Title アンサンブルするピアノ : 具体例に即した有益なアンサンブル指導法

Title
アンサンブルするピアノ : 具体例に即した有益なアンサンブル指導法
Author(s)
水田, 香; 前田, 朋子; 鎌倉, 亮太; 高橋, 雅子; 早川, 未紗
Citation
北海道教育大学紀要. 教育科学編, 65(2): 261-276
Issue Date
2015-02
URL
http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/7671
Rights
Hokkaido University of Education
北海遊投下手太子r
紀要(教育科学編)第 6
5巻 首~ 2~.
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7年 2 月
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アンサンプルするピアノ
具体例に日J
Iし た 有 誌 な ア ン サ ン ブ ル 指 導 法
水町
香・前同朋子・鎌台亮太・高橋雅子・早川未紗
北海遊投下手大学岩見沢校芸術課程白一栄一コース鍵権第ム研究 4
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1EducaL
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概要
本日命は 」
アンサンプルするピアノ
7年間の授業成呆と,そこから導き出した方法論
円二
i
:
1
の方針にもとづき,ピアノの f
工場から見たアンサンプル法の具体的事例とその成呆について纏
めたものである。 2
0
1
4年度前期に行った「伴奏法 1J (不定期集 11
講義)の資料を例に,具体
的な指導 H
iLとその成果,今後の課題について述べる c
構成は以下の通りである c
I 伴奏に関する受講生の志:"II故調査の分析
E 基本的な伴奏法に関する指導について
目
指導".の成呆と課題
知識の詳細(作品理解への方法,全体像の J
巴慌の子
はじめに
想
立て,アンサンプルする十1子への理解と実践前の 7
指導五針は,すでに次の 4つに分類した c 五:"II哉
付げのための指導/全体を把掘できるイメージ作
りの育成
聴覚による認識と侃党".で、の認識/来
定) /尖践に必要な「キーワード‘」⑤響きの感党を
.
七I
見,役
蓄結怠察知する能力(タイミング,楽譜, j
割)③コミュニケーション
器の違いを認識するための指導/知識と実践の積
み重ね (
i
主1
)
注目するべき点は「ソロ」の演奏で評価されて
来た「ピアノ専攻生」を対象に,「アンサンブテル」
2
6
1
水田
香・前田
j
羽子・鎌倉亮太・高橋雅子・早川未紗
の特殊さを如何に認識させ,実践させるかである。
応しい表情を生み出すためのタッチ」や「ペダリ
ング」等,高度なピアノ演奏技術に関するものも
I 伴奏に関する受講生の意識調査の分析
あった。
「ソロとアンサンブワレの違い」は表現の差こそ
本 授 業 で は 受 講 生 全 員 に 「 ア ン ケ ー ト 注2」を
あれ,ほほ全員が的確に答えた。ソリストの感性
提出させ,スタッフ全員と「意識付け」のデイス
や思いをそのまま独力で音楽(演奏)表現できる
カッションを行う。ねらいは「伴奏」あるいは「ア
「ソロ」に対し,「アンサンブ子ル」は協調が大事,
ンサンプル」について深く認識させ,そのアンケー
他人の呼吸や音楽性を感じ取りつつ,「主張すべ
ト結果を指導に活かすためである。意識が不足と
き所」と「控える所」を弾き分ける,相手の音楽
判断する時は,当初の計画を内容の濃いものに変
(曲のイメージや表現)を尊重しつつ共に音楽す
える。授業後には l
iアンケート
I
f最終レポート任3」
1
の「授業で、得た成果 J,Ii講義ノート在4』を見比べ,
る,各メンバーの音楽性を合わせ全員の団結力で
音楽(演奏)を創り上げる等である。
認識の定着度を判断し,次回の指導計画を練る。
受講生がこの時点で把握している「伴奏の役割」
今回の受講生の回答 (
1
2名中 9名提出)結果は,
は明らかに「サポート役」である。中には「相手
経験の種別数狂 59
:
1 i
器楽とのアンサンブル」が
と自分の音楽を豊かに J iオーケストラのパート
1人平均 4種類となる。これは学
を表現 J i和声で、世界が変わる J i音楽的な意思の
圧倒的に多く,
生としては非常に多い。「器楽とのアンサンフワレ」
疎 通 J i曲に合った弾き方」等の閃を感じさせる
の量は年々増える一方で,声楽関係は極端に減少
記述もあり,数年前に比べアンサンブルに対する
気味である。近年各高校の合唱サークル廃部や縮
意識の向上は見られるが,指導者側が重視する「作
小の話も聞かれ,声楽専攻生が少なく,その動向
品を十分に理解 J,構成を把握した上で「担うべ
が映し出されている感がある。「伴奏する上で困っ
き役割を理解」し,共同作業で音楽(演奏)を創
)J を 大 別 す る と , ② テ ン ポ ③ 音 量 ・ バ
た事(図 1
る過程での「コミュニケーション」の重要性につ
ランス④タイミングに関する事が大多数を占め
いて触れたものはごく僅かであり,強化すべき指
た。②では「弾く事に必死でテンポ感がなくなる」
導上のポイントはまさにここにある。これらの情
「テンポを合わせ過ぎて定まらない J i伴奏の自
報をもとに続いて行うのは実際の作品の構成を
由度,揺らし方,保ち方が分からない」③は「音
「理解」し「担うべき役割」を認識させ,「ソリ
量が出ない J i音 量 の コ ン ト ロ ー ル が 難 し い 」 ④
ストの基礎的な知識」を伝える事,ピアノの様々
i
t
. などのタイミング」
は「呼吸を合わせる事 J ir
な表現技術を伝え「実習」させる事,アンサンブ
「長い休符後,曲調の変化後のタイミング」が代
ルを想定したパート練習の指導,公開演奏で成果
表的で,伴奏する上で誰もが味わう困難さが書か
を披露,すべてをレポートに纏めて定着させる事
れている。この結果は予想通りである。受講生の
である。
(水田香)
経験の積み重ねが多くなった結果と見られ,数年
前に比べ,大きな変化である。その他に「曲に相
E 基本的な伴奏法に関する指導について
-①総合的なこと
・②テンポ;こ関すること
圃③音量・バランスに関する こと
1.器楽向けの小品を題材にして
今年度の「伴奏法 1J は,ピアノパートが比較
-④タイミングに関すること
・⑤ピアノの演奏技術に関すること
・⑥その他
(
図 1)伴奏する kで、困った事
2
6
2
的平易な〈器楽とピアノのための小品〉を題材に,
「伴奏する上で、大事な事は何か J iどんな事を意
識してアンサンブルに臨めば良いか」という基本
アンサンプルするピアノ
的な指導に重点を置き,実演(ソリストとの什わ
山の雰凶気や性栴を把 t
f,誌できると,後の「什わせ」
せ)を交えながら指導を行った。これは昨年度ま
をスムーズに行える(つ聴覚による認 I哉)0
での授業には無かった試みである c 以下の課題 5
楽譜をよく読み込み,全体の基本的な情 l~ (
テ
巾は,いずれもアンサンプルのソリスト岡本千里
件:及び転調
ンポ設定,及び変化する所,拍子,品l
氏(オーボエ奏者)による選出であるぺ
の箇所,その他の構成要素等)を認識の後,細か
.P
.Mascagni:アヴェ・マリア Avemaria (
歌
劇
7カヴァレリア・ルステイカーナ
な詰読みに l
臨む様,指示した(二今視覚 1
.で、の認識)ぺ
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J より閉会山 I
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)ii'6
ピアノパート及びソロパートの理解
実際にピアノパートの演奏を効果的,あるいは
.A.Dvoral
王:家路(交響曲第 9番「新│吐界より」
存易にするためには
i.f旨使い」の下与えと「フレー
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SymphonyNo.9“Fromt
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ズの抱握」が必要である。巾Ijlの弾きにくい部分
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を取り 1
.げ,「干の)(きさや指の長さ,操作性」
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.Debussy:夢 R
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:
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に応じて円分で, t
行使し、」を考えるんr"
1
Lを例示し
.M.Ponce:エストレリータ E
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た,フレーズの t~t忌」は,ソリストのパートに
.F.Mendelssohn:
Roman-
けを l
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Jける事で,歌のまとまりを察知し,プレス
cessansparoleso
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.1
9
.
1 より Andantecon
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:置を予想しておく事を推 J児したわ以上がソリ
の1
~Jnri ri"歌集作品 19
1
.
11
0
mow.
ストとの合わせを行う前の準備に当たるぺ
会
各ソリストが行った「来器の特性についてのレ
選出の条件は,演奏頻度や認知度が高く,今後も
演奏の機会が多く望める事,演奏│時間が知く特徴
を桐み劫い内容である事,ピアノパートが
m民な
クチャー」は,
(ピアノ専攻生が)他の楽器の知
識を得る絶好の機会である,オーボエは(プレ
i
役割を t
円いながら難解ではないもの,であった c
スの際に)一度余った息を吐きiI'rしてから吸うた
実際に指導を行う多くの場而で適切な選山と感じ
め,他の管楽器よりも│時間がかかる」事を初めて
られた。課題の全楽譜を初凶に配布し,受講生に
耳にした学生も多かったが,実際のアンサンプル
は「取り組みたい 1巾を白分で選び準備をしてお
でタイミングを掴む際,非常に有効に働いた。
く事」と指示したぺ準備期間は約 1か月と比較的
授業ではすべての課題巾を割り振り,全員で'、?
,スタッフが受
長かったが,まだ授業が序盤の 11
押する事にした。次に受講Jtの希望が多かった 3
講生の技量や理解力等が把掘し切れていない点を
曲を取り上げ, J
L体的な指導事例を述べる c
考慮し,
1曲のみに集中させる事にした c この事
で受講生は大きな負担を感じず「準備と介わせ」
1
. Mascagni:アヴェ・マリア
歌劇『カヴァレリア・ルステイカーナ」の「間
にl
臨む事ができ,一方で他の受講 t
:
.が取り組む作
奏巾」のメロデイに歌詞が付けられ「アヴェ・マ
品にも関心を持てた事は一石て烏であった。また,
リア」として親しまれている作品で,声涼i
'
¥
.
)様々
指導五針「全体を把掘できるイメージ作りの育成」
な楽器とピアノとで行う頻度の高いアンサンプル
の実践として,来譜配布後に補足説明(事前に準
巾である。
備する│祭の具体例の提示)を行った。具体例は以
「白分のパートだけを続押」する以外の準備(聴
Iみ介わせ
下の 2点に集約できる c また〈むと 玄をキl
覚,視覚上の認 i
r
哉)がイ汁づ上な学生が見られたた
る事で,ピアノパートだけでも卜分に青楽が表現
め,楽器の種頬や演奏法,フレーズの長さを原山
できる事を伝え,アンサンプルに進む準備を整え
に照らしイメージさせる事で「什わせ」を進めた。
た
わ
それが受講 t
:
.f
こ良い変化をもたらしたのは,
l
〉
ケ
耐の基本情報の J
巴握
題材は胤曲がオーケストラ巾,ピアノソロ,歌
山であるため,それを聴いておく様に指示した c
3か
所である(詰例 1
ド
)
日頭のピアノパートは,弦来合奏の「主旋律」
とオーケストラのオーボエによる「対旋律」がうと
2
6
:
j
水因
子千・前田)j
)
J子 ・ 鎌 倉 亮 太 ・ 高 僧 雅 子 ・ 早 川 未 紗
II~ に現れる部分である。「主旋律」と「対旋律」
譜例 3の Aは旋律を奏でるオーボエと青の動き
の異なる楽器をイメージさせる事で「対旋律」の
が少ないピアノとのアンサンプルである。プレス
八分休符やアクセントの扱いん宇が変わり,立体的
のタイミングを計るのが難しく,「什わせるのが
寅奏に繋がったぺまた,詰例 1の第 8小節目の
なi
難しい」という戸が多く挙がったぺこの部分では
左手オクターヴの助きは, )以巾では低位のピッ
2つのポイントを指摘したぺ 1つ目はピアニスト
ツィカートであるペイメージを与える事で(鍵盤
がソロパートを歌いながら (
1
惑じながら)同時に
を押さえつける様な)重い演奏も,「弦を弾く様
円分のパートを弾ける事,
な軒さ」へと改善できた。譜例 1の B以降は布子
だけの「縦割の青楽」ではなく,「植の青楽 J (
1
司
にアルペジオが現れる。これは原巾ではハープが
じテンポ!惑と同じ l
呼吸で)が白白に怯んで進んだ
十旦っている。ソリストと初めての「合わせ」の時
結呆として「タイミングが合っている」という演
に音来の流れが一体化できない受講Jtに,「右干
奏を目指す事である。この点を素早くクリアでき
のアルペジオを
J年に弾き過ぎず,進める事をliO:
哉して弾く様に J 'メ「ム子の動きに f
i
・子が来つかっ
た学生もいた。誰でも「介わせ」の凶数を重ねる
I
事で解決できる場介も多いが,イ~J1J 能な状況も起
ているつもりで J 'ソリストと共に 4小節で-つ
こり得る c 予めソリストがどの様に演奏するか,
のフレーズを意識して」等の指摘をした所, )
.
J
!
百
(プレスも合め)予想しておく事が有効であり,
2つ"は「什わせる」
最初の「合わせ」で瞬時に察知する事が必要であ
に改苦が見られたぺ
2
. Dvorak:家路
るわ更にピアノパートの和声進行(緊張,解決す
交響曲第 9苔ホ )
;
¥
f
.調『新世界より」の第 2楽平
る場所)から青楽の流れを把掃する事は有効な子
として有名な原山(オーケストラ)は「主旋律」
がイングリッシュ・ホルンで演奏される
U
オーボ
立てであろう。
3
. Debussy:夢
エ属とピアノで演奏する機会も多く,ピアノ伴奏
原山がピアノソロであるため,ピアノ専攻生達
の場介は,原山のイメージをしっかりと持つ事が
も比較的山担、を桐み劫い様ではあったが,八分青
大変重要になる。重点的に行った指導は「前奏部
符の動きが巾想、に合った色が出せない学f
↑てもいた
分」である(譜例 2。
)
受講Jtはすでに原巾を聴いており,前奏の日頭
(詰例 4。
)
日頭から続く八分音符に対して「ごつごつとし
4小節が金管楽器で始まる事は理解していたが,
た」演奏をした学生に対して,「謁がかかったイ
実際にピアノで雰凶気を出す事は岡難であった c
メージ J '青の粒がはっきり出ないように」といっ
特にオーケストラに比べ, pppの和台が雌 ¥;¥J'テ
た flj 掛けをし,更に J~. 体的な奏法,「鍵盤の氏に
ンポ感,次の和音へ移るタイミングがやや片i
ム
い
」
宅るまでの“遊び"の部分を利用した打鍵法」を
傾向にあったため,和音の鳴らし方に助言を行っ
提案したわこの事で音色が改苔され,相応しい曲
たc 鍵盤との距離の取り々や打鍵のスピード(鍵
想、でアンサンプルができる様になった。
盤の近くからゆっくり押し込むように打鍵する),
また再現 ì~:p に反る短い「間奏」の部分がスムー
また複数の金管奏者がl
呼吸を合わせて一つの和音
ズではない受講 t
:
.に対し,実際に
を鳴らしているイメージを持ち,和青をよく聴い
どの様にテンポを動かすとソリストに上子に渡せ
てから次の青へ移る, といった事を,実演もうとえ
るか検証する作業を行ったが,大変効果的であっ
ながら学生に伝えた c 劇的な改善とまではし、かな
たc ピアノソロで演奏する場介にはさほど無理な
かったものの,「意識付け」という点では効呆的
く弾ける箇所でも,アンサンプルでは白分も相手
であった。この様な感党を作る事で,今後同様の
も納f
!
?できる 1
恭なタイミングで引き布陣カτ
ないと,
作品を演奏する際に,白分白身で音色や奏法の追
演奏に)(きな支障が出る。準備の際に白ら指揮を
求する姿勢となればよし
してテンポや拍子感(書かれている拍子が,その
264
'
1
旨揮」をさせ,
ア ンサン ブルするピア ノ
hに相応しい拍子 に合致しているか) を確認 して
t
r
譜例 3)
(
おく 事 は,楽曲が本来持つ姿に近づ くために,必
要な作業である 。
寺聞の中での指導ではあったが,受講
限られた H
合わせ J,また他者やスタッ
生達はソリストとの 「
取 った様
フの演奏 の見学 を通じて多くの事 を学び、
事前の準備」 は,こちらの
子であ った。 しかし 「
意図した所までに至 らない者も居た。説 明の方法
を改善する余地がある 。様々なアプローチから準
備をする 事 は,アンサンプル経験の少ないピアノ
音 は正
専攻生が陥りやすい 「間違った 譜読みJ (
確に弾くが, 音楽にならない状態 ) を早い段階で
余
, 「
回避することに繋がる 。学生のアンケ ート 中
裕がなくなりテンポが速くな ってしまう 」問題の
(譜伊~
4)
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同
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紙
c
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"
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,
解決の一助になるであろう 。課題が難解で長大な
全体を把握してから 細部
山にな ったとしても, 「
の譜読みを行う方法」 を早いうちから習慣づける
事 によ って,より良いアンサンプルピアニストに
近づく 事ができる 。今後は, 実演での指導の充実
に加え,演奏前の準備についても,より 具体的に
伝え ,意識付けを徹底する 事 も必要である 。
譜例 1)
(
前杜l 朋子)
(
. オーケストラ作品の伴奏について
2
ピアニストがオーケストラ伴奏部分をピアノ伴
奏 に編曲して演奏する 事 はしばしば行われる 事で
やでもオペラや協奏 曲のオーケストラ部分
ある 。 I
を担う機会は非常に多い。 オーケス トラをピアノ
で弾く場合 には,どの様な問題があり,どの様な
取り組みが必要なの か。授業では, 「オーケス ト
ラ作品の伴奏 についてのデイスカッション」と題
譜例 2)
(
<
0
>
01
し,オーケストラ伴 奏部分をピアノで弾く際の工
夫 を理解し, 実践できるようになる 事 を目標とし
分間の指導 を行 った。
0
, 9
て
。
fun
(作品をよく知る事)
オーケス トラは,複数の種類の楽器を多くの人
数で演奏する 。そのためピアノでスコア通りに(す
265
水因
子千・前田)j
)
J子 ・ 鎌 倉 亮 太 ・ 高 僧 雅 子 ・ 早 川 未 紗
べての楽器の青を網羅しながら)オーケストラ部
以上の作業をほ業前の課題とした c
分を弾こうとすると, 1
0本の析では弾けない青域
受講生は予め配布されたピアノ細山版と原山の
や再現できない f~-4Î 所が竺~然出てくる c まず,「オー
スコアを見比べ,日支斗する f~-4Î 所に「弦 J
'木管 J'
V
I
J
ケストラの音符すべてをピアノで完壁に弾く事は
'
F
I
J等,白分なりに演奏来器を li;:き込んできた、
できない」という問題を如何に解決するかについ
また,テクニックが難しい箇所に下与えを J
J
I
Iえた受
て耳ZりJ
及ったぺ
講t
:
.もいたわ
A 楽譜について
この作業は弾くために行っている事であるが,
現在,ピアノ用に細山,出版されているオーケ
楽譜をよく凡ながら青泌を細かく聴き,ピアノ譜
ストラ伴奏の作品は多いぺその編曲の方針は,「音
からスコアを確認する事で,逆にその作品のオー
を省き,押き易い事を目指す J,'オーケストラの
1り,作品を I
雫解する
ケストレーションを白然に矢1
音をできるだけ忠実に再現する」という様に ,
各々
事に繋がっていくのである。
である。
(一人でオーケストラ演奏)
これらの編曲版には,それぞれにメリットとデ
楽譜作成後は「オーケストラらしく聴こえる様
メリットがある,弾き Mい事を亘:視」した !
1
J
iは
なピアノ奏法」の獲得が必民である c そのために
非常に弾き易い反面,オーケストラ特有の「音の
は,オーケストラの特徴である複数のパートを,
厚み」が山ないため,オーケストラらしさが損な
来器の特徴を活かした多くの音色で押き分ける事
われる。逆に「オーケストラの音をできるだけ忠
が大切であるぺ
実に再現」した版は,青の厚みは出るものの,弾
くのに多くの岡難が生じる c
そこで必要になるのは,「オーケストラらしく
J
受業では,この複数のパートを表現し分けるん宇
法を提示した。つまりピアノ l台でオーケストラ
演奏を行うのである
U
教材にはモーツアルトの
響かせる事ができる」上に,「できるだ、け無理な
くピアノ協会山第2
3苔 KJ
!8
8
:
>を使用した c リ
く弾ける」ための」二夫を盛り込んだ楽譜を,各円
ズムや旋律がシンプルで,受講生が親しみを持ち
が作成する事であるわ
易いという理由で選出したものである。限られた
B
オリジナルの来請を作る
オーケストラ伴奏の作品は必ずしも既成の来請
が最適とは限らない c しかし,既成の楽譜を有誌
t
t
:
.を当
時間だ、ったので,一つのパートに一人の'ア:
て指導し,他の受講f
↑てにはどの様に変化するかを
聴講する事で体験してもらった。
iLは,次の通りで
に活用する事ができる c その H
受講生は各円のオリジナルの楽譜を使用した o
ある。
A
弦楽器の青色をピアノで弾く」二夫
まず,ピアノに編巾された来譜,スコア,音源
この作品の第 1小節目から第 8小節目は怯来器
5がどこ
を用意する。音源を聴きながら,何の来 2
のみで演奏されるわこの 8小節聞を例に弦来器の
を íU. 三~しているのかをチェックし,より軒:明に聴
表現の仕庁を考えさせた c 講義の進め々は以下の
こえるものや「合いの子」として大切だと思うも
通りであるわ
の,「支え」として重要なものなどをチョイスし
まず何も指導せずに,ここは「怯来器が演奏
ていく。これをピアノ編曲版の楽譜に書き込む事
している」と思って弾いてもらった。結果は,
で「オーケストラらしく聴こえる Jt
長に直したり,
打鍵青のする普通のピアノの青である。この事
逆に青符を削除していく事で弾き劫くする c ここ
から受講生には,ただ弦楽器だと思って弾いて
で大切なのは白分の技景に合う様に編曲する事で
も,怯来器の音に近づけない事を分かつても
あるぺこれが「よりオーケストラらしく J,'凶難
らった。
なく弾ける様な」オリジナルの来日詳の作成方法で、
ある。
2
6
6
ヱ
l
:次にリ玄来器について考えさせた。弦来2
5は弓
で弦をこすって青を出すため,青が出るまで時
アンサンプルするピアノ
聞がかかり,ピアノの様な打撃青はない c
受講生に示したように,弦楽器とピアノの青
の出々を図で去すと図 2の様になる。
(ボーイング)の指示である。つのスラーは
できる限りはを返さずに演奏される。従ってピ
アノで弦楽器を表現する時も,スラーは弦楽器
のボーイングのように演奏する必要があるぺ
く
仁
図 2 左は弦楽器,イJ
はピアノの古の出方を点す
第 1小節目は一つの弓の動きで演奏されるぺ
その場合 2音目は弾き[1'(されないので,
2音が
滑らかにつながって聴こえる。これをピアノで
表現する c
でピアノは縦(奥)の志 i識が弦楽
器の弓の助きに相当すると既述した様に,縦
この辛から,弦来 2
5を去;fJl.する時は音の出方
に注意しなければならない事を理解させた。
実践してみると,青の出ん宇に集中してしまい
弱い青になってしまった c
③
(奥)の意識を持って 2音を一つの助きで演奏
すると,
2音が滑らかに繋がっている様に聴こ
え,弦楽器に近い表現となる。
実践の際,縦(奥)の志:"II哉と・つの動きとい
青の出々は理解できたので,次は青が出てか
う事は分かつても,体の力を圧力に変える事が
難しい様であった、しかし模範を示すと分かり
らの事を説明したわ
リ玄来器は弓を横に動かす事で音を持続させ
易い様であるわ実際に弾いて見せる事は感覚的
るペピアノは音を出してしまえば音は減衰して
に納得でき,効呆的であったぺ
しまい,後から何も調節する事はできない。し
B 管楽器の青色をピアノで弾く__l夫
かし,ピアノは縦に奥行がある楽器であり,腕
この作品の第 9小節けから第 1
2小節 1は,先ほ
を縦(奥)に回転させる事をイメージしながら
どの怯楽協と同じ旋律を用いているため,弾き分
ピアノの奥の庁に正力をかける様に志 l識する事
けが大切だと思い,取り扱った。
で,伸びのある青となる c 従って,弦楽器とピ
3のよ
アノの音の持続する意識を│刈にすると│ヌ1
J
受業の進めん宇は,以下の通りである。
まず,管涼i
:
6
:
iが演奏していると思って弾いて
もらった。結呆は弦来 2
5の時と同様,打撃音の
うになる。
あるピアノの音であった。
ここでの楽器の編成を雌認した c 布子で弾い
r
ているのはフルートとクラリネット,メr: は
ファゴット,ホルンである c非常に複雑である。
そこで,音の出し方について考えてもらったぺ
第 9小節目から第 1
2小節目は重要な旋律を本管
楽器が担っているため,木管楽器の青を表現す
図 3 lLがピアノ,{iが弦楽器の古の持続する
意識の )
i
l白jを示す
る事を重侃したわ
本管来器は空気(息)で音を出しているぺ):.
抵タンギング(市で tuと発育しながら青を出
と〈訟を理解してもらい, もう
・度弾いても
す)をして演奏している。そのため,青が出る
らった c まだぎこちないが,青が!
I
島るまでに時
│時,瞬の「ため」があり,アタックがあり,
間があり,伸びのある,弦来器の様な響きとなっ
よく通る音が出る。その 2点を意識して実践し
た
ぺ
てもらった結呆,難しいはずの一瞬の「ため」
主
〉 次に,スラーの扱いを説明したわ
弦楽器にとってのスラーは,大切なは使い
がとてもよくできた。アタックのあるよく通る
青に閲しては,まだ検討課題である。
267
水因
子千・前田)j
)
J子 ・ 鎌 倉 亮 太 ・ 高 僧 雅 子 ・ 早 川 未 紗
管楽器はタンギング後,余計な力をかけずに
図 4からも分かる様に,平日台のI!島り始めと鳴り
息、を管に人れる。それをピアノにも取り入れる。
終わりが大きく異なる c ピアノの構造上,オーケ
注志する事は,弦楽器の様に圧力をかけるので
ストラと│司じ事をする事は不 IIJ能で、あるが,「!
l
島
はなく,アタックのある音を出した瞬間,腕を
り始め J,'鳴っている最IjIJ, '鳴り終わり」を意
来にしつつ縦(奥)の感覚を持つ事が大切で、あ
識するだけで非常に聴いている側の印象が変わ
るぺ縦(奥)の感覚を持つ事は難しい様だ、った
る
わ
(
き
〉
が,模範を示しながら実践させた1I,f,少しずつ
I
!
島
っ
'I!島り始め」はくとで示した通りである c '
ではあるが徐々に感覚をつかんで、行く様子を j[
ている最中」は弦楽器と同じく圧力の様なものが
の当たりにした。これから訓練していく事で身
あるので,怯涼i~:i のくあで既述した縦(奥)の感覚
にぷこける事ができると実感した。
で圧 )
Jをかける意識が必要である 、「鳴り終わり」
C 総奏 (
T
u
t
t
i
) の音色をピアノで弾く工夫
は余損をよく聴く事が大切であるぺそのためには
この作品の第 1
8小 節 け か ら 第 30小 節 け は
余部を作り出す必要がある。縦(奥)の感覚で圧
'
T
u
t
t
i (オーケストラ全員で演奏する事 )
J の演
力をかけた後,腕を「ゆっくりめ」に上げる。こ
r
奏である c 授業の進めん宇は以下の通りである。
:
_には,またイメージだけ持ちながら弾
受講 t
いてもらったわ受講 t
:
_の演奏は ,f(フォルテ)
の指示に従ってはいるが,音干去を増しただけの
演奏となっていた c よりオーケストラのように
のちょっとした動作で余部が発生する。
以[--を踏まえて実践の結呆, T
u
t
t
iにより近づ
いた去現となり,オーケストラらしく聴こえた。
ピアノは音がすぐに減衰し始めるため,ペダル
を利用する事が効果的である c
ピアノでオーケストラ作品を「完全に真似する」
響かせられる様,指導した c
T
u
t
t
iの青の響きはピアノの様に一瞬で、青が
宇は不可能であるが,オーケストラ来慌の発育と
出るわけではなく,桁押者の指示で多くの奏者
ピアノの発育の追いをよく理解し,「オーケスト
が発青するため,斗然時間のずれが起こり,全
ラらしく聴かせる事」が大切である c オーケスト
体が鳴るまでの時間がかかる。さらに前述の様
ラ来器の演奏をピアノで代将する方法を「理解さ
に来器 1
4に音の出方が異なる。これを考慮する
せる」ためには,目標を持った根拠のある「具体
と,音の出し方に注意が必要である。以[--を説
的な説明」が必要であると感じたぺ「実践する」
明し,実践してもらったところ,青を出す時の
ためには,「斤 J
i
Eによる説明」と「模範演奏」を
川舜の「ため」カ fオーケストラのタイミングに
キ
l
Iみ介わせる事が有誌であると実感した。感覚や
豆:"II哉の問題は斤葉で説明しきれない事である。そ
近づいた。
オーケストラは,打来 2
5を除いて打撃音はな
5の集まりであ
く,音を持続する事ができる来 2
る。そのため響きが鋭くない。四分青符の和背
の場合には, j
'X[や実際に弾いて見せる等,視覚か
ら入る事も必要である。
受講生の
7最終レポート」には,「ピアノで弦
のオーケストラの響きとピアノの響きを│ヌ│にす
来2
5の様に弾く事が印象的だ、った。今までに鍵盤
ると,以ドの様になるぺ
に指が触れてから怯に伝わるまでの過杭を考えた
。
口
図4 )
_
Lがオーケストラ,イJ
がピアノの 4分古
の和庄の響きを去す
事があったが,実際にその追いを見て聴いて,はっ
とした。 J 'ピアノソロも志説的にオーケストレー
ションして楽しみながら演奏しようと思った I感
覚で弾いてはその音色を去王はできない事が分かつ
た」等の記載が見られ,来 r
t
hをイ[:[--げていく際の
一つのきっかけを伝える事ができたのではないか
と考える c
268
アンサンプルするピアノ
今凶扱った内容は,オーケストラ作品のみでは
1日に 3~M"
のほ業は 5月3
なく,ピアノ作品を弾く際にも応用できる事であ
と実践,
るc 様々な楽器の青色や特色を円1Eに操れる様に
行った。
なると,ピアノ作品の演奏去現も多彩になるぺそ
の事はピアノを弾く者にとって非常に有意義な取
り組みと言える 。
6月2
1日に 2講の講義
6月2
2日に発表会というスケジ、ユールで
オペラアリアを伴奏する際,大切な点としては
次の事が挙げられるぺ
オペラ全体のあらすじを抱握し,どの場面で
(早川本紗)
どの様な内容を歌っているのかを理解する。
I(~ (今凶はイタリア語)と青楽の閲述性に
3
. オペラアリアにおける伴奏法
ついて理解する。
プレスによる音来のフレーズを理解し,歌い
ピアニスト兼指揮者の観点から
:
.はオペラアリアに関して殆
今同受講した受講 t
ど経験のない学生達であった c 主な経験は高校時
代までの f
i
W
i-lの伴奏,円分が学んだイタリア歌山
子と一緒のフレーズを感じ取る。
慣例的に行われるルパート等,作山家の青楽
の特徴を知る c
i
j楽専攻を希望する生徒の伴奏等である。
の伴奏, f
使われているオーケストラ楽器を把指し,発
:
.の伴奏が主な経験である
大学入学後は戸来専攻 t
音や音色の特徴を捉え,それをピアノで再現す
が,オペラアリアの伴奏の機会はまだ少ない。
る
わ
r
Iア
ンケート, 1 によれば,学年達の授業前の認識(声
なぜ,ここでこの来器が使用されているかと
楽とのアンサンプルで必民な能力,知 l識について)
いう,
ドラマとそれによるオーケストレーショ
は以下の様であった c
ンの関係を理解すると,なお良い c
「歌詞の意味を理解して青楽に反映する )
Jが必
伴奏がオーケストラのため,本米は指揮に合
史~J '呼吸を忠実に読み取る事が必要 c 発青に
わせて数ト人で、演奏されるものである。そのた
よって人りにくい部分がある J '歌剖のニュア
めに,アンサンプルするためのアインザッツが
ンス,発音するまでの時間を理解する )
Jが必要」
必ずあり,それを I
雫解した演奏をする。
「ソリストによって出しやすい音域と出しにく
い音域があり,テンポがゆったりする部分もあ
'
.の│付脊を実現するために,適当と思われる
以1
以"
1の 2巾を教材とした。
i
r楽の台程を整わせ
るので,息を介わせる」「f
1
.G
.D
o
n
i
z
e
u
i
: L
'
e
r
i
s
i
rd
'
a
m
o
r
e “Prendi
' 泣11
るよう伴奏がサポートする J 'あくまでf
i
j楽が
2
.G
.P
u
c
c
i
n
i
: ~La Bohemに “ quandom
e
'
nv
o
" a l2
主役なので,歌を良く聴きながら呼吸を介わせ
1.G
.Donizetti: ~L'erisir d'amoreJ “Prend"
i
てあげる能 )
Jが必要 J '歌詞やその意味・背呆
この巾を伴奏する際,作出家 Donizettiのオペ
を分かつたト宇で,それに相応しい演奏をしなけ
ラにおける歌の役割,オーケストラの役割につい
ればならなし)J 'オペラ等の内容のある作品を
て,まず理解する必民がある c 彼の作品は,歌の
夜史であったり,その歌手の
演奏するときは, I
;
:かれているも
技巧をふんだんに聴かせるために J
演じるキャラクター,耐の場面などの演奏技術
のが多く,それ故に,慣例として来日持通りではな
以外の矢口 i識があって,演奏できる」
く,特にハイトーンにおいて,演奏効果として多
以上の記述はアンケートを始めた 2年前に比べ
少の楽譜からの逸脱が日午されている c そのため逆
ると明らかに志(I識は l
i
l
J上しているものの,スタッ
にオーケストラは,完全に所謂「伴奏」になる事
フを交えたデイスカッションでは,相変わらず,
が多く,歌の白由さに対応できる様,シンプルな
「伴奏とは,あくまでソリストが主役」であり,
形で l
!
?かれている事が多い。
伴奏の役割は「ソリストに付ける事」と認識して
“
Prendi" では,オーケストラは常に弦来 2
5の
いる学生が大、:
'
1である事が窺えた c オペラアリア
1
6分台符のピチカートで動き,占のテンポを保
2
6
9
水因
子千・前田)j
)
J子 ・ 鎌 倉 亮 太 ・ 高 僧 雅 子 ・ 早 川 未 紗
ちつつ,その中で帽を持たせる事で歌に円山な表
演奏する際,折何者が次のオーケストラの青を出
現をさせる事が要求される c
すためのアインザッツをする場所が必ず存在す
まず学生に弾いてもらったところ , P.23
1
!の 7
る c 従ってピアノで伴奏する際も,竺~然そのアイ
小節目(詰例 1)のフレーズの閉じ方に苦労して
ンザッツの部分を理解していないと演奏する事は
いる様子であったぺここは,オーケストラは 2抗
難しいぺ実際その事を理解している受講Jtは少な
日でフレーズが終わるが,歌は 2抗日から始まり,
く,演奏がうまくいかない部分であった、詰例 4
しかもフェルマータの指示がある c 学生はこの小
において,第 2小節日第 l拍けを弾く際,前小節
節を i
ntempoで演奏していたのだが,それでは
“s
agg
lOの
2つけフェルマータの聞に,第 2拍
歌が入りにくく,歌がオーケストラに合わせてい
日長約を取り p
'
(す作業が必要になり,それがアイ
る様に感じた。そこで,「 2抗日に波すように演
ンザッツになる事を{云えた。それを捉える事がで
奏する事」と「白分も歌のフェルマータを一緒に
I
I目を弾く事がで
きると,白然に次の小節の第 H
歌うつもりで 1拍日を弾くように」という指示を
きる c
した所,青楽が円然な流れで進むようになった c
譜例 5においては,次小節けの第 l拍日を弾く
│司様の問所が│司頁第 1
6小節日(譜例 2
), P
.2
3
5
ために,どこからアインザッツを捉えるかがポイ
の第 6小節目(詰例 3)にもあるわ詰例 2では,
lI目長の嬰ハ音
ントになるわこの場面では,第 2t
1抗日の長 t
l
I"
r
e
s
t
a
" に入るために歌はプレス
からの 3
2分音符を次のテンポとしてアインザッツ
を取るぺまた,オーケストラには百1
4
4記号 f(フォ
を捉えられると白然に演奏できる事を伝えたぺ
ルテ)の指示があるため,介会するための物理的
これら 2つの場而について, (講義内の J
;
¥
f
.
¥
,、
時
に時間を裂する伺ゆ?である c ここを「歌い子はフェ
間で)学生がアインザッツを理解して弾く事はい
ルマータのためにどんなプレスをするか」また,
ささか難しい様子であった
υ
「指揮者だ、ったら,
「オーケストラが 1拍日哀を fで作会するために
どの様に捉えてどの様に桁押するか」という問い
はどの様な(青楽的な)時間がかかるか」を説明
も出したが,あまり効果的ではなかった。学生が
した所,効呆的な演奏へと繋がった。詰例 3では,
アインザッツの要領を捉えるためには,別の指示
c
o
l
l
ap
a
r
t
eの指示がある様に,歌のリズムが白由
が適当であったか,または別な教材を使用して
になる佃所である。第 2抗 日 正o
si"に入る前に
行った方がよいのか,次同以降の課題であるとい
大きなプレスが人り,
8述青の速度やリズムが円
える
C
a
r
a
l
山に演奏される。そのために,冶 0,nons
2.G
.P
u
c
c
i
n
i:~La BohemeJ “quandome'nv
o
"
の部分は慣例としてれ:ヂルパートする事がある c
この山については,先述の D
o
n
i
z
e
t
t
iとは完全
そのため,「この部分を一緒に歌いながら弾く様
に異なる「オーケストラの役割」がある事をまず
l
こ」という指示をした所,スムーズな演奏へと繋
I
雫解しなければならない。 P
u
c
c
i
n
iのオペラにお
カfった。
ける「オーケストラの役割」は,物語のドラマを
この様に,歌い手がどの様に歌うか(歌いたい
p
'
(接的に訴えるものそのものであり,人間の愛,
か)を珂解し,それを伴奏者も一緒に感じながら
悲しみ,憎しみ等の去情を如実に去している。オー
演奏させる指示をうえる事は効果があった c
ケストラの役割は決して「伴奏者」ではなく,青
r
e
楽をよりドラマチックに去すための歌の「併走者」
c
i
t
a
t
i
v
oaccompagniatoの民主を含む部分が 2か
といえる c そのためオーケストレーションは大が
.
2
3
5の第 1~ 2小節目(譜例 4),同
所あるわ P
かりでドラマチックであり,音来も揺れが大きく
兵第 1
3小節目(詰例 5)であるぺここでは前述し
壮大なものとして描かれているぺまた⑪の通り,
た「オペラアリアを演奏する際の大切な点」⑥の
P
u
c
c
i
n
iや Verdi等に見られるイタリアオペラ特
また,この山においては c
o
lc
a
n
t
oであり,
要素が三~てはまる。
270
reci t
at
ivoaccompagniat
oを
A
Eでは斤い表せない独特の「歌いまわし」
有の,「t
アンサンプルするピアノ
があるのも特徴といえる。,受講生には今凶の教材
スコアも, 日
!i
によってオーケストラのピアノ f
畑山
T
I
日会であった。理
の中で最も演奏するのが岡難な併i
が非常に異なり,楽譜通り演奏する事が事実上不
山は「↑貫例としてのルパート」にある。
J
能のように書かれている事が多い c その場介は
1
J
P
u
c
c
i
n
iの 譜 面 に は テ ン ポ の 指 示 が 細 か く 記 載
適宜押き易い様に音をカットしたり,オーケスト
されており ,/r~tt. にはまずその指示に忠実に演奏
ラの音をよ己す作業は,オペラ伴奏において大変重
する様,指導を行った、結呆としては, q
u
a
s
ir
i
t
.
要な事であり,今同その一端を?tt:.に伝えた事は
や atempoが過度になってしまう傾 J
i
l
Jがあった c
大きな成果である c 更にオーケストレーションを
atempoで
志i
l
哉した g
!jiきんペゑボーカルスコアのエデイション
はテンポが反り過ぎてしまうのである。そこで玄
比較は大変有意義な'アtび、になるもので,次同以降
主目し,音符に対する
の要素であるイタリア話に i
の課題としたい。
つまり,
r
i
t
. はどんどん遅くなり,
:
.はオペラ伴奏に必要な基
本講義を通して受講 t
言葉の付き方とそれに伴ったテンポの指示を見比
べた。例えば,
P.
1
3
0の 2段 日 “ quandome'n
礎 知 l識を得る事ができた c しかしながら,作山家
v
o
's
o
l
e
t
t
aperl
av
i
a
" (譜例 6) の 問 所 で は , 第
によってその奏法は異なる事であり,その矢口 I哉に
2小 節 日 第 1拍 日 に atempoの指示があるが,
。、
ついては深めるべき事が多くある。本講義を基に,
l
e
t
t
a
" という言葉は,前小節第 3
;
}
1I日長約か
多くの戸来家と共演を重ねる事でその知識は深め
ら始まっているのであるぺその場合の第 3抗 日 裏
られるぺ作巾家の特徴だけでなく,戸柏や声域を
打l
の嬰ハ音を r
i
t
. の途Ijlとして J
足えるのではな
珂解する事でも伴奏のJI!百は広がる 、また可能であ
く
, アウフタクトとして才く I
J、
在百の atempoに J
i
l
J
ればオペラアリアのみではなく,オペラ 1本を通
'H,I
司頁 2
して弾く機会があるとなお良い。ドラマを青楽で
かうように演奏する事を指示した c
r
段 目 第 3小節目の "
l
ag
e
n
t
es
o
s
t
aem
i
r
a
.
.
.
.
"は
,
去現するのがオペラであり,アリアはそのIjlの一
先述した問所からの下降ゼクエンツになってお
部にすぎない。筆者円身の経験から,全体像を見
q
u
a
s
ir
i
t
. や atempoの指示も│司じ形で書
る事:ができた上でアリアを弾く事により,理解の
り
,
かれである。しかし,言葉の付き方が異なってお
国が広がる。オペラ伴奏に慣れる事で,オペラ作
1
1
I
1
1
1
1目か
品以外のオーケストラ作品,例えば協奏曲の伴奏
ら 始 ま っ て い る 辛 か ら , 先 述 の atempoの反り
を弾く時にも大変役。:つ O 本米オペラ伴奏は,所
々とは違う演奏をしなければならない事を雌認し
謂「伴奏」ではなく,歌と伴者に青楽を作る「併
i
Eの付きん宇
た c つまり,オペラ伴奏においては斤 J
走 」 で あ る c 日 本 で は ま だ 馴 染 み の 薄 い Kor
が青楽のフレーズに常抜に繋がっている事を理解
r
e
p
e
t
i
t
o
rf
i, 歌 子 と 対 等 な 立 場 で , 時 に は 歌 子
しなければならないわ以上の事を'予 t
:
.に伝えた結
山、".に耐について理解し,意見交換するできる能
呆,音来がスムーズに流れ,歌と「併走する」演
力を持った職業としての「オペラ伴奏者」であるぺ
J
能となった。
奏がJ1
それは折何者としての役割をも担う主民な役割で
i
r
a
" という言葉が atempoの第
り,“m
次に,のオーケストラの音をピアノで再現す
るという事についての指導を行ったわボーカルス
あるわオペラの伴奏は奥が深いものであり,本講
義も更に│付脊の深化の余地を十分に残しているぺ
コアではオーケストラ原山がピアノに細山されて
いるため,楽譜のまま弾くのではなく,楽譜には
書かれていないオーケストラ楽器の青も足して弾
くと良い事を伝えた。~息:譜通りに弾く事が当たり
前になっているう:
:
t
t
:
.にとっては,この事は今まで
に経験のない事であり,講義ノート
反響が大きかった。
1
を見ても
Mozartのオペラのボーカル
2
7
1
水因
子千・前田)j
)
J子 ・ 鎌 倉 亮 太 ・ 高 僧 雅 子 ・ 早 川 未 紗
I
伽
加胤
)ο
(
伯1
2
鈎
仰
3附
鶏普例 l
り〉
(伴奏者の条件について)
「伴奏ピアニスト」と「ソリスト」には根本的
に大きな差があり,その要肉が「人間性」にある
事を,今同改めて感じたわ「伴奏者に向いている」
{
殺事12>
「向いていない」という計価は,ピアニスト白身
の伺性を生かしつつソリストとアンサンプルでき
る「協調性」を持っている事がその条
nではない
だろうか。本質的に個性と白己主張の強い人はソ
リストに向いている事が多い。またそれが必要で
(
1
持例 3)
もある。伴奏者はもちろんソリストと同様に高い
技術が必裂であるが,加えて「心の持ち様」の勉
強が非常に大事である c高い芸術性を持ちながら,
かつソリストの気持ちを汲み取り,またソリスト
の実 )
Jを最大限に引き出し,そして何より伴奏者
自身が伴奏を心から来しむ事で素哨らしい演奏が
f
↑てまれるわソリストと伴奏者の心が一体化して,
「この曲はこの様な解釈で表現しよう」という気
( ~曹例日 〉
持ちが揃わなければ,観客にもちぐはぐな様子が
{云わり,望ましくない
u
まず山分自身の内而に向
き介い,真空3に問いかける事である
I円分がソ
l
f
tとして活動を
リストか伴奏者(オーケストラトJ
GiacomoP
u
c
c
i
n
if
宇治 l
abohe
血 Gよ
り
〈
話
器
{
到 6)
い加domeI
lv
o
合む)のどちら一方を選択するのか」あるいは「ど
ヲ
(sempr"!.'
t
d
心t
4,
did!
)
;
l
:
n
<
I
t
>S
'ml,,'~û{'ß;d耐"U; ,~ M ~.r(:<) H(>、 il {j u.d,: ι山間α aa daþ, i t込山)
,
TLMP(
JPlに
"
ALZERL
.
f
.、γり f
I= 0.
,
ちらも深く追求する演奏家を目指すのか」。次に
指導者や共i
寅者の意見を素 p
'
(に取り入れる心を持
正しく判断できる冷静な心を
ち,客観的に円分を I
保つ事,それが演奏家として成功の道に繋がる早
道ではないかと考える c i
毎外の青大では
7アンサ
ンプル科,伴奏科「が多く,伴奏者としての職業
の確収がなされているわ伴奏者は非常に重要な収
派な演奏家である c 日本ではまだその分野での教
育は乏しい様に思十、また,伴奏の勉強がソリス
)
t
:¥'(っとしたら,利点として,
トとしての活動にも 1
演奏の幅が広がる事,オペラであればオーケスト
ラを担、像して色々な楽器の青色を表現できる様に
なる事,ただソロの勉強だけをするよりも様々な
来器とアンサンプルを多く経験して,去;fJ!能 )
Jを
(鎌倉売木)
Jを高める事
高める事,それが深い音来の解釈能 )
に繋がると考える。また,ソリストとして様々な
テクニックを身につけた後に伴奏を勉強すれば,
2
7
2
アンサンプルするピアノ
r
a
ll.で青楽を
色々なタイプのソリストと介わせる事が IIJ能であ
hyl~ ,
り,伴奏者円身も楽しめる様になると考える。
終結させず,歌い出しに余韻 i
を残したまま青楽を
裂するに前会の nt.
や poco
繋げて歌をスタートさせるという演奏法,軒やか
(歌曲の伴奏について)
1
.F
.P
.T
o
s
t
i トスティの歌巾
なメロディと歌詞の│付脊に対して,多彩な和音の
を取り
処理のイ:
1
方で、あるわトスティで学んだ、様に,この
ト宇げたぺ歌詞の│付存から, この「祈り」は柔らか
作品も横の流れを大切に,メロデイラインの音だ
で穏やかな心の中から生まれたのではなく,どち
け強調して,
らかというと「必死さ J, I心の叫ぴ」の様な強い
あると感じた。また歌い子がプレスを長く続かせ
ものである。その内有を想像しにくい,美しく柔
なくてはならない「そよ風」を去現するアジリタ
らかなメロデイを丁寧に紡いでゆくこの歌には,
の部分は,歌手の息がよ己りなくならない様,尺と
伴奏も同じ様なレガートが必要である。トステイ
f
/が必要となっ
プレス杭置を杭よく合わせる練 y
の歌山の伴奏はどれもとても難しし、番難しい
T
こ
P
r
e
g
h
i
e
r
a祈り
トスティの歌巾から "
1
のは,「前突が l~v 、 J I絶えず和青で、刻む」事の
G
2
点であろう。この部分については,伴奏と折押両
面でアドバイスを担当した鎌倉氏と協力しながら
r
宇に手1背を繋いで行く事が大切で
3
.P
.Cimaraチマーラの歌山
チマーラの歌山から
主
(1
;愁)1 を取り
~Nostalgia ノスタルジア
1
_げた。前奏が短いため,最初
指導を行ったぺ如何にレガート(横の流れ)に歌
の一音から巾全体の本同気作りをしなくてはなら
の旋律にピアノを白然に添わせながら演奏するか
ず,とても難しい。忠人を失った深い悲しみの内
が課題であった c 受講生のレポートの中に「悲し
容の歌剖の抗写も抽象的で,情誌が汗かびにくし
みの歌剖の内容と,温かい青楽のギャップを楽し
この山の伴奏は真而日に角張った青で弾かず,と
みながら伴奏と歌を融合させるのが大事」という
にかくまろやかな青で衣現し,かつ青楽を止めな
興味深いものがあり,とても共感できた c この事
い様にしなくてはならなし
を中心に受講生と研究した結果,
W期間のほ業の
序盤の静けさから中
盤からラストに向けての長く小節をまたいだク
でとても効呆の高いものになった。
レッシエンドは,どこを山にするかを明確にし,
2
.S
.Donaudy ドナウデイの歌巾
我慢して我慢してゆっくりと盛り 1
_げて行く必要
ドナウデイの歌巾からは "
S
p
i
r
a
t
epurs
p
i
r
a
t
e
があるぺ歌詞の│付脅から非常に繊細な描写が必要
1
11
で,受講生はこの知期間の授業の中で仕上げる事
どうか吹いておくれ」を取り上げた c
f
l
j楽家をけ指す多くが歌った事のある有名な山
に苦しみながら取り組んでいた。 伴奏するにあ
で,特やかなそよ風に恋心を)同けさせようとする
たってよく斤われる「歌う様に」弾くと良い。こ
可愛らしい気持ちが歌われるものであるわ
のテーマは吹奏来や弦来 2
5と異なり,鍵盤来器奏
ドナウデイの歌巾の伴奏で必ず山てくるのが
「前安部分の歌う直前に現れる不円然な r
i
t
.J で
者には正しく捉えるのが難しい様に思う。心から
歌子と共に「歌う」には,パートをキ束習する際に,
あるぺこれを私は勝子に「ドナウディ節」と│呼ん
実際にプレスをしながらイタリア請を(意味を分
でいるぺ歌い手としては,歌い出しの前で音来を
かった
終結されるとプレスのタイミングに迷う
c
しかし
る
で)発音して歌ってみる事が効呆的であ
1
_
I基本的なピアノ伴奏」の難しさを感じさせ
他の作曲家には見られないドナウデイの特徴を逆
る歌山であったが,指導を重ねる内に大きな成長
子に取り,「それを興味深く思いながら,どの様
が見られ,発表会ではレベルアップした演奏と
にそれを身体に馴染ませるか,聴く人に納得させ
なったぺ
るかを研究する事はとても来しい」と受講 t
:
_に伝
4
.G
.A
n
t
o
n
i
o
.R
o
s
s
i
n
iロッシーニの歌巾
えると,興 l
床を持ってくれた様に感じた。
ロッシーニの歌曲
この曲で受講生と共に学んだ事は,前会の表現
r
I音 来 の 夜 会 「 よ り “ La
promessa約束"を取り上げた c
2
7
:
j
水因
子千・前田)j
)
J子 ・ 鎌 倉 亮 太 ・ 高 僧 雅 子 ・ 早 川 未 紗
ロッシーニの作品に感じられるのは,とにかく
'?阿部た J 'ハイセンス」な青楽である c 彼 の 子
しでも,人に恋をする気持ちはどの時代も同じで
あり,
1
仏、日本の歌剖でも,理解する事は IrJ能で
1
孜副であっても'?阿部た
にかかると重い苦しみの 1
ある。まずそれを理解するところからほ業が始
大人の愛の歌」に変化するわ戸来は「ヴォーカリー
まったぺ
ズ」以外は全てに歌詞が有るわ言葉からその詩人
"~ヒ干火の「では円く 4、さなイヒに好きな人を例え
の人中,作曲家の人 t
:
.と性格をよく士│同事は太一切
た,切なく可愛らしい初必の去剥が求められたぺ
である。ロッシーニの歌山は前突から遊び心が満
淡々とした前奏と間発の中にもわくわくした気持
載で,如何に充実した内容の濃い人生だ、ったのか
ち,また前会と問会では問突がさらに高帰感が必
と,想像してしまう。音来以外では料珂左大いに
l
r心に研究した。
要である事を r
得意としていたという事で,興味深い人柄である。
1 は桜が非い散る様子を去現する
」
さくら横丁 .
歌い手はもちろんの事,伴奏者も「遊び心」を十
)(切な特徴を説明し,「さらりと,はんなり」し
受業で
分に持ちながら演奏する事が大切である c J
た併やかな大人の恋を表現できる様,受講生と研
はまず,以上の事の説明から始めた。高いテクニッ
究した。歌の流れに対して,ピアノで青楽を止め
クと「ハイセンスな聞の取りん宇」が必民な難しい
ない事,拍の捉え庁によって桜が舞い散る情討を
伴奏であったが,数同の合わせのみにも関わらず,
より九く去現できる,その結呆,受講tt:.は音来を
十分に l~ い去剥が出米ており,とても歌い易いサ
珂解した良い状態で本番を迎えられた様に感じ
ポートを実現したその成呆は「作巾家への理解」
た
わ
が大きな子助けとなったと思われる cその志味で,
以上が今凶の「伴奏法 1J で私が受講生と共に
つ
青楽の夜会」は歌子より伴奏者のほうがむしろ
学び感じた事である。 伴奏者とソリストは共同生
楽しめるのではないかと思う位であり,受講生全
前をする AiA品の十議なものではないだろうか
員によ止非-度は伴奏経験を持って欲しい作山家で
らかが前に出すぎたり,勝子な演奏をすると良く
ある。
ない。「協調性」のみでは良い演奏家にはなれな
5
. t
l本歌曲
H本歌巾からは
1 (
I
jr
同
くら横丁 .
U
どち
いと感じるが,本番時の演奏家の身体の状態を良
r
I~ヒ秋の .1
(信時
潔)と , │
「
さ
再1
1
'
0 を取り 1
.げた。
く理解して互いに思いやりを持ち,演奏のキャッ
チボールを来しむ事が何よりも大切な様に思う。
1ヒ秋の」は何とも爽やかな X
i,¥ 、
1
1
主代の恋心を
最終的にソリストとして活動をする事のみを選ん
I~! った作品で,『さくら植 fJ は大人の恋心を切
だとしても,コンチェルトを演奏する際に,折押
なく I~! ったものである c
日本歌山で受講生が感じ
者やオーケストラとのコミュニケーションは大切
た事は,「その時代に t
:
.きていないので去現しに
であるし,若い時期から伴奏を経験する事は演奏
くい,情呆が浮かびにくい」であったぺ H本人で、
家としての見聞を広め,より丸い人間形成にも役
ありながら,ラテン詰の歌山の々が感情移入し幼
立つ様に思う。│時にはぶつかりあい「この部分は
い現代の i
?t
:
.達である、 1970年代 t
:
.まれの私にも
譲れない」と主張する事も大事で、あるし,その結
受講tt:.の気持ちはよく理解できたわではどの様に
呆違う伴奏者を選んだり,共演するソリストを選
この 2曲を解釈し,表現できる様に指導すれば良
んだり,そうやって悩みながら青楽の勉強を和む
いのだろうかと頭を怖ませた c
事をとても大事に思う
まず,素直に歌剖の内容を何度も朗読し,円分
II~ いに尊敬し什えなけれ
ば,本竺~の志味で青楽を「愉しむ」事は出来ない c
の心に響くまで、歌ってみる事。見た事のない美し
様々な受講 t
:
.と触れ合い共演し,この様な事を改
い H本の九き時代を想像して(映画などで勉強し
めて感じながら素哨らしい経験をした「伴奏法」
でも効呆的),胸ふくらませる事。昔の H本語の
であった。
上品さを楽しむ事。'f成の│時代に生まれていたと
274
(高橋雅子)
アンサンプルするピアノ
E 指導上の成果と課題
度の曲の呈をこなす貴重な体験ができて良かった」
「準備が卜分でない場合にもそれをカバーする指導
以上,課題に対する!日本的な指導内容を述べた。
授業に対する成呆を「記録として」判断できるの
:
.による授業評価アンケート iU31 と受
は」受講 t
講t
:
.が提出する
長業 3回であわせただけの本需
があり良かった J r
で大変であったが
I回ずつ大切に臨む事で全員が
取り組んでいたので良かった」
r
I最終レポート 1 (授業への提言)
である。 J
受業の説明は毎凶「非常に分かり劫し、」
と高い評価を受けているが,次は特筆に価する c
大多数から良い評価を得た .
Hで
,
.
n6時間
5日間の集中講義に対し,「設定の間隔と課題の
r1人 l人に調1/かく共体的にどうすればよいか教え
てもらえる Jrグループで、分かれ少人数で、できる Jr
為
になるぷが聞けて勉強になった J r
実際に実演し,
J
寧に教え,とても佼業が光尖 J r
様々な 1
1
1
1に対する
ぷ現や技法などを尖際に弾いて詳しい説明等を分か
り易くお}活しして下さる J rコンチェルトの伴奏を
勉強する事で,普段の白分の演奏にも役立つのでと
ても良い」
いい J I発表会の日限日の日程は岡難である」と
の提斤もあり,今後の課題である。しかし卒業後
にアンサンプルを仕事とする機会の多い受講Jtと
しては,短期間でアンサンプルをイ:1
1.げる方法を
獲得し,白信を持つことが出米たと判断する。
『最終レポート」の分析結果に見る授業の成果
I
I
J上」を
受講生のレポートには「志"識や技能の I
期末評価には以 1
'
.の記載が見られた c
r1人 l人に合わせた
ので毎週短時間の授業が良い J I集 11して取り組
めたので、良かったが,休日にほ業を設けない々が
深く細かく教えてもらえる J r先生が実際に演奏,
見本を見せてくれる J r
先生や T Aが分かり易く
負担は適当であるが,他の授業が込み入ってくる
J寧な指導 J r比除をうとえな
がら,どの様な音楽作りをするかを共体的に助言」
「話が納得できる」
感じる内科が多し¥. Iアンサンプルにプラスし,
i
い中
ソロにも応用できる J I本番までの時間がJnr
でのアンサンプルのんÎ i1~が学べ,今後に生きる」
「考える(頭を使って準備)ポイントを多く学べ
た,多くのアンサンプルの場で活かしたい」は,
これまでの指導方針に反対はなく,継続が受講 t
:
.
スタッフの指導│付脊をよく把握し真面目に実践し
の希望で、ある。なお(1名のみではあるが)説明
た成果である。
が「分かり劫いと思えなかった J '受講生に対する
る
対応が今後の検討課題である c 専門用語の説明,
l
j
i
.なるアンサンプル i
Lに留まらない青
摘にある I
受講Jtが納得できているかのフォロー,スタッフ
来の総合的学刊を実現できた」要肉は,受講Jtと
と受講Jtの感性の違いを,包有 )
Jを以て言1'1
而
1 の戸
共に真剣に学ぶスタッフの姿勢にもある。多くが
をかける態度が求められる c
.Hで合 l
山
i
の成果とも円負してい
I青楽の原点を学んだ」と答えた受講生の指
「今後(のアンサンプル活動に)に活かして行き
以ドは不定期集 11
講義に変更したことに対する
たい」と言うことは,この授業が受講Jtの今後の
「期間の設定」と「課題の景」についての意見で
i
l
i動に)(きく只献できた事に他ならない。更に次
の様にたる内容も見られた。「他の受講生の観察
ある。
から学ぶ事ができた」はほ業の合│山i
のd
H
.いの 1つ
「改普},'、〈は特にない」米{fーも夏の集中講義ではなく
不定期間講で、 l
*
.いJ r不定期のため i分な準備時間
が取れて
nかった J r鋭期間でのアンサンプルは少
し大変であるが,聞き過ぎず長liiめ過ぎずの設むで、モ
チベーションが保てて良かった J r
短時間である 4
2
ではあるが,受講生日らが獲得した「青楽を学ぶ
.の結呆から,これまでの指導
態度」であるぺ以 1
方針は非常に有益であり,指導計画の収奈(授業
内有,学ぶ段附の設定,教材の選択,授業方法)
と臨機応変に対応するスタッフの柔軟性は, (
今
2
7
5
水因
子千・前田)j
)
J子・鎌倉亮太・高僧雅子・早川未紗
者.アルスノヴァ,党行人.内藤克洋)
凶のレヴ、エルの受講生にとって)最適なもので
あったと判断する。取り分け,「伴奏の主民性を
iUO
'Rornanccssansparolcsopus19o
r
i
g
i
n
a
lpour
pianopourhautboisc
tpianoJ (
2
0
0
5年,Gerard
伝える人になりたし、」という記述は,スタッフに
:
.の 人
対 す る 何 よ り の 計 価 で あ る と 同 時 に , 受 講t
B
i
l
l
a
u
d
o
t,編曲:DavidW
a
l
t
c
r
)
iU1
"
L
'
c
r
i
s
i
rd
'
a
r
n
o
r
c:CantocP
i
a
n
o
f
o
r
t
cRTCORDT
P,231
向性が高まった事の去れであると感じるわ歌曲の
項で指摘した様に,「人向性を育てる事」が,ア
ンサンプルに限らず背楽では必民であろう
c
寄り
主1
2
i
“LaB
ohcrnc:CantocP
i
a
n
o
f
o
r
t
cRTCORDTp,1
;
j
O
[伴奏法 1
] 北海道教育大学(前期・期末)夜業
注目
評価アンケート(北海道教育大学保管)
添 お う と す る 「 心 J, 理 解 し よ う と す る 「 努 力 J,
参考文献
協同作業をしようとする「積極性」である。この
成呆は後期の「伴奏法 I
I
J に向け,より高度な│付
Iアンサンプルするピアノ
1)
そこから導き mした方法論
存を検討するステップとなろう。
Iピアノ共演法
2)
水田斧著,北海道
ートナーとしてのピアニスト,
ノf
マーテイン・カッツ著,茂木むつみ・上杉泰雄副,
るc ア ン サ ン プ ル 実 習 の み で は な く , リ ハ ー サ ル
時にスタッフが行う「イ:1
1.げ 」 の ア ド バ イ ス が 本
1
教育大学紀要第 6
5巻第 1~]-教育科学編, 2011年
今凶記載が叶わなかったが,演奏する者にとっ
て , 本 苔 で の 「 ・ 瞬 の 対 応 力 」 は 必 要 不 IIJ欠で、あ
7年間の授業成米と,
青楽 Jと友社, 2012年,東以
3) ビジュアルで来しむ
ピアノの世界, )
J
I
I須田務著,
株式会社学押研究社, 2007年,東以(両 i
象提供)
番でどの様に作用したかを実証で、きれば,非常に
4) ~ヴァイオリン・ハンドブック~, 1
1
1口r
!
.
:苫,株
有効な指導法となるに違いないぺ
式会社ミュージックトレード社, 2
0
1
;
j年,東京(削
今後 の 課 題 と し て お き た い。
{象提供)
(水田香)
執筆者
J
;
,凶
芥(北海道教育大学山見山校-ff楽文化専攻教J
,
え
前田
朋子(北海道教育大学計見沢校芸術課程非常勤講
、王
「伴奏法」相、''I教只)
師伴奏法」議義アシスタントチーフ 2006
注 l 参考文献 lを参照の事。
年 現イ1
:
)
注2 .
J
乏
業
初J回に拠出させるアンサンプルに関する意識
鎌 倉 必 太 ( 光 立1
7学問女子鋭期大学准教 J
乏伴奏法」講
調杢の「アンケ一人で項目 仰の白山記載である。
注3
「最終レポート. (2008 年度 ~2014 年度)北海道教
育大学岩見沢校鍵儲第一 i
J
I究室保管
注4
J
~講義ノ一人 11): 講義の最後に,受講生白身が講
義を過して気ついた事や'手んだ事などを記録し,
五アシスタント)
高橋推子(声楽家伴奏法」講義アシスタント)
早川
本紗(ピアニスト伴奏法」講義アシスタント)
協力者
岡本
T
_
f
i
i (オーボエ奏者伴奏法」講義アシスタント
i
d道教育大学粁見沢校鍵盤第ー研究
提iIけるハ北 i
写会保管。
2006~2014 年!支)
奥川
舞(北海道教育大学大学院札幌・岩見沢校音楽
iH 内司i ヴァイオリン 7,フルート 6,クラリネッ
専修鍵牒第一イり│究室 1'
I
f
.
, '伴奏法 1J T A,
ト1,オーボエ 1, トロンボーン 1,チェロ,チェ
百
己
主
求
)
ンパロ,サックス,ホルン,トランペットが続き,
ピアノアンサンプル,エレクトーンアンサンプル,
ノ
(k同
吾北海道教育大学岩見沢校
(前同
朋子北海道教育大学岩見沢校
ヴァイオリン・フルート・ピアノのトリオ,事~ 1
1
1
1
j
;,アリア 1,合唱 3
i
i
:6 i
i
:7 授業内で使用した課題曲および本論文の前
例については,以下の来訪・曲集を使用,オーボ
エ
ポピュラー&クラシックグI曲集 J (2011年,株
芸術課程非常勤講師)
( 鎌 倉 売 木 光 塩i
?
1
京│女子短期大学准教授)
式会社ヤマハミュージックメディア党行,監修:
(高橋雅子戸楽家)
宮村和弘,発行人:谷 1
1忠治)
(早川本紗ピアニスト)
i
i
:S i
i
:9
オーボエ・アルバム伴奏 CD付クラシッ
ク:?"曲選 J (
2
0
1
0年,株式会社ショパン発行,編著
2
7
6
音涼i)
c
化専攻教授)