5.緑化余地調査 5.1.緑化余地の分類 計測した全方位画像データから、緑化の種類を「植栽可能」、「プランターなら設 置可能」、「すき間緑化」に分類した。また、緑化を行う箇所について、「空地(道 路側)」、「ガードパイプ等基礎」、「空地(民地側)」、「塀」、「擁壁」の5種類に分類 した。 それぞれの分類は次のとおりとした。 ① 空地(道路側) 空地(道路側)は、歩道幅員が 3~4m程度で道路側に何も障害物がなく、中低木 など植栽が可能である部分とした。 ② ガードパイプ等基礎 ガードパイプ等基礎は、ガードパイプと地盤のすき間における緑化や、ガードパ イプ上につたをからませる等の緑化が可能である部分とした。 52 ③ 空地(民地側) 空地(民地側)は、商業ビルの公開空地や幅員の広い道路上で、民地側に植栽が 可能な部分および、ピロティ部分等にプランターが設置可能である部分とした。 ④ 塀 塀は、ブロック塀を取り壊しての生垣設置、フェンスへの緑化等が可能である部 分とした。 ⑤ 擁壁 擁壁は、擁壁上につたを垂らす等の緑化が可能である部分とした。 53 5.2.全地点の緑化余地の状況 緑化の場所・種類ごとの緑化余地の延長距離の集計結果を表 5-1に示す。 緑化余地の総延長は 76,161mであった。 区分別では最も延長が長いのが、ガードパイプ等基礎のすき間緑化で 35,064m、 次いで空地(民地側)の植栽可能が 14,187m、空地(道路側)の植栽可能が 11,443 mであった。 地区別全体の緑化余地率を表 5-2に示す。 緑化余地率は、交差点の中心からそれぞれの方向について、撮影距離 30mの左右 の距離として 60mを計測距離とし、計測距離に対する緑化余地延長を緑化余地率と した。なお、同一の場所に異なる種類の緑化余地がある場合、緑化余地率は 100% を超える場合がある。 全地点の緑化余地率は 76.5%であった。緑化余地率が最も高いのが湾岸地区の 122.6%、次いで南部地区の 106.0%であった。緑化余地率が低いのが深川北部地区 の 38.8%、城東北部地区の 46.0%であった。 表 5-1 分類別緑化余地の延長距離 単位:m 緑化種類 区分 プランターなら 設置可能 植栽可能 空地(道路側) ガードパイプ等基礎 場 空地(民地側) 所 塀 擁壁 合計 すき間緑化 合計 11,443 1,926 394 13,764 1,265 434 35,064 36,762 14,187 2,780 97 17,064 5,617 2,035 245 7,896 609 66 0 675 33,120 7,241 35,800 76,161 表 5-2 地区別緑化余地率 地区 緑化余地延長(m) 計測距離(m) 緑化余地率(%) 深川北部地区 5,543 14,280 38.8 深川南部地区 10,002 13,500 74.1 城東北部地区 8,026 17,460 46.0 城東南部地区 10,582 17,100 61.9 南部地区 22,952 21,660 106.0 湾岸地区 19,056 15,540 122.6 76,161 99,540 76.5 合計 54 【空地(道路側)】 青海一丁目(4-73-1) 緑化余地延長:51m 東雲一丁目(4-29-3) 緑化余地延長:28m 植栽可能 【ガードパイプ等基礎】 辰巳二丁目(5-45-1) 緑化余地延長:55m すき間緑化 【空地(民地側)】 若洲一,二,三丁目(5-94-1) 緑化余地延長:54m 植栽可能 東陽三,五丁目(3-50-3) 緑化余地延長:52m 植栽可能 55 植栽可能 【塀】 南砂一丁目(2-92-1) 緑化余地延長:74m 植栽可能 北砂六丁目(2-55-1) 緑化余地延長:36m 植栽可能 植栽可能 東雲二丁目(4-42-2) 緑化余地延長:36m 植栽可能 【擁壁】 北砂二丁目(2-29-1) 緑化余地延長:54m 56 5.3.地区別の緑化余地の状況 ① 深川北部地区 深川北部地区の緑化余地状況を表 5-3に示す。 深川北部地区の緑化余地延長は 5,543m、緑化余地率は 38.8%で 6地区中最も低 い。 最も延長が長いのがガードパイプ等基礎のすき間緑化で 2,194m、次いで空地(道 路側)の植栽可能が 1,073m、塀の植栽可能が 919mであった。 表 5-3 緑化余地状況(深川北部地区) 単位:m 緑化種類 区分 空地(道路側) 合計 213 20 1,307 143 112 2,194 2,450 177 498 18 693 919 167 8 1,093 ガードパイプ等基礎 塀 - 擁壁 合計 すき間緑化 1,073 場 所 空地(民地側) ② プランターなら 設置可能 植栽可能 - 2,312 - 990 - 2,241 5,543 深川南部地区 深川南部地区の緑化余地状況を表 5-4に示す。 深川南部地区の緑化余地延長は 10,002m、緑化余地率は 74.1%で 6地区中 3番 目に高い。 最も延長が長いのがガードパイプ等基礎のすき間緑化で 5,883m、次いで空地(道 路側)の植栽可能が 1,317m、空地(民地側)の植栽可能が 887mであった。 表 5-4 緑化余地状況(深川南部地区) 単位:m 緑化種類 区分 プランターなら 設置可能 植栽可能 すき間緑化 合計 1,317 180 3 1,500 0 0 5,883 5,883 887 691 8 1,585 塀 317 556 0 873 擁壁 160 0 0 160 2,680 1,428 5,894 10,002 空地(道路側) ガードパイプ等基礎 場 所 空地(民地側) 合計 57 ③ 城東北部地区 城東北部地区の緑化余地状況を表 5-5に示す。 城東北部地区の緑化余地延長は 8,026m、緑化余地率は 46.0%で 6地区中 2番目 に低い。 最も延長が長いのが塀の植栽可能で 2,180m、次いで空地(道路側)の植栽可能 が 1,644m、ガードパイプ等基礎のすき間緑化が 868mであった。 表 5-5 緑化余地状況(城東北部地区) 単位:m 緑化種類 区分 空地(道路側) ガードパイプ等基礎 場 所 空地(民地側) 塀 擁壁 合計 ④ プランターなら 設置可能 植栽可能 合計 すき間緑化 1,644 338 116 2,097 625 321 868 1,815 386 588 35 1,009 2,180 639 221 3,040 0 66 0 66 4,834 1,952 1,240 8,026 城東南部地区 城東南部地区の緑化余地状況を表 5-6に示す。 城東南部地区の緑化余地延長は 10,582m、緑化余地率は 61.9%で 6地区中 4番 目に高い。 最も延長が長いのがガードパイプ等基礎のすき間緑化で 5,613m、次いで塀の植 栽可能が 1,450m、空地(民地側)の植栽可能が 1,313mであった。 表 5-6 緑化余地状況(城東南部地区) 単位:m 緑化種類 区分 空地(道路側) ガードパイプ等基礎 場 所 空地(民地側) 塀 擁壁 合計 プランターなら 設置可能 植栽可能 すき間緑化 合計 608 61 173 842 0 0 5,613 5,613 1,313 775 36 2,123 1,450 429 0 1,879 125 0 0 125 3,495 1,265 5,822 10,582 58 ⑤ 南部地区 南部地区の緑化余地状況を表 5-7に示す。 南部地区の緑化余地延長は 22,952m、緑化余地率は 106.0%で 6地区中 2番目に 高い。 最も延長が長いのがガードパイプ等基礎のすき間緑化で 12,029m、次いで空地 (民地側)の植栽可能が 4,956m、空地(道路側)の植栽可能が 3,905mであった。 表 5-7 緑化余地状況(南部地区) 単位:m 緑化種類 区分 すき間緑化 合計 3,905 1,119 0 5,024 0 0 12,029 12,029 4,956 137 0 5,092 塀 374 122 16 512 擁壁 295 0 0 295 9,530 1,377 12,045 22,952 空地(道路側) ガードパイプ等基礎 場 所 空地(民地側) 合計 ⑥ プランターなら 設置可能 植栽可能 湾岸地区 湾岸地区の緑化余地状況を表 5-8に示す。 湾岸地区の緑化余地延長は 19,056m、緑化余地率は 122.6%で 6地区中最も高い。 最も延長が長いのがガードパイプ等基礎のすき間緑化で 8,476m、次いで空地(民 地側)の植栽可能が 6,469m、空地(道路側)の植栽可能が 2,896mであった。 表 5-8 緑化余地状況(湾岸地区) 単位:m 緑化種類 区分 空地(道路側) ガードパイプ等基礎 場 所 空地(民地側) 塀 擁壁 合計 植栽可能 プランターなら 設置可能 すき間緑化 合計 2,896 15 83 2,993 496 0 8,476 8,972 6,469 92 0 6,561 377 122 0 499 30 0 0 30 10,268 229 8,559 19,056 59 ⑦ 地区別の状況 地区別の緑化余地の場所別延長を表 5-9、種類別延長を表 5-10、地区別の緑化 余地延長の場所別割合を図 5-1、種類別割合を図 5-2に示す。 緑化余地の場所では空地(道路側)、ガードパイプ等基礎の道路上に緑化余地の 割合が高いのは、南部地区、深川南部地区であった。民地側の緑化余地では、空地 では湾岸地区、南部地区、城東南部地区が高く、塀では城東北部地区が高く、擁壁 では深川南部地区、南部地区、城東南部地区が高い。 緑化余地の種類では、植栽可能の割合が高いのは城東北部地区、湾岸地区、深川 北部地区、南部地区であり、プランターなら設置可能では城東北部地区、深川北部 地区の割合が高く、すき間緑化では深川南部地区、城東南部地区、南部地区が高い。 表 5-9 地区別の緑化余地の場所別延長 単位:m 空地 (道路側) 地区 ガードパイプ 等基礎 空地 (民地側) 塀 擁壁 計 深川北部地区 1,307 2,450 693 1,093 0 5,543 深川南部地区 1,500 5,883 1,585 873 160 10,002 城東北部地区 2,097 1,815 1,009 3,040 66 8,026 城東南部地区 842 5,613 2,123 1,879 125 10,582 南部地区 5,024 12,029 5,092 512 295 22,952 湾岸地区 2,993 8,972 6,561 499 30 19,056 13,764 36,762 17,064 7,896 675 76,161 合計 0% 20% 40% 60% 80% 100% 深川北部地区 深川南部地区 城東北部地区 城東南部地区 南部地区 湾岸地区 空地(道路側) 道路の基礎幅 空地(民地側) 図 5-1 地区別の緑化余地延長の場所別割合 60 塀 擁壁 表 5-10 地区別の緑化余地の種類別延長 単位:m 地区 プランターなら すき間緑化 設置可能 植栽可能 計 深川北部地区 2,312 990 2,241 5,543 深川南部地区 2,680 1,428 5,894 10,002 城東北部地区 4,834 1,952 1,240 8,026 城東南部地区 3,495 1,265 5,822 10,582 南部地区 9,530 1,377 12,045 22,952 湾岸地区 10,268 229 8,559 19,056 33,120 7,241 35,800 76,161 合計 0% 20% 40% 60% 80% 深川北部地区 深川南部地区 城東北部地区 城東南部地区 南部地区 湾岸地区 植栽可能 プランターなら設置可能 図 5-2 種類別の緑化余地延長の地区別割合 61 すき間緑化 100% 5.4.道路幅員別の緑化余地の状況 道路幅員別の緑化余地の場所の状況を表 5-11、図 5-3に示す。 最も緑化余地延長が長いのが 4車線以上道路で 38,440mであった。次いで 2車線 道路(歩道あり)が 24,198m、車線区分なし(歩道あり)が 7,987mであった。 道路上の緑化余地の延長割合が高いのは、2車線道路(歩道あり)、4車線以上道 路であった。 民地側の緑化余地延長の割合では、空地の割合が高いのは通路細街路、車線区分 なし(歩道なし)、2車線道路(歩道なし)、4車線以上道路であり、塀では車線区 分なし(歩道なし)が高く、擁壁では車線区分なし(歩道あり)、2車線道路(歩道 あり)の割合が高くなっている。 表 5-11 道路幅員別の緑化余地の場所 空地 (道路側) 道路幅員 ガードパイプ 等基礎 空地 (民地側) 塀 擁壁 単位:m 計測 緑化 距離 余地率 計 4車線以上道路 8,987 17,850 9,276 2,054 272 38,440 38,340 100.3% 2車線道路(歩道あり) 3,099 14,249 4,598 1,985 268 24,198 31,560 76.7% 2車線道路(歩道なし) 139 515 401 421 0 1,476 3,480 42.4% 車線区分なし(歩道あり) 1,236 3,494 1,554 1,580 123 7,987 13,200 60.5% 車線区分なし(歩道なし) 302 584 1,136 1,841 11 3,873 12,540 30.9% 通路細街路 0 12 100 16 0 127 300 42.4% その他 0 59 0 0 0 59 120 49.1% 13,764 36,762 17,064 7,896 675 76,161 99,540 76.5% 合計 0% 20% 40% 60% 80% 100% 4車線以上道路 2車線道路(歩道あり) 2車線道路(歩道なし) 車線区分なし(歩道あり) 車線区分なし(歩道なし) 通路細街路 その他 空地(道路側) ガードパイプ等基礎 空地(民地側) 図 5-3 場所別の緑化余地延長の道路幅員別割合 62 塀 擁壁 5.5.土地利用別の緑化余地の状況 土地利用別の緑化余地の場所の状況を表 5-12、図 5-4に示す。 最も緑化余地延長が長いのが工場・倉庫で 15,483mであった。次いで中高層住宅 が 11,617m、公園が 10,751mであった。 緑化余地率ではその他 136.9%、工場・倉庫 108.9%、公園 97.4%であった。一 方、緑化余地率が最も低いのは低層住宅の 39.2%、次いで商業店舗 54.1%、事務 所の 58.2%、中高層店舗の 59.4%であった。 低層住宅は 4車線以上道路に接するものが少ないため、道路上の緑化余地があま り期待できない。また民地側の緑化余地では塀が多いが、敷地規模が小さいため他 の土地利用に比較して延長が長くとれず、緑化余地率が低くなっている。 商業店舗、中高層店舗においても、多くが道路上の緑化余地となっている。民地 側の空地は、敷地の規模が大きい場合は緑化余地となるが、敷地規模が小さい場合 は接道部分の多くが利用されていることから、緑化余地とならない場合が多く、緑 化余地率も比較的低くなっている。 表 5-12 土地利用別の緑化余地の場所 土地利用 空地 (道路側) ガードパイプ 等基礎 空地 (民地側) 塀 擁壁 計 単位:m 計測 緑化 距離 余地率 学校 747 2,453 778 647 269 4,895 5,820 84.1% 公園 2,221 6,229 1,780 514 7 10,751 11,040 97.4% 官公庁施設 212 775 296 32 0 1,315 1,500 87.7% 低層住宅 302 1,295 1,018 1,430 0 4,045 10,320 39.2% 2,016 5,599 1,952 1,961 89 11,617 18,360 63.3% 住宅団地 448 690 360 204 48 1,750 2,040 85.8% 商業店舗 525 1,504 1,044 398 68 3,540 6,540 54.1% 2,007 3,179 1,161 706 36 7,089 11,940 59.4% 132 718 332 181 0 1,362 2,340 58.2% 中高層事務所 1,040 4,080 1,318 647 0 7,086 10,140 69.9% 工場・倉庫 2,279 6,861 5,393 847 103 15,483 14,220 108.9% その他 1,834 3,379 1,631 330 54 7,229 5,280 136.9% 13,764 36,762 17,064 7,896 675 76,161 99,540 76.5% 中高層住宅 中高層店舗 事務所 合計 63 0% 20% 40% 60% 80% 100% 学校 公園 官公庁施設 低層住宅 中高層住宅 住宅団地 商業店舗 中高層店舗 事務所 中高層事務所 工場・倉庫 その他 空地(道路側) 道路の基礎幅 空地(民地側) 塀 図 5-4 土地利用別の緑化余地延長場所別割合 64 擁壁 5.6.用途地域別の緑化余地の状況 用途地域別の緑化余地の場所の状況を表 5-13、図 5-5に示す。 最も緑化余地延長が長いのが準工業地域で 41,042mであった。次いで商業地域が 10,761m、工業専用地域が 8,161mであった。 緑化余地率では無指定を除いて、工業専用地域が 132.1%、工業地域が 90.5%、 第 1種住居地域が 88.2%であった。一方、緑化余地率が低いのは近隣商業地域で 42.0%、商業地域 60.6%であった。 近隣商業地域の調査箇所は 4車線以上道路が少ないため道路上の緑化余地が少な いが、民地側も緑化余地が少ないため緑化余地率が低くなっている。商業地域は近 隣商業地域に比べて 4車線以上道路が多く、道路上の緑化余地が多いため、近隣商 業地域よりも緑化余地率が高くなっている。 表 5-13 用途地域別の緑化余地の場所 空地 (道路側) 用途地域 塀 擁壁 道路の 基礎幅 空地 (民地側) 単位:m 計測 緑化 距離 余地率 計 第1種中高層住居専用地域 633 216 103 1,094 318 2,364 3,180 74.4% 第1種住居地域 990 662 25 3,840 1,413 6,930 7,860 88.2% 第2種住居地域 455 94 44 653 122 1,369 1,860 73.6% 48 0 35 307 168 559 660 84.6% 341 388 0 1,174 745 2,647 6,300 42.0% 商業地域 3,257 1,214 58 4,400 1,832 10,761 17,760 60.6% 準工業地域 5,826 5,070 278 19,864 10,003 41,042 53,340 76.9% 498 0 0 1,405 107 2,010 2,220 90.5% 1,715 252 30 3,809 2,355 8,161 6,180 132.1% 0 0 101 217 0 318 180 176.8% 13,764 7,896 675 36,762 17,064 76,161 99,540 76.5% 準住居地域 近隣商業地域 工業地域 工業専用地域 無指定 合計 0% 20% 40% 60% 80% 100% 第1種中高層住居専用地域 第1種住居地域 第2種住居地域 準住居地域 近隣商業地域 商業地域 準工業地域 工業地域 工業専用地域 無指定 空地 (道路側) ガードパイプ 等基礎 空地 (民地側) 図 5-5 用途地域別の緑化余地延長場所別割合 65 塀 擁壁
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