのあなた。そして、私はただの私
。私たちの恋は浜辺に寄せる波や、森を吹き抜ける風になって、この世の響きと怒りをそっと撫でるのです」
その遺言とともにナオミは息絶える。J.Bが駆け寄り、彼女を抱き上げる。
合唱による「永遠に続く災厄などない。死者は悲しみの向こうで待っている。生き残った者が再び希望と
勇気を、微笑と力を取り戻すのを」で幕を閉じる。
2014年 イタリア 第60回プッチーニ音楽祭 「Jr. バタフライ」上演写真