(大田原市発 男女の縁結び「婚活マスター」の取組)(PDF;pdf

経済調査レポート
栃木県大田原市発 男女の縁結び
「婚活マスター」の取組
関東財務局
宇都宮財務事務所 財務課
近年、日本では少子化の進行が危惧されており、特に人口減少に悩む地方においては深刻な問題であるため、栃木県内の各自治体等においてもその対策を進めている。
なお、栃木県では宇都宮が発祥の「街コン」が全国的な広がりをみせており、出会いの場の提供と集客効果による活性化が図られているが、栃木県大田原市においても少子化傾向
に歯止めをかけるべく、平成26年度より独自の婚活支援事業を開始し、市内への定住促進、人口減少の歯止めを目指していることから本取組について紹介したい。
栃木県の年齢別未婚率と合計特殊出生率の推移
取組内容
➣市では婚活マスターのスキーム策定にあたり、専門家のほか、若者等からの声を参考に、
➣栃木県の年齢別未婚
実効性のある仲人が必要との判断から、26年度より、婚活支援事業を①婚活マスターを軸に
率は、男女とも上昇傾向。
②市によるセミナー&イベントの開催③民間団体主催イベントへの補助の3本立てに変更。
➣婚活マスターは、仲人が背中を押すことで結婚に足を踏み
➣栃木県の合計特殊出
出せる若者が増加することを期待しており、1組婚姻をまとめ
生率は、このところ概ね
ると規定により、20万円の奨励金を支給。
横ばいとなっているが全
➣婚活マスターの認証式を27年1月に行い、73名を認証。
国平均との比較において
➣なお、婚活マスター認証者の年齢構成は30~82歳(平均
は低下傾向にある。
年齢56歳)と幅広く、職業も主婦、会社員、自営業と多岐に
渡るほか、市内各地域に認証者を配置。
栃木県内20~30代男女の結婚に対する意向
➣また、月1~2回程度、婚活マスターの情報交換会を実施
婚活マスター認証式の様子
➣栃木県が26年9月に実施した「結婚・妊娠・出産・子育てに関する調査」において、独身者
し、情報を共有することで今後の成果に繋げる。
のうち、結婚を望む人が88.8%と気持ちの上では結婚に前向きな結果となっており、結婚に
取組成果
至らない理由として「適当な相手とめぐりあわない(60.2%)」が最も多くなっていることから、
まずは結婚への入口部分の問題を解消する必要がある。
➣実施初年度である26年度においても縁結びを目指してい
るが、本格的には27年度からの成果に期待して事業を遂行。
栃木県内における婚活支援の状況
➣また、単発の婚活イベントにおいても、事前に婚活セミナー
➣栃木県内では宇都宮が発祥の「街コン」において、出会いの場の提供と集客効果による活 を開催し、参加者の服装、会話等を指導するほか、婚活マス
性化等が図られるなど成果を上げており、全国的な広がりもみせている。
ターがイベントに同伴することも。
➣FM栃木等は那須烏山市、那珂川町在住・在勤の独身男性等を対象とした婚活パーティー
婚活セミナーの様子
今後の見通し・課題
を開催する等、マスコミにおいても婚活支援の動きがみられる。
➣また、県内各市町においても少子化対策の入口部分における取組として、婚活イベントの ➣将来的には市が介入せず、各婚活マスターが自由に活動・交流することを目指しており、
開催等に取り組んでいる。
そのために、各々の婚活マスターのレベル向上と活動しやすい仕組み作りを進めている。
➣また、婚活マスターは今後も新規募集を考えており、より一層、婚活支援体制を充実さ
栃木県大田原市が取り組む婚活支援事業
せることにより、きめ細かな対応を図る。
「婚活マスター」とは
地域連携の状況
➣大田原市が少子化問題、地域活性化、定住促進の観点から26年度より取り組む婚活支
援事業の中で、従来型の仲人の減少をカバーするため、男女の出会いから結婚までをボラ
ンティアで継続支援する「現代版の仲人」として「婚活マスター」を養成・認証。結婚を希望す
る男女のスキルアップ、縁結びを支援する。
取組の端緒
➣婚活支援事業は栃木県においても「とちぎ未来クラブ」により県内各地域に世話役を配置
しており、大田原市では今後、同クラブとの連携も視野に入れるほか、八溝山周辺地域定住
促進構想の活動の中で、県外も含めた市町村や、商工団体等との連携についても検討して
おり、今後、事業の更なる広がりを目指している。
➣大田原市は年少人口の割合が県平均13.1%を下回る12.3%であり、少子化傾向に歯止
めをかける必要性。(26年10月時点)
➣同市ではこれまで単発の婚活イベント等を実施していたものの、期待される成果が得られ
なかったこともあり、これまでの改善点を踏まえた新たな取り組みが必要であったこと。
➣栃木県における婚活支援については、民間主導の取組が進んでいるほか、県内各市
町においても婚活支援等の取組がなされているところであるが、今後、更に少子高齢化
が進むことが想定されるため、官民、地域が一体となり、更なる定住促進、地域活性化に
向けた工夫あふれる取組が期待される。