2015 年 3 月 24 日 環境・省エネ関連窓材市場に関する調査結果 2015 【調査要綱】 矢野経済研究所では、次の調査要綱にて環境・省エネ関連窓材市場の調査を実施した。 1.調査期間:2014 年 9 月~2015 年 3 月 2.調査対象:ウィンドウフィルム、Low-E 複層ガラスの国内メーカー 3.調査方法:当社専門研究員による直接面談 <環境・省エネ関連窓材とは> 本調査における環境・省エネ関連窓材とは、省エネ目的の建築用ウィンドウフィルム(建築用省エネフィルム)、 Low-E 複層ガラスを指す。 <環境・省エネ関連窓材市場とは> 本調査における環境・省エネ関連窓材市場は、国内メーカーの国内出荷分と海外輸出分を合算し、メーカー出荷 数量(万㎡)ベースで算出した。 【調査結果サマリー】 2014 年の環境・省エネ関連窓材市場は前年比 105.2%の 1,425 万㎡の見込 省エネを目的とした建築用ウィンドウフィルムと Low-E 複層ガラスを合算した、2014 年の環境・省エネ関 連窓材市場(国内出荷+輸出分、メーカー出荷数量ベース)は前年比 105.2%の 1,425 万㎡の見込みで ある。同市場は、2012 年には前年の反動でマイナスとなったが、2013 年以降はコンスタントに年率 5~ 10%程度の成長を維持している。 建築用省エネフィルムは震災による混乱も収束し 2013 年以降の市場規模は微増で推移 省エネを目的とした建築用ウィンドウフィルム(建築用省エネフィルム)の需要は、2011 年の電力不足に より、冷房効率向上のため建物窓への施工のニーズが増えたことから急拡大したが、2012 年には前年の 反動で大幅に縮小した。市場の混乱は 2013 年には収束し、それ以降は微増傾向で推移している。 こうした中、フィルムメーカーサイドでは夏場の暑さ対策だけでなく、冬場の暖房効率向上も含めオール ※ シーズンでの省エネ効果を発揮する製品を開発しており、熱貫流率 を従来よりも低く抑えたグレードの ※2 新製品(低熱貫流フィルム )が相次いで発売されている。2014 年の建築用省エネフィルム市場(国内 出荷+輸出分、メーカー出荷数量ベース)は 310 万㎡(前年比 101.6%)を見込み、このうち 50 万㎡(前年 比 111.1%)が低熱貫流フィルムとなる。 Low-E 複層ガラスは省エネ住宅ポイント制度により普及率は再び上昇基調へ 2014 年の Low-E 複層ガラス市場(国内出荷+輸出分、メーカー出荷数量ベース)は、消費税増税の影 響を受けて、前年比 106.2%の 1,115 万㎡を見込む。2015 年は国土交通省の「省エネ住宅ポイント制度」 により、再び Low-E 複層ガラスの普及率は上昇基調に向かうと見られ、2015 年の Low-E 複層ガラス市場 (同ベース)は順調に伸びて前年比 112.1%の 1,250 万㎡に成長と予測する。 ◆ 資料体裁 資料名:「2015 年版 環境・省エネ関連窓材市場の展望と戦略」 発刊日:2015 年 3 月 16 日 体 裁:A4 判 96 頁 定 価:120,000 円(税別) 株式会社 矢野経済研究所 所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝 設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/ 本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/) ㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected] 本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。 本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。 Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd. 2015 年 3 月 24 日 【 調査結果の概要 】 1. 市場概況と予測 ウィンドウフィルムのうち、省エネを目的とした建築用ウィンドウフィルム(以下、建築用省エネフィルム) と Low-E 複層ガラスを合算した 2014 年の環境・省エネ関連窓材市場(国内出荷+輸出分、メーカー出荷 数量ベース)は前年比 105.2%の 1,425 万㎡の見込みである。内訳をみると、建築用省エネフィルムが 310 万㎡(前年比 101.6%)、Low-E 複層ガラスは 1,115 万㎡(前年比 106.2%)である。 以前は窓に付与する省エネ機能は「付加価値」であり、そのための窓材は「オプション」という位置づけ であったが、2011 年の電力不足により、省エネツール、節電対策製品としての窓材が一般消費者に認知 され、環境・省エネ関連窓材は「節電・省エネに必要な製品」として定着した。同時に、店頭でのポジショ ンもオプションからスタンダード製品へと変化している。 2012 年には前年の反動でマイナスとなったが、2013 年以降の市場規模はコンスタントに年率 5~10% 程度の成長を維持している。環境・省エネ関連窓材は、発売から 10 数年~20 年程度の年月を経ており、 成熟期に入ったと言える。 こうした中で、フィルムメーカーサイドでは夏場の暑さ対策だけでなく、冬場の暖房効率の向上も含め オールシーズンでの省エネ効果を発揮する製品を開発している。相次いで発売されている新製品は熱 ※ 2 貫流率 を従来よりも低く抑えたグレードの製品(低熱貫流フィルム※ )で、これまで建築用省エネフィル ムが使用されてこなかった寒冷地や北向き窓への使用を提案することで、市場の拡大につなげるという取 り組みである。また、国土交通省の「省エネ住宅ポイント制度」により、2015 年は再び Low-E 複層ガラスの 普及率が上昇基調に向かうと見られ、2015 年の環境・省エネ関連窓材市場(国内出荷+輸出分、メーカ ー出荷数量ベース)を前年比 110.2%の 1,570 万㎡になると予測する。 その内訳をみると、建築用省エネフィルムが 320 万㎡(前年比 103.2%)、Low-E 複層ガラスは 1,250 万 ㎡(前年比 112.1%)と順調な伸びを予測する。また、熱貫流率を従来よりも低く抑えたグレードの製品で ある低熱貫流フィルムは 55 万㎡(前年比 110.0%)と、建築用省エネフィルム全体よりも高い伸びを示すと 予測する。 ※ 熱貫流率とは、窓ガラスの内側(室内)と外側(屋外)の温度差が 1℃ある時に、1 時間あたりガラス 1 ㎡を通過する熱量 をワット(W)数で表したもので、この数値が小さいほど断熱性に優れる製品である。 ※2 本調査における低熱貫流フィルムとは、熱貫流率約 4.5W/㎡ K 以下の製品を指す。建築用省エネフィルムの内数とし て市場規模を算出した。 2. 注目すべき動向~省エネ性能・効果に対する信頼性確立のため、建築用省エネフィルムについ ては業界で統一された基準の策定が求められる~ 環境・省エネ関連窓材は市場に定着し、一般消費者の認知度も高まってきた。一方で、その性能・効 果の訴求という点では課題が残っている。JIS 規格では「建築窓ガラスフィルム(JIS-A5759)」の日射調整 フィルム(SC)について、遮蔽係数や熱貫流率を定めているが、これはウィンドウフィルムの基本的な機能 について定めたものであり、「省エネ」という性能の規定ではない。 建築用省エネフィルムに関しては、フィルムメーカーによって「日照調整フィルム」や「遮熱フィルム」、 「透明断熱フィルム」などの呼称が用いられているが、業界内で統一された基準があるわけではなく、熱貫 流率を下げて冬場の室温低下を防ぐ効果を持つフィルムを「断熱フィルム」とし、遮熱フィルムや日照調 整フィルムと区別するケースもある。フィルムメーカーでは多くの場合、自社独自の実験結果や計算ソフト などを活用し、計測値として性能データを表示しているが、各社が独自の方法で行っており、その性能の 根拠となるような公的な標準値があるわけではない。一般消費者にとっては断熱や遮熱、日照調整がどう 違うのか、それぞれの定義・基準が曖昧であり、混乱を招いていると考える。 Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd. 2015 年 3 月 24 日 一方、Low-E 複層ガラス(エコガラス)は板硝子協会によって断熱性能及び遮熱性能には一定の基準 が設けられており、業界として断熱及び遮熱性能に関する基準を設定し、住宅メーカーと共同で一般消 費者にもわかりやすく性能・効果を PR してきた。こうした取り組みにより製品の性能・効果が一般消費者に も浸透し、戸建て住宅を中心に普及率が向上している。 環境・省エネ関連窓材による省エネ効果は、住宅物件の地域や方角、広さなどの諸条件にも左右され る。建物の壁や床、天井などの材質によって熱や光の吸収・反射も異なるため、実証実験により算出され た省エネ効果に関するデータと、実際に建物に施工した後の効果が異なるということもあり得る。今後は、 これに対応すべく、窓材メーカー各社の取り組みに加え、建材メーカーや住宅メーカー、建設会社などと の共同で、業界を越えた省エネ基準の策定や節電に向けた相乗効果の高い製品開発なども求められて くることになると考える。 図表 1. 環境・省エネ関連窓材市場規模推移と予測 製品 2012年 建築用省エネフィルム 内、低熱貫流フィルム Low-E複層ガラス 合計 2013年 前年比 2014年見込み 前年比 (単位:万㎡) 2016年予測 前年比 2015年予測 前年比 300 305 101.7% 310 101.6% 320 103.2% 320 100.0% 44 45 102.3% 50 111.1% 55 110.0% 60 109.1% 910 1,050 115.4% 1,115 106.2% 1,250 112.1% 1,350 108.0% 1,210 1,355 112.0% 1,425 105.2% 1,570 110.2% 1,670 106.4% [矢野経済研究所推計] (万㎡) 1,800 1,600 1,400 1,200 1,000 Low-E複層ガラス 建築用省エネフィルム 800 600 400 200 0 2012年 2013年 2014年見込み 2015年予測 2016年予測 矢野経済研究所推計 注 1: 国内メーカーの国内出荷分と海外輸出分を合算し、メーカー出荷数量ベースで算出した。 注 2: 見込みは見込み値、予測は予測値。 注 3: 環境・省エネ関連窓材とは、省エネ目的の建築用ウィンドウフィルム(建築用省エネフィルム)と Low-E 複層ガラスを指 す。 注 4: 低熱貫流フィルムとは、熱貫流率が低く冬場の寒さにも効果を発揮する機能を持つものを指し(熱貫流率約 4.5W/㎡ K 以下を目安とする)、建築用省エネフィルムの内数である。 Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd.
© Copyright 2025 ExpyDoc