瓢 箪 邸

竣工 2007年06月
設計監理 フィールドネット一級建築士事務所
ひょうたんてい
瓢 箪 邸
西側道路が 1 階分敷地より低い条件から、道路に面した
玄関と車庫を RC 造地下 1 階とし、その上に木造 2 階建を
載せた混構造の木の家です。
南側の 2 つの敷地と一体に開発された建売住宅の建替で、
一体となった外構の切断解体、軟弱地盤の杭打ち、地下
車庫など工期も 1 年以上にわたりました。
アルミ製玄関扉の手前に
3 枚引戸の木戸を設け防
犯性を高めると同時に格
子が優しい表情を演出し
ています。
玄関灯、表札、インターホ
ン、郵便受けを組み込ん
でいます。
1 階の階段を上がり
踊り場から見上げると
2 階の階段ホールを
利用した書斎コーナー
が見えます。
引き違いのガラス戸の
上は回転ランマとし、
夏は通風、冬は暖気を
調整しながら光を取り
入れます。
下の階段室の窓から
の 風は、最上部にある
ハイサイドライトの窓
を通って外へ出ていき
ます。
開口が狭く、奥行きの長い敷地に対して最大限の床面
積を確保するため、屋根の南側と北側の勾配を支えて
北側斜線をクリヤしています。
RC 造の地下部の外壁は顔料入モルタルによりアース
カラーの落ちついた色にしています。
曲面状の花壇に緑が繁ると街並みにうるおいを与えて
くれるでしょう。
1 階階段ホール
から 2階への階段
は、金山杉の
スリット階段とし、
地下から 2 階への
空間的 連続 性と
通風 性を高めて
います。
ひょうたんてい
瓢 箪 邸
2 階ひろまの招屋根の
ハイサイドライトと
力強い金山杉の
人型トラスの木組み。
ダイニングテーブルは
栃の木の一枚板で、
瓢箪を形どっています。
造り付け収納には、
エアコンを組み込んで
一体化しています。
北側斜線によって
低くなる北側(右側)は
トイレや収納としています。
人型トラスはアフタイト
によって構造計算された
耐震性の強い木組になっ
ています。
【 2 階ひろま】は北側の登梁と南側の登梁を【人の形】のように組み合わせた
【人型トラス】によってのびやかな空間を構成しています。
北側斜線で低く押さえられた空間ですが、人型トラス構造によって水平の梁を
なくすことで、南に開いていく開放性が高くなっています。
左側【ユリの木の一枚板のボックス】は冷蔵庫用です。
キッチンとの間に現在使っている食器棚が置かれる予定です。
瓦屋根を支える和風の吊束トラスに
取付けられた格子は、力強さの中にも
さりげないデザインアクセントになっています。
アフタイトがしっかりと金山杉のトラスを
組んでいます。
床 の間 の床 板は 樹齢
250 年の金山杉の一枚
板です。
床 柱は 面皮 丸太 のつ
や やか な木 肌が きれ
いです。
和 室 か ら も 書斎 コ ー ナ
ー を 通 じ て ひろ ま を 一
望できます。
開 口 が 狭 い ため な る べ
く 部 屋 の 視 覚的 連 続 性
を高めています。
和 室 は 招 屋 根が な い た
め 人 型 ト ラ スで な く 吊
束(つりづか)トラスと
しています。
竣工 2008年03月
設計監理 フィールドネット一級建築士事務所
骨董と愛車を楽しむ家
こしやね
三角形の屋根の中央が上に飛び出した越屋根
がアクセント。
バルコニーの手摺は横ルーバーのカスケード状
でやわらかく視線をさえぎりつつ、通風性を確保。
切妻総 2 階+片流れの伝統的な蔵のスタイル
をベースにしたシンプルモダンスタイル。
片流れ屋根は杉植生マット敷き仕上げ。入居
後に芝生を敷くと草屋根へ変身。
外壁は漆喰入セメント仕上げと杉板(自然塗
料)のコントラストをつけています。
2 階屋根の軒天井は杉板を扇状に貼り上げて
片流れ屋根の引戸は 2 方向に開閉できるので出入りが容易です。
います。
壁際の屋根はガラスのトップライトで家の中まで明るくなります。
庭の雨樋は雨水貯留タンクに接続しています。
色とりどりの玉石を埋め込んだ
アプローチから玄関に入ると栗
の床板と杉の天井板が自然と奥
へ導いてくれます。
右側は杉板扉の玄関収納。
障子越しのやわらかい光が差し
込みます。
アプローチは北側へ集約。
門灯・インターホン・ポスト・ガスメーターが組み込まれた門柱。
受電ポール・水道メーターと共に集約化されています。
玄関扉は片開きでスムーズに開閉できます。
骨董と愛車を楽しむ家
アトリエからひろま、
カースペースを見る。
正面右のコーナーはTV・AV・収納エアコン
が組み込まれた造り付け収納。
2 階の床を支える梁と通柱は丸太の丸い面
を残した木組み。
ひろまからアトリエを見る。
座卓はさつま杉の一枚板です。
窓のブラインドも杉板のスラットブラインドタイプです。
スピーカーや小物の吊戸棚を造り付けられています。
2 階の格子床・ガラス床が
組み込まれた部分は
2 階ホールでもっとも
明るいところ。
登梁が力強く屋根を
支えています。
個室は引き違い
扉で通風性を高
めています。
床は節有りの桧、
壁、
天井は土佐和
紙壁紙貼りです。
キッチンのひろま側のカウンター収納は
赤松集成材と杉扉の組み合わせ。
引出し、電話カウンターと共に建築と一体
化しています。
2 階の主寝室は登梁と
トラス組みが現され、
木組みと構造が一番
よくわかる部分です。
床は杉、壁、天井は土
佐和紙壁紙でシンプ
ルな仕上げです。
浴室は青森ヒバと
断熱機能性タイル
の仕上げです。
木製ブラインドを
取付けた窓の外側
は目隠しフェンス
のあるバスコート。
竣工 2008年09月
設計監理 フィールドネット一級建築士事務所
音楽ホールのような家
定年後の終の住み処として選んだ伊豆高原の約
180 坪の土地に、大地に接するような平屋の木の
家として建てられました。
これまでの RC 造共同住宅の都市的、機能的な内
部空間を引き継ぎ、音楽ホールのような、ひとつ
ながりの生活空間=シェルターとしての木の家
が、 建築主との語らいの中から構想されました。
敷地面積:606.00 ㎡ 1 階延床面積:112.30 ㎡
木造軸組工法、平屋建て
屋根:ガルバニウム鋼板平葺き
外壁:顔料入漆喰モルタル塗
東側の玄関からひろまに入ると、6m の長さの木目の美しく、骨太な
金山杉による登梁によるシェルター空間に包まれます。
右上には屋根を支える木組みが 1、2、3 段と迫り出し、斜めに延びる
登梁をしっかりと支えます。
上部の南側には採光と通風のためのハイサイドライトが招き屋根と
して設けられ、民家の煙出しのようでもあります。
正面のキッチンは造り付け収納によ
南側の大きな窓は庭へと連続し、 りやわらかく区切られています。
北側の書斎との一角には薪ストーブが設けられ、書斎とひ
ろまをレンガの腰壁がゆるやかに区切っています。
床暖と薪ストーブにより、その日の天気や気分で冬の暖を
切り替えることができます。
床は床暖対応の杉赤味縁甲板で節があることでやわらかな
表情をみせています。
天井は金山杉縁甲板、壁は柱や梁が見える真壁仕上げで、
漆喰と共に呼吸する内装仕上です。
台所からひろまを見ると、正面の壁の後側が和室になり、
和室との出入口が右側に見えます。
その上
玄関からの入口は縦格子のガラス戸になっており、
は玄関の上にあるロフト空間です。
見る方
左手の書斎は壁面いっぱいの造り付け本棚があり、
向によって様々な表情を見せてくれます。
音楽ホールのような家
書斎には壁面本棚、吊り本棚、カウンター机が造り
付けられ、機能がコンパクトにまとめられています。
書斎の奥にもハイサイドライトからの光が差し込
み、北側の窓の反射光と共に暗さを感じません。
同じ連続した空間でありながら、落ち着いた、明る
く、通風性のよい書斎コーナーになっています。
玄関ホールを入って左手から入る和室は、この家の中で唯一独
立性の高い空間になっています。8 帖の広さながら、四方の桧縁
甲板による板畳を設け、畳は 4 帖半分の巴(ともえ)敷きとし
ています。
天井は、畳の部分の上部をピラミッド状に持ち上げた方形(ほ
うぎょう)天井として、畳と天井を相対させることで、包まれ
たような安心感を与えています。
壁、天井は表具職人による石見手すき和紙の袋(ふくろ)貼り
で、とてもやわらかい表情を見せています。
キッチンは以前の生活の機能性をほぼ引継ぐ形で設
計されました。
セミクローズドタイプのため、 ひろま
からの視線をあまり気にせず、使い勝手を優先して、
正面のパイプ棚、
オープン棚に調理道具を置き、 ひろ
まとの仕切の造り付け収納に食器、
食材、 電気機器を
まとめる方式です。
大工と建具職人、
設備業者のコラボによるカスタムメ
イドオリジナルキッチンです。
トップライトによる明
るさを確保しています。
浴室は約 3.5 帖の広めのスペースです。
西側の隣家の視線を防ぐため、主な採光と換気は天
井のトップライトから得ています。
浴槽正面の窓はピクチャーウィンドーのように四角
い額縁のスライド開閉サッシとして、将来のバスコ
ートを一枚の絵として望むことが可能です。
壁、天井は青森ヒバ縁甲板にシリコン塗装として木
の肌合いとメンテナンス性を両立させています。