学校法人 佐野日本大学学園 | 導入事例

学校法人 佐野日本大学学園
快適で安全な校内無線LAN環境を構築し
生徒の自主創造を促す
先進的なアクティブラーニングを実践
導入の狙い
電波の寸断や電波干渉が起きない快適
で安全な無線LAN環境を構築したい
ICTを活用して生徒の自主創造を促
す先進的な授業を行いたい
導入システム
ネットワーク
『Cisco 5508 Series Wireless Controller』×2台
『Cisco Aironet 2600 Series Access Point』×216台
『NetAttest EPS』
×2台『同D3』
×2台
セキュリティ
『FMS/Palo Alto-2020』
『i-FILTER』
無線対応プレゼンテーション用機器
『wivia3』
×120台
導入効果
校内を移動しても電波が途切れなくなった
電波干渉などのトラブルが一切なくなった
タブレット端末やデジタルテレビを活
用した効果的な授業が行えるように
なった
— U S E R P R O F I L E ———————————————————
学校法人 佐野日本大学学園
●業種:教育
●事業内容:高等学校・中等教育学校の
文部科学省から
「スーパーサイエンスハイスクール」研究開発校の指定を受け、全生徒がさまざまな研究活動に取り組んでいる
学校法人 佐野日本大学学園は、栃木県佐野市にキャンパスを構える佐野日本大学
高等学校と佐野日本大学中等教育学校を運営。生徒の自主創造を促す教育や国際
社会に役立つ人材を育成するグローバル教育を実践している。その教育基盤を支
えているのが、校内に構築した大規模な無線LAN環境だ。電波の寸断や電波干渉
が起きない、快適で安全な校内インフラ構築を大塚商会に依頼して整備した。これ
により、タブレット端末やデジタルテレビを駆使した先進的な授業が円滑に行えるよ
うになり、大きな成果をもたらしている。
運営
●生徒数:高校1272名、
中学603名
教員数:171名(2015年2月現在)
校内に無線LAN環境を構築し、ICTを活用した先進
的な授業を行っている学校法人 佐野日本大学学園
2015年2月取材
学進学率が99%に達し、国公立大学
SSHの研究開発校に指定
グローバルな人材を育成
や難関私立大学などの合格者を多数
学校法人 佐野日本大学学園は、
「自
の校訓を実践すべく、クラブ活動も盛
主創造」
「文武両道」
「師弟同行」を校
んだ。例えば、硬式野球部は、2014
訓に掲げ、学業だけでなく、スポーツ
年の選抜高等学校野球大会でベスト
や文化活動を通じて生徒の個性を生
4入りを果たしている。
輩出している。その一方、
「文武両道」
かした国際性を育む教育を推進してい
2006年度には、理科・数学に重点
る。同学園が運営する佐野日本大学
を置いた取り組みを大学などと密接な
高等学校は日本大学の準付属校。大
連携を図りながら実施し、将来、世界
1
学校法人 佐野日本大学学園
で活躍できる国際的な科学技術系の
震災直後は、電話がつながりにくく
人材を育成する高等学校として、文部
なったため、従来の電話による緊急連
科学省から「スーパーサイエンスハイ
絡網がほとんど役に立たなかった。し
スクール(SSH)」研究開発校の指定
かし、メールによるやり取りは比較的
を受けている。これに伴い、全生徒が
スムーズに行えた経験から、W e b上
理数教育に関するさまざまな研究活
で生徒へ緊急連絡メールなどを配信
動を行い、大きな成果を上げている。
できる環境を整えたのだ。
また、国際社会で役立つグローバル
そのWebシステムを構築したのが、
な人材を育成するため、英語教育にも
ICT教育推進室 室長の安藤 昇氏だ。趣
力を注いでいる。その一環として、夏休
味がプログラミングだという安藤氏が、
みを利用した短期間の海外研修制度を
オープンソースのCMSを改良しながら、
設け、イギリスや中国などの学校と提携
ホームページ上に
「デジタルキャンパス」
して生徒間の国際交流を深めている。
を構築。これにより、教材用の動画など
SSHの研究活動やグローバルな人
をいつでも生徒に配信できるようになっ
材を育成するための有効な手段とし
た。
「ほかの学校でも使えるように、この
て、ICTを積極的に活用していること
システムはインターネット上で無償公開
も大きな特長である。
しています」
と安藤氏は語る。
佐野日本大学高等学校 教諭で進学
その後、2012年度にタブレット端
コース 部長/進学コース第2学年 主
末を試験的に導入し、
「デジタルキャン
任の宮本 恭彦氏は、
「しかし、人は本
パス」から予備校の講座の動画を配信
来、自分が覚えたことをほかの人に伝
する試みを実施。これにより、タブレッ
えることで初めて知識を身につけるこ
ト端末を支給された生徒は、放課後な
とができます。そのため、これからは、
どに動画の講座を見ながら受験勉強
学習したことをほかの人に伝えるスキ
が行えるようになった。
ルを育てるアウトプット型の教育を充
その取り組みは生徒に好評だった
実させていく必要があります。その点、
ので、同校は全校展開へと踏み切る。
ICTツールは、今後のアウトプット型の
そのための環境として、どの教室か
教育を実践するうえで大いに役立つも
らもタブレット端末を使ってデジタル
のだと期待しています」
と語る。
キャンパスにアクセスできるように、校
学校法人 佐野日本大学学園
佐野日本大学高等学校
佐野日本大学中等教育学校
ICT教育推進室 室長
安藤 昇氏
「本校のシステムは、タブレット端末の機種
や特定のアプリに依存せずに利用できるの
で、文科省が新たに打ち出した方針と合致
しています。その意味では、他校の5年先を
いく教育系のインフラだと自負しています」
佐野日本大学高等学校
教諭 進学コース 部長
進学コース第2学年 主任
宮本 恭彦氏
「快適で安全な無線LAN環境が構築され
たことで、授業中にやりたいと思っていたこ
とがほとんどできるようになりました。大塚商
会さんはサポート体制も万全で、いつも迅
速に対応してくれるので助かっています」
内に無線LAN環境を整備した。
ところが、当時導入した無線LANア
Webシステムを独自に構築
課題は無線LAN環境の整備
クセスポイントは、大規模な校内無線
現在、佐野日本大学高等学校は、教
えていなかった。タブレット端末を持っ
員と生徒にタブレット端末を一人一台
て校内を移動すると、頻繁に電波が途
配付し、校内に整備した無線LAN環境
切れてしまい、そのたびに無線LANの
を使って、さまざまな先進的なICT教
認証をやり直さなければならないとい
育を実践している。そのICT環境を整
う弊害が生じていた。そこで、移動中
備するきっかけになったのが、2011
などに電波が寸断されない安定した
年3月に発生した東日本大震災だった。
無線LAN環境を整備することにした。
LANの利用に適した機能を十分に備
2
佐野日本大学高等学校
教諭 学年主任
タブレット推進室 室長
大島 宏之氏
「授業で情報機器を使う場合、以前はケー
ブル接続などに手間がかかって大変でした。
しかし、無線LAN環境が整備されたことで、
その手間が省けるようになりました。どの教
室に移動しても同じ環境で授業が行えます」
無線LANの構築ノウハウがある
大塚商会にインフラ整備を依頼
となくタブレット端末が利用できること
だった。そのために、集中管理型のロー
ミング機能を実装した無線L A N環境
同校は、タブレット端末と無線LAN
を整備することが必須条件だった。
を用いた本格的なICT教育を全校展開
さらに、セキュリティ対策を強化す
するために、2013年4月頃から教育
るために、タブレット端末側ではなく、
向けICTソリューションの展示会やセミ
Web上で個人認証や有害サイトへの
ナーに積極的に参加するようになった。
アクセス制御が行えるようにすること
佐野日本大学高等学校
教諭 SSH推進担当
その中で、信頼できるITベンダー数社
も重要なポイントだった。
上野川 英佑氏
に声をかけて提案を依頼。2014年3
「例えば、端末に有害サイトへのアク
月に入札を実施し、そのときに同校の
セスを制御するフィルターをかけても、
ICT教育の実績基盤となるインフラ整
解除して利用しようとする子どももいま
備を託されたのが大塚商会だった。
す。そのような事態が起きないように、
「大塚商会さんは、非常に早い時期
Web上でアクセス制御できる仕組みが
に社員にタブレット端末を配付し、社
必要なのです」
と安藤氏は指摘する。
内で先進的な無線L A N環境を構築
こうした要求仕様を受け、大塚商会
しています。そこに任せれば、自社で
は2014年4月に校内を下見し、無線
「校内インフラに関しては、全く不満はない
です。むしろ、教育の可能性や多様性がす
ごく広がったと実感しています。とりわけ、
生徒が学びたいときにいつでも学べる環境
が整ったことは大きな成果です」
佐野日本大学高等学校
常勤講師
培った技術やノウハウを駆使して、安
LANアクセスポイントの設置場所など
定したインフラを構築してくれるはず
を調査。そのうえで同年6月からイン
だと考えたのです」
と安藤氏は語る。
フラ整備に着手し、約6ヵ月の工期を
安藤氏が、真っ先に大塚商会に要求
経て、2014年12月から全校で利用
したことは、無線LANアクセスポイン
できる環境を整えた。
ト間を移動しても、電波が途切れるこ
また、校内に設置した主要スイッチ
髙瀨 圭氏
「英語教育では、思考力や会話力を養うこ
とがこれからますます重要になってきます。
タブレット端末があれば、それに応じた教育
が行えます。例えば、発話テストなど学校で
行えることはたくさんあります」
校内インフラ設備 導入概要図
タブレットデバイスサービス
インターネットクラウド
コンテンツサービス
●
●
Windows 他
YouTube ID制限機能
NetCommons
タブレットデバイス
●
ホスティング
●
●
教室内大型 TVまたはプロジェクタ
●
大画面テレビや
プロジェクターに
先生・生徒の画面を表示
●
●
URLフィルタルール管理
Web認証
MAC認証
IPアドレス管理
インターネット接続サービス
インターネット
接続
教室プレゼンサービス
●
学内サーバーサービス
※新設UTPコンセントに接続
現有設備
●
●
合計で216台の無線LANアクセスポイントを設置。導入
後は校内を移動中に無線LANの電波が途切れたことは
一度もなく、電波干渉によるトラブルなども発生していない
ADサーバー
共有フォルダ
NAS装置
3
デ
バ
イ
ス
管
理
ド
レス
管
理
IP ア
線
LA
N接
続
●
インターネットルーター
無線LANセキュリティサービス
●
●
仮想サーバー
●
主回線/ONU
ファイヤウォール
(httpウイルス対応)
無
画面転送機
約120台 wivia3
ISP
●
●
抗ウイルスパターン管理
AD認証 ※教師用のみ
●
認証サーバー
Web認証
DHCPサーバー
無線LAN接続サービス
URLフィルタサーバー
●
ウイルス対策サーバー
●
●
2nd‐ADサーバー
●
●
仮想ホストサーバー
●
学校コア L 3スイッチ
各棟コア L 2スイッチ
各棟フロア L 2‐POEスイッチ
L 2‐集線スイッチ
●
1st‐ADサーバー
●
無線 AP
●
イメージバックアップ管理
●
無線 APコントローラ
●
バックアップ保管用 NASデバイス
●
サーバー収容 L 2スイッチ
学校法人 佐野日本大学学園
は、すべて冗長化し、万一、
プライマリー
講師の髙瀨 圭氏は語る。
スイッチがダウンしても、セカンダリー
数学の研究授業では、物理現象を
スイッチが処理を引き継ぐことで業務
数学的に捉えるために、タブレット端
を継続的に行えるように配慮している。
末のアプリを使って音波の強弱をグラ
さらに、タブレット端末の画面を職員
フ化し、それを教室のデジタルテレビ
室からでも教室のデジタルテレビにワ
に映しながら講義を行った。
「タブレッ
イヤレスで投影できる無線対応プレゼ
ト端末の画面は、離れた場所にいても
ンテーション用機器『wivia3』
も併せて
ワイヤレスでデジタルテレビに映し出
導入。タブレット端末を活用した授業を
せるので、教室内を巡回しながら円滑
より効果的に行える環境を整備した。
に授業を進められるようになりました」
と佐野日本大学高等学校 教諭で学年
快適なワイヤレス環境で
独創的な研究授業を展開
主任 タブレット推進室 室長の大島 宏
之氏は語る。
また、教員が作成した授業用のノー
現在、教員や生徒用を含めて1,200
トをPDF化し、それをクラウド上の「デ
台以上のタブレット端末を使って日々
ジタルキャンパス」にアップロードして
の授業を行っているが、これまでに校
生徒へ事前に配信している。一方、生
内を移動中に無線LANの電波が途切
徒は、タブレット端末に自動的にファイ
れたことは一度もなく、電波干渉による
ルが同期され、いつでも学習できる。
トラブルなども発生していない。
「以前は、授業が始まると教員が板
「約1,000人の生徒がタブレット端
書をし、それを生徒がノートに書き写
末から同じ外部サイトへ一斉にアクセス
していました。しかし、今は、その時間
したときも、校内のネットワークは全く
が省けるようになり、生徒は授業の内
問題ありませんでした。まさに大塚商会
容を理解することに集中できるように
さんの職人芸のたまものだと言っても
なりました。事前に用意したアプリを
決して言い過ぎではありません」
と安藤
使ってPD Fデータに直接文字も書き
氏は大塚商会の技術力を評価する。
込めるので、生徒はタブレット端末を
今回構築した校内インフラは、既に
ノート代わりに活用しています」と佐
さまざまな授業で効果的に活用され
野日本大学高等学校 教諭でSSH推
ている。いずれも、先進的で独創性に
進担当の上野川 英佑氏は語る。
富んだものばかりだ。
日本 の 教 育が目 指 す「アクティブ
例 え ば 、英 語 の 研 究 授 業 で は 、
ラーニングの実質化」を先進的に実践
haveなどの基本動詞の原義をイメー
する佐野日本大学学園。今後はグロー
ジで捉えるために、それぞれのイメー
バル教育の一環として、Skypeなどの
ジに合った動きを生徒が体を使って表
コミュニケーションツールを使って、
現し、それをタブレット端末で動画撮
時差が比較的少ない海外の英語圏の
影して教室で発表する取り組みを行っ
学校と授業中にリアルタイムに交流を
た。
「英語の基本動詞の原義を楽しく
図る企画も進めている。今回構築した
学べるので、生徒たちにとても好評で
校内インフラがインターネットを介し
した」と佐野日本大学高等学校 常勤
て世界と結ばれる日も近い。
数学教師による画像転送を利用した授業。無線対応
プレゼンテーション用機器『wivia3』
により、タブレット
端末の画面をワイヤレスで教室のデジタルテレビに投
影できるようになった
学校法人 佐野日本大学学園のホームページ
http://www.sanonihon-u-h.ed.jp/
・会社名、製品名などは、各社または各団体の商標もしくは登録商標です。
・事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材当時のものであり、配付される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
・この記事は2015年3月に作成されました。
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