資料 - バードリサーチ;pdf

2015/3/24
フィールド鳥類講座
ID-BIRD try
2015年3⽉8⽇(⽇)
多摩川河川敷
第2回
河川敷を歩きます
ー
個体数調査:スポットセンサス
ー
NPO法人バードリサーチ
乾燥化による草原の鳥の変化
• 植生遷移の進行によるオオセッカの減少
西出(1993)
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シカの増加による森林の変化
• 増加した種:アカハラ,ビンズイ,キツツキ類
• 減少した種:ウグイス,コルリ,センダイムシク
イ,エナガ
個体数を数える
• 小型で、素早く動き、隠れる小鳥類を、
実際にすべて数え上げるのは不可能…。
• 簡単なようで、実は難しい。
• より効率的に個体数、もしくは密度を推
定する方法が考えられてきた。
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調査の目的により選択
分布密度の作成
個体数の増減の把握
鳥の生息数をできるだけ正確に効率よく把握する調査
調査方法
• ラインセンサス
(ルートセンサス・ベルトトランセクト・ロードセンサス)
• テリトリーマッピング
• スポットセンサス(定点調査)
• 区画法(メッシュ法・コドラート法)
調査範囲を正方形メッシュに区切り、サンプリングし
て調査を行い、全体の個体数を推定。
• 標識再捕獲法
捕獲標識した個体を再捕獲し、標識した個体の全体割
合から、全体の個体数を推定する。
• 時間単位捕獲法-ワナ・カメラによる捕捉。
• フィールドサイン推定方法-生き物の痕跡を使う。
• 生息域推定-環境の広さから生息数を推定。
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ラインセンサス
調査地に調査経路を設定
し、その経路を時速1~
2kmの速度で歩きながら、
出現した鳥の数と行動を記
録。
5~6回調査をすると、鳥
類相を把握できると一般に
言われている。
ラインセンサス
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テリトリーマッピング
定点センサスやラインセンサ
スで見た鳥の位置を地図上に記
録しながら、複数回くり返す。
さえずり、なわばり防衛など
の行動、同時出現などを手がか
りに、なわばりの数を明らかに
する。
テリトリーマッピング
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スポットセンサス
調査地内に範囲を定めて、一
定時間内に観察した鳥を記録。
人が動かないで調査をするた
め、鳥を脅かすことが少ない。
見通しの良い環境では高範囲
を把握できるが,森林などでは
調査範囲が狭くなってしまう。
猛禽類の行動圏調査によく用
いられる。
各手法の利点と欠点
利点
欠点
ラインセンサス
・高範囲をカバーできる
・歩行音が調査の邪魔
になる
・距離が長いと疲れる
テリトリー
マッピング
・一番正確に生息数を
把握できる
・なわばりを持たない鳥
は数えられない
・結果と環境との対応が
取りやすい
・調査回数が大きい
・見通しの悪い場所では
カバーできる範囲が狭い
スポットセンサス
(定点調査)
この特性からこれまでは,ラインセンサスがよく採用されてきた
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スポットとラインセンサスの比較
• 同時に両手法で調査を実施し,その記録種
数と個体数を比較
8 :0 0
9 :0 0
1 0 :0 0
調査員1 B 1
C1
D1
B2
C2
調査員2 A 1
R1
E1
R2
A2
D2
1 1 :0 0
A3
R4
E2
R3
E3
R5
D3
C3
1 2 :0 0
B3
A4
R6
D4
C4
B4
E4
冬の森林の結果
1.0
0.8
スポットセンサス
0.6
0.4
0.0
1.0
記録率 Cumulative % species
梅ノ木平
井頭公園
Site 1
0.2
長沼公園
Site 4
太平山
Site 3
Site 2
ラインセンサス
0.8
0.6
0.4
六道山
Site 6
日影林道
Site 5
0.2
0.0
1.0
御岳山
Site 8
六道山東
Site 7
0.8
0.6
0.4
新里町
Site 10
宮ヶ瀬
Site 9
0.2
0.0
1.0
1
0.8
2
3
4
5
多気林道
古峰ヶ原
Site 11
6
1
2
3
4
5
Site 12
6
1
2
3
4
5
6
調査回数 Number of censuses
0.6
0.4
赤川ダム
0.2
0.0
Site 13
1
2
3
4
5
6
7
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夏の森林の結果
1.0
0.8
スポットセンサス
0.6
0.4
記録率 Cumulative % species
0.2
0.0
1.0
城里町
奥只見
Site A
Site B
白尾線
丸山
Site C
ラインセンサス
Site D
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
1.0
丹沢
Site E
宮ヶ瀬
Site F
両神
Site I
矢沢林道
大間々台
Site J
Site K
3 4 5 6
御岳山
Site G
五国寺
Site H
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
1.0
1
0.8
2
3
4
5
6
1
2
筑波山
Site L
1
2
3
4
5
6
調査回数 Number of censuses
0.6
0.4
古峰ヶ原
0.2
0.0
Site M
1
2
3
4
5
6
モニタリングサイト1000採用の
スポットセンサス
全国約1000か所を100年
モニタリングしよう!
指標となる生物群を,
同じ場所を同じ方法で
長期間観察する
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調査地の設定
• 調査する環境(森林や草原)内部に設定
• 各点100m以上離す
• 100年間つづける調査のため、定点位置は
わかりやすい場所に
• モニ1000調査は、調査点を5点/1km設け
ている
鳥の調査のしかた:調査の時刻
• 繁殖期(春期):さえずりの活発な繁殖前
期と最盛期の夜明け~早朝がベスト。
• 越冬期(冬期):冬鳥が出揃ってから2度
実施、越冬期は午前中(あまり早すぎない
方が良い)。
繁殖期
地域
越冬期
時期
時刻
4~5月
6:00~9:00
12月中旬~2月中旬 8:00~11:00
5月下旬~6月
5:00~8:30
12月中旬~2月中旬 8:00~11:00
本州中部~東北 5月下旬~6月
4:00~8:00
12月中旬~2月中旬 8:00~11:00
北海道
4:00~8:00
12月中旬~2月中旬 8:00~11:00
南西
近畿以西
6~7月上旬
時期
時刻
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鳥の調査のしかた:調査範囲
• 調査範囲内と,範囲外に分けて記録
• 高空を通過するものは範囲外に
200m:草原のAとE地点は
ここも分けて記録
50m:この内側が
調査範囲内
鳥の調査のしかた:天候
• 雨の日は鳥が不活発で,雨音で記録がつけ
にくいので,調査を避ける
• 風が強い日も,同様に避ける
• 繁殖期は日の出から8時くらいまでが良い
ですが,ハルゼミなどうるさい場所はそれ
が鳴き始めるまでに終わるようにする。
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鳥の調査のしかた:記録方法
• 1定点10分(2分を5回)
2.鳥の種と数の調査 記録用紙
2分ごとに新たにカ ウントし
なおしてください
調査コース名:
玉動物園北側
草原のA地点とE地点のみ50~200m,200m
2分間隔で記入して
以上を分けて記録してください。
調査コース番号:
いきます
(河川の国勢調査との比較のため)
調査日時 2008年 6月 6日 5時15分 ~ 5時25分
種名
シジュウカラ
0-2分
50m 200m
50m以内
S 成 幼 以上 以上
3
エナガ
さ えず り を 確 認
し た ら「S」の 欄
ヒヨドリ
に個体数を記入
キビタキ
します
メジロ
S
2
オオルリ
1
2
1
5
4
調査地点 2-4分
「0-2分」で記録した鳥と同じ鳥が「2-4分」
50m 200m
50m以内
にいた場合も再度「3」と記録してください
3
2
成
幼 以上 以上
S
1
1
間違いの修正はわかり
2 4
1
やすく示してください
さえずり以外の記録は,巣立ち
ビナを見た場合は「幼」に,それ
以外の記録は「成」に記入しま
す
調査方法が記載してあるページ
• モニタリングサイト1000 森林・草原調査
マニュアル(環境省・生物多様性センター)
http://www.biodic.go.jp/moni1000/manual/index.html
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多地点/継続が重要
• 多少の誤差は,調査地が多いことで消され
る(多少の記録漏れがあっても大丈夫!)
• 同一の場所で継続することが重要
• 現状を把握できることが重要で,珍しい鳥
や多くの種数を出すことが目的ではない
• 無理な調査設計はやめておこう
細く永く続ける事が重要
多摩川・大栗川合流点 河川敷
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