平成27年度地方財政対策について…青木 孝徳

平成27年度予算特集②
平成27年度地方財政対策について
主計局主計官 青木
特集
平成27年度
地方財政対策について
孝徳
1.はじめに
算する異例の取扱いが続いている。
地方交付税は、地方交付税法において、国税収
地方の財源不足は、国・地方折半の借金(国
入額の一定割合(27年度は所得税及び法人税の収
の赤字国債と地方の臨時財政対策債)で補填す
入額の33.1%、酒税の収入額の50%、消費税の収
ることが原則であり、平成20年度以前(リーマ
入額の22.3% に見直し)とされており、この国
ンショック前)の地財対策においては、例えば、
税収入額の一定割合がいわゆる法定率分である 。
地方の財源不足が11兆円であった平成15年度に
*1
*2
しかし、実際に地方団体に交付される地方交付
おいても、この原則に基づき、5.5兆円の特例加
税の総額は、この法定率分にとどまらず、
算、5.5兆円の臨財債で補填されている。一方、
①過去の地方財政対策時の国と地方の貸し借りな
リーマンショック後は、前述の別枠加算の異例
どに起因して地方交付税法附則等によって後年
度に加算することが定められている額の加算
(法定加算)及び過年度の精算分
の対応がとられている。
この間の国・地方の財政状況を見ると、国は巨
額の基礎的財政収支の赤字を抱え債務残高がリー
②地方財政全体の収支見通しにおいて、地方歳出
マンショック後621兆円(平成21年度末)から6
の総額と、地方税、地方交付税の法定率分及び
年間で約220兆円(平成27年度末見込み)増加し
法定加算等、地方債、国庫支出金などの地方歳
837兆円まで累増すると見込まれる一方で、地方
入の合計額との間に生じた乖離(地方の財源不
は平成18年度以降プライマリーバランスの黒字を
足)を国・地方が折半して補填するための加算
維持していることに加え債務残高も約200兆円で
(特例加算)を行った上で決定されている。
安定している。
③更に、平成21年度の地方財政対策以降、リーマ
平成27年度地方財政対策においては、地方の安
ンショック後の危機対応として、地方の借金を
定的な財政運営に配慮しつつ、地方歳出を効率化・
抑制する観点から、これらとは別枠の加算(別
重点化するとともに、国・地方を通じた財政健全
枠加算)を行い、その上でなお生じる財源不足
化に取り組むことが課題であった。
を上記②における折半対象の財源不足として計
*1)平成26年度の法定率は所得税及び酒税の収入額の32%、法人税の収入額の34%、消費税の収入額の22.3%、
たばこ税の収入額の25%とされていた。27年度における見直しの詳細は、2.(1)⑤において後述。
*2)地方交付税とは別に、地方特例交付金(特定の地方歳出に係る地方負担や地方税の特例的な減税措置による地方
財政の減収分を補填するための特別措置)がある。毎年度の一般会計歳出に計上される地方交付税交付金等の額
は、地方交付税及び地方特例交付金の交付のために必要とされる一般会計から交付税特会への繰入金の額の合計
額である。
ファイナンス 2015.4
21
平成27年度地方財政計画(通常収支分)の概要
特集
○ 地方交付税は、地方財政計画における、歳入と歳出のギャップ(財源不足)を埋めるもの。
○ 具体的には、歳入・歳出ギャップに、まず、地方交付税の法定率分(※)を充て、更に財源不足があれば、国・地方が折半して
財源を出し、これを埋めることが基本(いわゆる「折半ルール」)。
○ この折半ルールに基づき、国は交付税に「特例加算」を行い、地方は「臨時財政対策債」(赤字地方債)を発行することにな
る。ただし、平成27年度では、折半ルールの例外となる「別枠加算」が、0.2兆円措置されている。
※地方交付税の法定率:所得税33.1%、法人税33.1%、酒税50%、消費税22.3%
平成27年度地方財政計画(単位:兆円、
(カッコ書)
は対前年度増減額)
給与関係経費
:20.3
(▲0.0)
一般行政経費
:35.1
(+1.8)
【歳入85.3
(+1.9)
】
歳出歳入ギャップ
【歳出85.3
(+1.9)
】
地方交付税法定率分等
:15.1
(A)
(+1.4)
地方特例交付金:0.1
(▲0.0)
18.2
うち、
まち・ひと・
しごと創生
事業費:1.0
(新規)
地方税・地方譲与税
:40.2
(+2.4)
歳出特別枠:0.85
(▲0.35)
地方交付税総額
(A+B+C)
=16.
8兆円
全額国負担
(折半ルールの例外)
別枠加算:
0.2
(B)
(▲0.4)
交付税一般会計
特例加算
:1.5
(C)
(▲1.2)
国・地方折半
臨時財政対策債
:1.5
(▲1.2)
投資的経費
:11.0
(▲0.0)
その他:26.8
(+0.6)
公債費:13.0
(▲0.1)
その他:5.1
(+0.6)
国と地方の長期債務残高(ストック)の推移
○ 国と地方の長期債務残高(ストック)は、30年前から20年前(1984 ∼ 1994)、20年前から10年前(1994 ∼ 2004)まで
は、それぞれ同程度(概ね2倍)に増加。
○ 他方、10年前から現在(2004 ∼ 2014)にかけては、国の長期債務残高は、約300兆円の増加となっているが、地方は、ほ
ぼ横ばいとなっている。
○ これは、特に、リーマンショック以降、国・地方ともに税収が減少するなか、国が地方の分まで借金をして、地方に財政移
転(別枠加算等)させてきた結果とも言える。
○ 国と地方の長期債務残高の推移
30年前
(1984年度末)
概ね
2倍
国
10年前
(2004年度末)
20年前
(1994年度末)
135兆円
概ね
2倍
現在
(2015年度末見込)
約300兆円増加
対リーマンショック後
(2011年度末)
約220兆円増加
531兆円
261兆円
リーマンショック後
(2011年度末)
837兆円
621兆円
概ね
2倍
地方
55兆円
ほぼ
横ばい
概ね
2倍
106兆円
201兆円
リーマンショック後
(2011年度末)
199兆円
199兆円
(注)交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金については、その償還の負担分に応じて、国と地方に分割して計上している。なお、平成19年度初をもってそれまでの国負
担分借入金残高の全額を一般会計に承継したため、平成19年度末以降の同特会の借入金残高は全額地方負担分(2015年度末で33兆円程度)である。
22
ファイナンス 2015.4
平成27年度予算特集②
平成27年度地方財政対策について
国と地方の財政状況(フロー)
特集
○ リーマンショック後、国の基礎的財政収支(※)は、赤字幅が大幅に増大。
※PB(プライマリー・バランス)とも呼ばれ、政策的経費が税収等でどれだけ賄われているかを示す指標。
○ 一方で、地方の基礎的財政収支は、平成17年度以降、黒字を維持している。
○ 更に、地方は、
「地方財政計画(通常収支分)」ベースで見れば、財政収支(※)も黒字となっている。
※FB(フィスカル・バランス)とも呼ばれ、
「政策的経費+利払費」が税収等でどれだけ賄えているかを示す指標。基礎的財政収支(PB)がバランスしたとし
ても利払費分だけ債務残高は増加するため、債務残高の実額を減らしていくためには、財政収支(FB)をバランスさせることが必要。
○ 国(一般会計外PBを含む)と地方の基礎的財政収支(PB)の推移
10.0 (兆円)
5.0
▲ 2.0
0.0
▲5.0
▲ 4.0
▲ 3.0
▲20.0
3.6
4.3
▲ 19.7
▲ 19.4
▲ 23.8
▲25.0
4.7
2.0
3.1
2.8
2.5
1.6
▲ 15.6
3.1
▲ 19.5
▲18.9
▲ 25.0
▲ 31.9
▲30.0
▲ 32.6
▲ 30.5
▲ 30.3
▲ 27.0
▲ 38.1
▲35.0
▲40.0
▲45.0
0.3
▲ 9.0
▲ 12.8
▲10.0
▲15.0
2.1
▲ 0.2
国の基礎的財政収支
H13
H14
H15
地方の基礎的財政収支
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
H27
(出典)内閣府「国民経済計算確報」。ただし、平成26年度以降は、「中長期の経済財政に関する試算」(平成27年2月12日 内閣府)。
(注1)平成10年度は国鉄長期債務及び国有林野累積債務、18年度、20年度、21年度、22年度及び23年度は財政投融資特別会計財政融資資金勘定(18年度においては財政融資資金特別会計)か
ら国債整理基金特別会計または一般会計への繰入、20年度は日本高速道路保有・債務返済機構から一般会計への債務承継、23年度は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構から一般
会計への繰入等を除いている。
(注2)平成23年度以降については、復旧・復興対策の経費及び財源の金額を除いたベース。
国(一般会計)
歳入 96.3
歳出 96.3
税収 等
59.5
政策的経費
72.9
公債金 36.9
うち利払費 10.1
公債費 23.5
財政収支(FB)▲23.5
地方(地方財政計画(通常収支分)
)
基礎的財政収支(PB)
▲13.4
基礎的財政収支(PB)
+5.1
歳入 85.3
歳出 85.3
地方交付税
地方税収等
75.8
政策的経費
70.7
地方債 9.5
うち利払費 2.4
財政収支(FB)
+2.7
公債費 14.6
(注)国は平成27年度一般会計予算、地方は平成27年度地方財政計画。 2.平成27年度地方財政対策
について
(1)通常収支分について
①
「中期財政計画」及び「予算編成の基本方針」に
ついて
「中期財政計画」
(平成25年8月8日閣議了解)
せつつ、交付団体を始め地方の安定的な財政運営
に必要となる地方の一般財源の総額については、
平成26年度及び平成27年度において、平成25年
度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に
同水準を確保する」とされた。
「平成27年度予算編成の基本方針」
(平成26年12
においては、国・地方を合わせた基礎的財政収支
月27日閣議決定)においては、地方財政について
について、平成27年度(2015年度)までに、平
「経済再生の進展を踏まえて、リーマンショック
成22年度(2010年度)に比べ赤字の対GDP比を
後の危機対応モードから平時モードへの切替えを
半減、平成32年度(2020年度)までに黒字化、そ
進めるため、地方の税収動向等も踏まえ歳出特別
の後の債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指
枠や地方交付税の別枠加算を見直すなど、歳入面・
すこととされており、当面、平成27年度(2015
歳出面における改革を進め、できる限り早期に財
年度)の目標達成に向けて、平成26年度(2014
源不足の解消を目指し、財政の健全化を図る。国
年度)及び平成27年度(2015年度)の国・地方
の歳出の取組と基調を合わせ、地方財政計画の計
を合わせた基礎的財政収支の改善に注力すること
上の見直しを行いつつ、必要な課題の財源を確保
とされた。
することでメリハリを効かせ、歳出の効率化・重
地方財政については、
「地方財政の安定的な運
点化を図るとともに、交付団体をはじめ地方の安
営の観点を踏まえ、国の歳出の取組と基調を合わ
定的な財政運営に必要となる地方の一般財源の総
ファイナンス 2015.4
23
額については、平成26年度地方財政計画の水準を
特集
下回らないよう実質的に同水準を確保する」とさ
れた。
3,308億円の13兆5,500億円と見込まれる。
これらの地方歳入増の結果、後述する社会保障
の充実等の地方歳出の増加があるものの、地方の
平成27年度の地方財政計画は、これらの方針に
従って策定されることとなった。
財 源 不 足( 別 枠 加 算 前 ) は 平 成26年 度 の 5 兆
8,977億円から3兆1,359億円に▲2兆7,618億円
縮減すると見込まれる。平成27年度においては、
こうした地方の税収の状況を踏まえ、地方交付税
②歳入面における主な取組
歳入面における取組としては、第一に、
「まち・
ひと・しごと創生事業費」の財源を確保するため、
地方公共団体金融機構(以下「機構」という。
)の
の別枠加算を縮減している(6,100億円⇒2,300億
円。▲3,800億円)
。
また、地方の財源不足を国・地方で補填する地
公庫債権金利変動準備金(以下「準備金」という。
)
方交付税の特例加算・臨時財政対策債の額は1兆
を活用することとした。
4,529億円と対前年度▲1兆1,909億円の減額とな
具体的には、平成27年度から平成29年度までの
った。
各年度において、総額6,000億円の範囲内におい
平成28年度の別枠加算の取扱いについては、地
て、機構の準備金を活用するものであり、平成27
方の税収の動向等を踏まえ、総務省・財務省の間
年度の活用額は3,000億円をとしている 。
で協議することとなっている。
*3
なお、機構の準備金の活用に伴う歳出増に見合
う額を地方一般財源に上乗せする措置は、
「中期
③歳出面における主な取組み
財政計画」に基づく平成32年度までの財政健全化
歳出面については、85兆2,710億円(対前年度
に向けた目標を踏まえたものとして、機構の準備
+1兆9,103億円)が計上されているが、その主
金の活用を前提に行うものとし、また、平成26年
な内訳は以下のとおりである。
度与党税制改正大綱(平成25年12月12日)等に
給与関係経費について、組織の若返り等による
おける地方法人課税の偏在是正に係る消費税率
減(▲1,622億円)
、級別職員構成の是正による減
(国・地方)10%段階の措置による財源(不交付
(▲388億円)
、退職給付水準の引下げ等*4による
団体の減収額)が生じるまでの代替的な暫定措置
減(▲551億円)等を反映する一方、給与改定に
として行うものである。
よる増(+2,138億円)等を反映した結果、20兆
第二に、景気回復や消費税率引上げによる税収
3,351億円(対前年度▲63億円)が計上されている。
増が見込まれることである。平成27年度地方財政
一般行政経費については、補助事業について国
計画においては、地方税収等(地方税収及び地方
庫補助事業の増減を反映しつつ18兆5,490億円(対
譲与税の合計額。以下同じ)は対前年度+2兆
前年度+1兆1,514億円)
、地方単独事業として、
4,082億円の40兆1,773億円と見込まれる。また、
13兆9,964億円(対前年度+428億円)
、国民健康
地方法人税収(平成26年度税制改正において法人
保険・後期高齢者医療として1兆5,135億円(対
住民税法人税割の一部を交付税原資化したもの)
前年度▲47億円)が計上されている。これらのう
は4,770億円と見込まれる。更に、国税の税収増
ち社会保障の充実等の地方負担額は7,439億円(社
に 伴 い、 交 付 税 の 法 定 率 分 は 対 前 年 度 + 1 兆
会保障の充実分6,554億円。社会保障4経費の公
*3)地方公共団体金融機構の公庫債権変動準備金については、
「地方公共団体金融機構法附則第14条の規定に基づき、
「公営企業金融公庫法の廃止に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令」第27条の規定に基づき財政投融
資特別会計投資勘定に帰属させた上で、当該帰属させた額を同勘定から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り
入れることとしている。
*4)退職給付水準の引下げを内容とする国家公務員の退職手当制度の改正に準じて地方公務員についても同様に退職
手当の引下げを見込んでいる。
24
ファイナンス 2015.4
平成27年度予算特集②
平成27年度地方財政対策について
地方法人税の偏在是正(地方法人特別税、地方法人税)
特集
○ 地方法人課税の偏在是正の観点から、平成20年に法人事業税(都道府県税)の約4割を切り出して、地方法人特別税・譲与
税を創設。
○ しかし、26年度において、地方法人特別税・譲与税が1/3縮減され、与党税制改正大綱において「地方法人特別税・譲与税
を廃止するとともに現行制度の意義や効果を踏まえて他の偏在是正措置を講じる」とされた。
○ また、26年度においては、地方消費税率の引上げによる地方団体間の財政力格差拡大を是正する観点から、法人住民税法人
税割の一部を切り出して、地方法人税(国税)を創設したところ(税収の全額を交付税原資化)。
〈地方法人特別税・譲与税〉
1/2従業
者数により
按分・譲与
賦課徴収
した都道
府県の税
収へ
〈26年度消費税率引上げ(5%→8%)〉
税率
17.3%
(H26改正)
0.6
兆円
2.3
兆円
(国税)
地方法人税
税率4.4%
︵地方税︶
法人住民税
是正措置
平成27年度税制改正大綱
(平成26年12月 自由民主党 公明党)
○平成26年度与党税制改正大綱
における消費税10%段階の地
方法人課税の偏在是正につい
ては、平成28年度以後の税制
改正において具体的な結論を
得る。
一旦
1/3
縮減
(改正前)
︵地方税︶
法人住民税法人税割
地方税収
標準的な財政需要
消費税率
引上げに
伴う実質
増収
廃止
〈法人住民税法人税割〉
不交付団体(東京都など)
+0.2兆円
(H29年度)
他の偏在
是正措置
1/2人口
地方に
配分
特別
譲与税
地方法人
(H26改正)
︵地方税︶
法人事業税
︵地方税︶
法人事業税
3.2
兆円
︵国税︶
地方法人
特別税
︵地方税︶
法人事業税
2.6
兆円
地方に
配分
︵国税︶
特別税
地方法人
(H20改正)
特別譲与税
地方法人
(改正前)
(H29年度)
地方に
配分
交付税
原資とし
て再配分
平成26年度税制改正大綱
(平成25年12月 自由民主党 公明党)
消費税率の
8%→10%への
引上げを踏まえ、
さらに進める
税率
12.9%
○地方法人特別税・譲与税を廃
止するとともに現行制度の意
義や効果を踏まえて他の偏在
是正措置を講ずるなど、関係
する制度について幅広く検討
を行う。
○法人住民税法人税割の地方交
付税原資化をさらに進める。
地方法人課税の偏在是正による効果
○「地方法人税(仮称)については、その税収全額を交付税特別会計に直接繰り入れ、地方交付税原資とする。また、地方法人税の
創設及びこれに併せて行う法人住民税法人税割の税率の引下げによる税源の偏在是正により生じる財源(不交付団体の減収分)を活
用して、地方財政計画に歳出を計上する」こととしている(H26総務・財務両大臣覚書)
・効果額 :平年度 :約2,000億円
27年度:約1,000億円(法人税割の減収額は平年度の約50%)
法人税割の国税化・交付税原資化
制度変更前
不交付団体
歳入
法人税割の
減額対象
(※28年度以降は約2倍の効果)
歳出
(約1,000億円)
歳入
歳出
法人税割の減
(約1,000億円)
交付団体
地方税等
地方税等
地方税等
地方税等
法人税割の
減額対象
(約2,000億円)
(約2,000億円)
交付税
・
臨財債
交付税
・
臨財債
(注)総務省資料
水準超経費の減
(約1,000億円)
交付税原資化
交付税原資化
(約1,000億円)
追加の歳出
(約1,000億円)
ファイナンス 2015.4
25
危機対応モードから平時モードへの切替え(別枠加算)
特集
○「別枠加算」は、平成21年度に、リーマンショックの影響により地方税が大幅に減収し、財源不足が発生するなか、地方に
配慮し、臨時異例の「危機対応」として、全額国負担により措置したもの(折半ルールの例外)。
○ 27年度では、地方税収の回復基調を踏まえ、▲0.4兆円縮減(0.6兆円→0.2兆円)。
○ 28年度以降の取扱いについては、「地方の税収の動向等を踏まえて協議」とされている。
(兆円)
41
地方税収(地方譲与税含む)
40.2
39
40.2(+2.4)
39.6
37.2(+1.2)
37
35.3
35
14
財源不足額
10
8
別枠加算
6
国負担
国・地方折半
2
財源不足なし
0
H19
35.7
36.1
12.3
1.5
12
4
35.7
37.8(+0.5)
H20
6.3
1.0
特例加算
2.6
臨財債
2.8
H21
5.4
5.4
H22
8.7
1.1
8.7
1.1
8.2
1.0
3.8
3.8
3.6
5.9
0.6
2.6
3.8
3.8
3.6
2.6
H23
H24
H25
H26
(計画)
(注)地方税収はH25までは決算、H26、H27は計画。
経済負担分885億円)となっている。
3.1
0.2
1.5
1.5
H27
(計画)
④地方一般財源総額等の取扱い
また、地方創生に取り組むため、地域の実情に
上述の歳出を賄う地方の歳入のうち、地方税収
応じたきめ細やかな施策を可能にする観点から
等、地方交付税、地方特例交付金及び臨時財政対
「まち・ひと・しごと創生事業費」を1兆円計上
策債を加えた地方の一般財源総額は、対前年度+
している。
1兆1,908億円増の61兆5,485億円となっている。
投資的経費については、国の公共事業関係費の
これは、社会保障の充実等の地方負担額の増+
動向も踏まえて、11兆10億円(対前年度▲25億
3,948億円(社会保障の充実分+3,841億円及び社
円が計上されている。
会保障4経費の公経済負担分+107億円)
、機構の
その内訳としては、直轄・補助事業については
準備金の活用による増+3,000億円、不交付団体
国庫補助事業の増減を反映して5兆7,252億円(対
の水準超経費の増+4,500億円等を勘案したもの
前年度▲504億円)が計上されている。地方単独
である。
事業については、他の既存事業の抑制を図りつつ
地方の一般財源総額の内訳としては、地方税収
緊急防災・減災事業費5,000億円、公共施設等最
等が40兆1,773億円(対前年度+2兆4,082億円)
、
適化事業費
1,000億円計上することとし、5兆
地方交付税が16兆7,548億円(対前年度▲1,307億
2,758億円(対前年度+479億円)が計上されてい
円)
、地方特例交付金が1,189億円(対前年度▲
る。
3億円)
、臨時財政対策債が4兆5,250億円(対前
*5
公債費については12兆9,512億円(対前年度▲
年度▲10,702億円)となっている。
1,233億円)
、公営企業繰出金は2兆5,397億円(対
平成27年度の地方交付税交付金(一般会計から
前年度▲215億円)
、維持補修費は1兆1,601億円
交付税特会への繰入れ。いわゆる入口ベース。
)に
(対前年度+1,244億円)が計上されている。
ついては対前年度▲6,064億円減の15兆4,169億
不交付団体の水準超経費については、地方税収
円、これに地方特例交付金を合わせた地方交付税
が増加することを踏まえ、1兆3,800億円(対前
交付金等は対前年度▲6,067億円減の15兆5,357億
年度+4,500億円)が計上されている。
円となっている。
*5)公共施設等の老朽化対策として、公共施設の集約化・複合化、転用、除却のために必要な経費を投資単独事業に
計上。
26
ファイナンス 2015.4
平成27年度予算特集②
平成27年度地方財政対策について
平成27年度地方財政計画
(単位:億円、%)
350,127
27,564
1,192
168,855
119,046
8,648
6,100
26,438
8,623
124,491
105,570
55,952
49,618
15,862
40,059
▲ 113
374,919
26,854
1,189
167,548
133,013
4,326
2,300
14,529
13,380
130,733
95,009
45,250
49,759
16,044
40,689
▲ 275
歳入計
833,607
852,710
+19,103
+2.3%
地方一般財源
地方一般財源(全国防災事業除き)
地方一般財源(全国防災事業及び水準超経費を除く)
603,690
603,577
594,277
615,760
615,485
601,685
+12,070
+11,908
+7,408
+2.0%
+2.0%
+1.2%
26年度
伸率
+7.1%
▲ 2.6%
▲ 0.3%
▲ 0.8%※
+11.7%
▲ 50.0%
▲ 62.3%
▲ 45.0%
+55.2%
+5.0%
▲ 10.0%
▲ 19.1%
+0.3%
+1.1%
+1.6%
+143.4%
(注)27年度においては上記の他、復興特会からの繰入5,898億円を財源として、交付税特会において震災復興特別交付税5,898億円を計上。
(単位:億円、%)
26年度
27年度
増減額
▲ 63
+488
▲ 551
+18,395
+11,514
+428
▲ 47
伸率
▲ 0.0%
+0.3%
▲ 3.0%
+5.5%
+6.6%
+0.3%
▲ 0.3%
給与関係経費
退職手当以外
退職手当
一般行政経費
うち補助分
うち単独分
うち国民健康保険・後期高齢者医療制度関係事業費
うち元気創造事業費(26)
まち・ひと・しごと創生事業費(27)
地域経済基盤強化・雇用等対策費
公債費
維持補修費
投資的経費
うち直轄・補助事業
うち単独分
うち緊急防災・減災事業費
うち公共施設等最適化事業費
公営企業繰出金
うち企業債償還費
水準超経費
203,414
184,803
18,611
332,194
173,976
139,536
15,182
203,351
185,291
18,060
350,589
185,490
139,964
15,135
3,500
10,000
+6,500
+185.7%
11,950
130,745
10,357
110,035
57,756
52,279
5,000
―
25,612
16,132
9,300
8,450
129,512
11,601
110,010
57,252
52,758
5,000
1,000
25,397
16,247
13,800
▲ 3,500
▲ 1,233
+1,244
▲ 25
▲ 504
+479
―
+1,000
▲ 215
+115
+4,500
▲ 29.3%
▲ 0.9%
+12.0%
▲ 0.0%
▲ 0.9%
+0.9%
―
皆増
▲ 0.8%
+0.7%
+48.4%
歳出計
歳出計(水準超経費を除く)
833,607
824,307
852,710
838,910
+19,103
+14,603
+2.3%
+1.8%
地方交付税(入口ベース)
地方交付税交付金等(一般会計)
地方交付税(出口ベース)
160,232
161,424
168,855
154,169
155,357
167,548
▲ 6,064
▲ 6,067
▲ 1,307
▲ 3.8%
▲ 3.8%
▲ 0.8%
ファイナンス 2015.4
27
特集
地方税
地方譲与税
地方特例交付金
地方交付税
(うち法定率分(精算減を含む))
(うち法定加算等)
(うち別枠加算)
(うち特例加算)
(うち前年度からの繰越金、特会借入金元利払等)
国庫支出金
地方債
(うち臨時財政対策債)
(臨財債除き地方債)
使用料・手数料
雑収入
全国防災事業一般財源充当分
27年度
増減額
+24,792
▲ 710
▲3
▲ 1,307
+13,967
▲ 4,322
▲ 3,800
▲ 11,909
+4,757
+6,242
▲ 10,561
▲ 10,702
+141
+182
+630
▲ 162
特集
地方交付税交付金等は、地方の一般財源総額を
て、国税の復興特別所得税・復興特別法人税の時
確保した上で、地方税収等の増加を反映して減額
限的な税制措置等により最終的に財源が確保され
されている。
ることを踏まえ、その全額を震災復興特別交付税
なお、地方交付税交付金(入口ベース)の15兆
(東日本大震災に対処するために通常の地方交付
4,169億円は、①法定率分13兆5,500億円(対前年
税の総額とは別に加算する特別交付税)で措置す
度+1兆3,308億円)のほか、②法定加算等1,840
ることとされている。
億円(対前年度▲3,663億円)
、③別枠加算2,300
この復旧・復興事業費とその財源については、
億円(対前年度▲3,800億円)
、④特例加算1兆
地方財政計画上も通常収支分とは別に「東日本大
4,529億円(対前年度▲1兆1,909億円)を合計し
震災分(復旧・復興事業)
」として整理すること
たものである。これに、交付税特会における財源
とされており、平成27年度地方財政対策において
1兆3,380億円を加算したもの
が、交付税特会
は、①直轄・補助事業の地方負担分(公営企業債
から地方団体に交付される地方交付税の総額16兆
等により賄うこととされている地方負担額を除
7,548億円(いわゆる出口ベース)となる。
く)として4,215億円、②地方単独事業分(単独
*6
災害復旧事業及び中長期職員派遣等)として953
⑤地方交付税の法定率の見直し
億円、③地方税の特例減税措置等に伴う減収分へ
地方交付税の法定率については、現行の国と地
の対応として730億円、合計5,898億円を計上した
方の税財源配分等を踏まえた交付税原資の安定性
上で、その財源として震災復興特別交付税を同額
の向上等の観点からの見直しとして、変動の大き
の5,898億円計上し、東日本大震災からの復旧・
い法人税の割合を引き下げ、相対的に安定的な所
復興への対応に万全を期すこととしている。
得税の割合を引き上げるとともに、たばこ税につ
また、この震災復興特別交付税の財源は、全額、
いて、地方たばこ税(税収はたばこ税と同水準)
東日本大震災復興特別会計から交付税特別会計に
があることを踏まえ、交付税の対象から外し、地
繰り入れられている。
方税のない酒税の法定率を50%に引き上げること
とした。
(平成26年度)所得税32%、
法人税34%、
酒税32%、
たばこ税25%、消費税22.3%
(3)全国防災事業について
全国防災事業(全国的に直轄・補助事業として
行われる緊急防災・減災事業)の地方負担分は、
(平成27年度)所 得税33.1%、法人税33.1%、酒
個人住民税の均等割の標準税率の10年間の引上げ
税50%、たばこ税-、消費税22.3%
といった地方税における時限的な税制措置などの
(2)東日本大震災への対応について
地方負担*7で賄うこととしており、この事業費と
財源については通常収支分と別に整理されてい
東日本大震災の復旧・復興事業については、そ
る。平成27年度の全国防災事業の地方負担分は
の地方負担分(地方単独事業によるものを含む。
)
2,397億円(対前年度+1,414億円)であり、これ
や地方税の特例減税措置等に伴う減収分につい
と同額の地方債を発行することとしている。また、
*6)平成25年度決算及び平成26年度税収補正の法定率分の増として9,224億円(26年度補正予算において一般会
計から交付税特会に繰入)、地方法人税収4,770億円(交付税特会直入)、地方公共団体金融機構準備金3,000
億円(財政投融資特別会計投資勘定から交付税特会に繰入)等から交付税特会の借入金の元利償還費(4,614億
円)を除いた金額である。
*7)地方税の臨時増税で7,700億円を確保することとしているが、これに加えて、平成25年度地方財政対策におけ
る通常収支分における投資的経費(単独)の臨時的減額分等2,573億円、平成26年度地方財政対策における通
常収支分における投資的経費(単独)の臨時的減額分1,851億円、平成27年度地方財政対策における通常収支
分における投資的経費(単独)の臨時的減額分2,397億円の財源確保を行っている。
28
ファイナンス 2015.4
平成27年度予算特集②
平成27年度地方財政対策について
地方一般財源実質同水準ルールについて
特集
平成27年度地方財政計画(単位;兆円)
【歳入:85.3】
【歳出:85.3】
給与関係経費
:20.3
中期財政計画(抄)
(平成25年8月8日閣議了解)
地方交付税:16.8
一般行政経費
:35.1
一般 財 源
地方特例交付金:0.1
地方税・地方譲
与税等:40.2
うち、補助分:18.5
うち、単独分:14.0
うち、まち・ひと・しごと
創生事業費:1.0
Ⅲ.平成27年度(2015年度 )の目標達成に向けて
(略)
61.5兆円
歳出特別枠:0.85
臨財債:4.5
特定財源
投資的経費:11.0
地方財政についても、地方財政の安定的な運営の観点を
踏まえ、国の歳出の取組と基調を合わせつつ、交付団体を始
め地方の安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源の総
額については、平成26年度及び平成27年度において、平
成25年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同
水準を確保する。
その他地方債:5.0
公債費:13.0
国庫支出金:13.1
水準超経費:1.4
その他:5.7
その他:3.7
(23.0兆円)
地方一半財源総額(地方財政計画)の推移
(兆円)
62
61.5
61
60.4
地方一般財源総額
59.9
60
59.4
59.2
59.5
59.1
58.8
59
58.8
59.6
59.0
59.8
59.0
58.3
57.8
58
水準超経費
:1.4兆円
60.2
社会保障充実
:0.4兆円
(消費税財源)
59.4
機構準備金
:0.3兆円等
社会保障充実等
:0.4兆円
(消費税財源)
地方一般財源総額(水準超経費除く)
57.4
57
56
56.8
H18
56.9
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
H27
ファイナンス 2015.4
29
一般会計、交付税特会、地方財政計画
特集
〈一般会計〉
〈交付税特会〉
〈地方財政計画〉
( 歳 入 )
法定率分
: 135,500億円
(+13,308億円)
法定加算等
1,840億円
:
(▲3,663億円)
別枠加算
:
交付税(入口)
154,169億円
(▲6,064億円)
交付税(出口)
167,548億円
(▲1,307億円)
16.8兆円
(▲0.1兆円)
臨時財政対策債
2,300億円
( 歳 出 )
地方交付税
: 14,529億円
(▲11,909億円)
+
地方特例交付金
(住宅ローン減税)
一般行政経費
35.1兆円
(+1.8兆円)
一般財源総額
前年度からの繰越金、
地方法人税、
機構準備金、
特会借入金元利 等
61.5兆円
(+1.2兆円)
地方税
・地方譲与税
40.2兆円
(+2.4兆円)
地方特例交付金
0.1兆円
(▲0.0兆円)
13,380億円
(+4,757億円)
:
20.3兆円
(▲0.0兆円)
4.5兆円
(▲1.1兆円)
(▲3,800億円)
特例加算
給与関係経費
1,189億円
(▲3億円)
うち、
まち・ひと・しごと 1.0兆円
創生事業費(仮称) (皆増)
投資的経費
歳出特別枠
(地域経済基盤強化・
雇用対策費)
そ の 他
23.7兆円
(+0.7兆円)
地方交付税交付金等:155,357億円
(対前年度▲6,067億円)
公 債 費
歳入・歳出総額
復興債等
地方交付税
交付金
5,898億円
(+175億円)
震災復興
特別交付税
5,898億円
(+175億円)
85.3兆円
13.0兆円
(▲0.1兆円)
5.1兆円
(+0.6兆円)
(+1.9兆円)
27年度当初予算に係る補助裏等の地方負担 4,215億円(+496億円)
地方単独事業 953億円(▲132億円)
地方税法の改正等に伴う地方税等の減収分 730億円(▲189億円)
(注)
(
)内は対前年度増減
地方交付税 法定率
(単位:%)
1955(昭30)
22.0
1956(昭31)
25.0
1957(昭32)
26.0
1958(昭33)
27.5
1959(昭34)
28.5
年 度
32.0
29.5
25.0
1999(平11)
所得税 32.0
法人税 32.5
酒 税 32.0
29.5
25.0
2000(平12)
所得税 32.0
法人税 35.8
酒 税 32.0
29.5
25.0
所得税 32.0
法人税 34.0
酒 税 32.0
29.5
25.0
2014(平26)
所得税 32.0
法人税 34.0
酒 税 32.0
22.3
25.0
2015(平27)
所得税 33.1
法人税 33.1
酒 税 50.0
22.3
所得税 33.1
法人税 33.1
酒 税 50.0
19.5
~
1997(平9)
1998(平10)
2006(平18)
2007(平19)
~
29.5
1966(昭41)
32.0
~
1965(昭40)
1988(昭63)
ファイナンス 2015.4
~
~
28.9
1964(昭39)
たばこ税
25.0
1996(平8)
2013(平25)
1961(昭36)
地方交付税率
国税三税
消費税 32.0
24.0
~
1989(平元)
~
(補正後予算)
所得税 19.874
法人税 19.874
酒 税 20.0
たばこ税
~
地方交付税率
年 度
国税三税
消費税
1954(昭29) (当初予算)
所得税 19.66
法人税 19.66
酒 税 20.0
30
0.85兆円
(▲0.35兆円)
そ の 他
〈復興特会〉
1962(昭37)
11.0兆円
(▲0.0兆円)
2016(平28)
2017(平29)
平成27年度予算特集②
平成27年度地方財政対策について
平成27年度地方財政計画(復旧復興事業、全国防災事業)
(単位:億円、%)
27年度
26年度
震災復興特別交付税
増減額
伸率
5,723
5,898
+175
+3.1%
13,353
13,717
+364
+2.7%
地方債
455
355
▲ 100
▲ 22.0%
雑収入
86
90
+4
+4.7%
19,617
20,060
+443
+2.3%
国庫支出金
歳入計
27年度
26年度
増減額
伸率
給与関係経費
117
110
▲7
▲ 6.0%
一般行政経費
5,350
5,723
+373
+7.0%
うち補助分
3,779
4,481
+702
+18.6%
うち単独分
1,571
1,242
▲ 329
▲ 20.9%
公債費
投資的経費
うち直轄事業負担金
85
90
+5
+5.9%
13,905
13,874
▲ 31
▲ 0.2%
536
628
+92
+17.2%
うち公共事業費
12,989
12,850
▲ 139
▲ 1.1%
うち一般事業費
380
396
+16
+4.2%
160
263
+103
+64.4%
19,617
20,060
+443
+2.3%
公営企業繰出金
歳出計
(全国防災事業)
(単位:億円、%)
27年度
26年度
増減額
伸率
地方税
679
708
+29
+4.3%
一般財源充当分
113
275
+162
+143.4%
国庫支出金
736
1,524
+788
+107.1%
地方債
983
2,397
+1,414
+143.8%
雑収入
10
1
▲9
▲ 90.0%
歳入計
2,521
4,905
+2,384
+94.6%
27年度
26年度
公債費
投資的経費
うち直轄事業負担金
うち公共事業費
歳入計
増減額
伸率
802
983
+181
+22.6%
1,719
3,922
+2,203
+128.2%
94
82
▲ 12
▲ 12.8%
1,625
3,840
2,215
+136.3%
2,521
4,905
+2,384
+94.6%
ファイナンス 2015.4
31
特集
(復旧復興事業)
特集
公債費(これまでに発行した地方債の債務償還費
2,758億円(対前年度比+479億円、+0.9%)を
等)は983億円(対前年度+181億円)であり、時
計上している。
限的な税制措置による地方税収708億円(対前年
度+29億円)を上回る所要額275億円について通
常収支より充当することとしている。 なお、地方単独事業分については、平成24年度
までは全国防災事業として実施されていたが、平
④地域経済基盤強化・雇用等対策費(8,450億円)
地域経済基盤強化・雇用等対策費については、
8,450億円(対前年度比▲3,500億円、▲29.3%)
を計上している。
成25年度以降、通常収支において緊急防災・減災
事業費として計上している。
3.平成27年度地方財政計画
(通常収支分)
平成27年度地方財政計画(通常収支分)の歳入
⑤公債費(12兆9,512億円)
公債費(地方債の元利償還費)については、12
兆9,512億円(対前年度比▲1,233億円、▲0.9%)
を 計 上 し て い る。 こ の う ち 元 金 償 還 金 は10兆
9,892億円、利払いは1兆9,620億円となっている。
歳出に係る詳細な計数を包括的に述べると以下の
とおりである。
(1)歳出
①給与関係経費(20兆3,351億円)
給与関係経費については、20兆3,351億円(対
⑥公営企業繰出金(2兆5,397億円)
公営企業繰出金については、2兆5,397億円(対
前年度比▲215億円、▲0.8%)を計上している。
なお、公営企業繰出金のうち、企業債の元利償還
については、1兆6,247億円(対前年度比+115億
前年度比▲63億円、▲0.0%)を計上している。
円、+0.7%)を計上している。
②一般行政経費(35兆589億円)
⑦維持補修費(1兆1,601億円)
一般行政経費については、35兆589億円(対前
維持補修費については、1兆1,601億円(対前
年度比+1兆8,395億円、+5.5%)を計上してい
年度比+1,244億円、+12.0%)を計上している。
る。
このうち、国の補助事業に係る経費として18兆
⑧水準超経費(1兆3,800億円)
5,490億円(対前年度比+1兆1,514億円、+6.6
不交付団体の平均水準を超える経費について
%)
、国民健康保険・後期高齢者医療制度関係事
は、1兆3,800億円(対前年度比+4,500億円、+
業費として1兆5,135億円(対前年度比▲47億円、
48.4%)を計上している。
▲0.3%)
、
「まち・ひと・しごと創生事業費」とし
て1兆円(皆増)これらを除く地方単独事業分と
して13兆9,964億円(対前年度比+428億円、+
0.3%)となっている。
(2)歳入
①地方税(37兆4,919億円)
地方税の収入見込額は対前年度比+7.1%の37
兆4,919億円としている。このうち、道府県税は
③投資的経費(11兆10億円)
投資的経費については11兆10億円(対前年度比
▲25億円、▲0.0%)を計上している。
17兆17億 円( 対 前 年 度 比 + 2 兆3,722億 円、 +
16.2%)
、市町村税は20兆4,902億円(対前年度比
+1,070億円、+0.5%)である。
投資的経費のうち、国の直轄事業、補助事業に
係る経費として5兆7,252億円(対前年度比▲504
億円、▲0.9%)
、地方単独事業分については5兆
32
ファイナンス 2015.4
②地方譲与税(2兆6,854億円)
地方法人特別譲与税、自動車重量譲与税等の地
平成27年度予算特集②
平成27年度地方財政対策について
の赤字公債である臨時財政対策債は4兆5,250億
て見積もっている。
円(対前年度比▲1兆702億円、▲19.1%)を計
平成27年度の地方譲与税の総額は、2兆6,854
上している。
億円(対前年度比▲710億円、
▲2.6%)としている。
以上が地方財政計画(通常収支分)の主な歳出
③地方特例交付金(1,189億円)
個人住民税における住宅借入金等特別税額控除
による減収を補填するための地方特例交付金であ
り、平成27年度は、1,189億円(対前年度比▲3
億円、▲0.3%)としている 。
*8
④地方交付税(16兆7,548億円)
一般会計から交付税特会への繰入額(入口ベー
ス)は、15兆4,169億円(対前年度比▲6,064億円、
歳入項目であり、その他の項目も含めた地方財政
計画(通常収支分)の規模は、85兆2,710億円(対
前年度比+1兆9,103億円、+2.3%)である。
また、地方の一般財源総額は61兆5,485億円(対
前年度比+1兆1,908億円、+2.0%)
、水準超経
費を除くと60兆1,685億円(対前年度+7,408億円、
+1.2%)となっている。
4.おわりに
▲3.8%)である。内訳は、法定率分として13兆
上述のとおり、平成27年度においては、別枠加
5,500億円、地方交付税法附則に規定するいわゆ
算を縮小するとともに、地方創生への取組として、
る法定加算等として1,840億円、地方の税収の状
既存歳出を見直しつつ、機構の準備金の活用等に
況を踏まえた加算として2,300億円、折半対象財
より、
「まち・ひと・しごと創生事業費」を計上
源不足に係る特例加算として1兆4,529億円であ
するなど、効率化・重点化が図られた。地方交付
る。
税交付金等(一般会計から交付税特会への繰入れ。
交付税特会から地方団体に交付される地方交付
いわゆる入口ベース。
)は、地方税収増を反映し
税(出口ベース)は、
入口ベース15兆4,169億円に、
て対前年度▲6,067億円減額の15兆5,357億円とし
前年度からの繰越金9,224億円、剰余金の活用
つつ、地方税収等をあわせた地方の一般財源総額
1,000億円、地方法人税4,770億円、地方公共団体
は社会保障の充実分等を勘案して必要な水準を確
金融機構準備金3,000億円等を加算し、借入金の
保している。
償還及び借入金等利子負担額4,614億円を控除し
国・地方を通じた財政健全化を図るに当たって
た額として16兆7,548億円(対前年度比▲1,307億
は、平成28年度以降も、地方財政について歳入・
円、▲0.8%)を計上している。
歳出両面における改革を着実に進めていく必要が
ある。この際、歳入については、税源の偏在性が
⑤国庫支出金(13兆733億円)
国 庫 支 出 金 は、13兆733億円(対前年度比+
6,242億円、+5.0%)を計上している。
少なく、税収が安定的な地方税体系の構築を進め
るとともに、歳出についても、引き続き、国の取
組と基調を合わせ、地方財政計画の計上の見直し
を行い、メリハリを効かせた重点化・効率化を図
⑥地方債(9兆5,009億円)
っていく必要がある。
地方債については、9兆5,009億円(対前年度
比▲1兆561億円、▲10.0%)を計上している。
このうち、地方財源の不足に対応するため、地方
*8)平成27年度税制改正において、個人住民税における住宅ローン控除制度を延長(対象期間を平成31年6月30日
まで1年半延長)することに伴って生じる個人住民税の減収額は全額国費で補填することとされた。
ファイナンス 2015.4
33
特集
方譲与税については、最近の課税実績等を勘案し