講義コード 25468003 担当者 久保 研究題目 経済学を相対化する 真 教授 【目的】 久保ゼミの第三期テーマは、第二期に引き続き「経済学を相対化する」とします。もう少し分かりやす く言うと、経済学がもっている考え方と他の学問(例えば、倫理学とか社会学とか)のそれとを比較対照 しながら、ゼミ生各自が設定した現実の問題にアプローチしてみよう、ということです。例えば、 「震災復 興」とか「就職差別」とかいろいろな社会問題がありますが、アプローチの仕方はさまざまであって、そ のなかのひとつとして経済学的なアプローチが存在します。ですから、 「なんとなく経済学部に入ったけど、 今ひとつ経済学がどういうものかよう分からんなぁ」とか「経済学を授業で習っているけど、そんなこと 現実には通用するのかしら」とか、漠然と感じている人に──つまり、そうした疑問について考える場と 「経済学的に考えるということにはこういう強みがあるの して──、ゼミに参加して欲しい。結果として、 か」とか「経済学には○○という要素をもっと入れないと説得的じゃないよね」とか、ゼミ生にはそうこ とをちょっと語れるようになってくれるといいなと考えています。 他方で、経済の特定分野(例えば、労働経済とか開発経済とか)について教科書を使って教え込むとい うことはしませんので、自分の問題関心をもつ(さらに、研ぎ澄ませ、絞り込む)ように努めることがな いと、 「アレッ、このゼミ、何の勉強しているんだっけ」ということになりかねません。まだ卒業論文を書 いたゼミ生はいませんが(一期生は現在四回生ですから)、一期生が三年次論文のテーマとしたものには、 「市場でも政府でもできないことを NPO 法人ならやれるんじゃないか?」とか「人道的介入とかいって武 力行使するけど、それって正義に適っているの?」とか、はたまた「障碍者雇用って今どのくらい進んで いて、もっと促進するにはどうしたらいいの?」とか「1960 年代アメリカ公民権運動と当時の音楽との関 係は?」とか、とにかく多岐にわたっています。 「○○に関心があるんだけど、経済学部のゼミじゃ無理か なぁ」などと思っている二回生についても、その問題関心が自らに深く根ざしているものであれば、それ を掘り下げることのできる場所になるよう、ゼミを運営したいと考えています。 ※ちなみに、担当者の専門分野は経済学史です。経済学史を特に勉強したいという人は、もちろん大歓 迎です。 【内容】 以下は、一期生および二期生の経験を踏まえたおおよそのスケジュールです。イベントは結構盛りだくさ んですが、共通して重視するのは「本を読むこと」と「自分の理解や見解を言葉で伝えあうこと(話す、 聞く、書く) 」です。 ◆二回生秋学期 秋合宿(9 月、入ゼミ生相互の親睦を図りつつ、ディベートの準備等、二期生は一泊二日@南紀白浜) ゼミナール関関戦(10 月、ディベートに参戦) テキストの輪読(10~12 月、担当グループによる内容要約プレゼン、毎回全員に課題あり) 書評プレゼン(12~1 月、個人による内容要約プレゼン、質疑応答) 合同ゼミ(2 月、二期生は関大佐藤ゼミとビブリオバトルで対戦@グランフロント) 春休み課題(3 月、要約や書評など 6,000 字程度) ◆三回生春学期 春合宿(3 月、テキストの輪読およびレクリエーション、二期生は三泊四日@京都亀岡) テキストの輪読(4~5 月) 合同ゼミ(5 月もしくは 6 月、二期生は学内藤井和夫ゼミ・本郷ゼミとディベートで対戦) 個人研究(三年次論文)および共同研究のテーマ選び、下調べ、構想(6~7 月) 夏休み課題(9 月、三年次論文の初稿提出、8,000~10,000 字程度) ◆三回生秋学期 共同研究(9~11 月) 学内インゼミ大会(11 月、共同研究の成果を発表) 合同ゼミ(11 月もしくは 12 月、一期生は中央大学益永ゼミと研究発表@中央大学後楽園キャンパス) 三年次論文の完成稿提出(1 月) ◆四回生 卒業論文の中間報告、最終報告、等 ※授業時間外の活動については、ゼミのページをご覧下さい( をもらえると励みになります) 。 ※※「研究演習入門」で輪読するテキストは、こちらを予定しています。 【選考にあたっての注意事項】 応募に先だって、ゼミ説明会に出席する(もしくは、少なくともそこで説明された内容を把握しておく) ようにして下さい。また、応募者には大学の付与したメールアドレス(ドメインが@kwansei.ac.jp のも の)宛に種々の連絡を行いますので、志望者は必ずチェックしておいて下さい(入ゼミ後の主な連絡手段 はメールです) 。 【応募者へのメッセージ】 勉強はガッツリやるけれども、基本的に「ゆるふわ」のゼミを目指しています。そのために、ゼミ生には 三つの C を求めています(それらがあれば、教員がゼミ生をがんじがらめにしなくてよいので) 。第一に、 critical(批判的)であること。ここでいう「批判的」とは、単にあら探しをするのではなく、よりよりも のへ到達する契機をそのうちに含んでいるような能動的な批判性です。第二に、coherent(理路整然とし ている、首尾一貫している)であること。これは、単に話をする場合だけでなく、行動面も含めたもので す。第三に、ゼミに対して cooperative(協力的)であること。というのも、ゼミ活動は、授業時間だけな く、多くの授業外での活動に支えられおり(例えば、授業は月曜二限ですが、その後の昼休みもゼミ活動 に充てます)、そのためには色々と準備が必要ですから。別言すると、「授業中教員から当てられないよう に、ただただ息を殺して過ごし、運悪く当てられたら『私もそう思います』程度のことしか言わない」 、 「『○ ○の日程を決めたいので、都合の悪い日を知らせて下さい』と言われても何も言わなかったのに、いざ日 「イベント等の準備を行った人に対して、 程が決まると『その日都合が悪いので行かれない』と言い出す」、 謝意を表さないし、自身のミスの埋め合わせもしない」 、というようなことはないように願っています。 受け入れ条件 担当者のプロフィール 専攻 志望理由書の提出(上記のゼミページからダウンロードして下さい)が条件で す。なお、志望者が定員を上回った場合には面接を行います。 経済学史 経済学という学問分野が自立した「科学」として社会に受容されていく過程に 現在の研究テーマ 研究上の関心をもっています。具体的には、18 世紀から 19 世紀にかけてのイ ギリスの状況を考察することを、研究テーマとしています。 所属学会 経済学史学会、History of Economics Society
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