新刊 - 土木学会

土木学会の本
新刊
土木技術者倫理問題
−考え方と事例解説Ⅱ−
土木学会 技術推進機構
継続教育実施委員会 委員長:依田 照彦
継続教育教材作成小委員会 委員長:佐々木 寿朗
目
次
第1章 土木技術者の倫理規定
1.1
1.2
1.3
1.4
求められる自律性
技術と技術者倫理
技術者の行動と倫理
事例
第2章 技術者倫理問題の考え方
2.1 観点
2.2 倫理問題を考えるための「もう一つの PDCA」
2.3 もう一つの PDCA による事例解説
第3章 事例解説
3.1
3.2
3.3
3.4
3.5
自律性
誠実性・公平性
継続教育・人材育成
説明責任・情報開示
法令遵守・率先垂範
演習問題・コラム・資料
官公庁や企業の職員・社員研修に最適 学生や若手技術者も理解できる
24 の事例を通して考える
本書は、「土木技術者が書いた土木技術者のための技
術者倫理の本」として出版した『土木技術者倫理問題−
考え方と事例解説−』の続編です。
24 の事例の約7割において、倫理的ジレンマの主体
を学生や 20 代、30 代の若手技術者としました。技術者
倫理問題の考え方や事例の解説の仕方は前著にならっ
ています。これは、類書にはない本書の特色です。また、
事例の理解に役立つように、事例文の中に現れるいくつ
かの用語について簡単な説明を加え、さらに、演習問題
を掲載し、事例に関連したいくつかの用語解説も行って
います。
本書が対象とする読者は、技術者倫理を教育課程の中
で学びつつある学生、実務に携わられている技術者倫理
に関心をお持ちの土木技術者の方々です。もちろん、技
術者倫理教育に熱心に取り組まれている教育関係者の
方々にも役立ちます。
■ 平成22年6月発行、A5判、193ページ、並製本
■ 定価:1,575円(本体1,500円+税)
■ 会員特価:1,420円(税込)
■ 送料:450円
ISBN978-4-8106-0712-3
ホームページ・FAX にて購入申込受付中!
■ Web 注文 http://www.jsce.or.jp/publication
■ FAX 注文 裏面の「土木学会 図書注文書」をご使用ください。
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(社)土木学会・出版事業課 書籍販売係
TEL 03-3355-3445/FAX 03-3355-6055
E-mail [email protected]
丸善(株)・出版事業部
TEL 03-6367-6038/FAX 03-6367-6158
送信日:平成 年 月 日
FAX:03-3355-6055
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書 名
【P712】 土木技術者倫理問題 考え方と事例解説Ⅱ
定価
会員特価
注文冊数
1,575円1,420円
冊
技術者倫理に関する既刊図書
書 名
定価
会員特価
注文冊数
【P449】 土木技術者の倫理-事例分析を中心として-
1,260円1,140円
冊
【P530】 技術は人なり-プロフェッショナルと技術者倫理-
1,260円1,140円
冊
【P531】 土木技術者倫理問題-考え方と事例解説-
1,050円 950円
冊
通信欄
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ております。ご通知がない場合,未払い扱いとなり,再請求書をお送りすることがあります。
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【問合先】
(社)土木学会 出版事業課 〒160-0004 東京都新宿区四谷1丁目外濠公園内 TEL: 03‐3355‐3445 E‐mail: [email protected] http://www.jsce.or.jp/publication/
i
は じ め に
「 善 い こ と を す る と 得 」、「 悪 い こ と を す る と 損 」 ― ― 人 間 社 会 に
おける大原則であり、守るべき規範、倫理でもある。近年の種々の
偽装事件の顛末を思い起こせば、
「悪いことをすると損」であること
は実感として伝わってくる。それに対して「善いことをすると得」
はなかなか実感できない。あまりにも当然のことと思うからだ。
しかしながら、技術もそして社会もますます複雑化している中で、
善いことと悪いことの区別がつきにくい場合も決して少なくない。
善悪を本質的に区別することは人知を超えるものであり、倫理は
神のみぞ知る世界であるとする人もいるが、科学技術の力で善いこ
とが実現できるという立場こそが技術者の立場である。
技術者は、専門的な学習や経験で身に付けた「技術」を行使する
立場にある。この「技術」は、使い方によっては不特定多数の人々
に良い影響も与えるが、悪い影響も与える可能性を持っている。そ
れゆえに、技術者になろうとする者には、
「技術が社会や自然に及ぼ
す影響や効果、および技術者が社会に対して負っている責任に関す
「倫理を軽視しない」ことに加えて、
「技術
る理解」※ が必要である。
者倫理を理解する」ことが、技術者人生のスタートラインに立とう
とする者をはじめ、技術者でありつづけようとする者に求められて
いる。
本書は、2005(平成 17)年に出版した『土木技術者倫理問題-考
え方と事例解説-』の続編である。前著では、土木技術者が遭遇す
ると思われるような 24 の問題(事例)を通じて、それぞれのケース
で技術者としてどのような行動(行為)が考えられるかを、土木学
会が制定した『土木技術者の倫理規定』を拠り所にした考え方のス
テップと判断のための観点とともに示した。
ii
前著の出版後、事例についてもっと学生の技術者倫理教育にも役
立てられるようなものを考えてもらえないか、また、学生が土木界
の一端に触れられるような情報も盛り込んでほしいとの要望があっ
た。
本書では、こうした要望に配慮し、事例解説の方法は前著になら
うものの、24 の事例の約 7 割において、倫理的ジレンマの主体を学
生や 20 代、30 代の若手技術者とした。このうち、学生がジレンマの
主体である事例が三つある。学生生活で遭遇しそうな身近な事例を
通して業務上の類似な事例を知ることを意図している。さらに事例
の内容の理解に役立つように、事例文の中に現れるいくつかの用語
についての簡単な説明や、事例文のみの演習問題も掲載した。
また、本書では、コラムを設けて、事例に関連したいくつかの用
語解説を行っている。コーヒーブレイクとして一読をお奨めしたい。
本書が、比較的若手の方々に、技術者倫理を学ぶ材料として、さ
らに実際に問題(ジレンマ)に遭遇した場合の参考書として活用さ
れることを大いに期待している。また、シニア技術者の方々におか
れても、若手技術者の教育に役立てていただけるものと確信してい
る。
(社 )土木学会 技術推進機構
継続教育実施委員会
委員長 依田 照彦
※ 日 本 技 術 者 教 育 認 定 機 構 ( JABEE) が 定 め る 『 日 本 技 術 者 教 育 認 定 基
準 』( 2010 年 度 版 ) の 「 基 準 1 学 習 ・ 教 育 目 標 の 設 定 と 公 開 」 に 示 さ
れている技術者倫理に関する内容である。
iii
〔本書の使い方の例〕
本書では 24 の事例を取り上げた。まずは事例に登場する人物にな
りきって、技術者倫理の実践の観点から、
「どうすべきか」、
「どうあ
るべきか」を考えていただきたい。それから、本書で紹介する PDCA
は 一 般 に 使 わ れ る PDCA サ イ ク ル と は 違 う が 、 Problem- Detail-
Check- Action の四つのステップ(もう一つの PDCA)に従って、そ
の内容を確認することにより自分が考えたこととの対比を試みてほ
しい。
本書を大学などでの「技術者倫理」の講義(90 分を 15 回)の副読
本として利用される場合、第 1 章や第 2 章を簡単に解説した後、第 3
章の 24 の事例を適宜選択していただければ、その多くを教材とする
ことができる。このとき、場合によっては解説の足りないところは
補うなどしてディスカッションを行い、
『倫理規定』が示す技術者の
あるべき姿について学生の方々と一緒に確認することが効果的であ
る。さらに、本書の事例以外にも土木技術者が遭遇すると考えられ
る身近な問題を取り上げ、技術者倫理の観点からどう判断すべきか
について、本書で示した考え方を援用して検討してみることもよい
であろう。その足がかりとして演習問題(倫理問題に関係する事例
文のみ)を適宜本書中に挿入しておいた。これらを活用してもう一
つの PDCA による倫理問題の解決の考え方を習得するよう試みていた
だきたい。
なお、前著『土木技術者倫理問題-考え方と事例解説-』には、
本書の事例に類似するものがある。その場合は、事例の解説の最後
に
参考事例として前著の事例番号とタイトルを記した。発展的な
学習に役立てば幸いである。
iv
目
次
はじめに
第 1 章 土木技術者の倫理規定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
1.1
求められる自律性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
1.2
技術と技術者倫理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
(1) 企業活動の変化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
(2) 技術者の国際化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
(3) 環境問題の高まり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
1.3
技術者の行動と倫理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
1.4
事例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
第 2 章 技術者倫理問題の考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
2.1
観点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
(1) 関連する事実 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
(2) 事実関係の一致 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
(3) 概念の一致 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
(4) 概念の適用上の一致 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
(5) 何を行うべきか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
(6) 線引き問題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
(7) 相反問題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
(8) 功利主義の三つのテスト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
(9) 個人尊重の三つのテスト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
(10) 考慮すべき重要事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
2.2
倫理問題を考えるための「もう一つのPDCA」・・・・・・・・・24
(1) 四つのステップ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
(2) もう一つのPDCA ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
2.3
もう一つのPDCAによる事例解説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
v
第 3 章 事例解説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37
3.1
自律性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41
事例 1
想定されたひび割れへの対応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42
事例 2
専門家の発言 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47
事例 3
安全に配慮した提案 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52
3.2
誠実性・公平性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59
事例 4
費用対便益の扱い ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60
事例 5
頼まれた出席カードの提出 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65
事例 6
技術情報誌の編集 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・70
事例 7
部下の社内昇級試験への関与 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・77
事例 8
工事検査での便宜 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・82
事例 9
契約後VEの提案 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・88
3.3
継続教育・人材育成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・93
事例 10
日常業務と継続教育 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・94
事例 11
安易なコピー・アンド・ペースト ・・・・・・・・・・・・・・・・・98
事例 12
新入社員OJT担当者の悩み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・103
事例 13
専門技術を活かせない職場 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・108
事例 14
丸写しで提出した製図課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・113
3.4
説明責任・情報開示 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・119
事例 15
グループ実験でのデータのとりまとめ ・・・・・・・・・・・・120
事例 16
施工ミスへの対応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・125
事例 17
危険情報の公開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・131
3.5
法令遵守・率先垂範 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・137
事例 18
報告書と著作権 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・138
事例 19
公務員となった同窓生とのつきあい ・・・・・・・・・・・・・・144
vi
事例 20
秘密情報の漏洩 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・148
事例 21
ミルシートの改ざん ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・154
事例 22
事故発生現場の変更と提出写真の改ざん ・・・・・・・・・・159
事例 23
低迷する資格試験合格率 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・165
事例 24
紛失したUSBメモリー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・170
演習問題
1 気がつかなかった設計図面の間違い ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・57
2 コンクリート打込み中のトラブル ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58
3 ところてん式に卒業させた学生 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・117
4 鉄道会社による対応の違い ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・136
5 個人情報を含むデータ送信 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・164
コラム
世 代 間 倫 理 ・・・13 倫 理 と 道 徳 ・・・36 製 造 物 責 任 法 ( P L 法 ) ・・・46
チ ー ム ワ ー ク ・・・69 O D A の 目 的 ・・・76
報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 ( ホ ウ レ ン ソ ウ ) ・・・107 論 文 発 表 の 重 要 性 ・・・112
建 設 マ ン ・・・153 ホ イ ッ ス ル ブ ロ ワ ー ・・・169
土木技術者倫理問題-考え方と事例解説-の掲載事例 ・・・・・・・・179
おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・180
本書作成関係委員 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・182
■ 資 料
* 社会資本と土木技術に関する 2000 年
仙台宣言(土木学会) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・183
* 技術士倫理要綱(日本技術士会)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・186
* 建設コンサルタント技術者の倫理
( 建 設 コ ン サ ル タ ン ツ 協 会 ) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・188
* 社 団 法 人 建 設 コ ン サ ル タ ン ツ 協 会 倫 理 綱 領 ・・・・・・・・・・・・・・・193