平成 27 年 3 月 25 日 午後2時 記 者 発 表 資 料 ( 神奈川県政記者ク ラ ブ 、 川 崎 記 者 ク ラ ブ 、 文 部 科 学 記 者 会 同時送付) 平成 27 年度 KAST「戦略的研究シーズ育成事業」 3 件を採択 カ ス ト 公益財団法人神奈川科学技術アカデミー(KAST 、理事長:馬来義弘)は、科学技術活動を展開し、 産学公連携の取組を通じて、地域経済の活性化と生活の質の向上に貢献することを目指しています。 この度、平成 27 年度『戦略的研究シーズ育成事業』(1 件あたり年間 1,300 万円)の採択課題 3 件を 決定したので発表致します。 なお、採択課題は次の3件で、平成 27 年 4 月より研究を開始します。 採択課題名 研究機関 役職・研究者名 1 機能性ハプティックアクチュエータの創製 横浜国立大学大学院 工学研究院 准教授・下野誠通 2 高機能・高信頼性共発現エコマテリアルの創製 横浜国立大学大学院 環境情報研究院 教授・多々見純一 3 革新的巨大負熱膨張物質の創成 東京工業大学 応用セラミックス研究所 教授・東正樹 順不同 本事業は優れた研究シーズを発掘し、2 年間のシーズ育成期間を設け、研究成果の実用化推進を 支援します。なお、研究終了後、特に優れた内容で進展が期待できる研究シーズについては、KAST が実施する大型の有望シーズ展開プロジェクトにステップアップする等、他の事業での展開を図りま す。 (問い合わせ先) 公益財団法人 神奈川科学技術アカデミー イノベーションセンター 研究支援グループ 後藤・前川 〒213-0012 川崎市高津区坂戸 3-2-1 KSP 西棟 6 階 614 TEL: (044)819-2034、FAX: (044)819-2026 メールアドレス:[email protected] HP アドレス:http://www.newkast.or.jp/ 研究内容の概要 1.機能性ハプティックアクチュエータの創製 「次世代医療・福祉ロボットの実現に向けて、力触覚技術※1 を応用した革新的アクチュエータ※2 を開発しま す」 超高齢社会が加速する我が国では、QOL 向上に直接寄与する手術支援ロボット※3 やリハビリテーションロボ ット※4 など、国産の医療福祉ロボットの開発と実用化が望まれています。しかし、既存の医療福祉ロボットは 本質的には工作機械や産業ロボットの延長に留まっており、人体を含む対象との柔らかい接触動作を実現する ことが困難であるため、適用可能な範囲が限定されています。本研究では、手術やリハビリテーションにおい て望まれる柔らかい運動を可能にする、力触覚技術を応用した様々なアクチュエータを開発します。また、他 の研究機関や医療機関と連携して医療福祉ロボットの試作や臨床試験に臨み、将来的には国際競争力を有する 神奈川発の次世代医療福祉ロボットの実現を目指します。 2.高機能・高信頼性共発現エコマテリアル※5 の創製 「高信頼性マテリアルデザインを確立し、高度ものづくりサイエンスを実現します」 我が国のエネルギー政策の転換に向けた技術やシステムの向上は喫緊の課題ですが、これを支えるのはその 基板となる革新的な材料であるといっても過言ではありません。本研究では、高機能・高信頼性を共発現する エコマテリアルの創製を目指します。具体的には、局所領域破壊特性※6 のナノ・ミクロスケール計測技術およ び破壊シミュレーションを元に新規な材料設計手法を確立します。併せて、LED や絶縁基板等の最終製品を意 識した革新的材料の開発を行います。 3.革新的巨大負熱膨張物質の創成 「加工性と機械的特性に優れた、新世代の巨大負熱膨張材料の実用化を目指します」 電子機器や光学機器等、複数の素材を組み合せるデバイスでは、熱膨張による位置ずれが問題になる他、各 素材の熱膨張係数※7 の違いが界面剥離※8 や断線といった深刻な障害に繋がるため、多くの産業分野において 熱膨張制御への強い要請があります。これに対し、これまでに熱膨張抑制を目的として様々な負熱膨張材料(温 度が上がると縮む材料)の研究・開発が進められています。本研究では、新たなメカニズム(サイト間電荷移 動)により従来の3倍近い負の熱膨張率を持つ第三世代負熱膨張材料※9 を軸に、温度履歴※10 を持たず広い温 度範囲で巨大負熱膨張を実現する革新的な負熱膨張物質を開発します。また、産業化・実用化を目指して、従 来の半分程度の圧力下での材料合成法や、負熱膨張物質の薄膜育成等にも取り組みます。 ※1 力触覚技術:視覚、聴覚に続く新しい感覚技術。対象に力を伝えるとともに対象からの力を感じ取る(力覚を双方向に伝 送させる)ことができる。 ※2 アクチュエータ:入力されたエネルギーを機械・電気回路等により様々な運動(直線、回転など)に変換する駆動装置。 ※3 手術支援ロボット:遠隔操作による低侵襲で精密な手術を可能にするロボット。 ※4 リハビリテーションロボット:障害を持つ人のリハビリテーションを支援するロボット。 ※5 エコマテリアル:優れた 特性・機能を持ちながら、環境や人間への負荷がより少ない材料 ※6 局所領域破壊特性:材料の局所領域の破壊靭性や強度。本テーマでは提案者らが考案した、ほぼ全ての材料の破壊特性評 価に適用可能な評価法を用いる。 ※7 熱膨張係数:温度変化に対して物質が膨張する割合。一般に、樹脂は金属やセラミックス等に比べて熱膨張係数が大きい。 ※8 界面剥離:素材同士が接合面から剥がれること。 ※9 第三世代負熱膨張材料:結晶構造や磁気体積効果に起因する従来の負熱膨張材料に対し、東教授が発見したサイト間電荷 移動メカニズムにより高い負熱膨張効果を持つ材料を第三世代と呼ぶ。 ※10 温度履歴:昇温過程と降温過程で物質の状態に違いが出ること。 参 考 公益財団法人神奈川科学技術アカデミー 平成 27年度 KAST 戦略的研究シーズ育成事業募集要項 ■平成 27 年 4 月開始に向けて「KAST 戦略的研究シーズ育成事業」の対象となる研究課題を公募します。 ■当財団の事業は、神奈川県の科学技術政策と連動して、産業の発展と生活の質的向上に寄与することを目指して いるため、この事業の成果は地域に寄与することを期待します。 ■本公募は、平成 27 年度の事業について、計画段階で行うものであり、状況によっては事業内容や事業予算を変 更する場合があります。 事業概要 ○事業の目的とスキームの概要 (1)事業目的 戦略的研究シーズ育成事業(以下「本事業」という。 )は、KAST が地域の経済的価値(新産業・新事業)の創出や地域の 社会的価値(クオリティー・オブ・ライフの向上等)の創出を目的として展開している有望シーズ展開プロジェクト(年間約 8,000 万円、4年間)等、KAST が実施する研究プロジェクトに発展するような研究シーズの育成を目的としています。 (2)公募で対象となる研究課題 「神奈川県科学技術政策大綱」で定める重点研究目標のうち「エネルギー政策の転換に向けた技術やシステムの向上に資す る研究」、及び「超高齢社会に対応した技術やシステムの向上に資する研究」に関連し、上記の事業目的に合致する研究課 題を公募します。 なお、県内で展開する「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」と「さがみロボット産業特区」2つの拠点間 の連携を促進させる研究課題も歓迎します。 (3)事業スキームの概要 本事業に採択された研究者(以下「研究代表者」という。 )は、採択された研究課題(以下「採択課題」という。 )について、 研究代表者が所属されている大学や研究機関(以下「所属機関」という。 )と KAST が共同研究契約を締結した上で、 ●研究代表者が、所属機関において ●KAST が雇用する研究員(以下「KAST 研究員」 )と共同して ●KAST 事務局職員(以下「KAST 職員」という。 )と連携しながら ●KAST の研究プロジェクト等へのステップアップを目指して推進していただきます。 KAST 研究活動と戦略的研究シーズ育成事業の位置付け 実用化実証事業 提案者の 皆様には、2年後 を目指していただきます。 (有望シーズ展開/地域マクロニーズ即応) 戦略的研究シーズ育成事業からステップアップ 戦略的研究シーズ育成 事業 基 準 審査 研究プロジェクト に立ち上げる研究プロジェクト 審査 基 準 額:約 8,000 万円/年 研 究 期 間:4 年間 研究実施場所:かながわサイエンスパーク等 額:1,300 万円程度/年 研 究 期 間:2 年間 研究実施場所:研究代表者の所属機関 戦略的研究シーズ育成事業のスキーム 研究費 共同研究契約 KAST 研究プ ロジェ クト 等を 目指して、密接な連携 研究代表者 職員 採択課題を 共同で研究 給料 KAST 研究員
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