企業グループと行政等の協働による 地域連携BCPの構築に向けて 地域連携BCP策定の普及、支援機能の整備に向けた調査事業 報告書 <概要版> 平成27年3月 ■調査目的 南海トラフ地震の発生リスクのある中部地域には、世界屈指のものづくり産業が高度 に集積していることから、災害時の産業活動の継続に重点を置いた対策が不可欠との観 点により、中部経済産業局では、「地域連携BCP ※1」を提唱し、その策定の普及によ る“災害に強いものづくり中部”の構築を目指し取組んでいるところである。 具体的には、豊橋市・明海工業団地、四日市市・霞コンビナート、尾鷲市・地域企業 群の3地域をモデル地域として、地域内企業における事業継続に向けた問題点を洗い出 し、地域連携での対応課題の検討と、他地域への普及を目的に実施した。 本調査では、モデル事業の成熟度を高めるとともに、その結果を他地域に普及するた め、自治体や産業支援機関を念頭に置いた地域連携BCPの策定支援機能の整備に向け た調査・検討も行い、伊勢湾を中心とした沿岸地域全体に地域連携BCPを展開するた めの戦略の策定を行った。 ※1:BCPとは・・・ 被災した際に、従業員の安全を確保するとともに、早期に事業復旧すべき重要業務を予め 明確化し、その行動指針を文書化したもの 地域連携BCPとは・・・ 企業が単独ではできない取組、工業団地、コンビナートの特定の地域単位等で連携するこ とにより効率的かつ効果的となる取組(例えば、共同避難場所の確保や災害時の情報拠点 の整備)について、一企業の枠を超えて連携することにより、個別企業のBCPを強化し 補完する役割を担うもの。 1 1.アンケート調査結果/地域連携BCPの普及上の課題 ■調査内容 ①アンケート調査の内容 ■企業に対しては、企業間における防災組織等の組織化の状況、防災訓練等の地域防災 に係る取組状況、地域連携BCPの策定に向けた課題等を探ることを目的に実施。 ■行政に対しては、企業防災ならびに企業の事業継続に対する取組の実態等を探ること を目的に実施。 ②調査先 ・33 基礎自治体 ・20 商工会議所・商工会 ・工業集積地の自主組織 29 団体 ・碧南臨海部企業 132 社 ③企業・行政の実態と地域連携BCPに対する期待 企業側の実態・期待 ■企業間で協議する場を有する工業集積地は、全体の約4割のみ(39.1%) ■協議する場を有する工業集積地の約7割(69.6%)は、地域連携BCPの必要性を感 じている。 ■一方で、約8割(80.5%)が地域連携BCPに前向きな意向を持っているものの、そ の参加に積極的な企業は3割以下(26.0%)となっている。 ■地域連携BCPに対して、個社の事業継続力の強化・企業間の情報共有・対外的調整 力の強化等を期待。 行政側の実態・期待 ■防災対策やBCPをテーマに工業集積地と協議している自治体は、全体の2割以下 (17.2%) ■企業の事業継続は、地域の産業競争力強化に資する施策として、重要性は認識。 (自治体のうち、「地域連携BCPに取り組むべき」と回答した自治体は半数以上 (55.2%)) ■地域連携BCPの普及に向けた課題 ①企業側の課題 ・個社BCPの策定が進んでいない。 (碧南臨海部企業においては、2割以下(18.2%)の策定率) ・立地企業間に格差が存在(BCPに対する経営者の意識や企業の事業規模の違い)。 ・コーディネートする人材(リーダー企業)やノウハウがない。 ②行政側の課題 ・企業防災に対する認識が不足。 (自治体の地域防災計画では、企業防災を推進するための個社BCPの促進や相談体の 構築が位置づけされているものの、具体的な対策が示されていない場合が多い) ・企業防災を担当する部署が不明確。 (防災担当なのか、産業振興担当なのか、はっきりしない) ・防災に限らず、企業間を調整するというコーディネート力が不足。 2 2.地域連携BCPの考え方 これまで地域連携BCPは、企業間の連携を主に考えていたが、今年度実施した調査に より、行政等※2の支援及び企業グループと行政等との連携も重要であることが確認でき たことから、改めて地域連携BCPのねらいや連携の範囲、取組みの原則など、地域連携 BCPの基本となる考え方を整理する。 ※2:ここからは、行政(県ならびに市町村)、産業支援機関(商工会議所等)、インフラ関係機 関を総称して、「行政等」と表記する。 ■地域連携BCPのねらい ●地域産業の競争力強化及び地域復興の原動力 地域連携BCPは、個社のBCPの促進を図るとともに、企業間や行政等の他の関係 主体と連携することにより、個社BCPの限界を補完し、企業の事業継続力をより強化 するものである。 個社だけではなく、地域全体で企業の事業継続力を高める取組姿勢を示すことにより、 立地企業は取引先企業からの信頼感を高め、取引先の確保・拡大にも寄与することにな る。また、地域のリスク対応力を高めることになり、行政としては、企業誘致を進める 上でのアピールポイントにもなるとともに、既存企業の流出を防ぐ方策にもなりうる。 大規模災害が発生した場合は、産業活動の停滞は、地域経済の維持及び雇用の安定を 阻害し、地域住民の生活再建の遅れを引き起こすことから、地域連携BCPは、被災地 域におけるいち早い産業活動の再開を実現し、地域の復興の原動力ともなる。 ■地域連携BCPと個社BCPとの関係 ①個社の限界を連携で補完 ・地域連携BCPは、個社の対応だけでは限界のある課題※3を、他の主体との連携によ り克服する方策・手順を示すものである。 ※3:来訪者や協力会社従業員の避難場所及び津波から安全な避難場所の確保、工業用水・道路等 のインフラの復旧、復旧車両用燃料の確保、周辺地域の被害状況に関する情報入手等 ②個社が高い危機意識を持つことが基本 ・企業の事業継続力を高めるには、大規模災害等のリスクに対して各企業が危機感を持 ち、個社BCPの策定・運用(自助)することが基本となる。 ③個社BCPと地域連携BCPとの連動により効果を発揮 ・個社BCPを策定することで、地域連携BCPの課題が明確になるとともに、地域連 携BCPを推進することで、個社BCPの充実が図られる。 ・中小企業の場合、個社だけでできる範囲に限りがあり、従業員の安全確保、インフラ 復旧、がれき処理など地域共通の課題が、個社BCPの課題の中で大きな比重を占め ることから、地域連携BCPで地域共通の課題を考えることは、個社BCPを考える ことになり、そこから個社BCPの熟度を高めることができる。 ・個社BCPと地域連携BCPを連動させながらPDCAを繰り返すことにより、実効 性のある対応が可能となり、企業の事業再開がより早く実現でき、地域産業の競争力 3 が高まる。 ■連携の対象 ①企業同士の連携による共助が基本 ・地域連携BCPは、同じエリアに立地する企業同士、取引グループや系列グループに 属する企業同士など、企業同士の連携による共助が基本となる。 ②企業グループと行政機関等との連携 ・企業同士の共助では解決できない課題に対して、地域の産業競争力の強化という共通 目標に向けて、企業グループと行政等は対等な立場で協力(協働)して対応する。 企業グループ内 の企業間の連携 (共助) 企業グループと 行政等との連携 (協働) 連携のパターンと本調査の検討対象とする連携 ①個社の BCP 《地域内連携》 ③行政等との連携 ②工業集積地内企業グループ の連携 :災害情報、避難、消防、 インフラ等の面で行政と 連携して取組むBCP :電気、水道、ガス、通信 等のインフラ関連機関と 連携して取組むBCP :工業団地やコンビナート等 の単位で取組む BCP 《地域外連携》 ⑤他社と組んだグループ内の 連携 ④取引企業グループ内の連携 :他社の工場、設備を活用し て事業を継続 :生産を他社に委託して事業 を継続 :サプライチェーン内の企業、系列企 業間で取組むBCP この中で本調査では、主として同じ地域に立地する企業同士のグループならびにその地 域の行政等を対象とした地域内連携の推進方策を検討する。 4 ■地域連携BCPのメリット ①企業にとって ・行政等の関係機関との調整力の強化(ライフラインの復旧、情報収集等) ・不足する避難施設の確保(大量の避難者発生時の緊急避難場所、仮泊地、水・食料の確 保) ・公的な救急・救命能力不足の対応 ・工場火災・爆発発生時の消火活動能力不足の対応 ・帰宅困難者の帰宅手段、帰宅ルートに関する情報収集 ・防災・減災に係る人材の育成 ・個社の防災・事業継続に係る負担軽減 ・企業のCSRの向上 ②行政等にとって ・地域産業の競争力の強化 ・企業の流出防止策として企業にアピールすることができる。 ・企業誘致に向けた地域のプロモーションに活用できる。 ・被災後の復旧の遅れを防ぎ、経済活動の停滞による所得の損失を防ぐことができる。 ・自然災害に対する地域経済の維持・安定化、今後の地域産業活性化に向けて、企業と の協議や対策が講じやすくなる。その結果、効果的な地域経済の維持・活性化策が展 開できれば、税収確保策となる。 ■地域連携BCPの進め方 ①定期的な協議・話し合いの場を設定する 工業集積地内の企業間、企業と行政間で情報交換や話し合いの場を定期的に設けて いる工業集積地及び自治体は少ない。 地域連携BCPを進めるためには、まず企業間及び企業と行政等との定期的な協 議・情報交換の場を設定することが必要である。 ②連携できることを見つけ、訓練等の実践を伴いながら協議・検討する 異なる企業同士で、当初から統一的な方針のもとで、各企業の行動を定めることは 現実的に困難。 企業間連携の必要性を理解するためには、まず地域にとって必要であり可能と考え る事項を見つけ、実際に訓練等で実践してその効果を確認し合うことが重要。そこで、 はじめて参加企業が地域連携BCPに対して共通の理解を持つことになる。 ③PDCAを繰り返しながら常に進化させる 地域連携BCPは多様な関係者が協力して実効性を高めていくものである。 実効性を高めていくためには、訓練等の実践とその評価を繰り返しながら、取組内 容を充実させることが求められる。 ※上記の取組を行うためには、協議の場の設定や企業に対する協議参加への呼びかけなど、 行政が積極的に関与することが不可欠。 5 3.地域連携BCPの展開モデル ●地域連携BCPのモデル的な取組手順と各ステップにおいて行政等に期待される役割 地域連携BCPの展開は、企業が危機意識を持って個社のBCPに取組むとともに、 企業グループ内の共助の取組を進めることが基本となる。 しかし、地域連携BCPの普及上の課題でも示したように、企業グループだけで協 議して共助の取組を進めることが難しい面もあり、行政等の支援が不可欠となる。そ こで、企業が主体となって取組む地域連携BCPの取組手順とそれをサポートする行 政等の役割について、一つのモデルを示す。 ①企業のニーズ把握・意識の共有化 各企業の防災対策上のニーズを把握するとともに、それを顕在化させて企業同士 でお互いの認識を共有する必要がある。 そのために、行政等は企業に対する調査を実施して、その結果を企業に情報提供 する役割が想定される。 その場合、個社BCPを策定している企業ほど、危機意識と課題認識を有するよ うになると思われることから、個社BCPの策定の促進も並行して取組むことが必 要である。 ②協議の場の設定・課題の整理 企業の共通理解を深めてうえで、話し合いの場を設定して、連携の必要性と期待 について参加企業の意見を把握して、今後の検討課題を整理する。 円滑な話し合いを進めるためには、行政等からのコーディネーターの派遣が期待 されるとともに、企業側もリーダーとなる企業を確認することが必要である。 ③取組項目の選定・実施方針の確認 着実に取組むためには、検討課題の中から、グル―プとしてまず優先的に取組む 事項を選定して、具体的な実施方針を検討する。 行政等から、関連する行政施策や行政等として支援できる内容等について情報提 供があれば、行政等との効果的な連携が可能となる。 ④実践・検証 実施方針をもとに、具体的な実践(訓練)を実施し、その結果を検証し今後の取 組内容の見直しを行う。 ⑤関係企業に周知 実践と検証結果については、関係企業に周知して、確実に進展していることをア ピールする必要がある。 ⑥PDCAサイクル 以上の成果を踏まえて、企業の防災意識を高めながら企業ニーズを探り、今後の 実践項目の検討、実践、実践結果の検証といったサイクルを繰り返し、取組む項目 を着実に積み重ねていくことが重要である。 6 <地域連携BCPの展開モデル例> 取組手順のモデル ( P D C A サ イ ク ル に よ り 取 組 項 目 を 積 み 上 げ て 熟 度 を 高 め る ) 行政等の役割(支援策) ○各企業の防災対策上のニーズ の把握・顕在化(地域の津波等 被害想定の情報を共有する、企 業同士の認識を深める) ・被害想定に係る情報提供 ・企業に対する調査の実施、結果の企業 への提供 ・地域連携BCPのメリットの周知 ○個社BCPの策定を促進 ・普及セミナー開催 ・BCP策定支援 ○企業同士の話し合いの場の設定 ○地域連携の必要性の確認 ・話し合いの呼びかけ ・地域連携BCPの事例紹介等 ・具体的な検討テーマの例示 ○地域の課題と連携項目の検討 ・コーディネーター、BCP専門家の派遣 ○グループとして取組項目と実施 方針を確認 ・関連する行政施策や支援の可能性の説 明 ○リーダー企業の位置づけ ・行政等からの働きかけ ○実践(訓練等) ・訓練等への関係機関の参画 ○検証・取組内容の見直し ・コーディネーター、BCP専門家の派遣 ・関係機関(行政の関係部署、インフラ機 関等)と協議の場の設定 ○検証結果を各企業に周知 7 4.プラットフォーム(協議の場)の設置 ■プラットフォームの重要性 地域連携BCPの普及には、行政等からの働きかけが不可欠となるとともに、行政等が 参加する協議の場を設置することは企業の参加を促す力となる。 行政等が、地元企業のニーズや行政に対する期待を把握することで、的確な話し合いの コーディネートが可能となるとともに、相互補完関係を構築することができる。 以上から、企業グループと行政等との両者を結節するようなプラットフォーム(定期的・ 継続的な話し合い・協議の場)を設置することが、地域連携BCPの取組を進める上の重要 なステップとなる。 ■プラットフォームの機能 地域連携 BCP 関係機関 インフラ 関係機関 地 域 組 織 専 門 家 プラットフォーム ・企業グループから の提案 ・行政の対応(インフラ 復旧・情報提供等) 個社 BCP (自助) 生産委託 先企業 産業支援 関係機関 行 政 連携 コーディ ネート BCP策定 企業グループと 行政等との協議 の場(協働) 企業グルー プ内の協議 の場(共助) 個社 BCP (自助) 支援 個社 BCP (自助) 個社 BCP (自助) 個社 BCP (自助) 工業集積地内企業グループ 8 連携 連携 取引関係 企業 グループ 系列企業 グループ ■プラットフォームの設置プロセスと行政等の役割(例) 企業グループ組織があるケ ース① 企業グループ組織があり、企 業間のコミュニケーションが 行われ、その組織が話し合いの 場として機能する場合、その組 織を地域連携BCPの協議の 場として、共助の取組事項を検 討するとともに、その結果を踏 まえて行政等との協議を併せ てプラットフォームで行う パターンが想定される。 想定される被害(リスク)の情 報を提供し関心を喚起 企業同士の意見交換を行 い、危機意識を共有化 協議の場の設置について合 意を得る 検討テーマの設定と進め方 (目標、スケジュール等)の 決定 行政等で支援・連 携可能事項を協議 実施プラン及び内容 の検討・実践 実践結果の検証 企業グループ組織があるケ ース② 企業グループ組織がないケ ース③ 企業グループ組織がある場 合でも、企業間のコミュニケー ションが定期的に行われてお らず、その組織のままでは協議 を行うことが難しい場合、理解 が得られる企業を中心に地域 連携BCPを協議する場を別 に設け、その結果を全社に周知 するパターンが想定される。 その場合、協議に向けて行政 の働きかけが重要になること から、当初から行政等も参加し て、企業同士の協議と行政等と の協議を同時に行うことも想 定される。 企業グループ組織がない場 合、関心のある企業を中心に地 域連携BCPを協議する場を 設け、その結果を他の企業に周 知しながら、新たな参加企業を 呼び掛けて協議組織を設置す ることが想定される。 その場合、行政等から働きか けて、話し合いの場を設定する ことも必要となる。また、当初 は行政等が事務局機能を担い、 企業同士の協議と行政等との 協議を同時に行うことも想定 される。 行政等が想定される被害情 報を提供し関心を喚起 行政等が想定される被害情 報を提供し関心を喚起 行政等が関心のある企業に協 議の場の設置を呼び掛けて、 企業は組織内の了解を得る。 行政等が関心のある企業に協 議の場の設置を呼び掛けて、 企業は組織内の了解を得る。 行政等が事前調査して検討 テーマ案を示す コアメンバーを中心に新たな 検討組織を立ち上げ、検討テ ーマと進め方(目標、スケジュ ール等)を決定 行政等が事務局となって、コ アメンバーを中心に新たな検 討組織を立ち上げ、検討テー マと進め方(目標、スケジュー ル等)を決定 検討方針を周知し、他企業の 参加の呼びかけ 検討方針を周知し、他企業の 参加の呼びかけ 行政等担当者も参加 して、検 討テ ーマに ついて、庁内で調整 した内容を適宜示す 行政等担当者も参加 して、検 討テ ーマに ついて、庁内で調整 した内容を適宜示す 実施プラン及び内容の 検討・実践 実施プラン及び内容の 検討・実践 実践結果の検証 実践結果の検証 9 ■プラットフォームで協議する検討項目(例) プラットフォームで協議する検討項目は、A.企業間で共有する情報や共同で取組 む事項、B.行政が企業に提供できる情報や支援等の事項、C.企業と行政等との間 で共有・協働できる事項の3つに分類することができる。 Cは、AとBの検討がある程度進まないと検討できないが、AとBは並行的に検討 することができる。 A. 企業間 集積地で個々の企業が事業継続するにあたり、個社BCPの限界を補うため共助の 観点から、各企業の問題意識をお互いに確認した上で、自分たちで何をしなければな らないかを考えてみる。 ■必要な情報と入手方法 ・被害予測(津波被害予測、地震被害予測等)/地域の防災計画 ■工業集積地における共同防災体制の構築 ・災害対応のための本部機能の検討/企業間の連絡網・連絡方法の構築 ■工業集積地内における避難計画、帰宅困難者対策 ・工業集積地内における脆弱箇所の把握/各社の避難計画・帰宅困難者対策の把握 ■工業集積地における共同の備蓄体制 ■救急・消防体制 ■工業集積地における災害発生時の対応 ・各社の連絡体制/各社の被害情報の収集/インフラの被害情報、復旧情報の収集 ■復旧・事業再開 ・ライフラインの確保、電源の共有化、がれき対策、燃料等の確保等 ■工業集積地内での防災教育のあり方 B. 行政間 行政として、工業出荷額や雇用など集積地が地域に及ぼす経済的な影響力を踏まえ、 工業集積地における事業継続の観点からどのようなことができるのかを考えてみる。 ■被害想定についての情報の提供 ■工業集積地における防災体制の構築に必要な情報の提供 ・地域防災計画/ハザードマップ(インフラの被害想定)/復旧計画情報など ■災害発生時に必要な情報の提供 ■工業集積地との連携体制の構築 ■工業集積地・背後圏に対する復旧支援のあり方 ■企業防災に対する支援 ■金融・資金調達 C. 企業と行政間 立地企業の事業継続の取組や行政側の防災に対する考え方について、互いに考えを 提示していく場であり、企業の事業継続と地域の産業基盤の維持・強化という観点か ら、協議を深めていくことにより、相互補完関係を構築していくものである。 また、地域連携BCPの構築に向けて検討した実施方針に基づく、訓練等の実施、 検証・見直しを進めていくことが重要である。 ■企業・行政が必要な情報、提供できる情報の特定 ■企業・行政との情報共有体制の構築 ■災害発生時における企業・行政との連携、復旧活動のあり方 ■防災情報・教育 10 5.地域連携BCPの普及方策 1.地域連携BCPについての理解の促進 ①普及セミナー・研修会等の開催 対象 企業 行政等 重点的に訴えるポイント ・個社が危機感を持って個社BCPに取り組むことの重要性 ・地域連携BCPに取組むことによるメリットの理解促進 ・個社のBCP(自助)と地域連携BCPとの関係 ・地域連携BCPの取組の考え方、プラットフォーム設置の必要性 ・地域産業の競争力強化策としての地域連携BCPの重要性 ・自治体内の関係部署間の連携の重要性 ・企業防災を促進する責務が行政にあることの自覚の必要性 ・地域連携BCPの取組の考え方、プラットフォーム設置の必要性 ・コーディネーターとして行政等に期待される役割 ②地域連携BCPの専門家の発掘とネットワーク化 ・リスクマネジメント、事業継続、防災等の専門家に、地域連携BCPの理解を深めて もらい、セミナー・研修会の講師ならびに話し合いのコーディネーターとなる人材を 発掘・育成するとともに、こうした人材のリストを整備し、企業・行政における研修 会等の講師として紹介する仕組みを構築する。 ③中部圏戦略会議における地域連携BCPの発信 ・南海トラフ地震対策中部圏戦略会議等の枠組みを活用して、地域連携BCPについて 発信力を高め、他の省庁等と連携しながら、地域連携BCPの効果的な展開を図る。 ④情報提供・情報発信 ・本調査成果をウエブサイト上で公開するほか、工業集積地等での話し合いの場で活用 できる資料を作成し提供する。また、各地の取組内容等の情報発信に努める。 2.地域連携BCPの検討・策定支援 ①個社のBCPの策定支援 ・中小企業庁平成 26 年度補正予算「中小企業・小規模事業者継続力強化支援事業」の積 極的な活用を促し、個社BCPの策定支援を推進する。 ②活用できる外部資金情報の提供 ・個社BCP及び地域連携BCPに向けての勉強会、話し合い、調査等を実施するため に活用できる補助金等の外部資金のメニュー情報を提供して検討を促す。 ③大学等との連携 ・地域と連携した研究や実践活動を展開している大学等の防災研究機関と自治体が連携 して、地域連携BCPの効果的な推進方策の研究及び実践を推進する。また、こうし た研究・実践の成果を広く周知することで、地域連携BCPの普及を図る。 11 企業グループと行政等の協働による地域連携BCPの構築に向けて 地域連携BCP策定の普及、支援機能の整備に向けた調査事業 報告書<概要版> 平成27年3月 経済産業省 中部経済産業局 地域経済部 地域振興課 〒460-8510 名古屋市中区三の丸二丁目 5 番 2 号 Tel:052-951-2716 Fax:052-961-7698 メールアドレス:[email protected] (転載・引用の場合には出典を明記してください) 12
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