第3部 国民負担と発電コストの削減 NEDOのPV発電コスト削減シナリオ (NEDO PV Challenges より) (独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) (独)新エネルギ ・産業技術総合開発機構(NEDO) 新エネルギー部 主任研究員 山田 宏之 本日の内容 1.「太陽光発電開発戦略 NEDO PV Challenges」 Challenges」 策定経緯 と 概要 2.発電コスト低減目標 3.どのように発電コストを下げていくか。 2 本日の内容 1.「太陽光発電開発戦略 NEDO PV Challenges」 Challenges」 策定経緯 と 概要 2.発電コスト低減目標 3.どのように発電コストを下げていくか。 3 1 1「太陽光発電開発戦略」策定経緯(1) 1.1「太陽光発電開発戦略」策定経緯(1) 【 【背景】 】 • 2009年の太陽光発電ロ 2009年の太陽光発電ロードマップ(PV2030+)策定から5年 ドマップ(PV2030+)策定から5年 が経過。この間、太陽光発電をめぐる環境も大きく変化。 • 国内においては 国内においては、固定価格買取制度の効果で大量導入社会 固定価格買取制度の効果で大量導入社会 の実現は目前となり、従来の「普及させるための戦略」から、 「普及後の社会を支える戦略」の検討が必要となってきてい る。 • 世界に目を向ければ、「太陽電池」の価格競争は激化し、 ば 産業構造も変化しつつある。 4 1 1「太陽光発電開発戦略」策定経緯(2) 1.1「太陽光発電開発戦略」策定経緯(2) 【 【太陽光発電開発戦略のねらい】 戦略 】 • 太陽光発電の大量導入社会における 1)太陽光発電の安定的拡大 2)産業基盤の強化 3)新たな価値創造の実現 )新たな価値創造 実現 の3つの視点から、現状分析、課題抽出を包括的に行い、その の3つの視点から 現状分析 課題抽出を包括的に行い その 課題解決の方策を検討。そこから今後の技術開発の指針を得 ることを目的として、「太陽光発電開発戦略」を策定した。 5 1.2 太陽光発電開発戦略 NEDO PV Challenges の概要 NEDO PV Challenges 太陽光発電大量導入社会における5つの課題 長期に安定した発電量確保の要求 国民負担の増大 • 固定価格買取制度の再エネ賦課金 の増加を抑制し、国民負担を軽減する 必要 必要。 発電コストの低減が必要! 立地制約の顕在化 • 導入ポテンシャルの限界 • 土地コストの上昇。 • 系統制約の顕在化 • 事業性の追求が進み、信頼性の確保に 対する要求も高まっている。 • 発電コスト低減のためにも信頼性の 高い発電システムが必要。 廃棄物大量発生の対応 グローバル競争の激化 • 大量導入は、将来の大量廃 棄を招く。 • 太陽電池モジュールの価格競 争が激化。 国内市場でも海外企業のシェ アが増 アが増。 リサイクルシステムの構 築が必要 築が必要。 6 1.3 国民負担の増大(1) 固定価格買取制度による再生可能エネルギー導入量 2012年6月まで 2014年9月末まで 設備認定容量 固定価格買取制 度導入前 制度導入 2年3ヶ月後 2012年7月~ 2014年9月末 太陽光 約560 1,938 (+1,378) 7 022 7,022 風力 約260 280 ((+20) 20) 121 中小水力 約960 963 (+3) 34 バイオマス 約230 241 (+11) 143 地熱 約50 50.1 50 1 (+0.1) 1 約2 060 約2,060 3,471 (+1,411) 7 349 7,349 合計 累積ベース、()内は増加分 (単位:万kW) (出典:経済産業省資料よりNEDO作成) 7 1.3 国民負担の増大(2) 太陽光発電の買取価格の推移 50 10kW未満 10kW以上(税抜き) 40 30 20 10 0 2012年度 2013年度 2014年度 2012年度 2013年度 2014年度 10kW未満 42円 38円 37円 10kW以上 40円+税 36円+税 32円+税 8 1.3 国民負担の増大(3) 高 発電 高い発電コストと賦課金負担 トと賦課金負担 日本 2012年度 2013年度 賦課金単価 (円/kWh) 標準家庭の負担水準 (300kWh/月使用) (円/月) ドイツ 2014年度 2013年 6.49 0.29 0.40 0.75 87 120 225 (5 28ユーロセント/kWh) (5.28ユーロセント/kWh) 1,943 (15.8ユーロ/月) 注) 金額は、全国平均。1ユーロ123円で換算。 資源 ネ ギ 庁 資源エネルギー庁:平成25年度調達価格検討用基礎資料 成 年度調達価格検討 基礎資料 ドイツの情報は資源エネルギー庁「平成24年度エネルギー白書」 9 1.3 国民負担の増大(4) 太陽光発電システム非住宅(10kW以上)の状況 システム価格(万 万円/kW)) 40 13% 45 40 40.0 36.0 35 35 32.0 30 ??.? 30 26 1 26.1 25 25 23.1 20.6 20 15 14% ) 32 5 32.5 28.0 27.5 20 15 29.0 10 10 5 5 0 0 2011 2012 2013 2014 買取価格 格/発電コ コスト(円//kWh) 45 (設備利用率 12% システム価格 (万円/kW) 発電コスト (円 /kWh) 買取価格 (円 /kWh(税抜き)) 2015 年度 10 本日の内容 1.「太陽光発電開発戦略 NEDO PV Challenges」 Challenges」 策定経緯 と 概要 2.発電コスト低減目標 3.どのように発電コストを下げていくか。 11 2.1 太陽光発電の目指すべき姿 2030年までに公的支援に頼らず自立して普及する 「普通のエネルギー」に。 (1)2020年には、すでに拡大した住宅用、メガソーラーだけでなく、ポテンシャ ルの大きい業務部門、産業部門で自家消費向けに、系統電力に代わって の大きい業務部門 産業部門で自家消費向けに 系統電力に代わ て 選択される発電コストを実現し、エネルギー消費を支える。 業務用電力価格並の発電コスト 14円/kWh を目指す。 (グリッドパリティ) (2)2030年までには 発電事業あるいは自家発電向け電源として 選択され (2)2030年までには、発電事業あるいは自家発電向け電源として、選択され る発電コストを実現し、エネルギー供給を支える。 従来型火力発電並の発電コスト 7円/kWh を目指す。 (ジェネレーションパリティ) (3)これらを実現する「信頼性」も確保。 (3)これらを実現する「信頼性」も確保 12 2.2 【非住宅分野】 発電 発電コスト低減目標 低減目標 発電コスト [円/kWh] 23円/kWh 14円/kWh 業務用電力価格並 7円/kWh 従来型火力発電の 発電コスト並 0 2013年 2015年 2020年 2025年 2030年 13 2.3 【住宅分野】 発電 発電コスト低減目標 ト低減目標 14 本日の内容 1.「太陽光発電開発戦略 NEDO PV Challenges」 Challenges」 策定経緯 と 概要 2.発電コスト低減目標 3.どのように発電コストを下げていくか。 15 3.1 発電コスト目標の算定方法比較 太陽光発電開発戦略 (2014) 考慮する項目 非住宅 (10kW以上) 前提 建設費 年間経費 収益 (発電能力) 撤去費用 運転年数 割引率(金利) IRR 法定耐用年数 固定資産税 定資産税 法人事業税 システム単価 系統接続費 土地造成費 (10kW未満) ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● (設備利用率) 年間発電量 出力劣化率 廃棄処理費 (10kW以上) ● 運転維持費 土地賃借料 住宅 (10kW未満) 調達価格等算定委員会 (2013) PV2030+ (2009) 非住宅 住宅 ● (設備利用率) ● (設備利用率) ● 16 3 2 発電コスト低減に有効なのは? 3.2 ※ 太陽光発電開発戦略で実施した感度分析の結果。 発電コストが変われば分析結果も変わる点に注意。 17 3.3 NEDOの技術開発の成果 太陽電池 種別 PV2030+目標 セル/モジュール(※) 成果 結晶Si 25%/20% 性能目標 バックコンタクト+ヘテロ接合統合技術を開発。 バックコンタクト+ヘテロ接合統合技術を開発 達成 19.3mm角セルで変換効率25.1%を達成(2014年3月)。 薄膜Si 薄膜S 18%/14% 小面積多接合セルで安定化効率12.3 %を達成 (2013年7月) (2013年7月)。 25%/18% 小面積セルで変換効率20.9%(2014年3月)を達成。 30cm角サブモジュールで変換効率17.8% (2012年2月時点世界最高)を達成。 12%/10% 小面積セルで変換効率10.3%を達成(2013年10月)。 5cm角サブモジュールで変換効率 角 変換 9.1 %を達成 (2014年2月時点世界最高)。 色素 増感型 15%/10% 小面積セルで変換効率11.9% (2012年9月時点世界最高)を達成。 5cm角サブモジュールで変換効率10.0%達成(2013年10月)。 Ⅲ‐Ⅴ族系 多接合 45%/35% (集光時) 4mm角セルで集光(302倍)時変換効率44.4%(2013年6月) を 1cm角セルで非集光時37 9% を、1cm角セルで非集光時37.9% 性能目標 達成間近 (2013年4月時点世界最高)を達成。 CIS等 化合物 有機薄膜 機薄膜 ※2020年の発電コスト目標実現に向け、2017年開発完了と想定したセル/モジュール変換効率目標(%) 性能目標 達成間近 18 3.4 【非住宅分野】発電コスト目標内訳 修繕費・諸費、人件費 廃棄処理費 土地賃借料 固定資産税 系統連系費 土地造成費 システム価格 発 発電コスト[ [円/kWh」 」 システム価格[円/W] モジュール変換効率[%] 運転年数[年] 設備利用率[%] 発電コスト 2013年 275 16 20 13 23 10 23.10 2020年 200 22 25 15 13 21 13.21 2030年 100 25 30 15 6 87 6.87 2013年 2020年 2030年 30 25 20 15 10 5 5 0 19 7円/kWh 14円/kWh 15%≦設備利用率≦13% 30年≦運転年数≦20年 15%≦設備利用率≦13% 25年≦運転年数≦20年 モジュール変換効率 %%[ ] 結晶シリコン 2020年目標 結晶シリコン 2030年目標 23円/kWh (2013年現在) システム単価[万円/kW] 20 3.5 使用形態によって異なるコスト 基本形 例① 例② 想定される 主な使用 形態 非住宅 (メガソーラー) ・大規模 地上設置 自己所有地 自己所有地 ・工場屋根 小規模 ・遊休地利用 ・農地 ・未利用地 未利用地 主目的 売電 売電 例③ 自己所有地 中小規模 管理者共有 ・ZEB ・工場屋根 主として売電 自家消費 例④ 自己所有地 小規模 ・ZEH 自家消費 考慮するコス システム価格 ト 土地造成費 費目 廃棄費用 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 固定資産税 ○ ○ ○ ○ 系統接続費用 ○ ○ ○ ○ 土地賃借料 運転維持費 発電コスト 7円/kWh 6円/kWh ○ 6円/kWh未満 5.5円/kWh未満 5.5円/kWh未満 21 3 6 日本で 「7円/kWh」達成の意義 3.6 • 日本国内でシステム価格100円/Wを実現 できる「モジュール価格」と「システム技術」 • モジュール変換効率 25% の高性能 • 運転年数 30年 の信頼性 世界で勝てる 日本の太陽光発電! 22 ご清聴ありがとうございました。 NEDO 新エネルギー部 太陽光発電グループ 山田宏之 ( [email protected] ) 23 www.nedo.go.jp 24
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