「 自 治 体 名 研 修 員 名 出 身 国 研 修 分 野 研 修 期 間 主な研修先 パティと長崎市の 153 日 」 長崎市 パトリシア フランサ 野原 ブラジル連邦共和国 情報システム、水産、環境、国際、平和、観光 6ヶ月 長崎市水産センター、環境政策課、情報システム課他 1 背景・目的 長崎市は 市の最上位計画である 第四次総合計画において「個性輝く 世界都 市」を将来の都市像として掲げ、「世界とつながるまち」となるような施策展 開を行っている。長崎市は世界の6都市と姉妹(友好)都市提携を結んでいる ほか、近年では姉妹都市提携等の形式にとらわれず、市民や民間交流団体が主 体となって自由、気軽な交流を行う市民友好都市の提携を推進しており、これ まで4都市と提携している。「世界とつながるまち」 を実現するため姉妹(友 好)都市や市民友好都市とのネットワーク形成に取り組んでいる。しかしなが ら、特に姉妹都市との交流は、どうしても周年事業の訪問団の派遣と受入れが メインイベントになりがちで、日常的につながりを持つことが課題となってい た。そこで、平成 25 年度から姉妹都市から研修員を招聘し、研修員が今後の 長崎市との関係において「文化交流、経済交流のキーパーソン」となることを 目的として、この事業を行っている。平成 26 年度は、平成 24 年度の姉妹都市 提携 40 周年記念訪問で交流が活発になったサントス市から招聘した。 2 研修内容 研修員はサントス市でコンピュー タ技術者として勤務しているため、情 報システム課での研修と、研修員の大 学での専攻や興味・関心をもとに水産、 環境分野での研修をすることとした。 また、姉妹都市長崎市がどのような歴 史を持つところかを深く知ってもら うために長崎市独自の研修として平 和研修を行った。その他には、国際課 研修として、小・中学校を訪ねてブラ ジルの社会・文化などを紹介する講座 を行ったり、サントス市からの訪問団 受入れにおいて事前調整やアテンド などを行った。 最新の OA 機器に触れる 3 事業実施にあたっての工夫、苦労したこと 研修員は日本語が堪能で、いろいろな人とすぐに仲良くなることができると いう高いコミュニケーション能力をもっていたため、複数の所属での研修にも 戸惑うことなく意欲的に臨んでいたようだった。研修員の学ぶ意欲に応えるべ く、それぞれの分野の研修では座学だけではなく、施設等の視察、イベントへ の参加を通して、多方面から市の取組みを学んでもらえるよう工夫をした。研 修員に研修で学んだことをどのようにサントス市に還元できると思うかを適宜 問いかけることにより、研修を帰国時に活かすという視点を持ってもらうよう にした。 また、昼食の時間などリラックスした時間に世間話のひとつとしてそれぞれ の都市の仕事の進め方の違いについて、ざっくばらんな意見交換をした。これ は相互に素朴な疑問を気兼ねすることなくぶつけあえる実りある機会となった。 4 成果・課題 研修員を受け入れた成果は多くある。そのひとつは、市民にとってブラジル が身近なものになったことである。長崎市は、サントス市とは姉妹都市提携を 結んではいるが、市内にはブラジルの友好協会のようなものはなく、日常的に 市民が顔と顔をつきあわせてブラジルの人や文化に触れ合う機会はなかった。 しかしながら、研修員が小・中学校を訪問し日本語でブラジルの学校生活や遊 びや衣食住について紹介することにより、児童・生徒がサッカーやカーニバル だけでないブラジル文化を知り、親しむことができた。 また、研修員は始めたばかりの学校間交流においても貢献をしてくれた。長 崎の子どもたちにサントス市の交流校がどんな学校で、どういった子どもたち が通っているのかを写真を交えて紹介してくれたことで、交流にはずみがつい た。 研修 員 の受 入れ は 市 民と の 結び つき だ けでは なく 行政同 士 の結び つき にとって も成果があった。特に、平成 26 年度は、 平成 24 年度に姉妹都市提携 40 周年記念訪 問で生まれた交流の種、例えば、学校交流 や路面 電車 の寄贈 を 実現し てい く重要な 年度となることが事前に予想されていた。 その予想通り、サントス市とやりとりをす 路面電車寄贈式 ることが多くあったが、スムーズなやりとり をするという面で大いに力を発揮してもらった。また、これまでサントス市の 代表者が長崎市を公式訪問するということは数えるほどしかなかったが、研修 員の来崎中にサントス市議会議長とサントス市の観光局長に長崎市を訪問頂く ことができた。この訪問がきっかけとなり今後、平和活動でも緊密に連携を図 る点で合意し、現在、具体的な活動に向け調整を行っている段階である。 サントス市と長崎市の都市間交流は、今回の研修員の受入れを通して、新た なステージに突入した。今後も研修員の力を借りながら、親密で共に歩む交流 を続けていきたい。
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