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The View from the Top
日本企業におけるCEOの視点
KPMGがアジア太平洋地域を対象として実施した本調査は、アジア太平洋
の13の国・地域に拠点を置く企業の経営幹部(以下、CEOと呼ぶ)178名
を対象にCFOの役割に対する意識を調査したものです。
なお、調査対象の178名のうち、日本企業のCEOは24名となっています
が、日本企業のCEOの調査結果は、アジア太平洋地域調査全体(以下、
「全体」調査という)の結果と一部異なる傾向もみられるため、日本企業
のCEOによる回答結果の傾向を以下に示します。
調査結果から見る日本企業の特徴
CFOの今後の役割に大きな影響を与える要素
全体では52%の回答者が「テクノロジー」を最もCFOの将来の役割に影響すると回答し、「リス
ク管理」と「ビッグデータ/アナリティクス」が約30%と続きます。高業績企業のCEOの63%は、
CFOの今後の役割に最も大きな影響を与えるのは「テクノロジー」だと考えています。
これに対して、日本で最も回答が多いものは、CFOが「マネジメントの戦略パートナーになるこ
と」と「ビッグデータ/アナリティクス」がともに33%となっており、これらが日本にとって大きな
課題となっていることがうかがえます。
厳格な規制環境に対して
CEOの43%は、「厳格な規制環境が、CFOのその他の分野に注力することを妨げている」と考え
ている一方、42%が、規制環境は「競争上の優位性を得るには良いチャンス」と捉えています。
全体の傾向と異なり、日本は厳格な規制環境が「データアナリティクス活用のチャンスである」
とし、また「CFOの役割権限を強めている」(ともに38%)と回答しています。
©2015 KPMG AZSA LLC, a limited liability audit corporation incorporated under the Japanese Certified Public Accountants Law and a member firm of the KPMG
network of independent member firms affiliated with KPMG International Cooperative (“KPMG International”), a Swiss entity. All rights reserved.
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企業に戦略的価値をもたらし得るCFOの取り組み
全体的な傾向を見ると、「新しい事業モデルや利益成長のために財務データを活用する」こと
を重視する企業の比率が相対的に高くなっています。
日本企業においては、CFOに期待する役割機能について、「財務経理機能の標準化」等によ
るコスト削減、続いて「予測機能の向上」を重視する回答となっており、比較的リスクやコスト
を重視する回答が多くなっています。
今後3年間の投資拡大分野
全体で最も多い回答は、「意思決定を支援する機能やスキル」への投資で、次に「優秀な人
材」への投資、「ERPソフトウェア」への投資が続きます。
一方、日本では「優秀な人材」への投資については全体と同様に重視する傾向にありますが、
「ERPソフトウェア導入・拡大」、「財務機能のCOE(Center of Excellence)の構築・拡大」、「財務
経理スタッフ」への投資等については、総じて全体より低いポイントを示しており、財務経理分野
への投資の遅れが、他国の優良企業との中長期的な競争力の差にならないかが懸念されます。
新しいテクノロジーの活用について
新しいテクノロジー(情報技術)の活用に関する肯定的な回答割合が、全体では50%となって
います。
一方、日本は30%程度にとどまっています。最新のテクノロジーの活用について、日本の財務経理
部門が比較的消極的、あるいは、投資予算がその分野へつけられていない現状がうかがえます。
人材マネジメントに対するアプローチ
優秀な人材を惹きつけるため、または、優秀な人材の育成および定着に有効な活動をCFOが
行っているかという質問に肯定的な回答を寄せたCEOは40%程度となっており、全体と日本
の調査結果に差異はありませんでした。しかし、この分野において否定的な回答をした割合
は、全体の20%に対し、日本は40%となっており、CFOによる人材マネジメントが上手く機能し
ていないことがうかがえます。
CFOに最も必要な資質
全体では、CEOの49%は「大局的な視点と戦略的アプローチ」がCFOに最も必要な資質と回
答しており、CFOの成長志向の取り組みを最も高く評価し、財務機能の伝統的分野を最も低く
評価しています。
日本も全体と同じく「大局的な視点と戦略的アプローチ」について、54%が最も重要としていま
すが、全体では、その次に「リーダーとしての資質」が39%と高いのに対して、日本は「株主・
アナリストへの対応能力」について46%が重要としており、日本ではCFOの重要な役割と従来
から考えられてきた分野を現状でも重視する傾向があることがうかがえます。
CFOのパフォーマンスに最も有益なビジネス上の資質
CFOに求める最も重要な資質として、全体では40%が「業界経験」を最も重要としていますが、
日本は50%が「グローバル経験」を最重要視しています。海外展開を加速する日本企業に
とって、CFOのグローバル経験が非常に重要となってきていることがうかがえます。海外グ
ループ会社との緊密なコミュニケーションのみならず、環境変化の激しい海外事業そのもの
の理解が重要になってきています。
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調査結果詳細データ
【CFOの将来像】
Q1: CFOが企業価値に貢献できる、または影響を及ぼすことができる最大のチャンスはどこにありますか?
全体
日本

9%
10%
11%
8%
8%
58%

29%



25%
12%
29%
企業業績・成長(M&A、事業提携、戦略、
人材マネジメント等)
ガバナンス(規制対応、取締役会の要請、
リスクおよびコンプライアンス等)
効率性・価値(コスト最適化、運転資金、ソーシング)
統制(IT、内部監査等)
イノベーション(新製品・サービス、新規ビジネスモデル、
新規市場)
Q2: CFOの今後の役割に大きな影響を与える要素は何ですか?
全体
52%
テクノロジー
リスク管理
ビッグデータ/アナリティクス
規制環境
マネジメントの戦略パートナーになること
経済状況
32%
30%
22%
19%
13%
(複数選択式)
日本
33%
33%
マネジメントの戦略パートナーになること
ビッグデータ/アナリティクス
25%
25%
25%
25%
経済状況
リスク管理
規制環境
テクノロジー
(複数選択式)
Q3: 企業に戦略的価値をもたらすことができるCFOの取り組みとは何ですか?
全体
日本
66%
59%
56%
54%
51%
(複数選択式)





67%
58%
50%
46%
46%
(複数選択式)
財務データ分析を、利益性の高い成長実現のために活用する
財務データ分析を、新たな業務モデルの考案のために活用する
予測能力を向上させる
規制環境から競争上の優位性を引き出す
より集約的で連携性に優れ、標準化されたグローバル財務経理機能を構築する
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【CFOの将来像 -続き】
Q4: CFOが現在重点的に取り組んでいること、将来取り組むべきことは何ですか?
全体
22%
企業成長のための情報の変換
25%
好機を逃さないためのIT活用
財務計画と戦略の連携
 現在
31%
 3年後
30%
33%
25%
25%
24%
リーン・ファイナンスの取組み
リスク管理の活用
20%
人材マネジメントの強化
19%
25%
25%
(複数選択式)
日本
38%
38%
企業成長のための情報の変換
財務計画と戦略の連携
42%
29%
リスク管理の活用
21%
好機を逃さないためのIT活用
13%
人材マネジメントの強化
13%
リーン・ファイナンスの取組み
13%
13%
 現在
 3年後
25%
21%
17%
(複数選択式)
Q5: 今後3年間でどの分野への投資拡大を計画していますか?
日本
全体
59%
55%
54%
53%
51%
54%
42%
42%
33%
21%
21%
39%
(複数選択式)



意思決定を支援する機能・スキル・手法
優秀な人材、人材マネジメント・採用・定着への投資
財務経理ERPソフトウェアの導入・拡大
(複数選択式)



財務経理機能に関するシェアードサービスの利用
財務経理センターオブエクセレンス(CoE)の構築・拡大
財務経理スタッフ
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【日常業務:現場の現実】
Q6: 厳格な規制環境はCFOの役割にどのような影響をもたらしていますか?
全体
日本
 CEOの43%は、厳格な規制環境が、
CFOのその他の分野に注力するこ
とを妨げていると回答しています。
 CEOの38%は、データアナリティク
ス活用のチャンスであると回答して
います。
 CEOの42%は、競争上の優位性を
得る良いチャンスと捉えています。
 CEOの38%は、CFOの役割権限を
強めていると回答しています。
Q7: CFOは組織に必要な新しいテクノロジーを活用していますか?
全体
日本
20%
21%
50%
29%
50%



思う
どちらとも言えない
思わない
30%
Q8: 優秀な人材を惹きつけ、育成し、定着させるための妥当なアプローチをCFOは採用していますか?
全体
日本
19%
42%
39%
25%
38%



思う
どちらとも言えない
思わない
37%
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【リーダーであること:財務経理機能の対外活動】
Q9: CFOに最も重要な個人的資質とは何ですか?
全体
大局的な視点と
戦略的アプローチ
49%
細部や業務
プロセスへの配慮
20%
26%
39%
社内経営層との
連携能力
実行力
19%
9%
22%
変革・変化の受容
株主・アナリストへ
の対応能力
リーダーとしての
資質
(複数選択式)
日本
大局的な視点と
戦略的アプローチ
54%
細部や業務
プロセスへの配慮
46%
29%
株主・アナリストへの
対応能力
社内経営層と
の連携能力
変革・変化の受容
13%
21%
13%
21%
リーダーとしての
資質
実行力
(複数選択式)
Q10: CFOのパフォーマンスに最も有益なビジネス上の資質は何ですか?
全体
40%
業界経験
36%
グローバル経験
31%
変革や革新の経験
27%
異業種経験
20%
勤続年数
16%
14%
12%
10%
10%
新たなテクノロジーの経験
M&Aの経験
テクニカル・分析スキル
営業(財務以外の)経験
規制関連業務の経験
新たなテクノロジーへの敏捷性
4%
(複数選択式)
日本
50%
グローバル経験
29%
変革や革新の経験
25%
業界経験
21%
テクニカル・分析スキル
営業(財務以外の)経験
17%
規制関連業務の経験
17%
異業種経験
17%
13%
M&Aの経験
新たなテクノロジーへの敏捷性
8%
新たなテクノロジーの経験
8%
勤続年数
8%
(複数選択式)
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調査先企業の属性
国別回答者比率
1%
11%
39%
15%
17%
17%






ASEAN
中国(香港を含む)
オーストラリア・ニュージーランド
韓国
日本
台湾
役職別回答者比率
全体
日本
4%
8%
9%
21%
42%
10%
58%
15%
29%





CEO・社長
オーナー
代表取締役
地域CEO・社長
会長、取締役







銀行・保険
製造業
消費財、小売
電気通信
鉱業・ガス・エネルギー・電力
医療・医薬品
その他
業種別回答者比率
全体
10%
5%
7%
日本
25%
33%
46%
10%
20%
23%
4%
4%
13%
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アカウンティングアドバイザリーサービス
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この文書は KPMGインターナショナルが2014年12月に発行した「 The View from the Top - CEOs
see a powerful future for the CFO. Are CFOs ready for the challenge? 」をベースに作成したもので
す。翻訳と英語原文間に齟齬がある場合は、当該英語原文が優先するものとします。
ここに記載されている情報はあくまで一般的なものであり、特定の個人や組織が置かれている状況に対
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