Kobe University Repository : Kernel Title 婦人用スニーカーにおけるソール腫部の形状の遣いが歩 行動作に及ぼす影響 Author(s) 神園, 雄也 /前田, 正登 Citation 体育・スポーツ科学, 22: 49-56 Issue date 2013-06 Resource Type Journal Article / 学術雑誌論文 Resource Version publisher URL http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/90002692 Create Date: 2015-04-16 体育・スポーツ科学 2 2:4 9-5 6,2 0 1 3 (研究資料〉 婦人用スニーカーにおけるソール腫部の形状の遣いが歩行動作に及ぼす影響 神 園 雄 也 1) 前 田 正 登 2) E f f e c t so ft h eh e e lc o n s t r u c t i o no fwomen'ss n e a k e r sonw a l k i n gm o t i o n 2 YuyaKamizono1, MasatoMaeda A b s t r a c t Theaimo ft h i ss t u d ywast oc l a r i f yhowt h eh e e lc o n s t r u c t i o no fwomen'ss n e a k 巴r sa f f e c t sw a l k i n gm o t i o n .S p e c i f i c a l l y, t h eh e i g h tands h a p eo ft h eh巴巴 1werec o n s i d e r e d .Threem o d e l so fwomen'ss n e a k e r swereu s e d,whichd i f f 巴 ,r e di nt h e 巴1 ont h es o l eandt h es h a p eo ft h eh e巴1.The“C u r v e d "s n e a k e r shadaroundedh e e lo fn o r m a lh e i g h t( h e i g ht : h e i g h to ft h eh e 4 5 . 5m m).Th巴“ H i g h "s n 巴a k e r shadas q u a r 巴h e e lo fg r 巴a t e r t h a n n o r m a lh e i g h t( h e i g ht :6 4 . 0mm).The“Norma l "s n e a k e r s 巴h 巴e lo fn o r m a lh e i g h t( h e i g h t :4 2 . 3m m).Thep a r t i c i p a n t swer 巴e i g h tf e m a l eu n i v e r s i t ys t u d e n t s( a g 巴: 1 9 . 3: ! : hadas q u a r 1 .5y e a r s ;h e i g h : t1 5 9 . 3土 2 . 4c m ;w巴i g ht :5 4 . 2: ! :4 . 3k g ) .Eachp a r t i c i p a n twalkedw h i l ewearinge a c hk i n do fs n e a k e r .The 巴o u s l yr 巴c o r d e dw i t ht h r e eh i g h s p e e dv i d e ocameras( 1 2 5f p s ),andt h ef o r c e sa p p l i e dt ot h eground m o t i o nwass i m u l t a n weremeasuredw i t htwof o r c ep l a t f o r m s( 1 .0k H z ) .Theh o r i z o n t a ld i s t a n c efromt h ebodyt ot h ep o s i t i o no fh e e lc o n t a c t 巴a k e r s .Becauseo fh e 巴1 c o n t a c tc l o s e rt ot h ebody,t h e wass h o r t e rf o rt h eCurveds n e a k e r st h a nf o rt h eNormalandHighs n n e a k e r s巴n a b l e dw e i g h tt ob ep l a c e do nt h ef o r w a r dl e ga ta ne a r l i e rt i m 巴t h a nd i dt h巴 o t h e rtwos n e a k e r sw i t ha Curv巴ds es m a l l e rf o rt h eCurveds n e a k e r st h a nf o rt h eo t h e rt w o .A l t h o u g h s q u a r eh e e . lChangesi na n k l eandkneej o i n ta n g l e sw巴r 巴a k e r sb o t hhads i m i l a rh e巴1h e i g h t s,k n e ej o i n te x t e n s i o nandf l 巴x i o nwerel e s sf o rt h eCurved t h eCurvedandNormals n .I tc a nb ec o n c l u d e dt h a taroundedh e e ,l e venah i g hr o u n d e dh e e ,l c a nr e d u c et h el o a dont h ek n e ej o i n t . s n e a k er KeyWords:s n e a k e r s,s o l ec o n s t r u c t i o n,w a l k i n gm o t i o n,l o a dr e d u c t i o n,kneej o i n t キーワード:スニーカー,ソールの構造,歩行動作,負荷の軽減,膝関節 1 .緒言 増加するとし 近年,スニーカーのソール形状を変化させて従来のス ニーカーにはない効果を付加することを目的として,多く のスニーカーが市販されてきている トレーニングのシューズとして用いること が有効である可能性が示されたという しかし他方で¥こ れと同形状の不安定なソール形状のシューズを用いて歩行 これらのスニーカー 2 0 1 1 ) の結果では,身体重心の前 実験を行った Masood ( の中には従来までのスニーカーと比較すると,ソールが特 後方向への移動に滞留が見られなくなり,スムーズに重心 異な形状をしているものがある.ソールはスニーカーの構 移動が行えるようになること,つまりこの形状は,むしろ 造の中で地面に接する部位であり,その形状は履いている 負担を少なくして歩くことが出来る形状であることが示さ 人の動作に影響を及ぼすことが容易に想像できる. これまでにも,スニーカーやシューズ等の運動用履物の れていた.これら双方の報告は, ともに不安定なソール形 状を有する同種のシューズを対象としていたにもかかわら ソール形状を対象とした研究が行われてきている(垣原 ず,導かれた結論は異なっており n d r i a c c h i,2009;Landrye ta , . l ら , 2006;BoyerandA に及ぼす影響に関してはまだ議論の余地が残されていると 2 0 1 0 ).中でも,特異なソール形状に着目し歩行動作への 考えられる ソール形状が歩行動作 2 0 0 6 ) が,ソー 影響を検討した研究として, Nigge ta . l( 一方,市販のスニーカーの中には,腫部が高くなってい ル部が不安定になるように加工した形状のシューズを用い るものがある.このような形状のものの多くは婦人向けの た歩行実験を行っている.その報告によれば,このシュー スニーカーであり,通常のスニーカーのような履き心地を ズを着用して歩行を行うと排腹筋と前腔骨筋の筋放電量が 維持しながら,睡部を高くすることによって脚を長く見せ 1)神戸大学大学院人開発達環境学研究科 干6 5 7 . 8 5 0 1 神戸市灘区鶴甲 3 1 1 2 )神戸大学 干6 5 7 8 5 0 1 神戸市灘区鶴甲 3 1 1 G r a d u a t eS c h o o lo fHumanD e v e l o p m e n ta n dE n v i r o n m e n t, K o b eU n i v e r s i t y,3 . 1 1T s u r u k a b u t o,N a d a,K o b e,H y o g o, 6 5 7 . 8 5 0 1,J a p a n 2 K o b eU n i v e r s i t y, 3 1 1T s u r u k a b u t o, N a d a, K o b e, H y o g o, 6 5 7 8 5 01 .J a p a n 50 (神園・前回) ることができることを期待したもののようである 伊藤 ら ( 2 0 11)によれば,このような腫部を高くした履物で歩 行すると裸足時よりも膝関節がより屈曲した状態となり, 膝関節痛の原因となるといい,長期にわたって使用するこ とで膝関節痛を引き起こしてしまう可能性があるという. Curve しかし理部が高いハイヒールであっても,ヒール部のゴ ムの装着位置を変化させることにより,歩行時の身体重心 の前後移動の滞留を軽減出来ることが示唆されており(垣 0 0 6 ),腫部が高いままであっても腫部の構造を変 原ら, 2 化させることで,歩行動作は変わり得ることが示されてい る H i g h 本研究では,陸部が高い婦人用スニーカーを対象に,躍 部がさらに高いだけのスニーカーおよび腫部の高さは同程 度のままで形状が丸いスニーカーが,歩行動作に与える影 響を比較検討することを目的とした Normal 2 . 研究方法 図1 実験に用いたスニーカー 2-1. 被験者 被験者は,下肢に既往歴のない健常な女子大学生 8名 (年齢 1 9 . 3: t1 .5歳 , 身 長 1 5 9 . 3: t2 . 4 c m, 体 重5 4. 2: t4 . 3 k g ) とした被験者全員に研究の目的を事前に説明し了承を 得たのちに実験を実施した.なお 被験者には実験に用い 2-3. 歩行実験 8名の被験者に 3種類のスニーカーをそれぞれ着用さ せ,幅 1m X 長さ約 6 mの実験用歩行路を各条件で 1 0 るスニーカーを着用した際に期待される効果については説 回,合計3 0回歩かせた.被験者の歩行動作を 3台のハイス 明を加えず,歩行速度や歩幅などには制限をかけずに,自 , P h o t r o n社; ピードカメラ (FASTCAM-PCIR2: 2台 由な速度で歩行を行わせた FASTCAM-NetC :1 台 , P h o t r o n社)を用いて 1 2 5 f p sで 2-2. 実験に用いた婦人用スニーカー 同期撮影した.ハイスピードカメラは,被験者の右前方 実験に用いたスニーカーは,アッパ一部の色や素材は すべて統一し,ソール部の瞳部が40mm以上の高さで一 5m,左側方 6mおよび後方 7 mの位置にそれぞれ設置 した またハイスピードカメラの撮影と同時に,床に埋 般のスニーカーよりも高くかっ形状が異なる 3種類の婦 9 2 8 1 C,KISTLER杜, 設した 2台のフォースプレート ( 人用スニーカーとした(図1).すなわち,腫部の高さが 9281E,KISTLER社)を用いてサンプリンク、周波数1kHz 比較的高く丸みをもたせたソール形状のスニーカー(以 で床反力を測定した u r v e ),腫部の高さがかなり高く角張っているスニー 下 , C トを片足ずつ踏んだ試技を有効とし歩行中に歩幅を意図 i g h ),および腫部の高さが比較的高く角張っ カー(以下, H 的に変化させてフォースプレートを踏んだ試技や, 2台の 被験者がそれぞれのフォースプレー l)の 3種類であった ているスニーカー(以下, Norma フォースプレートにわたって接地した試技は無効として, ighのソール部表面には凹凸がみら なお,図 1のように H 各条件で規定回数に達するまで行わせた れるが,実験で用いた 3種類のスニーカーの素材は統ーし また実験に際しては,被験者にはスニーカーを履き換え ており,また,本研究がソールの性状を検討するものでは るごとに慣らすための時間を設け,無理なく自然な動作で ないことから,結果に著しく影響するものではないものと フォースプレートに接地できるように十分に練習を行わせ みなした. てから,測定を開始することとした 2-4. 分析方法 ハイスピードカメラで撮影された映像をパソコンに取 り込み,三次元動作分析ソフトウェア (Frame-DIASN : DKH社)を用いて,下肢 1 2点(左右両側の大転子,膝関 節中心,外腺点,腫,揖指球,つま先)をデジタイズし, 各測定点の三次元位置座標を算出した得られた三次元位 5 1 婦人用スニーカーにおけるソール陸部の形状の違いが歩行動作に及ぼす影響 置座標は. W e l l sa n dW i n t e r( 19 8 0 ) の方法により分析点 歩行における接地中の足部と床面との位置関係により, の座標成分ごとに最適遮断周波数(1. 6 3~ 8. 13日z ) を決定 接地期を 3つの局面に分割し(図 4).腫が接地してから し .B u t t e r w o r t h型ローパスデジタルフィルタを用いて平 つま先が接地するまでを接地局面,つま先が接地してから 滑化した座標軸は,被験者の左右方向を X軸(右方向 躍が離地するまでをフットフラット局面,そして腫が離地 が正).前後方向を Y軸(前方向が正).上下方向を Z軸 してからつま先が離地するまでを離地局面とした (鉛直上向きを正)と定義した なお,キャリブレーショ ンに用いたポイントの妻女は 7 5点であり,キャリプレーショ . 3 2 c m . Y方向が0 . 2 8 c m .Z ンによる標準誤差は X方向が0 方向が0 . 3 7 c mであった. 接地中 の足関節の動態として,接地局面とフットフラット局面に おける足関節の角度変化量を算出した. 膝関節は,図 5に示すように,接地後に一旦屈曲し,身 体が前方に移動するに伴い伸展し,再び屈曲して離地に至 歩行動作の分析から,歩幅と下肢の各関節角度を求め る このような膝関節角度の推移を接地時から 1 ) 頂に加重期 た歩幅は矢状面内での距離とし,歩幅を構成する要素を 屈曲量,立脚中期伸展量,離地前屈曲量として定義し算出 3つに分割,前方脚の大転子から腫までの水平距離を振り した 出し距離,脚を前方に振り出すことによる両大転子聞の水 床反力は,測定された上下方向と前後方向の力を被験者 平距離,および後方脚の大転子からつま先までの水平距離 の体重で除した値とし,各方向の力積およびピーク値,接 を送り出し距離とした. したがって,歩幅は振り出し距離 地時間を求めた. と両大転子間の水平距離および送り出し距離の合計となる 歩行では片脚支持と両脚支持が繰り返されることから, ( 図 2) また,下肢の関節角度として,足関節および膝関 片脚で身体を支持している期間を片脚支持期,両脚で身体 節の角度を算出した(図 3 ).関節角度に関しては,矢状 を支持している期聞を両脚支持期とした(図 6 ) また, 面上での角度を算出し分析に用いた. 床反力の前後成分が正から負に変わる時点までをブレーキ 局面,それ以降をキック局面としデータの分析を行った. aのように,上下方向の床反力は二峰性の波形 さらに図 6 両大転子水平距離 を示す(柳田ら. 1 9 8 6 ) ことが一般的であり,その極大値 を接地時点に近いものから順に,第一極大値,第二極大値 とした ノ 戸、 一 、 戸 、 、 戸 、 ¥ フットフラット局面 歩幅 図 2 歩幅の各区間の定義 図4 接地中の局面 λ! LJλλ 180 。膝関節角度 F ①加重期屈曲量 4 制収同属医 図3 下肢関節角度 コ司 ¥ nunu 唱ム司よ 回OU) 足関節角度 ②立脚中期伸展量 。 。 ③離地前屈曲量 90 0 . 2 0 . 4 0 . 6 時 刻( 5 ) 図5 接地中の膝関節角度推移 52 (神国・前田) 算出項目に関するすべてのデータは,両脚分のデータを 3 .結 果 加算平均して l試 技 分 の デ ー タ と し そ の 上 で , ス ニ ー 0回分,計8 0試技分の カー 1種類あたり 8名の被験者の各 1 3-1. 動作時間 平均値および標準偏差を算出し,各スニーカ一条件聞の比 各スニーカ一条件での接地時間を局面ごとに分割して図 7に示す目グラフでは,各局面の値の総和が接地時間を示 較を行った 条件聞の有意差の検定には,まず等分散の検定を行い, している.各条件間で接地時間を比較すると,接地時間が 等分散が認められたものには Tukeyの多重比較検定を行 urveで あ っ た 各 局 面 の 時 間 に 着 目 す る 最も短いのは C c h e f f ,巴のクラス い,等分散が認められなかったものには S と,接地局面の時間はいずれの条件聞にも有意な差は認め なお,有意水準は 5%未満 urveが られなかったが,フットフラット局面の時間は C カル・ウォリス検定を行った Normalや Highよ り も 有 意 に 短 か っ た ま た 離 地 局 面 の とした. ighよりも Curveが有意に長かった 時間は, Normalや H 両脚支持期 1 . 5 両脚支持期 ~t ホホ 0.6 (凶) 人 ムA _ ! ¥ / ! t 0 . 8 Cu刊 e>H i g h, Normal( p<0 . 0 1 ) 国 = ~ 0. 4 Curve<H i g h, Normal( p<0 . 0 1 ) 0 . 2 。 nons i g n i f i c a n t Curve 1 三 p<0 . 0 1 H i g h Normal 図 7 接地期における各局面の維持時間 日五 4 ミ 低 時 。 3-2. 歩幅 各スニーカ一条件での歩幅を振り出し距離,両大転子水 。 5 o 0 . 2 0.4 0 . 6 時間( 5 ) 平距離と送り出し距離に分割して図 8に示す.図 8では, 振り出し距離,両大転子水平距離および送り出し距離の総 ①:第一極大値②:第二極大値 a . 上下方向の床反力 和が歩幅を示すことになる.歩幅に関しては,いずれの条 件聞においても有意な差は認められなかったが,接地時 i g hや の振り出し距離および離地時の送り出し距離は, H Normalよりも Curveが有意に小さかった 0 . 3 両大転子水平 距離はいずれの条件聞にも有意な差は認められなかった. n u ( 呈 白 老 Z) h凶低 門 50 (EU)山漏出凶山一 0. 4 A斗 、 コ 内 ノ ﹄ 0 . 2 E両大転子水平距離 nununU 0. 3 ー 口振り出し距離 E送り出し距離 Curve<H i g h, Normal( p<0 . 0 1 ) 0 . 6 時間 ( 5 ) b . 前後方向の床反力 図 6 歩行動作における各期および各局面 1 0 nonstg刊行 c a n t 。 Curve H i g h Normal 図8 歩幅における振り出し距離,両大転子水平距離, および送り出し距離 3-3. 関節角度 接地時の膝関節角度を図 9に示す いずれの条件におい ても接地時の膝関節角度は約 1 7 5度となっており,スニー カ一条件間で有意な差は認められなかった 53 婦人用スニーカーにおけるソール陸部の形状の遠いが歩行動作に及ぼす影響 接地中における膝関節の角度変化量を図 1 0に示す.接 180 地期における膝関節の屈曲量は,スニーカ一条件聞で有 ﹃ 4E4AE4 /Fb nunu 国由℃)回収短鹿山柏町 urveが H i g hよりも約 5 意な差は認められないものの. C 度. N ormalよりも約 3度,関節角度変化量が低値を示し た立脚中期における膝関節の伸展量は,スニーカ一条件 urveの角度変化量 間で有意な差は認められないものの. C i g hよりも約 6度. Normalより約 4度低値を示した はH 150 C u r v e H i g h N o r m a l 高 t I 地前における膝関節の屈曲量は,有意ではないものの Curveが H i g h . Normalよりも約 5度角度変化量が低値を 図 9 接地時の膝関節角度 示した. 1に示す 接地時の足関節角度を図 1 接地時の足関節角 urveが有意に H i g hよりも小さく,有意ではない 度は. C 30 (・凶由℃)一附喧臨寂刷 ormalより約 6度小さくなっていた ものの N このことは C u r v eが接地時に足関節を他の条件よりも背屈させて接地 20 していたことを示している ER 10 ー 白 30 「一一一**一一一寸 EJ 図1 0-1 加重期における膝関節屈曲量 円U 、回由刀)制収忠臣民営要議 Normal 4nU H i g h 41-41 C u r v e 今 ー O 90 75 ー **: p 0 . 0 1 く 60 回由℃)酬腿季喪号室料 C u r v e 20 H i g h N o r m a l 図1 1 接地時の足関節角度 10 ー ー O C u r v e 接地中の各局面における足関節の角度変化量を図 1 2に示 urveが す 接地局面およびフットフラット局面ともに. C H i g h Normal 図 10-2 立脚中期における膝関節伸展量 H i g hや Normalよりも有意に小さい値を示した 離地局 面に関しては,角度変化量に有意な差は認められなかった urveが他の条件よりも小さい値を示した ものの. C 60 30 国 ℃)酬笹回程認糧 ω O D 由 ℃ 50 型 20 滋離地局面 <>フットフラット局面 ・接地局面 側 性 国 語10 40 B M 30 *:p<O.Ol O C u r v e H i g h Normal 図 10-3 離地前における膝関節屈曲量 C u r v e H i g h Normal 図1 2 接地中における足関節の角度変化量 54 (神闘・前田) ー ー 。** 0 . 0 5 「一一一一一一一一 E OD を 去 「一一一一一一一一一**一一一一一一一一一「 「一一一一*キ一一一一「 0.04 ( f ) Z 話 0.03 皇 0.55 択 {[ * 目 p<0 . 0 5 ︿ 寸ム 。 nド j i i ; * * N o r m a l nU ~ 0.01 H i g h C u r v e I-ー ' " R G 0 . 0 2 TIli----io T - * R ド - コ r z 4 0.5 十 0 . 1 :p<O.01 ムζ 、 ¥ 芝 0.6 t ! ! 「一一一一一一一一一一一**一一一一一一一一一一一寸 「一一一一**一一一一「 「一一一一**ー一一一「 nu ベ ﹁ 0 . 6 5 qム ighよりもやや小さかった. 有意ではないものの H r コ 積を図 1 3に示す. Curveは Normalよりも有意に小さく, nunu 接地から離地に至るまでの聞に上下方向に加えられた力 ihZ) 眠時RSEhHh (豆叩 3-4. 床反力 C u r v e 図 13 接地中における上下方向の力積 H i g h N o r m a l 図1 5 接地局面における上下方向と前後方向に加えられた力積 接地から離地に至るまでの聞に前後方向に加えられた力 4に示す.同一 積をブレーキ成分とキック成分に分けて図 1 と正の値として示されるブレーキ成分は同程度の量となっ ていた目 またスニーカ一条件間で比較すると,キック成 分では C urveが Highや Normalよりも有意に小さく, ブ レーキ成分では C urveが Normalよりも有意に大きく, 1 .4 (EEhZ) F 個K 思l 掠 スニーカ一条件内では,負の値として示されるキック成分 1 .2 1 .1 1. 4 ー + .ブレキ成分 (EE¥的Z)畑 FK関川ほ *ー一一一一一一一一一一ーっ 0 . 0 4 5002 1 . 3 *: p<0 . 0 5 最も大きい結果であった. 「ー一一一一ー一一一ー一一 -キック成分 ( f ) O *:p<O.05 R G * *:p<O.Ol 区 0 . 0 2 択 世 ま j i i ;0 . 0 4 0 . 0 6 ー ー L一 一一一一**一一一一一」 * * 1 .2 H i g h + 1 .1 **: p<0 . 0 1 1 C u r v巴 H i g h N o r m a l 図 16 上下方向の床反力の極大値 ー L一一一一一一一一一一一**一一一一一一一一一一一」 C u r v e 「一一一一一一一一**一一一一一一「 一 一 一 一 一 「 「 一 一 一 一 一 1 . 3 、 z ! ' *一一一一寸 1 Curv 巴がキック成分,ブレーキ成分ともに絶対量としては 0 . 0 6 「一一一一 N o r m a l 図14 接地中における前後方向の力積 4 .考 察 図 7および図 1 5より, Curveは他の条件と比較して接地 局.面の維持時間には有意な差が認められず,接地局面の力 積が高値を示したことから Curveでは他の条件よりも接 接地局面における各方向の力積を図 1 5に示す. Curveで 地局面に大きな力を加えていることが分かる.接地局面に は,接地局面の力積が上下,前後方向ともに有意に大き おいて前方脚に大きな力を加えていることは,他のスニー く,接地の早期から前方側の脚に加重していた. カ一条件よりも早期に前方の脚に体重をかけていることを 上下方向の床反力についての極大値を図 1 6に示す.第一 示している.図 8より,各条件間で歩幅全体としては有意 極大値では, C urveが Highよ り も 有 意 に 小 さ い 値 を 示 な差が認められなかった. しかし歩幅を構成要素ごとに し,第二極大値では, C urveが Normalや Highよりも有 みると, C urveでは送り出し距離が大きく,振り出し距離 意に小さい値を示した urveでは他の が小さくなっていた.これらのことから, C 55 婦人用スニーカーにおけるソール腫部の形状の遠いが歩行動作に及ぼす影響 条件よりも前方に振り出した脚を身体重心の直下近くに接 た Curveでの歩行は,他の条件よりも足関節を背屈して 地して,後方脚で身体を送り出している歩行を行っている いる時聞が短く,足関節を背屈させることなく歩行を行っ ことが分かる ていたことが分かる.さらに このように歩幅を変えずに身体重心の直下 接地中の足関節と膝関節の 近くに接地し後方脚で大きく送り出す歩行を行うと,他 角度変化が小さくなっていたことから, Curveでの歩行動 の条件よりも接地時に身体が前方に移動することになる 作は足関節と膝関節を固定したような,下肢関節角度の変 このために, Curveでは他のスニーカー着用条件よりも早 化が少ない歩行を行っていたことが明らかとなった 期に前方脚に加重していたと考えられる目 l ) 究で用いたスニーカーのヒール高は,低いもの (Norma 本研 歩行動作中の膝関節角度に着目すると,図 9のように, でも 42.3mmの高さであり,一般に市販されているスニー いずれのスニーカ一条件聞においても接地時の膝関節角 カーよりも腫部が高くなっていた.瞳部を高くした履物を 0より,接 さらに図 1 着用すると,接地局面全般にわたり膝関節が裸足での歩行 度に有意な差は認められなかった 地中の膝関節角度の変化量については,有意差は認めら より屈曲した状態となり れないものの Curveはいずれの区間においても, Highと 0 1 1 ) . Curveではヒール高が 報告されている(伊藤ら, 2 Normalよりも低値を示した 45.5mmで Normalよりもやや高いにもかかわらず,膝関 このことから他の条件と比 膝関節痛の原因となることが 較すると僅かで、はあるものの, Curveでの歩行は接地中に 節角度変化が小さい動作になっていた 膝関節をあまり屈曲および伸展しない歩行動作を行ってい 0より接地中 のスニーカーよりも腫が高くなっており,図 1 たことが分かる. の膝関節の伸展及び屈曲量は,わずかに大きくなってい また, Highは他 2の是関節の接地中の角度変化量に着目すると,接地 図1 た.このことから,膝関節の屈曲及び伸展量は腫の高さに 局面とフットフラット局面において Curveの角度変化量が よる影響を受けると考えられる.また,婦人用スニーカー 他の条件より有意に小さくなっていたー離地局面に関しで のように腫部が高くても,ソールの腫部の角を落として丸 も,有意な差は認められないものの,他の条件よりも低値 くすることによって,歩行動作における膝関節痛の原因と 1より接地時の足関節角度は Curveが最も背 図1 なる余分な膝関節の屈曲が抑えられる可能性を示している を示した 屈されていたこれらのことから, Curveでは接地中に足 と考えられる 関節をあまり底屈および背屈させずに,他の条件よりも背 屈した状態で、歩行動作を行っていることを示している. 5 .総 括 Highや Normalのように E 重が角日長っているスニーカー を着用すると,接地直後に腫が支点となり足関節が底屈さ れる 本研究では,腫部が高い婦人用スニーカーを対象に,腫 その後,フットフラット局面において身体を前方に 部がさらに高いだけのスニーカーおよび腫部の高さは同程 移動するに伴い足関節は背屈していき,離地局面において 度のままで形状が丸いスニーカーが,歩行動作に与える影 足関節を底屈させながら後方に蹴り出すようにして離地に 響を比較検討することを目的とした 至る.一方, Curveでは接地局面の足関節の角度変化が小 腫部が高いスニーカーを着用した場合と腫部がさらに高 2 ).フットフラット局面では全条件 さくなっている(図 1 いスニーカーを着用した場合とを比較しでも歩行動作に著 において足底部が床面に接しているので,接地局面の角度 しい違いは認められなかったが腫部を丸く加工したス 変化が小さいことは,他の条件よりも接地時に床面に対し ニーカーを着用した際には,歩行動作において以下のよう てつま先が引き上げられていなかったことを示している. な特徴がみられた 1より,接地時の足関節角度は Curveが最も小さく, 図1 ①歩幅は他の形状のスニーカーと同程度であったが,振り 背屈した状態で接地していることから,接地時に床面に対 出し距離は減少し送り出し距離は増加しており,他の してつま先が引き上げられていなかったことは,振り出し 形状のスニーカーよりも,身体の近くに接地し後方の脚 距離が他の条件よりも小さかったことが影響していると考 で身体を送り出して歩行していた えられる.つまり,振り出し距離が短く身体の近くに脚を ②接地中の関節角度の変化量が減少し足関節と膝関節を 接地することによって,足関節を背屈させても床面に対し 固定したような歩行動作を行っていた てつま先が上がることなく,接地局面の足関節角度変化量 従来の研究では腫部が高い履物を着用して歩行すると, が低値を示したと考えられる. また,フットフラット局面 接地中の膝関節がより屈曲した状態となり,膝関節痛を引 の足関節角度変化量が減少した背景には,フットフラッ き起こす一因となることが示されているが,本研究の結果 ト局面維持時間の減少が影響していると考えられる.図 によか腫部が高い履物であっても腫部を丸く加工したも 7より, Curveでは他の条件よりもフットフラット局面の のとなっていれば,歩行中における余分な膝関節の屈曲を 時聞が短くなっており,より早期に離地局面に移行してい 抑制出来る可能性が示された 56 (神園・前田) 謝辞 本研究の一部は,兵庫体育・スポーツ科学学会平成 2 4年 度学術研究助成によって行われた.また,本研究で用いた 婦人用スニーカーは,株式会社 KEiKAコーポレーション 様よりご提供いただいたものである. 文献 Boyer,K .A .,andA n d r i a c c h i,T . P .( 2 0 0 9 ) Changesi n runningk i n e m a t i c s andk i n e t i c si nr 巴s ponset oa r o c k e r e ds h o巴 i n t e r v e n t i o n,C l i n i c a lB i o m e c h a n i c s,V o l 1 0,N o .1 0,p p .8 7 2 8 7 6 . 伊藤忠・太田進・馬淵晃好・永谷元基・林尊弘・杉浦ー 俊・林満彦・山崎一徳・今泉大地・森田良文・井上真郷 ( 2 0 11)ハイヒール歩行時の腫接地 立脚中期における 膝関節角度の変化,国立大学法人リハビリテーシヨン コ・メデイカル学術大会誌, Vo . 13 2,4 1 4 5 . 垣原桂子・磯部真志・西脇剛史 ( 2 0 0 6 ) シューズのヒール N o . 0 6 3 5 Jシ 形状が歩行に及ぼす影響,日本機械学会 C ンポジウム講演論文集, 2 2 8 2 31 . Landry,S .c . , Nigg,B .M. and Tecante,K . 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