通所介護事業所。 - 日本理学療法士協会

Press Release
2015 年 4 月 9 日
リハビリテーション専門職の専従配置の有無で2分化される、
通所介護事業所。
プロセス・アウトカムともに明確な差。
平成26年度老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業
公益社団法人日本理学療法士協会は、厚生労働省老健局から補助金を受け、通所リハビリ
テーションサービスおよび通所介護サービスのこれからの在り方を検討する調査を実施致
しました。内容につきましては別添の資料および下記 URL をご覧ください。
http://www.japanpt.or.jp/activity/05_index/
【調査結果の要点】
1.リハビリテーション専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が専従で配置さ
れている通所介護事業所は、利用者の改善割合が高く、専門的な評価と分析に基づく
サービスが提供されていた。
2.地域との連携をもつ通所サービス事業所は 50%以上であった。
インフォーマルサービスへの活動支援は今後の課題であり、「マンパワー不足」「情報
不足」等の問題が明らかになった。
【調査客体】
通所リハビリテーション事業所 1500 施設、通所介護事業所 3000 施設(無作為抽出)
【回答率】
回答率:通所リハビリテーション 41.5%、通所介護事業所 36.1%
【出典】平成26年度老人保健事業推進費等補助金
老人保健健康増進等事業
「医療・介護のリハビリテーションサービスの利用履歴に応じた、
自立支援に資するこれからの通所サービスの在り方に関する調査研究事業」
以上
(お問い合わせ先)
公益社団法人 日本理学療法士協会 事務局職能課 担当:野崎展史、大津陽子
電話 03-6804-1422 e-mail:[email protected]
1)プロセス・アウトカムともに明確な差。
リハビリテーション専門職の専従配置の有無で2分化される、通所介護事業所。
リハビリテーション専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が専従で配置され
ている通所介護事業所は利用者の改善割合が高かった(図 1)
。プロセスとしては①専門的
な評価と分析のもと利用者のゴールを設定している(図 3)②居宅訪問による自宅環境の評
価の実施している③屋内外の課題の評価を実施している等の特長があった。なお、プログ
ラムの内容においても、傾向に違いがみられた(図 2)
。
図 1 日常生活自立度の変化(リハビリテーション専門職の配置状況別)
専従・兼務ともにリハ職なし(n=715)
専従・兼務ともにリハ職なし(n=1559)
専従リハ職なし(n=759)
専従リハ職なし(n=1650)
専従リハ職1職種以上(n=142)
専従リハ職1職種以上(n=271)
専従リハ職2職種以上(n=23)
専従リハ職2職種以上(n=47)
通所介護
要支援1-2
67.4%
67.3%
58.5%
47.8%
34.8%
30.3%
15.7%
15.5%
改善
5.2% 3.5%
5.1% 4.3%
悪化
変化なし
58.2% 56.8%
58.2% 61.7%
通所介護
要介護1-5
27.7%
28.0%
18.7%
18.5%
7.1% 4.1%
7.2%
2.1%
改善
悪化
変化なし
図 2 個別機能訓練Ⅱで提供されるプログラム 図 3 利用者のゴール設定の根拠
(特徴的なプログラムの抜粋)
(個別機能訓練計画への
(リハビリテーション専門職の配置状況別)
リハビリテーション専門職の関与別)
専従・兼務ともにリハ職なし(n=213)
専従リハ職なし(n=265)
専従リハ職1職種以上(n=163)
専従リハ職2職種以上(n=31)
リハ職が個別機能訓練計画に関与(n=265)
関与なし(n=1323)
通所介護
11.3%
10.3%
4.9%
3.2%
関節可動域訓練
21.1%
22.1%
要介護1-5
9.8%
6.5%
筋力増強訓練
通所介護
要介護1-5
根拠が明確でない
12.9%
3.7%
3.4%
3.3%
専門的評価or評価と分析に
基づく
8.7%
19.3%
73.2%
61.3%
IADL練習
注釈:リハ職:理学療法士、作業療法士、言語聴覚士
2
2)地域との連携をもつ通所サービス事業所は 50%以上。
インフォーマルサービスへの活動支援は今後の課題
通所リハビリテーション事業所および通所介護事業所ともに、半数以上の事業所で地域
とのつながりを構築できていることが分かった。一方、インフォーマルサービスへの活動
支援は今後の課題であり「マンパワー不足」
「情報不足」等の問題が明らかになった(図 4,5)
。
利用者の地域活動への参加を実現するためには、専門職を含めた様々なサポートが必要
であり、マンパワーが必要となる。利用者を参加に導く人材の育成が課題である。また地
域資源の発掘及び情報ネットワークの構築についても、今まで以上に取り組む必要がある。
図4
通所サービス事業所と地域との連携状況
51.0
55.5
地域ボランティアの活用
49.4
54
行政・地域包括支援センターの事業に協力
38.8
38.8
地域ケア個別会議への職員参加
15.2
19.4
住民主体(インフォーマル)の活動への支援
通所リハ(n=623)
通所介護(n=1082)
4.0
5.1
その他の活動に参加
単位(%)
0
50
)
図5 利用者の地域活動への参加支援 課題
人手が足りない
100
60.5
53.5
利用者が参加できるような地域
活動の情報を得る機会が少ない
49
40.5
事業の外部で利用者に関わる
ことが制度上可能なのか疑問
43.7
38.9
39.2
報酬上の評価が無いため
23.9
35
28.7
どのように取り組んでよいかわからない
通所リハ(n=623)
通所介護(n=1082)
11.1
法人責任者の理解を得ることが困難
4.3
地域活動に参加できる身体機能
を持った利用者がいない
10
13.9
その他
6.1
5.5
特に無い
5.1
6.5
0
単位(%)
20
40
60
80
100
)
3