ビオチン標識キット[アミノ基] 使用説明書 Code No.HY-1010 【目的・用途】 本キットは抗体やタンパク質などの一級アミンを含む分子にビオチンを標識するキット 【方法】 です。キットにはビオチン化試薬、バッファー、精製のための脱塩カラム、ビオチンラベ A.ビオチン試薬使用量の計算 ル化率を測定する HABA キットが含まれています。本キットは 1mL の反応液中で タンパク質のビオチン化率は目的タンパク質のサイズと一級アミンの分布、ビオチン 1-10mg のタンパク質をラベル化できる試薬が 5 回分含まれています。 化試薬の使用量に依存します。目的タンパク質1mol に対し、ビオチン化試薬 20mol を加えます。 本キットに含まれるビオチン化試薬(Biotin-AC5 Sulfo-OSu:分子量 556.59、スペーサ 1) タンパク質濃度の計算 ー 22.4Å)は pH7-9 のバッファー中で一級アミンと反応し、安定なアミド結合を形成し タンパク質濃度(mmol) ます(下図参照)。 = タンパク質サンプル濃度(mg/mL)×反応に使用する液量(mL)÷分子量(Da) 2) 反応に加えるビオチン化試薬濃度(mmol)の計算 ビオチン化試薬濃度(mmol) = 1)の計算結果(mmol)×20 HO HO ※20:タンパク質 1mol に対して 20mol のビオチン化試薬を加えます。 3) 反応に加える 10mM ビオチン化試薬の溶液量の計算 Biotin-AC5 Sulfo-OSu ビオチン化試薬の溶液量(uL) = 2)の計算結果(mmol)÷10(mM)×106 タンパク質 タンパク質 N H H2 N 一級アミンを持つタンパク質 ビオチン化されたタンパク質 【特徴】 例) 2mg/mL の IgG(MW146,000)を 1mL 使用する場合 2(mg/mL)×1(mL)÷146,000 = 1.37×10-5(mmol) 1.37×10-5(mmol)×20 = 2.74×10-4(mmol) 1) 一級アミンへのビオチンラベルに最適 2.74×10-4(mmol)÷10(mmol/L)×106 = 27.4 (uL) 2) 安定なアミド結合を形成 B.ビオチン化反応 3) 必要な試薬がすべて含まれており簡便 1) ビオチン化試薬を室温に戻します。 2) A-1)で計算したタンパク質溶液を調製します。1-10mg のタンパク質サンプルを 【キット内容・保存方法】 内容 ビオチン化試薬※1 容量 0.5-2mL のリン酸バッファーに溶解します。 保存 方法 使用期限 単品での販売 はそのまま反応に使用できます。Tris などアミンを含むバッファーに溶解してい ー 15 mg ※タンパク質サンプルがアミンフリー、pH7.2-8.0 のバッファーに溶解している場合 る場合や pH7.2-8.0 以外の場合はバッファー交換を行ってください。 3) 10mM ビオチンを調製します。ビオチン化試薬が室温に戻っていることを確認し、 脱塩カラム 5個 4℃※3 PBS(K不含) ※2 100 mL 1年 (未開封) SR-3520 HABA アッセイキット 2.2mg のビオチン化試薬を 400uL の超純水に溶解します。 ※必ず使用直前に調製してください。 4) A-3)で計算した量の 10mM ビオチン溶液をタンパク質溶液に加えます。 HABA/アビジン粉末 1本 HY-1110 ※1 分子量 556.59、スペーサー 22.4Å ※2 0.1M リン酸ナトリウム、0.15M 塩化ナトリウム ※3 ビオチン化試薬は開封後、-20℃で保存してください。 【使用上の注意】 ● ビオチン化試薬は吸湿性です。-20℃で保存し、使用前に室温に戻してから開封し てください。 ● ビオチン化試薬の溶解は反応直前に行ってください。ビオチン溶液は溶解直後か ら加水分解が起こります。これにより反応性が著しく低下しますので、1度に使用す る量だけ秤量・溶解し、ストック溶液は作成しないでください。 ● 一級アミンを含むバッファー(Tris、Glycine など)を用いないでください。サンプル中 に含まれる場合には一級アミンを含まないバッファー(リン酸バッファーなど)に置 換してください。 ● 本キットの脱塩カラムは 0.5-2mL 中にビオチン化タンパク質が 1-10mg 含まれるサ ンプルに最適化されています。 5) 氷上で 2 時間、または室温で 30-60 分間インキュベートします。 C.バッファー交換 未反応のビオチン化試薬を脱塩カラムを用いて除きます。キットの PBS(K 不含)以外 のバッファーを用いることも可能ですが、HABA アッセイを行う場合はカリウムにより 阻害されますのでカリウムを含まないバッファーを用いてください。 1) 脱塩カラムの底のプラグを折り、15mL の遠心管にセットします。 2) 1,000×g・2 分間遠心し、保存液を除きます。 ※アングルローターを使用する場合はカラムに印を付け、以降の遠心の向きを 揃えてください。 3) カラムの平衡化 PBS(K 不含) 2.5mL を加え、1,000×g・2 分間遠心し、溶出液を除きます。 この操作を 3 回繰り返します。 4) カラムを新しい 15mL 遠心管にセットし、ビオチン化タンパク質溶液を加えます。 ※サンプルが 1mL 以下の場合、カラムにサンプルをアプライした後、サンプルと 合わせて 1mL となるように超純水を加えます。 例) 700uL サンプルの場合、300uL の超純水を加えます。 5) 1,000×g・2 分間遠心し、溶出液を回収します。 ※ビオチン化タンパク質は一般的に冷蔵で保存します。-20℃以下で保存する 場合、グリセリンなどを加え、不凍の状態で保存してください。 D.HABA アッセイ ビオチンラベルしたタンパク質のラベル化率は HABA アッセイにより算出します。 例) IgG (MW146,000)、0.69mg/mL をラベル化し、キュベットで測定した場合 フリーの HABA は 348nm に吸収のピークを持ちますが、アビジンと結合することにより A500HABA/アビジン = 0.904 吸収のピークは 500nm に変わります。HABA とアビジンの親和性(Kd=5.8×10-6M)はビ A500HABA/アビジン/ビオチン = 0.771 オチンとアビジンの親和性(Kd=1×10-15M)より弱いため、HABA/アビジン複合体はビ ΔA500 オチン/アビジン複合体へと変わり、500nm の吸収が減少します(下図参照)。 ビオチン濃度(M) :0.0426/34,000×1×10 = 1.2×10-5 (M) : 0.9×0.904-0.771 = 0.0426 タンパク質濃度(M) :0.69/146,000 = 4.7×10-6(M) ビオチン化率 500nm 吸光値 :1.2×10-5/4.7×10-6 = 2.5 タンパク質 H H H B アビジン アビジン H H H B タンパク質 HABA/アビジン複合体 HABA/アビジン/ビオチン複合体 H B 【トラブルシューティング】 H タンパク質 解離したHABA ビオチン化されたタンパク質 トラブル ビオチン化できない 1) HABA/アビジン溶液を調製します。 HABA/アビジン粉末に PBS(K 不含) 5 mL 加え、混合します。 ※HABA/アビジン溶液は 4℃で 2 週間安定です。沈殿が生じた場合は 0.45um フィルターろ過してご使用ください。 液中にカリウムが含まれる場合、沈殿が生じます。カリウムが混入しないよう に注意してください。 ビオチンラベル化率 が低い 以降の操作はキュベットを使用する場合とマイクロプレートを使用する場合で方法が 異なります。適切な方法を選択し、行ってください。 タンパク質の機能が 失われた ●1mL キュベットを用いる場合 2) HABA/アビジン溶液 900uL を 1mL キュベットに加えます。 3) 500nm の吸光値を測定し、記録します。(A500HABA/アビジン) 4) ビオチン化タンパク質溶液 100uL を HABA/アビジン溶液の入ったキュベットに加 脱塩後タンパク質の 回収率が低い え、ピペッティングにより十分混合します。 サンプルが 1mL 以下の場合、カラムにサンプルをア 5) 500nm の吸光値を測定し、記録します。(A500HABA/アビジン/ビオチン) プライプライした後、サンプルと合わせて 1mL となる ※吸光値が 0.3 以下の場合、ビオチン化タンパク質溶液を希釈し、もう一度測定 ように超純水を加えます。 を行ってください。 6) ビオチン化率の計算 ΔA500 = (0.9×A500HABA/アビジン)-(A500HABA/アビジン/ビオチン) ビオチン濃度(M) = ΔA500/34,000×1×10×(希釈倍率) -1 -1 HABA アッセイで A500 が 0 以下 ※εHABA/ビオチン = 34,000M cm 、光路長 = 1cm、 10:ビオチン化タンパク質の希釈倍率(反応液への混合) ビオチン化タンパク質を希釈して反応液に加えた場合には(希釈倍率)を 掛けてください。 タンパク質濃度(M) = タンパク質濃度(mg/mL)/分子量(Da) ビオチン化率 = ビオチン濃度(M)/タンパク質濃度(M) ●96 ウェルマイクロプレートを用いる場合 2) HABA/アビジン溶液 180uL をウェルに加えます。 3) 500nm の吸光値を測定し、記録します。(A500HABA/アビジン) 4) ビオチン化タンパク質溶液 20uL を HABA/アビジン溶液の入ったウェルに加え、プ レートミキサーなどにより十分混合します。 5) 500nm の吸光値を測定し、記録します。(A500HABA/アビジン/ビオチン) ※吸光値が 0.3 以下の場合、ビオチン化タンパク質溶液を希釈し、もう一度測定 を行ってください。 6) ビオチン化率の計算 ΔA500 = (A500HABA/アビジン)-(A500HABA/アビジン/ビオチン) ビオチン濃度(M) = ΔA500/34,000×0.5×10×(希釈倍率) ※εHABA/ビオチン = 34,000M-1cm-1、光路長 = 0.5cm 10:ビオチン化タンパク質の希釈倍率(反応液への混合) ビオチン化タンパク質を希釈して反応液に加えた場合には(希釈倍率)を 掛けてください。 タンパク質濃度(M) = タンパク質濃度(mg/mL)/分子量(Da) ビオチン化率 = ビオチン濃度(M)/タンパク質濃度(M) 原因・対策 バッファーに一級アミンが含まれている 一級アミンが含まれないバッファーを用いてください。 ビオチン化試薬が不活性化している ビオチン化試薬は使用直前に調製してください。 反応液に含まれるビオチン化試薬量が不十分 タンパク質溶液の濃度に対して加えるビオチン濃度を 増やしてください。 タンパク質溶液に不純物が含まれている 精製したタンパク質を安定化するために BSA などの キャリアータンパク質が含まれている場合がありま す。ビオチン化反応が競合しますので、キャリアータ ンパク質を除いてください。 ビオチンが過剰にラベル化されている タンパク質溶液の濃度に対して加えるビオチン濃度を 減らしてください。またはビオチン化反応の時間を短く してください。 サンプル量が 1mL 以下の場合に超純水を加えていな い HABA アッセイの結 果 、 ビ オ チン ラ ベル 化率が高すぎる タンパク質が不安定 目的タンパク質に適したバッファーで脱塩カラムの平 衡化を行ってください。 HABA/アビジン溶液とビオチン化タンパク質溶液が 十分に混合できていない ビオチン化タンパク質溶液は加えるだけでは混合しま せん。ピペッティングやプレートミキサーにより十分混 合してください。 沈殿が生じている フィルターろ過をしてください。 未反応のビオチンが残っている アッセイを行う前に脱塩カラムを用いて未反応のビオ チンを除いてください。
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