摩擦と吸着 - 信州TLO

洗浄剤/ヘアケア製品-背景
頭髪に適用されるヘアケア製品は使用目的・種類も多種多様
分類
使用目的
ヘアケア
主な製品
洗 浄
シャンプー
トリートメント
コンディショナー, ヘアトリートメント
整 髪
ヘアフォーム, ヘアスプレー, ヘアワックス, ヘアリキッド
パーマ剤
パーマネントウエーブローション1剤, 2剤
染毛,脱色
ヘアカラー, ヘアブリーチ, カラーリンス
頭髪用の洗浄製品
約2,000億円の市場
「フレグランスジャーナル, 41(10), 77
(2013) 」より改変(抜粋)
洗浄能力
感覚(触覚、視覚、嗅覚)の向上
使用感(摩擦)評価への挑戦
毛髪触感の計測手法と問題点
近年の計測技術の発展に伴い、多くの計測技術が提案
手触り摩擦試験器
コーミングテスター
摩擦感テスター
(テクノハシモト社製)
(カトーテック社製)
ロードセル
NBR:アクリロニトリルブタンジエンラバー
福地ら、Fregrance Journal 1989-10より改変
感度や再現性の高いデータは困難
毛髪側の問題(個体差、履歴、三次元構造など)
キューティクルの構造とモデル材料
毛髪表面
重層部分
約 5μm
図 キューティクルの鱗片
左, 頭皮に近い根元-綺麗 右, 先端部-磨耗・破損
毛髪表面モデル
幅:5~20μm
高さ:0.5~1μm
長所
短所
・二次元で広面積
・幅と高さは自在
・合成高分子
・吸着・吸収性
(健常毛とダメージ毛)
・同一規格を量産
約 0.5μm
図 キューティクルの大きさと重なり方
「毛髪の科学/フレグランスジャーナル社 (2002) 」より
・指/手触りに耐えられる生体材料は?
・凹凸 (0.5×5μm) の二次元構造物?
ケラチンフィルムの見直し
特性
(1)二次元で綺麗な表面
(2)ある程度の強度
(3)毛髪と類似したアミノ酸組成(右表を参照)
(4)特有の微細構造(下図を参照)
× 5K
5μm
× 50K
0.5μm
コルテックス/代替毛髪
キューティクル/代替毛髪としては?
アミノ酸組成 (mol%)
Amino acid
Keratin film
Hair
Cuticle*
Aspartic acid
Glutamic acid
Tyrosine
Lysine
Arginine
Half-Cystine
Serine
Threonine
Alanine
Leucine
Phenylalanine
Valine
Isoleucine
Glycine
Proline
Tryptophan
Histidine
Methionine
5.3
12.4
2.4
1.9
7.2
16.5
10.5
8.1
4.0
6.2
1.6
5.6
2.7
5.5
8.7
0.9
0.4
4.9
11.4
2.0
2.7
5.8
17.5
11.7
6.0
4.6
5.8
2.2
5.8
2.6
6.4
8.4
0.9
0.6
3.1
8.9
1.4
3.5
3.0
20.3
17.0
4.3
5.2
4.2
1.2
6.7
1.9
8.7
9.4
0.6
0.4
*「Wolfram and Lindemann, J. Soc. Cosmet. Chem., 22, 839-850 ( (1971)」より
方 法(処理と計測方法 )
シャンプー類処理
5 min
シャンプー類
塗布
摩擦感テスター
(KES-SE-SR-U;
カトーテック)
浸水洗浄
(10 min)
乾燥
(overnight)
EDS(エネルギー
分散型X線分析)
・質量
・外観
・微細形態
・KES (MIU)
・EDS
・FT-IR
FT-IR(フーリエ変換
赤外分光光度計)
(JSM-6010LA;日本電子) (IR-Prestage21;島津製作所)
市販シャンプー類のケラチンフィルムへの影響
質量変化 (mg)
19
18.27
18
17
0
+ 0.40
+ 0.50
+ 0.17
~
D.W.
シャンプー①
形態変化
質量、形態への顕著な変化はない
コンディショナー①
シャンプー +
コンディショナー ①
処理前後での評価が可能
フィルムと毛束の平均摩擦係数(MIU)
ケラチンフィルムと毛髪ストランドの摩擦
2
D.W.処理後
1.5
MIU
MIU
Dry
2
1.5
1
0.5
繰り返しの摩擦測定
市販シャンプー +
コンディショナー
処理後
0
ケラチンフィルム 毛髪ストランド
Wet
1
0.5
0
0 0
5
10
測定回数
15
・毛髪ストランド(100本)よりも6-7倍高い MIU
・繰り返し計測(20回)に耐えられる ・水中での計測も可能
20
市販シャンプー類処理
2
①
MIU
1.5
②
①
③
①
1
② ③
② ③
0.5
0
D.W.
シャンプー
コンディショナー
シャンプー +
コンディショナー
・摩擦はコンディショナー処理で低下
・MIUの低下は、何に由来するのか?
吸着物 形態変化 構造変化 その他
シャンプー類のケラチンフィルムの吸着
EDSによるシリコンの吸着確認
SEM像
FT-IRによる成分吸着の確認
Si のマッピング
元素
シャンプー
コンディ
未処理 シャンプー ① ショナー ① コンディ
ショナー ①
C
80.5
76.0
73.5
73.6
O
12.5
16.4
18.3
19.5
S
7.0
7.2
6.6
6.6
Si
N.D.
0.5
1.6
0.3
ケラチンフィルムは、吸着性をもつ生体材料
摩擦と吸着のまとめ-毛髪との比較
特徴
毛髪
ケラチンフィルム
処理のしやすさ:
塗布量や洗浄の条件を明確に設定
サンプルの作成:
人による作成バラツキの削減と時間の短縮
データの再現性:
SDで0.01~0.05程度(n = 3×5)
フィルムの安定性:
ロット単位で品質管理(MIU低下など)
コスト:(削減を模索中)
洗浄方法があれば、数回の計測が可能
ウエットな条件での測定:
水中での摩擦計測も可
吸着物の分析:
EDS、FT-IRでの分析を模索中
/
今後、MIU変化と触感/感性評価との相関性の研究
お問合せ先
◎研究技術情報について
〒386-8567 長野県上田市常田3-15-1
国立大学法人信州大学 繊維学部 応用生物科学系
教授 藤井 敏弘 (不在の場合は、伊藤 弓子 あるいは 林 香)
TEL:0268-21-5518
FAX:0268-21-5511
E-mail:[email protected]
新しいHP (http://fiber.shinshu-u.ac.jp/fujii-lab/) をアップしております
◎ケラチンフィルム製品提供について
〒386-8567 長野県上田市常田3-15-1 信州大学繊維学部内
株式会社信州TLO 技術移転グループ 篠塚 由紀
TEL:0268-25-5181
FAX:0268-25-5188
E-mail:[email protected]