変化し続ける規制ルールへの対応を迫られる 証券

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Trend
変化し続ける規制ルールへの対応を迫られる
証券化市場関係者
~国内金融機関の投融資判断が歪められないための問題提起~
江川 由紀雄
新生証券株式会社
調査部長
る。バーゼルII 以降、多少の修正を
「 証券化市場タスクフォース」を設置
経ながらも使用されてきた現行の手法
した。このタスクフォースが、前述の
とは大幅に異なるものになる。バーゼ
「最終版 」と全く同じ日である2014 年
本誌 Vol.
18にて筆者はバーゼル
ル委員会は、これを2018 年 1月に導
12月11日付で、
「 簡素で、透明性が
銀行監督委員会による証券化商品
入するよう各国の銀行監督当局に要
高く、比較可能な証券化商品を特定
の資本賦課手法の見直し案の変遷
請している。ところが、ややこしいこと
する要件 」の案を公表注 3し、意見募
について解説した注 1。バーゼル委は、
に、証券化商品の資本賦課に関する
集 注 4を行ったのである。 同タスク
二度にわたる案の提示と意見募集を
「 最終版 」は確定版ではない。導入
フォースは、集まった意見も踏まえ、更
踏まえ、2014 年 12月11日付で「 最
前に変更が加えられることが予め決
に検討を加えたうえで、
「 簡素で、透
まっているのである。
明性が高く、比較可能な証券化商品
ルールの見直しが目白押し
注2
終版 」
をとりまとめて公表した 。この
「 最終版 」は、筆者が本誌 Vol. 18
を特定する要件 」を近日中に(おそら
で解説した第二次案( 2013 年 12月
証券監督者国際機構( IOSCO )
くは、2015 年 4月頃までに)公表する
案)
を若干修正した内容になってい
とバーゼル委員会は2014 年に共同で
運びとなっている。
( 本稿執筆時点
注1
「バーゼル委員会、証券化商品の扱いを大幅修正」本誌 Vol.18 60 ~ 65 ページ。
注2
金融庁による告知「バーゼル銀行監督委員会による最終規則文書『証券化商品の資本賦課枠組みの見直し』の公表について」http://www.fsa.go.jp/inter/
bis/20141216-2.html
注3
金融庁による告知「BCBS(バーゼル銀行監督委員会)及び IOSCO(証券監督者国際機構)による市中協議文書『簡素で、透明性が高く、比較可能な証券化
商品を特定する要件』の公表について」http://www.fsa.go.jp/inter/bis/20141216-1.html
注4
2015 年 2 月 13 日に締め切られた。日本からは、一般社団法人流動化・証券化協議会が締切日の 2015 年 2 月 13 日付で意見書を提出した。この意見書は、
同協議会のウェブサイトに掲載されている。 http://www.sfj.gr.jp/opinion/
March-April 2015
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―3月上旬―では未発表だが、本誌
説しておく。ヒエラルキー(証券化エ
が刊行される時点では既に公表され
クスポージャーのリスクウェイト等を決
“ SEC-ERBA ”
と呼ばれる。次の(つ
ている可能性がある。
)
定するために用いる手法の適用優先
まり、第 三 優 先 の )手 法は、SEC-
順位 )
は、第二次案にあったものから
IRBAと同じ計算式を用いつつも、標
「 簡素で、透明性が高く、比較可
変更はない。ただ、第二次案で用い
準的手法に基づくリスクウェイト決定
能な証券化商品を特定する要件 」
られていた名称が紛らわしかったた
方式を準用する“ SEC-SA ”である。
( 英語の“ simple, transparent and
めか、手法の名称が手直しされてい
どの方式も適用できない場合に、一
comparable ”の頭文字をとって、本
る。最優先となる手法は、内部格付
律に、
リスクウェイト1250%扱いとなる。
稿では、以 下 、
「 STC 要 件 」と呼
手法( IRB )
に基づく裏付資産に対
なお、標準的手法採用行は、SEC-
ぶ)
を証券化商品の資本賦課にどの
する所要自己資本を変数として用い
IRBAは利用できないため、
「第二優
ように反映させるかについて、バーゼ
る指定関数方式であり、これは、第
先 」の扱いとなっている SEC-ERBA
ル委は2015 年中に検 討することを
二次案では“ IRBA ”と呼ばれてい
が 事 実 上 の 最 優 先となる。SEC-
「 最終版 」の中で明らかにしている。
た が、
「 最 終 版 」 で は、
“ SEC-
ERBAを用いる際のリスクウェイトは、
つまり、
「 STC 要件 」を満たす証券
IRBA ”
と改められた。第二優先が、
第二次案にあったものからは、幾分、
化商品については、別途の扱いが設
格付会社の格付けを参照する外部
引き下げられている。
格 付 準 拠 方 式 で あり、これ は、
けられる可能性があり、これに関連し
て、他の部分にも修正が加えられる
図表 1 SEC-ERBA(外部格付準拠方式 )の参照テーブル
可能性が残っている。
証券化の規制上の扱いに関連す
る一連の流れとは別建てだが、バー
ゼル委員会は、2014 年 4月に「 大口
シニアトランシェ
1(年 )
5(年 )
非シニア
1(年 )
5(年 )
AAA
15%
20%
15%
70%
AA+
15%
30%
15%
90%
AA
25%
40%
30%
120%
AA-
30%
45%
40%
140%
A+
40%
50%
60%
160%
エクスポージャーの計測と管理のため
A
50%
65%
80%
180%
の監督上の枠組み―基準 」注 5を公
A-
60%
70%
120%
210%
表した。この基準は、金融機関によ
るファンドおよび証券化商品への投資
にあたり、極めて悩ましい内容となっ
BBB+
75%
90%
170%
260%
BBB
90%
105%
220%
310%
BBB-
120%
140%
330%
420%
BB+
140%
160%
470%
580%
ている。本稿では、
これらについて概
BB
160%
180%
620%
760%
観し、国内金融機関の今後の対応に
BB-
200%
225%
750%
860%
B+
250%
280%
900%
950%
B
310%
340%
1050%
1050%
B-
380%
420%
1130%
1130%
460%
505%
1250%
1250%
1250%
1250%
1250%
1250%
ついて考察を加えたい。
バーゼル委 、証券化の枠組み
「最終版 」
CCC+/CCC/CCCBelow CCC注:
バーゼル委員会の証券化の枠組み
「 最終版 」の要点について簡単に解
最シニアトランシェ(Senior)以外のトランシェ
(Non-senior tranche)については 、RW にトランシェ
の厚み
(T)を勘案する調整を加える 。
すなわち 、参照表上の数値に 1-Min(T; 0.5)を乗じたものが適用
されるリスクウェイトとなる 。
マチュリティの最小値は 1
(年 )
、最大値は 5
(年 )
。
マチュリティが 1 と
5 以外は 、線形補完して用いる 。
出所: バーゼル委公表文書を基に筆者作成
注5
金融庁による告知「バーゼル銀行監督委員会による最終規則文書『大口エクスポージャーの計測と管理のための監督上の枠組』の公表について」http://
www.fsa.go.jp/inter/bis/20140418-2.html
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ARES 不動産証券化ジャーナル Vol.24
変化し続ける規制ルールへの対応を迫られる証券化市場関係者
~国内金融機関の投融資判断が歪められないための問題提起~
また、何れの手法を用いるかに関
のインセンティブ、当事者の法的責
係なく、リスクウェイトの最小値は15%
任、投資家に対する透明性といった
「 STC 要件 」案である。おそらくは、
とされた。内部格付手法における企
分野につき、簡潔な文章で、要件を
「 STC 要件 」を満たす証券化商品
業向けのエクスポージャーであれば、
定めようとしているのである。
について、差別的な扱いを撤廃し、
最小値は事実上 7%であるのに比
そういう問 題 認 識を背 景とする
将来的には、規制上、優遇しようとい
べ、保守的な扱いとなっている。再
何のためにこのような要件を定めよ
証券化には、SEC-IRBAおよび SEC-
うとしているのかについては、協議文
ERBAの適用は認めず、SEC-SAの
書の前半部分を読めば、意図が推
興味深いことに、
「 STC 要件 」と
みを認めるとしている点は第二次案か
測できる。ここには、各国・地域の証
ほぼ同内容の優良証券化商品を認
らは変わっていない。
券化市場の現状に関する記述や、タ
定するための要件策定は、EUの銀
スクフォースが実施した調査結果が
行 監 督 当 局 の 連 合 体 である
記載されている。市場参加者を対象
European Banking Authority
現行の枠組みでは、内部格付手
う流れにつながるのであろう。
法採用行( IRB行 )
と標準的手法採
とした調査の結果として、たとえば、
注6
注7
( EBA ) と欧州委員会( EC ) も
用行( SA行 )
とでは、証券化エクス
証 券 化 市 場 低 迷 の 原 因として
着 手している。バーゼル委および
ポージャーの資本賦課の方式が大きく
“ perception ”
( 悪いイメージ、印
IOSCOによる検討は、こうした、欧州
異なっているが、SA行は SEC-IRBA
象)
を挙げた回答者が最も多かった
域内での動きにも大きく影響を受けて
は利用できないという点を除き、その
ことや、規制上の扱いが足かせに
いるものと考えられる。こうした優良な
差異を解消するものになっている。
なっていると指摘した回答者が圧倒
証券化商品を特定するための要件
的に多かったことを明らかにしている。
策定作業は、国際的に統一されてい
また、ヨーロッパおよびアジア太平洋
く可能性がある。要件を満たす証券
地域における市場関係者を対象とす
化商品が、自己資本比率規制上は
る相対の聞き取り調査で、
「 機関投
資本賦課の軽減の対象となったり、
バーゼル委とIOSCOが共同で設
資家の上級管理職 、シニア・アドバイ
その他の規制において優遇措置を受
置しているタスクフォースによる2014
ザーおよび投資委員会が、証券化に
けたり、中央銀行の買い入れや担保
年 12月の「 STC 要件 」案は、14の
対して偏見を持っており、証券化商
受け入れの対象になっていくことが予
要件案を提示し、質問を投げかけて
品について専門性を高め、理解しよう
想される。
いる。裏付資産の性質、過去デー
とすることに対してほとんど価値を見
タ、延滞状況、引受審査基準の一貫
出さないと指摘した」ことなどを紹介
性、裏付資産の選択と譲渡手法、当
している。つまり、証券化商品は、誤
初および期中のデータ、償還方法、
解を受け、偏見をもって見られる存在
金利および通貨のミスマッチへの対
になったことを、調査をもってタスク
応状況、支払の優先順位、投資家
フォースは明らかにしたのである。
優良な証券化商品を特定する
要件の策定
の権利、契約書の開示状況、当事者
大口エクスポージャー計測基準
の問題点
現在は大口与信規制の内容が国
によってまちまちであるところ、与信額
の計測・合算基準を揃えたうえで、1
注6
Discussion Paper on simple standard and transparent securitisations , 14 October 2014
http://www.eba.europa.eu/-/eba-consults-on-simple-standard-and-transparent-securitisations-and-their-potential-regulatory-recognition
注7
European Commission, Consultation Document: An EU framework for simple, transparent and standardised securitisation , 15 February
2015 http://ec.europa.eu/finance/consultations/2015/securitisation/docs/consultation-document_en.pdf
March-April 2015
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先あたりの与信限度額については、
て、与信先を把握し、計測することを
大規模な金融機関にとっては何の対
基本的な自己資本とされる Tier 1 の
求めている。
応も不要であろう。多くの地域金融
25%を上限にしようとしている。現行
規制では、Tier 1 ではなく、会計上
の自己資本を分母として計算した
機関を含むそうではない金融機関が
「ルックスルー・アプローチ」の
要否が問題に
25%を上限としているので、やや規制
強化となる。
する際に、大きな事務負担を求めるこ
とになる規制だともいえる。
ルックスルー・アプローチとは、文字
通り、裏付資産なり運用資産を見に
大口エクスポージャー計測の基準
悩ましいのは、ファンドの持ち分や
行き、裏付資産なり運用資産を保有
は、極めて簡潔な文章で記述されて
証券化商品を保有する場合は、個々
しているとして、与信先を把握し、計
おり、どのような場合に「同一先への
の運用資産や裏付資産を把握し、与
測せよ、ということである。ルックス
与 信 額 が 自己 資 本( Tier 1 )の
信先として認識する「ルックスルー・ア
ルーが必要とされるケースで、これを
0.25%よりも 小 さ い ことを 説 明
プローチ」を原則的な扱いとしている
行えないかまたは行わないファンドの
( demonstrate )
」できたことになるの
部分である。現行規制では、ファンド
持分・証券化商品等の場合は、全て
かについては、具体的な基準は何も
や証券化商品に関する特別な規定
同一の「 未知の与信先 」に対する
挙げられていない。たとえば、
ファンド
がないことから、ひとつのファンドに対
単一の与信として、合算し、大口エク
の運用方針や証券化商品の裏付資
する持分や、同一銘柄の証券化商
スポージャー規制の対象となる。言
産の適格要件で、ひとつの組み入れ
品について、それぞれ、ひとつの与
い換えれば、自己資本( Tier 1 )
の
資産が占める割合の上限を定めてい
信先として把握し、与信額を計測す
25%がハードリミット( 超えてはならな
れば、それが最大となると考えて扱っ
ればよい。金融機関の実務対応次
い上限 )
であり、10%以上のものは、
てよいのかどうか、現時点では、不明
第では、ファンドや証券化商品への
当局への報告対象となる。
である。こうしたことは、日本の金融
投資が大きく制約される可能性が出
機関に対する規制として、大口信用
てくる。なお、
「大口エクスポージャー
個々の証券化商品やファンドの持
供与等規制に関連する銀行法など
基準 」
も最終版の扱いであり、バーゼ
ち分が、自己資本( Tier 1 )
の0.25%
の施行令や監督指針を改正する作
ル委は2019 年 1月の実施を各国当
未満であれば、個々の運用資産や裏
業過程で、金融庁等の国内の監督
局に求めている。
付資産に対する与信額がそれを上
当局が各方面と調整しながら具体化
回ることはあり得ない。このため、ひ
していくことになる。こうした国内法
とつの銘柄あたりの投資額を Tier 1
令等の改正作業が行われるのは今
は、提案されているファンドと証券化
の0.25%未満に抑える限りにおいて、
年ではなく、
しばらく先のことになろう。
の扱いが極めて悩ましい。集団投資
ルックスルー・アプローチは適用する必
スキームと証券化商品については、
要がない。自己資本が数兆円の大
「 個々の裏付資産に対するストラク
手銀行にとって、自己資本の0.25%
チャーを通じた同一先への与信額が
は、100 億円を超えるような金額にな
自己資本( Tier 1 )
の0.25%よりも小
る。ところが、自己資本が500 億円の
国内証券化市場関係者―特に金
さいことを説明( demonstrate )
でき
金融機関にとって、その0.25%はわず
融機関―に影響を及ぼすルール見直
れば、ひとつのファンドの持分・証券
か1 億 2,500 万円である。金融機関
しはこれだけではない。バーゼル委
化商品等をひとつの与信先として
によるファンドや証券化商品への投資
員会は、2014 年 12月22日( 欧米の
扱ってよい」ものの、そうではない限
は、1 件あたり、1 億円から数十億円
人たちがクリスマス休暇に入る直前
り、ルックスルー・アプローチを適用し
単位で行うのが一般的であろうから、
である)
に「 信用リスクに係る標準的
不動産投融資や証券化の関連で
48
ファンドや証券化商品に投資しようと
ARES 不動産証券化ジャーナル Vol.24
不動産担保ノンリコースローンは
すべからく「特定貸付債権 」に
変化し続ける規制ルールへの対応を迫られる証券化市場関係者
~国内金融機関の投融資判断が歪められないための問題提起~
手法の見直し」注 8を公表した。日本
か。導入当時は、
「 新 BIS 規制 」と
きたい。バーゼル合意の第1の柱は、
における現行の自己資本比率規制で
呼ばれ、自己資本比率規制がリスク
信用リスクに感応的なリスクアセットの
は、大手行や一部の地銀が採用して
管理と歩み寄った画期的なものであ
額または自己資本比率を算出するた
いる「内部格付手法 」では、不動産
るかのように喧伝されたバーゼル委員
めの金融機関監督上の「決め事 」と
担保ノンリコースローンは、
「 特定貸
会の2004 年合意に基づく自己資本
してのルール集に過ぎない。しかも、
付債権 」として扱われるが、大多数
比率規制である。これが日本で導入
多数の国々の銀行監督当局の駆け
の地域金融機関が採用している「標
されたのが2007 年 3月末のことであっ
引きや妥協の積み重ねで決まるもの
準的手法 」では、
「証券化エクスポー
た。わずか8 年しか経っていないの
であり、日本の事情が十分に反映さ
ジャー」 扱いになっている。バーゼ
に、その後、どれだけ金融機関の健
れていなかったり、他の国の政策的
ル合意では、標準的手法には「特定
全性(自己資本比率等 )
規制のルー
な思惑が盛り込まれていたりするルー
貸付債権 」という概念自体が用意さ
ルが変更されてきたかを振り返ってみ
ル体系なのである。言うまでもない
れていないからである。
たい。こうしたルールは頻繁に、そし
が、金融機関の資金運用の指針や
て、時には大幅に見直されるものであ
方針ではない。
注9
ところが、バーゼル委は、標準的手
る、
という事実が明らかになる。
法の見直し案の中で、標準的手法に
その時々の規制ルールに最適化し
も「 特定貸付債権 」を導入すること
近年では、バーゼル銀行監督委員
ようとして、金融機関による運用方針
を提案している。リスクウェイトは、暫
会は、毎年( 特に、10月から12月に
や投資判断が大きく歪められることが
定的に、120%とするよう提案してい
掛けて)、多数の意見募集文書を発
ないようにできないだろうか。「 決め
る。この案が採用されると、日本の地
表し、合意文書の改訂を繰り返して
事 」よりも重要なのは、現実であり、
域金融機関にとって、不動産担保ノン
いる。「バーゼル合意 」は、時間の
実態である。金融機関の資金運用
リコースローンは証券化ではなく、
「特
経過と共に、どんどんその内容が変
に関するリスク管理や審査の運用とし
定貸付債権 」扱いとなり、資本賦課
化するものである。バーゼル合意に
て、負担する実態的なリスク対比、期
が加重される場合も出てくるだろう。
限らず、金融機関の行動に影響を及
待できる収益が魅力的かどうか、十
ぼすルールの見直しは、同時並行的
分に採算にあうか、という、投融資の
に多数進行している。
基本的な判断が妨げられないような
ルールの変更に振り回され過ぎ
ない対応を
実務を確立できないだろうか。そうし
規制その他のルール作りには、そ
バーゼルIIとは、何だったのだろう
た問題意識を筆者は強く抱いている。
れぞれの目的があることを認識してお
注8
金融庁による告知「バーゼル銀行監督委員会による市中協議文書『信用リスクに係る標準的手法の見直し』の公表について」http://www.fsa.go.jp/inter/
bis/20141224-3.html
注9
金融庁「自己資本比率規制に関するQ&A」中、「証券化エクスポージャーの定義」に関する設問と回答ならびに「図1:不動産証券化商品・ファンドの
取扱い事例」を参照。 http://www.fsa.go.jp/policy/basel_ii/
えがわ ゆきお
新生証券株式会社 調査部長
日本リース、長銀証券、日本長期信用銀行(現新生銀行)
、ムーディーズ、クレディス
イス証券、ドイツ証券、日本銀行等での勤務を経て、2010 年 新生銀行入行・新生
証券へ出向。2011 年 4 月 より現職。一般社団法人流動化・証券化協議会 顧問。埼
玉学園大学大学院経営学研究科客員教授 1962 年 福岡県生まれ。
March-April 2015
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