下方修正に終止符。原油安と為替の影響は国により異なる(2015/4/15作成)

ご参考資料
*グローバル投資環境 No.958
*
髙木証券投資情報部
下方修正に終止符。原油安と為替
IMFの世界経済見通し~ の影響は国により異なる
2015年4月15日作成
IMFは14日、世界経済見通しの改定版を発表した。
IMFは世界の成長率について、2014年の推定値の3.4%
に対して、2015年が3.5%、2016年が3.8%へ緩やかに
加速すると予想している。1月時点の予想に比べると
2015年は変らず、2016年は0.1ポイントの上方修正であ
り、昨年10月以降の下方修正トレンドに終止符が打たれ
た形となったが、 IMFは世界経済が原油安と為替相場の
変動で変化しつつある点を指摘している。
先進国の成長率は、2014年推定値の1.8%に対して、2015年、2016年ともに2.4%を見込
んでおり、1月時点の予想から変化はない。但し、ユーロ圏については、原油安、低金利、
ユーロ安を背景に、2015年の成長見通しを0.3ポイント、2016年を0.2ポイント上方修正、
日本の成長見通しについても、円安と原油安が日本経済の持ち直しを主導するとして、
2015年、2016年ともに0.4ポイント引き上げた。一方、米国の成長見通しについては2015
年を0.5ポイント、2016年を0.2ポイント引き下げたため、先進国トータルでみると、前述
のユーロ圏と日本の上方修正を打ち消した形だが、米国についても、緩やかな利上げと最
近のドル高による輸出への悪影響はあるが、原油安などにサポートされた国内需要によっ
て、両年とも3.1%という、主要先進国の中では最も高い成長を見込んでいる。
新興国の成長率については、2014年推定値
の4.6%から、2015年は4.3%にさらに低下
した後、2016年には4.7%への回復を見込む。
個別では、ブラジルの2015年の成長見通し
が1.3ポイント、2016年についても0.5ポイ
ント引き下げられたほか、ロシアの2015年
の成長見通しも0.8ポイント下方修正された。
一方、インドについては、2015年、2016年
ともに7.5%の成長を見込んでおり(前回予
想比2015年が1.2ポイント、2016年が1.0ポ
イント上方修正)、中国(2015年が6.8%、
2016年が6.3%の予想)を上回り、主要国の
中では最も高い成長が見込まれている。
◆IMFの世界経済見通し(2015年4月14日発表)
今回予想
1月予想比
2013年 2014年
実績
推定
2015年 2016年 2015年 2016年
世界
3.4
3.4
3.5
3.8
0.0
0.1
先進国
1.4
1.8
2.4
2.4
0.0
0.0
米国
2.2
2.4
3.1
3.1
-0.5
-0.2
ユーロ圏
-0.5
0.9
1.5
1.6
0.3
0.2
ドイツ
0.2
1.6
1.6
1.7
0.3
0.2
フランス
0.3
0.4
1.2
1.5
0.3
0.2
イタリア
-1.7
-0.4
0.5
1.1
0.1
0.3
スペイン
-1.2
1.4
2.5
2.0
0.5
0.2
日本
1.6
-0.1
1.0
1.2
0.4
0.4
英国
1.7
2.6
2.7
2.3
0.0
-0.1
カナダ
2.0
2.5
2.2
2.0
-0.1
-0.1
その他先進国
2.2
2.8
2.8
3.1
-0.2
-0.1
新興国
5.0
4.6
4.3
4.7
0.0
0.0
ロシア
1.3
0.6
-3.8
-1.1
-0.8
-0.1
新興アジア
7.0
6.8
6.6
6.4
0.2
0.2
中国
7.8
7.4
6.8
6.3
0.0
0.0
インド
6.9
7.2
7.5
7.5
1.2
1.0
ASEAN5
5.2
4.6
5.2
5.3
0.0
0.0
ラテンアメリカ
2.9
1.3
0.9
2.0
-0.4
-0.3
ブラジル
2.7
0.1
-1.0
1.0
-1.3
-0.5
メキシコ
1.4
2.1
3.0
3.3
-0.2
-0.2
サウジアラビア
2.7
3.6
3.0
2.7
0.2
0.0
(注)IMFは原油価格について、2015年:1バレル=58.14ドル、
南アフリカ
2.2
1.5
2.0
2.1
-0.1
-0.4
2016年:同65.65ドルを今回の見通しの前提にしている。
(文責:勇崎 聡)
(IMFより髙木証券作成)
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