愛車のペースマンをベースにアダプテーション 車椅子に対応したMINIの “福祉車両” 数年前から車椅子生活を送ることとなった裕生さん。 「足が不自由になっても大好きなMINIに乗り続けたい!!」 そんな想いから昨年秋に愛車のペースマンを福祉車両にカスタマイズ。 オートアダプト社製のアクセルレバーを装着したこだわりの1台を紹介! OWNER 裕生さん MINI歴12年。初代クーパーに始まり、 クーパーSクロスオー バー、現在のクーパーSペースマンと3台のMINIを乗り継 いできた生粋のMINIフリーク。25年前から足が不自由にな る進行性の病にかかり、一昨年末から症状が悪化。昨年 秋、愛車のペースマンを福祉車両にすることを決意した。 |TEXT|編集部 |PHOTO|山田泰弘 |取材協力|株式会社ファイブスター ☎055-234-5853 http://www.5star-yamanashi.com MINI福祉車両に関するお問い合わせ 株式会社ファイブスター TEL:055-234-5853 http://www.5star-yamanashi.com 2012 MINI COOPER S PACEMAN ALL4 NEW MINI STYLE MAGAZINE 90 車椅子に乗ったままでもテールゲートが閉め られるように、ゲート内側に紐を装着。実は このアイデア、愛車のペースマンをアダプテー ションしたときにスタッフから教 えてもらっ たもの。使い勝手が良いと裕生さんも喜んで いる。 NEW MINI STYLE MAGAZINE 91 ションを聞いてみると、約100㎏相 当もある電動車椅子をラゲッジルーム に積載する機能を取り付けたいとのこ と。いまはオーソドックスなタイプの 車椅子を折り畳み、自分でリアに積載 している裕生さん。その夢が叶えられ れば、使い勝手も格段に向上するとい う。これからも大好きなペースマンと いっしょに、楽しいMINIライフを 存分に満喫してほしい。 乗車時は写真のようにリアシー トを外して車椅子を折り畳んで 収納している裕生さん。2ドア のペースマンということもあっ て、収納するときにシートに擦 れてしまうのはご愛敬。裕生さんも 「もう少しシートが前にスライドしてほしい」 と話してくれた。 いっしょに積載されているポリタンクは、車椅子が動かないように固定するため。 福祉車両をつくり出す とり。 年前から足が不自由になる進 行性の病にかかってしまった裕生さん。 一昨年末からその症状が悪化し、徐々 にクルマを運転することが困難に。今 後のクルマ生活を考え、昨年秋に愛車 のペースマン・クーパーSを福祉車両 にすることを決意した。 「きっかけは前回発売されたニューミ ティなカーボン調のシールを貼ったり、 ニ・スタイルマガジンの記事でした。 自分なりにカスタマイズをして思う存 そこにMINI甲府をサポートしてい 分MINIライフを楽しんでいる。M るファイブスター福祉車両事業部のデ INIに対する想いは人一倍強い。 モカーが掲載されていたのですが、そ 「ファイブスターに連絡したところ、 れを読んだ瞬間、コレだと思いました。 スタッフがわざわざ自分の住んでいる 大好きなMINIを運転したい。でも、 名古屋までデモカーを持ってきてくれ 車椅子の生活を送っている身では、そ たんです。そこで実際に試乗させても れはなかなか難しい。どうしようかと らいながら、本格的に福祉車両の話し 迷っているところで、福祉車両の記事 をしました」 が私の背中を押してくれたんです」 今回裕生さんが依頼したのは、アク 裕生さんは初代クーパーに始まり、 セルとブレーキがレバー式となるオー クーパーSクラブマン、クーパーS トアダプト社製の「カロスピード・メ ペースマンと3台のMINIを乗り継 ノックス」 。ステアリング横に取り付 いできた生粋の愛好家。現在乗ってい けられたレバーを手前に引くとアクセ るペースマンもアルピナ製の イン ル。レバーを奥に押すとブレーキ。さ チ・ホイールに交換したり、スポー らにレバー部分にはオプションとなる ウインカースイッチとハザードスイッ チ、そしてブレーキロック機能が追加 されている。 「試乗させてもらったデモカーには、 ステアリングを握ったままでアクセル &ブレーキができるアクセルリング式 のKIVI製K5が装着されていたの ですが、私はあえてレバー式のをチョ イスしました。どちらも運転するのは 大丈夫だったのですが、自分としては レバー式のほうが扱いやすかったのと いうのが最大の理由です。実際に完成 したのは、クルマを預けてから僅か一 週間ほど。スタッフ全員が、良心的に 対応してくれたのが印象的でした」 最後に今後追加したいアダプテー ホイールはアルピナ製の19イ ンチを装着。他にもカーボン のシールを貼ったり、アルピ ナバッチを装着したりして自 分なりのカスタムを楽しんで いる。ペースマンらしく、 スポー ティな仕上がりが特徴だ。 19 足が不自由でも手だけでクルマの運転ができるように開発さ れた手動運転装置「カロスピード・メノックス」。アクセルはワイ ヤーで接続し、 ブレーキはコントロールロッドをペダルに直付け することで、ダイレク卜でナチュラルな操作を可能としている。 レバーを手前に引くとアクセル。奥に押すとブレーキ。ウイン カー、ハザード、 そしてブレーキロック操作もレバーに取り付け られたスイッチで行なうことができる。 アダプテーションとは? 国民の4人にひとりが 歳以上を迎 えようとしている日本。今後起こるで あろう超高齢化社会に備え、最近は身 体の不自由な人をサポートしたり、実 際に車椅子生活を送られている人でも 運転を可能とした「福祉車両」に注目 が集まっている。 中でも新車を買わずに既存のクルマ を改造して福祉車両をつくり出す「ア ダプテーション」という方法を活用す るユーザーが増加中。アダプテーショ ンとは、もともと自分が所有する愛車 をベースに、福祉車両に必要なパーツ や機能を追加すること。スウェーデン を始めとしたバリアフリー先進国では 一般的で、クルマを買い換えるよりも 安価にできるため、経済的な負担を軽 減することができるメリットを持って いる。 現在、車椅子生活を送る裕生さんも そんなアダプテーションを活用したひ 65 25
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