「ごっこあそび」で手紙の魅力を伝える(日本郵便株式会社)

販 促 支 援 事 例
日本郵便株式会社
「ごっこあそび」で⼿紙の魅⼒を伝える
幼稚園の園⻑先⽣の知⾒を活かしたプロモーション⽀援「おてがみ
ごっこあそび開発プロジェクト」
日本郵便株式会社、幼稚園の園⻑先⽣方、タナベ経営をプロジェクト
メンバーに開発された、幼稚園児を対象としたプロモーション・プログ
ラム「おてがみごっこあそび」。2014 年度は、約120 の幼稚園でプロ
グラムが導入、実施されました。プロモーションの⽬的、⼿応え、今後の
展望をプロジェクト・リーダーである⽇本郵便株式会社 切手・葉書室
担当部長 ⼭下健一郎氏にうかがいました。
⽇本郵便株式会社 本社 切手・葉書室 担当部長 山下 健⼀郎 ⽒
おてがみごっこあそび
幼稚園の授業や⽇常⽣活の中で「おてがみごっこ」を通じて、園児同士・園児と先生がコミュニケーションを
取ることにより、
「⼿紙」や「書くこと」の魅力を伝える幼稚園児を対象としたプロモーション・プログラム。
■⼿紙、書くことの魅力とは
要件を伝えるということにおいては、パソコンやスマート
フォンの⽅が優れているという認識はありますが、⼀方、⼿
紙がもつ魅力というのは、ライフスタイルや季節感に応じた
やりとり、⼿紙でしか伝えられない特定の相手に対する想
い、近況の報告といったところにあると考えています。私た
ちは、⼿紙のやりとりを通じて皆様に、⽂字や絵を伝えるこ
とを楽しみ、喜びを感じていただく、また、実際に⽣活に活
かしていただくということを⽀援している企業ですので、⼿
紙の流通量の減少という課題に対しては、⽇々、様々な部署
で取り組みを行っています。
幼稚園に届けられた「おてがみごっこあそび」キット。ポストを模したボックスには、紙製帽子、消印風スタン
プ、お手紙バック、ガイドブック、絵本、紙製ポスト(大・小)、切手型クラフトパンチ、アンケート用紙、返信用
封筒が入っています。
■はがき・⼿紙離れの現状
現在、⽇本郵便が国内で扱う郵便部数は、およそ220 億
通程度です。年々、数億枚ずつ減少しており、皆様も実体験
として感じていらっしゃるかと思いますが、⼿紙や郵便に触
れる機会は確実に減ってきています。2014 年度、5,000 人
規模のインターネット調査を実施したところ、⼿紙を書いて
いない、触れることのないという方が、約半数に達していま
した。
■これまでの取り組み
⽇本郵便では、過去5 年ほどにわたり、⼩学校、中学校、⾼
等学校を対象としたプロモーションを実施してきました。そ
れぞれ教材を⽤意し、授業の中で、⼿紙のやり取りを勉強し
ていただいていますが、現在、⼩学校では約半数、中学校で
は約1/4、⾼等学校では約17% の学校で採用していただい
ています。そうした中、2014 年度の段階で、幼児と⼤学生を
対象としたプロモーションは未着手の状態でした。
も貴重な経験でした。プロジェクトのメンバーである園⻑先
⽣とタナベ経営さん、私たち⽇本郵便とで定期的に話し合
いを重ね、どういった「おてがみごっこあそび」が最も効果
的なのか、また、どうすれば園児全員に参加してもらえるよ
うな環境や仕組みをつくることができるのかを考えていき
ました。
「おてがみごっこあそび」開発プロジェクト
検
説
証
状
仮
現
幼児教育に見識が高い幼稚園の先生
認
識
「より⼩さな頃から、⼿紙を⾝近に感じられる環境をつくることが⼤切」と語る⽇本郵便 ⼭下健⼀郎⽒
タナベ経営ディレクションチーム
全国
120 幼稚園へ
導入
私⾃身、⽇頃、仕事などを通じて若い⽅々と接する中で、
⼩さい頃から⼿紙や書くことに親しんでこられた⽅とそう
導入マニュアル
の
作
成
■幼稚園児に向けたプロモーションの意味
でない⽅とでは、コミュニケーションのとりやすさに違いを
感じることがあります。また、企業の方からも、新入社員の
⽅々の手紙や郵便にまつわるトラブルのお話を耳にするこ
とがあります。こうしたトラブルも、⼿紙や書いて伝えると
いうことへの経験の不足が⼤きな原因となっています。そこ
で、時間がかかる話ではありますが、より⼩さな頃から、⼿
紙を書くこと、書いて伝えること、相手に伝わることを楽し
い、好きだと感じられるような環境づくりをすること、また、
それを継続的に経験していける仕組みをつくることが⼤切
だと考えています。
■タナベ経営を選んだ理由
■幼稚園からの評価
初年度となる2014 年度は、約120 の幼稚園で実施して
いただきました。各幼稚園に「おてがみごっこあそび」⽤の
キットをお配りしたのですが、その中には、郵便屋さんの帽
子やお⼿紙バッグ、⽇常手に⼊りづらい消印スタンプや切手
⾵に紙を切り抜けるクラフトパンチなどが⼊っています。タ
ナベ経営さんにつくっていただいた⼩さなお⼿紙バッグも、
園児にはぴったりの⼤きさでした。帽⼦もとても楽しそうに
かぶっていましたね。園児にとっては、リアル感が⼤事だと
いうことで、こうしたなりきりツールのご提供は、幼稚園の
先⽣⽅からも好評をいただきました。
幼児を対象としたプロモーションに取り組むことになり
ましたが、そもそも私たちは、幼稚園がどういうところなの
か、園児の皆さんがそこでどのように過ごしているのかもよ
く知らないような状態でした。そうした中で、東京都幼稚園
連合会さんとのつながりもあるタナベ経営さんと⼀緒に、
現役の園長先⽣たちと直接お話をさせていただきながら、
幼児を対象としたアプローチを考え、プログラムの開発を
行うことができるということが⼤きな魅⼒に感じました。
■プロジェクトの進め方
まずは、実際に幼稚園にうかがい、先⽣⽅のお話を聞か
せていただいたり、園児たちの様⼦を⾒学させていただい
たりするところからはじめました。その中で、今回の「おてが
みごっこあそび」というプロジェクトにおいては、園児たちの
間で「ごっこあそび」がどのように発⽣するのかを知ること
■子どもたちにも変化が
「おてがみごっこあそび」を通じて、⼦どもたちが、⽂字に
興味をもったり、気持を込めて書くようになったりという声
も寄せられています。さらに、⼿紙を書いた後、お家に帰っ
て、切手を貼って、また持ってきたというお⼦さんもいらっ
しゃったようで、そういうお話を聞くとうれしいですね。こう
したことからも、⼿紙を⾝近に感じられる環境をつくること
が、いかに⼤事かということを実感しています。
■改めて気がついた⼿紙の力
⽇本郵便内のプロジェクトメンバーからも「当初は、⼿紙
を通じて、⼦どもたちに楽しく、仲良く遊んでもらおうとい
う発想でしたが、幼稚園の先⽣⽅から、教育的観点から見た
「おてがみごっこあそび」のお話を聞かせていただくことで、
文字を書く、相⼿を思う、相⼿が喜ぶことを想像するという
こと、さらに、郵便屋さんになりきって遊ぶという意味では、
人の役に⽴つ、役割を果たすことで⾃信を持つなど、⼿紙
が持っている要素の幅の広さを改めて知ることができまし
た」との声も聞かれています。
プロジェクト・メンバーとして、今回のプログラム開発、プロモーションを⽀援させていただいたタナベ経営
島田と。
■今後の展開とタナベ経営に期待すること
幼稚園、保育園、幼保園は、全国で37,000 カ所と⾮常に
設置数が多く、この取り組みをいかに拡げていくかというこ
とが大きな課題のひとつではありますが、2015 年度は、新
たに1,000 〜3,000 カ所といった規模感で展開していきた
いと考えています。その中で、タナベ経営さんには、幼稚園
や保育園とのネットワーク、豊富な知識やノウハウを活かし
て、新たな取り組み⽅法や企画をご提案いただけることに
期待しています。